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見えない地下を可視化する水文調査の面白さ | 仕事にかける社員の想い | 日本工営株式会社

仕事にかける社員の想い見えない地下を可視化する水文調査の面白さ

技師長 齋藤 庸

《実施地域》庄川扇状地域(富山県高岡~砺波地域)
《工期》2001年度~2003年度
庄川水環境高度化計画検討業務

岐阜県北部から富山湾に注ぐ庄川とその流域に広がる庄川扇状地における水循環系の実態を調査し、適切な水環境の構築を目的に実施されたプロジェクト。具体的には庄川扇状地域内4カ所に井戸を掘り地下水モニタリング調査を実施し、水循環機構の解明をめざし庄川の正常流量検討、水需要、水資源開発手法の整理などを行った。とくに地下水調査では学識経験者の助言や指導を受けながら、地下水一斉測水、同時流量観測、水質調査、水理地質調査、アンケート調査などを通じて地下水利用の実態や地下水流動機構を解明。また庄川の正常流量検討過程では、調査・観測の結果から河川の伏没(水がしみ込み伏流水となること)・湧出(水が地表に湧き出ること)における関係式を導き正常流量値を算定した。

私が長年携わっている水文調査は、自然界における水の循環を扱う技術分野です。地上に降った雨は河川や地下水脈を伝って海へと流れ込み、やがて水蒸気となって雲となり雨を降らせ再び地上に降り注ぐ。こうした一連の水循環を捉え、きちんとした水利用計画を立てるのが水文調査の目的です。

具体的には調査地域を流れる河川の流量を計ったり、地面の下を通って循環する地下水を井戸を堀って調べ、その結果から人間が地下水を利用しても問題がない使用量を割り出し、適正な利用計画に反映させるというわけです。

地下水の安易な汲み上げは、土地の地盤沈下を招いたり近隣の沢水を涸れさせるなどといった悪影響を引き起こす原因にもなってしまうため、こうした調査が必要になるわけですが、地下水の汲み上げにまつわる調査案件ばかりではありません。

地上に大きな構造物を立てる際に液状化の危険性の有無を調べたり、トンネル工事に伴って地下水や周辺の河川、湧き水などにどのような影響を与えるかを調べる場合もあります。いずれも近年の環境保全に対する意識の高まりによって増えてきた仕事といえるでしょう。

今回ご紹介する庄川扇状地における調査プロジェクトは、こうした水文調査分野の中でも非常に大掛かりで、かつ長期間にわたって実施されたものでした。

庄川流域の豊かな自然と田園風景を守るために

岐阜県北部を水源とする庄川は富山湾に向かって流れる一級河川で、下流には多くの人口を抱える高岡市が控えています。

庄川流域一帯は日本有数の豪雪地帯であるため水資源は豊富な一方、年々、水の利用が増えていることから、河川を流れる水量も減少傾向が続いていました。

冒頭にもお話ししました通り、水は自然の中を循環しているため、地下水を安易に汲み上げると河川などにも影響を与える場合があります。たとえば庄川河口部の高岡市などでは、大量の雪を溶かすために地下水を汲み上げ利用しているのですが、際限なく汲み上げていたのでは降雨量が少ない季節に庄川が"瀬切れ"を起こしてしまうかも知れません。

ここでいう"瀬切れ"とは、河川の水量が減ることによって河床が露出してしまう現象のこと。とくに上流部がアユの産地として知られる庄川においては、この瀬切れが、アユの遡上期や産卵期に起こってしまうと観光産業にも大きなダメージを与えてしまいます。むろん庄川扇状地一帯に広がる水田地帯も灌漑用水を庄川に頼っている訳ですから稲作への影響も甚大です。
ですからこうした問題が起こらないよう、庄川扇状地全体の地下水を年間を通してモニタリングし、どのくらいの量の水が循環しているのかを詳細に調べ、環境保全と地下水利用の適正化を図る必要があったのです。

庄川の水文調査の様子
庄川の水文調査の様子
南条小学校内の水位観測井戸
南条小学校内の水位観測井戸

若い世代に思いと知識、経験を伝えたい

地下水保全対策工の概念図

地下水調査の実施にあたっては、その調査結果を利用計画策定を行う委員会に報告することになっていました。

そして最終的には、委員会を通して広く一般にも広報されるものでしたから、目で見ることができない地下の世界で起こっている事象をグラフやCGにしたりするなど可視化して、専門外の方々にもなるべく分かりやすい報告を心がけたつもりです。しかし数年にわたる調査期間で今後数十年間の予測をするわけですから、答えの精度とその検証には常に難しさが伴います。

相手は地下の世界の話です。目に見えない自然を相手にしている分、自分が出した答えが間違っていてもすぐにはチェックできない怖さもある。ですからデータの収集には細心の注意を払いました。

広大な扇状地域の4カ所に4本ずつ深さを変えた計測用井戸を新たに掘削したほか、一斉測水調査を行った際には、およそ130本の井戸に水位計を設置。融雪時や灌漑期など、季節によって変わる水位を詳細に測定していきました。測定データが得られれば、今度は自分の想像力と自然法則と照らし合わせながら答えを導き出していきます。

いずれも地道な作業ですが、ここで自然と向き合い、自然がどんなことを語りかけてくるかを謙虚に聞き取ろうとしないと、やがて大きな間違いを犯してしまいかねません。これは水文調査に限らず、いわゆる要素技術に携わる者の多くが感じていることですが、自然への謙虚さはとても大事なんです。

今後私は、この仕事で培った自分の知識や経験をもっとこの業界にいる若い人たちのために伝えていきたい、と思っています。

地面の下を構成しているのは、なにも土や砂や石ばかりではありません。水も重要な構成要素なんです。その扱いを間違えたら当然問題が起こります。

プロジェクトはもちろん執筆活動や学会活動などを通じて、これからもその重要性を訴えていきたいですね。

2011年11月21日

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