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気体の法則について
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- 田辺博子1/9 -
気体の法則について
(ボイルの法則,シャルルの法則,ボイル・シャルルの法則,気体の状態方程式)
石川県立野々市明倫高等学校
田辺 博子
ねらい
一定量の気体がある場合,その気体の体積,圧力,温度にはどんな関係があるでしょう.例えば,
下図の中央の風船を,大きくしたり小さくしたりするときには,どうしたらよいでしょうか.
写真1は小松空港の出発ロビーで撮影したスナック菓子と写真2は小松から千歳空港に向かう途
中の飛行機のなかで写したものです.どうして,こんなに袋の様子が違うのでしょうか.また,
上空の飛行機内で空のペットボトルの蓋を閉めておくと,着陸体制に入ったときに,ぽこんと音
がして凹みます.どうして,こんな現象が起こるのでしょうか.
写真1 出発ロビーにて
写真2 飛行機内にて
また,表示ラベルがはがれて中身が「塩素」か「水素」か「二酸化炭素」か分からなくなった
ガスボンベがあったとします.有毒な気体もありますので,匂いを嗅がずに安全に何の気体が入
っているのかを調べる方法はないでしょうか.
さらに,ここで学ぶ気体の法則と浮力との関係を調べていけば,どのくらいの大きさでどのく
らいの温度にすれば,人間を乗せて浮かぶ熱気球ができるか計算することもできます.目に見え
ない気体ですが,その気体の温度,体積,圧力の関係が分れば,いろいろなことが見えてきます.
目次
1.本論に入る前に復習
(1) 量とその単位

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(2) 式とグラフ
2.いろいろな気体の法則
(1) ボイルの法則(Boyle’s law)
(2) シャルルの法則(Charles’s law)
(3) ボイル・シャルルの法則(Boyle’s and Charles’s law)
3.理想気体の状態方程式(Ideal gas equations)
4.気体の状態方程式から気体の分子量を求める
5.まとめ
1.本論に入る前に復習
(1)量とその単位
体積,圧力,温度は身近な物理量です.いろいろな物理量には,その量がどのくらいあるかを表す
単位があります.量とその単位の例を次表にあげます.
表 1.1 物理量と単位
「長さ」L
メートル (m) ,フィート,インチ,寸
「質量」w
キログラム (kg) ,ポンド,貫
「時間」t
秒 (s) ,分 (min) ,時間 (h)
「体積」v
立方メートル (m3) ,リットル (L) ,合,升
「熱量」Q
ジュール (J) ,カロリー (cal)
量を表す記号は,その量の単語の頭文字からとることが多いです.例えば,
P:圧力(pressure) V:体積(volume) :温度(temperature)
などです.ただし,同じ文字でも表す量が異なる場合があります.例えば,t は時間を表すとき,
温度を表すときがあるので注意が必要です.気体の法則では,t はセ氏温度を表します.また,絶
対温度は T と大文字を使って区別します.また,同じ質量でもweightから w massから m を使う
場合があります.ここでは質量を表す記号として w を使います.
量と単位との区別が付かずに,「このお菓子のカロリーは多そうだね」と言ってしまう人がいます.
「あなたのメートルはいくらですか」とは言いませんね.高カロリーとは言いますが,高メートルと
は言いません.
長さなどの身近な量の場合,量と単位の区別は容易につきますが,熱量や物質量などの慣れない,
身近でない量の場合は,使い分けが難しくなります.とはいえ,数値に付いている単位を見ると,何
の量を表しているのかが分かり便利です.
圧力の単位は,パスカル (Pa) に統一します.他に,atm ,mmHg を圧力の単位として使う場合
もあります.単位を変えると,同じ量でも数値が変化します.例えば,
1.013×10
5
Pa ≒ 760 mmHg ≒ 1.00 atm
などです.これは,1.0 m ≒ 3 尺 3 寸 となるのと同様ですね.
単位を組み合わせて表す場合もあります.例えば,面積を表す m2,速度を表す km / h などです.
その他,[ J ] = [ N・m ],[ Pa ] = [ N / m2 ] などがあります.

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また,k (キロ)は ×1000 ,m (ミリ)は ×1/1000 ,c (センチ)は ×1/100 ,h (ヘクト)
は ×100 ,M (メガ)は×106 を意味する単位の前に付ける語(接頭辞)です.例えば,
1.0 ×10
3
m = 1.0 km
1.013 ×10
5
Pa = 1013 hPa
となります.「私の体重は 70 キロです」「あの投手の球速は 145 キロ くらいかな」と言う人も
いますが,正確には「体重は 70 キログラム」「球速は 145 キロメートル毎時」という必要があり
ます.
問題1・1 時間を表す記号の t は何という単語がもとになっていると思うか.
問題1・2 物質量を表す記号には n が使われるが,単位は何か.
問題1・3 20 分で 3.0 km 移動したときの速さはいくらか.
(2)式とグラフ
xyという 2 つの変数の関係を式やグラフを使って表すことができます.式やグラフを使うと,
2 つの量の関係を表すのが簡単になります.いろいろな量の関係を考えるときに,式とグラフを使
いこなすと便利ですし,いろいろなことが分かってきます.
問題1・4 次の各グラフについて,下の各問いに答えなさい.
(ア)
(イ)
(ウ)
(エ)
(オ)
y
y
y
y
y
b
b
0
x 0
b x 0
x 0
x 0
x
(1) 各グラフの xy の関係を式で書きなさい.(定数は,必要に応じて,abを使いなさい.
例えば,(ア),(エ)の傾き,(オ)の xy の積を a とする.)
(2) 上のグラフ(ア)から(オ)のなかで,比例の関係を表すものを選べ.
(3) 上のグラフ(ア)から(オ)のなかで,反比例の関係を表すものを選べ.
2. いろいろな気体の法則
一定の量の気体で,圧力 p ,体積 v ,温度 t という 3 つの量には,どんな関係があるでしょ
うか.変数が 3 つもあると,これらの関係を捉えるのが大変です.
ところで,歴史的にも,ボイルという科学者が温度一定のときの圧力 p ,体積 v の関係を調べ,

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シャルルという科学者が,圧力一定のときの体積 v ,温度 t の関係を調べています.つまり, 3 つ
の量を一度に変化させずに,一つの量を一定にして,他の 2 つの量の関係について,実験して調べ
ました.
(1)ボイルの法則(Boyle’s law)
イギリスのボイル (Robert Boyle) は,1662 年に,気体の温度 t を一定にして,気体の圧力 p
体積 v の次のような関係を発見しました.もちろん,使った気体の量は一定にしています.
v
0
p
このとき,数学ならば,v a / p と表しますが,理科では,a k とおくことが多いので,
v k / p
となります.また,圧力 p1 のときに体積が v1 ,圧力 p2 のときに体積が v2 になったとすると,
v1 k / p1
v2 k / p2
ここで,それぞれの式を変形すると
p1v1 k
p2v2 k
この2つの式より
k p1v1 p2v2
となります.そこで,k を使わずに表すと,ボイルの法則は
p1v1 p2v2
(2.1)
となります.
(2)シャルルの法則(Charles’s law)
フランスのシャルル (Jacques Charles) は,1787 年に,気体の圧力 p を一定にして,気体の温度
t と体積 v の間には下のような関係があることを発見しました.もちろん,使った気体の量は一定
にしています.温度は,セ氏温度 t *1) で測定したとして表してあります.
v
b
0
t
このとき,数学ならば,v a t b と表しますが,理科では,a k とおくことが多いので,
v k t b
となります.
上のグラフの直線を延長すると,次のグラフとなります.v = 0 となるのは,セ氏温度が –273 ℃

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のときです.実際の気体では,–273 ℃ に近づくと液体,固体に状態変化してしまうので,グラフで
は点線で表してあります.
v
b
-273
0
t
横軸の温度目盛りを取り直し,体積が 0 になるところを,温度 0 とすると,単純な比例式になる
ので便利です.
上のグラフの横軸のセ氏温度を絶対温度に表し直して,新しく書き換えると,次の通りになります.
温度は,絶対温度 T *2) で測定したとして表してあります.
v
b
0
273
T
このとき,数学ならば,v a T と表しますが,理科では,a k とおくことが多いので,
v k T
となります.また,絶対温度 T1 のときに体積が v1 T2 のときに体積が v2 になったとすると,
v1 k T1
v2 k T2
ここで,それぞれの式を変形すると
v1 / T1 k
v2 / T2 k
この2つの式より
k v1 / T1 v2 / T2
となります.そこで,k を使わずに表すと,シャルルの法則は
v1 / T1 v2 / T2
(2.2)
となります.
*1) セ氏温度
もともと,セ氏温度の 0 ℃も,便宜的に決められたものなので,0 の基準をずらしても,問題は
ありません.セ氏温度は,水の凍る温度と沸騰する温度を基準にしています.具体的には,1742年に,
スウェーデンのセルシウス(A Celsius)が,水の凍る温度を 100 ℃,沸点を 0 ℃ として,その間を 100
等分して決めました.数字の取り方は,現在では逆にしています.
*2) 絶対温度
-273 ℃ (より正確には-273.15 ℃) を 0 K とし,1 ℃ 分の温度差は 1 K に相当するという新たな
目盛りの取り方をした温度を「絶対温度」と言い,セ氏温度と区別するために T の記号を使います.
単位は K(ケルビンと読む)を用います.セ氏温度と絶対温度の関係は次の式で表されます.
T = 273 + t

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(3)ボイル・シャルルの法則(Boyle’s and Charles’s law)
このように,一定の量の気体で,圧力 p ,体積 v ,絶対温度 T という 3 つの量について,次
の関係があることがわかりました.
気体の絶対温度 T が一定のとき,気体の圧力 p と体積 v には,p1v1 p2v2 の関係がありま
す(ボイルの法則).気体の圧力 p のときには,気体の温度 T と体積 v には,v1 / T1 v2 / T2
の関係があります(シャルルの法則).
これらを一つにまとめて表すと
p1 v1 / T1 p2 v2
/ T2
(2.3)
となり,これをボイル・シャルルの法則といいます.
問題2・1 次の文章中の空欄(1),(2)に該当する文字式を書け.また,(3)に当てはまる等式を導け.
絶対温度 T1 のときに,ある気体が体積 v1圧力 p1 であったとする.この気体をその温度のま
ま,圧力を p2 にしたところ,体積が v’ になった.このとき,ボイルの法則が成り立つので,
p1v1 = (1)
となる.
また,圧力をp2 にしたまま,体積 v’ のこの気体の温度を T1 から T2 に変化させたところ,
体積が v2 となった.このとき,シャルルの法則が成り立つので,
v’ / T1 (2) となる.
この2つの式から,v’ を消去すると式 (3) が得られる.
問題2・2 次の文中の(
)に適する語句を答えよ.
一定温度において,一定物質量の気体の体積は(ア)に反比例する.この法則を(イ)の法則という.
一定圧力において,一定物質量の気体の体積は(ア)に比例する.この法則を(エ)の法則という.
一定物質量の気体の体積は,(ア)に反比例し(イ)に比例する.この法則を(ウ)の法則という.
問題2・3 次の各問いに答えよ.ただし,例題のように,問い中にでてくる量に○を付け,それらが
何の量に当たるのかを下に書き込み,どの法則を使うかを書いてから解け.
例題 27℃,3.0×105 Pa で 1.0 L の気体は127 ℃,2.0×105 Pa にすると 何 L の体積になるか.
t1
p1
v1
t2
p2
v2
解き方 p1 v1 / T1 = p2 v2 / T2 より
3.0×10
5
Pa × 1.0 L / (273+27) K =2.0×10
5
Pa × v / (273+127) K
(この式を解いて,体積 v を求めよ.)
(1)圧力 5.0×104 Pa で,体積 300 L の一定の物質量の気体を,温度を一定に保って,圧力を1.0×
105 Pa にすると,体積は何 L になるか.
(2)高度 10,000 m において,大気圧は 2.6×104 Pa ,温度は -50 ℃ である.気球が 20 ℃ ,
1.0×105 Pa の海水面から上昇して,この高度に達したとき,気球の体積は何倍になるか.ただし,

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気体は理想気体とし,気球は自由に膨張できるものとする.
3.理想気体の状態方程式(Ideal gas equations)
一定の量の気体で,圧力 p ,体積 v ,温度 T という 3 つの量には,ボイル・シャルルの法則
p1 v1 / T1 p2 v2
/ T2
が成り立つことがわかりました.それでは,気体の量が変化すると圧力,体積,温度はどのように
変化するでしょうか.ここでは,気体がどれだけあるかは,物質量で表すことにします.
標準状態(101.3 kPa,0 ℃)では,1 mol の気体は 22.4 L の体積を占めます(v = 22.4 L /mol ).
これを利用すると,
p v / T =(101.3 kPa × 22.4 L / mol )/ 273.15 K = 8.31 kPa・L / (K・mol)
となり,どの気体でもほぼ一定の値となります.ここで,この定数を気体定数とし,R *3)で表しま
す.
R pv / T = 8.31 kPa・L / (K・mol)
物質量 n の気体では,標準状態で気体の体積 V V n v となるので,
PV nRT
(3.1)
と表せます.この式を,理想気体の状態方程式(Ideal gas equations)とよびます.
問題3・1 圧力,体積の単位はいろいろなものが用いられている.温度は絶対温度で表さなければな
らないが,次のときの気体定数 R をそれぞれ求めよ.
(1)標準状態の圧力を 1 atm と表したとき
(2)標準状態の圧力を 760 mmHg と表したとき
(3)標準状態の圧力を Pa ,体積を m3 で表したとき
問題3・2 気体の状態方程式に関する次の文中の(
)に適する語句を答えよ.
(1)物質量・温度を一定にすると,(ア)の法則を表す式になる.
(2)物質量・圧力を一定にすると,(イ)の法則を表す式になる.
(3)物質量一定にすると,(ウ)の法則を表す式になる.
問題3・3 37 ℃ ,6.2×104 Pa で,0.10 mol の気体の体積は何 L になるか.ただし,気体定数は R
= 8.3×103
Pa・L/(K・mol) とする.
*3) 気体定数 R
気体定数を R と表す理由ははっきりしていません.気体定数の訳語の頭文字からではなく,ratio

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からではないかとも言われています.
4.気体の状態方程式から気体の分子量を求める
表示ラベルがはがれて中身が分からなくなったガスボンベの中身が何かを,匂いを嗅がずに,安
全に調べることができます.
具体的には,気体の質量 w [g],気体の圧力 P,体積 V ,温度 T を測定し,その実験測定値を
理想気体の状態方程式に代入して,気体のモル質量 M [g/mol]を計算で求めます.このモル質量が
求められれば,気体の分子量が分かり,その分子量から,ガスボンベの中身が「塩素」か「酸素」か
「水素」か「二酸化炭素」のどれであるかは分かります.
ただし,二酸化炭素とプロパン C3H8 のように分子量が同じ値の気体もあるので,分子量だけでは
どちらかとは判断できない場合もあります.その場合は,各気体の性質を利用して判別するなど別の
方法がさらに必要になります.
気体のモル質量を M [g/mol]とすると,質量 w と気体の物質量 n には,
nw / M
(4.1)
の関係があるので,これを,理想気体の状態方程式に代入して,M について解くと,
MwRT / PV
(4.2)
となります.
例えば,モル質量が 2.0 g/mol と求められれば,この気体の分子量は 2.0 になります.この値は最
も軽い気体の水素の分子量と一致しますから,このガスボンベには水素が詰まっていると判断できま
す.
問題4・1 ある気体 1.0 g は,57 ℃, 1.2 ×105
Pa で,830 mL の体積を占める.この気体の分子量はい
くらか.
問題4・2 ある気体 1.40 g の体積は 27 ℃,1.5×105 Pa で 820 mL であった.この気体は,次の物
質のうちのどれか.
メタンCH4
二酸化炭素
一酸化炭素
酸素
問題4・3 ある液体試料の分子量を求めるために,次の実験を行った.この液体試料の分子量を求めよ.
① 体積 300 mL ,質量 120.60 g の丸底フラスコに液体試料を入れ,小さい穴を開けたアルミ箔
でふたをした.
② これを 77 ℃ の湯につけて,液体を完全に蒸発させた.
③ フラスコを湯から取り出し,室温 25 ℃ までに手早く冷やして,フラスコ内にあった蒸気を凝
縮させた.まわりの水をふき取って質量を測定すると,121.36 g になっていた.
④ 大気圧を測定すると, 1.0×105
Pa であった.

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5.まとめ
ボイル・シャルルの法則
P1V1 / T1P2V2 / T2
P:圧力 V:体積 T:絶対温度 [K]
気体の状態方程式
PVnRT
P:圧力 [Pa] V:体積 [L] n:物質量 [mol]
R:気体定数 8.31×103 [Pa・L /(K・mol)] T:絶対温度 [K]
絶対温度とセルシウス(セ氏)温度の関係
Tt + 273
T:絶対温度 [K] t:セ氏温度 [℃]
気体の体積,圧力,温度,物質量といろいろな量が出てきました.同じ量でも,単位が違うと数値
が異なってきます.また,量を表すアルファベットと,単位を表すアルファベットを区別して,混乱
しないように気を付けながら,どんなときにどんな量になるのかを求めてみましょう.
問題のなかに出てくる物理量とその単位に注意しながら,解いてみましょう.「このときのプレッ
シャーは○○だから,ボリュームは・・」と言いながら計算してみましょう.
参考文献
[1] 長倉三郎・竹内敬人他,化学Ⅰ,東京書籍,2006年