明な部分も多い。
NHKの推計によれば、平成 18 年1月末時点で、受信料未収世帯の割合が全体の
3割に達する状況にあり、負担の公平という観点から考えれば、受信料徴収に関して
一定の強制力の付与を考慮する必要はあろう。受信料は負担金ではあるが、公共的な
サービス維持のための負担金であり、行政サービス維持のための租税と近い性格を有
するとも考えられる。租税と異なるのは、言論機関として国からの干渉を防ぐために
徴収権限がNHKに直接付与されている点にある。租税的な性格を考えれば、法律に
より国民に支払を義務付け、不払いに対する罰則を設けることも検討に値しよう。
諸外国では、受信料の不払いに対して罰則が設けられているのが通常である。例え
ば、英国のBBC(British Broadcasting Corporation:英国放送協会)では、テレビ
放送を受信できる機器を設置した者が、政府から許可を受ける際に掛かる手数料であ
る受信許可料(License Fee)を主な財源としているが、この受信許可料を支払わない
場合には、最高 1,000 ポンドの罰金が科せられることになる。
なお、罰則規定は伴わなかったが、受信料の支払い義務化については、昭和 41 年
の第 51 回国会、昭和 55 年の第 91 回国会において放送法の改正案が政府から提出され
たこともあったが、いずれも審査未了廃案となった。
(4)有料放送
放送法では、「放送」とは、公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の
送信とされている(放送法第2条第1項第1号)。つまり、放送は、不特定多数に対する送
信とされているのだが、技術の進歩により、放送にスクランブルを掛け、特定の者(契約
者)のみにスクランブルを外すことにより、視聴させることが可能となった。アナログ放
送では専用のデコーダーを設置しなければスクランブル放送の視聴ができなかったが、デ
ジタル化後は、すべての受信機がスクランブル放送に対応可能となる。実際に放送の対価
として料金を支払った者に対してのみ視聴を可能とさせる有料放送がケーブルテレビや衛
星で行われ、その視聴が広がってきている。この影響で受信料についても、視聴しなけれ
ば支払わないという考え方が視聴者に浸透しつつあると考えられる。
政府の規制改革・民間開放推進会議は、視聴の有無とは無関係に負担を求める受信料制
度を利用者の自由な選択の確保等の観点から見直すべきとして、NHKのデジタル放送の
スクランブル化について検討し、平成 18 年度の早期に結論を得るべきとの答申を発表した 8。
これに対して総務省は、基幹放送である地上放送のスクランブル化は、a)災害放送等の良
質な番組を料金を払う人だけが視聴できることになると公共放送としての使命が果たせな
くなる、b)視聴率優先となり、番組が偏り、公共放送が痩せていく、c)公共放送とし
て必要な収入を確保するのが困難となる、などの問題を指摘している9。NHKも平成 18
年1月に発表した「NHKの新生とデジタル時代の公共放送の追求 平成 18 年度∼20 年
度 NHK経営計画」(以下「経営計画」という。)において、「限られた人だけが見られる
ようにするこの方式は、全国どこでも放送を分け隔てなく視聴できるようにする、という
公共放送の意義や受信料制度の存在理念に深く関わり…現在行っている放送そのものにス