九州豪雨、約５万世帯に避難指示・勧告　死者２０人に

　活発な梅雨前線の影響で記録的な豪雨に見舞われた九州は、１３日も各地で激しい雨が降り、前日に続いて多い所では１時間あたり１００ミリ前後の大雨を記録した。この雨で熊本、大分両県で死亡した人は計２０人、行方不明者は７人になり、土砂崩れ現場では不明者の捜索が続いた。佐賀、福岡も含む４県では１３日午後９時現在、約５万世帯に避難指示・勧告が出されている。

　気象庁によると、１３日は対馬海峡付近に梅雨前線が停滞し、局地的に激しい雨が降った。鹿児島県霧島市溝辺では１３日未明、観測史上最多の１時間あたり１０１ミリの雨量を記録。佐賀市でも同日午後、同９１ミリと歴代２番目の雨量となった。

　降り始めから１３日午後１１時までの総雨量は熊本県阿蘇市阿蘇乙姫で６５６ミリ、霧島市溝辺で３６７ミリ、福岡県久留米市耳納山で３３７．５ミリに達した。

　住民が巻き込まれる土砂崩れが６カ所で発生した阿蘇市では、陸上自衛隊や熊本県警など８００人超による捜索が続いた。１２日深夜から１３日にかけ、男女４人が遺体で見つかった。

　熊本県高森町では、町内の避難所から自宅の様子を見に行った女性（８１）が１２日午後から行方不明となった。土砂災害や川の氾濫（はんらん）で犠牲者の出た同県南阿蘇村や大分県竹田市でも、残る行方不明者の捜索が続いた。

　大気が不安定となり、落雷も相次いだ。大分市の資材置き場では１３日午前に雷が落ち、近くにいた作業員３人が病院に運ばれたが、命に別条はないという。

　熊本県では南阿蘇村の２８３世帯への避難指示が続いている。同村や阿蘇市、大分県竹田市の計約２万６千世帯に出された避難勧告も継続中だ。今月３日にも土砂災害に見舞われた福岡県朝倉市と大分県日田市でも再び避難指示・勧告が出された。佐賀県でも激しい雨で３３棟が床上・床下浸水し、小城市の約３４００世帯に避難指示、佐賀など３市の計約１万２５００世帯に避難勧告が出た。

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■死亡が確認された方

　【熊本県阿蘇市】一の宮町手野、山部美佐子さん（７８）▽同、山部十七男さん（７９）▽同、大五恵美子さん（６９）▽同、岩下ハルヨさん（８５）▽同、和田漫次さん（８１）▽一の宮町坂梨、市原鯱（しゃち）さん（８１）▽同、古木国隆さん（４９）▽同、古木健太郎さん（２４）▽同、古木思帆さん（２７）▽同、古木エイ子さん（７６）▽一の宮町中坂梨、藤井ケサトさん（８５）▽一の宮町三野、白石告雄さん（８７）▽同、井田ミサエさん（９２）▽同、井正信さん（６２）▽同、古閑大助さん（７５）▽役犬原、工藤静香さん（２３）▽三久保、一田悦子さん（６４）▽同、一田達雄さん（６６）

　【熊本県南阿蘇村】立野、柳川昌史さん（２６）

　【大分県竹田市】拝田原、長谷川正和さん（７４）