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車椅子バスケットボール
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研究紹介

車椅子バスケットボール
Wheelchair Basketball


◇コラム 『スラムダンク』の井上雄彦さん「マイ車いすを作る」
スポーツナビ/文=松山郷 大会11日目 - 9月27日(月)ダイジェスト

 車いすバスケットボール日本代表にアテネで熱い視線を送る劇画作家がいる。「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で車いすバスケとそれを取り巻く人間模様をテーマに した『リアル』を不定期連載する井上雄彦さんだ。シドニー大会も現地で生観戦した井上さんは、今年8月の秋田・能代合宿も取材、日本代表を追い続けている。シドニー での予選敗退を目の当たりにし、アテネでの雪辱。この4年間の日本の進化と車いすバスケの魅力を、氏はどのように感じているのか、話を聞いた。

■ 届かなかったシュート
 主将・大島朋彦の身を挺してのシュートに、「ヨシッ!」と小さく拳を握り締めた。24日の日本対オランダ戦。決勝トーナメント進出を決めていた日本と欧州の強豪との 戦いを、井上さんはまばらなプレス席の最前列に陣取り、メモを走らせていた。パラリンピックでは、車いすバスケを中心に10試合ほどを観戦。なかでも日本の試合には 思わず力が入った。
 試合は47-76。欧州の“巨人”との対戦に気持ちが空回りした日本は、序盤で一気にペースを握られ力負けを喫した。「日本の入り(第1クオーター)が課題。ゲームの 大事な時間をいかに集中して戦えるか。善戦しながらも、終わって見れば負けていたというのは実力の差」と井上さんは“世界”のトップの壁を指摘する。「体格・経験で 劣る今の日本が世界との差を縮められる部分は限られている。例えば、シュート直後にカウンターをもらうことなどは、早く戻る“意識”をもっと高めれば減らせるはず」 ともどかしそうな表情で話した。間近で代表をつぶさに見てきただけに、日本はもっと戦えるという思いがある。
 今夏、「バスケの街」秋田・能代で行われた全日本の最終合宿に帯同取材した。朝から晩までバスケ漬け。合宿にはアテネに行けないサブメンバーも自費で参加し、代表 を送り出した。「彼らのためにも勝つ」という選手たちの思いを肌で感じた。
 能代では、井上さん自ら練習後に車いすに乗って、選手たちの動きにあらためて驚かされた。「どっちが障害者なのか、と。普通に直線でヨーイドンで漕いでも、ダン トツのベリ(笑)。すぐに腕がパンパンに張って動けなくなった。それにドリブルをしたら、まともに車いすを漕げないから前に進めない。片手でどうやって動くのか、 分からなかった」。
 見るとやるのとでは大違いだった。選手と同じ目線に“座る”ことで“リアル”に見えてきた風景があった。「3ポイントシュートなんて、とても信じられない。フリー スローでも、ただ座るだけで通常のバスケよりとてつもなく距離があるように感じる。最初はどうしても前のめりになってしまうけど、基本通り、背中を立てて、フォロー スローをしっかり、アーチを描くように打つとゴールに届いた」と目を輝かせた。

■ チーム全員が同じ方向に向かっている
 バスケットボールのリアリティーとスペクタクルを同時に描いた井上さんの著作『スラムダンク』(集英社)が、7月の重版分で1億部を超えた。8月10日付の全国紙の朝刊 には、井上さんからの「バスケットボールと、みんなに、ありがとう」というメッセージが掲載された。1996年に連載終了も多くの若者の“バイブル”として読み継がれる ロングセラー。その次作が注目される中、井上さんが選んだ題材は、吉川英治の『宮本武蔵』を原作とした時代劇(『バガボンド』講談社)と、車いすバスケだった。
 井上さんが車いすバスケを知ったのは『スラムダンク』の連載が終了した1996年ごろ。米国滞在中に、たまたまテレビで流れていた試合に釘付けになった。「これは 面白い、と印象に残った」。新連載の打ち合わせで編集者に「ひとつやりたいテーマがある」と打ち明けた。「普段、描きたい題材があまりないけど、これならやって みたいと思った」。
 「バスケものはあたらない」という業界の常識を『スラムダンク』で打ち破った井上さんは、“もうひとつのバスケットボール”を『リアル』で大胆に取り上げた。障害者 スポーツとして知られる車いすバスケだが、ハマるきっかけとなった「純粋にスポーツとしての面白さ」を伝えたいという。「レベルが高ければエンターテインメントとして 十分、通用する」とNBAばりの魅力を語る。
 実は米国、豪州など海外ではすでにプロチームが存在する。欧州のイタリア、ドイツでもセミプロチームが発足するなど、1試合で数千人の観客動員が見込める車いす バスケは人気“スポーツ”のひとつになりつつある。
 世界のプロ化が進む中で、日本はどうか。シドニーでは9位。決勝トーナメントに進めなかったが、アテネでは悲願の進出。8位と順位をひとつ上げた。取材を続ける 井上さんは、着実に前進への手ごたえを感じている。「シドニーでは選手間に温度差があったと思う。進んでいる道がこれで正しいのかどうかも分からない感じで。でも アテネでは、チームのみんなが同じ電車で同じ方向に向かっている感じを受けた。レベルの差はあるかもしれないけど、ここで終わりじゃなくて、向かっている道が次に つながっているという思いを共有している」。“善戦”するもあと1歩が届かない状況が続くが、「勝てるチームにはなると思う。これが一度、途切れると、再スタート には、大きなエネルギーが必要となるから、シドニーからアテネで前に進んだことは収穫」とステップアップに期待を寄せた。

■ リアリティーを持って描ける上限が上がる
 アテネでは、日本チームだけでなく、世界のトップレベルの試合を精力的に取材した。「こういう国際試合を生で観戦すると、日本では見られない選手を見ることが できる。世界にはここまでできる選手がいるんだ、とキャラクター作りの参考になる」。オランダ戦では、リンデンのプレーに触発された。「スピードがあって、味方を 生かすことも、自分で勝負することもできる」。テレビからは伝わらない選手の息吹をコートサイドで感じるために、アテネまで足を伸ばした。フィクションの中の “リアル”が物語に深みを与える。車いすバスケ界のスーパースターたちのプレーを見ることで、「リアリティーを持って描ける上限が上がる」という。
 偶然の出会いから8年。今は車いすバスケのさらなる深淵に触れようとしている。「どんなスポーツでも見続けていくうちに、スポーツとしてのインパクトは薄れていく もの。でも、そこで踏み込むことで、一つひとつのプレーの違い、凄みが分かってくる」。
 『スラムダンク』の主人公・桜木花道がリバウンドの極意を知ることで始まったのと同様、車いすバスケでもチェアスキルひとつを取ってもプレーは奥深い。「車いす バスケは、見ているとやりたくなる。次は、何とか3ポイントでもゴールに届くようにしたい」という井上さんは、締め切りに追われる多忙な中、ひとつのプランを考えて いる。「まずは今年中に“マイ車いす”を作ろうかな、と。本格的にやったら、腕も背筋も盛り上がって筆が持てなくなりそう(笑)」。



◇コラム そしてバスケは続く――栄光の「ネットカット」
スポーツナビ/文=松山郷 大会12日目 - 9月28日(火)ダイジェスト

 ゴールドメダルを首に掲げた選手たちにうながされ、コーチ陣たちに車いすから担ぎ上げられた男が、最後のハサミをゴールネットに入れた。バスケットボールの ファイナルの勝者だけに許される「ネットカット」。通常、チームから最も信頼された選手が栄光のゴールネットを手に入れるが、この日、最後に指名されたのは、選手 ではなく監督だった。彼の名はマイケル・フログリー。この“世界最強軍団”を率いる名伯楽に、強さの秘密と日本チームに足りないものを聞いた。

■ “世界最強軍団”を率いる名伯楽の教え
 アテネパラリンピック最終日の最終競技となった車いすバスケットボール男子決勝。カナダは、“車いすバスケ界のジョーダン”パトリック・アンダーソンを柱に、 「コート上ですべてのプレイヤーがすべてのことをできる」というフログリー監督の教えどおりの全員バスケットで豪州に70-53で快勝。1次リーグから8戦全勝で、シドニー に続く連覇を達成した。
 “マイク”の愛称で親しまれるフログリー監督は、日本通で知られる。来日経験は5回。米イリノイ大学の監督を務めるかたわら、2年前から世界最高峰の技術を伝える べく、日本でキャンプを行っている。その教え子は、日本の新・大黒柱として期待される藤本怜央ら多数。勝つための極意を惜しみなく伝えてきた。
 「日本チームにはもっと政府や会社、スポンサーのサポートが必要。それがあって始めてトレーニングの時間が確保できる」とフログリー監督は力説する。車いすバスケ の先進地・カナダには、セミプロチームが存在し、政府からバックアップを受けている。競争の激しさが全体のレベルを底上げする。

■ 車いすバスケは障害者のものだけじゃない
 特筆すべきは、健常者の車いすバスケの参加だ。「見てもやっても面白い」車いすバスケは、カナダやドイツでは健常者がリーグに参加している。フログリー監督自身、 かつては車いすバスケのプレイヤーとして活躍。「持ち点1」の最も障害の重いクラス(※)ながら、健常者ともプレーしてきた。「地域によっては、健常者プレーヤーが いなければ選手が足りずチームを作ることができないこともある。障害者プレーヤーがバスケをする機会を増やすためにも、健常者の参加は意義あること。カナダの女子 チームが強いのは、いつも健常者とプレーしているからさ」。
 実は、今年10月、神戸で開かれる「全日本女子車椅子バスケットボール選手権大会」に、初めて健常者がいるチームが参加する。カナダに2年間留学し、年間140試合を 転戦した日本女子チーム主将の上村知佳が連盟に働きかけて実現した。
 上村には強烈な思い出がある。2年前に来日した米国の選手が試合後、車いすをバッグに収め、ひょいと持ち上げて「じゃあね」と義足で歩いていったのを目の当たりに したことだ。愕然とした。「私たちはこんなやつらと試合してたんだって。これからもっと(強化を)考えないといけないと感じた」。現在、日本に女子のチームは 6チームしかない。上村は、「若手に試合経験を積ませるためにも健常者の参加は大歓迎。多くの人に面白さを知ってもらえれば、障害の軽い人も車いすバスケに興味を 持つかもしれない」と初の試みに期待をかける。“若返り”が急務の女子にとっては新人発掘の場にもなる。男子の藤本怜央が、その魅力に惹かれてバスケの時だけ車いす に乗ってプレーを始めたように、女子にもスター誕生が待たれている。

■ チーム全員が同じゴールに向かうこと
 日本男子はシドニーで9位。アテネでは8位に順位を上げたが、“4強”の壁に準決勝進出を阻まれた。フログリー監督は日本に足りないのは「経験」だという。「できる だけ大きな大会に出場すること。“大きな犬に勝つには、その犬と戦わなければならない”」。しかし、欧州や米国なら地続きで隣国と「国際試合」が組めるが、島国の 日本では予算的にそれがままならないのが現状だ。
 五輪の有力選手に対して日本オリンピック委員会(JOC)が支給する強化費は一人当たり年間200万円以上にもなるが、パラリンピック選手が日本パラリンピック委員会 (JPC)などから受ける金額はその十分の一に満たない。車いすバスケ男子日本代表の小川智樹ヘッドコーチは、「もっと頻繁に選手が集まって練習ができないと強化は 厳しいし、体育館を確保するだけでも困難。代表チームでも合宿でコートを使用するのに6か月前から一般の体育館を予約している状況」と環境改善を訴える。
 日本をよく知るフログリー監督は、厳しい環境の中、日本は着実に前進していると評価する。「日本はいいチームになるための条件に近づいている。チームの弱点が 減り、チームのためにだれもが犠牲を払える。それにチーム全員が同じ目標を分かち合っている」。目標を「ゴール」と表現したフログリー監督の言うとおり、アテネで 日本は、すべての試合でベンチも一丸でゴールを目指した。その背中には、代表に選ばれなかったサブのメンバーの思いも背負っていた。

■ 勝者にはすべてが与えられる
 ルイ・アームストロングの『ホワット・ア・ワンダフルワールド』が流れる中、選手一人ひとりが、ゴールネットにハサミを入れ、最後にチームに支えられたフログリー 監督が、ゴールマウスのネットを切り取り、カナダの国旗をゴールに掲げた。勝者にはすべてが与えられる。その姿を観客席から、日本チームも見つめていた。「いつか、 オレたちがやってやる」――だれもがファイナルのコートで最後に残るチームと自らの姿を頭に描いていた。“祭り”は終わった。日本に帰れば、どの選手にも“日常”が 待っている。サブキャプテンの京谷和幸はきびすを返して言った。「仕事をして、クラブチームに帰って、この経験を伝える。ヘコんでいる暇はないですよ」。



◇コラム 充実した強化急務 最多メダル獲得の日本
時事通信社 大会12日目 - 9月28日(火) ダイジェスト

 アテネ五輪に続き、パラリンピックでも日本が史上最多のメダル52個を獲得した。競泳の成田真由美(神奈川)が金7個、銅1個の出場全種目でメダルを手にしたのを はじめ、陸上では女子5000メートルの土田和歌子(東京)、女子マラソンの畑中和(兵庫)が頂点に立ち、高田稔浩(福井)が男子マラソンなどで3冠。柔道男子66 キロ級では藤本聡(徳島)が3連覇と期待通りの活躍を見せた。
 日本がメダルを伸ばした背景には、まだ十分とは言えないが、障害者がスポーツに取り組む環境が整ってきたことがある。各競技ごとに強化合宿を繰り返し、国際大会の 参加も最近では盛んになってきた。そうした中で、本番でも伸び伸びと実力を発揮できる選手が育ってきている。
 ただ、参加国の増加とともに国際的な競技レベルの向上も著しい。陸上、競泳では世界新が続出。柔道でも普及が進み、男子100キロ級で前回3位に入りながら、今回 メダルを逃した松本義和(大阪)は「もう楽に勝てる相手はいない」と外国勢の成長を指摘した。競泳の河合純一(静岡)も「8秒記録を縮めても4位に終わった種目も あった。単にスポーツが好きで、一から始めた選手だけで、メダルが量産できる時代ではなくなった」と、強化体制の充実を訴える。
 次回の北京大会はさらに厳しい戦いが予想される。中国は今大会で英国、米国など障害者スポーツ先進国を抑え、メダル争いで頂点に立った。日本が今回の好成績を維持 するには、さらに充実した強化が急務となってきている。


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