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頭痛患者における硬膜穿刺頭痛の頻度

van Oosterhout WPJ, et al. Postdural puncture headache in migraineurs and nonheadache subjects. Neurology 2013;80:1-8.

 

慶應義塾大学神経内科
企画広報委員
柴田 護

【背景・目的】
硬膜穿刺頭痛 (postdural puncture headache: PDPH)は、髄膜穿刺の合併症として知られ、典型例では穿刺5日以内に発生し、起立15分で発症し、臥位をとると15分以内に改善する。どのような要因がPDPH発症に関与するかは不明であるが、片頭痛を含む頭痛疾患の既往も関係するのではないかと想定されている。本研究は、片頭痛患者および頭痛の訴えのない健常者を対象に、髄膜穿刺PDPH発症を前方視的に評価している。

 

【方法・結果】

160名の片頭痛患者および年齢・性別を一致させた健常者53名に髄膜穿刺を施行した。両群を比較すると、片頭痛患者群では平均年齢・女性の比率が有意に高く、アルコール摂取者が有意に低かった。また、213名中13名では穿刺がうまくいかず未施行に終わった。さらに、1例は慢性片頭痛患者であることが判明したため、エントリー後に除外された。髄膜穿刺は、臥位での腰椎穿刺を基本にしたが、23例では坐位での穿刺が行われた。PDPHの診断は、ICHD-II改訂診断基準に従って行われた。PDPHは199名中64名 (32.2%)で発症した。重症度は、27名が軽度、18名が中等度、14名が重度と判定された。発症までの時間の中間値は20時間であり、病期の中間値は5.1日間であった。片頭痛患者では、病期の平均値が4.6 ± 2.4日であり、健常者の5.9 ± 3.6日に比較して短い傾向を示した (p = 0.098)。随伴症状としては、64.5%に前庭蝸牛症状を、64.5%で悪心・嘔吐が認められた。また、PDPHは坐位での穿刺を受けた群で有意に発症率が高値であった (65.0% vs. 28.5%, p = 0.001)。PDPHを発症した群と発症しなかった群との比較を行ったところ、PDPH発症群では若年者で、BMIが低値で、髄膜穿刺直後に認めた頭痛の重症度スコアが高かった。また、PDPHの遷延化に関連する危険因子としては、坐位での穿刺・うつの既往・腰椎穿刺のやり直し・穿刺中に感じたストレスの程度が挙げられた。一方、片頭痛患者はPDPH発症群に比較してPDPH非発症群に多く、この傾向は前兆の有無に関わらず明らかであった (PDPH発症頻度: 片頭痛患者42/150 vs. 健常者22/49)。また、150名の片頭痛患者のうち、25名で腰椎穿刺10日以内に片頭痛発作が認められたが、その72%は穿刺3日以内であった。詳細に検討すると、穿刺前の3日間に片頭痛発作を認めなかった患者では、穿刺3日以内に発作を認めたのは14%であり、43.2%が4~7日の間に発作を認めたことに比較して非常に低頻度であった。また、穿刺3日以内に発作を認めなかった患者では穿刺直前に感じたストレスが高い傾向にあった。

 

【結論】

PDPH発症の主要な発症要因として、若年・BMI低値・髄膜穿刺直後の重度の頭痛が挙げられたが、片頭痛患者におけるPDPH発症頻度は低かった。また、髄膜穿刺直前に感じるストレスは、片頭痛発作の発生に対して保護的に働く可能性が示唆された。