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富士御殿場蒸溜所「地下水」の起源を探る|研究・技術開発レポート|研究開発|キリン

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富士御殿場蒸溜所「地下水」の起源を探る

研究・技術開発レポート

富士山の標高2000メートル以上の涵養地から、およそ50年の歳月を経て
流れてきた地下水であることを推定しました。

キリングループの富士御殿場蒸溜所は、理想のウイスキーづくりの第一条件である良質で豊かな水を捜し求めた末に、富士山の裾野にある静岡県御殿場市に1973年に建てられました。現在は、ここで汲み上げられる上質の天然水を用いて、「キリンウイスキー富士山麓」や、「キリン アルカリイオンの水」などを生産しています。
地球上の水のうち、人間が直接利用できる淡水は、全体のおよそ0.01~0.03%にすぎないといわれており、キリングループにとっても、水は重要な原料です。富士御殿場蒸溜所の豊かな地下水を大切にして、安心で安全な商品をお届けし続けるために、キリンホールディングスのフロンティア技術研究所では、三菱マテリアルテクノ株式会社の協力を得て、「水の起源」についての調査を行いました。

左)キリンウイスキー 富士山麓 樽熟50°
右)キリン アルカリイオンの水

地下水はどこから来るの? ─地球の水の循環

地球上の水は長い時間をかけて循環しています。

左の図のように、水は、私たちの住む地球上を絶え間なく循環しています。海や川、植物など、地表のあらゆるところから大気中に蒸発・蒸散した水蒸気は、上空で冷やされ、雨や雪となって地表に降り注ぎます。陸上の降水の大部分は、地中にしみ込んでろ過されながら、低地に向ってゆっくりと流動する地下水となります。一部は湧き水となって地表に出てくることもあります。地表の水は再び蒸発・蒸散して雲になり、雨や雪となる……。こうした水の循環のなかで、地下水は大地に育まれています。

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富士山と蒸溜所の位置関係は?

中央にある「Sampling point」が富士御殿場蒸溜所。周辺には富士山(Mt. Fuji)、山中湖(Lake Yamanaka)、箱根山(Mt. Hakone)などが位置している。

富士御殿場蒸溜所は、富士山(標高3776メートル)の東側、標高630メートルの斜面に位置しています。このあたりは「豊水域」に属し、周辺には富士浅間神社のほか多数の湧水がありますが、左の図のように、広く見ると、富士山だけでなく、山中湖や箱根山などもあります。今回は、蒸溜所で汲み上げられる地下水が、富士山を流れてきた水であることを明らかにする調査を行いました。

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地下水はどこを流れてくるのか? ─新富士火山と古富士火山

古富士火山は水を通しにくいため、富士山の地下水は新富士火山の層を流れ下る。

まず、富士山の構造について見てみましょう。富士山は、日本最高峰かつ、現在も活動を続ける活火山です。 1つの山のように見えますが、実際は、幾度かの噴火により段階的に現在の姿になりました。左の図のように、現在の山体である新富士火山の内側には古富士火山があります。古富士火山は水を通しにくい火山泥流から成り、その上に、新富士火山の水を通しやすい噴出物が積もっているため、降水は新富士火山の層に地下水として蓄えられ、ゆっくりと流動して、やがて山麓で湧水となると考えられています。

なお、富士御殿場蒸溜所の井戸は、「御殿場岩屑(がんせつ)なだれ堆積物」(約2900年前、新富士火山の東斜面の一部が御殿場方向へ一気に崩れ落ちて堆積したもの)の地層にあり、非常に水を通しやすい特徴があります。

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水質の特徴を、富士山周辺のデータと比較

富士御殿場蒸溜所の地下水が、富士山を起源とすることを明らかにするために、調査ではまず、電気伝導率、水温、イオン濃度といった水質の特徴を測定し、これまでに研究されてきた富士山周辺の水のデータと比較しました。電気伝導率は、富士山の標高900~1000メートル以下の湧水の範囲に入っていました。また、水に溶け込んでいる主な陽イオン、陰イオンの濃度を結んだ六角形で水質を分類する「ヘキサダイアグラム」(下の図)では、蒸溜所の地下水はCa-HCO3型(重炭酸カルシウム型)に分類されました。富士山麓には100を超える湧水が存在しますが、その水質は全般的に、蒸溜所の地下水と同じCa-HCO3型です。一方、箱根火山周辺の地下水は、地熱活動の影響によりNaCl型(塩化ナトリウム型)を示すといわれており、蒸溜所の地下水とは異なっています。

左図は富士御殿場蒸溜所の井戸から汲み上げた水の水質をヘキサダイアグラムで示したもの。Ca-HCO3型で、富士山麓の東側の湧水と類似する。箱根の地下水は右図のようなNaCl型を示す。

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地下水の安定同位体比と標高との関係

さて、もう一度、地球の水の循環を思い出してください。水の化学式はH2Oですが、この酸素(O)と水素(H)には、それぞれ質量の異なる安定同位体が存在しています。地球を循環している水に存在する水素と酸素の同位体の比率は一定の関係にあり、どこの天然水でも天水線という直線上に乗るといわれています。一方、質量の重い水ほど凝集して降水になりやすい性質があるために、例えば山では標高が低いほど、降水の安定同位体組成が重くなることが知られています(高度効果)。富士山の標高と降水の酸素同位体比の関係を示す降水線から、蒸溜所の地下水は、富士山麓の標高1100~2100メートルの斜面にしみ込んだ降水であると推定されました。また、近隣の愛鷹山、箱根山の降水線には適合しませんでした。

  • 注) 三菱マテリアルテクノ株式会社より、酸素及び水素の安定同位体の分析結果に誤りがあったとの報告がありました。修正後の分析結果にもとづいて再評価を行なった結果、従来の「標高1500~2300メートルの斜面」は「標高1100~2100メートルの斜面」と変更になりました。(2012年10月31日修正)

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徐々にわかってきた、地下水の起源

調査では、これらの考察をもとに、下の図のような地下水流動概念モデルを作成しました。基本的な考え方として、次の3点にまとめられます。

  • (1) 富士山東麓に降った水素・酸素同位体比の低い降雨は斜面から地下に浸透し、新富士火山の御殿場岩屑なだれ堆積物中を東方に向けて流れている
  • (2) 蒸溜所の地下水は、Ca-HCO3型の水質を示し、富士山東麓の湧水の水質と類似する
  • (3) 蒸溜所の地下水は、水質や電気伝導率、水素・酸素同位体比から富士山起源と推定される。酸素同位体比から推定される涵養標高は1100~2100メートル程度である

蒸溜所周辺の地下水の流れを示す概念図(断面)

さらに、降水が地下に浸透した時期についても調査しました。地下に浸透してからの期間が推定できるトリチウム濃度を測定したところ、地下水の年代はおよそ56(~15)年前であると推定されました。

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衛星画像を用いた高精度の地下水流動シミュレーションに成功

このように、富士御殿場蒸溜所の地下水が富士山から流れてきたものであることがわかってきました。では、どのように蒸溜所まで流れてきているのでしょうか。地下水の流れをさらに詳しく検証することにしました。
蒸溜所を中心に、富士山山頂から東側斜面、山中湖、箱根火山などを含む40キロメートル四方の標高データから地形モデルを作成し、第四紀火山噴出物、花崗岩など地質の組成から色分けしました。これが、高低差と地質の透水性(水の通りやすさ)の基本になります。ここに富士山周辺の降水量分布と地表からの蒸発散量を設定すれば、蓄えられる地下水量が推定できるため、地下水の流動シミュレーションができるのですが、この地表からの蒸発散量の設定が非常に難しいのです。というのも、落葉期と着葉期など、季節ごとの植生の状態によっても、地中に浸透する水の量が変わります。また、市街地や農地などの土地の利用区分、河川・湖沼なども考慮に入れなければなりません。

富士御殿場蒸溜所を中心に40キロメートル四方の地表面形状。地質ごとに、沖積層(Alluvium)、第四紀火山噴出物(Quaternary volcanic rocks)、新第三紀火山岩類(Tertiary volcanic rocks)、先進第三紀堆積岩類(pre-Cretaceous strata)、花崗岩類(Granitic rocks)で区分した。白線は断面図の位置を示す。

そこで今回は、御殿場市周辺の春と秋の衛星画像を比較し、土地の利用区分を推定することで、蒸発散量の試算に取り組みました。衛星画像から推定される落葉樹、常緑樹の違いのほか、市街地と推定される区分では、地下水の汲み上げによる流出を設定しています。その結果、地下を流れる経路と水量を含む、高い精度の地下水流動シミュレーションに成功しました。

地表の利用区分により、降水の蒸発散量が変わってくるため、春と秋の衛星画像から、落葉樹、常緑樹などの違いや、市街地かどうかなどを解析した。

地質、利用区分、気象データを総合的に解析し、降水の蒸発散量を算定した。

下の図が、富士山山頂から蒸溜所を通る地下水の全水頭(水位)の断面モデルです。実際に測定した蒸溜所および周辺の地下水面の標高とモデルの水頭値は整合しました。また、シミュレーションにより、標高2000メートル以上の斜面から蒸溜所に向う地下水の流れが予測され、酸素同位体比から推定された涵養標高(1100~2100メートル)とも整合しました。今回のシミュレーションモデルが高い精度であることを裏付けています。

富士山山頂と富士御殿場蒸溜所(Sampling Point)を通る全水頭(水位)の断面図。富士山山頂の地下水のポテンシャルが 非常に高いことがわかる。

下の図は、同じく富士山山頂からのダルシー流速断面モデルです。地下水は水頭(水位)の高いところから低いところに流れるため、高低差が大きく、地質の透水性が大きいほど流速が速くなります。標高2000メートルの涵養地から蒸溜所までの移動時間を計算すると、49.7±15年となりました。水の年代測定には、このほかにトリチウム濃度から推定する方法があり、およそ56年前と算出されることから、モデルとほぼ整合していました。

富士山斜面の涵養地(Recharge area)にしみ込んだ地下水は、富士御殿場蒸溜所(Sampling Point)に向う大きな流れとなっている。

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グループを挙げて、水の恵みを守っていく

富士山の豊かな恵み

こうした多角的な調査研究の結果、富士御殿場蒸溜所の地下水は、標高およそ2000メートル以上の富士山東側斜面で地下に浸透した降水が50年(~15年)もの年月をかけて、新富士火山の堆積物層で磨かれてきた地下水であることが、高い精度で解析されました。文字どおり、富士山の恵みを受けた天然水であることがわかったのです。

蒸溜所の井戸は年間22億トンという、非常に豊かな水量を誇っていますが、今回の地下水流動シミュレーションにより、蒸溜所の井戸が水量、流速ともに、たいへん恵まれた地点にあることが詳しくわかりました。富士御殿場蒸溜所の豊かな水が、地球規模の水循環のなかで育まれたかけがえのない資源であることを改めて理解する調査となりました。

キリングループでは、1999年より工場近隣の水源地での森林保全活動に継続して取り組んでおり、現在では日本全国17カ所の森林づくりへと広がっています。富士の名水を育む富士山麓においても、森林を育成し、貴重な水の恵みを守るため、グループを挙げて富士山麓水源涵養林に広葉樹の苗木を植樹し、枝打ちや間伐など樹木の育成を促す手入れ作業を行っています。これからも、この豊かな水の恵みを大切にしながら、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。

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