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Page 1
平成 21年度 文部科学省委託事業「学校における情報モラル等教育の推進事業(指導者養成事業)」
情報モラル指導者養成研修検討委員会
委員長 藤村 裕一
鳴門教育大学学校教育研究科准教授
委員
石原 一彦
岐阜聖徳学園大学教授
委員
梶本 佳照
兵庫県三木市立教育センター所長
委員
上水流 信秀
岐阜県教育委員会情報化推進担当課長補佐
委員
佐久間 茂和
東京都台東区立東泉小学校長
委員
高橋 邦夫
学校法人高橋学園千葉学芸高等学校長
委員
坪田 篤子
NTT コミュニケーションズ株式会社                    
法人事業本部第二法人営業本部第二営業部課長代理
委員
西田 光昭
千葉県柏市立田中小学校教頭
委員
原 克彦
目白大学社会学部メディア表現学科教授、教育研究所所長
委員
三宅 健次
千葉大学教育学部附属中学校教諭
協力
安川 雅史
全国 Web カウンセリング協議会理事長
文部科学省委託事業
ここからはじめる情報モラル指導者研修ハンドブック
平成 22 年 1 月 31 日 初版発行
発行
財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC)
〒 108-0072 東京都港区白金 1-27-6
TEL:03-5423-5911 FAX:03-5423-5916 URL:http://www.cec.or.jp/CEC/
編集協力
日本文教出版株式会社
イラスト・DTP・印刷
株式会社ユニックス
利用の際は必ず下記サイトを確認下さい。
www.bunka.go.jp/jiyuriyo
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Page 2
 社会の情報化が進展するなかで,子どもたちが情報化の「影」の部分を十分理解し,情
報社会に積極的に参画する態度を育てることは,今後ますます重要になります。携帯電話
やパソコンなどを通じたインターネット利用が急速に児童生徒の間にも広がるなか,現在,
インターネット上での誹謗中傷やいじめ,犯罪や違法・有害情報などの問題が発生してお
り,こうした問題を踏まえ,「情報モラル」について指導することが必要となっています。
 これまで文部科学省では,「情報モラル指導モデルカリキュラム」の策定や情報モラル指
導用ガイドブック「『情報モラル』指導実践キックオフガイド」の作成・公表を通じて,学
校において情報モラル教育が体系的かつ着実に実践されるよう推進してきたところです。
 また,「教育振興基本計画」(平成20年7月閣議決定)においては,子どもたちがインター
ネット上の有害情報に触れ,犯罪等に巻き込まれないよう,学校・家庭・地域における情
報モラル教育を推進すること,さらに,「知識基盤社会」の時代を担う子どもたち一人一人
の「生きる力」をはぐくむため,児童生徒の発達段階に応じた情報活用能力の育成に加え,
情報モラル教育の充実を促すこととしています。
 これらを踏まえ,文部科学省では,小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の学習指
導要領の改訂により,「情報モラル教育」の充実を図ることとし,小学校・中学校について
は今年度から,高等学校・特別支援学校については来年度から,それぞれ一部先行実施を
行う移行期間中から指導することとしています。
 このため,今後は,各教科科目の授業において,それぞれのねらいに即した学習活動の
なかで,情報モラルを確実に身に付けさせる指導を行うことが必要であり,教員一人一人
がそのための指導力を確実に高めていくことが重要となります。
 本テキストは,情報モラル教育の指導者を育成するための研修用として,情報モラル教
育に関する喫緊の課題を中心として指導するポイントをまとめたものであり,他の教材や
参考となるサイトと合わせて受講者が校内研修や保護者向けの研修に活用できるものです。
 本テキストを活用して,全国の教員の方々の情報モラル指導力が一層向上することを期
待しています。
あいさつ
平成22年1月
文部科学省生涯学習政策局
  参事官(学習情報政策担当) 齋藤 晴加
33
 人間はあまりにも至近距離で対面すると,相手の目を見
て話ができなくなってしまうものです。悩みを抱えた児童
生徒であればなおさらです。正面に向き合って座るより
も,児童生徒を対角線の左前に座らせて話をするなどした
方がよいでしょう。
③聞く姿勢と動作
●必ず座って話をする
 立ったままの状態は喧嘩状態なので,児童生徒の不安を
大きくしてしまいます。
●児童生徒と視線を合わせ,大きく頷きながら
 ただし,児童生徒の目をじっと凝視してしまうと,児童
生徒を精神的に追い詰めてしまいます。児童生徒の目が泳
ぎ始めたり,瞬きが多くなってきたりしたら,先生の方か
らそっと下を向いて一度視線をそらし,また児童生徒を見
るように心がけてください。足を組んだり,腕を組んだ
り,ふんぞり返ったりせず,多少前屈みになって話を聞く
とよいでしょう。
●相談中は極力,メモを取らずに話を聞く
 相談中は極力,メモを取らずにペンを置き,児童生徒の
目を見て話を聞いて下さい。メモばかり取られていると警
察に調書を取られている感覚になってしまいます。
 相談が終わった後も,椅子に座ったまま児童生徒を見送る
のではなく,児童生徒と一緒に立ち上がり,ドアまで一緒に
歩きながら児童生徒がドアを出るまで見送ってあげて下さい。
④加害者への対応
●相手の性格を考えて対応する
 今まで先生から叱られた経験がない児童生徒が,おもし
ろ半分でネットに書き込みをし,学校は,その児童生徒に
対して,担任,学年主任,生徒指導部長が厳重注意をし
て,児童生徒が思い詰めて命を絶ってしまったことがあり
ます。取り返しが付かないことになる前に,児童生徒の性
格をしっかり考えた対応が学校には求められています。
● 被害者の言葉を一方的に鵜呑みにせず,加害者の話にも
耳を傾ける
 怒鳴ったり,威圧したりすることは教育ではありませ
ん。本当にまずいことをしたと気付かせることが大切で
す。例えば,掲示板の誹謗中傷などに関しても,怒鳴られ
た恐怖からページを封鎖したり書き込みを削除したりした
場合,今度は先生に見つからないようにパスワードを設け
たり,海外のサーバーを使い日本の警察や法律が介入でき
ない書き込みをしたりしてしまいます。間違った対応をす
ると,ネットいじめが余計に先生方の目の届かないところ
で行われてしまうのです。場合によっては,児童生徒が命
を落とすこともあり得るのです。
⑤愛情制限
 児童生徒と先生の個人的接触が多すぎると,児童生徒と
先生の関係でなくなってしまうことがあるので,教育の枠
をはみ出さないよう注意しましょう。

Page 3
32
Webカウンセリングについて
①リレーションをつくる
●この先生は信頼できると児童生徒から思われる
 非言語的態度,言葉,表情なども重要です。
● 問題の書き込み等を先生も見て,児童生徒の言ってい
ることを理解し,児童生徒の身になって考える
 誹謗中傷などの書き込みで相談があった場合,「見るん
じゃない」「ほっておきなさい」など無責任なことを言っ
てはいけません。まずは,問題の書き込みを先生も見て,
書き込みをされた児童生徒の立場になって考えなければ
なりません。
②問題の核心をつかむ
● 非言語コミュニケーションからも児童生徒の気持ちを
読み取り,的確な相談・援助・助言をする
 コミュニケーションのうち,言語コミュニケーション
は僅か7%にすぎず,非言語的なコミュニケーションが
大部分を占めていると言われています。ネット関連の問
題を抱える児童生徒と対応する場合には,①の通り,話
しやすい雰囲気をつくるとともに,表面的な言葉だけで
なく,表情や声色など非言語コミュニケーションにも十
分注意を払って,問題の核心をつかむことが必要です。
●加害者の児童生徒が,問題に気付き,反省するように
 特に,加害者の児童生徒に対する時は,児童生徒自身
が,なぜそのことが問題になるのか,何が問題の核心で
あるのかを,相手の立場に立って考えたり,インター
ネットの仕組みを理解したりして気付き,自ら反省して
過ちを繰り返さないように指導していくことが大切です。
③適切な処置をする
●児童生徒の性格も考えて対応する
 同様な事案であっても,児童生徒の性格的なものを考
えて対応することが大切です。
●ネットいじめへの対処法
 ネットいじめは,証拠保全や問題の書き込みの削除依
頼のために,下記の通り対処することが必要です。
●犯罪被害の場合には,警察等へ連絡
 ネット詐欺や性犯罪等,犯罪被害に遭っている場合に
は,警察のサイバー犯罪担当や国民生活センター等に連
絡し,その後の対応について相談する。
①時間制限
 不安定な児童生徒の相談にのると,話がいつまでたっ
ても終わらないことがあります。
 児童生徒が集中して話ができる30分から50分程度で
相談時間を設定するとよいでしょう。
②場所の設定
●教室ではなく,相談室など落ち着ける場所で
 人目などが気になる教室でなく,相談室など落ち着い
て話ができる場所で相談にのってください。 
●児童生徒を正面に座らせない
児童生徒の相談にのる上での手順
1)早期発見,児童生徒・保護者からの相談受付
・担任や生徒指導担当にいつでも気軽に相談してよいこ
とを伝え,まずは学校に相談してもらうようにする。
・ 児童生徒の「いつもと違う」というネットいじめの兆候
を見逃さないようにしたり,問題のある書き込みをネッ
トパトロールで探したりして,早期発見を心がける。
2)書き込み内容の確認と証拠保全
・ 誹謗中傷などの書き込み内容を確認し,書き込みをプ
リントアウトしたり,携帯電話の場合には画面の写真
を保存して証拠保全をする。
・ 掲示板のアドレスやメール送信元のアドレス,メール
本文も,削除せずに保存する。
3)掲示板の管理者に削除依頼
・ 当該掲示板の「利用規約」等を確認し,削除依頼を行
う。必ず書き込み箇所のURL・削除依頼理由を記載し,
簡潔な内容とする。
4)掲示板等のプロバイダに削除依頼
・ 掲示板の管理者が削除に応じてくれない場合は,掲示板
サービスを提供しているプロバイダに,削除依頼のメー
ルを送ります。3)と同じようにURL・依頼理由を添え
て,書き込み削除と通信記録の保存を依頼する。
5)加害者への指導と被害者へのフォロー(保護者連携)
・ 加害者の特定に努め,加害者に適切に指導すると共に,
被害者へのフォローを行う。その際,保護者との連携
を図るようにする。
・ 加害者が校外であった場合には,相手先に指導と事後
報告を依頼する。
児童生徒の相談にのる上での注意点
(問題の核心をつかむ上でのポイント)
1
 ケータイ・パソコンがあれば,広がる・つながる便利な世界………………………………………… 2
子どもたちのネット・携帯電話事情 ………………………………………………………………………………… 2
 情報モラル教育の基本理念と指導 ………………………………………………………………………………… 4
情報モラル指導モデルカリキュラム表 ……………………………………………………………………………… 8
教材内容例と基本的な指導事項
相手のことをよく確かめて …………………………………………………………………………………………… 10
【コラム】ネットパトロールについて ………………………………………………………………………………… 11
書き込みされた人のことを考えて …………………………………………………………………………………… 12
気になる書き込みをされたら ………………………………………………………………………………………… 13
迷惑メールに気をつけて ……………………………………………………………………………………………… 14
高額請求されたら ……………………………………………………………………………………………………… 15
個人情報の扱いは慎重に ……………………………………………………………………………………………… 16
使いすぎに気をつけて ………………………………………………………………………………………………… 17
勝手に載せてもいいの?(肖像権の尊重)…………………………………………………………………………… 18
勝手に使ってもいいの?(著作権の侵害)…………………………………………………………………………… 19
ネット上の書き込みには責任を ……………………………………………………………………………………… 20
コンピュータウイルスに気をつけて ………………………………………………………………………………… 21
チェーンメールが来たら? …………………………………………………………………………………………… 22
総括的な指導事項 …………………………………………………………………………………………………… 23
顔の見える相手と見えない相手,どちらの人間関係も大切に!
 トラブルに巻き込まれないために ………………………………………………………………………………… 24
 トラブルに巻き込まれてしまったら ……………………………………………………………………………… 25
 情報モラル指導のためのサイト〔教材・資料〕…………………………………………………………………… 25
校内研修実施カリキュラムの設計 ……………………………………………………………………………… 26
校内研修の指導方法 ………………………………………………………………………………………………… 30
Webカウンセリングについて …………………………………………………………………………………… 32
Contents
財団法人コンピュータ教育開発センター
情報モラル
指導者研修ハンドブック
文部科学省委託事業

Page 4
2
中学生は約半分,高校生はほぼ全員が携帯電話を持っている
 子どもたちの携帯電話の所有率が高くなってきていることは,さまざまなところで報じられてい
る。平成20年度文部科学省の調査では,小学6年生の約3割,中学2年生の約半数,高校2年生で
はほぼ全員が携帯電話を持っているという結果が出ている。
 高校生になると,複数のメールアドレスを持つ生徒が8%,携帯電話を2台以上持つ生徒も5%
と,相手によりアドレスを使い分けたり,通話とメールで機種を分けたりするなど,より複雑で高度
な使い方をする生徒がいる。
携帯電話の利用は,通話よりもメールがほとんど
 また,利用状況を見てみると,電話として利用している割合は,
小学生から高校生まであまり変わらないが,メールの利用は中高
生になると増え,1日に100件以上という生徒も増えている。
ネット利用は携帯電話からが最も多い
 パソコンからのネット利用は,小学生から高校生まであまり変
化は見られないが,携帯電話からのネット利用は中高生になると
かなり増え,1日3時間を超える長時間の利用も見られる。
ケータイ・パソコンがあれば,
広がる・つながる便利な世界!
メールでいつでも
コミュニケーション
インターネットで調べ学習
ケータイ・パソコンから
ネットショッピング
※このページは「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」
(平成 20 年度文部科学省調査)の内容をもとに作成している。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/05/
1266484.htm
子どもたちのネット・携帯電話事情
雪が降って
きたよ!
そっちはどう?
はいはい。
今ネットで
注文するから。
あ,これがいい。
自由研究の資料は
見つかったのかい?
いいデータが
あったよ!
おもしろそうね。
携帯電話の所有率
小学 6 年生 中学 2 年生 高校 2 年生
0
50
100
(%)
24.7%
45.9%
95.9%
小学 6 年生 中学 2 年生 高校 2 年生
メールの利用率
0
50
100
(%)
65.3%
90.2%
92.7%
小学 6 年生 中学 2 年生 高校 2 年生
通話の利用率
0
50
100
(%)
56.1%
46.5%
56.9%
小学 6 年生 中学 2 年生 高校 2 年生
携帯電話からのネット利用率
0
50
100
(%)
11.2%
31.7%
78.5%
小学 6 年生 中学 2 年生 高校 2 年生
パソコンからのネット利用率
0
50
100
(%)
40.1%
48.1%
42.1%
31
 ここでは,さまざまな考えを出し合う中で,その根拠も
言えることが大切になります。相手の考えを聞いた上で,
自分の考えをつくっていく場面でもあるのです。話し合い
の仕方は,学年の発達段階や学習習慣の違いによっても異
なってきますが,日常の学習活動で行っている話し合いと
同じでかまいません。ここでは,相手を論破することや必
ずしも一つの考え方に決めることが求められているのでは
ありません。
⑥考え,判断のもとになる知識の必要性
メディアの特性の理解は,情報モラルの判断のもとにな
る知識です。
 情報モラルの学習は,児童生徒に「情報社会で適正な活
動を行うための基になる考え方と態度」を育てることが最
終的な目標です。しかし,正確に考え,判断するためには
その前提となる情報やメディアの特性についての知識が必
要です。この知識は「知恵を磨く領域」には欠かせません。
また,「心を磨く領域」についても考える基盤と知識は必要
です。情報やメディアの特性については,その範囲も広い
ために,教師も十分な知識を持っているとは限りません。
 その場合,情報モラル指導用の疑似体験コンテンツを利
用すると,情報やメディアの特性も含めて説明されている
ので,児童生徒に,情報モラル事例の場の共有を図れると
ともに情報やメディアの特性を合わせて理解させることが
できます。
⑦自分の考えをまとめ態度につなげる
児童生徒のいろいろな考えを出し合った後,情報やメ
ディアの特性について正しく知り,再度この知識をもとに
して,自分の考えを練り上げます。
 ここでは,考えるためのもととなるものを整理して示す
ことが必要です。板書であったり,ワークシートであった
り,さまざまな提示の仕方はありますが,「立場による違い
があること」やその事例で取り扱う「情報やメディアの特
性」の2つの要素は欠かすことができません。
 授業の最後には,自分はこれからこうしたいと行動につ
なげていけるように,考え方をまとめ,態度として表させ
ることが大切なのです。
 情報モラルの授業により育てられた考え方や態度は,児
童生徒が携帯電話やインターネット等の情報機器に接する
時間から考えると,学校生活よりも家庭生活でより役立ち
ます。
 そこで,学校での情報モラルの学習を家庭に伝えること
も大切です。学習で使ったノートやワークシートに,家庭
からのコメント欄を設け,家の人にも話してコメントをも
らうという方法や,授業参観などで取り組むという方法が
取られています。
 こうして,学校と家庭とがともに子どもを取り巻く環境
について考え,子どものよりよい生活をつくっていくこと
も大切です。
情報モラルを身につけるためには,日常の生活の中のモ
ラルや,生活の中で培う価値観が大切な要素です。
これらは,実際の家庭生活や地域社会の中で身に付けて
いきます。
 しかし,情報やメディアの特性を理解したり,さまざま
な考え方があることを知ったりするのは,家庭や地域では
なかなかできません。これらは,学校でしかできないこと
なのです。
家庭との連携は必須
メディアの特性と多様な意見は学校で
自分は
これからこうする
行動に
つなげる
情報社会で適正な活動を行うための
基になる考え方と態度
知識
知識
意見の修正
事例
他の意見
他の意見
自分の意見
心を磨く
情報やメディアの特性
知識

Page 5
30
校内研修の指導方法
①校内研修の目的の確認
校内研修の内容をわかりやすくするためには,事前に
作成した校内研修カリキュラムを確認して校内研修の指
導者が研修の目的をはっきりと把握しておくことが大切
です。さらに,校内研修に参加する教師にも,目的を
はっきりと伝えておくことにより参加意識を高めておく
ことができます。
②情報モラル教育を扱う分野・内容の確認
 目的が決まれば,情報モラルのどのような内容を指導
するのか考えていきます。情報モラル指導モデルカリ
キュラムと児童生徒の生活実態を比較して具体的に指導
する内容を考えましょう。
 指導モデルカリキュラムは,指導する内容のヒントと
考えるとわかりやすくなります。
 指導モデルカリキュラムを通して児童生徒の実態を考
えていく場合や,反対に児童生徒の実態を整理するため
に指導モデルカリキュラムを使う場合もあるでしょう。
 一般的に道徳,特別活動では一つの事例を中心に取り
上げて考えていきます。また,教科,総合的な学習の時
間では,その各教科内容の学習や活動を行う過程で情報
モラルに関係する内容について触れます。
③情報モラルの事例場面の共有
情報モラルの事例場面の共有を図ることが大切です。
学校の学習活動の中にも情報を扱うさまざまな場面があ
ります。その中で情報モラルに関係する部分を取り上げ
ることで情報モラルの学習を行うこともできます。
 また,情報モラルの事例の中には,児童生徒の普段の
学習活動の中では,体験しない場面や状況がわかりにく
い場面があります。その事例の指導には,状況をわかり
やすく整理して疑似体験ができるようにしてある情報モ
ラル指導コンテンツを利用すると,児童生徒が事例の場
面を共有することができ有効です。
④児童生徒が個々に考え・判断する場の設定
情報モラルに関する事例を共有した後,児童生徒が
個々に判断する場面から学習は始まります。この最初の
段階では,児童生徒がそれまでの知識や生活経験にもと
づいた価値観から判断することになります。「自分だった
らどうするか」,「どう思うか」ということを考えさせてい
きます。その場合,情報モラルの視点をはっきりさせた
発問を示すことが大切です。
 まず,自分の考えを持つことが,情報モラルの授業へ
の入り口になります。
⑤友だちの考えとの比較
自分の考えと友だちの考えを比較していきます。児童
生徒の判断のもとになっている要素には,さまざまなもの
があります。立場,情報の受け取り方,知識,生活経験,
そうしたさまざまな要素から判断して,どう思うか,自分
ならどうするか,と考えています。それぞれの要素に違い
があるので,判断も違ったものになってきます。その違い
があることを知ることが,
「心を磨く領域」には欠かせませ
ん。その違いを認め,お互いの考えを伝えることで人間と
いう“メディア”の特性について学んでいるとも言えます。
校内研修の進め方の順番に沿って
 校内研修を指導するにあたって,事前に作成した校内研修実施カリキュラムをもとにしつつ,研修内容が「教師が児童生
徒に対して行う授業の方法」であれば,児童生徒に自分の考えを持たせたり判断させたりする場をどのように設定するのが
よいのかを教師に理解してもらうことがポイントになります。また,「教師が保護者に対して行う研修の方法」であれば,保
護者に子どもの携帯電話やインターネットの使い方に関心を持ってもらうことがポイントになります。ここでは,「教師が児
童生徒に対して行う授業の方法」について述べていきます。
自分ならこうすると思う
3
携帯電話は親の目の届かない場所で使っている
 また,どの学年でも「自分
の部屋などに一人でいると
きに携帯電話を利用する」が
最も多いことが,この調査
で明らかになっている。
 親の目の届かない場所で,
児童生徒は自由に携帯電話
を使っているのである。
ネットでは,こんなことが起きている!
ねらわれるのは,未熟な子どもたち
 携帯電話のサイト検索で簡単に見つかる掲示板の中には,中高
生の出会いを助長するような書き込みをしている事例もある。
 「家出をしたい」と書き込みをした小学生が,見ず知らずの人の
呼びかけに応じて一緒に旅をしてしまい,遠く離れた場所で警察
に保護されるという事件も起こっている。
 このように,悪意を持った大人が子どもたちの家出を助長す
る「家出サイト」など,判断力の未熟な子どもをねらうサイトが,
ネット上のあちこちに見られるのが現状である。
出会い系サイトで被害に遭う子どもたち
 警察庁が発表した平成20年のネット犯罪の中で,出会い系サ
イト規制法違反の件数は大幅に増加しており,児童買春と青少年
保護育成条例違反も増加し続けている。
 また,出会い系サイトで被害に遭った人の約9割が18歳未満
の子どもたちであり,そのほとんどが携帯電話からサイトにアク
セスしていることもわかっている。
ブログやプロフでも起きている,子どもたちの危険な出会い
 被害に遭うのは,出会い系サイトに限ったことではない。一見
普通に見えるオンラインゲームのコミュニティサイトやブログ,
プロフへの書き込みによって,事件に巻き込まれることも,最近
多くなってきている。
 ブログやプロフに,自分の写真,学校名,最寄りの駅名,よく
行くお店の名前などを載せることで,住んでいる場所がわかり,
その結果ストーカー被害に遭う,という事件も起きている。
情報の収集から発信へ,どんどん広がるネット利用
 ネットの利用の仕方も,学年が上がるにつれてどんどん多様化し
ている。
 特に,自分から情報を発信する場として,ブログやプロフを利
用する児童生徒が増えていることがわかる。
みんなと楽しく情報交換
ケータイでいつでも安全確認
ケータイ・パソコンでできること,いっぱい !
カメラとしても使えるケータイ
======
======
===============
===============
===============
===============
===============
===============
5 人くらいで遊べる
ゲームは何かあり
ますか?だって!
それなら私
教えてあげられるよ。
これ一台で?
今時は, ネットでチケットやホテルの予約がで
きるし, 映画も見られるし音楽も聴けるんだ。
ゲームや買い物, 何でもありなのさ。
○○塾
塾を出たところ。
これからかえるね。
今どこにいるの?
ハチの観察
自由研究に
使うんだ。
何撮ったの?
0
50
100
(%)
小学 6 年生
調べ物
音楽ダウンロード
オンラインゲーム
プロフ/ブログを見る
プロフを公開する
中学 2 年生
64.2
70.9
82.8%
78.1%
28.7
53.7
87.6%
20
35.5
42.5%
7.2
45.4
1.5
15.2
44.2%
64.2
70.9
82.8%
78.1%
28.7
53.7
87.6%
20
35.5
42.5%
7.2
45.4
1.5
15.2
44.2%
高校 2 年生
ネットの利用目的
小学 6 年生 中学 2 年生 高校 2 年生
部屋に一人でいるときの携帯電話利用率
0
50
100
(%)
51.2%
85.4%
89.4%

Page 6
4
①情報社会で求められる新しい課題への対応
 情報社会の到来とともに,従来の日常モラルでは解決
できない新たな課題やより慎重な判断を要する局面が起
こるようになりました。「新『情報教育に関する手引き』」
(平成14年6月)では,「技術開発の進歩のスピードが急
速なために,既存の法律や社会制度では想定されていな
かった新たな場面に直面する機会が増えている。このよ
うな状況の下で社会の一員として適正に活動していくた
めには,既存のルールやマナーを理解することに加えて,
新たな場面に対応して新しいルールやマナーの在り方な
どを考えていける力を養う必要がある。」としています。
②具体的事例
 例えば,メールや掲示板を用いたコミュニケーション
はとても気軽に行えるようになりました。しかしその反
面,使い方を間違えるとメールや掲示板によるネットい
じめや誹謗中傷などの人権侵害が起こります。また,子
どもたちは自分の身近な記事や話題を不特定の人が閲覧
するブログやプロフに書き込むようになりました。個人
情報の保護やなりすましへの危険回避など新しい課題が
生じています。
 「情報モラル」は「情報活用能力」の3観点(「情報活用
の実践力」,「情報の科学的理解」,「情報社会に参画する態
度」)の中の「情報社会に参画する態度」に位置づけられ
ています。情報モラルには,情報機器を介したコミュニ
ケーションの際に「相手を思いやる気持ち」を大切にした
り,メールや掲示板を使って情報を発信する際に自分の
発信内容に責任を持ったりするなどの倫理(心を磨く)
育てることが求められます。また,情報社会における情
報の特性やコミュニケーションに対する理解を土台に,
個人情報を保護したり,なりすましの危険から身を守っ
たりするなど情報に対して安全に向き合う能力(知恵を
磨く)の育成も求められています。これら,(心を磨く)領
域と(知恵を磨く)領域の2つを相互に関連させながら
「情報社会を生きる上での正しい判断力」を身に付けなけ
ればなりません。そして,それらの判断力をよりどころ
にしてよりよい情報社会の創出を目指す実践的な力を育
てることが情報モラルの目標となります。それらの力は
情報活用能力の重要な柱の一つとなり,ひいては,新し
い学力観である「生きる力」の一角を占める大切な能力と
なるものです。
 情報モラルを指導するには,指導者が情報モラルの範囲や内容,そしてその目的を的確に理解し,発達段階に応じた系統
的な指導内容や具体的な指導方法,授業設計など,基本的な理念や理論について深く理解している必要があります。
 「情報モラル」という言葉が初めて文部科学省で使われたのは平成8年度の中央教育審議会第1次答申でですが,その際,
情報倫理やネチケットなどの倫理的な内容に加えて,個人情報の保護やセキュリティの必要性など安全教育も含めた幅のあ
る言葉として使われました。高等学校学習指導要領解説情報編(平成12年3月)で「情報モラル」が「情報社会で適正な活動
を行うための基になる考え方と態度」と定義され,現在でもこの定義が使われていますが,
「情報モラル」という言葉には「相
手を思いやる気持ち」や「自分の言動(発信)に責任を持つ」などの倫理的な態度(心を磨く領域)に加えて,個人情報の保護
やなりすましの危険から身を守るなど情報安全の考え方(知恵を磨く領域)も含まれていると考えてよいでしょう。
情報社会における情報の特性
1: 情報の量と速さと集積密度
 一つの情報が瞬く間に地球を駆けめぐり,一瞬のミス
が大量の情報漏洩を引き起こします。情報の持つ社会的
影響力の大きさに気づかなければなりません。
2:情報の複製の容易さ
 情報は容易にコピーされ,まったく同じ物が複製され
ます。そのため,一度ネットワークに発信された情報は
決して取り消すことができません。
3:情報の可塑性
 情報は次々とその形を変えていきます。アンケートに
答えただけなのに,Webページに載っていたり,学校の
情報モラルとは
なぜ情報モラルが必要とされるのか
情報モラルの内容と目的
情報モラルの内容と目的
正しい判断力
情報モラルの実践力
心を磨く
相手を思いやり発信に責任を持つ
ルールやマナーを守る
知恵を磨く
情報社会の特性の理解
情報と安全に向き合う方法
情報モラル教育の基本理念と指導
29
 参考に以前に複数校の教師に実施した調査結果を掲示し
ます。「指導に当たって不安や難しく思う内容」についてア
ンケート調査結果の例から見ると,「自分自身がわからな
い部分がある。知識や技術不足なので」が多くなっていま
す。これは,教師自身が情報モラルの各内容について実際
に体験したことがないことが大きな理由と考えられます。
インターネットは使っていても掲示板やチャット,SNS,
ネットショッピングなどを使用したことがない教師は多い
ようです。
 実際,情報モラルで扱う内容は幅広いので,すべての内
容に精通することは難しいことです。
 次に,「教材が見当たらないので。資料や説明の仕方がわ
からないので。具体的な指導書がないので。」というよう
に指導の方法や資料について不安や難しさを感じている人
数が多くなっています。各事例の内容は理解できたとして
も,授業として行う場合には,どのような資料を用意した
らよいのか,授業展開をどのようにしたらよいのかわから
ずに困っている現状がうかがえます。学校で情報モラルの
授業を受けた経験がない多くの教師にとっては,授業のイ
メージはつかみにくいと思います。
⑭具体的な研修カリキュラム作成には,回数,対象範囲,
授業を行う対象,実施時期,目的,実施する時間枠,具
体的事例,教材,研修形態について決めていく必要があ
ります。
1)目的 → 授業方法を考える,実態を知る
 情報モラル教育のカリキュラムを見直すために行うの
か,教科や道徳,特別活動,総合的な学習の時間での情報
モラルの授業を考えるために行うのか,児童生徒のイン
ターネットや携帯電話の使用実態を知るために行うのかな
ど,研修の目的をはっきりとさせておきましょう。
2)回数 → 1回,数回
 1回なのか,数回なのか。
3)研修の対象範囲 → 全員,希望者
 研修の対象は,全員なのか,希望者なのかなどについて
決めます。1回目は全員,次回からは,疑問に答える形で
希望者という方法も考えられます。
4)授業を行う対象 → 児童生徒,保護者
 授業方法を考える場合,教師が授業対象とするのは,児
童生徒なのか保護者なのかを決めておきます。これは,目
的が決まれば関連して決まってくる内容です。
5)どの時間枠で実施する内容なのか → 教科,道徳,
特別活動,総合的な学習の時間
 これも,目的によって決まってくる内容です。
6)時間 → 120分,90分,60分,15分
 常に,長時間の研修が必要だとは限りません。15分の
ミニ研修を職員室内で行うことも有効です。
7)実施時期
 緊急の場合を除いて,研修日は,できるだけ年間計画で
決めておくことが大切です。長期休業中などは,時間的余
裕があるので学校の情報モラル教育のカリキュラムの内容
も含めて検討することもできます。
8)具体的事例 → 掲示板,チェーンメール,プロフ等
 授業の展開方法について研修する場合,具体例を何にす
るのか考えておきましょう。具体例が決まると教材や研修
内容がはっきりとしてきます。
9)教材 → ネット社会の歩き方,親子のためのネット
社会の歩き方,教科書,道徳副読本
 何を教材・資料として使うのか決めましょう。授業や研
修内容に適した教材がないと授業をすることが難しくなり
ます。
10)研修形態 → 模擬授業,ワークショップ,講話,
実技実習
 研修形態は,目的や時間との兼ね合いによって決まって
きます。授業の行い方についてイメージをつかむために
は,最初に模擬授業を行った後,ワークショップを実施し
グループ内で授業を考え相互に公開する方法が有効です。
校内研修カリキュラム作成
No.
内          容
(人)
1
自分自身がわからない部分があるので。
知識・技術不足なので。
10
2
教材が見当たらないので。資料や説明の仕方がわか
らないので。具体的な指導書がないので。
10
3
指導者の指導力の差があるので。
指導力が不足しているので。
6
4
注意の方法がわからないので。
指導の方法がわからないので。
5
5
指導内容を絞りにくいので。
何に的を当てたらよいのかわからないので。
3
6
「危ない」などの短い注意に終わりがちになるので。
もっと系統立てて教えられたらと思う。
1
7
その他
3
38

Page 7
28
⑧ 研修カリキュラムの中に,疑似体験を入れることによ
り,教師の事例に対する理解を深めることが必要です。
 インターネットや携帯電話を使う中で発生している事
例は,必ずしもすべての教師が知っているわけではあり
ません。そこで,教師が事例を正しく知ることは大切で
す。事例が正しく認識されていない場合もあります。事
例に対して各教師が持っている認識が違っていると,情
報モラル教育に対する姿勢も違ったものになってきます。
⑨情報モラル教育は,全教育課程で行う必要があること,
特に道徳の時間にも位置付けられていることを研修の
中で理解してもらう必要があります。
 情報モラル教育は,新学習指導要領の総則の第1章第
4の2(9)で「情報モラルを身に付け」と書かれていま
す。総則に書かれているということは,全教育課程で行
うことを意味します。さらに,各教科においても具体的
に情報モラルに関する記述があります。研修カリキュラ
ムでは,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間
でどのように扱うのかについて内容を設定しておく必要
があります。研修の中でワークショップ等を行い,具体
的な授業内容を考え,発表していくことも効果的です。
⑩研修カリキュラムは,児童生徒の実態と教師の指導に
あたっての実態,情報モラル教育のカリキュラムの3
つの内容のバランスを取って作成することが大切です。
 児童生徒や地域の実態と離れた研修内容にならないよ
うに注意しましょう。
⑪児童生徒の実態把握をしておくことが大切です。
 教師が児童生徒に対して持っている印象は,思い込み
の部分があるかもしれません。研修カリキュラムを考え
る時に,児童生徒へのアンケート調査をすることにより,
子どもの実態を把握しておくことが大切です。
 この場合,アンケートは,児童生徒だけでなく保護者
にも実施すると,子どもの実態と保護者の捉え方の違い
を比較することができるので,保護者に子どものイン
ターネットや携帯電話の使用実態について話をする時に
も非常に役立ちます。これらの実態を踏まえて指導カリ
キュラムを計画するとともに,携帯電話やゲーム機など
を与えたり利用したりする上での家庭での約束事の事例
などを提示し,それらの中から実態に応じた内容を選択
させるなどの工夫も必要です。
⑫児童生徒が家庭や遊びの中で利用しているさまざまな
情報携帯端末の説明書などをもとに,その特性や具体
的な内容などを把握しておくことが必要です。
特に,メーカーが提唱している子どもが利用する場合
の設定(例えば,ペアレンタル設定)などについて,その
内容の理解と児童生徒や家庭への周知が必要です。
⑬情報モラルの指導について教師は,どのように思って
いるのか,どのような不安があるのかなどについて実
態を把握する必要があります。
児童生徒と保護者の実態把握
研修カリキュラムの組み方
直近の動向の把握
指導についての教師の実態把握
疑似体験による事例体験の共有化
情報モラル教育を行う分野
実態への具体的イメージ
子どもへのアンケート調査
教師の持っている印象
家庭における指導の具体案の例示
情報モラル
教育の
カリキュラム
教師の実態
児童生徒
の実態
校内研修
カリキュラム
道徳
各教科
総合的な
学習の時間
特別活動
各教科内容
の中で
実際の機器操作
や情報収集,
発表活動の中で
心の葛藤
友だちとの関係
情報モラル教育
5
 文部科学省の委託事業で平成19年度に作成された「『情
報モラル』指導実践キックオフガイド」には,「情報モラル
指導モデルカリキュラム表」が掲載されています(8∼9
ページ参照)。
 この表は,情報モラルの指導カリキュラムの内容を小中
高一貫のモデルカリキュラムとして示したもので,情報モ
ラルの系統的指導内容が一覧になっています。表の横列
には小学校から高等学校まで校種ごとの指導内容が記載
され,縦列には指導すべき情報モラルの内容が5分野に
分けて設定されています。
(心を磨く)領域として「情報社
会の倫理」「法の理解と遵守」
(知恵を磨く)領域として
「安全への知恵」「情報セキュリティ」が位置づけられ,
さらに,この2つの領域にまたがる内容として「公共的な
ネットワーク社会の構築」が位置づけられています。
 モデルカリキュラムで設定されている5つの分野につ
いては,正義感が芽生え,善悪への意識が高まる小学校
の低・中学年では指導の重点を倫理の領域(心を磨く)
置き,情報社会の認識やセキュリティ対策などの知的な
興味や関心が高まる中学や高等学校では情報安全の領域
(知恵を磨く)に重点を置くような児童生徒の発達段階に
応じた系統的な指導が望まれます。
 また,ネットをめぐる事件や事故を予防的に回避し,
未然にそのような問題が発生しないように先回りをして
早い段階から指導を行うことも大切です。取り返しのつ
かない事件や事故が起こってからでは手遅れなのです。
 情報モラルの学習には情報社会の特性やデジタル・コ
ミュニケーションの特徴など,情報モラルを指導する際
の土台となる情報に関わる基礎的な知識を理解させるこ
とが必要です。さらに,このような知識理解の学習活動
を座学として実施するだけでなく,目的に応じた多様な
学習活動を取り入れることが必要です。例えば,ネット
に関わる物語教材やネット上で起こった事件事故の実例
などを提示して,そこに登場する人物の考え方や判断を
読み解き,それらを学級で追体験し,共有した上で話し
合う「ケーススタディ」の学習活動が考えられます。ま
た,実際に児童生徒がそれぞれコンピュータを用いて
メールを送り合ったり,掲示板に書き込んだりする「コ
ミュニケ−ション実習」などを取り入れたりすることも
効果的です。学校という安全なエリアで擬似的にネット
上のトラブルを体験することで正しい対処法を実践的に
身に付けることができるのです。
 情報モラルはすべての児童生徒が身に付けるべき能力
です。学校間の取り組みに温度差があると,子どもたち
が身に付けておくべき能力にばらつきが生じます。この
ようなことを防ぐためには,各学校では情報モラルに関
する年間指導計画を立案・実施するとともに,学校間で
連携を図ることが必要です。そのためには,校長や市町
村の教育委員会,情報部会などがリーダーシップを発揮
し,同一中学校区内の複数の小学校が共通のカリキュラ
ムを実施したり,市町村内で統一した学習内容を指導し
たりすることが求められます。
 ネットに関わるトラブルは学校,家庭,地域を問わず発
生します。保護者や地域との連携や啓発が重要です。平成
21年1月末に出された文部科学省の「学校における携帯
電話の取扱い等について(通知)」では,「学校・家庭・地
域が連携し,身近な大人が児童生徒を見守る体制づくり
を行う必要がある」と述べています。学校と家庭や地域
が連携してネット上のトラブルやコミュニケーションの
諸課題について情報を交換し,学校と家庭・地域が両輪
となって子どもたちを見守り,情報モラルを指導しなけ
ればなりません。例えば,学校便りや学校のWebページ,
学年通信等を用いて定期的に情報モラルに関する取り組
みを紹介したり,フィルタリングや不正請求への対応な
どの必要な情報を提供したりします。また,保護者懇談
会やPTAの研修会,地域の防犯組織の研修会等の機会を
利用して家庭及び地域への啓発を図ることも大切です。
 点から線へ,線から面へと情報モラルの指導を広げる
視野と熱意がリーダーには求められています。
学習活動の写真が別の(場合によっては不適切な)サイト
に掲載されたりしてしまいます。
4:情報の双方向性
 情報を受け取るだけでなく,誰もが情報を発信するこ
とが可能になりました。訓練を受けていない子どもたち
が深く考えずに情報発信をしようとしています。
情報モラル教育の指導内容
目的に応じた多様な学習活動の実施
温度差の解消と系統的な指導の必要性
保護者・地域との連携と啓発
︵心を磨く領域︶
倫理
︵知恵を磨く領域︶
情報安全
情報社会の倫理
法の理解と遵守
安全への知恵
情報セキュリティ
公共的なネットワーク社会の構築
モデルカリキュラムの 2 領域 5 分野

Page 8
6
 新しい学習指導要領の「本文」や「解説」には「教育の情
報化」に関する記述が多数見受けられます。情報モラルに
ついても積極的に取り上げられています。
「教育の情報化に関する手引き」(平成21年度)の第2章
では,これら学習指導要領の「教育の情報化」に関する記
述の本文と解説が一覧表の形で紹介されています。小学
校,中学校を例として,新学習指導要領では情報モラル
をどのように取り扱うのか見ていきましょう。
 小学校総則の本文には「…コンピュータで文字を入力す
るなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け…」と書か
れています。総則は本来,学校全体の教育目標や指導計
画を作成する際の指針を示す内容です。そのため,総則
にこのように書かれているということは,学校における
すべての教育活動で情報モラルを指導しなければならな
いことを示唆しています。さらにここで使われている「身
に付け」という表現も大変重要です。これは,すべての児
童が卒業の時点で情報モラルの習得を完了していなけれ
ばならないことを示すものだからです。
 総則の解説では情報モラルの具体的目標として次の3
点が挙げられています。
 この目標を達成するために,以下の5つの学習活動が
提案されています。
 したがって,上記の5つの学習活動を以下に示す教科
等で実施し,すべての児童に小学校段階での情報モラル
を習得させなければなりません。それでは各教科等で「情
報モラル」はどのように指導すべきだと書かれているので
しょうか,見ていくことにしましょう。
国語の解説(3・4年)には「…引用する部分を(「」)で
くくり,出典を明示することや,引用部分が適切な量に
なることなどについても指導することが求められる。」と
書かれています。著作権教育を3年生の国語でから行う
ことを示しています。
社会では,5年生の「情報産業や情報社会」の解説で次
のような記述が見られます。「『情報の有効な活用が大切で
あることを考えるようにする』とは,情報の有用性や役
割,情報の適切な収集・活用,発信や伝達の仕方,情報
化のもたらす様々な影響などをもとに,情報化した社会
において人々が主体的に生きていくためには情報を有効
に活用することが大切であることについて考えるととも
に,様々な情報に対して適切に判断し,望ましい行動を
しようとする能力や態度を身に付けることである。」この
記述から,5年生の社会科では情報社会の特徴を理解さ
せる学習の中で,情報の役割や情報モラルの大切さを学
ばせる学習も行うことになります。
道徳の本文では「…情報モラルの指導に留意するこ
と。」と書かれています。このため,すべての学年で道徳
の授業として情報モラルを指導することになります。道
徳で情報モラルを指導する場合,内容は「心を磨く」領域
の課題を中心に,道徳的実践力としての「情報モラルを
実践する力」の育成がねらいになるでしょう。
「総合的な学習の時間」の本文には「情報に関する学習
を行う際には,問題の解決や探究活動に取り組むことを
通して,情報を収集・整理・発信したり,情報日常生
活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が
行われるようにすること。」と書かれています。「総合的な
学習の時間」では各教科等における情報モラルの課題を
横断的・総合的に取り扱うことが示されています。
●特別活動の学級活動の解説には,「(学級活動の内容
については)…日常の道徳性の指導,国民の祝日や長期
休業日の事前・事後の指導,環境美化に関する指導,学
校行事の事前・事後指導,貯蓄や消費に関する指導,情
報モラルに関する指導などが考えられる。」と書かれてい
ます。健康安全の視点から情報モラルを学級活動でも指
導することになります。
 中学校総則の本文にも「各教科等の指導に当たっては,
生徒が情報モラルを身に付け…」と書かれています。
 解説では小学校と同じ3点の目標が掲げられ,この目
標を達成するために,以下の6つの学習活動が提起され
ています。
情報発信による他人や社会への影響について考えさせ
る学習活動
ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味に
ついて考えさせる学習活動
情報には自他の権利があることを考えさせる学習活動
情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさ
せる学習活動
健康を害するような行動について考えさせる学習活動
ネットワークを利用する上での責任について考えさせ
る学習活動
他者への影響を考え,人権,知的財産権など自他の権
利を尊重し情報社会での行動に責任をもつこと
危険回避など情報を正しく安全に利用できること
コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのか
かわりを理解すること
新学習指導要領における情報モラル
小学校
中学校
情報安全
倫理
総合
学級活動
道徳
社会
国語
27
④メディアのよい面と悪い面の両面を扱うことが,そのメ
ディアを上手に使いこなす力を育成する上で大切です。
 どのメディアにもよい面と悪い面の両面があります。特
定のメディアの悪い面だけを取り上げて対処方法を教えて
も,それは「情報社会で適正な活動を行うための基になる
考え方と態度」の育成にはつながりません。校内研修のカ
リキュラムを考える上でも,教師が特定のメディアに否定
的な感想を持つことがないように注意して下さい。大切な
のは,メディアをどのように使うかということです。
 テレビが普及し始めた時,テレビ自体を否定する意見が
多くありました。しかし,現在,テレビについて番組の内
容や視聴時間についての論議はありますが,テレビ自体を
否定する議論はほとんどありません。
⑤他の類似事例にも自分で判断できる力と態度を育成する
 ことが大切です。
 学習した事例については判断できるが,他の類似事例に
ついては判断できないということでは,次々に開発される
メディアへの対応に追い付きません。プロフにしてもあっ
という間に使う人が増えました。
⑥新しい事例に対応するための力を付けるには,メディア
 の特性への理解が大切です。
 校内研修カリキュラムの中に,教師がメディアの特性を
理解できるような内容を入れることが必要です。そうしな
いと,次々に考えられる新しいメディアに対応することが
できません。また,すべてのメディアを扱った研修や授業
を行うことは不可能です。
⑦校内実施研修カリキュラムの第1段階は,ネットワーク
社会の中の各メディアについて「便利な点」と「危険な
点」について教師が知ることです。そして,危険を回避
する方法を理解することです。
 第2段階は,各メディアの特性を理解することです。第
3段階は,授業の行い方について,使う資料や教材も含め
て理解することです。
情報モラル教育の基本姿勢
児童生徒に身に付けさせる力の確認
メディアの特性についての理解
最初は正しい使い方,次に危険回避
他の類似事例にも自分で判断できる力と態度
危険を避ける力と自分も加害者にならない態度
掲示板や電子メール,
プロフなどのメディア
の特性の理解
事例の発生原因への
理解
日常生活での判断力
メディア
悪い面
よい面
携帯電話
20 携帯電話のマナー
i,a ○ ◎ ◎
*【正しい利用
方法の例】
携帯電話
21
ワン切りに気を
つけて
d
○ ○ ◎
ワン切りで会費
請求された
携帯電話
22
携帯電話で楽しむの
もほどほどに
f
○ ○ ◎
料金が多額に
なった
携帯電話
23
携帯電話をなくした
ら利用停止。でも・・・
h
○ ○ ◎
失くした携帯か
らいたずら
携帯電話
再掲 肖像権に気をつけて
b
○ ◎ ○
友人の写真を
無断公開
カメラ付
携帯
再掲
ネットいじめは人権
侵害
b
◎ ◎ ◎
恥ずかしい写真
の転送
カメラ付
携帯
24
ワンクリック不当請
求に気をつけて
d
◎ ◎
ワンクリック
詐欺にあった
携帯
メール
25
ネット上のあぶない
出会い
d
◎ ◎
出会い系サイト
にアクセス
携帯
メール
コミュニケーション
26
チェーンメールは
カット
e
○ ◎ ◎
チェーンメール
を送った
メール
27 スパムメールは無視
e
○ ◎ ◎
スパムに返信で
被害拡大
メール
28
コンピュータウイル
スに注意
h
○ ◎ ○
添付ファイルか
ら感染
メール
29
他人になりすまして
(パスワード)
c,g ◎ ◎ ◎
他人の ID でい
たずらメール
メール
30 ネット依存に注意
f
○ ◎ ◎
ネット依存に
なった
オンライン
ゲーム
消費生活安全
31
フィッシングサイト
につられるな
g,e
◎ ◎
フィッシング詐
欺にあった
ネット
サーフィン
32 スパイウェアに注意
h,e ○ ◎ ○
不注意にダウン
ロードした
ネット
サーフィン
33
無料ダウンロードは
慎重に
d
◎ ◎
多額の通信料が
請求された
ネット
サーフィン
34 とばく行為は禁止
c
○ ◎
賭博サイトを
開設した
Web 情報
発信
35 ネズミ講は禁止
e,f
◎ ○
ねずみ講メール
を送信
メール
36 マルチ商法に注意
d
○ ◎
怪しい組織に
勧誘・加入
携帯電話
再掲
ワン切りに気を
つけて
d
○ ○ ◎
ワン切りで会費
請求された
携帯電話
再掲
ワンクリック不当請
求に気をつけて
d
◎ ◎
ワンクリック
詐欺にあった
携帯
メール
ネットショッピング
37
ネットショッピング
の活用
e,i
○ ◎
*【正しい利用
方法の例】
ショッピ
ング
38
クレジットカードの
不正利用は犯罪
c
○ ◎ ○
カード番号の
不正利用
ショッピ
ング
39 個人輸入は慎重に
c
○ ◎
違法モデルガン
を注文
ショッピ
ング
40 発注ミスに注意
d
○ ○ ◎
注文数量を
間違えた
ショッピ
ング
再掲 危険な情報に注意
c,d ○ ◎ ◎ 違法薬物を購入
ショッピ
ング
41
ネットオークション
の賢い利用方法
i,e ○ ○ ◎
*【正しい利用
方法の例】
オーク
ション
42 契約は慎重に
a,c
◎ ○
軽率な
入札をした
オーク
ション
43 雲隠れに注意
d
○ ◎ ◎
欠陥商品を買わ
された
オーク
ション
分野: 情報社会の倫理〔a,b〕, 法の理解と遵守〔c〕, 安全への知恵〔d,e,f〕, 情報セキュ
リティ〔g,h〕, 公共的なネットワーク社会の構築〔i〕(8∼ 9 ページ参照)

Page 9
26
校内研修実施カリキュラムの設計
①情報モラル教育は,どういうことを目指しているのか
その構成を確認しておくことが基本です。
 情報モラル教育は,心に関係し価値判断の力を育成す
る「心を磨く」分野と,安全を守る知恵と技術を習得する
「知恵を磨く」の2つの領域から構成されています。もち
ろん,価値判断をするためには,その判断の基盤となる
知識も習得することが求められます。さらに,「心を磨く」
領域は,「情報社会の倫理」と「法の理解と遵守」の2分野,
「知恵を磨く」領域は,「安全への知恵」と「情報セキュリ
ティ」の2分野から構成されています。そして,最終的
な目標は,社会の大切な共通財産であるネットワークを
みんなで育てていこうという態度を育成することを目指
して「公共的なネットワーク社会の構築」となっています
(5ページ参照)。
②情報モラル指導モデルカリキュラムにより,構造の具
体的イメージを把握します。
 情報モラルの各分野についてどのような指導を行えば
よいのかについて,情報モラル指導モデルカリキュラム
表により,情報モラル指導の全体像を通して具体的なイ
メージをつかみましょう。
 すでに,情報モラル指導カリキュラムが作成されている
学校では,それも参考にしてください(8 ∼ 9ページ参照)。
③情報モラルに関しての個別事例を見て,実際に発生し
ている事象について把握します。
 情報モラルに関して,いろいろな問題が発生していま
す。実際にどのような問題が起きているのか個別事例を
見ていくことは,情報モラルの現状について思い込みで
はなく客観的に把握するためにも大切です。また,各事
例に共通する原因は何なのかを考えながら見ていくこと
は,児童生徒に新たな事例に対応する力を付けるための
ポイントを研修担当者自身が身に付けることにもつなが
ります。実際に研修担当者が,事例内容とその原因を十
分に理解しておくことは校内研修実施カリキュラムを作
成する上で非常に重要になってきます。それは,目の前
の児童生徒の実態から,今どのような研修を校内で考え
ていけばよいのか判断する力になってくるからです。
 児童生徒に情報モラルを指導できる力を教師に育成するために,校内研修実施カリキュラムを考える上で,研修カリキュ
ラム立案者が,情報モラル教育の構造・目的と情報モラルに対して教師の持っている印象,児童生徒の実態を正確に捉えて
いることがポイントになります。
情報モラル教育の構造の把握
構造の具体的イメージの把握
ネット社会の歩き方 
学習ユニットとモデルカリキュラムの対応一覧
情報モラルに関する具体的事例の把握
カテゴリ
番号
ユニット名称
分野
校種
ミス・トラブル
の概要
テーマ
小 中 高
情報検索
1
Web サイトの
情報を活用しよう
b
○ ◎ ○
Web 丸写しの
レポート提出
Web
検索活用
2
こんな Web サイト
に気をつけて
e
○ ◎ ◎
詐欺サイトに
誘導された
ネット
サーフィン
3
大人向けの情報に
注意
d
◎ ○ ○
アダルト情報を
見た
ネット
サーフィン
4 危険な情報に注意
c,d ○ ◎ ◎ 違法薬物を購入
ネット
サーフィン
情報発信
5 ブログの有効活用
i
○ ◎ ◎
*【正しい利用
方法の例】
ブログ
活用
6
ネットで悪口は
要注意
a
◎ ○ ○
友人の悪口を
書いた
掲示板
いたずら
7
ネットで悪口が
罪になる
c
○ ◎ ○
お店の悪口を
書いた
ブログ
情報発信
8
おもしろ半分では
無責任
a
◎ ○ ○
友人について
ウソを書いた
Web
情報発信
9
確かな情報を
発信しよう
a
○ ◎ ○
お店の悪口を
書いた
Web
情報発信
10
ネットいじめは
人権侵害
b
◎ ◎ ◎
恥ずかしい写真
の転送
カメラ付
携帯
個人情報・著作権
11
住所や電話番号を
おしえるのは慎重に
e
◎ ○ ○
怪しい懸賞に
応募
ネット
サーフィン
12
個人情報は公開
しない
e
○ ◎ ○
家族の個人情報
を発信
Web
情報発信
13
個人情報は大切な
データ
e
○ ◎ ◎
友人の個人情報
を教えた
携帯
メール
14 肖像権に気をつけて
b
○ ◎ ○
友人の写真を無
断公開
カメラ付
携帯
15
チャットで個人情報
は言わない
e
◎ ◎ ◎
電話番号を書き
込み
チャット
16
見知らぬ人との
約束?
d
◎ ◎ ◎
チャット相手と
待ち合わせ
チャット
17
他人の絵や文章の
コピーは要注意
c
◎ ◎ ○
雑誌の写真を
無断コピー
ブログ
情報発信
18
ファイル共有ソフト
は要注意
c,g ○ ◎ ◎
違法コピーを
ファイル共有
ファイル
共有ソフト
19
コピーしても
いいの?
c
◎ ◎ ○
ゲームソフトの
コピー
ゲーム
ソフト
7
国語の本文では「新聞やインターネット,学校図書館等
の施設などを活用して得た情報を比較すること」という記
述があり,比較することで情報の真偽を確かめたり吟味
したりする学習活動が行われます。
社会の本文では学習活動全般にわたって,「資料の収集,
処理や発表などに当たっては,コンピュータや情報通信
ネットワークなどを積極的に活用し,指導に生かすこと
で,生徒が興味・関心をもって学習に取り組めるように
するとともに,生徒が主体的に情報手段を活用できるよ
う配慮するものとする。その際,情報モラルの指導にも
配慮するものとする。」と書かれています。情報手段を活
用する学習活動の際に,情報モラルも併せて指導するこ
とになります。
 また,公民的分野の解説には,「『情報化』では,大量の
情報の活用によって経済などの仕組みや社会生活が変化
してきていることや,その中で個人が主体的に情報を収
集,処理,判断,発信するなどの情報を活用する力や情
報モラルを身に付けていくことなどが大切となってきて
いることなどに気付かせる」と書かれています。公民の授
業の中では社会の情報化と関連付けながら情報モラルの
指導を実施することになります。
音楽の本文では「音楽に関する知的財産権について,必
要に応じて触れるようにすること」と書かれているので,
音楽で著作権教育を行うことになります。
美術の本文でも「美術に関する知的財産権や肖像権など
について配慮し,自己や他者の創造物等を尊重する態度
の形成を図るようにすること」という記述があり,音楽と
併せて知財教育を美術で推進することになります。
保健体育の本文では,「コンピュータなどの情報機器の
使用と健康とのかかわりについて取り扱うことも配慮す
るものとする」と書かれています。いわゆるテクノストレ
スへの対応など情報機器の使用と健康被害について保健
体育で学習します。
技術・家庭の本文では「著作権や発信した情報に対する
責任を知り,情報モラルについて考えること。」と書かれ
ています。中学校ではこの技術・家庭が情報モラルを指
導するための中心となる領域になると考えられます。
道徳の本文では小学校と同じように「…情報モラルの指
導に留意すること」と書かれています。このため,小学校
と同じようにすべての学年で道徳の授業の中で情報モラ
ルを指導することになります。
●特別活動の「学級活動」の解説には「集団生活における
ルールやマナー,自由と責任及び権利と義務,情報化社
会におけるモラルなどの題材を設定し,道徳の時間との
関連も図りながら展開していくことが重要である」と記
載されています。「道徳の時間との関連も図りながら」と
あるように,中学校では「道徳」,「学級活動」そして,情
報教育の中核となる「技術・家庭」の情報分野が3つの柱
となります。また,「総合的な学習の時間」でも横断的・
総合的な課題に取り組みつつ,各教科等で情報モラルの
指導を充実させていくことが大切です。
 情報モラルは,特定の学校,特定の教師だけが実施す
るものではなく,すべての学校すべての学級で実施され,
児童生徒が等しく習得すべき基本的な能力です。
 すべての児童生徒に情報モラルを身に付けさせるため
には,まず情報モラルの指導内容に偏りが出ないように
しなければなりません。そのためには「モデルカリキュ
ラム表」(8∼9ページ)を参考にして,「2領域5分野」の
内容が年間指導計画に取り入れられているか確認します。
 また,指導の重複や飛躍を生じさせないために,指導
内容の系統化と標準化が求められます。どの学年でどの
ような内容を指導するのか,発達段階に応じて指導内容
を積み上げることが系統化です。それと同時に,同じ中
学校に進学した際の生徒のレベルをそろえ,中学校で同
じスタートラインに立たせるために,中学校区や市町村
教育委員会で統一したカリキュラムを編成することも大
切です。これが標準化です。情報モラルの年間指導計画
は,これら体系化・系統化・標準化を意識しながら作成
することが望まれます。
情報モラル年間指導計画の作成
基本的なルールや法律を理解し違法な行為のもたらす
問題について考えさせる学習活動
知的財産権などの情報に関する権利を尊重することの
大切さについて考えさせる学習活動
トラブルに遭遇したときの主体的な解決方法について
考えさせる学習活動
基礎的な情報セキュリティ対策について考えさせる学
習活動
健康を害するような行動について考えさせる学習活動
情報安全
倫理
総合
学級活動
道徳
美術
音楽
保体
技術・家庭
国語
社会
体系化
系統化
1年
情報社会の
論理
法の理解と
安全
安全への
知識
情報セキュ
リティー
公共的ネット
ワーク社会の
構築
2年
4年 5年 6年
3年
体系化
系統化
1年
情報社会の
論理
法の理解と
安全
安全への
知識
情報セキュ
リティー
公共的ネット
ワーク社会の
構築
2年
4年 5年 6年
3年
体系化
系統化
1年
情報社会の
倫理
法の理解と
遵守
安全への
知恵
□□小学校
情報セキュ
リティー
公共的なネッ
トワーク社会
の構築
2年
4年 5年 6年
3年
標準化
△△小学校
○○小学校

Page 10
8
<大目標・中目標レベル>
※コードについて(例,a1-1)
【2桁目の数字】
【1桁目の文字】
校種・学年(L1 ∼ L5)
3:L3(小学校高学年:5∼6年生)
 a ∼ i:大目標項目
 1:L1(小学校低学年:1∼2年生)
4:L4(中学校(高等学校を含む場合もある))
 2:L2(小学校中学年:3∼4年生)
5:L5(高等学校)
分類
L1:小学校1∼2年
L2:小学校3∼4年
L3:小学校5∼6年
1.情報社会
の倫理
a
a1 ∼ 3:発信する情報や情報社会での行動に責任を持つ
a1-1:約束や決まりを守る
a2-1: 相手への影響を考えて行動す
a3-1: 他人や社会への影響を考えて
行動する
b
b1 ∼ 3:情報に関する自分や他者の権利を尊重する
b1-1: 人の作ったものを大切にする
心をもつ
b2-1: 自分の情報や他人の情報を大
切にする
b3-1: 情報にも,自他の権利がある
ことを知り,尊重する
2.法の理解
と遵守
c
c2 ∼ 3:情報社会でのルール・マナーを遵守できる
c2-1: 情報の発信や情報をやりとり
する場合のルール・マナーを
知り,守る
c3-1: 何がルール・マナーに反する
行為かを知り,絶対に行わない
c3-2: 「ルールや決まりを守る」と
いうことの社会的意味を知
り,尊重する
c3-3: 契約行為の意味を知り,勝手
な判断で行わない
4.情報セキ
ュリティ
g
g2 ∼ 3:生活の中で必要となる情報セキュリティの基本を知る
g2-1: 認証の重要性を理解し,正し
く利用できる
g3-1: 不正使用や不正アクセスされ
ないように利用できる
h
h3: 情報セキュリティの確保のため
に,対策・対応がとれる
h3-1: 情報の破壊や流出を守る方法
を知る
5.公共的な
ネットワーク
社会の構築
i
i2 ∼ 3:情報社会の一員として,公共的な意識を持つ
i2-1: 協力し合ってネットワークを
使う
i3-1: ネットワークは共用のもので
あるという意識を持って使う
3.安全への
知恵
d
d1 ∼ 3:情報社会の危険から身を守るとともに,不適切な情報に対応できる
d1-1: 大人と一緒に使い,危険に近
づかない
d2-1: 危険に出合ったときは,大人
に意見を求め,適切に対応する
d3-1: 予測される危険の内容がわか
り,避ける
d1-2: 不適切な情報に出合わない環
境で利用する
d2-2: 不適切な情報に出合ったとき
は,大人に意見を求め,適切
に対応する
d3-2: 不適切な情報であるものを認
識し,対応できる
e
e1 ∼ 3:情報を正しく安全に利用することに努める
e2-1: 情報には誤ったものもあるこ
とに気づく
e3-1: 情報の正確さを判断する方法
を知る
e1-2: 知らない人に,連絡先を教え
ない
e2-2: 個人の情報は,他人にもらさ
ない
e3-2: 自他の個人情報を,第三者に
もらさない
f
f1 ∼ 3:安全や健康を害するような行動を抑制できる
f1-1: 決められた利用の時間や約束
を守る
f2-1: 健康のために利用時間を決め
守る
f3-1: 健康を害するような行動を自
制する
f3-2: 人の安全を脅かす行為を行わ
ない
情報モラル指導モデルカリキュラム表
25
トラブルに巻き込まれてしまったら
情報モラル指導のためのサイト〔教材・資料〕
教育情報
ナショナルセンター
(NICER)
著作権/情報モラル
http://www.nicer.go.jp/
文化庁
場面対応型指導事例集 著作権教育5分間の使い方
http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kyouiku/
sidoujireishu/
著作権なるほど質問箱
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/
これであなたも著作権何でも博士
<学校関係者向け著作権の教育情報>
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/hakase/index.html
総務省
インターネットの世界
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/kids/internet/
index.html
国民のための情報セキュリティサイト
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/security/
index.htm
警察庁
サイバー犯罪対策
情報セキュリティ対策ビデオ
http://www.npa.go.jp/cyber/video/index.html
キッズ・パトロール
http://www.cyberpolice.go.jp/kids/
(財)
インターネット
協会
インターネットを利用するためのルールとマナー集
http://www.iajapan.org/rule/
フィルタリングに関する情報サイト
http://www.iajapan.org/filtering/
(社)
著作権情報
センター
無償パンフレットの紹介
http://www.cric.or.jp/mushou/mushou.html
コピーライト・ワールド
http://www.kidscric.com/
(財)
マルチメディア
振興センター
安心インターネットライフ★ガイド
http://www.fmmc.or.jp/ejf/guide/index.html
e- ネットキャラバン 参考資料リンク集
http://www.e-netcaravan.jp/sankou.html
(財)コンピュータ
教育開発センター
ネット社会の歩き方
http://www.cec.or.jp/net-walk/
親子のためのネット社会の歩き方
http://www.cec.or.jp/jka/oyako_text.html
文部科学省
教育の情報化に関する手引き
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1259413.htm
新「情報教育に関する手引き」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/020706.htm
情報モラル教育指導のためのポータルサイト
http://www.japet.or.jp/moral-guidebook/
「情報モラル」指導実践キックオフガイド
http://www.japet.or.jp/moral-guidebook/
情報モラル指導セミナー「5分でわかる情報モラル」
http://sweb.nctd.go.jp/5min_moral/index.html
インターネット活用のための情報モラル指導事例集
http://www.cec.or.jp/books/H12/pdf/b01.pdf
インターネット活用ガイドブック,モラル・セキュリティ編
http://www.cec.or.jp/books/guidebook.pdf
“情報モラル”授業サポートセンター
http://sweb.nctd.go.jp/support/
情報モラル等指導サポート事業
http://sweb.nctd.go.jp/g_support/index.html
教育情報通信ネットワーク「エル・ネット」
http://www.elnet.go.jp/elnet_web/portalTop.do
「ネット上のいじめ」に関する対応マニュアル・事例集
(学校・教員向け)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/
11/08111701.htm
(独)
教員研修センター
情報モラル研修教材 2005
http://sweb.nctd.go.jp/2005/index.htm
状況を確認する
・わかっていること
・わからないこと
・いつから
・何があったのか
・きっかけや原因は
記録を残す
・日時,場所(URL)など
・画面のコピーや写真など
・書かれていることのコピー
管理者への連絡
・ネットワーク
・サーバ
・サイト
「子どもの
人権 110 番」
0120-007-110(フリーダイヤル)
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html
法務省
「いじめ相談
の窓口」
0570-0-78310(24時間いじめ相談ダイヤル)
http://www.mext.go.jp/a_menu/
shotou/seitoshidou/06112015.htm
文部科学省
いじめ問題
相談機関情報
http://www.nicer.go.jp/integration/user/map.php
教育情報ナショナルセンター(NICER)
青少年の
心の問題
03-3947-0760(代表)
http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~skc/
(社)青少年健康センター
Web に関する
カウンセリング
http://www.web-mind.jp/
全国 Web カウンセリング協議会
保護者や先生向け
情報リテラシー
向上セミナー
http://www.e-netcaravan.jp/
(財)マルチメディア振興センター
「e- ネット安心講座」
警察相談
ダイヤル
#9110
各都道府県の警察総合相談窓口
サイバー犯罪
相談窓口
http://www.npa.go.jp/cyber/soudan.htm
各都道府県警察本部の相談窓口一覧
インターネット
安全・安心相談
http://www.npa.go.jp/cybersafety/
警察庁(相談窓口)
迷惑メール
情報提供受付
http://www.nissankyo.or.jp/spam/
(財)日本産業協会
消費・生活に
関するトラブル
0570-064-370
http://www.kokusen.go.jp/
(独)国民生活センター
違法・有害情報の
通報窓口
http://www.internethotline.jp/
(財)インターネット協会
「インターネット・ホットラインセンター」
違法・有害情報の
相談窓口
http://www.ihaho.jp/
(社)テレコムサービス協会
違法・有害情報相談センター
専門家に相談をする

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24
トラブルに巻き込まれないために
メール対策
有害情報対策
携帯電話
パソコン
携帯電話
パソコン
各社のフィルタリングサービス
迷惑メールをシャットアウト
チェーンメール,転送しないで削除!
会社
迷惑メール対策情報
NTT docomo
迷惑メールでお困りの方へ
http://www.nttdocomo.co.jp/info/spam_mail/
au by KDDI
迷惑メールでお困りの方へ
http://www.au.kddi.com/service/email/support/meiwaku/
SoftBank
迷惑メール対策
http://mb.softbank.jp/mb/support/safety/
WILLCOM
迷惑メール対策
http://www.willcom-inc.com/ja/info/trouble_mail/
EMOBILE
メール設定【携帯電話】
http://emobile.jp/service/mailsettei.html
会社
名称
電話による申し込み
ホームページ
NTT docomo
・キッズiモードフィルタ
・iモードフィルタ
・Web制限 ・時間制限
○ドコモの携帯電話から局番なしの151(無料)
○一般電話から0120-800-000(無料)
http://www.nttdocomo.co.jp/
au by KDDI
・EZ 安心アクセスサービス
・EZweb 利用制限
○auの携帯電話から局番なしの157(無料)
○一般電話から0077-7-111(無料)
http://www.au.kddi.com/
SoftBank
・Yahoo! きっず
・ウェブ利用制限
○ソフトバンクの携帯電話から局番なしの 157(無料)
○一般電話から0088-21-2000(無料)
http://mb.softbank.jp/mb/
WILLCOM
・有害サイトアクセス制限
 サービス
○ウィルコムのPHSから局番なしの116(無料)
http://www.willcom-inc.com/ja/
EMOBILE
・Web アクセス制限
○イー・モバイルの携帯電話から局番なしの 157(無料)
○一般電話などから0120-736-157(無料)
http://emobile.jp/
ブラウザ(Internet Explorer)のコンテンツアドバイザ機能を設定する。
[ツール]→[インターネットオプション]→[コンテンツ]→コンテンツアドバイザ[有効
にする]をクリック
インターネット・サービス・プロバイダが提供しているフィルタリングサービスを利用する。
フィルタリングソフトを購入し,パソコンにインストールする。
※パソコンの利用時間を制限する機能もあります。
メールソフトを利用の場合
メールソフトに内蔵された
迷惑メールフィルタ機能を使う。
Web メールを利用の場合
迷惑メールフィルタサービスを
利用する。
悪質なサイトを見つけたら,
インターネット・ホットラインに通報!
http://www.internethotline.jp/mobile/
http://www.internethotline.jp/
迷惑メールフィルタ機能を利用して,怪しい勧誘や誘惑のメールから児童生徒を守りましょう。
フィルタリングを利用して,有害なサイトや危険なサイトから児童生徒を守りましょう。
「転送しない,返信しない,広めない」が基本姿勢です。
どうしても不安な場合は,迷惑メール相談センター(TEL 03-5974-0068)に連絡しましょう。
(財)日本データ通信協会 http://www.dekyo.or.jp/soudan/
以下のような3つの方法があります。
フィルタリングの情報:(財)インターネット協会 http://www.iajapan.org/filtering/
フィルタリングを有効活用
9
この表は,情報モラルの指導カリキュラムの内容を小中高一貫のモデルカリキュラムとして示したものです。このモデルカリキュ
ラムの目標は,学校教育全体の中で達成していくことが望ましく,それぞれの学校では本モデルカリキュラムを参考にして,地域の
実情に合わせて情報モラルのカリキュラムを組み立て実施してください。
 各目標の詳細は,Web ページをご覧ください。http://www.japet.or.jp/moral-guidebook/
【3桁目の数字(ハイフンの後の数字)】
たとえば,コード a1-1 は次を表す。
大目標項目内の一連番号
大目標項目 a1:発信する情報や情報社会での行動に責任を持つ(小学校1∼2年生)
中目標項目 a1-1:約束や決まりを守る(小学校1∼2年生大目標項目 a1 の1番目の中項目)
L4:中学校
L5:高等学校
a4 ∼ 5:情報社会への参画において,責任ある態度で臨み,義務を果たす
a4-1: 情報社会における自分の責任や義務について考え,行動す
a5-1:情報社会において,責任ある態度をとり,義務を果たす
b4 ∼ 5:情報に関する自分や他者の権利を理解し,尊重する
b4-1:個人の権利(人格権,肖像権など)を尊重する
b5-1:個人の権利(人格権,肖像権など)を理解し,尊重する
b4-2:著作権などの知的財産権を尊重する
b5-2:著作権などの知的財産権を理解し,尊重する
c4: 社会は互いにルール・法律を守ることによって成り立ってい
ることを知る
c5:情報に関する法律の内容を理解し,遵守する
c4-1: 違法な行為とは何かを知り,違法だとわかった行動は絶対
に行わない
c5-1: 情報に関する法律の内容を積極的に理解し,適切に行動す
c4-2: 情報の保護や取り扱いに関する基本的なルールや法律の内
容を知る
c5-2: 情報社会の活動に関するルールや法律を理解し,適切に行
動する
c4-3:契約の基本的な考え方を知り,それに伴う責任を理解する c5-3:契約の内容を正確に把握し,適切に行動する
g4 ∼ 5:情報セキュリティに関する基礎的・基本的な知識を身につける
g4-1:情報セキュリティの基礎的な知識を身につける
g5-1: 情報セキュリティに関する基本的な知識を身につけ,適切
な行動ができる
h4 ∼ 5:情報セキュリティの確保のために,対策・対応がとれる
h4-1:基礎的なセキュリティ対策が立てられる
h5-1: 情報セキュリティに関し,事前対策・緊急対応・事後対策
ができる
i4 ∼ 5:情報社会の一員として,公共的な意識を持ち,適切な判断や行動ができる
i4-1:ネットワークの公共性を意識して行動する
i5-1: ネットワークの公共性を維持するために,主体的に行動す
d4 ∼ 5:危険を予測し被害を予防するとともに,安全に活用する
d4-1:安全性の面から,情報社会の特性を理解する
d5-1:情報社会の特性を意識しながら行動する
d4-2:トラブルに遭遇したとき,主体的に解決を図る方法を知る d5-2: トラブルに遭遇したとき,さまざまな方法で解決できる知
識と技術を持つ
e4 ∼ 5:情報を正しく安全に活用するための知識や技術を身につける
e4-1:情報の信頼性を吟味できる
e5-1:情報の信頼性を吟味し,適切に対応できる
e4-2: 自他の情報の安全な取り扱いに関して,正しい知識を持っ
て行動できる
e5-2: 自他の情報の安全な取り扱いに関して,正しい知識を持っ
て行動できる
f4 ∼ 5:自他の安全や健康を害するような行動を抑制できる
f4-1: 健康の面に配慮した,情報メディアとの関わり方を意識し,
行動できる
f5-1: 健康の面に配慮した,情報メディアとの関わり方を意識し,
行動できる
f4-2: 自他の安全面に配慮した,情報メディアとの関わり方を意
識し,行動できる
f5-2: 自他の安全面に配慮した,情報メディアとの関わり方を意
識し,行動できる

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10
相手のことをよく確かめて
教材内容例と基本的な指導事項
全への
学級活動
学級活動
情  報
小学校
中学校
高等学校
ネットワークの匿名性となりすまし
の危険を知る
※1 プロフ:ケータイサイトに自己紹介のページを作成できるサービス。プロフィールの略。    ※2 SNS:ネット上で気軽に交流できるコミュニティサイト。Social Networking Serviceの略。
●警察庁/サイバー犯罪対策/出会い系サイトにかかる犯罪予防ホームページ
●警察庁/サイバー犯罪対策/情報セキュリティ対策ビデオ/「嘘」
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/なりすまし/他人の名前での書き込み
●情報モラル研修教材 2005 /体験から学ぶ/男好きだね、君は。
教材例
(25 ページ参照)
本事例の問題点
● プロフ※1,SNS※2などでは,面識のない人物と簡単に知り
合える。
● インターネットでは,匿名性を利用した「なりすまし」が簡単
にできる。
■ 成人男性が,同年代の児童生徒の女子のふりをするなど,相
手を安心させておいて,
「相談にのるよ!」「会おう」などと誘
い,恐喝,誘拐,強姦などの犯罪を行う事件が頻発している。
他への応用
● プロフ,SNS以外にも,掲示板,オンラインゲームのコミュ
ニティサイト,ブログなど,匿名性のあるインターネットコ
ミュニティでは,同様の被害が予想される。
● ブログやプロフに,自分の写真,学校名,最寄り駅,よく行
くお店などを載せることで,住んでいる場所や学校がわかり,
ストーカー被害に遭うこともある。
解決・予防のポイント
「なりすまし」が可能な理由を,具体例を挙げて説明し,被害例を紹介して,ネット上で出会った人物と保護者
の同伴なしに会わないよう指導する。
他にどのような場で,どのようななりすましがあり得るかを考えさせる。
自分から会いに行かなくても,上記「その他への応用」に示されているように,ブログ・プロフに個人の特定や生
活圏の特定につながる情報を書くことで,ストーカー被害に遭う可能性があることを説明し,それらの情報を書
き込まないよう注意する。また,ブログなどの「書き手」にとって「読み手」は遠い存在だが,書き込み内容から日
常の行動や情動を知る「読み手」にとって書き手は身近に感じ,ストーカー化しやすいので,注意が必要である。
「出会い系サイト規制法」
(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)
で,子どもでも,金銭目的で交際相手になることを誘うなどの書き込みをすると,それがいたずらであっても罰
せられ,逮捕されることもあるので,絶対にそのような書き込みをしないように注意する。
ネットの向こうの「誰か」を安易に信頼し,個人情報を直接伝えてしまうこと(ダイレクトコンタクト)の危険性
を考えさせる。
私もあなたと
同じ意見よ。
(中1女子)
(中1女子)
(成人男性)
同じだよ
私もあなたと同じ
意見よ。
その気持ちわかる
今度会って話そうよ。
(中1男子)
わかるよ
その気持ちわかる。
今度会って
話そうよ。
23
総括的な指導事項
顔の見える相手と見えない相手,
どちらの人間関係も大切に!
情報社会の倫理
道  徳
道  徳
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
いろいろなコミュニケーションのよ
さを理解する
本事例のポイント
● 人と交流する際には情報を伝えるそれぞれのメディアの特性
を理解し,目的に適したメディアを選ぶことが必要である。
■ パソコンやケータイを用いたデジタルのコミュニケーション
が身近なものになったが,文字だけでは気持ちがうまく伝わ
らなかったり誤解が生まれたりすることもある。
  必要に応じて電話で声を聞いたり,対面で会話したりして,
よりよいコミュニケーションを行うことが大切である。
他への応用
● デジタル・コミュニケーションの特性を理解して,それぞれ
のよさを活かしながら使うことが大切である。
● メールなどデジタルによるコミュニケーションだけでなく,実
際に人に会って話をしたり意見を聞いたりする対面でのコ
ミュニケーションのよさも体得し,対人関係を上手に築ける
能力を育てる。
● 相手の顔を見ながら話し合ったりするテレビ会議やリアルタ
イムで交流を行うチャット,ツイッターなど新しいメディアを
積極的に活用してよりよいコミュニケーション能力を育てる。
ケータイのメールやブログ,掲示板などは,例えば遠く離れている友人や,田舎の祖父母など,普段はなかなか
会うことができない人たちと交流を深める時に役立つ便利な道具である。一方で友人や家族と顔を合わせての会
話を挙げ,対面でのコミュニケーションの大切さを感じさせる。
手段がブログや掲示板でも,情報を伝える相手は,人間である。面と向かって話をする場合と同様に,コミュニ
ケーションを取る相手に対する配慮を忘れないように注意する。
情報機器をうまく使いこなすだけでなく,相手を思いやり,自分の情報発信に責任を持ちながらネット社会をよ
りよくしようとする態度こそ「伝え合う力」であり,このような能力が「情報モラルの実践力」の土台となる。
未来に向けてのポイント
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ブログの有効活用
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/対人関係/ネット社会でのコミュニケーション
●親子のためのネット社会の歩き方/「親子のためのネット社会の歩き方セミナー」教材
教材例
(25 ページ参照)
ケータイの
メールで
ブログで
いいわね∼。
何の役?
今度文化祭でお芝居を
やることになったの。
僕は発表会で
リコーダーをするよ。
お父さんは劇では
その他大勢しか
やったことなかったなぁ。
パソコンやケータイがあればいつでもどこでもコミュニケーションがとれるけれど, もっと家族と話そう!みんなとしゃべろう!
SNS で
パソコンのメールで
掲示板で

Page 13
22
チェーンメールが来たら?
法の理解と遵守
学級活動
技術・家庭科
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
チェーンメールは送らない
本事例の問題点
● チェーンメールが届き,怖くなった。そこでチェーンメール
の指示通り,友人に転送してしまった。
■ 友人に迷惑をかけ,信頼を裏切ってしまった。たとえ悪気が
なくても,結果的に被害を受けた人がいると,加害者になっ
てしまうことがある。
他への応用
● ネット上で他の人になりすましたり,デマを流したり,悪口を
書き込んだりすることは,誰かに被害を与え,加害者になる
行為である。
● 悪気がなかったとしても,
「そうそう」と相鎚を打ったり,他人
の指示に無批判に従ったりすることによって,結果的に誰か
に被害を与え,加害者になってしまうこともある。
※チェーンメール:転送を呼びかけ,鎖のようにつながっていくメールのこと。
不特定多数の人への転送を指示するチェーンメールは,ウソの情報を書いたデマメールの場合がほとんどである
こと,転送が繰り返される度に膨大な数のメールとなって人に迷惑をかけることなどを知らせ,チェーンメール
を受け取ったら,どんな情報であろうとも無視して削除するように指導する。
「献血の呼びかけ」など困っている人への助けを求める内容のチェーンメールについては,困っている人を助け
る仕組みは実際の社会の中に作られていて,ネットを利用しなくてもよいようになっていると説明する。
転送しないと不安になるような内容のチェーンメールを受け取ったときは,家族や教師に相談するように指導
する。不安を緩和するため迷惑メール相談センター等を利用することもできる。
ネット上の掲示板やブログの書き込みなどは,たくさんの人の目に触れ,消えずに残るため,情報を発信すると
きは,十分注意するように指導する。
解決・予防のポイント
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/チェーンメールはカット
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/デマ情報/デマ情報のチェーンメール
●情報モラル研修教材 2005 /体験から学ぶ/アイドルの○●が来るって !!
教材例
(25 ページ参照)
チェーンメールが届いて, 怖いので友人にメールを転送したら, 友人から非難されてしまった。
信じられない!
受信メール
件名:呪いのメール
このメールを 4 人
に転送しないとあな
たは呪われます。
こんなメール
今時転送
しないよ!
やめてよね!
ひどいよね!
11
コラム
ブログ・プロフ・学校裏サイト等の現状
 子どもたちが犯罪などのトラブルに巻き込まれたり,
ネットいじめの場になったり,個人情報流出のもととなっ
たりしているものに,ブログ,プロフ,学校裏サイト,出
会い系サイト等があります。さらに,「出会い系サイト規制
法」の施行後,その代わりとしてゲームサイトのコミュニ
ティ(SNSなど)が利用されるよ
うになってきています。ブログ
やプロフの中では,自分や友達
の顔写真,生年月日や住んでい
るところ,携帯番号,メールア
ドレス,学校・学年・学級,担
任名,日常生活の様子などが安
易に公開されていることもあり,
書いた人を特定して接触するこ
とも可能なものがたくさんありま
す。その結果,性犯罪やネットス
トーカー被害に遭ったり,写真を
アダルトサイトに無断流用され
たりする事案が後を絶ちません。
学校裏サイトでは,特定の個人
や担任,学校などを誹謗中傷し
ているものも数多く存在します。
ネットパトロールの仕方
 上記のような問題サイトを発見し,書き込みの削除依頼
等の対応をするためには,教師やPTA,教育委員会,警
察等が協力していわゆる「ネットパトロール」を行うこと
が有効です。
パソコンでケータイサイトを見るために
 近年の問題サイトは,携帯電話専用サイトが増えてお
り,その場合はパソコンからは閲覧できないよう設定さ
れています。そこで,そういったサイトに自分のパソコ
ンを携帯電話として認識させる「携帯電話エミュレータ」
や「携帯サイト対応Webブラウザ(ホームページ閲覧ソフ
ト)」をあらかじめインストールしておく必要があります。
【携帯電話エミュレータを利用する場合】
 次に挙げる携帯電話エミュレータ名を,検索サイトで探
して,そこに書いてある指示に従ってダウンロード・イン
ストールしてください。
 ●iモードHTMLシミュレータ(ドコモ)
 ●ウェブコンテンツヴューア(ソフトバンク)
 ●Openwave SDK(au)
 イントールすると,右の例のよう
に,携帯電話で見ているのと同様の
画面で,携帯電話専用サイトを閲覧
することができるようになります。
【ブラウザ版エミュレータ】
 「ブラウザ版エミュレータ」で検
索すると,以下のパソコン用Web
ブラウザを使って,携帯電話専用サ
イトを見るための設定方法(導入方
法)を見ることができます。
 ●Lunascape(機能拡張なしで閲覧可能)
 ●FireFox + user agent switcher
 ●FireFox + FireMobileSimulator
問題サイトの探し方
【学校裏サイトチェッカー】
 上記タイトルで検索し,そこから都道府県・市町村,
小・中・高別に,すでに通報されている学校裏サイトを見
たり,発見したものを通報したりすることができます(す
べてが通報されているわけではありません)。
【独自に検索する場合】
 パソコンWebブラウザや「携帯電話エミュレータ」で,
検索サイトから,「プロフ」「ブログ」「掲示板」などでサイト
のトップページを探し,サイト内の検索で学校名や氏名,
その略称・愛称,それらの一部を「○」「☆」などで伏せ字
にしたものなどをキーワードとして,探します。
 ゲームサイトのSNSなど,パスワードが必要な場合は,
会員登録するなどしてから検索するようにしてください。
削除依頼の仕方
 ネットパトロール等で,問題のある書き込みを見つけた
ら,速やかに当該生徒の保護者にその事実を伝え,本人な
らびに保護者に「削除」の意志があれば,以下の手順で削
除請求ができることを伝えます。また,書き込みの当事者
が「校内(自校児童生徒)」の場合は,生徒指導として適切
な指導を速やかに行っておく必要があります。
①画面コピーや写真を撮るなど記録を残す。
②サイト管理者に連絡し,削除を依頼する。
③ サイト管理者が応じない場合は,プロバイダ(接続業
者)に削除を依頼する。
④ 上記②③で対応してもらえないときは,警察や関連団体
(25ページ参照)に相談する。
プロフのイメージ
ネットパトロールについて
エミュレータ例
画像
HN
 あやか
性別
 女
誕生日
 =5/13
血液型
 AB(' ◇ ')
住んでいるところ
 ×××町
 田舎だけど好き!
学年
 =2年1組27番
 女子校最高(^O^)
あやかー

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12
書き込みされた人の
ことを考えて
情報社会の倫理
道  徳
道  徳
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
自分の情報発信に責任を持つ
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ネットで悪口は要注意
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ネットで悪口が罪になる
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ネットいじめは人権侵害
●エル・ネット/ちょっと待って、ケータイ
●文部科学省/「ネットいじめ」に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け)
教材例
(25 ページ参照)
本事例の問題点
● ほんの軽い気持ちでメールを送ってしまう。
■ 仲間で言い合っていた陰口をメールや掲示板などに書き込
む「ネットいじめ」が増えている。一度ネット上に書き込んで
しまうと,学校の外にも広まり,問題が予想以上に大きくな
る。ちょっとしたいたずらのつもりでも,相手にとっては非
常に大きなダメージになる。
他への応用
● メール以外にも,掲示板,オンラインゲームのコミュニティ
サイト,ブログなど,匿名性のあるインターネットコミュニ
ティでは,同様の事態が予想される。
● 悪口などが書き込まれたページを見た人のコンピュータに
は,そのページの情報が自動的に保存される。それを完全
に消し去ることはできず,その悪口などを誰かが別のページ
にコピーするなどして大きく広がり,取り返しのつかない被
害を与えることもある。
ネット上に公開された情報は,誰もが見ることができ,何気なくネット上に公開した情報が,社会に大きな影響
を与えることがあることを生徒に理解させることが重要である。
ICTに詳しい先生だけが取り組むのではなく,学年全体,学校全体で取り組むことが重要である。
指導する先生にとっては,ICTに関する技術的な知識よりも,新聞などに報道されているインターネット上の事
件・事例についての知識の方がより重要である。先生方が事前に新聞記事データベースなどでインターネット上
の事件・事例を収集・蓄積し,学習の場で教師や生徒が効率よく資料を探し出せるようにしておく。
解決・予防のポイント
決定的瞬間だよ!
決定的瞬間だよ!
軽い気持ちでメールしたら,
どんどんみんなに広がって,
これは「ネットいじめ!」いじめを受けた人は
逃げ場がなくなってしまう。
オモシロ瞬間だ!
この写真は,
ひどいよぉ∼
決定的瞬間だよ!
おもしろ写真
決定的瞬間だよ!
おもしろ写真
ドジねえ
21
コンピュータウイルスに
気をつけて
情報セキ
リテ
学級活動
技術・家庭科
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
基礎的なセキュリティ対策の方法を
知る
本事例の問題点
● メールの添付ファイルを実行したら,コンピュータウイルス
に感染した。
■ メールの添付ファイルなど,外部から取り込んだファイルを
実行したら,コンピュータウイルスに感染することがある。
他への応用
● コンピュータウイルスは,メールの添付ファイルの他にも,
CD-ROMやUSBメモリ,ネットからのダウンロードファイル
などから感染することもある。
● コンピュータウイルスに感染したコンピュータから他の人に
メールを送ると,その人のコンピュータにもウイルスを感染
させ,コンピュータを壊してしまうこともある。
ファイルが添付されたメールや,知らない宛先から届いたメールはコンピュータウイルスに感染している恐れが
ある。知らない人からの添付ファイルのついたメールや,怪しいと感じたメールは,開かずにそのまま削除する
ように注意する。
メールソフトで,プレビューを表示しないようにしたり,HTMLメールはテキストのみ閲覧できるようにしたり
するなど,設定を変えることでコンピュータウイルス感染の防壁となる。
ウイルス対策ソフトを購入し,コンピュータにインストールすることを勧める。ウイルス対策ソフトをインス
トールしたら,新たなウイルスを見分けるためのウイルス定義ファイルを常に最新の状態にしておくために,定
期的に更新するように注意する。
プログラムをダウンロードしたり,確認が取れていないUSBメモリを差し込んだりした時は,まずウイルス
チェックをするように指導する。
コンピュータウイルスの被害情報は定期的に公開されるので確認して被害を防ぐ他,もし感染した場合には届け
出ることにより感染被害を拡大させないことが大切である。
アダルトサイトやアイドルのホームページなどでは,ページを見るだけでコンピュータウイルスに感染すること
もあるので,怪しいサイトにはアクセスしないように注意する。
解決・予防のポイント
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/コンピュータウイルスに注意
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/コンピュータウイルス
●情報モラル研修教材 2005 /体験から学ぶ/ Hello!
●インターネット安全教室/ビデオ教材
教材例
(25 ページ参照)
メールの添付ファイル
ウェブサイト
からの
ダウンロード
CD-ROM
ウイルスに感染
ウイルスに感染した
パソコンから
メールを送ると…。
ダウンロード
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
===================
===================
===================
===================
===================
===================
===================
===================
USBメモリ

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20
ネット上の
書き込みには責任を
情報社会の倫理
道  徳
学級活動 他
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
自分の情報発信に責任を持つ
本事例の問題点
● 自分のブログに,近所の店の悪口をおもしろおかしく書き込
んだら,店長から「店に客が来なくなる!」と訴えられた。
■ ネット上で多くの人に情報が伝わることで,店に深刻な被害
を与えてしまうと,営業妨害で訴えられ,損害賠償を請求さ
れることになる。
他への応用
● 友人が自分のブログのアクセス数が少ないと言っていたの
を聞いて,掲示板に友人のブログのURLを勝手に載せたた
めに,友人のブログが炎上してしまったり,メールや掲示板,
チャットでのやり取りがエスカレートして,喧嘩になってし
まったりすることがある。
メールやブログ,掲示板など,ネット上でおもしろ半分でウソや悪口の書き込みをすると,多くの人に迷惑をか
けたり,他人を傷つけたりすることがある。場合によっては大きな事件に発展することもある。ネット上に書き
込みをする時は,その内容に十分責任を持つように指導する。
ネット上では,犯罪が起きた時のために誰が書き込んだのかがわかるように,記録が残っていることを知らせる。
ネット上で書き込みをする時に,
「こんなことを書かれたらどう思うか」を相手の立場になって考えさせる。
解決・予防のポイント
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ネットで悪口が罪になる
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/おもしろ半分では無責任
●警察庁/サイバー犯罪対策/情報セキュリティ対策ビデオ/姿なき侵入者
教材例
(25 ページ参照)
まあ!!
うちのコが!?
このような
ブログをですね
オレブログ
○○レストラン
のスープに!!
この店マズイ
!!
□====
□====
□====
□====
□====
□====
□====
□====
バレた?
オレブログ
○○レストラン
のスープに!!
この店マズイ!!
□====
□====
□====
□====
□====
□====
□====
□====
オレブログ
○○レストラン
のスープに!!
この店マズイ!!
□====
□====
□====
□====
□====
□====
□====
□====
アクセス数を
増やすための作戦
     なのだ!
13
気になる書き込みを
されたら
全への
学級活動
学級活動
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
情報の真偽を確かめ吟味することの
大切さに気付く
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ネットいじめは人権侵害
教材例
(25 ページ参照)
本事例の問題点
● 友人の家に遊びに行ったら,その友人のブログで,遊びに来
たことについてひどいことが書かれていた。
■ これは友人がブログで書いた別の話を自分のことと勘違いし
たために起こったことで,この事例では友人にきちんと相談
したために誤解が解けたが,このようなことがきっかけで友
人関係が壊れ,ネットいじめに発展していく恐れがある。
他への応用
● 最初はいじめではなかったのに,本人やまわりの人たちが騒
ぎ立てることで,問題が複雑化し,本格的ないじめになって
いくことがある。
● ネット上でいじめられていると感じた場合,一人で悩まずに,
友人や家族,教師など,信頼できる人にできるだけ詳しく話
を聞いてもらうようにする。
事実確認をする:Webページの画面やメールの文章などを印刷したりデータ保存したりして,事実をもとに冷
静な目で判断することが必要である。問題となる事実(権利侵害)が確認できた場合は,学級担任などの個々の
教員が抱え込むのではなく,学校全体で組織として取り組み,その問題の影響範囲や被害の程度に応じて警察
などの他機関に相談することも検討する。
被害の拡大を防ぐ:誹謗中傷等の内容が次々に転載されることで,被害の範囲の拡大や深刻化の危険がある。
他のサイトへの転載の有無の確認や,プロバイダへの事実の連絡や削除依頼など,被害の深刻化防止のための
措置を迅速に講じる必要がある。
児童生徒の状態に留意する:問題解決のためには,児童生徒の判断で行動せずに,親や教師に相談して行動さ
せる必要がある。また,被害者や加害者となった児童生徒の状態に留意し,心のケアが必要な場合は専門的な
カウンセリングを受けられる機会や機関を紹介する。
対応の留意点:ネットいじめ等の事例では,当事者同士の権利関係が複雑になる場合が多い。学校が行う「指
導」の法的根拠や「対応しうる範囲」を明確にして,法的対抗措置・指導・助言・相談等を行う必要がある。
ネット上で自分について不快な書き込みを見ても,相手にしないように指導することが重要である。感情的に反
応して,むやみに反対意見を書き込んだりすることで,さらに書き込みがひどくなることもあるので注意する。
ネットいじめの被害について児童生徒や保護者から相談された場合は,次の事項を参考にして対応するとよい。
解決・予防のポイント
ニャ∼
ちがうよォ,アレうちに
来る野良猫の話だよ!
ゴメン,なんか
勘違いさせちゃった?
ひどい言葉を目にしても,一人で悩まないで相談したらすぐに解決することかもしれない。
遊びに行ったら,
 こんなこと
  書かれた∼!
うちに遊びに来るコで
すごく変な子がいるの
勝手に家に
入ってきたり、
ごめんね∼変なヤツで。
でもあーゆーことは
直接言ってほしいな
何?
何のこと?
え!?

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14
迷惑メールに気をつけて
全への
学級活動
学級活動 他
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
安易な返信やクリックの危険性を知る
本事例の問題点
● 知らない人から広告や宣伝のメールが届く。
■ 送信を断るメールを返信すると,そのメールアドレスが使わ
れていることを相手に教えることになってしまい,別の広告
メールが届くようになり,かえって迷惑メールが増えてしま
う。
他への応用
●「おもしろそうだ」「どんなサイトかな」などと興味本位に,
メールに書かれているURLを不用意にクリックすると,Web
ページを表示するだけでコンピュータウイルスに感染したり,
出会い系サイトやフィッシングサイトに誘導されたりする危
険性がある。
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/スパムメールは無視
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ワンクリック不当請求に気をつけて
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/電子メール/知らない人からのメール
●情報モラル研修教材 2005 /体験から学ぶ/突然のメール失礼いたします。
●インターネット安全教室/安全教室の教材/迷惑メール疑似体験コンテンツ
教材例
(25 ページ参照)
メールアドレスを不用意に公開しないように指導することが重要である。不用意にメールアドレスなどの個人情
報を公開すると,自動収集され,迷惑メールの送信に利用されてしまう。インターネット上の掲示板,自分の
Webサイトなどはもちろん,街頭でのアンケート,店の会員登録などにも注意が必要である。
知らない人からのメールには,絶対に返信や転送をしないように指導する。誤って返信や転送をすると,連鎖被
害の危険が生じるので,注意が必要である。
迷惑メールの拒否機能を利用するように指導する。迷惑メールを拒否する効果的な手段として,プロバイダや携
帯電話会社が提供する迷惑メールの拒否機能がある。契約しているプロバイダまたは携帯電話会社のWebサイ
トなどでサービス提供の有無を確認の上,利用する。
解決・予防のポイント
受信 BOX
Re: お得な情報
Re: お得な情報
Re: お得な情報
Re: お得な情報
Re: お得な情報
Re: お得な情報
Re: お得な情報
知らない人からメールが来たので送信をやめるように返信したら,
逆に迷惑メールが増えた。
to .(株)○×○×
件名:Re:
お得な情報
このようなメールは
大変迷惑です。
もう送信しないで下
さい。
19
勝手に使ってもいいの?
(著作権の侵害)
情報社会の倫理
学級活動 他
美術・音楽 他
情  報 他
小 学 校
中 学 校
高等学校
著作物を大切にする
本事例の問題点
●友人の描いた絵を自分のブログに勝手に載せた。
●友人から「勝手に使わないで!」と責められた。
■ 本人の許可なしに勝手にイラストなどの著作物をネット上に
公開すると,著作権の侵害になる。
他への応用
● 著作物のパロディなど,一部改変を加えたものでも,著作権
侵害の恐れがある。
● キャラクター商品の写真利用やロゴマークの使用について
は,著作権侵害だけでなく,不正競争防止法などの法律に触
れることがある。
許諾が必要なものについては,著作権者または著作権の管理団体などに許諾の取り方を尋ね,使用許可を得るよ
うに指導する。
自分の著作物を補強するために,報道・批評・研究など公表された他人の著作物を引用することができることを
理解させる。引用の際には,引用を行う必然性があること,自分の著作物が大部分で引用箇所は全体の一部分で
あること,どこまでが引用部分であるのかを明確に示すこと,出典を明らかにすること,といった条件を満たす
必要があるので注意する。
著作物を使用する場合には,まず,許諾を得る必要があるものを明らかにして,その判断が間違っていないか教
師に確認するように指導する。
著作権は人間の創作活動によって作り出された著作物を保護することが目的なので,
「著作権者以外はその著作物
を利用してはいけない」ということではないこと,他人の著作物を勝手に自分のものにしたり,無断で使ったり
すると著作権侵害となるが,著作権者に許諾を得ることで利用できることを理解させる。
解決・予防のポイント
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/他人の絵や文章のコピーは要注意
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/著作権
●情報モラル研修教材 2005 /体験から学ぶ/ファイル共有ソフトを使ってみよう
●著作権情報センター/コピーライト・ワールド
●著作権情報センター/資料もそろっています/無償パンフレット
教材例
(25 ページ参照)
あたしのブログ
見てね!
わぁ, りなちゃんのイラスト
かわいいー!!うちのブログに
         アップしちゃお!
あ, コレもコレも
もらっちゃお!
ヒドイよ!!
勝手に公開するなんて
てゆーか勝手に
コピペしない!!
ことわるのが
マナーでしょ!
ゴメン∼!

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18
勝手に載せてもいいの?
(肖像権の尊重)
情報社会の倫理
学級活動
学級活動
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
肖像権の大切さに気付く
本事例の問題点
● カメラ機能付きの携帯電話で友人の写真を勝手に撮影し,
ネット上に載せた。
●友人から「勝手なことをするな!」と怒られた。
■ 本人の許可なしに勝手に写真を撮影し,ネット上などで公開
すると,肖像権の侵害になる。
他への応用
● アイドルやスポーツ選手など,有名人の写真を勝手に自分の
ブログなどで公開することもいけないことである。
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/肖像権に気をつけて
●情報モラル研修教材 2005 /体験から学ぶ/自作ホームページ
教材例
(25 ページ参照)
勝手に撮影されたり利用されたりすることは誰にとっても嫌なことであること,人にはそれぞれ「肖像権」があ
り,勝手に自分の顔や姿を利用されないように保護されていることを説明し,カメラで人を撮影したり,撮影し
た写真をネット上に公開したりする際には,相手に許可を得るように指導する。
アイドルやスポーツ選手などの氏名や写真はネット上に数多く掲載されているが,このような人の場合にはその
氏名や肖像に財産的な価値があり,それを勝手に利用されないための営利的肖像権としてパブリシティ権がある
ので,注意が必要である。
解決・予防のポイント
ゴメンなさいーっ
どう!
オレの
クラスのおもしろ顔
トップ10!!
□XXXX
□XXXX
□XXXX
□XXXX
□XXXX
□XXXX
□XXXX
□XXXX
ホームページ
勝手に友人の写真を撮影して勝手にネットに公開したらものすごく怒られた。
肖像権
  侵害!!
ヒトの顔を勝手に
 世界に発信するな!!
15
高額請求されたら
全への
学級活動
学級活動
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
架空請求・不当請求への対処法を知る
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ワンクリック不当請求に気をつけて
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/会員登録/流用された個人情報
●情報モラル研修教材 2005 /体験から学ぶ/思いがけない請求が来た!
●インターネット安全教室/ビデオ教材
教材例
(25 ページ参照)
本事例の問題点
● メールや宣伝に興味を覚えて,指示通りクリックしたら,会
員登録されていて,料金を請求された。
■ まったく身に覚えのない架空請求メールであれば無視でき
るが,一度でもアクセスしてしまうと「身に覚えがある」た
め,送られてきた不当請求メールを単純に無視できないこと
もある。
他への応用
● このようなサイトは,出会い系サイトやアダルトサイトである
ことが多い。また,詐欺のための架空のサイトであることも
あり,クリックしただけで,利用料金を請求されることもある。
●「他者(大人)に相談すること」がワンクリック詐欺や架空請
求など「ネットトラブルの解決への重要な鍵」になることを
押さえておきたい。
利用規約に「規約に同意し,クリックした時点で自動登録されます」という記述があったとしても,
「事業者は消
費者に対して申し込み内容を再度確認させるための画面を用意する必要がある」という電子消費者契約法により,
この契約の無効を主張することができる。
一般的には,クリックする前に利用料金や利用規約について明確な説明がなかったり,事実と異なる説明により
クリックさせ,
「登録完了」や「料金請求」を表示させたりするなどして行われる請求は,契約自体が無効となる。
自動登録画面が表示されると,携帯電話の場合は個体識別番号,パソコンの場合はIPアドレスが表示されるこ
とがある。このような特定の情報が表示されると,自分の個人情報が相手に知られてしまっているのではないか
と不安になるが,この場合に個人情報が漏れてしまうことはない。
請求のメールが来たときには,無視することが一番の対処方法である。相手の連絡先が記載されていても,自分
から連絡しないことが賢明である。自分の個人情報を知らせることになるからである。あまりにもしつこかった
り悪質だったりする場合は,最寄りの警察か消費者センター等に相談する。
あるサイトを見ているとき,何気なく画面をクリックしたとたんに,登録画面が表示されたり,利用料金を請求
されたりする手口を「ワンクリック詐欺」
「ワンクリック不当請求」と呼んでいる。
解決・予防のポイント
受信メール
件名:
お客様へお知らせ
2.・・・・・・・
3.・・・・・・・
4. このサイトは、クリッ
クした時点で
自動登録
れます。
5.・・・・・・
自動登録!?
え!?少し見ただけなのに
お金を払えだって?
30,000 円も?!

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16
個人情報の扱いは慎重に
全への
学級活動
学級活動 他
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
個人情報の大切さに気付く
本事例の問題点
● ネット上で,名前や住所,電話番号を入力すれば,簡単にプ
レゼントに応募できる。
■ プレゼントに関するサイトがすべて本物だとは限らない。入
力した個人情報を悪用され,勧誘電話や広告の郵便物,迷
惑メールなどが大量に届くことがある。
他への応用
● 名前や住所,電話番号,メールアドレスなどの個人情報が
ネット上に出回ると,決して取り返すことができない。悪用
されると,本人になりすまして借金をされるといったことも
起こる。
● プレゼントへの応募の他にも,占いサイトやファンクラブ,プ
ロフなどのふりをして,個人情報を集めて悪用されることも
ある。
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/住所や電話番号をおしえるのは慎重に
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/個人情報
●情報モラル研修教材 2005 /体験から学ぶ/誰でも当たる!懸賞コーナー
教材例
(25 ページ参照)
※個人情報:名前や住所,電話番号,生年月日,メールアドレス,家族構成,購買履歴など,特定の個人を識別することができる情報。
掲示板やチャットでは,自分と相手だけの会話でも誰が見ているかわからないので,不用意に個人情報を書き込
んだり,ネットで出会っただけのよく知らない人に決して伝えたりしないように指導する。
会員制であっても,ブログやプロフの個人情報は安全ではないことを指導する。
個人情報の登録を求めるサイトでは,サイトの運営事業者が実在しているか,サイトに不審な点がないかなど,
信頼度をチェックしてから利用するように指導する。
友人が何気なく掲示板で携帯電話の番号を知らせてしまったり,ショッピングサイトで会員情報が盗まれたり,
個人情報を収集しているサイトで会員登録をしてしまったりするなど,個人情報はさまざまなところから流出す
る。情報が流出した場合どのようなトラブルが発生するかを常に考えて,普段から個人情報を伝える際は必要最
低限の情報に留めるように指導する。
解決・予防のポイント
DM
メール
受信ボックス
受信ボックス
□ XX△ ○X○○○△○○○○  △△△△
□ XXX ○○△○X○○○△○○ X○X○
□ △XX X○○○○○X○X○○ XXXX
□ XXX ○○○○○△○○X   XXX
□ X△X ○X○△○○○○○○○ △○X○
□ XXX ○△○○X○X○○△○ △△X○
□ XX△ ○○X○○○○△X○X X○X○
DM
DM
ただのプレゼント応募だと思っても,自分の住所や電話番号を悪用されることがある。
DM(ダイレクトメール)による
広告が毎日たくさん
届くようになった。
セールスの
電話が頻繁に
かかって
くるように
なった。
プレゼント応募フォーム
氏 名
○○田 XX次郎
住 所
メール
アドレス
〒000-0000
XXXXXXXXXXXXXXX
XX-XX-XXX
XXXXX@XXX.XX.XX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
□XXXXX
DM
DM
DM
DM
もういりません!
入力!
迷惑メールが多くて
削除が大変!
17
使いすぎに気をつけて
全への
学級活動
保健体育
情  報
小 学 校
中 学 校
高等学校
情報機器の使いすぎによる健康被害
を知る
本事例の問題点
● 時間を忘れてメールのやり取りやオンラインゲーム,ブログ,
プロフへの書き込みをする。
● 時間も場所もかまわず,携帯電話を使うようになる。
■ 寝不足になって体調を崩したり,まわりの人に迷惑をかけた
りしてしまう。
他への応用
● 携帯電話やコンピュータを使ってのネット上のコミュニケー
ションに偏ってしまうと,生活のリズムを崩すだけでなく,健
康面でも変調をきたすことがある。このような状態が続く
と,対人関係が壊れたり,経済的な損害が発生したりするこ
ともある。
●ネット社会の歩き方/「学習ユニット」教材/ネット依存に注意
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/健康問題
●情報モラル研修教材 2005 /事例から学ぶ/対人関係/深夜のネット利用
教材例
(25 ページ参照)
※ネット依存:実際の生活の中で人と関わるより,ネット上のコミュニケーションに偏る状態。
携帯電話の画面を見ながら道路を歩いたり自転車を運転したりしない,電車の中などで通話をしないなど,公共
の場所では,まわりの人に迷惑にならないように指導する。
携帯電話会社が,深夜から早朝のサイトアクセスを制限するサービスを提供するなど,子どもの携帯依存を回避
し,安全・安心な使い方に配慮する対策を講じているので,それらのサービスを保護者が適宜活用するよう指導
する。
コンピュータを使ってのオンラインゲームやネット上でのコミュケーションの依存症についても,携帯電話と同
様にルールを決めるように指導する。
保護者と相談して,児童生徒の携帯電話の使用について,例えば次のようなルールを決めるように指導する。
・自宅内では居間やリビングで使い,自分の部屋では使わないこと。
・食事中や人と話している時,深夜の時間帯には使用しないこと。
・一定の金額以上使用しないこと。
・学校での使用については学校のルールに従うこと。
・ルール違反や携帯電話の使用によって生活に支障が生じている場合には携帯電話の使用を停止すること。
解決・予防のポイント
GAME
ちょっと
待って!
またあ?
ピピピ
ピピピ
人と話していても。
いつだってどこだって,気になるのはケータイのことばかり
電車の中でも。
道を歩いていても。
GAME
GAME
GAME