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謎解き『イニシエーション・ラブ』 序章 時系列データ: 【ゴンザの園】
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2005年02月24日

謎解き『イニシエーション・ラブ』 序章 時系列データ

【追記 2015.5.23.Sat】
映画『イニシエーション・ラブ』観てきました

一部ミステリーファンの間で論議を呼んだという問題作、『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ作・原書房刊)を読んでみました。

『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ


▲文庫版

賛否両論の激しい本ですが、なるほど、確かに「そうか、こう来るか!」と感心する作品でありました。考えれば考えるほど味の出てくるスルメのようなお話です。

そこで、私なりにこの作品の謎解きをしてみようと思います。「ネタバレ」ではなく思いっきり「ネタバラシ」です。これから読む気のある人にとっては、楽しみが半減するどころではありませんので、絶対に目を通さないで下さい。それではスタート。

【警告!】
『イニシエーション・ラブ』を読んだことのある人以外は、この下の記事を読むのは絶対にやめましょう!
かなりの長文なので、文字反転などのテクニックも使っていません!








いったんCM!








【目次】
  序章  時系列データ
  第1章 時制のトリック
  第2章 すり替えのトリック
  第3章 交錯ポイントと心理の動き
  第4章 暗示と象徴
  第5章 「静岡ローカル小説」としての『イニシエーション・ラブ』
  第6章 おまけ


この小説のトリックの正体は2つです。
・「僕=たっくん」がA面とB面では別人物であるということ。(すり替えのトリック)
・A面⇒B面という順序で展開されていると思いきや、ほぼ同時進行ということ。(時制のトリック)

この2つについて、「ああ、そういえば!」という後で見れば気づく記述(伏線)と、読者が矛盾点を誤って解釈するようしむける記述(ミスリード)が各所にちりばめられています。そこから浮かび上がる事実を結論から言ってしまえば「マユの二股恋愛物語」です。

手始めに「序章」としてこの小説の出来事を時系列で並べなおしたデータを示します。しかる後に個々の伏線・ミスリードについて解説していくことにしましょう。

序章 時系列データ

■物語開始以前
1986年
【A面】夕樹-マユ
【B面】辰也-マユ
4月始め   マユ、清水の歯科衛生士専門学校に入学
4月末   辰也とマユ、合コンで知り合う。
5月以降   辰也とマユ、付き合い始める。
辰也はマユを専門学校まで車でよく迎えに行っていた。
7月2日(水)   マユの誕生日。
この時、「ルビーの指輪」の話をしたか?
7月
『男女7人夏物語』スタート
7~8月頃   海へ。マユの水着は白に花柄模様の、首の後ろで肩紐を結ぶ、背中の大きく開いたワンピース。
8~9月頃   マユの初体験
9月
『男女7人夏物語』終了
1987年
【A面】夕樹-マユ
【B面】辰也-マユ
3月頃   マユが実家を出ると言い出し、辰也は部屋探しに何度も付き合わされる。
3月頃   辰也、大学の追いコンの後、酔ってマユをホテルに呼び出し、ケンカの末叩いてしまう。
4/1(水) 国鉄民営化 JRへと呼称変更
4月   辰也、「慶徳ギフト静岡」に就職。6月末まで静岡で研修。
マユも「秋山歯科」に就職。
5月   辰也、静岡ターミナルホテルのクリスマスイブ予約を入れる。
6/10(水)   マユの生理
6月半ば   辰也、マユへの誕生日プレゼントとして「ブーツ型ジョッキ」を買う。









いったんCM!










■物語開始以降
1987年
【A面】夕樹-マユ
【B面】辰也-マユ
6/19(金)   辰也、東京派遣の内示を受ける。マユに電話。
6/20(土)   マユに東京派遣の話をする。
受胎はこのときか?
6/23(火)   ダンボールが届き、引越し準備開始。
6/27(土)   マユが引越しの手伝いに来るが、部屋の汚さに閉口して帰る。
6/30(火)   引越し。
7/1(水)   東京本社1日目。入寮。
7/2(木)   マユの誕生日。辰也は派遣休暇で静岡へ。
辰也⇒マユのプレゼントは『男女7人夏物語』に出てきたブーツ型ジョッキと、銀座で買ったルビーの指輪。
7/3(金)   辰也は派遣休暇。東京に戻る。
7/6(月)   東京本社での本格的な勤務開始。
石丸さんと出会う。
7/10(金) 合コンでの初めての出会い。
マユはルビーの指輪をはめている。
開発二課歓送迎会。
石丸さんと一緒。
7/11(土)   マユの家に泊まりに来る。
7/12(日)   東京へ帰る。
7/13(月)   辰也、初残業。石丸さんと飲みに行く。
7/17(金)   石丸さん&劇団の後輩と合コン。
7/18(土)   静岡伊勢丹でマユとショッピング。
水着の試着をするマユ。
7/21(火)   試着で気に入った水着を買ったマユから電話。
週末に海に行く計画を立てる。
7/24(金)   突発性難聴発病。入院。
7/26(日)   海に行くはずだったが中止。
東京の病院で石丸さんの見舞いを受ける。
7/28(火)   退院。
8/2(日) 静波海岸での再会。
マユの水着は白に花柄模様の、首の後ろで肩紐を結ぶ、背中の大きく開いたワンピース。
劇団『北斗七星』の公演を観に。
8/8(土)   3週間ぶりに静岡へ。渋滞に巻き込まれる。
マユは日焼けしており、その日焼け跡は去年の水着。
8/9(日) 午後9時過ぎ、初めてマユに電話をする。 渋滞に巻き込まれ、海へ行くのをあきらめる。
マユ、生理が来ていないのを打ち明ける。
8/10(月) 家庭教師のバイト 石丸さんから告白を受ける。
8/11(火) 実家からの電話  
8/12(水) 図書館で暇つぶし  
8/13(木) 家庭教師のバイト  
8/14(金) 初デート。
服装に気を遣うようアドバイスされる。
マユはタバコを「今日はやめときます」と言う。
 
8/15(土) コンタクト&服の購入。自動車学校のパンフをもらいに行く。  帰省
8/16(日)   帰省から戻る。海藤と酔ってケンカ。
8/19(水) 服を取りに行き、その足で自動車学校入学。  
8/21(金) 2回目のデート。「たっくん」と呼ぶようになる。  
8/22(土)   マユの家へ。生理はやはり来ない。
8/23(日)   古庄の産婦人科で検査。妊娠3ヶ月。堕胎を決める。
8/26(水) マユから体調が悪い、ということで8/28(金)のデートのキャンセルの電話。  
8/28(金) デートはキャンセル。  
8/29(土)   マユの堕胎手術。マユ入院。
8/30(日)   マユ退院。辰也は東京へ戻る。
9/4(金) 3回目のデート。
やつれて見えるマユ。先週のデートのキャンセル理由は「便秘で一泊入院」。
マユ、タバコを吸う。
石丸さんと2人で「イニシエーション・ラブ」の話。
9/5(土)
BOOWYラストアルバム『PSYCHOPATH』発売
9/6(日)   静岡には行かなかった。
9/11(金) デート。4回目。  
9/13(日)   静岡には行かなかった。
9/15(火) 敬老の日。合コンのときの仲間でテニス。
マユの部屋で初体験。
 
9/18(金) デート。10月からは木曜日をデートの日にしようというマユからの提案。  
9/19(土)   静岡へのドライブ中、BOOWYのニューアルバムの曲をFMで聞く。
マユと鳥坂のラブホテルへ。
静岡に来るのは2週間に1回ということに。
9/23(水)   秋分の日。石丸さんとドライブ。ラブホテルへ。
9/26(土)   石丸さんと週末を過ごす。
10/3(土)   マユと週末を過ごす。
10/9(金)
『男女7人秋物語』スタート
10/10(土) マユが夕樹の部屋に来る。
以後、月に1~2回のペースで来るようになる。
石丸さんと週末を過ごす。
10/17(土)   マユと週末を過ごす。
10/24(土)   石丸さんと週末を過ごす。
10/31(土)   マユを「美弥子」と呼んでしまい、破局。
11/3(火)   石丸さんにマユと別れたことを話す。
11/4(水)   マユからルビーの指輪が返される。
11/6(金) 自動車学校卒業試験合格。  
11/13(金) 自動車免許交付。  
11/14(土) 初ドライブ。ラブホテルでクリスマスイブの話。
静岡ターミナルホテルに電話をすると、ちょうどキャンセルが出たということで、幸運にも予約が取れる。
静岡ターミナルホテルのクリスマスイブ予約をキャンセル。
12/5(土)   梵ちゃんの送別会。
間違えてマユに電話をかける。
「たっくん?」という声の普通さに衝撃を受ける。
12/18(金)
『男女7人秋物語』最終回
12/24(木) 静岡ターミナルホテルでディナー。
マユはルビーの指輪を失くしたという。
 
12/25(金)   石丸家でディナー。
1988年
【A面】夕樹-マユ
【B面】辰也-マユ
4/5(火) BOOWY解散


私の好きな本

『掌の中の小鳥』 加納朋子

日常の謎をあざやかに解く主人公と、魅力的なヒロインの恋物語。
読むとほっこりします。
この本が気に入った方は同作者の『螺旋階段のアリス』もどうぞ。



【目次】
  序章  時系列データ
  第1章 時制のトリック
  第2章 すり替えのトリック
  第3章 交錯ポイントと心理の動き
  第4章 暗示と象徴
  第5章 「静岡ローカル小説」としての『イニシエーション・ラブ』
  第6章 おまけ


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posted by ゴンザ at 19:08 | 静岡 ☁ | 小論文

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