昨年、川上仁一氏を三重大主催のシンポにお呼びして、そのあと、1時間くらい話をしました。それまでにも同僚と冗談半分というか、冗談9割くらいで忍術学、忍者学について話したことはあります。非常にインパクトのある面白いプロジェクトとだとは思っていました。私も剣道をやってきたので、忍術にも興味がありました。そこへ、本物の忍者が現れ、一緒に忍術学を作りたいという話になったのです。川上氏の情熱も熱い。お互いにやりましょう、ということになって、学長に話をしたら、ぜひやれ、という二つ返事。それからは話は急速に進み、川上氏は昨年12月には、三重大社会連携研究センターの特任教授に就任しました。
 川上氏は6歳頃から滋賀県甲賀市出身の師匠に手裏剣や武術などを習い、18歳で甲賀流忍術を継承する21代目の師範となりました。流派の違いがほとんどないことから、伊賀市の「伊賀流忍者博物館」の名誉館長も務めています。まさに最後の忍者、です。
 忍者というと、飛んだり跳ねたり、忍法をかけたり、というイメージが先行します。その部分もありますが、情報収集活動や心理学、薬学、社会学など広範な総合的な活動をしていた存在です。川上氏は「忍者の持つ技術だけでなく、不屈の精神など、現代にも生かせるものを示していきたい」と語っています。一種のサバイバル学。生きる力を学生にも伝えてほしいと思います。
 伊賀市や甲賀市のまちづくりにも貢献することになるでしょうし、学生への大きなメッセージもおくることができるでしょう。今後の取り組みが楽しみです。