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「大般若」は大スペクタクル♪ | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ
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「大般若」は大スペクタクル♪

まり子です。

あああ~、ついに1日空けてしまいましたぁ~。
申し訳ゴザイマセヌ。

さて30日には「大般若」を観て参りました。
何だか時間がおしていたようで、もっと急げば狂言にも間に合ったかも~。

能の前には仕舞が2番。
「白楽天」と「弱法師」でした。

のうのう能の公演は、比較的初心者をターゲットにしているせいか、かなり微に入り細に渡る解説を載せたプログラムを用意してくれるので、非常に嬉しい♪

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まり子の能「大般若」の印象は、基調が「春日龍神」の雰囲気(特に前半)で、後半は「西王母」後半に「竹生島」後半が加わってさらに「鞍馬天狗」で締める、でございました。

ははは、ナンジャソリャ~?ですけどね~にひひ

「大般若」のワキが玄奘三蔵。
おおっとモリツネ師です。高僧らしく煌びやかな装束です。
国家安泰・万民救済の為の経典『大般若経』を求め天竺への旅に出ますが、急ぎ候ほどに、あっという間に難所の流沙河に到着します。

はて、この難所をどう越えようかと思案しているところに、深沙大王の化身である前シテの、いかにも怪しい男が登場します。
怪しい男は、この流沙河で玄奘は前世に七度命を落としている、仮に流沙河を超えられたとしてもその向こうには険しい惣嶺がそびえ立つ、それでも行くのかと問いかけます。
もちろん玄奘に迷いはなく、『大般若経』取経への熱い思いはゆるぎません。
その思いに感動した怪しい男は、自分は深沙大王の化身である、八度めの正直は叶うであろう、しばし待て、と言って中入りします。

ね、何となく「春日龍神」の前半に似てませんか?
こっちは渡天を止められるんじゃなくて、逆にアシストしてもらえるんだけど。

それで、前シテが中入りする時ってわりとあっさり入るんだけど、この曲では、大鼓&小鼓の怪しげな?(独特の)演奏が付いて、国立能楽堂の長い橋掛リを前シテがたっぷりと楽しませてくれます。

そして後半、「西王母」登場と同じメロディーの笛に合わせてまず二人の「飛天」という天女が登場します。
おおっ、さすが観世流ゴージャス!と思いましたが、これには必然性があったのです。

二人の天女は、鮮やかな朱色の長絹をまとい、その下には鱗の摺箔に黒地に丸紋の縫箔。
長絹の紐は一人は萌黄色、もう一人はもっと濃いグリーン。
鬘帯なしで鬢の毛をふた筋(光明のシテ風)垂らし、背中で軽く一つに束ねた髪型。
ぴったりと息の合った舞を見せてくれました♪
まさに「西王母」の「孔雀鳳凰。迦陵頻伽。飛びめぐり声々に。」の歌詞を具現した感じ♪
でも長絹の下の装束の組み合わせを考えると、深沙大王の手下らしく、もしやハーピー?なんてことも想像しちゃいました。

舞が終わると二人はワキの玄奘三蔵の両脇に座ってワキを誘い、大小前に置かれた一畳台の前にワキを真ん中にして、三人が並びます。

あ、そうよそうよ。
これは二人の「飛天」が玄奘三蔵を抱えて飛び、流沙河を超え、惣嶺を超えてゆくところなのよ。
左右の「飛天」はその長い袖を翼のように翻します。
おお~、だから二人いるんだ~。一人じゃワキを抱えて飛べないもんね。にひひ

あっと言う間に流沙河&惣嶺を越えた玄奘三蔵は一度ワキ座に退避。
すると今度は二体の龍神が登場!
おおっ、さすが観世流ゴージャス!と思いましたが、これは「飛天」とバランスを取るためかな?
ははは、一体が「竹生島」の龍神で、もう一体が「春日龍神」の龍神ですね。

そしていよいよ後シテの、深沙大王が登場です。
白頭に、ひときわ大きな大龍戴をかぶり、面は梅若家伝来の鬼の面「眞蛇」だそうです。
宝生流では「真蛇」は「道成寺」の後シテが着けますね。
そして、髑髏瓔珞という七つのスカルがついたロングネックレス(本曲専用)を着けてます。
(七つのスカル=七度命を落とした玄奘のしゃれこうべ)

律義にも背中には笈(『大般若経』が入った本箱みたいなもの)を背負ってやってきます。
先ほどの龍神が、後見なみに深沙大王の背中から笈をおろし、経典の巻物を出して、ワキに捧げにゆきます。

タラリラッタラ~!
玄奘は巻物を手にいれた!
深沙大王は、経典の功徳を語り舞を舞って(働キ)玄奘を祝福した!
玄奘の経験値が200アップした!


と、ゲームのような展開でしたが、このへん「鞍馬天狗」を彷彿とさせる舞&謡です。
最後には、再びしもべの龍神が、今度は笈をもってワキに背負わせてあげます。

さあ、あとは帰国してこのありがたい『大般若経』を広める仕事がまっています。
どうやって帰るのかな~、と思っていたら、玄奘が正先にするするっと出てきました。

アレレレ、と思っていると、そのあとに龍神と飛天が続き、一列縦隊になりました。
EXILE?
すると、ワキのすぐ後ろの龍神がくるりん、と回って目付柱の辺りで脇正面に向かって下ニ居、
つづいてその後ろの龍神がまたくるりん、と回ってワキ座の辺りで地謡に向かって下ニ居、
今度は飛天がくるりん、と回って最初の龍神の近くに立ち、
最後の飛天もくるりん、と回って二番目の龍神の近くに立ち…。
(これ、ソバダチの手、って呼ばれているそうです。)

おおお~、これはモーゼが紅海を割ったように、帰り道を一畳台の上の深沙大王が作ったのです。
玄奘はその道を通って、唐へと帰国します。
橋掛リで一度振り返って名残を惜しみますが、サクサク退場。

舞台の上の一同はワキを見送り、全員で一斉に下ニ居、します。
すなわち、流沙河の底に姿を消した、のであります。

いやはや、楽しい「大般若」でした。
ふと思ったんだけど、コレ、辰巳満次郎様が演ってもオモシロイと思うの。
例えば日本舞踊とかでは、他流の振りを正式にいただいて自分の流儀のレパートリーに加える、ということがあるんですが、お能の世界では…、ないんでしょうね~、多分。

でも「大般若」は復曲モノだし、なんか条件付きで謡は宝生の味付けにしなおして、辰巳満次郎様がシテを演じる…、なんて妄想を「飛天」させてしまったまり子なのであります。


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