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Ⅱ . 主な花粉と飛散時期
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花粉症環境保健マニュアル
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 これまでに約60種類の花粉アレルギーが報告されていますが、そのうち花粉
症は約50種で、大半は農家の方がハウス内で受粉作業などを行う場合の特殊な
ものです。一般に最も多いのは、スギ花粉を原因とするスギ花粉症で、ヒノキの
花粉もスギ花粉と抗原の共通性を持つために、スギ花粉症の原因となります。樹
木の花粉では他にシラカンバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ、ケヤキ、コナラ、
クヌギなどがあります。また、草本ではイネ科のカモガヤ、オオアワガエリなど
の他に、キク科のブタクサ、オオブタクサ、ヨモギなどや、アサ科のカナムグラ
などがあります。自分がどんな季節に症状が出るかで、原因となる花粉を推定で
きますが、耳鼻咽喉科などの専門の医療機関で、原因花粉を特定する検査を受け
ることが可能です。
Ⅱ . 主な花粉と飛散時期
1. 日本に多い花粉症
提供:東邦大学理学部訪問教授 佐橋紀男氏
図 2-1 スギ花粉の電子顕微鏡写真

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提供:東邦大学理学部訪問教授 佐橋紀男氏
図 2-2(1)主な花粉症の原因植物と花粉
ヒノキ
ハンノキ
スギ

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花粉症環境保健マニュアル
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提供:東邦大学理学部訪問教授 佐橋紀男氏
図 2-2(2) 主な花粉症の原因植物と花粉
カモガヤ
ブタクサ
ヨモギ

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提供:小林智氏
図 2-2(3) 主な花粉症の原因植物と花粉
シラカンバ

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花粉症環境保健マニュアル
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提供:東海花粉症研究所 宇佐神篤氏
表 2-1 日本で報告された花粉アレルギー
No. 報告年      名   称
報告者
  1961 ブタクサ花粉症
荒木
  1963 スギ花粉症
堀口
  1964 カモガヤ花粉症
杉田
  1965 イタリアン・ライグラス花粉症
寺尾
  1968 カナムグラ花粉症
堀口
  1969 ヨモギ花粉症
我妻
 
イネ花粉ぜんそく
木村
 
コナラ属花粉症
降矢
 
シラカンバ花粉症
我妻
 
テンサイ花粉症
松山
  1970 ハンノキ花粉ぜんそく
水谷
 
キョウチクトウ花粉ぜんそく
池本
 
スズメノテッポウ花粉症
中嶋
  1971 ケンタッキー 31 フェスク花粉ぜんそく
舘野
 
ヒメガマ花粉症
宇佐神
  1972 ハルジオン花粉症
清水
 
イチゴ花粉症
寺尾
  1973 ヒメスイバ・ギシギシ花粉症
我妻
 
キク花粉症
鈴木
  1974 除虫菊花粉症
中川
 
クロマツ花粉症
藤崎
  1975 アカマツ花粉症
藤崎
 
カラムシ花粉ぜんそく
浅井
 
ケヤキ花粉症
清水
  1976 クルミ花粉症
加藤
 
タンポポアレルギー
川村
  1977 モモ花粉症
信太
 
セイタカアキノキリンソウ花粉症
小崎
  1978 イチョウ花粉症
舘野
 
バラ花粉症
斎藤 
  
リンゴ花粉症
袴田
No. 報告年      名   称
報告者
32 1979 アカシア花粉症
宇佐神
33
イエローサルタン花粉症
安部
34 1980 ヤナギ花粉症
宇佐神
35
ウメ花粉症
打越
36
ヤマモモ花粉症
宇佐神
37 1981 ナシ花粉症
月岡
38 1982 コスモス花粉症
山木戸
39 1983 ピーマン花粉ぜんそく
奥村
40 1984 ブドウ花粉症
月岡
41
クリ花粉症
宇佐神
42
コウヤマキ花粉症
芦田
43 1985 スズメノカタビラ花粉症
高橋
44
サクランボ花粉症
45
サクラ花粉症
永井
46 1986 ナデシコ花粉症
47 1987 アフリカキンセンカ花粉症
坂口
48 1989 オオバヤシャブシ花粉症
中原
49
ツバキ花粉症
秋山
50 1990 スターチス花粉症
栃木
51 1991 アブラナ属花粉症
芦田
52 1992 グロリオサ花粉症
元木
53 1993 ミカン科花粉症
藤原
54 1994 ネズ花粉症
55
ウイキョウ属花粉症
内藤
56
オリーブ花粉症
西岡
57 1995 イチイ花粉症
高橋
58 1998 オオバコ属花粉症
宇佐神
59
マキ属花粉症
宇佐神
60 2000 トマト花粉ぜんそく
増田
61 2003 スゲ属花粉症
宇佐神
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
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図 2-3(1) 日本列島の空中花粉分布(2012 年 7 月~ 12 月)
提供:国立病院機構福岡病院 臨床研究部アレルギー科医長 岸川禮子氏他
図 2-3(2) 日本列島の空中花粉分布(2013 年 1 月~ 6 月)
※春のイネ科には抗原性がありますが、秋のイネ科にはありません。

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花粉症環境保健マニュアル
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 日主な花粉の飛散する時期は、地域によって多少違いがありますが、スギやヒ
ノキは春が中心で、秋にも少量の花粉が飛散することがあります。カモガヤやオ
オアワガエリなどのイネ科の花粉は種類が多いために、春から初秋までの長い期
間飛散します。ブタクサやヨモギなどのキク科とカナムグラは夏の終わりから秋
にかけて飛散しています。
2. 主な花粉の飛散時期
鼻アレルギー診療ガイドライン2013年版より改変、転載
図 2-4 花粉カレンダー

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○ 花粉の多い日
 スギ花粉は、飛散が始まって7日から10日後くらいから花粉の量が多くなっ
てきます。その後4週間程度が花粉の多い時期に当たり、この期間内に次のよう
な天気になると花粉が特に多くなります。
 ① 晴れて、気温が高い日
 ② 空気が乾燥して、風が強い日
 ③ 雨上がりの翌日や気温の高い日が2~3日続いたあと
○ 花粉の多い時間帯
 スギ花粉が多くなる時間帯は、その日の気象条件や季節によって変わりますが、
一般的には昼前後と日没後に多くなっています。これは、気温が上がって午前中
にスギ林から飛び出した花粉が数時間後に都市部に到達するためと、上空に上がっ
た花粉が日没後に地上に落下してくるためと考えられています。
図 2-5 花粉捕集器
※ダーラム法
 2 枚の金属製の円盤の間にワセリンを塗ったスライドガラスを置き、24 時間の間にガラス上に落下した花粉を
 染色して光学顕微鏡で計測する方法。日本では最も一般的な花粉の観測法である。

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花粉症環境保健マニュアル
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図 2-6(1) 花粉の多い時間帯(ダーラム法による観測)
提供:(一財)気象業務支援センター 村山貢司氏
図 2-6(2) 花粉の多い時間帯(はなこさんによる空中花粉濃度)

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 日本で花粉量が圧倒的に多いのがスギ、ヒノキ花粉です。スギは北海道の南部
から九州にかけての広い地域に植林されており、その面積はおよそ450万ha
ですが、特に東北地方と九州に多くなっています。ヒノキは北海道と沖縄を除く
各地に植林されていますが、東北から関東、北陸には比較的少なく、東海地方か
ら西に多くなっています。東海以西の地方では年によってスギ花粉よりヒノキ花
粉が多く飛散することがあります。シラカンバの花粉は北海道では平野部でも多
くなりますが、他の地域は標高の高い所だけです。コナラ、クヌギは本州一体で
飛散していますが、オオバヤシャブシは関西地方が中心です。ハンノキは林道沿
いなどに多く見られる植物です。
3. 花粉量や種類の地域性
表 2-2 地方別スギ・ヒノキ面積
提供:2000年世界農林業センサス ( 農林水産省 )
提供:1970年世界農林業センサス ( 農林水産省 )
(単位:千ha)
33
0
1250
40
345
161
北陸甲信越
461
139
385
529
426
392
324
440
409
394
843
504
4475
2599
提供:林野庁業務資料 ( 2012年 ) 
参考
(単位:千ha) 参考
(単位:千ha)
32
0
26
0
1252
35
794
16
354
157
332
98
北陸甲信越
462
137
北陸甲信越
305
67
387
530
353
384
431
386
375
231
326
418
256
157
414
394
378
235
871
501
736
275
4528
2559
3554
1464

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図 2-7(1)地方別スギ面積
図 2-7(2)地方別ヒノキ面積
図 2-7(3)全国スギ・ヒノキ面積

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<スギについて>
 スギは日本列島に広く分布していますが、現在のスギ林のほとんどは植林され
た人工林です。以前はスギ科に分類されていましたが、現在はヒノキ科スギ亜科
スギ属になっています。雌雄同株で樹高は30~40mにも及び、鎌状針型をし
た葉が螺旋状についた枝先に花粉を飛ばす雄花ができます。雄花は5~7㎜で米
粒状の形態をしています。スギは樹齢が25年から30年に達する頃から雄花を
たくさんつけるようになります。
4. スギ花粉について
提供:東邦大学理学部訪問教授 佐橋紀男氏
図 2-8 スギ雄花及び雄花をたくさんつけたスギ
※「2000年世界農林業センサス ( 農林水産省 )」より出典

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<花粉ができるまで>
 スギの雄花は例年7月から8月にかけて作られます。この時期の日照時間が長
く、気温が高いと雄花の量が多くなります。逆に冷夏や長雨の場合は雄花が少な
くなり、翌年の花粉量が減少します。雄花は11月頃までに完成し、中に大量の
花粉が作られます。その後低温や昼間の時間が短くなることによって活動を休止
する休眠に入ります。一定期間低温にさらされることで休眠から覚め、開花の準
備期間に入ります。この開花準備期間の気温が高い暖冬だと早めに開花し、低温
だと開花が遅くなります。
提供:(独)森林総合研究所 金指達郎氏
図 2-9 スギ雄花の一生

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提供:元(財)林業科学技術振興所 横山敏孝氏
図 2-10 スギ雄花と花粉
スギ花粉の直径はおよそ 30 ミクロン