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- 1 - ― 支笏湖学のすすめ その10 ― 北海道地質調査業協会 技術アドバイザー 若松 幹男 ・カ
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支笏湖学のすすめ その10 ―
北海道地質調査業協会
技術アドバイザー 若松 幹男
・カルデラ湖
支笏湖はカルデラ湖といわれています。しかも、我が国のカルデラ湖としては、屈斜路
湖に次ぐ2番目の大きさですが、両者の面積はほとんど同じです。貯水量でみますと、表
−1にみられるように、支笏湖が圧倒的に多いです。
さて、カルデラ湖とは何者なのでしょうか。
火山が噴火した跡が陥没してできた穴のことを“火口”といいますが、火口の直径が 1
km(または 2km)以上のものを“カルデラ”といっています。このカルデラに水が溜ま
ってできた湖がカルデラ湖です。
カルデラ(Caldera)は、スペイン語で「鍋」という意味ですが、7つの火山島で構成さ
れるカナリア諸島(スペインの自治州)の内、ラ・パルマ島のデ・ラ・カルデラで初めて
カルデラの研究が行われたことから、カルデラの名が付けられました。
火口とカルデラは、大きさで分けられていますが、これには、大きさだけではなく、も
っと深い意味があります。つまり、火口は、火山灰や溶岩を噴きだした跡にできた凹地で
すが、カルデラ(浸食カルデラや爆発カルデラは例外)は、大量の火砕流を噴きだしてで
きたものです。
・カルデラの種類
ほとんどのカルデラは、火山の噴火で大量の噴出物が、火山灰や火砕流となって地上に
噴きだし、地表が陥没してできたものです。これを“陥没カルデラ”といっています。
これにたいし、小規模な噴火で火山の山頂が崩壊してできた凹地を“爆発カルデラ”と
いって区別しています。爆発カルデラの代表例が、1980 年の噴火で山体崩壊の起きたアメ
リカ西海岸のセント・ヘレンズ山の凹地です(写真−1参照)。また、普通の火山の火口が、
長年の浸食によって、凹地が大きくなったものを“浸食カルデラ”といっています。
写真−1
山体崩壊後の
セント・ヘレンズ山

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・北海道のカルデラ湖
北海道には、5つのカルデラ湖があります。面白いことに、支笏湖、洞爺湖、倶多楽湖
が道央圏の支笏洞爺国立公園内、屈斜路湖、摩周湖が道北の阿寒国立公園内に偏在してお
ります(写真−2、3)。
湖底の標高をみてみますと、支笏湖と洞爺湖は、海面下 100m前後、屈斜路湖が海面付近、
倶多楽湖と摩周湖が海面よりも百数 10m上に位置しています。
噴火の時期は、屈斜路湖が最も古く 34 万年前、摩周湖が最も新しく縄文時代の 7,000 年
前です。これらの噴火の時期は、時代が新しくなるにつれ間隔が短くなっている様子がう
かがえます。これだけで判断することはできませんが、噴火の間隔が、前回の約三分の一
と短くなる傾向がありますので、もしかすると、そろそろ、北海道のどこかにカルデラを
作るような火砕流を伴う大きな噴火が起きるかもしれませんね。
表−1 北海道のカルデラ湖
支笏湖
洞爺湖
倶多楽湖
屈斜路湖
摩周湖
面積
km
78.4
70.7
4.7
79.3
19.1
周囲長 km
40
50
8.0
57
19.8
湖面標高 m
247.0
84.0
258.0
121.0
351.0
湖底標高 m
-116.0
-96.0
110.0
4.0
139.5
最大水深 m
363.0
180.0
148.0
117.0
211.5
透明度
m
17.5
10.0
19.0
6.0
41.6
貯水量 km
20.90
8.19
2.25
噴火時期
4 万年前 11 万年前
4 万年前 34 万年前
12 万年前
7 千年前
(縄文時代)
所在地
支笏洞爺国立公園
阿寒国立公園
写真−2 支笏湖、洞爺湖、倶多楽湖
写真−3 屈斜路湖、摩周湖
倶多楽湖

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以上の他、北海道には、水はたまっていませんが、次のようなカルデラ地形が見られま
す。ここに紹介する以外にもカルデラ地形があると思われますが、明瞭な地形のものはみ
られないようです。
<赤井川カルデラ>
積丹半島の付け根にある余市町の南側に、直径 6km ほどの円形に窪んだ地形が見られま
す(写真−4)。この地形は、130∼200 万年前に噴火でできたもので、赤井川カルデラと
呼ばれています。この窪地は、大昔、支笏湖や洞爺湖のように水を湛えた大きな湖だった
ようですが、5∼10 万年前、羊蹄山の噴火による地震によって外輪山が崩れ、今のような盆
地になったと考えられています。
このカルデラの外側にも円形の地形がみられますが、これはさらに古い時代にできたカ
ルデラ地形で、余市川カルデラといわれているようです。
最近の研究によりますと、一般のカルデラは、大量の火砕流を噴出した後に陥没して出
来ますが、赤井川カルデラは、火砕流が噴出されたときは陥没せずに、その後、割れ目に
沿って溶岩が噴出することによって陥没したユニークなカルデラではないかと考えられて
います。
写真−4 赤井川カルデラ
余談ですが、観光地として有名な小樽運河沿いに石造の倉庫群が並んでいます。これら
の石造は、札幌軟石(支笏火砕流に属す溶結凝灰岩、札幌の石山地区で産出)が用いられ
ていますが、その一部は、小樽軟石が用いられているとの説もでてきています。この小樽
軟石は、札幌軟石に比べ、やや赤みを帯びるもので、赤井川カルデラを噴出源とするので
はないかと思われます。また、余市にあるニッカ工場の倉庫も小樽軟石が用いられている
のではないかと思うのですが、どなたか調べた方はいないでしょうか。
赤井川カルデラ

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<御鉢平カルデラ>
大雪山系の中心付近に、約 3 万年前の噴火で出来た直径約 2km の御鉢平カルデラがあり
ます。比較的小さなカルデラですが、大量の火砕流を噴出しております。景勝地として有
名な層雲峡の柱状節理は、この火砕流堆積物で構成される溶結凝灰岩で、その厚さは、200m
にも達しています。なお、カルデラの中心付近の底には、“有毒温泉”という温泉があり、
そこから有毒な硫化水素が噴出していますので、立ち入らないようにしてください。
<濁川カルデラ>
道南の森町の山奥に、直径 2km ほどの濁川カルデラがあります(写真−5)。このカル
デラは、1.5 万年ほど前の噴火によってできたものです。外輪山に囲まれた田園地帯であり、
明治以前から湯治場としての温泉宿があります。また、昭和 57 年には地熱発電所が設けら
れ、余熱が農作物のハウス栽培に利用されています。
写真−5 濁川カルデラ
註)写真−2∼5は、グーグルからの引用です。
・Crater Lake の紹介
カルデラやカルデラ湖は、世界各地にありますが、その中から、アメリカのオレゴン州
にある“Crater Lake”を紹介します(写真−6,7、8)。
Crater Lake の写真は、私が北大恵迪寮時代に一緒に暮らした同期の神田榮夫(こうだひ
でお)さんからの投稿です。以下の文は、神田さんの説明文です。
「Crater Lake は、Crater Lake 国立公園の中央にあります。写真−7は、Crater Lake
全景(一部しか写らない)と陥没後の噴火で出来た溶岩ド−ムの Wizard 島です。
Crater Lake は、約 7000 年前の噴火で出来たカルデラ湖で(1)湖面海抜 1882 メ−トル(摩
周湖の 3 倍)(2)水深 592 メ−トル(摩周湖の 3 倍)(3)面積は 345 平方キロ(摩周湖の 18
濁川カルデラ

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倍)と巨大な湖です。
特徴は、分水嶺上にありかつ完結した外輪山に囲まれているため、摩周湖と同様、水の
流入・流出がなく、水の収支は降水と蒸発のみでその均衡により海抜が変化しないことと、
深い水深と高い透明度のため希に見る紺碧の色が美しいことです。また流入がないため魚
がいなかった点も摩周湖と似ています。今は人口放流で放流した 6 種のうち 2 種のみ生存
しています。景色としては屈斜路湖に似ていますが、生成原理と水分・生態の形態は摩周
湖に近いでしょう。」
写真―6 オレゴン州のクレーターレーク

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・世界最大級のカルデラ湖・・トバ湖の紹介
世界最大級のカルデラ湖は、インドネシア北スマトラ州にある“トバ湖”と考えられて
います。
写真―7 世界最大級のカルデラ湖・・トバ湖
今から7万4千年前頃、過去 200 万年で最大級と考えられる火山の噴火により、トバカ
ルデラ湖ができあがりました。大量の火砕流を流し出した陥没カルデラであり、その後、
溶岩が噴出して、サモシール島という中島を作りあげました。
トバ湖の大きさを支笏湖と比較して以下に示します。
表―2 トバ湖と支笏湖の比較
トバ湖
支笏湖
面積
km
1,103
78.4
周囲長
km
176
40
最大水深
529
363
貯水量 km
21
21
1998 年にイリノイ大学の Stanley H.Ambrose 教授が「大気中に巻き上げられた大量の火
山灰が日光を遮断して地球の平均気温を5℃低下させ、寒冷化が約 6,000 年間続き、その
後も気候は断続的に寒冷化するようになり、地球はウルム氷期に突入した。この時期まで
に生存していたホモ属の傍系の種は絶滅した。このトバ事件の後まで生き残っていたホモ
属はネアンデルタール人と現世人類(ホモ・サピエンス)のみであったが、現世人類もこ
の気候変動によって、総人口が1万人まで減少した」という“トバ・カタストロフ理論“
を唱えました。この真偽はよく分かりませんが、7万年前頃から寒冷化が始まり、1.5 万年
前頃に海水準が最も下がっていたことは確かなようです。なお、トバ事件による他の動植
物への影響については述べられていないようです。