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近畿大学医学部脳神経外科|ハイテクを医療に活かす
インフォームドコンセント

三叉神経痛に対する手術的(外科的)治療法について

三叉神経血管減圧術を受けられる患者さん、家族の皆様へ

神経血管減圧術について

これは、簡単に申し上げますと、三叉神経痛の原因となっている脳深部血管の三叉神経への圧迫を手術によって取り除く(神経血管減圧術)という方法です。

手術の方法

1)全身麻酔下に、三叉神経痛のある側と同じ側の耳の少し後ろ(乳様突起部)の皮膚を縦に約7センチ切開したあとその下にある頭蓋骨の一部に五百円硬貨位の大きさの穴を開けます。
2)手術用顕微鏡下に、その骨窓より小脳と呼ばれる脳実質と頭蓋骨との隙間に沿って滑り込むように視野を進め、脳深部にある三叉神経に到達します。
3)慎重に三叉神経痛の原因となっている血管や構造物を捜し出し、それらを注意深くかつ丁寧に三叉神経よりはがして圧迫を取り除いたのちに、柔らかいクッションとなる合成化学繊維(テフロン繊維など)をその部に挿入して再び圧迫が加わらないようにします。
4)切開した硬膜(脳を包む硬い膜)や取り除いた頭蓋骨窓周囲を修復し、皮膚の切開部を丁寧に縫合して手術を終了することになります。

近年になって、三叉神経痛の約95%以上の原因が動脈硬化を生じた血管の三叉神経への圧迫であることが明らかになってきたことから、この様な三叉神経痛に対する外科的治療法(神経血管減圧術)は、病気の根本原因を治療するといった意味で、いたって合理的な治療法と考えられ、手術そのものの危険性(合併症)が少ないという条件を満たす限りにおいては、近年の主たる治療法となっていると云うことが言えると思います。そこで、これからこの手術を受けようとする皆さんに、この外科的治療法(神経血管減圧術)の有効性と危険性について説明します。

外科的治療法(神経血管減圧術)の有効性について

1967年にアメリカのジャネッタ医師が最初にこの治療法を発表していらい、多くの施設でその有効性が確認されていますが、おしなべてその有効性を概算すると、90から95%の患者さんが重大な合併症を生じることなく、術後完治(痛みの長期の完全消失)していると考えられています。

外科的治療法(神経血管減圧術)の危険性について

よく知られている脳腫瘍、脳動脈瘤などの手術に比べ、その危険性は通常低いと考えられますが、そのなかで今回の手術の特殊性を考え併せたその危険性を説明することとします。

1)麻酔、輸血、薬剤などによるショック、肝炎の感染の危険性
開頭手術のためには麻酔薬、抗生物質をはじめ様々な多くの薬剤を使用します。これらの薬剤は高い安全性が確立されていますが、人によっては使用した薬剤に対し過敏な反応ショック(薬剤アレルギーや予想しえない副作用を生じることがあります。
手術時、皮膚切開などからの出血をできるだけ少なくすることを心がけおり、またこの手術自体が出血性の手技ではありませんので、通常は輸血を必要とすることはありません。しかし、予期せぬ部位からの出血などにさいしては輸血をする必要が生じることがあります。この際に必要な輸血用の血液は病院で用意しています。もちろん、これらの血液はすべてB型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィル、エイズウィルス、梅毒の検査がすべて陰性のものです。しかし、これらの検査は100%完全ではなく希に輸血によりこれらの感染症にかかることがあります。

2)術後難聴、耳鳴り、顔面神経麻痺の危険性
三叉神経は脳深部で聴神経と呼ばれる耳の機能(聴力、平衡機能)をつかさどる神経と顔面神経と呼ばれる、顔面の表情を作ったり眼瞼を閉じたり口を閉じたりする機能をつかさどる神経の近接を走行しています。なかでも聴力に関係する神経は、大変繊細で、様々な外力などのストレスに弱いため術後にその機能的な異常と考えられる、軽度の難聴、耳鳴りなどが、生じることがあります。顔面神経もまた様々な外力などのストレスに弱く眼瞼を閉じたり口を閉じたりができなくなったりすることがあります。術中、これらの神経に対しては、とりわけ慎重にまた愛護的に取り扱うことに全力を尽くしていますが、とくに高齢者の患者さんに生じやすい傾向があります。

3)術後髄液漏、中耳炎
手術の際に、削る頭蓋骨の場所は、乳突蜂巣と呼ばれる、耳や鼻に開口部をもつ空気の通り道がよく発達した場所です。そこで、これらの場所の手術終了時の修復には充分な注意を払い慎重に行っているのですが、乳突蜂巣の発達の程度の個体差、形の違いなどから術後にこの空気の通り道を通じて髄液漏(脳を満たしている水の一部が脳の外にもれ出すこと)やその結果、中耳炎を生じることがあります。更にはそれが原因となって、髄膜炎などの感染が生じることもあり、再修復を余儀なくされることがあります。

4)感染
生体は皮膚、粘膜などに被われ外からの微生物の侵入を防いでいます。開頭手術により脳、硬膜、皮下組織などが露出されてしまいます。我々は無菌手術を心がけていますが、手術の際微生物の侵入を100%ゼロにすることは現在の医学水準からは困難です。従って、術中、術後にこうした微生物を殺す薬剤すなわち抗生物質を投与しています。多くの患者さんではこうした治療により術後感染の問題は生じませんが、患者さんの抵抗力が弱かったり、抗生剤の効き目が悪かったりすると術後、細菌性髄膜、脳膿瘍、皮下膿瘍、硬膜外膿瘍などの感染性合併症を生じる可能性があります。

5)手術中、手術後の頭蓋内出血、脳梗塞、脳損傷とそれに起因する神経症状
我々が計画している手術に関して、これら合併症が生じる可能性は決して高くはありませんが、一度生じた場合には、最も重篤な合併症と考えられます。術中は、これらの合併症を生じる原因となる、血管の損傷や脳の不要な牽引などを起こさないよう最大限の注意を払っていますが、患者さんの血管や神経走行などの解剖学的な差異、三叉神経痛を引き起こしている責任血管の種類によって手術そのものの難易度が異なることから、これらの予期せぬ合併症を生じることがまれにあります。そのため術後の患者さんの状態を注意深く観察するとともに各種のモニターによるチェック、CT等のレントゲン検査を適宜行い、患者さんの術後状態の把握に努めています。また、これらの合併症が生じた場合には、再手術を含めた必要な治療を適宜行っています。

6)糖尿病、高血圧、肺気腫、胃潰瘍、パーキンソン病、内分泌疾患、精神疾患など様々なこれまで顕在化していなかった疾患が手術を契機として発症することがあります。また患者さんがこれまで既往疾患として持っていた病気がより重くなることもあります。

7)まれに手術時間が長くなり同じ体位をとり続けると、手術台などの器具に接触している手足、体部、胸部などに褥創を生じることがあります。

8)手術で頭蓋骨を一部切除するため、耳介後部(乳突部)が変形し、稀に美容上問題を生じることがあります、また手術創部に永く痛みが残ること(術後のハンコン形成のため)もあります。

9)その他予想外の合併症

我々は厳重な術中、術後管理を行って、こうした合併症の発生を防止するよう努力しますが、残念ながら予想できない事態が起こってこうした合併症を生じることがあります。その結果、最悪の場合は死亡したり、重い神経後遺症を生じる可能性もあることを否定することは出来ません。

予期した手術計画に相違して、手術侵襲が拡大する可能性について

1)手術前の検査にて発見できなかった、病気(たとえば脳動脈瘤、脳腫瘍など)が偶然手術操作中に見つかった場合、その病気に対する治療を行います。

2)先に述べましたように、手術中頭蓋内出血を生じ出血が止まらないときなどの緊急に対処が必要な場合、小脳の一部を切除することがあります。

これらの場合には、予定していた手術よりも手術侵襲が拡大することもあります。

我々は一回の手術にて完全な三叉神経痛の治癒を目標としていますが、まれに術後の再発があります。その原因として、あるとされる三叉神経痛の責任血管が発見出来なかった場合、またクッションとして挿入した化学繊維がなんらかの原因で脱落した場合などが考えられます。また、無理をして神経血管減圧を行うことによって、重要な動脈、脳神経組織が損傷され、術後重い後遺症がでる可能性が高いと判断した時には、手術をその時点で中止することもありえます。このように、三叉神経痛が一回の手術で治療できなかったときには再度手術を計画するか、また別の治療法を計画し患者さんに再び説明いたします。

患者さん、家族の方が我々の計画している治療法を拒否され別の治療法を選択されても、拒否したことにより不利益は被りません。すなわち治療途中で退院を早めるとか、あるいは今後、診療治療を行わないなどのことは決して我々はしません。また、いったん我々の予定している治療法に同意された後でも患者さん、家族の方がこれを拒否され別の治療法を選択されてもその理由で患者さんに不利益は被ることはありません。