噴火が起きるとどうなるの?

東日本大震災以降、日本には多数の火山の噴火が懸念されています。大規模な噴火に備えて、必要な知識を学びましょう。

いきなりドッカーンと噴火するの?

火山の噴火はある程度予測可能です。

一般的には噴火の前から予兆が見られます。
気象庁では全国110の活火山の活動状況を監視し、噴火の予兆について調べています。
ただし、噴火予知の技術はまだ不完全であるのと、兆候無く噴火ないし爆発がおきる現象が世界各地の火山で報告されています。

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予兆の例:

  • 人間が感じることのできない地震が山の中で起きる。
  • 人間が感じることのできる地震が山の中で起きる。(マグニチュード2〜3程度のものが頻発することから始まり、マグニチュード5以上のものも発生する場合がある)
  • 山体が膨張したり、地殻変動が起きる

気象庁:各火山の活動状況リンク

実際に噴火が目の前で起きたら?

逃げる時間がないまま命を落とすことも

2014年9月27日、御嶽山噴火では多数の死者・行方不明者・負傷者を出し、大変悲しい結果となってしまいました。
なぜそれほどの被害が起きたかというと、噴火の予兆に気づくことなく、多数の方が火口付近にいたからです。
実際に噴火が始まった時の火口付近では「大きな噴石」「火砕流」「融雪型泥流」といった、逃げる時間もなく人々を襲う災害が発生する可能性があります。

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大きな噴石

発的な噴火によって、火口から吹き飛ばされた岩石などが落下してくる現象です。
直径50cm以上の大きな噴石は、風の影響を受けずに短時間で落下します。火口から出てくるときのスピードが200m/sを超える場合もあります。
火口から2km〜4kmに多数飛来し、建物の屋根を壊したり、登山者が死傷する被害が出ます。

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火砕流

火山灰や岩塊、水蒸気、空気などが、高速で地表を流れてくる現象です。
最も速いところでは時速100kmを超えるため、人間の足では逃げきることができません。
火砕流の温度はとても高く、600℃以上を超えることもよくあります。

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融雪型泥流

雪が積もっている寒い季節に噴火が起き、火砕流などの熱で雪が一気に溶かされると、発生した大量の水が土砂や岩石を巻き込んで山頂から一気に流れてきます。
その速さは時速60kmを超えることもあり、最大で100km以上の距離を流れます。
火山周辺の広い範囲で被害を受けます。雪が降っている時期に噴火した場合は要注意です。

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「大きな噴石」「火砕流」「融雪型泥流」に対しては、災害が起きる前に対策をとっておく必要があります。

噴火の防災対策についてはこちらをチェック↓

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その他の噴火災害

溶岩流

高熱の溶岩が斜面を流れ、家や道路を埋め、近くの木々を燃やします。
流れの速さは人が歩く程度なので溶岩流を確認した後でも逃げることは可能です。

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火山ガス

火山ガスはマグマに溶け込んでいたガス成分が気体となって吹き出すもので、二酸化炭素や二酸化硫黄(亜硫酸ガス)などの有毒な成分を含むことがあります。
火口などガスが出ている周辺や窪地などのガスがたまりやすい場所には近づかない等の警戒が必要です。

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小さな噴石

噴火の規模が大きい場合、火口から10km以上離れた遠くでも風に流されて小さな噴石が落下してきます。
1707年の富士山宝永噴火では、火口から10km離れたところでも20センチ程度の噴石が飛んだという記録が残っています。
当たりどころが悪ければ、人が死傷する場合があります。

火山灰

細かく砕けたマグマが空高く吹き上げられ、風に乗って遠くまで運ばれます。
特に火口の近くでは50センチ以上厚く積もり、ほとんどの木造家屋を倒壊させる程の重さになります。
人体に健康被害を与えるほか、飛行機のエンジントラブルを起こしたり、農作物被害などにつながります。

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広い範囲で被害をもたらす「火山灰」

広大な範囲で被害をもたらすものは「火山灰」です。
噴火の規模によっては数十km〜数百km離れた場所まで火山灰は風に乗って飛ぶので、例えば富士山が噴火した場合は首都圏にも被害が及びます。

(例)富士山噴火時の降灰の可能性マップ

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富士山火山防災協議会「富士山火山防災マップ」より

火山灰は「灰」と書きますが、タバコの灰のような燃えカスではありません。実際はマグマが細かく引きちぎられてできた「ガラス片」です。
この「ガラス片」が大量に周辺地域に降ってくるとどうなるでしょうか。

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アメリカ合衆国内務省・アメリカ地質調査所
アメリカ地質調査所 Volcanic ash
内閣府「火山灰から身を守るための対策」
国際火山災害健康リスク評価ネットワーク製作パンフレット「GUIDELINES ON PREPAREDNESS BEFORE, DURING AND AFTER AN ASHFALL」
産業技術総合研究所 つくば中央第七事業所 宮城磯治「火山灰への備え」
防災科学技術研究所製作・パンフレット「火山灰から身を守ろう」
筑波大学大学院システム情報工学研究科・都市防災研究室,鉄道建設・運輸施設整備支援機構製作・パンフレット「火山灰被害を軽減するために」
小山真人著「富士山噴火とハザードマップ-宝永噴火の16日間」
伊藤和明著「地震と噴火の日本史」
神沼克伊・小山悦郎著「日本の火山を科学する-日本列島津々浦々、あなたの身近にある108の活火山とは?」
鎌田浩毅著「火山噴火ー予知と減災を考える」
鎌田浩毅著「地震と火山の日本を生き延びる知恵」
鎌田浩毅・高世えり子著「もし富士山が噴火したら」
富士山火山防災協議会「富士山火山防災マップ」
鎌田浩毅著「富士山噴火-ハザードマップで読み解くXデー」
関谷直也・廣井脩 「富士山噴火の社会的影響:火山灰被害の影響についての企業・行政調査
木村政明「富士山大噴火!不気味な5つの兆候」
木村政明・山村武彦著「富士山の噴火は始まっている!」

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