(1)桜島の概要
桜島(写真― 1)は,東西約 12 km,南北約 10 km,
面積約 77 km2,周囲約 55 km で,約 1 万 3 千年前に
出現したと推定され,過去に幾度となく大規模な噴火
災害を繰り返してきた。
現在の噴火は,昭和 30(1955)年の南岳噴火によ
り活動を開始し,特に昭和 47(1972)年以降が活発
となり,爆発時に噴出される火山灰などにより山腹の
荒廃が進み,これに伴い土石流が頻発するようになっ
た。昭和 49(1974)年には,土石流により鹿児島県
の砂防工事関係者が 8 名死亡するという災害が発生
し,土石流対策は困難を極めた。火山地域における土
石流対策は,多額の費用を要するばかりでなく,活動
中の火山という特殊な条件もあり,また,技術的にも
困難な事業であったため,国による対策を求める声が
大きくなり,昭和 51(1976)年度から直轄砂防事業
に着手し,現在,島内 19 河川のうち野尻川等の 10 河
川において直轄砂防事業を実施してきている。
その一方で,桜島は日本を代表する火山の島で,鹿
児島県のシンボル的な存在で,温泉や雄大な自然景観,
火山の恵みを受け,年間 150 万人を超える観光地でも
ある。
(2)過去の噴火災害
桜島の有史以後の噴火は山腹噴火と山頂噴火で,山
頂噴火はいずれも南岳でおこっている。記録に残る大
噴火は山腹からの噴火で,文明の噴火(1471 ∼ 5),
安永の噴火(1779),大正の噴火(1914),昭和の噴火
(1946)があり,そのたびに溶岩流出や火砕流によっ
て大規模な災害となっている。特に大正の噴火では,
桜島と大隅半島が溶岩流出により陸続きとなった。
最近でも平成 18(2006)年 6 月 4 日に,昭和火口
より 58 年ぶりとなる噴煙が観測され,気象庁が発表
する火山活動レベルが 2 から 3 へ引き上げられた。ま
た,それに伴い,桜島の立入禁止区域が拡大された。
その後約半年ほどは,火山活動が沈静化していたが,
平成 19(2007)年 5 月に再び噴火し,現在も約
2,000 m の噴煙を上げるなど火山活動が活発化してき
ている。