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健康面からみた 身体活動・運動の効用とその活用
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疾病予防および健康に対する
身体活動・運動の効用と実効性に影響する要因
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科
内藤義彦
運動基準・指針の改定
のための検討会資料
内藤構成員提出資料
運動基準改定検討会
H 2 4 . 1 1 . 2 7

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運動の効用
身体活動・運動が多くの生活習慣病を予
防・改善し、健康の維持や介護予防に効果
的なことは、いまや常識です。
右の表は、科学的根拠のあるものについ
て、運動の効用をまとめたものです。単に
身体面だけでなく、精神的、心理的、社会
的効用もありますから、いかに幅広い効用
が期待できるかをまず知っておいてくださ
い。
1. 動脈硬化性の病気、特に心筋梗塞の危険性を減少
2. 体脂肪を減らし体重のコントロールに有効
3. 脂質異常症(低HDLコレステロール血症、高トリグリセラ
イド血症)の予防・改善に有効
4. 高血圧の予防・改善に有効
5. 糖尿病やメタボリックシンドロームの予防・改善に有効
6. 骨粗鬆症による骨折の危険性を減少
7. 筋力を増し、色々な身体活動の予備力が向上
8. 筋力とバランス力を増やし、転倒の危険性を減少
9. 乳がんと結腸がんの危険性を減少
10. 認知症の予防・改善に有効
11. 睡眠障害の改善
12. ストレスの解消、うつ病の予防・改善に有効
13. シェイプアップし、自己イメージが改善
14. 家族や友人と身体活動の時間を共有
15. 良い生活習慣が身につき、悪い生活習慣を止めるのに有効
16. 老化の進行を防ぎ、QOL(生活の質)の改善に有効

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適切な身体活動の健康に対する影響
影響を受ける機能
効果のメカニズム
医学的効果
過剰の危険性
循環器系
血圧正常化、心拍出量増加、血流増加、
心拍数低下、不整脈減尐、線溶系亢進
動脈硬化性疾患罹患リスクの低下
一時的な血圧上昇や不整脈、虚血
の誘発
呼吸器系
肺活量の増加、換気量、ガス交換の増加
COPDの症状改善、肺がん罹患リスク
の低下?
運動喘息
代謝系
HDLコレステロール上昇、TG低下、尿酸低下、
インスリン抵抗性改善
動脈硬化性疾患罹患リスクの低下
高血糖、痛風発作の誘発
体組成
消費エネルギー量の増加、筋肥大、脂肪の減
体重、体脂肪と内臓脂肪の減尐、筋肉
量の増加、動脈硬化性疾患罹患リスク
の低下
やせ、無月経
筋・骨格系
筋肥大、骨形成促進、筋力増強
転倒リスクの低下、骨粗鬆症、ロコモ
ティブ症候群の防止
怪我、疲労骨折、オーバーユース症
候群
認知機能
脳血流量の増加、ニューロンの増加、等
認知症罹患リスクの低下
睡 眠
体温の上昇、抗不安作用
睡眠障害の改善
睡眠の質に悪影響?
神経・筋協調
協調運動能の改善
転倒リスクの低下、ロコモティブ症候群
の防止
自律神経系
自律神経機能の調整
不定愁訴の減尐、便秘の解消等
自律神経失調症状の誘発
心理的影響
脳内伝達物質の調整、ポジティブな反応
うつ状態や不安気分の改善
ランナーズハイ
免疫機能
免疫機能の調整
免疫機能の強化?
感冒罹患リスクの上昇
その他
摂食や不活動の機会の減尐
生活習慣病罹患リスクの低下、静脈血
栓塞栓症発症リスクの低下
怪我、脱水、等

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「メタボリックシンドロームに対する
身体活動の効果」の論点
1)効果とは?
2)メタボリックシンドロームは独立した疾
患なのか?
⇒ もしそうでないとしたら、個々の病
態に身体活動は効果があるか?
⇒ もしそうだとしたら、身体活動は効
果はあるか?
3)なぜ効果があるのか?
4)どのような運動が効果的なのか?
5)実際の運動プログラムはどのように組
み立てるか?
6)特定保健指導の運動指導は有効か?
7)長期に効果を維持した実例はある?

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血中脂質に対する有酸素運動の有用性
筋肉にあるリポプロテインリパーゼ(LPL)活性が増大し、トリアシルグリセロール(血中カイロミクロン、VLDL、LDL)の分解を促進させ
ることによって、HDLを増やすことが関与していると考えられている。
HDLコレステロールに対する運動の効果を検討した、2005年までの国内外の研究結果によれば、HDLコレステロールを増加させるこ
とができる運動・身体活動の最低条件として、1週間に合計120分間の運動を行うか、1週間に合計900kcalのエネルギーを消費する身体
活動を行うことが必要とされた。
運動療法は、血糖コントロール、インスリン抵抗性、脂質代謝の改善が得られ、糖尿病を改善する。さらに運動により、内臓の脂肪細
胞が小さくなることで、肥満を軽減し、脂肪組織から産生されるアディポサイトカインなどのインスリンの働きを妨害する物質の分泌も尐
なくなる。このため、筋肉や肝臓の糖の処理能力が改善し、血糖値が安定する。なお、トレーニングによるインスリン抵抗性の改善効果
は、3日で低下し、1週間でほとんど消失するといわれています。
糖尿病に対する有酸素運動の有用性
糖尿病に対する筋肉運動の有用性
血管内皮機能を改善し、降圧効果が得られる。あるシステマティックレビューでは、長期的な有酸素運動により、高血圧患者では収縮
期血圧を7.4mmHg、拡張期血圧を5.8mmHg低下させる効果があると報告されている。
1回30分、週2回程度の有酸素運動や、1日8000歩程度の中強度の身体活動を 3ヶ月実施した場合でも降圧効果があるという報告があ
る。1週間あたりの総運動時間あるいは総消費カロ リーで設定することが適当であるといわれている。
高血圧に対する有酸素運動の有用性
筋肉量の減尐は糖の 貯蔵能力の低下を意味し、糖負荷に対する血糖上昇反応が強くなり、耐糖能異常や糖尿病に進展するリスクが
高くなる。また、加齢によって減尐しやすい大腿前面および体幹部の筋肉を強化するスクワットや上体起こしな どの運動を導入するこ
とによって、このリスクが低下すると考えられる。

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Epidemiologic Methods in Physical Activity Studies, I-Min Lee, et al.
Oxford Univ Pres, 2008 より引用

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平成17年11月14日研修会資料
Sedentary death syndrome
1.狭心症、心臓発作(冠状動脈疾患)
2.関節炎による痛み
3.不整脈
4.乳がん
5.結腸がん
6.うっ血性心不全
7.うつ病
8.消化器疾患
9.胆石
10.高トリグリセリド血症
11.高コレステロール血症
12.高血圧症
13.認知機能の低下
14.低HDLコレステロール血症
15.更年期の様々な症状
16.肥満
17.骨粗鬆症
18.膵臓がん
19.末梢血管疾患
20.身体的虚弱
21.早世
22.前立腺がん
23.呼吸器障害
24.睡眠時無呼吸
25.脳卒中
26.2型糖尿病
Lees SJ, Booth FW., Sedentary death syndrome., Can J Appl Physiol. 2004 Aug;29(4):447-60

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長期間労働
心理的余裕減尐
運動不足の
自覚なし
仕事人間
他律的 自律的
疲 労
健康への関心低下
密度の濃い
労働内容
深夜労働、
フレックス勤務
余暇時間が
持てない
余暇の身体
活動量低下
運動は観るもの
運 動 は 危 険
運動はしんどい
運 動 は 面 倒
機械化・IT化が
進む労働環境
移動手段の変化と座位
状態の時間の増加
身体活動不足の背景
余暇時間のインターネット
利用、室内ゲーム機の利
用時間およびテレビ・ビデ
オの視聴時間の増加
家事の自動化によ
る身体活動量低下
労働による身
体活動量低下

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運動習慣の定着を左右する要因
• 健康人:勧告
(健康増進、疾病予防)
– 幼年期、尐年期、青年期
– 壮年期、中年期
– 老年期
• 半健康人:指導
(健康度改善、疾病予防)
• 有病者:処方
(機能改善、疾病回復)
• 障害者:指導・処方
(機能改善、疾病予防
• 運動の種類
– 有酸素運動
– 筋力運動
– 柔軟運動
• 運動強度
– 低強度
– 中強度
– 高強度
• 運動時間
• 頻度
• 組合せ
• スケジュール等
• 運動の目的
–楽しみ
–健康増進・疾病予防
–美容
–記録達成
• 運動に対する
イメージ・意欲
–否定的
–肯定的
• 行動変容ステージ
–無関心期
–関心期
–準備期
–実行期
–維持期
• 運動の知識
• 日常活動の内訳
–余暇時間
–仕事時間
–移動時間
–家事・介護の有無
–不活動時間
–その他
• 交通や安全の要因
–交通機関の配置
–歩道整備の有無
–安心・安全な住環境
• 支援する環境要因
–運動施設の有無
• 支援する人的要因
–運動仲間
–配偶者・家族の有無
–同僚・隣人
–専門家の知人
健康状態
運動内容
内的要因
外的要因

Page 10
身体活動・運動指導用リーフレットの見本

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