用する学習活動の際に,情報モラルも併せて指導するこ
とになります。
また,公民的分野の解説には,「『情報化』では,大量の
情報の活用によって経済などの仕組みや社会生活が変化
してきていることや,その中で個人が主体的に情報を収
集,処理,判断,発信するなどの情報を活用する力や情
報モラルを身に付けていくことなどが大切となってきて
いることなどに気付かせる」と書かれています。公民の授
業の中では社会の情報化と関連付けながら情報モラルの
指導を実施することになります。
●音楽の本文では「音楽に関する知的財産権について,必
要に応じて触れるようにすること」と書かれているので,
音楽で著作権教育を行うことになります。
●美術の本文でも「美術に関する知的財産権や肖像権など
について配慮し,自己や他者の創造物等を尊重する態度
の形成を図るようにすること」という記述があり,音楽と
併せて知財教育を美術で推進することになります。
●保健体育の本文では,「コンピュータなどの情報機器の
使用と健康とのかかわりについて取り扱うことも配慮す
るものとする」と書かれています。いわゆるテクノストレ
スへの対応など情報機器の使用と健康被害について保健
体育で学習します。
●技術・家庭の本文では「著作権や発信した情報に対する
責任を知り,情報モラルについて考えること。」と書かれ
ています。中学校ではこの技術・家庭が情報モラルを指
導するための中心となる領域になると考えられます。
●道徳の本文では小学校と同じように「…情報モラルの指
導に留意すること」と書かれています。このため,小学校
と同じようにすべての学年で道徳の授業の中で情報モラ
ルを指導することになります。
●特別活動の「学級活動」の解説には「集団生活における
ルールやマナー,自由と責任及び権利と義務,情報化社
会におけるモラルなどの題材を設定し,道徳の時間との
関連も図りながら展開していくことが重要である」と記
載されています。「道徳の時間との関連も図りながら」と
あるように,中学校では「道徳」,「学級活動」そして,情
報教育の中核となる「技術・家庭」の情報分野が3つの柱
となります。また,「総合的な学習の時間」でも横断的・
総合的な課題に取り組みつつ,各教科等で情報モラルの
指導を充実させていくことが大切です。
情報モラルは,特定の学校,特定の教師だけが実施す
るものではなく,すべての学校すべての学級で実施され,
児童生徒が等しく習得すべき基本的な能力です。
すべての児童生徒に情報モラルを身に付けさせるため
には,まず情報モラルの指導内容に偏りが出ないように
しなければなりません。そのためには「モデルカリキュ
ラム表」(8∼9ページ)を参考にして,「2領域5分野」の
内容が年間指導計画に取り入れられているか確認します。
また,指導の重複や飛躍を生じさせないために,指導
内容の系統化と標準化が求められます。どの学年でどの
ような内容を指導するのか,発達段階に応じて指導内容
を積み上げることが系統化です。それと同時に,同じ中
学校に進学した際の生徒のレベルをそろえ,中学校で同
じスタートラインに立たせるために,中学校区や市町村
教育委員会で統一したカリキュラムを編成することも大
切です。これが標準化です。情報モラルの年間指導計画
は,これら体系化・系統化・標準化を意識しながら作成
することが望まれます。