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急速に普及するクルマの共同利用「カーシェア」や「ライドシェア」を取り巻く状況 - 価格.comマガジン

急速に普及するクルマの共同利用「カーシェア」や「ライドシェア」を取り巻く状況

自動車に関係する気になるニュースや技術をわかりやすく解説する新連載「3分でわかる自動車最新トレンド」。連載5回目は、クルマの共同利用サービス「カーシェア」や「ライドシェア」を取り上げる。国内でも少しずつ広がっているが、両者の特徴や使い分け、そして現在抱える課題や展望などを、モータージャーナリストの森口将之氏が解説する。

日常のモビリティを想定したクルマの共同利用、カーシェアやライドシェアが定着しつつある。それらの特徴や課題などを解説しよう

共同利用は時代の流れ。所有せずに必要なときだけクルマを使う

前回のコラムで取り上げた「スマート」という言葉と同じように、最近目にすることが多くなってきたものに「シェア」がある。

家族で同じ携帯電話キャリアを使うときのシェアパック、家族でない人たちがいっしょに住むシェアハウスなどが代表になるだろう。スマートと違うのは、イメージ的な表現ではなく、共同利用という具体的な意味があることだ。

自動車の分野でも、最近シェアという考え方が広まってきた。カーシェアリングはすでにおなじみだし、最近ではシェアライドという新語も登場している。

なぜシェアが広まってきたのか。さまざまな理由があると思われるが、個人的には高度経済成長期からバブル景気にかけて、モノをたくさん持っていたほうが豊か、高価なモノを持っていたほうがエライという競争社会に疲れてしまった人が増えているような気がする。

家でも自動車でも、ほかの人といっしょに使えば、出費は少なくてすむ。そこで浮いた予算をほかの趣味に使える。庭付き一軒家や高級車を求める気持ちが薄れ、物質的な豊かさより精神的な豊かさを重視する人が増えてきたといえるかもしれない。

不安視された経済性もクリアし、都市部のカーシェアリングはすでに定着

カーシェアリングの場合はさらなる理由がある。環境問題や都市問題だ。カーシェアリングに使う車両は地球にやさしいエコカーが多い。大きなクルマから乗り換えてもらえればクリーン化が進む。さらにカーシェアリングは、複数の人間が1台の車両を使うわけだから、クルマを少なくできる。都市の中でかなりの空間を占めている駐車場を少なくし、公園や文化施設などに転用することができる。

カーシェアリングは1987年、スイスで生まれた。当初は約30人で2台の自動車を買って共同利用するという、シェアハウスのようなノリで始めたが、その後環境問題や都市問題の解消に役立つことが注目された。さらにIT技術の進化で、車両から離れた場所でも予約や決済が可能になったことも、普及の理由になっている。

レンタカーとの違いがわからないという人がいるかもしれない。レンタカーの営業所は有人で、借りるたびに契約を行い、時間は最低でも6時間と比較的長い。対するカーシェアリングは、ステーションと呼ばれる車両置き場は無人で、利用のためには会員になることが前提であり、15分などの短時間で料金をカウントする。レンタル=賃貸とシェア=共有の違いが、ここからも分かろう。

公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団によると、我が国におけるカーシェアリングは、2009年以前は皆無に近い存在だったが、2010年以降車両台数、会員数ともに順当に増加しており、2015年には1.6万台/70万人レベルにまでなっている。人口あたりの会員数で見ても、日本は老舗に相当するスイスには遠く及ばないものの、昨年は米国やドイツを上回ってさえいる。

カーシェアリングの先進国であるスイス(黒い線)だが、赤い線の日本も現在急激な勢いで普及しており、米国やドイツを抜いた(「公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団」からの出典)

その主役といえるのが、100円パーキングでおなじみのパーク24グループが2009年から運営する「タイムズカープラス」で、2015年末時点でステーション数は7519、車両台数は13556台、会員数は約57万人に達している。当初は厳しいといわれた黒字運営も2014年に達成しており、以降は黒字を続けている。

そうはいっても、カーシェアリングは一定の需要がないと採算が取れないサービスなので、大都市に向いている。ちなみにパリで2011年から始まった電気自動車によるカーシェアリング「オートリブ」は、周辺市町村を含めて約1000のステーション、約3500台の車両を用意している。自転車のシェアリングもそうだが、なるべく多くの車両とステーションを用意することが成功の秘訣である。

東京都渋谷区周辺のタイムズカープラスのステーションの配置状況。都市部の普及は、すでに侮れないレベル

東京都渋谷区周辺のタイムズカープラスのステーションの配置状況。都市部の普及は、すでに侮れないレベル

カーシェアの車両台数と会員数ともにハイペースで増加中。車両数が増えてきたことで、さらに利便性が高まり、普及に弾みがついている(「公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団」からの出典)

フランスで電気自動車のカーシェアリングを行うオートリブ。現在約1000か所のステーションと、約3500台の車両を用意している

日常の実用車は共同利用で、趣味のクルマを所有する、という使い分けも

カーシェアリングが普及すると、その分クルマを買う人が減って、自動車メーカーが厳しい立場になるのではないかと心配する人もいる。しかし、一部のメーカーはそうは考えていない。メーカー直営のカーシェアリングが存在しているからだ。その代表が、ダイムラーがスマートを使って展開する「car2go(カーツーゴー)」だ。欧米30以上の都市に導入しており、一部は電気自動車とすることで環境対策も図っている。

カーシェアリング参入の理由を聞いたところ、若い人が金銭的にクルマを所有することが難しいことはダイムラーも知っており、まずはシェアリングで体験してもらい、クルマのすばらしさを知ってもらいたいと考えているとのこと。長い目で見ているというわけだ。

クルマ好きはカーシェアリングに否定的な人が多い。愛車という表現をするぐらいだから、自分のものにして当然。それをシェアなんて、クルマを愛していないんじゃないの?という言葉が聞こえてきそうだ。

でも筆者の知人には、50年近く前のフランスのスポーツカー、アルピーヌA110と自転車とカーシェアリングという組み合わせの人がいる。趣味のクルマと足グルマをきっちり分けて考え、後者をカーシェアリングでまかなっているのだ。

ダイムラー直営のカーシェアリングサービス「car2go」のように、既存のメーカーが共同利用を受け入れる流れも生まれつつある

ライドシェアは都市部のタクシーと重なるが、過疎の進む地方の光明にもなりうる

ではライドシェアとは何か。こちらは日本語に訳せば相乗りとなる。でも近所の人たちが相談しあって行う相乗りではなく、IT技術を使ったビジネスであることが大きな違いだ。

代表的なサービスが、米国発祥で世界各地で展開している「Uber(ウーバー)」だ。Uberが提供しているのはタクシーサービスに似ているが、車両や運転手を抱えているわけではない。普通のドライバーと所有車をUberに登録してもらい、利用者はスマートフォンでそれらのクルマを予約して乗る。つまりタクシー業者ではなくタクシー配車アプリなのである。

行き先も予約時にスマートフォンに入力し、料金の支払いはオンライン上ですませる。気になるドライバーの質は、「食べログ」などのように、ドライバーごとの評価システムがあるので、利用者はそこで判断できるし、ドライバーは評価が上がれば利用者が増えて収入アップにつながるから、マナー向上に努めるようになる。

問題がないわけではない。ロンドンタクシーという愛称があるほど独特のタクシーが走り回る英国ロンドンでは、ウーバーの利用者が100万人に達したことで、既存のタクシーの運転手が利用者を奪われていると反発。市長も反対する姿勢を見せている。いっぽう、日本では、一般ドライバーが客扱いをしてはいけない決まりがあるので、Uberも資格を持った運転手と専用車両を擁してのサービスしかできない。

IT技術を使った新しいタクシー配車アプリのUber。支払いはネット上で、ドライバーの質はユーザー評価で行う

IT技術を使った新しいタクシー配車アプリのUber。支払いはネット上で、ドライバーの質はユーザー評価で行う

ライドシェアは国内の既存のルールとバッティングする面があるが、スマホを使ったタクシー配車アプリはすでに存在する

大都市はこれ以上クルマが増えると環境問題に発展する。中国の首都北京のように現時点で問題になっている都市もある。一般ドライバーを対象とするライドシェアは、都市の車両を増やす可能性があり、安全性など未知数な部分も多い。日本で問題となっているツアーバスに通じる状況であり、不安要素もある。すでに実用化されている、既存のタクシーを呼び出しアプリでも料金決済はできるので、それで十分ではないかという気がする。

しかし、過疎化に悩む地方の高齢者にとっては、バスなどの公共交通の廃止が続き、タクシーは街から呼び出すだけで費用が掛かり、自分でクルマや自転車を運転するには不安があるわけで、その地域の住民や勤労者がライドシェアに登録し、地域で移動を支えることを、特区制度で認めてよいのではないかという気がする。

つまりカーシェアとライドシェアは、クルマを使ったシェアという点では同じだが、サービスの中身はもちろん、向いている地域も異なる。トレンドだからといって何でも導入すればよいわけではないと考えている。

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