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原発の終焉と太陽光発電の自立 | 環境ビジネスオンライン
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原発の終焉と太陽光発電の自立

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2016年12月27日、東芝は、傘下のウエスティングハウス(WH)の子会社であるS&Wの資産価値が大幅に低下し、巨額損失が発生する見通しになったと発表。その後、この損失が6800億円程度に膨らむ可能性が出てきた。東芝の同年9月末時点の自己資本は約3600億円なので、このままだと2017年3月期決算で債務超過に陥ることになる。巨額損失の原因は原発事業の行き詰まりだ。

主力事業から一転お荷物に

東芝がWHを買収したのは2006年のこと。三菱重工やゼネラル・エレクトリック(GE)などとの争奪戦に勝ってWHを取得。そのコストは追加出資分も含めると約6400億円に昇り、ライバル企業が提示した金額の2倍を超えたと言われている。

東芝は、この買収をテコに海外での原発事業を経営の柱に据えたのだが、その賭けは裏目に出た。原発事業は2006年当時でもリスクの高い事業とみられていたが、2011年3月に福島第1原発事故が起きるとそのリスクが一気に顕在化したのである。

事故後、世界で原発建設をキャンセルあるいは延期する動きが広がり、WHの受注件数は目標を大きく下回ることとなった。さらに、米国での受注分については、安全規制の強化により建設コストが高騰し、今回の巨額損失の一因となった。

このような状況下、東芝は1月27日、海外での原発建設事業からの撤退方針を明らかにした。ただし、原子炉の納入や既存原発の保守・管理などは続け、国内ついては廃炉や保守を行うとしている。組織的にも大きく変わるようだ。原発事業をエネルギー部門から切り離し社長直轄の独立部門とし、さらに、分社化の検討も開始した。

東芝は原発事業で2度にわたる大きな判断ミスをしている。最初は2006年のWH買収だ。この件については、「結果論」との言い訳もあるかも知れないが、二つ目のミスは許されない。2015年の不正会計問題で経営が悪化した後、原発事業と半導体事業を主力に据えて再建を進めてきたことだ。福島事故から4年後の段階で原発を主力に置いたことは決定的な経営判断ミスである。

切り売り経営はセオリーに反する

さて、東芝はこれからどうなるのか。原発事業については新規建設はやらないというのだから、事実上の撤退だ。取引銀行などからはWHの売却を求める声もあるらしいが、リスクの高い原発事業の買い手探しは容易ではない。主力事業どころか完全にお荷物だ。

東芝は、とりあえず債務超過を避けるために、資金調達が必要だ。そのため半導体の主力であるフラッシュメモリー事業の分社化と外部資本導入を決めた。外部の出資比率は20%程度に抑えるという。

フラッシュメモリー分野で、東芝は韓国サムスン電子に次ぐ世界シェア2位で、その事業価値は1兆5000億円程度と想定されている。だから、その20%分を売却すれば3000億円程度の資金を手に入れることができる。自己資本3600億円と合わせて6600億円。債務超過回避まであと一息だ。

だが、一時的に債務超過を回避できたとしても経営には不安が残る。原発事業が実質的に退場する中、残る主力である半導体事業に外部資金を導入することは、利益低下につながる。

筆者はアメリカ系証券会社でM&Aに従事した経験を持つが、手放すべき原発事業を抱えたままで、一部とはいえフラッシュメモリーのような優良事業を売ることは経営のセオリーに反することだ。東芝は、切り売りによって何を守ろうとするのだろうか。

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