中日の投手には故障で選手生命を短くした人が過去にもいます。初先発でノーヒット・ノーランという快挙を達成した近藤真市投手、また中日ドラゴンズ史上最高の左腕、今中慎二投手もそうです。
この3人に共通している投球フォーム上の問題点は腕が遅れて出てくることです。
具体的にはテイクバックで肘を背中側に大きく引き過ぎ、なおかつ肘を高く上げ過ぎている点です。前足を着地した段階でもまだ、肘が背中の後にあるために、肘を球速に前に出す必要があり、そのため前腕が遅れて出てきます。これは前腕には質量があり慣性(同じ速度を保つ性質)があるためです。
こういう投げは良く言えば、腕がムチのようにしなるような投げ方と言えますが、肩、肘に大きな負荷がかかる投げ方でいずれ故障する危険性があります。
近藤投手は2年目に肩の手術、4年目に肘の手術(トミー・ジョン手術)をしており、活躍できたのは2年間だけでした。
今中投手は中日球団史上最高の左腕投手でしたが肩の故障に泣き、30歳という若さで引退しています。
吉見一起投手の投球フォーム
近藤真市投手の投球フォーム、初先発でノーヒット・ノーラン
今中慎二投手の投球フォーム
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大リーグでトミー・ジョン手術を行なった投手の共通の投球フォーム上の形、逆W(inverted W)
両腕がWを逆さにした形になっている。肘をムチのように使う投球フォームになってしまい、肘の故障につながります。前足を着地した際に逆Wになっていると非常に危険です。
理想的な肘の使い方(背中側に引かない、高く上げない)
ニューヨーク・メッツのマット・ハービーMatt Harvey
現在、大リーグで注目の投手(24歳)、メッツではトム・シーバー以来のエースと言われている。
緩やかなフォームから平均球速95マイルの球を投げる。
肘、肩を故障しにくい投球フォームで球速もあり、注目の投球フォームです
大リーグで300勝以上挙げるための投球フォーム上の秘密
(肩、肘に負担がかかっていない)
肩、肘を使って投げない
具体的には
①テイクバック(意識としては腕を下げるだけ)で、肘を背中側に大きく引かない、肘を高く上げない
②両肩と右肘が一直線上にくる姿勢のまま、腕を振らない(何もしない)
③下半身(股関節よりも下の部分だけ)だけを使う
②の姿勢を保ったまま、上半身は何もしないで、下半身だけを使って右肩が円軌道(直線的な動きはだめ)を描くように、スムースに加速させる。上半身は前足を着地した際、腹筋を使って上半身を前に倒すだけ。
直線的な動きだと腕が前に出て行かない。
円軌道だと遠心力で腕がひとりでに前に回転してゆく。
肩が円軌道を描くと回転ブランコのように腕はひとりでに回転するイメージ
ウィーンの回転ブランコ
イメージで投球方法を表現すると
右肩をスムースに円軌道をイメージしながらホームプレート方向に投げ出す(チャップマン投手の場合で言うと、キューバのミサイルのイメージ)
投げ出したいのは右肩だけです。体の左側は必要ありません。
右肩が素早く回転してさえゆけば、肩より下の姿勢はどうあろうと関係ありません。それは人それぞれの投球スタイルで違ってきます。体が開くとか開かないとかも関係ありません。極端な話、前足を着地しないでジャンプしたままでも問題ありません。ただ、前足を着地したほうがさらに右肩が加速するのでそうするだけの話です。上原投手は前足をほんの一瞬着地する程度です。ジャンプして投げている感じです。また、ニューヨークヤンキースのショートストップ、デレク・ジーター選手は三遊間の球を捕球した後、ジャンピングスローすることで有名です。右肩さえ回って行けば空中でも強い投球は可能です。また、バレーボールのジャンピングサーブも同様です。
前足を着地する際は、体の左側が完全に止まるようにしなければいけません。
イメージ的には左の股関節を2塁方向に逆戻りさせる意識を持つことが大事です。それで左の股関節がちょうど止まるようになるはずです。
トム・シーバーTom Seaver (1967-1988)
身長 6' 1" =約185.4 cm
体重 206 lb =約93.4 kg
大リーグ通算311勝205敗、防御率2.86の剛球投手
サイヤング賞3度受賞、ノーヒット・ノーラン1回。
ドン・サットンDon Sutton(1966-1988)
身長 6' 1" =約185.4 cm
体重 185 lb =約83.9 kg
大リーグ通算324勝256敗、防御率3.26
23年間の大リーグ歴のうち21回で10勝以上の成績を残しました。また、故障者リストに載ったことがありません。