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バラ十字会の歴史6 | バラ十字会日本本部
 バラ十字会

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バラ十字会の歴史

その5 『バラ十字友愛団の信条告白』(前半)

クリスチャン・レビッセ

 フアーマ・フラテルニタティスが出版された翌年の1615年に、ドイツのカッセル市にあるウイルへルム・ウェツゼルは第二の宣言書を発行した。『パルナサスの広告』によって補足されていた先の宣言書と同じように、この第二の宣言書はSecretioris Philosophiae consideratio brevis a Philippo a Gabellaと題する別の文献とともに出版された。この後者を日本語に翻訳すると「哲学の学徒フイリッポ・ア・ガベラによって書かれた、より秘密にされた哲学に関する短い考察が、バラ十字友愛団の最新の日付にされた「告白」と共に初めて出版された」と読める。この文献の著者は不明のままである。序言の中で著者は、「バラ十字友愛団の行動と研究と知識によって美しく飾られている」ことに注目した後で、この著作には哲学的論文が含まれていると指摘している。この後に短い序文が続き、「フラター・R.C.」とサインされており、この著者は、この「短い考察」はヘルメス、プラトン、セネカ、その他の哲学者たちの思想からもっぱら引き出されたことを示している。この文献は「ヒレモンR.C.」とサインされた祈りによって締めくくられている。

モナド(Monad)

 それにもかかわらずこの「短い考察」は、へルメスあるいはその他のどんな哲学者たちとも全く関係していなかったのである.むしろこれは、ジョン・ディー(John Dee,1527-1608)の著作『モナス・ヒエログリフイカ(Monas Hieroglyphica,1564)』の翻案であった。この本では、イングランドのエリザベス女王1世の宮廷での主たる錬金術師、占星術師、数学者であったディーが、ある象形文字~いわゆるモナド(the monad〉~を、24個の定理に基づいての説明を提案していた。ディーは、精読していたコルネリウス・ハインリッヒ・アグリッパの手法に従って、幾何学的原理に基づいてこの魔術的な表意文字を考案したのであった。ピエール・プレイエ(Pierre Brehar)によると、モナドはその魔術的な側面とは別に「錬金術師の石」、「賢者の水銀」を示す錬金術的な象徴なのである。その上、ジョン・ディーの著作の口絵にあるフィレタテリー(ユダヤ教の聖句を記すための羊皮紙)の上に表されている数節は、露と水銀に触れており、この中にバシル・ヴァレンティンは哲学者たちのエメラルドである「石」の萌芽を見て取っていたのであった。

 フルカネリ(Fulcanelli)は、バラ十字と露の関係を強調していた。この事に関して彼は、トマス・コルネイル(Thomas Corneille)によって編纂された「芸術・科学事典(Dictionary of Arts and Sciences,1731)」によると「バラ十字のグランドマスターたちは煮えた露の兄弟たち(Fr?tres de la Ros?e Cuite)と呼ばれ、これはバラ十字会のF.R.C.の頭文字に彼等自身が割り当てた意味であったと主張した」。ジョン・ディーによって考案された象徴は、他の多くの著者たちによって、すなわちハインリッヒ・クンラスの『永遠の叡智の円形劇場(Amphitheatrum Sapientiae Aeternae)』、ヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエの『クリスチャン・ローゼンクロイツの化学の結婚』、ロバート・フラッドの『Utriusque Cosmi Historia』の中などに繰り返し使用された。

コンフェシオ・フラテルニタティス
(Confessio Fraternitaitis)

 最初の宣言書は、次に発行されることになる 「告白(Confession)」について告知していた。その「告白」にはバラ十字会の存在を明らかにする37の理由が表されるのであった。しかし第二の宣言書はこれらの理由には触れず、むしろ「ファーマの中の闇に潜むあまりにも深く、隠された物事」を再編成することによって「ファーマ」をもっと明瞭にすることを試みた情報が提供されたのであった。『コンフェシオ・フラテルニタティス』あるいは、『ヨーロッパの知識階級にむけて書かれた最も誉れ高いバラ十字会の賞賛されるべき友愛団の告白』は14の節に分かれていたが、後の版では必ずしもこの14節に分けられてはいない。そしてこの版では、バラ十字会は芸術、哲学、神学あるいは医学にかかわらず、すべての知識の鍵を握っていることから、科学と哲学を悩ましている病いに効く薬を所有していることを強調した。そしてまた、クリスチャン・ローゼンクロイツによって成された研究の成果からだけではなく、天使の儀式を通じてクリスチャン・ローゼンクロイツにもたらされた啓示からも得られたのであることも明らかにし、その知識の源泉についての新たな詳細をも示した。

至福千年思想(Millennialism)

 最初の宣言書はハスルマイヤーの手紙以外には、「セプテントリオン(北)のライオン」の予言については何も言及していなかったが、コンフェシオ・フラテルニタティスは「我々の財宝は、ライオンの到来までは依然として触れられることなく、かきまわされることもなく‥・」(Ch.6)、そしてこのライオンが吼えると同時に、法王の次の失脚が起こる(ch.5)と告知することによってこのことに触れている。この新たな宣言事は、全体的に至福千年到来論的であると言えるだろう。ファーマ・フラテルニタティスに示されている、新鮮な知識によって富まされた新時代の到来を見越している楽観主義と比較して、コンフェシオ・フラテルニタティスの方はずっと悲観的である。それは「主エホバが(主の安息日に直面していてもうすぐ近くにあり、そして再び急ぎたてられ、その期間または進行は終ってその始まりにされる)自然の進路の方向を転換させる」と宣言している(ch.1)。この時の終わりとは、(預言者エリヤによると)すでに経過した6000年の後の1000年紀の終わりのことである。なぜならバラ十字会員たちは「六番日の大燭台」に灯をともす使命を与えられていたからである(ch.4)。この期間はフローリスのヨアキムの三番日の時代~聖霊の時代あるいは第六番目の封印が開かれる時代のことである。バラ十字会員たちは、彼らが受けた啓示のことを「まもなく起こるべき終末の直前の世界に向けて」神から賜った最後の恩寵であると説明している(ch.7)。それにより最初の人間アダムが持っていたが楽国を去るときに失った、真実と光と生命と栄光」を人類がしばらくの間楽しむことが許されるのであると。コンフェシオ・フラテルニタティスでは、最初の宣言書の中に提示されたある要素、すなわちアダムが堕落した後に受け取った原初の啓示を再度把握しているのである。
 はたしてこの宣言書の著者たちは時代の終わりが近かったと本当に考えていたのかどうか、と問われるかもしれない.この時代は、歴史を直線上にとらえるのではなく、むしろヘンリー・コービン(Henry Corbin)によって造られ使用された用語、メタヒストリー(metahistory)的に考えたほうがよいだろう。メタヒストリーとは、歴史というものを人間の時間に依存する出来事に関連してとらえるのではなく、啓示によって再生された人間の内部のソールが生きる霊的な時間に依存してとらえられるのである.さらにコンフェシオ・フラテルニタティスでは、バラ十字会員たちは、過去、あるいは未来、遠くの国々に自分自身を投写する能力を持っている人々であると述べている(ch.4)。

リベル・ムンデイ(LiberMundi)

 コンフェシオ・フラテルニタラィスは、最初の宣言書で触れられていた主題であるリベル・ムンディ(Liber Mundi) あるいは『世界の書』に、「天国および地上の建物に神が書き刻み付けた偉大な文字と記号の数々」のことについて言及することによって戻っている(ch.6)。我々はここに、ある非常に重要なパラケルススの思想の局面を見出すのである。パラケルススにとって、聖書以外に唯一の基本となる書物は、『自然の書(the Book of Nature)』だけであった。「これらの文字と記号の数々は、神が神聖なる聖書のあちこちに組み入れ、そして神はそれらを最もわかりやすく天と地の素晴らしい造物の中に刻みつけた、さよう、すべての獣の中に」(ch.9)。パラケルススから引き出されたこの概念は、<自然>は万物の存在の鍵であり、諸法則の機械的な体系なのではなく、むしろ、人類が<共誕生(Co-birth)>の目的で対話に入ることのできる生ける実在であることを明言している。

聖書

 二番日の宣言書は『自然の書』に重要性を与えているが、それはまた明らかにされた「言葉」の重要性を力説し、人々に「神聖なる聖書を一生懸命に読み続ける」ことを熱心に勧めている。それは「世界の始まりから、聖書よりももっと価値のある、もっと優れた、もっと賞賛すべき健全な事物は人間たちに与えられてこなかった」(Ch.10)と主張している。ファーマと同じようにコンフェシオは、その専制政治を非難することによってローマ法王を誹謗している。そして教皇の破滅を告知するとき、このように述べている;「それゆえに、腹黒い輩たちの口が止められる日がいつか来るであろう。」(Ch.11)、そしてさらに「彼はまた、散り散りに引き裂かれるのである」(ch.5)と付け加えている。これらの声明はバラケルススの著作『pronosticationes』と『プラクティカ(Practica)』の中に頻繁に見出される主題を反映している。法王が反キリストであるとの考えの、プロテスタントの情況においては十分に理解できるこの態度は、カトリック教会がバラ十字思想に向けた強い敵意の発端となっていた。疑問の余地なく、初期のアラブ文明の賛美を修正する動きとして、二番日の宣言書はまた、マホメットの欠点を指摘していた。しかしながらこの最後の所見はおそらく、「法王とその破壊の息子マホメット」を非難している『ナオメトリア』の反復であるかもしれない。

にせ錬金術

 コンフェシオ・フラテルニタティスは、最初の宣言書の中でのにせ錬金術師たちに対する批判をもう一度繰り返したのである。バラ十字会員たちにとって真の錬金術とは、「<自然>の知識」に導くものでなくてはならないのだが、これは二次的なものであって、第一の目的は「我々は、哲学の理解と知識を達成することに真剣に取り組んでいる」(ch.11)ことなのである。バラ十字会はまた、当時急増していた錬金術文献を広めるにあたって、注意深く行動することを力説している。実際、17世紀は「俸大な仕事」に関する本の出版が最も大規模に行われた時代であった。

真実の要塞

 コンフェシオ・フラテルニタティスは、ダムカール市の賢者たちがバラ十字会員たちに良い見本を示してくれ、その見本に従って「ヨーロッパで政府が建設されるべきなのだ」と布告した。これらの人物たちはクリスチャン・ローゼンクロイツがこの目的のために設定した計画を所持していたのだと言われていた。最初の宣言書の中でのように、バラ十字会員たちは同時代の人々を自分たちの友愛組織に加わるようにと招き、「新たな真実の要塞jを築く目的のために彼等とひとつになることを探求者たちに提案した。バラ十字会員たちは、<自然>の恵みのすべての遺産の中に入門することを望む者には誰にでも、健康、博識、そして内的な平安を約束した。しかしながらバラ十字会員たちは、「黄金の輝きに目がくらんだ」者達に警告を発し、物質的な恩恵を得る目的でバラ十字会の友愛組織に加わろうとする者は、誰一人として決して会に入るよう選ばれることはないであろうと言明した。

 要約すると、コンフェシオ・フラテルニタティスはファーマ・フラテルニタティスよりも宗教についてさらに強調していると言える。聖書は『自然の書』を補強するものであると言われている。コンフェシオは、キリスト教至福千年思想に資するために、ルネッサンスの遺産を復活させようと試み、(キリストの復活を謳っていなかった点で異なっていた)バラ十字の保護の下で最後の啓示の時が差し迫っていることを世に提示した。

ファーマとコンフェシオの源泉

 最初の二つの宣言書を書いたのはいったい誰なのかと、多くの学者たちが疑問を呈してきている。実際、この質問はこれらの文献の中に表明されて述べられていた思想の出所と直接関係している。ここで我々は、二つの宣言書が全く誤りのない公理として触れているものが思い起こさせるのは、ストラスブルクの大出版家ラザラス・ゼッツナー(Lazarus Zetzner)によって1598年に出版されたレイモンドルーリー(Raymod Lully)著の『大いなる術』であり、中世の時代の影響に注目することができる。このライン川沿いの神秘家(Rhenish mystic)はまた、とりわけ我々がこの後述べることになるヨハン・アルント(Johann Arndt,1555-1621)を通して初期のバラ十字会の著作の著者たちに相当な影響を与えた。しかしながら、ファーマとコンフェシオは伝統の三つの流れ~パラケルスス思想、新ヨアキム思想、ルネッサンス期のへルメス思想~から主として引き出している。

 パラケルススがこの二つの宣言書で称えられた唯一の作者であったことは、単なる偶然ではない。パラケルススはこつの宣言書が提示した思想の主たる源泉となっていたのである。世界の様々な場所で入手された知識を分かち合う必要性、人間は小宇宙であるという事実、リベル・ムンディと初歩的な世界の住人たちに触れていること~特に「種」の暗喩~は、二つの宣言書がパラケルススから借用してきた主題なのである。クリスチャン・ローゼンクロイツの墓の中から、17世紀に出版されたパラケルスス用語の辞書のひとつであると確認された『シオフの語彙集』と呼ばれる文献が現れたことも、ここに付け加えておこう。このような借用は、こういったパラケルスス開連の文献が、宣言書が発行された時代に広く人々に読まれていたのでよく理解できるのである。ヨハン・ヒューザー(Hohann Huser)は、パラケルススの膨大な手稿を調査するというたいへん骨の折れる仕事の後で、1589年から1591年の間に『パラケルスス全集』を出版した。その第二版は1603年から1605年の間に、将来ヨハン・ヴァレンテイン・アンドレーエの編集者となるラザラス・ゼッツナーによって10巻として刊行された。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」(No.88)の記事のひとつです。

 

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