トリュフは西洋料理には欠かせない高級食材となるキノコです。キノコ
と言えば地面から上にカサを広げている姿を思い浮かべますが、トリュフ
は土の中に球形や塊状のキノコを作ります。
我が国では古くより様々なキノコを食べるという習慣があります。キノ
コの香りや風味は、私たちにさまざまに季節の訪れを感じさせます。しか
しながらトリュフはその独特の香りが、これまで日本人の好みには合わな
いためか、和食文化には重宝されず、日本人にはなじみのないキノコでし
た。
近年、我が国でも多くの西洋料理のお店でトリュフを見かけるようにな
り、その風味に接する機会が増えてきています。ただし、これらのトリュ
フは、イタリアやフランスなどのヨーロッパの国々から輸入されたもので
す。近年では、中国からも多くのトリュフが輸入されてきています。
我が国においても、黒いトリュフが発生することが40年ほど前に発見さ
れ、イボセイヨウショウロと名付けられて図鑑に登場しています。それ以
降、多くの発生事例が知られるようになってきました。
国産トリュフを新たな森林資源として活用することをめざし、国立研究
開発法人森林総合研究所では、農林水産省からの委託を受けて、トリュフ
の人工栽培技術の開発に向けた研究を行っています。しかし、まだ馴染み
の薄いトリュフ。今回は、プロジェクトで明らかになったことを中心に、
その形態や生態、また食材としての可能性を紹介していきたいと思います。