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受験の状況分析法
Page 1
あなたの受験がうまくいかせる為に今をどのように分析すべきか?
(考えればいいのか?)
受験の状況分析法
・なぜ日本人の塾通いが増加して学力ランキングが下がっているのか?
・なぜ私の成績は低いのか?
・なぜ前回の試験で不合格になったのか?
・なぜがんばっているのに、うまくいかないのか?
・なぜ塾に行ったのに成績が上がらないのか?
・なぜいい先生についているのに、うまくいかないのか?
全部分かります。

Page 2
最初に
※この無料レポートの対象年齢は 15 歳以上です。
(勉強のやり方なんかに詳しくなったからって、それでうまくいきゃ苦労ねぇんだよなぁ~)
これは偽らざる多くの人の本音かもしれません。(こうやって考えて、とにかくがんばっ
て努力して真面目にやっていこう!)という考えの人間的に素晴らしい方が、実は大きく損
をしてしまっている・・・そういう数えきれない事例を私は目の当たりにしてきました。言
い換えれば正直者なのに馬鹿を見ているのです。それに対して受験情報に詳しい都心の裕福
なご家庭では受験に関する十分すぎる情報が多面的に整理されており、着々と準備が進めら
れており、すべて計画通りに東京大学合格、最難関大学合格、公認会計士試験合格などの出
世コースを選ばれているという事もよくあります。
これ(そんなのでうまくいきゃ苦労はねぇんだけどね)は正確に言えば必要十分条件(因
子・諸因子)と原理の混同です。〇〇をやっている人がなぜ東大に合格していないのか?と
か、〇〇をやっていない人がなぜ弁護士になっているのか?という問いの答えは、目標達成
における原理的な各要素の影響力と、必要十分条件の混同です。
(必要十分条件【因子・諸因子】と原理の混同。現実には、原理と因子は同時に存在して
いる。)
このように、物事を正確に把握しないことや、分析しないことによるあなた自身の損失は
人生で極めて大きなものです。ここに書いたことも含めて今一度しっかりとこの事を考える
こんなの使ったからといって、ムキムキのか
っこいい体になれたら苦労しねぇんだけどな
ぁ?アレ??俺おかしくない?

Page 3
ことはきっとあなたの人生のライフプランや将来を変えることと思います。
なぜあの人はあんなに成果を出しているのか?と思える人は、多くの場合、要領や分析力、
問題解決の力がある人です。
私は昔から受験指導をする中で、依存心が大きすぎる人と、プライドが高すぎる人に限って
望む結果につながりにくいという傾向を不思議に思っていました。なぜか依存度が高い人と、
プライドが極めて高い人は、結果を出さない事が多いのです。あくまでもこの点については仮
説ですが、依存心が強すぎる場合や、プライドが高すぎる場合は、物事の解釈がハイレベルに
なりにくい傾向があるからではないかと考えています。平たく言うと、《いろいろなことに対
して勘違いを起こしやすい》ということです。逆に言えば、依存心を持ち過ぎず、プライドを
高くしすぎなければ、多くの事について勘違いが起きにくいのかもしれません。
このレポートでは、どうやって受験に関して抱えている問題を解決すればいいのかについて
考察を加え、皆さんの受験対策がさらにうまくいく可能性を大きく引き上げることを目的とし
ます。
1. 問題解決に例外は無い(原理原則のアプローチ)
問題解決に例外は無い(原理原則のアプローチ)
まず一番最初にお話しておきたいことは、目の前の問題を解決するということには、例外が
無いということです。私たちが済んでいる世界にはあらゆる問題が存在します。今日お話をす
るのは、それらの問題の中でもとりわけ受験に関するお話です。受験に関するお話なので、自
分が受験する試験によって、いろんな例外があるのではないかな?と考える方もいるかもしれ
ませんが、原則として例外はありません。問題を解決するアプローチには、重要な考え方があ
りますので、まずはそのような基本的な考え方にそって、考察していくことが極めて大切です。
この仕事をしていると、うまく自分を取り巻く状況を分析することができず、間違った判断
を下してしまい、損をしてしまうという人をたくさん見ます。そういう事が無いようにするた
めの一助となればと思い、今回のレポートを執筆しました。
2. 適切な対処方法は必ず適切な分析から
適切な対処方法は必ず適切な分析から
原則として、適切な対処方法(ここでは、皆さんが受験する試験などに対する対処方法、勉
強方法など)は適切な分析から始まります。適切に分析ができていないと、間違った対処方法
を選んでしまいます。非常に簡単な例で言えば、合格する為には世界史を勉強しなければなら
ない時に英語の勉強をするというように、まったく違うことをやってしまい、結果に結びつき
ません。
3. 自分の状況を分析できない人が何かを成し遂げることは少ない
自分の状況を分析できない人が何かを成し遂げることは少ない
自分の状況を分析できないと、このようにして多くの事を成し遂げることができなくなって
しまいます。間違った対策を講じてしまうからです。

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4.自分の状況を分析できたからこその逆転合格
自分の状況を分析できたからこその逆転合格
自分の状況を分析できたからこその逆転合格
逆に、自分の今の状況を冷静に分析できたからこその逆転合格の事例はたくさんあります。
今の状況を冷静に分析して、残りわずかな時間しかない状態から猛烈に勉強をして合格したケ
ースです。あと半年ほどしかなくとも、無駄な事を一切やらずに、点数が上がる事に集中して
成績を急上昇させたケースというのは珍しくありません。ところが、多くの場合は、このよう
な成功事例は、本人が『がんばった』というようにざっくり周囲からは評価されることが多い
ものです。実質的には少ないリソースを結果に結びつける良質な判断があるのですが、ここが
クローズアップされることはほとんどありません。分かりにくいからです。100人がいたら、
100人とも状況が違うので、今の状況で、自分にとっては何が大切なのか?ということを考
える必要があります。例外は時間があるケースです。十分に時間があるのに、自分にはあれが
性質的に合っているとか、あれは合っていないというように、何も状況分析をせずに、ただ憶
測にしたがって判断を加えるのは賢明とは言えません。このような判断は、何かを冷静に考え
ているようで実はほぼ思考停止と変わりません。何がどうなっていて、何をどうやってきてい
るから自分が今どういう状況にあるのか?という、外部の環境との関係性の中で自分の今の状
況がどうであるのか?ということに意味づけを行う事ができていないからです。
ところが、このような意味づけはきちんとなされることはほとんどありません。多くの失敗
の意味づけが存在します。以下によくある失敗のパターンを一緒に確認していきましょう。
5.理解できなければ繰り返し読む
理解できなければ繰り返し読む
理解できなければ繰り返し読む
このレポートは、ここまで読んで既に直感的に感じている方もいらっしゃるかもしれません
が、人生を変える可能性があるレポートです。人生の質は判断の力に比例すると私は拙著目標
達成論に書きました。趣味や Tips のお得情報の類ではありません。あなたの人生の根幹を成
す判断力を強化する為のレポートでもあります。ぜひ分かりにくい場合は、一度ではなく、繰
り返し読む事をお勧め致します。
第一章 よくある分析失敗のケース
よくある分析失敗のケース
良くある失敗のケースは、①自分以外に原因を求める。②自分がダメだと、自分のリソース
を低く見積もる(自分の過小評価)③志望校のレベルを高く見積もりすぎる、低く見積もりすぎ
る(志望校・受験する試験の過小評価)④記憶に関する知識が無さすぎて、どうせ早くから勉強

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しても無駄と思いこむ(原理に対する知見不足)の4つです。順番に見ていきましょう。
A 自分以外に原因を求める
自分以外に原因を求める
1. 先生が良くなかった
先生が良くなかったから、今自分の成績が悪いとか、先生が良くなかったから私はあの
科目が嫌いになったというように、まず先生が悪かったことに物事を集約させる考え方が
あります。もちろん先生が原因で一時的に理解不足に陥ったり、楽しくない気分になるこ
とはあるかもしれませんが、忘れてはいけないのは、他の生徒もその先生に教えてもらっ
て好成績を残しているという事実と現実です。自分がその先生と性格が合わなかったとし
ても、すべてが先生のせいなのかどうかはじっくり考える必要がありそうです。
先生のことを勘ぐる人もいます。例えば、(あの先生は〇〇君を特別扱いしているから、
きっとかわいい子だけをかわいがっているんだ)(あの先生は生徒のことなど少しもきにか
けてはいない)などなど、キリがありません。人を元にした原因分析の際に目を濁らせる
のは、《勘ぐり》です。この勘ぐりについては、ベストセラーになった『頭がいい人の話し
方、悪い人の話し方』に次のように書かれています。
分析を間違うケースの
代表的な4事例
① 自分以外に原
因を求める
②自分がダメだと
自分のリソースを
低く見積もる
③目標難易度の
誤認(志望校のレ
ベルを高く見積
もりすぎる、低く
見 積 も り す ぎ
る。)
④記憶について
の知識が無さす
ぎる(どうせ早く
から勉強しても
無駄だと思い込
む)

Page 6
-------引用 ここから------
何かにつけて、低レベルの解釈をする人がいる。いわば何についても、「下種の勘ぐり」で解釈する人
だ。
たとえば、私がある人物を叱っているとする。私は、その人物に独り立ちしてほしいと思っているから、
厳しくあたっている。叱られているほうも、それを認識している。ところが、それを見ていた人が愚かだ
と、私を指して、「あの人、威張りたくて人を叱っている」などと解釈するわけだ。
芸術家も、お金のためだけに作品を創っているわけではない。もちろん、売れること、生活をすること
も大事だが、芸術家であれば、創造意欲、表現意欲がある。だから、お金にならないことでも必死に行う。
ところが、この種の人はそのようなことは無視する。そして、芸術家に対しても「お金がほしくて、こん
なものを創っているんだ」と決めつける。
誰かが社交ダンスなどのサークルに行くと、「女がほしいんだろう」と決めつけ、誰かがクラッシック
音楽の演奏会に行くと、「趣味がいいと思われたいんだ」などと評する。誰かがお見合いを自分から断る
と、「あの人、理想が高いんだ」などと言う。医者になりたいという人がいると、「尊敬されたいんだ」と
言い出す。このように、もっとも単純でわかりやすい、いかにも低俗な欲望に基づいた解釈を示す。
もちろん、そうした解釈が当たっている場合もある。人間というもの、下卑た動機で行動することもあ
る。みんながみんな高邁な思想をもっているわけではない。芸術的な行為の奥底にも、売れたい、目立ち
たい、有名になりたい、後世に名を残したいという意識があるだろう。モテたいという意識もあるだろう。
だが、人間はそれほど単純に解釈できないものでもある。人それぞれ、さまざまな事情がある。社交ダ
ンスをするにも、クラッシック音楽のコンサートに行くにも、お見合いを断るにも、様々な事情がある。
それを一律に解釈できない。そして、高邁な理想をもつ人間も多い。
そもそも人間は、そのような欲望のみで生きるものではない。もちろん、原初的には欲望が突き動かし
ている面があるが、それ以上に、理想や理念や人生観のようなものが存在する。それに基づいて、行動す
る面が多い。
それを、一律に単純に、しかも欲望レベルで解釈するということは、その解釈を口に出している人間の
思考のレベルを示してしまうのだ。
人の行動を見て、「お金がほしい」「売れたい」と解釈するということは、自分が「お金がほしい」「売
れたい」と常日頃から考えているということだ。言い換えれば、もっと深遠な動機がないということにな
る。しかも、それを周囲の人みんなの前で暴露していることになる。それは、決してスマートなことでは
ない。
とりわけ、女性はそういう見方を嫌がるものだ。はじめは、「おもしろい人」と思われることもあるか
もしれないが、つき合っていくうちに、底を見透かされる。
女性にとって、その種の男は女性がおしゃれして、デートに来れば、自分のためにおしゃれしてきたと
思い込む。その程度ならいいが、「今日、彼女はおれと○○したがっているに違いない」などと勝手に解
釈して行動しかねない。あるいは、女性が何かを見て、「こんなものがほしいな」などとつぶやいている
と、俺に買わせようとしているんだと解釈する。
すべてをお金と低レベルの欲望で解釈するのだ。そんな男に釣り合うような女性もいるだろう。そして、
それはそれでお似合いなのだろう。だが、ちょっと知的な女性には、すぐに見透かされてしまうものだ。
人間も世の中も、それほど単純にはできていない。その複雑さを理解できないということは、まさしく
愚かだということなのだ。
-----引用----
頭がいい人の話し方、悪い人の話し方(PHP 新書) 樋口裕一著

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2. 予備校が良くなかった
○○の予備校がよくなかったという考えもあまりよくありません。
実際にあまりその予備校が向いていないということもあるかもしれませんが、以下のよ
うなデータがあることは覚えておきましょう。
例えば私が運営する通信制の塾には、あらゆる予備校の生徒や元○○予備校の生徒が流
れてきます。そして成績が上がって合格する子がいるのです。(正確には、子(も)と言っ
ておきます。)
K予備校(塾) Yゼミ S台予備校 ちょっとマイナーですが実力派のM(塾)など
の現役生徒さんや、そこで学んで不合格になった人が私の塾に来て、TOPの成績になり、
合格したという人もいます。(日本一のTOPスクールの中高一貫校の学生さんもいれば、
地方の無名校の学生さんもいます。東大医学部志望者も何人もいますし、司法試験受験生
から、高校受験生までいる変わった教育支援機関です。)
基本的に予備校がよくないという発想は、人間関係が悪くなったのであれば、深刻な問
題ですが、そうではない場合は、予備校だけが原因で何らかの悪い状態が起こっているわ
けではないという認識と発想が(多くのケースでは)大切です。
このレポートで説明する内容をご覧になればなぜそんなことが起こっているのかがご理
解いただけるかと思います。このような現象は私が行っている指導が良いからとは限りま
せん。他の要因、セルフコントロール能力の向上や、勉強時間の伸び、小論文などの特殊
な科目での成績の急上昇などが、原因になっていることもあります。
成績が上がる現象は、どこの塾からどこの塾に移ってもあり得る現象ですので、一歩引
いて冷静に現象を観察する必要があります。
以下については、それぞれ皆さんの中で複雑な事情もあるかと思いますが、基本的には
同様の理由で、必ずしもその単一の原因によって今の問題が発生しているわけではないと
考えることが大切です。他にも以下のような考え方があります。
3. 学校が良くなかった
4. 親が良くなかった
5. 勉強法が良くなかった
6. 使っている参考書が良くなかった
このような考えはあたっていることもありますが、あくまでも原因の一つの側面であり、

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これらが決定的な原因になることはあまりありません。その理由はこのレポートにも後半
で記載してありますが、物事の原因は複数あるのが普通だからです。
B 自分がダメだと、自分のリソースを低く見積もる(自分の過小評価)
自分がダメだと、自分のリソースを低く見積もる(自分の過小評価)
自分はどうせ何をやってもダメなんだと思い込んでいる人がいます。本当は力があるのに、そ
のように思ってしまうのは大変もったいないこと。多くの人は難関試験に合格できる力を十分に
もっています。結果につながらないのは、このレポートでもお話をしているように、正しく現状
を認識していないことにあります。
大まかに言うと以下のようなことが原因となっており、自分がダメだと思っている人がたくさ
んいます。
1. セルフイメージが低い
自分に対するイメージが高い人と低い人がいます。セルフイメージが高いのはいわゆる
根拠のない自信です。自分はやればできると思っている人は、セルフイメージが高いので、
勝手に自分なんて無理だと思い込んで損をしてしまいにくい人です。
2. 固定観念が強い
固定観念が強いと上記のようなことを言われてもピンとこないので、やっぱりそんなこ
とを誰かが言ってもどうせ無理なんだと思い込むようになります。
3. 情報に対しての信条体系が不適切
模擬試験の内容や小論文の添削を受けて一喜一憂してしまう場合、このケースの失敗に
つながります。結果が悪いと、(やっぱりボクはダメなんだ!!)などと思いこみます。一
喜一憂せずに、たんたんと客観的に考えて、入ってくる情報から一歩引いて自分を見るこ
とが大切です。
4. 『言われたとおりにやった』といいつつ、やっていない
これもよくあるパターンですが、うまくいっていない時というのは、言われたとおりに
やっていないことがほとんどです。
基本的に優れた指導には再現性があります。陸上競技で日本一の中学生を13年間作っ
た先生も、科学的に結果につながるトレーニングプログラムを用意していました。優れた
指導理論は最初からうまくいくように設計されています。
ところがうまくいかないケースというのも出てきます。ほとんどのケースで自分がいい
かなと思ったことだけをやった場合です。私の経験では一人の例外もありませんでした。
例えば音声を使って英語の勉強をするというケースでも、何度もCDを止めて音声を聞い

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ていたり、進めた学習手順の1~5の内、1については気に入ったのでやったけれども2
~5はやっていないというように、部分的に自分で取捨選択をして実行をしているか、勘
違いをして、違う事をやっていたケースです。
マンツーマンでの学習指導というのは、その人にとっての最善のコストパフォーマンス
が高いものをその都度投げていくという形を必ずとります。ですから、何かでうまくいか
ない時は早期に原因を分析して、対処方法(コストパフォーマンスが高いもの)をやる必
要があります。
受験勉強そのものが、時間という資源をちぎっては投げることの連続でしかありません
から、原則として、もっともコストパフォーマンスが高い所に時間という資源を割いてい
くことの連続の結果がその人の実力につながります。例えば漢字の練習などの、もっとも
コストパフォーマンスが悪い事をやれば、必然的に成績は悪くなります。時間当たりで点
数が大きく上がる人と、上がらない人がいて、その違いが結果として成績に出ているだけ
なのです。
C 志望校のレベルを高く見積もりすぎる、低く見積もりすぎる(志望校の過小評価)
のレベルを高く見積もりすぎる、低く見積もりすぎる(志望校の過小評価)
のレベルを高く見積もりすぎる、低く見積もりすぎる(志望校の過小評価)
志望校のレベルを高く見積もりすぎたり、低く見積もり過ぎることも、失敗につながります。
これらの考えは単なる憶測や勘や思い込みにすぎないのですが、定量的に判断を加えなければ現
実には実態がどうかということを判断できません。大きく以下のような失敗のケースがあります。
1. まあ合格するんじゃないかな・・・と軽めに考える
もちろん、軽めに考えればあまり勉強しない事につながりますから、合格しにくくなっていき
ます。勉強のアプローチが優れている場合は、それでも比較的合格しやすいのですが、立ち止ま
ると人間は忘れます。勉強しないとどんどん忘れていくということです。つまり学力は下がりま
す。一度浪人した生徒がまた不合格になることがあるのは、こういうケースです。現役生よりも
勉強していないことがあるからです。
2. 量で考えずに定性的に考える
これは難しいとか、これは多いというようにざっくりとした主観的な感覚で物事をつかみはじ
めると実態がどうなのかを比重で感じにくくなります。この問題集は一問につき、●分かかるの
で、全体の問題数が600だから、合計で●分かかる。というように、最初からある程度見積も
ることができる状態をつくり、あとは記憶の原理原則にそって理想的にその問題集を覚えこみを
したり、繰り返す事で頭の中にしまうことができるようになります。合格しにくい人の特徴は一
言でいうと、無計画であることです。量で考えないと、単純に《がんばる、一生懸命やる、意気
込みは負けない》などの精神論になってしまったり、《あれは難しい、あんなの無理だ、アンナ
の簡単だ、楽勝だ、たぶんいける》などのように、実態を捉えきれない状況分析ミスを犯します。

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まずは定量的に多面的に分析をして、『何についてどれくらい自分がどのような状態にあるの
か』を把握しましょう。
D 記憶に関する知識が無さすぎる(どうせ早くから勉強しても無駄と思いこむ etc・・)
記憶に関する諸理論や経験が無いことも判断を狂わせます。理論的な裏付けや原理的な理解
が無いと、行き当たりばったりで身近な成功事例に頼ろうとしがちです。判断ミスを犯す原因
は以下のような点についての知識・見識が無い為です。特に見識が不足しているとよく判断ミ
スを犯します。私は小論文の講師をしており、添削を毎日のようにしているので、なぜ人が判
断ミスをするのかについては、他の人よりもかなり詳しい方かもしれません。
1. どれくらいのスピードで記憶していくことができるかが分からない。
2. どういう方法をとれば、どれくらい記憶ができるかが分からない。
3. どの方法がどの方法よりもいいのかが分からない。
4. 記憶方法の使い分けができない。
多くの場合、上記のようなことが分からなくなると、塾か予備校か、教材に判断を丸投げす
る様になりがちです。人は判断基準が多くなりすぎると、思考放棄をする生き物だと言われて
います。その際にネットで評判を調べて多くの人が騙されます。なぜ騙されてしまうかという
と、そういうあなたの行動を予測済みで、ネットに悪い評判を書き込んだり自作自演で評判を
良くする会社が多数存在する為です。以下の文章は、この点について私が他の場所で書いた文
章ですが、分かりやすいと思いますので、参考までにご紹介しておきます。
===引用開始===
3. よくある勘違い
多くの人が、受験サービスについて気にするのは、以下のようなものです。
1)合格人数(合格実績)
2)受験者人数
3)合格率
4)知名度
5)評判
しかしこれらはあなたの合格にはあまり関係がありません。こういうことをしっかり理解して受験対策をして
いる人と、良く分からずに、分からないので、何も考えることなく受験をしている人の二種類の人がいます。一
つずつ簡単に見ていきましょう。大切な事です。
1.
合格人数は目安にしてもOKですが絶対的な指標にはなりません。結局は何人受験しているのかが重要
だからです。1万人のスクールの生徒が一斉に受験すれば合格者がたくさんいるのは当たり前のことです。
2.
受験者人数も同様です。たくさんスクールに生徒が在籍しているのは、そのスクールが広告宣伝した量

Page 11
も関係しています。ちなみに全国数千万世帯に一斉に 4 月にチラシをまく予備校に生徒が多いのは当然で
す。
3.
合格率もあてにはなりません。虚偽の合格率が横行しているからです。確率計算をしてみましょう。こ
こに合格率が 50%、10%、30%、80%、90%の生徒が5人います。この生徒全員が合格する確率は、ど
れくらいでしょうか。それぞれを分数にして、5/10、1/10、3/10、8/10、9/10 として計算してみましょう。
これを全部かけた数字が、全員が合格する確率です。1080/100000 です。このケースでは、1.08%です。
ほとんど 0%に限りなく近い事に気づくでしょう。母集団のレベルがかなり高く、難易度が低い場合は、
ほぼ全員が合格することはありえますが、数学的に考えると多くの困難があることに気づきます。
ところが予備校業界とは不思議なもので、合格率が 100%に近いと述べるところもあるのです。数学的
に説明がつきません。この反対に、個人レベルであれば、合格率は限りなく 100%に近づきます。
合格率が 80%の人が 6 つの学部を受験する場合は、まず第一にすべてに落ちる確率を計算します。第二
に、全体の確率からすべてに落ちる確率を引きます。落ちる確率は 20%ですから、STEP1:2/10 を
6回かけます。この数字はすべてに失敗する確率ですから、64/1000000。これがすべてに不合格になる確
率です。このあまりの事象が、どれかに合格する確率です。STEP2:0.00064 を 100(%)から引く
と、99.99936 となります。実質的に 99%合格するわけです。実力がある生徒が難関大学に合格する仕組
みはここにあります。繰り返しますが、この逆に、多くの生徒がいる中で全体の確率が極限まで引きあが
ることは、難易度の高い試験においては(全員が合格する確率のところで述べた)確率計算の通りです。
4.
知名度も関係ありません。知名度は宣伝量に比例するので、潤沢な資金を持っている親会社がある予備
校はそれだけ知名度が高くなります。持っている財力がモノをいうのが知名度です。
5.
世間の評判もほとんど関係ありません。最近の消費者は疑り深くなっており、その結果ネットで評判を
調べて買い物をすることが少なくないようです。しかし、ネットで調べると本当の情報があるかというと
そうではなく、そうやって評判を探す人をターゲットに逆ステルスマーケティングと呼ばれるような、嘘
の情報を流すネガティブキャンペーンや自作自演で自分の塾の評判を良くするために多くのアルバイト
を使ってネットに書き込みをする業者もいます。善意の第三者を装って騙す人がいるということです。偽
名や匿名で他人を攻撃するのも特徴です。あなたにモノを買わせたくない場合は、『買うな』と書き込み、
食べて欲しくない時は『まずい』と書き込みます。このようなウソの書き込みを無邪気に信じる人が一番
カモにされているのです。日本では風評被害対策の会社がライバル業者(風評被害対策会社の)ネガティ
ブキャンペーンをしていたこともあり、大きな社会問題になっています。もちろんこれらの行為は威力業
務妨害、信用棄損罪などの犯罪行為であり、罰金刑や実刑も対象となる重罪です。あなたがネットで評判
を調べることを待ち望んで待ち構える犯罪者がたくさんいるということです。そのことに気づいている人

Page 12
が少ないのが、ネット社会が未成熟な現代の問題点です。
上記のような誤解とは対照的に、どのようなことが合格するにあたって重要なのでしょうか。妥当な判断基準
とは以下のようなものです。
1)
程度とバランスについての理解
程度とバランスについての理解(外部要因)
2)
(自分と求められている試験のスキルギャップの種類と、その)スキルギャップを埋める力(内部要因)
===引用終了===
F 問題の構造(全体像)を把握できておらず、思考が
問題の構造(全体像)を把握できておらず、思考が部分最適になる
思考が部分最適になるというのは、例えば英語が苦手なので英語ができるようになるのに特
化した予備校がいいというように、表面上に現れた問題の解決策をてっとり早く探そうとする
思考方法です。なぜこのような考え方が失敗につながるのでしょうか。それは、問題の全体像
を把握できておらず、本質的に自分が抱えている問題点を把握できていないからです。英語が
できない人が陥る思考パターンは大抵、『売れている英語教材は何か』ということと、『定評の
ある英語の塾は何か?』ということです。ところが、英語ができないというのは、表面上の問
題であり、水面下の問題ではありません。
なぜ英語の成績が上がらず、テストで点数を取ることができないのでしょうか?直接的な原
因は、覚えていないからです。覚えていて、条件反射的にスッと頭の中に意味が思い浮かぶ語
彙力が数万項目ある人は、スラスラ英文を読み、テストでも高得点を得ることができます。ま
ずこのような直接的な原因があり、覚えることができない原因がその下に階層構造的に存在し
ています。その理由はたくさんあります。1、勉強時間が足りない 2、勉強する気にならな
い 3、勉強のやり方がまずい 4、勉強を継続できない 5、あまりにもスピードが遅い方
法で勉強しているので、覚えたそばから忘れていく 6、勉強できる環境が無い(経済的理由
や、家庭事情) このような原因が主な原因であることが多いものです。

Page 13
※問題は構造的に非線形に存在している。
このようになぜ?と繰り返し問うことでより本質的な問題(問題の真因)を発見することが
できる問題解決方法は、世界のトヨタ自動車が実行したということもあり、世界的な問題解決
の方法論として有名です。
上記の図の中で最も多いパターンは、勉強時間が足りないです。(当然です。)勉強していな
いわけですから、覚えられるわけがありません。ところが、勉強時間が足りないということが
問題なのに、『良く世間で売れている教材を買う』という失敗を犯してしまうのです。
英語の学習に教材は関係ありません。そもそも、ここまででお話をしたように、覚えていな
い事が第一段階の本質的な問題点なのですから、なぜ覚えることができていないのか?という
英語ができない
(成績が上がらない)
覚えていない
勉強時間が足り
ない
勉強する気にな
らない
勉強のやり方が
まずい
勉強を継続でき
ない
あまりにも遅い
方法で勉強して
いる
丸暗記しているので、英
文に対応できない。
(脳のワーキングメモ
リを大量に諸費してい
る。)
なぜがんばっても英語の成績が上がらないのか??
コミットメント
できていない
(その他数百くらい
の理由があるもので
す)
部活や仕事が忙
しく、時間が物理
的に無い。
授業ばかり聞いていて肝心の
暗記量を増やす時間が無い
死に時間(コマ切
れ時間)を活用し
ていない

Page 14
ことの自分のケースでの、問題点を解決しなければならないだけなのです。
あなたは、TV番組でダイエットのブルブル震えるマシンを見て、(こんなの買う馬鹿な奴
いるんだなぁ~アハハ)と心の中で一度は思ったことがあるかもしれません。(そもそも、運
動して、食べる量を減らせば痩せるのに)とあなたは思うでしょう。
ところが、英語の成績が上がらないので、英語の新しい教材を買うという行為をしている人
は、このようなダイエット器具を繰り返し買っては使わずに、家の隅に置いておくという人と
同じ行為をしているとも言えます。表面上に現れている問題点をそのまま原因を考えずに、処
理しようとして躍起になっているという分析法と対処法という点ではまったく同じなのです。
つまり私たちは、物事を分析する際に、なぜこんなことが起こっているのか?という風にま
ずは考えてみる必要があるということです。その時に上記の樹形図のように、諸原因を分解し
ていくことも大変重要です。
私が英語の教材(実質的なコンサルティングのばら売り)を販売しても、あくまでも市販の
安い 1500 円ほどの教材を進めている理由は、英語の授業や、英語の高額連続継続課金教材が
原理的に考えてあまり意味が無いと知っているからです。
例外として考えるべきケースは、英語に収録されている内容が、物語やコンテンツとして非
常に魅力的なものの場合です。例えば英語で、勉強をしていくようにプログラムが組まれてい
るビジネスマン向けの英語を使って学習する英語教材、あるいは、コインの冒険のように、英
語で収録されているコンテンツにユーザーが引き込まれて英語が楽しくて仕方が無くなるよ
うな仕掛けがあるケースです。もう一つだけ意味があるケースがあります。レッスンには意味
があります。英会話のレッスンです。スピーキングや考え方、英訳の方法、文法の使い方、良
く使われる言い回し、どの表現が妥当性がそのケースにおいては高いのかなど、詳しく教えて
もらう事が可能です。英会話のレッスンも価値は多面的に存在しているので、その人にあった
レッスンを選ぶといいでしょう。このようなことには大きな価値と意味がありますが、単に英
文読解を授業でするとか、単に英語を一緒に読むというのは、『積極的な受験の対策としての
勉強』スタイルではなく、『落ちこぼれを作らない為の文部省が用意する学習指導』のスタイ
ルだということに、気づかなくてはいけません。受験用の勉強と、落ちこぼれを作らないよう
にするための勉強は、本質的に違うのです。落ちこぼれを作らない為の勉強には、勉強につい
ていくことができない人を減らすというメリットはあります。しかし、このような勉強のスタ
イルをとっていると、最低のレベルの落ちこぼれにならないというメリットはありますが、実
力があって自学自習でどんどん先に進む力がある人は、無駄な時間を過ごすというデメリット
があります。

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少し資料で確認してみましょう。以下の資料は文部科学省の調査資料です。
出典)文部科学省 「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告」2008 年
出典)
塾に通う人口は 1985 年から増加傾向にある。中学3年生に関しては、47%
から65%まで上昇。
小学生の段階では塾に通うのは約半数。中学生になると7割弱が通塾してい
る。

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大都市で学習塾に通う割合(文部科学省 平成 19 年度全国学力・学習状況調査結果資料)
出典)ウィキペディア(グラフのみ)
この3つの資料から考えられることは、塾に通う人口が増えて、学力が下がっているということ
です。そして、暗記に関係のない母国語の読解力が向上しています。自宅で記憶をする自学自習の
時間が少なくなりすぎれば、記憶作業にかける時間も減るのは当然です。
自主的な学習ができなければならないことが推測できます。塾や予備校を選ぶときにはそのサー
ビス内容が、自分がかかえる本質的な問題点を解決するようなものであるかどうかということをま
ず考える必要がありそうです。その人が抱えている表面上の問題点ではなく、その裏側(最下層の
下側にある)本質的な問題点を解決するようなサービスであれば、成績は向上すると考えらえられ
ます。
もう少し別の角度から調査結果を見てみましょう。日本の優秀な学生が最も集まる医学部(長)
に対して実施された調査結果です。
日本人の学力は大きく下降傾向にある。
読解力については2006年まで下降後上昇傾向

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出典)「学生の学力低下問題に対するWG報告」【期間:2010 年 12 月~2011 年 1 月、対象:全国
国公私立医科大学(医学部)80 校の医学部長・教育担当責任者】
全国医学部長病院長会議

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極めて高い学力がある生徒が集まっている医学部においての調査結果は、日本のTOP層の学力
保持者がどのように推移しているのかについての考察材料を与えてくれます。
勉強を普段していない子供達、あるいは勉強にまったく興味が無い子供達の数が増加することで
学力が下がっているというわけでもなさそうです。
次に一般家庭を対象にした学力に関する調査結果を見てみましょう。
連続調査 No.25
「子供の学力低下」日経 BP コンサルティング
全体の約85%(そう思う 49.9%+どちらかといえばそう思う 35.4%)が学力が低下していると
いう感覚を持っていることになります。
それでは、ここまでの話である『問題の全体像を把握する』というお話について、少しまとめて
みます。有効な授業・教育サービスについて話をまとめると、以下のような二つのケースに分ける
ことができます。表面上の問題点である、英語の成績が良くないという問題を解決するには、上記
で述べたような構造的な問題をしっかりと把握した上で、表面上の英語ができないという問題点で
はなく、その問題を作っている、より本質的な問題点をいかにして解決すべきか?というアプロー
チが大切です。本質的な問題点は記憶量が少ない、記憶ができないということであり、さらに言え
ば、それらの記憶量を作ることができない問題群に本質的な問題があると言えます。
私が難関試験に合格するには、記憶量が必要であり、そのためには学習を最適化する必要がある
と述べているのは上記のような理由によるものです。

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何かがうまくいかない→塾・予備校を利用しようという短絡的な発想ではなく、その〇〇ができ
ないという状態を作り出している本質的な問題点を解決するアプローチをする必要があります。
学校で行われている授業はこの意味で、『落ちこぼれを作らない授業』であり、私が難関試験に
合格する為にオススメしていたり、短期間で大きく実力を引き上げて短期合格する為にオススメし
ているのが、『積極的な受験対策としての勉強』です。
ある東大医学性は、数学はもっとも自習がきく科目ですと述べていましたが、この意味は、数学
はもっとも教えてもらう場合と自習で、力の付き方が違う科目ですという意味です。じっくり教え
てもらう場合は、2問程度で50分の時間が過ぎますが、自分で勉強すれば、数学の解法暗記に特
化した場合は、100 問勉強できてもおかしくはないのです。自分で数学の復習をする時に、1問あ
たり1分で復習をする(読むだけ)という東大生もいますが、彼らがこのような勉強のアプローチ
をする理由はここにあります。時間当たりの学習の成果がまったく違うので、時間をかけすぎずに、
実力を養成するにはどうすればいいのか?ということをしっかり考えているということです。
英語や法律試験も事情はまったく変わりません。単位時間あたりにどれだけのことを記憶するこ
とができたのか?ということが、その人の実力を決定づけます。ここで、また短絡的に発想すると、
要するに学習のスピードが速ければ、実力が付くのですね??という風になってしまいますが、そ
うではありません。
積極的な受験対策としての勉強
積極的な受験対策としての勉強
■スタンス:スピード重視
■特徴:短期間で大幅に実力UP
牛山が推奨する学習スタンス
■メリット:到達率が高いので難関試験に
合格可能
■デメリット:自分でがんばる必要があり
落ちこぼれを作らない為の授業勉強
落ちこぼれを作らない為の授業勉強
■スタンス:理解重視
■特徴:いくら時間をかけても実力があが
らない(記憶量が増えないため)
■メリット: 理解しやすいので、ストレ
スが少ない。勉強している充実感がある。
■デメリット:到達率が低く、時間の資源
を無駄にし、不合格のリスクが高まる事
対象的

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勉強のスピードが遅いということが、英語の成績が悪いとか、法律の勉強で結果が出ないという
問題の真因ではないからです。全体の構造は以下のようになっています。
出典)機械的記憶法 日本実業出版 牛山恭範著

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第二章 実態
この章では、受験の実態について、より詳しく解説することを目的とします。
1. 複雑に問題は存在している
多くの場合、あなたが抱える原因を引き起こしているものは一つではありません。複数
の原因があり、あなたに何らかの問題が起こっています。それはちょうど以下のような原
因と結果の関係性にあります。

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2. 表層面に存在している問題点の裏返しの対策に意味は無い
上記のように複雑に問題は存在しているため、上位層にある目に見える直接の問題を解
決しようとしても問題は解決しません。英語の長文問題で点数が取れない人が、根本的な
原因である覚えていないという問題を解決せずに、長文の問題集をやっても何も解決しな
いのは、長文問題ができない本質的な原因が、別のところにあるからです。
3. 受験においては、シナプス結合量増加ゲームであるために、重要な事は、効率と判断とや
る気になっている。この3点をフレームワークとして用いる事で、精度の高い現状分析が
可能になる。
原則として、受験に関しては記憶ゲームですので、いかにして記憶を作るかということ
が最優先で考えられなければなりません。記憶のために脳内でシナプスをつなげる量(記
憶量)に必要なのは、エネルギーと(妥当な)方向性とスピードです。人の記憶量が伸び
ないということは、物理的に要素還元すると、この3つが足りないということにほかなり
ません。
4.目に見えることと、実態の違いの分析をすることの重要性
試験の難易度と受験科目数を混同すると、実際の難易度を理解することができず、猪突猛進した
り、少な目の対策をして不合格になるケースがよくあります。
科目数は数ある難易度の指標の一部分であり、全部だと思わないことが大切です。以下のような
事例があります。
1.司法試験よりも司法書士の方が受験科目数が多いので難しいと主張した事例
2.高校受験と、英検1級では、高校入試の方が科目数が多いので大変だと思いこむ事例
あたまが混乱している人の為に、答えを出します。試験の困難性には、大きく以下のような指標
があります。全部で大きく4つあるということです。
1.母集団のレベル・・・・東大との併願者が多数いること。東大か慶應かという選択になって
いる。
2.試験の難易度1.思考力・・・問題が複雑に設計されることで難易度が高くなっている
3.試験の難易度2.記憶力・・・合格に必要な記憶量が多いか、記憶した量が科目数が少なく
ても多い
4.科目数が多いことによる、適応力
上記の試験の困難性を配点に反映させることで、その分野に強い人間を確保できるのが試験です。
事例1:暗記科目の配点比率を全体の 80%に設計・・・暗記できる人間が確保できる
事例2:計算系科目の配点比率を全体の 60%に設計・・・理数系が得意で暗記もできる人間を
確保できる。

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事例3:思考力の科目の配点比率を全体の 50%に設計・・・思考力がある人間を確保できる。
受験科目が少ない慶應大学がなぜ30年間以上公認会計士受験において日本一なのか?
なぜ、司法試験の合格率で日本一になったのか?の答えは、上記の4点評価を考えてみればすぐ
に分かります。慶應受験生は、東大併願組が圧倒的多数です。母集団のレベルは高く、小論文試験
を課しているので、暗記数学などの暗記一本やりが通用しにくく、暗記の項目数の多さは、場合に
よっては英語で数万項目、TOEICで900点取る事も珍しくは無く、800点台は当たり前で
す。科目数の負担については、私立大学ですので、若干少なめになっていますが、4点評価で3点
に関して、東大受験併願校として強みを発揮しているという仮説が成り立ちます。科目数の適応力
という点では学生の質は担保されているかどうかは分かりませんが、その弱点を補うべく、暗記力、
思考力、母集団のレベルの高さで、東京大学、一橋大学、東京工業大学などと併願されるので、優
秀な国立大学受験生が続々と集まる仕組みがあるのです。あと少しで(あと 5 人、10人が、自分
より点数が高い形でいなかったら)東大に合格できていた人たちがたくさんいる珍しい大学と言え
るでしょう。悪く言えば、滑り止めに過ぎないケースも多いのですが、評価基準を変えることで、
優秀な国立大学の学生とは少し違う角度の学生を集め、大学運営に活かしていると言えるかもしれ
ません。
もう一つの理由は、慶應しかないと思って地方から続々と集まってくる人材群です。優秀な国立
志望者と、地方からの慶應専願組が激突し(入試でしのぎを削り)、その結果生まれている集団が
慶應の学生となっており、一種異様な意気込みの、一日 15 時間勉強するのが当たり前の専願組が、
母集団のレベルを引き上げています。(記憶量、思考力でしのぎを削る形になります。)
現実には試験には4の(科目数への適応力)の難易度も存在しますが、その原因が試験での成
績すべてに波及しないので、公認会計士の合格者数が逆転していないことが予想されます。試験の
成否は、繰り返しとなりますが、私が勉強法最強化PROJECTで共同執筆した石原弁護士も述
べているように、約8割は記憶量で決まります。したがって、難関試験突破力はどれだけ記憶でき
る人材が集まっているかという点がより重視される必要がありそうです。
物事を表面的に見ずに、情報を多面的に集め、ファクトベースで思考し、比重で考えてより大
きな影響を与えるのは何かを、データから分析していくことで判断ミスを減らしやすくなります。

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※最後に比重で考えます。例えば英検1級は、記憶量の比重が極めて高い試験であるため、要素
ごとに分解しても結局はレベルが高い試験ということになります。
このように事実から多面的に分析していくことが大切です。同様に、例えば英語の成績が上がら
ない時も、自分で多面的に分析を行う事が大切です。
試験が難し
い(合格でき
ない)
記憶していたか(誰
よりも記憶してい
たか)
求められる思考力
は高い試験か
母集団のレベルは
高いのか低いのか
科目数は多いか少
ないか
事例)帰国子女が多数いるかいないか
事例)最難関国立大学の受験生がいるかいないか
事例)たくさん飛び跳ねることができる
ように設計されているか(非限定的)
事例)問われていることの複雑性は高いか低いか
事例)2 万項目の試験なのか、1万項目の試
験なのか、4000項目の試験なのか
事例)求められている記憶の負担はどれくら
いか。軽くできるかできないか。
事例)何科目勉強する必要があるのか
事例)理解作業にかかる時間的な負担は
合計で何時間なのか

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上記の図の例はあくまでも一例です。
大切なことは、より本質的な原因を見つけることができなければ、問題は解決しないということ
です。単に単語や熟語を覚えていないので、英文をスラスラ読む事が出来ないという人がいたとし
ます。この場合は、覚えていない事が問題の本質的な原因ですが、覚えなければ読めません。文法
の解説を授業で受けてもほとんど意味がないということです。
逆に、基本的な文法事項を理解できずに困っている場合は、塾や家庭教師を利用して、文法事
項の理解を補充すれば、問題は解決します。何がより本質的な原因なのかを理解して、打ち手を講
じることが大切です。
英語が難し
い(合格でき
ない)
内容一致問
題 の 点 数
は?
文法問題の
点数は?
英作文の点
数は?
空所補充問
題 の 点 数
は?
高い
低い
解答力に問題がある
高い
高い
高い
低い
低い
低い
時間が足りなかった(語彙力、慣れ不足)
他でミスをした
文法の問題集を記憶していない
短文を記憶していない
イディオムを覚えていない
文法の問題集をやり込めていない
語彙力が少ない
時間が足りなかった(語彙力、慣れ不足)
他でミスをした
時間が足りなかった(語彙力、慣れ不足)
他でミスをした
時間が足りなかった(語彙力、慣れ不足)
他でミスをした

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問題解決のアプローチや原理原則は、試験が変わっても変わりません。法律試験受験者は各法域
ごとに、得点率や記憶量を計算し、定量的に何がどれだけ弱く、どういうケースで失点があるのか
を分析してみましょう。まずは、不合格になった場合は単にガックリするのではなく、その本質的
な原因が、記憶量にあるのか、解答力にあるのかを最低限確かめてください。その後に、領域ごと
の得意不得意を計算し、試験合格とのスキルギャップを計測し、残された可処分時間をどのように
投下することで記憶しきるのかの計画を立てた上で、答練(記述力、論述力養成)なども含めた解
答力養成を計画的に行うといいでしょう。まずは最も大枠の分析方法のセオリーをご紹介しました。
5.成功者の共通点からは実態は導けない(原理と因子と実態と理論の違い)
よくある勘違いは、成功した人のパターンを真似ることでうまくいくという勘違いです。成功
した人は何をしており、何をしていないか?という発想は実態はどうか?という発想ではありませ
ん。
そのことによってどういう判断ミスを犯すかと言えば、相関関係と因果関係を混同による判断ミ
スです。
『成功した人はそういうことはしていない』という発想は、自分が全人生の条件を時間も含めて
(生きた時代も含めて)その人と共有していることを前提にしている場合は、成功につながるかも
しれませんが、個々の条件が違うので、そのような発想は実態を捉えているとは言えません。
以下の内容は私が以前にメルマガで出した内容です。
===引用開始===
(5)【相関関係と因果関係の混同】
原因を特定するのは、いくつかの仮説に基づいて研究していくことでもしなけれ
ば、なかなか難しいということも、覚えておかなければなりません。
特に受験生に多いのは、相関関係と因果関係の混同です。
相関というのは、ある特定の対象を観察した際に、一方が変化するとそれに
応じてもう一方も変化する関係性のことです。
因果関係と相関関係の違いについては、心臓病患者が、ホルモンの補充療法を
行っていたというものが有名です。ホルモン補充療法を行っていた人が
心臓病であることが少なかったんですね。
ここですぐに、ホルモンの補充療法が、有効に働いているというように

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因果関係があるように思いこむ人が多いのですが、そうではなく、単にホルモン
補充療法を行っている人は、セレブで経済的に裕福な人が多かったので、
エクササイズをしており、心臓病患者が少なかったというのが実態です。
これと同じように、
学力問題や社会問題について問われた時にすぐに他国の成功事例を
取り上げて、あのようにやればよいというのは、相関関係と因果関係の
混同です。
本来が世の中の因果関係というのは一つの因子が一つの結果に影響している
のではなく、階層構造で何百何千とつらなった因子の結果として、原因が
生まれています。
そういう複雑性を無視して、単純にこれが原因と考えて、(学力問題で言えば、
考える教育を導入しているのが原因とか、〇〇の教育を行っているのが
学力トップの原因などと述べる)安易な論述や仮説の提示をすると、
まるっきり間違いの見当違いの仮説を立ててしまっているということも
珍しくはありません。
原因を述べるとか、自分の仮説を提示するということに慎重になるスタンスが
重要なのです。
===引用終了===
成功者(合格者)の共通点から分かる事は、その時代その時点での最大公約数のワンポイント
です。比率で言うと、合格に必要な十分条件の全体の中の5~10%のエッセンスでしかありま
せん。また、時代が変われば前提も変わります。多くの人が成功理論を学んでも失敗する理由は
行間を読めなかったり、残りの 90%~95%に対処できないことにあります。そしてそのエッセ
ンスの5%~10%の中の10%から50%くらいしか実行していなかったというのも、失敗の
パターンです。
たとえばあるAという問題集を合格者が使っており、別の合格者はBという問題集を使ってい
たとします。どちらの問題集を使えば合格できるのか?と考えるところから不幸が始まります。
このような発想は相関関係から因果関係を導くような思考回路から始まっています。物事の表面
を見ると冷静に分析ができなくなります。
学習を最適化するにはどうすればいいのでしょうか。そのことに対するリサーチと論考がセッ
トになった書籍が勉強法最強化PROJECTという本でした。この書籍は学習効果最大化論とい
う視点で読む事が大切です。
合格体験記を読む目的は、合格する際に必要な記憶量等のリーチ量についてのめどを立てるこ
とにあります。

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成功する人がどういうことをやっているのか?についてのリサーチは重要ですが、原理と条件
を混同すれば適切な判断ができなくなります。
原理と因子と実態と理論は別なのです。
a.ノウハウ(ハウツー)を学ぶのではなく、その背後にある考え方を学ぶ
成功する人や合格する人から教えてもらったことをそのままやってもあまり意味がありませ
ん。重要なことはその背後にある考え方(アイディア・理論体系・マインド)の方です。
たとえばAという問題集を使っても、Bという問題集を使っても、どちらも合格している場合
や、Aという予備校や、Bという予備校を使っても、どちらも合格している場合、その他、ここ
ではA,Bと紹介しましたが、それ以外にC,D,E、F、Gとあり、どれでも合格している場
合は何が決定的に大きな影響を原理的に与えているのかをまずは考察しなければなりません。
経営学の世界で言われるCSF(クリティカル・サクセス・ファクター)が何かを考えるとい
うことです。受験においては第一に記憶量です。第二に解答力です。それと同時に重要な事は、
必要最低条件のレベルがどこにどれだけあるのか?という問いです。受験勉強期間中に関しては、
1.効率、2.判断、3.やる気が該当します。この3点はあなたの脳内のシナプスを物理的に
(合格できるスキルギャップが埋まる方向に)伸ばしていく為の必要な要素ですから、物理的に
考えて、この3点が重要ではないことはあり得ません。
このように、思考の土台や分析の為の思考過程の土台になる部分(思考の足掛かり)を、原理
的に確かな事に置いておくことが判断ミスや分析ミスを減らす重要なポイントです。合格してい
た人は何をしていたのか?というのは、思考の土台を単純な非普遍的であやふやな少ないデータ
に置くということですから、相関関係と因果関係を混同して判断ミスを犯す、あるいは論理に飛
躍がある(漏れがある)考え方をしてしまうことにつながりがちです。
b.原理と因子と実態と理論を学び、データ分析を正確に行い、総合的に考察する
何かを考える時に、
1. 原理も分からない
2. 因子も分からない
3. 実態がどうなっているかも知らない
4. 理論も知らない、分からない
こういう状況の時、果たして確実により正確に考えることができるでしょうか。
やりにくいと言えるでしょう。昔から良くある知識人論(学問を究めた学者は有用なのか無用
なのか、役立つのか役立たないのか)の実際について、このような原理的な側面から考察した場合、
程度の問題だと言えます。つまりは、白か黒か、役立つのか役立たないのかということではなく、

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有益な考察材料の一助となるかならないかという点で言えば明らかに有益だということです。学者
の本は読むなということも良く言われることですが、それは理論と実態の間に大きな乖離があるか
らであり、物事の達成や、考察において、重要なポイントが再現性のある形で再設計されているこ
とが少ない為です。もう少し別の言い方をすれば、成功の為の十分条件になり得ない為とも言えそ
うです。逆に言えば、原理と因子と実態と理論のすべてから総合的に考察する人は、それだけ考察
ミスが少ないということが言えます。私達一人一人が、自分の人生を変える時に、物事を考える時
には、ここ(原理と因子と実態と理論の4点に詳しくなること)に真剣になる必要がありそうです。
諸理論や原理や実態がどうでもいいと考える事は、私たちの人生がどうでもいいと考えるのと同
義です。私はこういう状況を作らないために、①目標達成論(エール出版社)②勉強法最強化PR
OJECT(エール出版社)③機械的記憶法(日本実業出版社)の3冊を書きました。
1.原理・・・成長の原理:人がシナプスを増加させていく原理
2.因子・・・主に内部要因(自分を変えて外界に適応していく為の諸因子)
3.実態・・・東大法学部卒(兄弟そろって)の弁護士と医師の学習と成果の再現性
4.理論・・・石原弁護士と斉藤医師の受験攻略理論・学習スキルで記憶する理論
すべてに対処し、総合的に考察するからこそ、あなたはより的確に分析と判断ができるように
なります。どれか一つに目をつぶっては、うまくいくものもうまくいきにくくなってしまいます。
例えば腕を太くする原理をあなたはご存じですか?筋肉の繊維を太くするには、約 10 回程度
の回数でオールアウトと呼ばれるこれ以上はもう持ち上げることができないというレベルにな
る程度の重さで、継続的に筋力トレーニングをする必要があります。こういう原理についての知
識が無い人は、ムキムキのボディービルダーのような体になろうとして、腕立て伏せを延々とや
り続けてしまうという判断ミスをしてしまいがちです。上記の 1~4(原理・因子・実態・理論)
はあなたの判断力に欠かせない材料と言えるでしょう。
6.何かがうまくいかない時に、思い当たることをすぐに原因だと決めつける
これもよくある典型的な状況分析失敗のパターンです。
『〇〇という本を読んだら〇〇を覚えるには〇〇するといいと書いてあったのでその通りにや
ってみたのですが、忘れていて思い出すことができませんでした。なので、〇〇という別の方
法で記憶しようと思います。』
このように考える人が受験生にはたくさんいます。こういう考え方の何が問題なのでしょう
か。(少しだけ頭の体操のクイズだと思って考えてみましょう。)
問題点は以下の4点です。
1) 受験の記憶作業は①投資と②リターンで考えなければならない
受験の記憶作業は投資とリターンで考える必要があります。時間をちぎって投げて記憶

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と言うリターンを得るのが受験の記憶作業です。ここを考えずに一項目あたりの記憶の状
態だけを考えると、何が妥当なアプローチなのかが分からなくなってきます。時間をかけ
ずに点数を上げることに意味があり、最頻出の者を確実に覚えこんだ後に、少ない刺激で
記憶数を保つことに意味があります。
2) いくらか忘れていることが問題なのではなく、忘れている度合いと、比率が問題
記憶作業については、忘れている事は問題ではありません。記憶の教科書という無料レ
ポートの中である程度この点については詳しくお話しています。(『記憶の教科書』という
無料の電子書籍は、機械的記憶法【日本実業出版】の読者特典となっています。)記憶作
業で記憶を客観視する時には、忘れている度合いと何%忘れているのかが重要です。この
度合いを調整していく作業が記憶作業なので、目先のものを忘れていることはあまり気に
すべきことではありません。それよりも、忘れない仕組みをきっちり構築して回す事に意
味があります。
3) 一つの記憶事項に対して一つの記憶アプローチで接していくのが当然だという前提の先入
観がある。
一つの記憶事項に対して一つの記憶のアプローチで接するのがいいわけではありませ
ん。組み合わせて接するからこそ、高速学習が可能になります。最初は検索練習効果と言
われる、記憶への根付きがいい方法を用いて記憶作業を行い、徐々に刺激を少なくして高
速回転の記憶作業へと移行させていくことが重要です。この際に、最初に行っていた書き
殴りや、リピーティングのような時間がかかる作業は行わないようにしていきます。
4)記憶のレベルを考慮にいれていない(覚えている状態と忘れている状態だけだと勘違い)
記憶にはレベルがあります。しっかり覚えられているものと、浅くしか覚えられていない
ものです。記憶は単純に忘れている状態と覚えている状態だけではなく、覚えているものの
中でも、うろ覚えのものから、一生忘れないものまで幅広く記憶は存在しています。記憶作
業というのはお皿の上に新しい皿を乗せていくゲームのようなものです。常に目減りしてい
く皿をイメージしてみてください。実質的には、シナプスの電気回路を形成する作業を行っ
ているのです。従って、シナプスの電気回路をより多く形成するために、さらには、シナプ
スの電気回路をより整理活性化した状態(記憶度合いの引き上げ)をいかにして作り上げて
いくかということを考えなければなりません。それなのに、その≪程度の問題≫を無視して、
記憶できているかできていないか、今記憶できているかどうかだけにこだわるのは、実はあ
まりいい判断とは言えません。
7.価値観と実態の乖離
第二章 実態の最後の第7節『価値観と実態の乖離』は特に重要な項目になります。この
レポートをどんなに皿の底に穴が開くほど読み込んでも、あなたの分析が少しも改善しない

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可能性があります。極めて大きく実態の把握を間違わせるのは、価値観です。もっと言えば
コアバリューと言えるかもしれません。
1)特定の試験や特定の学校に対する特別な思いや感情
2)自己有能感とアイデンティティー
3)我が子に対する愛情
4)勉強とはかくあるべきものであるという信条体系
自分が自分である理由、自分が生きる目的と価値観、自分の人生が生きるに値すると信じる理
由に該当するコアバリュー、自分の存在意義と自己重要感、受けるべき愛情と社会的動物として
人間の在り方、こういう物事に対する自分の価値観は、一人一人が大切にしているものです。
評価基準が変われば、ある人は無能になり、ある人は有能になります。価値観が変わればある
人は悪人になり、ある人は善人になります。またある人はねじ曲がって成長しており、ある人は
正しく成長したということになります。
あなたが大切にしている価値観は何でしょうか。何に安心して満足感を覚え、何にいらだちを
感じるでしょうか。あなたがいいと感じる生き方、あなたがいいと感じる能力、あなたが適切と
感じる時間の使い方、あなたが理想と感じる教育、あなたが理想とする頭脳とは何でしょうか。
その思いはきっと大切なものでしょう。間違った考えではありません。ぜひ大切にしてください。
大切にしながら、あなたの目標を頭に思い描いてください。価値観を大切に思い描きながら、
スキルギャップを定量的に計測するとしたら、どんなスキルギャップがありそうでしょうか。そ
れだけ何が目標と乖離しているでしょうか。それをイメージしてみましょう。この作業をやらな
ければ、あなたの価値観に分析が引きずられ過ぎてしまい、その結果ほかでもないあなた自身が
損をしてしまうということになるリスクがあります。私はそういうケースを数えきれないほど見
てきました。
愛・自己有能感・資格や学校に対する特別な思い・かくあるべきという考え
これらが、人の分析(ある物事を大きく見るか、小さく見るか)に大きく関わっています。定
性的な考えを修正する力があるのはデータです。定量的に計測不可能なあなたの考えの中の一部
分だけを計測してみましょう。
例)合格者が合格にかけた時間・合格する為に覚えた量・合格最低点を上回った人の平均勉強時
間・過去に実際に行った勉強時間の平均、実際の合格者が使っていた記憶テクニック、最先端の
事例(過去との対比)

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第三章 受験状況判断の重要な考え方
受験状況判断の重要な考え方
この章では、受験での重要な考え方をいくつかご紹介します。状況判断の際のポイントだと思
ってください。
1. 本質的な問題点を理解するには、強烈な客観思考が必要
何が自分の問題を引き起こしているかについては、強烈な客観思考が必要です。先入観
を持たずに自分を厳しく見る必要があり、そのことが難しい為に多くの人は自分の抱えて
いる問題がなぜ起こっているのかを理解できません。
2. ファクトベースで定量的に判断
自分の問題がなぜ起こっているのにかについては、事実をベースに考える必要がありま
す。勘や憶測や、表層面の問題点を問題だと思ってしまうと、その時点で判断ミスが始ま
ります。
3. 多面的に重要度が高いものについて情報を集める
勉強について重要度が高いものは、学習の効率と、判断とやる気です。この3点につい
て、事実ベースでどのようなことが言えるのかを、調べてみましょう。
4. 集めた情報をグルーピング化し、本質的な問題点を突き止める
a. ロジカルシンキングの基本はもれなく重複なく
ところで、『あの塾は指導がいい、なぜならば、あの塾の生徒数は多いからだ』という意
見は論理的で正しいでしょうか?論理的ではありません。例えば『あの人はもてるだろう。
なぜならば、かっこいいからだ』という意見は論理的でしょうか。これもあまり論理的と
は言えません。そもそも、ある人がかっこいいと言っていたからといって、どうして本当
にかっこいいと言えるでしょうか。これらの意見が不確かなのは、データが一つしか無い
上に、いくつかの重要な点について、多面的にデータがそろっていないからです。論理的
に考えるということは以下のようにもれなく、重複なく、考えることができている状態の
ことを言えます。

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ところが多くの人は、きちんと論理的に正しく考えようとはせず、あいまなで定性的な
情報で、しかも一つしか事例がないようなものを頼りに判断を下してしまいます。これが
判断ミスにつながるのです。事実(FACT)に基づいていない考え方ほど危ういものは
ありません。
b. 思考の四段階
思考には以下の4段階があります。状況分析をする際に、考えた結果の結論は、以下の
思考レベルによっても変わってきます。

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c. 仮説思考(情報のあたり付)
自分がなぜうまくいかないのかについて、いきなり解釈をしては、適切な判断ができ
なくなります。まずは情報(FACT)を集め、複合的に存在する原因を探り当ててい
く必要があります。
以下の汚いメモ書きは、私が生徒の学習コンサルティングをしている最中に行ってい
たメモ書きです。誰に見せるつもりもなかったので、短い時間で素早く書く為に極めて
汚い字になっています。(お見せする予定はありませんでした。)
生徒が英語の問題で点数を確保できないということで、電話相談を行いました。
その時に出てきたのが以下のような情報です。(と言っても、100分の1も聞き出
した情報の中から、この用紙には、書き出していません。)

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本当に最終判断に必要な情報だけをここに落としています。
電話をかけてくる前に彼が持っている成績が上がりにくいという原因に対する仮説は、
覚え方にありました。覚え方が悪かったのではないか?とか、勉強で使ってきたものが良
くなかったのではないか?という考えです。
ところが上記のように情報を多面的に調べていくと、問題は覚え方ではなく、解答を選
ぶ力や問題を解くときのアプローチにありました。第二の原因は、癖や要領の悪さです。
文章を読むときのクセが治っておらず、時間不足で時間内に問題を解けないことが本質的
な問題点として浮かび上がってきました。
このような仮説を導くまでに私は、100個程度の質問をしています。もしも彼がどの
問題集を使うかだけを気にしていたらどうでしょうか。彼はきっと何度受験しても合格す
ることはできないでしょう。的外れな対策ばかりをしても、目の前の問題【解答力】は解
決しないからです。
医師が患者に対してする質問も同じかもしれません。仮説思考とは、聞き出した情報か
らさらに多面的に情報を分析する為に適切に質問をし、最終的に妥当性の高い結論を導く
為に、情報にあたり付をしていくことを指します。

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どのような原理で人が言語を身に着けていくのか?ということや、どのようにアプロー
チすることで記憶に根付くのか?ということや、どのレベルで記憶しておくことが適切な
のか?ということに対する知見がない受験生は、【とにかくこの問題集をやれば合格できる
らしい。後は覚えるだけ】とイノシシのように突っ込んでしまいます。
しかし、重要なことは、覚えているかどうかでもなく、その程度や記憶の種類、復習の
仕方の方にあります。このあたりについて全く知識が無い人が、(合格した人がああいうこ
とを言っている)とか、(〇〇がいいらしい)という定性的な情報を元に、判断を加えてし
まいがちです。
本当にかわいそうな例では、『とにかくこの問題集が最高だから』ということを教えられ
【記憶に関する原理原則】も無視し、【合格理論】も無視し、【全体の最適化の方法】も無
視し、【記憶の種類】も無視し【さまざまな学習テクニックや記憶のアプローチ】も無視し、
ただひたすら、ある世界史の参考書を穴が開くほど何百時間も音読していたということが
あります。本当の話です。
彼にガチンコで過去問題を解くように指示したところ、10点(約 10%)ほどしか過去
問題で取れなかったのです。
最適な状況判断と、状況分析の為に、適切な質問を自分に投げ、適切な情報を得る為に
情報のあたり付をしていくには、仮説思考ができる方が適切な結論にたどり着きやすくな
ります。仮説思考を行うためには最低限以下の点を考慮に入れて、フレームワークを用い
て思考することが大切です。
【学習に関する状況分析の最低限のフレームワーク】
1. 記憶量
2. 志望する学校あるいは、試験で求められることに対する知見があるかどうか(記憶
量、出題形式、配点比率)
3. 自分の記憶の条件反射のレベル(記憶の質)
4. 読み癖などの解答力に問題があるかないか
5. 自分が試験慣れしているかどうか(試験が得意かどうか)
このレポートを作成中にある地方医学部受験生の学習コンサルティングを行いましたが、
彼は、英語が伸びないということで悩みを抱えており、なぜ伸びないのかについて漠然と
した感覚を持っていました。
同じく情報を聞き出し、分析したところ、単に勉強時間が英語について足りないだけで
した。その理由は理数系の科目をやっていたこと、学習計画がないことでした。その学習
計画が無い根本的な原因は、モチベーションにありました。学習のアプローチがまずいな
ど、複合的に問題はありましたが、構図は上記のような形です。

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5. 実力がついてからの計測には過去問題を利用する
受験での状況判断能力を引き上げるもっとも確実な方法の一つは、実力がついてからの計測には
過去問題を利用するという方法です。自分が弱い部分がどこかを計測しましょう。その上でその部
分を補う問題集を見つけて知識を補強していくことが大切です。
6. 実力がついてからの計測には過去問題を利用する
受験での状況判断能力を引き上げるもっとも確実な方法の一つは、実力がついてからの計測には
過去問題を利用するという方法です。自分が弱い部分がどこかを計測しましょう。その上でその部
分を補う問題集を見つけて知識を補強していくことが大切です。
第四章 注意点
状況判断をする時には、以下のことに注意して、判断ミスを起こさない様にしましょう。
1. 定性的な情報(だけ)を基準に考えない
難しい、簡単だと聞いた、〇〇をやれば大丈夫、あそこの塾は〇〇がいい、〇〇をやれ
ば力がつく、これは良い、これは悪い、
上記のような情報が定性的な情報です。もちろん、定量的な〇%などの合格率も、注意
が必要です。『他の塾は合格率が 100%と言っていますが、ウチは違いま
%と言っていますが、ウチは違いま
%と言っていますが、ウチは違います。85%なんで
す』という、そのトークからして嘘だからね。アッハッハ』という言葉を聞いたことがあ
りますが、ぞっとしました。他の塾の評判を落とす為のインターネットへの書き込みを、
一般人を装い、こういう業者はやります。それでは私たちは何を基準に考えるべきでしょ
うか。私がお勧めするのは、思考放棄をしないということです。論理的に物事を考えると
いうこと。
ここまででご紹介してきたように、多面的に確率計算を使ったり、定性的な情報をグル
ーピング化して考察すれば論理的に物事を考察できます。こうやって一つ一つ情報を整理
して自分なりに考えるしかありません。それが情報過多時代の、サバイバル方法だと言え
るでしょう。
2. 論理的に飛躍がある考えをしない
以下に事例を挙げます。よくある判断ミスです。あまり書きたくは無かったのですが、こ
いう以下のような判断があって困るのはあなたです。思い当たるものがあったらラッキーだ
と考えて、自分の未来をより良い方向へと導いてください。

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・〇〇という塾は合格者が多いので、ここがいい→論理にもれあり
・私は英語の問題ができないので、英語の問題集をやる→原因の特定が不十分
・〇〇の学部は難しいので特殊な対策が必要だ→成長原因である原理に目がいかない
・〇〇の試験は超一流なので、超一流な指導が必要だ→成長原因である原理に目がいかない
・慶應SFCは、時事性が高い問題が出るので知識が必要だ→困難性の分析不足
・小論文では何も書くことが思い浮かばないと答案をつくることができないので、知識を入れ込んで
おくこと、ネタの仕込みが大切だ。→複数ある原因を分析しきれていない
・私はたくさんの科目の試験なので、処理しきれない→より本質的な可処分時間と記憶の種類との関
係で定量的に投下対効果の構造を見抜けていない。
・私が受験するのは、法科大学院なので、それ専用の対策が必要だ
→特殊性の種類と実態と、その特殊性の程度に対する勘違いから推論の方向性を誤る。
・〇〇さんが〇〇がいいと言っていたのでそうなんだと思う→脆弱な情報から論理のもれがある
・浪人して時間がたくさんあるので、勉強はあまりしなくてもいいと思う→分析ミス(現状の力量と、
要求量の間のギャップを定性的に捉えることが原因)から、判断ミス。論理の漏れが原因。
・今からやってもどうせ忘れるので今はしゃかりきにならなくていいと思う→原理についての理解不
足が根本原因。前提が間違いであるため論理的に間違った結論につながる。
・私は〇〇試験を受験するので〇〇試験合格者に教えてもらうのがいい→困難性の種類と程度に対す
る判断ミス。自分が試験に合格できない本質的な原因を特定できていない為、前提が違い、理由が理
由として成立していないパターン。
上記の内容はすべてよくある論理的な判断のミスです。論理的に判断を誤るのは、その論
理の前提部分に対する勘違い(分析ミス)があったり、論理のもれがある為に妥当な推論が
できないことが原因です。
3. 価値観に解釈が引きずられないようにする (難関試験受験の場合など)
状況分析において重要なことは物事をアルガママに見る事です。大きくしたり、小さくする
と、自分が毎日勉強をしていくときに、間違って対策をするようになります。
この試験は壮大な試験である!と思いこむと、壮大な対策が必要なのだと思い込むようになり
ます。壮大な試験なのであるからして、壮大な対策が必要なのであるという考えは論理的な妥当
な考えでしょうか。もう賢明なあなたなら、お気づきのはずです。
例えば、名門MBAのコースを受験しようとしている人が、A さん『私は毎日ハーバードビジ
ネスレビューを読んでいます。(だって私は〇〇の大学院を受験するのですから、それがいいで
すよね)』と私に言ったことがあります。
もちろん、ハーバード大学は世界一の大学であることはランキングの裏付けとしてありますが、
そのことと、自分が受験する試験の困難性克服にどのような因果関係があるのかが理解できてい

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なければなりません。
もしも受験の際に、面接で『あなたはハーバードビジネスレビューを読んでいるのですね、
それならば合格です!』と言ってもらえるのであれば、読むべきです。しかしそうではありませ
ん。ハーバードビジネスレビューに掲載されている論文の妥当性や根拠、その反論の立場の理論
に対して自分がどのような考えを持ち、なぜそうなのかを説明する能力と思考力があってこそ、
合格できるのです。もちろん、ハーバードビジネスレビューは全く関係がありません。医学部の
受験に際して、医学書を読ませるというのも、同じような間違った考え方です。拡大解釈が価値
観によって起こると、実態を捉えきれなくなり、分析を誤ります。
Aさんに私は聞きました。『あなたが受験するMBAのコースは、他の大学院と何が違うので
すか?』そうすると、Aさんは何も答えることができませんでした。これではいけません。
およそ上記のような力が求められているとして、ハーバードビジネスレビューを読むことは、
どこを強化するのに、一番向いているのか?と考える必要があります。知識力です。論理的思考
能力や、問題解決力を鍛えるには、もっといい方法がたくさんあります。
私の手元にもいくつかハーバードビジネスレビューの論文があります。
・ RBVのの可能性 ポーターVSバーニー論争の構図 岡田正大著
・ 『見えない大陸』:覇者の条件 大前研一著
・ 戦略とインターネット マイケル・E・ポーター著
・ リソース・ベースと・ビュー ジェイBバーニー著
この論文の内容(論点)が、試験でそのままでなければ読んでも意味がありません。それよ
りも、自分の頭でいかにして考えるかということの方が重視される必要があります。自分で考
える力を伸ばしておけば何が出ても、きちんと答えることができます。それに対してネタを仕
込んでおこうと考えると、無理やりネタを仕込む(知っていることを盛り込む)設問に答えて
いない答案になりがちです。借り物の知識ではなく、自分の目で世の中で起こっていることを
見て、自分の頭で考える思考経路が大切です。まずはネタの中で何か使えるものが無いかなと
考える思考経路では、論文試験で求められる内容力を引き上げることはできません。論理に飛
躍、もれ、重複があったり、ズレた前提の内容であったり、テーマが同じで論点が別の事を書
くなどして、非論理的で別の話になることが多い為です。
論理的思考能力
(推論能力・論述
力))
人間力・コンピテ
ンシー能力
問題解決能力
分析力
知識力
(IT・英語)
MBAコースの入試困難性

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3.やけっぱちにならない
つまらないことですが、注意点として私が挙げておきたいのは、やけにならないということで
す。この世の中には、効果的な方法はありますが、魔法はありません。私たちの身の回りは、豊
かになりボタン一つでなんでも思い通りになる世界です。TVゲームやスマートフォンのゲーム
も同じです。しかし、現実の世界はゲームや漫画、映画の世界とは違います。現実であり、スト
レスに耐えなければなりません。また有効な方法があっても、激烈に有効な方法というわけでは
なく、あくまでも他の方法と比較して有効であるケースが多いものです。そういう場合に、何か
が思い通りにならないと、我慢ができなくなってしまう若い人も最近は多くなりました。
時には、冷静に時間をかけて問題を解決しなければならない事も多いと覚えておきましょう。
4.ギャップ(大目的)で考えて、目先の目的や、雰囲気に流されない事が大切
勉強法最強化PROJECT(エール出版社)で石原先生は試験について次のように述べて
います。
試験とは『自分の現在の力』を伸ばし『相手(資格試験やら大学やらの)
の求める力』を超えることである。
ところが多くの人は、このギャップを埋めるという感覚がありません。がんばる→受験す
るという発想の人が多いのです。大変損をする考え方です。あなたにとって優先順位の高い
問いとは(今のスキルギャップを埋める為に必要なことは何か?)という問いです。ところ
が、直接教えてもらう事が大切なので、直接教えてもらおうとか、勉強には理解が大切なの
で、理解をもっと重視することをやらなければならない、というように、最終的な大目的(ギ
ャップを埋めて合格するということ)からほぼ無関係な細目の事項を必要以上に埋めること
を考える人がいます。手段の目的化です。3 分かけて理解すればいい所に 3 時間の時間をか
けて、自分で覚えれば分かる事や自分で理解できる内容の講義を受講するのが、このような
大目的と細目の目的を混同した人が取る行動パターンです。
『英語の単語はひとつひとつ丁寧に辞書で調べることが大切で、そうやっているうちに覚
えることができるんだよ』という、人生訓や生きる姿勢と勉強アドバイスが混ざっているも
のも同様です。
学ぶ姿勢は大切であり、辞書を引くことは有益ですがそのことと『限られた時間の中で
最大のパフォーマンスを発揮して、最善の結果を得る確率を最大化させる』という事は別の
話です。
ちなみに、私はかつて高校生の時に高校の英語教師に単語の覚え方を質問したことがあり
ますが、全員違う答えが返ってきました。学校の教師は英語を教えるのが仕事であり、合格
させることが仕事ではありません。落ちこぼれを作らない様に分かりやすく教えることが目
的であり、ギャップを埋めて合格させることが仕事ではないので、このように違う答えが返
ってくるのです。

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勉強気分になる行為はたくさんあります。ノートに書き写しをしたり、まとめノートを作
ったり、問題を解きまくったり、座って先生の話を聞くという行為です。このような行為は
多くの場合、勉強気分にはなりますが、なかなかスキルギャップが埋まりません。
5.その戦略で何点確保できるかを把握しておく(誤差をシミュレーションする)
ある予備校の生徒に質問をしました。そのテキストを全部覚えて〇〇大学で何点が取れる
か知ってる?『いいえ、知りません』という答えが返ってきました。よくよく話を聞くと、
〇〇大学を受験するには、この予備校がいいということを聞いたんです。これはきっと確か
な情報です。というように、答えるのですが、私はいろいろな予備校のテキストを使って何
点取れるのかというデータが集まってくる仕事をしているので、実情を知っていました。大
体60点くらいの点数になるという実情もあれば、〇〇と〇〇と〇〇で90点くらいの点数
になるという情報もあります。
また、試験は記憶量で8割決まりますが、残りの2割は解答力や適性もあります。です
から他の人がやった通りにすれば確実に絶対に同じ点数が確保できるというわけでもあり
ません。そこで、そのスキルギャップを埋める方法をいろいろな可能性を探りながら探して
いく作業が必要になってきます。有名な和田秀樹さんは、東大の医学部に合格するのに、現
代文が苦手だったために、30 点でも合格できるようにシミュレーションをして戦略設計を
して、勉強内容を決めていたそうです。何かほかのもので補うという戦略や、自分の苦手分
野の原因をつきとめて解決するような解決アプローチも駆使していくことが大切です。
第五章 残り時間から考える状況判断
残り時間から考える状況判断
1. 事例紹介
受験勉強は、記憶作りで対策ができることや、決して頭がいいことだけで突破するものではない
ことは、ここまでお読みいただく事でご理解いただけたのではないかと思います。
ここで少しだけ具体的な事例をお話します。
~事例1:高校を中途退学して東京大学に合格した~
東京大学を受験するのに、高校を中途退学した方がいます。弊社の教材に推薦のコメントをくだ
さっているニャロメさんです。なぜこんなことをしたのでしょうか。この事例はあくまでも特殊な
例ですので、マネをすることは絶対にオススメしませんが、一つの学びがあります。
その学びとは、時間当たりの記憶の効率を良くすることが成功につながるということです。自分
で勉強した場合に作ることができる記憶量と、教えてもらう場合に作ることができる記憶量は、ま
ったく違います。数学の授業を1時間受けて、2~3項目の問題を記憶する人がいるのに対して、

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自分で勉強して1時間で10個の問題を覚えこむ人がいます。この人たちの差は、約5~4倍です。
勉強できる時間をうまく記憶作業にあてることで合格を勝ち取ることができるメカニズムはこん
なところにあります。
~事例2:東京大学と司法試験に予備校をほとんど使わずに合格~
もう一つの事例をご紹介します。私が勉強法最強化PROJECTを一緒に書いた石原弁護士の
事例です。石原先生は、受験に失敗した時、予備校に通い詰めることをしなかったそうです。受験
の王道は記憶作業にありということを理解して、いたづらに時間を消費せず、予備校の講座をうま
く使い、だらだらといつまでも授業を受けずに、インプットには講義を利用して、覚えこみのアウ
トプットは自習でゴリゴリと猛勉強をされたそうです。その結果、日本の大学の中でも最難関とさ
れる東京大学法学部に合格。ご兄弟で東大法学部卒という、最強の弁護士になられました。私がご
一緒させていただいた時に、受験についてお聞きすると暗記から逃げない事の重要性を力説されて
いました。暗記だけでは合格できませんが、約8割は暗記と、この部分の重要性を石原先生なりの
方法で分かりやすく解説してくださったのを覚えています。
~事例3:残り時間が少なくても、慶應大学に合格~
勉強できる時間が少ない時や、受験が差し迫っている時期には、状況判断が極めて重要ですが、
その際に重要なのは、残された時間です。慶應受験に関しては、英語は約 1800 時間、数学の場合
は、文系で 900 時間程度は必要です。ただし、ここでご紹介する時間数は、学習が効率的である
ことが大前提です。非効率的な学習をやっている場合はこの限りではありません。理系の場合は、
数学も 1500 時間程度まで伸びます。慶應の医学部は東京大学とダブルで受験されることも多く、
両方合格した場合は、慶應に進学する人もいる珍しい学部です。理系については物量戦の色合いも
強いので、時間を多く突っ込む必要があることが多いです。
文系についても、最難関クラスですが、予備校に通う時間を無くし、暗記作業に徹することで、
時間当たりの記憶量の伸びを大きくし、TOEICのスコアも、400 点レベルから 800 点レベルま
で半年で引き上げた事例があります。そのまま慶應大学に合格した教え子がいます。
ここまで事例をご紹介しましたが、このような事例は、あなたがどうやって受験を考えるべきか
の大変重要な事例だと思います。
資格試験であっても、大学受験や高校受験であっても、記憶量を増やす事で合格につながること
に変わりはありません。
したがって、大事な事は二つです。
1. 効果的な学習を行う事ができる学習スキルがあるかどうか
2. その試験はどれくらいの時間で合格できて、あと何時間あるのか

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この二つがあなたの受験対策において、決定的に重要です。そして、多くの教育や、お子様の将
来にご関心が強い保護者の方も、逆算してどのように準備をすべきかは、上記の2つの問いがスタ
ート地点になります。
可能な限り早い段階で学習スキルを引き上げておき、その後に計画的に各種の状況改善(やる気
の改善なども含む)を行っていくことが、実質的で効果があり、結果につながる受験対策になりま
す。
2. 早期の対策が重要
ここまででお話したように、受験は早期の対策が極めて重要です。目の前の勉強をやるよりも、
セルフマネジメント能力を高めたり、その結果として生まれるやる気を高めたり、良質な判断基準
を多く持つということが大切です。
場合によっては学習のコンサルティングを然るべき人に受けて、今の現状の問題点を把握し、そ
の対策を行いましょう。場合によっては勉強そのものよりも、いかにして勉強していくかというこ
とについて詳しくなることが重要です。
最後に(対策) 続きはメルマガ登録者が無料でダウンロード可能
続きはメルマガ登録者が無料でダウンロード可能
対策については、おいおいメールマガジンの読者の方にお伝えしていきます。
ご希望の方は各種メールマガジンにご登録ください。なぜウチの子供は勉強しないの
か?どう対処すればいいのか?どう勉強していくべきか?についても、定期的に情報提供
を行っていきます。
《バカになってみることの大切さ》
私は、こんな思考のアプローチに関するレポートも書いてはみましたが、自分のことは
とても馬鹿だと考えています。
何もかも的確に判断できるわけではありません。ベストセラーになった馬鹿の壁では、
人間が知らず知らずのうちに情報を取捨選択してしまうことの可能性について考察が成さ
れていましたが、人間が情報を取捨選択してしまう理由は、思考を放棄することにありま
す。バカの壁にも、以下の事が書かれています。
バカの壁:意識的にも無意識的かに関わらず考えるのを止める境界線のこと

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上記の書籍は【考えるのを止めるな】というメッセージにもなっていますが、考えるの
を止めてしまう最大の原因が慢心です。自分の知性を評価してしまうと、慢心が生まれ、
考えるのをストップしてしまいます。その意味でも、私は(自分が馬鹿だと思っているく
らいがちょうどいい)と普段は考えています。私が言っているのは愚かであればいいとい
うわけではありません。
慢心を起こしたり、自分の価値観に閉じこもらずにオープンに考えて自分の考えに批判
的になるということです。私自身小論文の講師をして、塾を運営し、毎日多くの小論文に
目を通す中で感じる事は、自分の事が馬鹿とまで言わなくても、自分のことを優れている
と考えていない人の方がなぜかしら答案が優れている傾向が強いということです。メキメ
キ力をつけて成長していきます。
そういうわけで、受験の分析法をここに書いた私もまた、この分析方法にも批判的にな
っています。世の中に絶対の指針などあるはずもなく、だからこそより妥当性の高い考察
アプローチや、考察をすべく、数学的にも論理的にも多面的に考察を繰り返しより妥当性
の高い結論に到達することを志向したいと願っています。
そして、このレポートは、論理的に多面的に物事を考える事に不慣れな人の道標の一助
となることを願って書きました。
《受験の状況分析法 執筆者 牛山 恭範 プロフィール》
■スキルアップコンサルタント
■専門家集団Allabout スキルアップの担当ガイド
■核要素時間の提唱者
■ディジシステム 代表
■ヤフー(Yahoo)知恵袋 専門家回答者
スキルアップ(各種技術習得)のコンサルタントとして技術をどんな人にでも習得させることを専門とし
て活動する。2009 年7月 20 日、専門の研究分野である技術習得の書籍、目標達成論(エール出版社)で物
理的な成長を可能にする核要素時間を発表。
技術習得の理論を応用しサービスを提供する事で、短期間で上位層 0.1%(10000 人中10位)の実力へ引
き上げ、そのまま難関大学に合格させる、模試の結果が全てE判定(大手予備校模試結果)から慶應大学に
合格させる、短期間で全国3位の成績まで引き上げる等の実績がある。その他、速読を2時間で習得してい
ただく、高速タイピングを高齢者の方に2週間でみにつけていただく、試験に時間が無くても合格など活動
は多岐に渡る。
自分自身も技術習得の理論を応用した独自の学習法で、数万項目の記憶を頭に作り、慶應大学にほぼ満点
でダブル合格する。慶應義塾大学総合政策学部在学中に店舗経営で起業。剣道、空手、英語、速読、タイピ

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ング等、なぜ、技術を習得する人とできない人がいるのか?短期間で成長するチームの秘訣、共通点とは何
か?どのような環境にあり、何を経験すれば技術を習得できるのか?失敗と成功の違いとは?など、技術の
習得に関する周辺と、それを可能にする頭脳に関して研究を重ね現在に至る。
技術習得の過程を長年研究対象とし、短期間で確実な技術を習得させる事が専門。NLP (神経言語プログ
ラム) 行動心理学 行動科学マネジメント などはもちろん、脳内での情報の処理過程、記憶過程、技能
としての習得過程など、技術習得に関わる様々な環境が活動の範囲。
現在、ビジネスブレークスルー大学大学院(MBAコース・修士課程)経営管理研究科在学中。
《著書》
■~慶應SFCほぼ満点ダブル合格の講師が解説する~小論文技術習得講義
■自動記憶勉強法
■自動記憶勉強法 増補改訂版
■~なぜ人は情報を集めて失敗するのか?~目標達成論
■勉強法最強化プロジェクト
(勉強法最強化プロジェクトは私と弁護士、医師の3人の共著となっています。)
■慶應大学絶対合格法
■慶應小論文合格バイブル
■機械的記憶法(日本実業出版)
■クラウド知的仕事術(日本能率協会マネジメントセンター)
≪マスコミ掲載歴≫
■京都放送ぽじポジたまご 平成23年10月7日
(TV番組)
http://www.youtube.com/watch?v=SwBuRcIvVXc&feature=player_embedded
平成23年11月4日放送
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=l25AMpjuFZA
■産経関西 平成23年12月9日
http://www.sankei-kansai.com/2011/12/09/20111209-058931.php
■産経関西 スキルアップコンサルタントが薦める新年対策本 平成23年12月21日
■読売新聞(全国版)学ぼうのコーナーにて8回掲載(週間企画)