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はじめに
今後の日本にとっての「核武装」の意義
一世界の核戦略と日本の選択一
04K023 熊木 尚也
近年、日本の周辺国において、 日本の安全を脅かすような行動が多々見られるようになっている。 とりわけ
核についての問題が多発しているわけだが、最近では北朝鮮で、 2006年10月9日に地下核実験が実施された。
この報告を受け、同年10月15日、 自民党の中川昭一政調会長(当時)は 『サンデープロジェクト』 (テレビ朝
日)に出演中に、「憲法でも核保有は禁止されていない。 核があることで攻められる可能性が低くなる、やれば
やり返すという論理はあり得る。 当然、 議論があってもいい」と発言した。 (=中川発言)
この発言に対し、各政党の枠を超え多くの政治家並びに一般国民が批判を口にした。 これには、日本は世界
で唯一の被爆国で、 核に対する様々な議論がタブー視されているという背景があり、戦後に生まれてきた私た
ちの多くも「日本が核に関する議論をすることは間違っている」と認識してきた。そのことは当然倫理的に肯
定されることではあるが、その結果、 日本において核に関する議論は減少し、 多くの人々がこの問題に対して
現実感を喪失し始めていることも事実のように思われる。
現実に目を向ければ、 現在の日本は大きな分岐点に立たされているのではないだろうか。日本の近隣諸国が
核兵力を増大させたり、 新たに核保有したりしようとしているのである。そうした中で、 「日本は被爆国だか
ら」とか「米国が守ってくれる」とかという理由で本当に核に関する議論が持たれないままでよいのであろう
か。現実に他国から核恫喝された場合、 米国が絶対に日本を守るという保障はあるのであろうか。 そのような
最悪の局面に遭遇した場合に備えて、 私たちは今のうちに、真剣に日本の防衛策について考える必要があると
思う。
本稿では、各国の核戦略を概観した上で、日本を取り巻く核の危険を確認し、 日本の安全を守るために核兵
器が必要だという議論を検討する。 核武装の是非をめぐる議論は様々な価値観からなされるもので、 単純に論
を進めることはできないが、本稿ではその第一歩として、核保有という選択肢の可能性を持つべきとの見解に
立って述べるものとする。
第1章 世界の核戦略と核保有までの経緯
まずは、世界の主要な国々の核戦略を検証すると共に、 核保有国がどのような経緯で核保有するに至ったの
かを見てみたい。 日本の「核の選択肢」 を考えてゆく上で、 各国が核保有に至った経緯をおさえておくことは必
要である。 「なぜ、 核保有したのか」 を捉え、 日本の核の議論の参考としたい。
現在、核の所有に関しては、 「核兵器国」 (1) 、 「非核兵器国」、 「事実上の核兵器保有国」の3つに分類するこ
とができる。 つまり、 国際条約で核保有を認められた核兵器国と認められない国、 そして、 国際条約に違反し
て核保有している国が存在しているのである。
本章では、上記の3つに分けた国々それぞれについてごく簡単にまとめて比較していくことにする。
- 29-

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1. 核兵器国
まずは、国際的に核兵器の保有を認められている5カ国についてだが(この国際条約については第3章で詳
しく説明)、核保有するに至った経緯には、米ソと他の国では理由が異なる。 米ソは冷戦中、 核軍備競争を繰
り広げてきた。米国は最初の核開発国として、核の位置付けで様々な試行錯誤を行うものの、一貫した目的と
して、 「アメリカ主導による国際秩序の形成」を目指してきたように思われる。 その目的達成のため、 障害と
なっていたソ連をはじめとする社会主義勢力を核兵器の持つ影響力によって封じ込めようと考えていたのだ
ったと言えよう。
そもそも、核兵器は米国が作り出した近代兵器で、 マンハッタン計画 (2) で原爆を開発し、 大統領が交代す
るたびに核戦略を次々と策定していった。 1954年、 アイゼンハワー大統領の下ではソ連だけでなく中国や東
欧の民間施設や軍事施設を軒並み攻撃する 「大量報復戦略」 (3) を打ち出し、 61年に大統領に就任したケネディ
の下では、対ソ攻撃と中国・東欧攻撃を切り離し、 まずはソ連への攻撃を行う 「柔軟反応戦略」 ( を打ち出し
ている。 米国は核兵器を通常兵器とは比べものにならない兵器と捉え、 以後、 この核の脅威を世界各国に見せ
つけることで核の優位を確保し、世界で絶大な影響力を行使していった。
一方、ソ連のスターリンは、米国に次いで原爆を開発し、1949年8月29日に原爆実験を行い、 核保有した。
ソ連が米国への対抗心から核武装した背景には、 安全保障のことももちろんあるが、 資本主義陣営には負けら
れないという社会主義陣営の威信があった。ソ連は核兵器を、 「世界の共産化」という政治目的を達成するため
の道具と捉え、米国に対抗するための最も効率的な兵器として、 使用可能兵器と考えていたようである。
両国は競い合うように核兵器開発に取り組み、 「核の傘」 () によって自国の勢力圏を拡大していった。 しば
らくは、質的にも量的にも均衡した状態となったが 1991年のソ連崩壊とともに冷戦は終結し、ソ連の核兵器
を継承したロシアはかつての影響力を失うこととなったが、両国が特別な立場であることは今もかわりがない。
それは、1991 年の米ソが保有する核兵器量が、他国が持つ核兵器量を圧倒している点からも明らかである。
つまり、米ソ2カ国は特別な地位にあり、2カ国の核戦略が他国にはない特別なものであったと言えるようだ。
このように、米ソは自国を守るという安全保障の概念だけではなく、 核兵器によって自国の勢力圏を拡大す
るという国益からも核武装を進めていったことが分かる。
一方、英仏中は核兵器を自国の勢力拡大のための道具としてではなく、あくまでも自国防衛を目的とした核
開発を行い保有した。 米ソはそれまで、 「核の傘」 を謳い文句に自国の勢力圏下の国を守ってきたが、 英仏中は
米ソが提供する「核の傘」に不信を抱き、 独自核の構築による自国の安全保障を考えた。
米国との原爆共同開発を望んでいた英国は、マンハッタン計画に科学者を送り込み、 ウラン濃縮技術 (6)
一部を与えるなどして、米国に対して重要な貢献を果たしてきた。しかし、核の独占を目指す米国は徐々に英
国に対する情報提供を拒否するようになり、 1946年8月に米国でマクマホン法が成立すると英国の望みは
潰えた。この米国の裏切りとも思える行動により、47年1月、 英国アトリー政権は独自核の開発 (8) に乗り出
した。 ソ連の脅威がある中、 「大国」であり続けたいという国家意志と科学能力や軍事力を誇示したい科学者と
軍部の意向を加えて、 米国の「核の傘」への不信が英国に核保有を決定させたのだった。 52年10月、 英国は最
初の核実験「ハリケーン」 を行い、核保有国となった。 ソ連に対抗するための軍隊を維持するよりも、 核を選択
する方がずっと安上がりだったことも独自核武装の要因だった。
このように、 米国との「核の傘」をめぐる確執がありながらも波風を立てず静かに核武装した英国に比べ、フ
ランスは「核の傘」への不信を声高に叫び核武装した。 シャルルドゴールは、国家の存亡が危機にある時、米
国に頼るのではなく自国の核抑止力によって安全を確保するという信念を持っていた。 「核の傘」理論を振りか
ざして、フランスの自主的な核抑止能力の構築を阻止しようとしたケネディ政権を、 米国の利己的な核兵器独
占政策を正当化しようとしているだけと見なしていた 。 1960年2月、フランスはアルジェリアで核実験に
(9)
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踏み切り、核保有国となった。 フランスの核戦力の独立性について「米国が始める核戦争にフランスが巻き込
まれないため」 000 であるとドゴールは語っている。
また、中国は「ズボンをはかなくても原爆は持つ」という確固たる信念を持って1964年10月に核実験を行い、
核武装した国である。 絶え間ない戦争と危機にさらされた中国が決断した核の選択は、米ソ両大国の脅威から
自国を守る必要性があったからだ。 朝鮮戦争や2回の金門、 馬祖砲撃で米国の核の脅威を感じた毛沢東は、 「核
に対抗するには核しかない」 という思いから核保有を決断した。 この時、 同盟国であるソ連が核による対抗手
段をとる素振りを全く見せなかったことからも、ソ連の「核の傘」は空約束でしかなかったと感じさせ、中国に
核の選択をさせた要因となった。
英仏中の3カ国が核保有に踏み切った要因は、いずれも米ソの提供する「核の傘」に信頼感を持てず、 自国の
安全保障を考える上で核兵器に高い有効性を感じたからであった。 現在では、 核兵器国として核保有を認めら
れている5カ国だが、 米ソと英仏中では核保有に至るまでの経緯は全く違い、米ソのように核兵器による勢力
拡大と、核兵器によって自国を守るものとに分かれていたと考えるのが妥当であろう。
2. 非核兵器国
次に、 非核兵器国について見ていきたい。 現在では国際条約上、 核兵器国以外の国の核保有は認められてい
ないわけだが、核兵器を持たない理由も国々によって様々である。 保有する必要性のない国もあれば、大国に
守って貰っている国もある。 そこで、そのモデルとしてドイツと日本を比較しながら見ていく。
ドイツや日本は核の選択肢を放棄した国である。 しかし、 両国が核放棄を決定した経緯には類似点と相違点
がある。 まず、 類似点は両国とも経済成長で大国となり、 国際社会で一定の影響力を持つのに核がいらなかっ
た点だ。ドイツも日本も先進国首脳会議のメンバーであるし、 国連安保理では非常任理事国にも数多く当選し
ている(ドイツは、東西分裂時より数えて)。 また、米国の「核の傘」に不信感を持ちながらも、 結局、 米国に自
国の安全保障を任せっきりであった。 核武装が国民の支持を得なかった点も一緒である。
相違点は、ドイツはNATO の核計画グループに参加することで核攻撃の標的選定、核兵器関連物資の購入に
関わっている。 さらに、ドイツ国内には今も米国の核弾頭が配備されており、 公式には米国の核が配備されて
いない日本とは大きな違いがある。
近年について見ても、 核を取り巻く環境には大きな変化が見られる。 後に見るが、 日本が新たな核の脅威に
さらされることになった一方、ドイツはソ連という脅威から解放されることとなった。 ドイツの場合、冷戦後、
仮想敵国がいなくなったことで反核に対する世論が高まり、 1998年の調査では87%が国内に配備されている米
国の核の撤去を求めている。 また、 実際に軍事予算も削られている。
このように同じ非核の立場でも、 現在置かれている状況によって今後の核の必要性も大きく異なっていくで
あろうし、その状況に応じた議論が必要であることは疑う余地もないであろう。
3.事実上の核兵器保有国
00)
では、現在の核兵器国と非核兵器国の区別は厳密で不変なものなのだろうか。この問題を考える場合、いく
つかの例外を考慮に入れる必要がある。 それが、 国際的には認められていないものの、事実として核保有して
いる国が存在していることである。 事実上の核保有国について、インド、イスラエルを見てみたい。インドは、
戦後60年の核の拡散をめぐる攻防の中、 核の国際管理を強化する部分的核実験禁止条約 (PTBT) や核拡散防
止条約(NPT) * などの動きかある一方で、 米大統領アイゼンハワーが1953年12月に打ち出した原子力の平和
利用(アトムズ・フォー・ピース) 政策を悪利用し、 核保有した国である。 「これからは原子力の平和利用の
時代だ」という高揚感に溢れる中、米ソは、 競い合うように商売熱心に自国の核技術を売った。 インドは、55
- 31-

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年から56年にかけ英国から核燃料、 カナダから天然ウラン重水炉、 米国から重水を購入し、74年5月に核実
験用のプルトニウムを生産した。 その後、74年5月18日にインドは初めての核実験核を行い、 保有した。 イ
ンドは、「平和目的核実験」 と発表し、川の流れを変えたり、 ダム作りがその目的であると説明したが、これが
アトムズ・フォー・ピース政策がもたらした最初の裏切りであった。
また、パキスタンは長きに渡るインド・パキスタン戦争の中、 インドに対抗して核武装している。
一方イスラエルは、 核保有の事実は認めないものの、限りなく保有しているニュアンスをにおわせる曖昧な
核戦略を採っている。 イスラエルは長年、アラブ・イスラム諸国と戦争を繰り返してきており、こうしたアラ
ブ諸国の軍事的脅威を抑止するために核保有したと考えられている。イスラエルは、1948年の建国当初から
核兵器に関心を持ち、 アトムズ・フォー・ピース政策から核兵器開発に乗り出した。 初代首相のデイビット・
ベングリオンは周囲を囲むアラブ諸国の脅威、さらにはその背後にあるソ連の核戦力を常に恐れており、米国
はイスラエルの危機感に敏感ではなく 「核の傘」 を取り付けられなかったことから、 アラブ軍に囲まれた力の不
均衡を是正するには軍事力の向上、つまりは自前の核武装という結論に至ったのである。
アトムズ・フォー・ピース政策などによって、比較的容易に核兵器を手に入れられるようになると、 英仏中
のように核保有の目的が自国の安全保障を「核の傘」に頼ることが困難になったというより、 その目的は地域問
題と深く密着してくる。冷戦終結後、 地域紛争や地域的な覇権争いが多発する中で、 独自核の保有が必要とな
ったのである。
これまで見てきて分かるように、米ソの核戦略は他の国とは圧倒的に違い、 「核の傘」によって自国の勢力圏
広げてきた。 米ソにとっては、核兵器は自国の安全を保障するだけではなく、勢力拡大という目的達成のため
の道具であったと言えよう。
また、米ソ以外の国が核兵器を保有した経緯には、 自国の安全保障において超大国の「核の傘」に頼るのでは
なく、 独自核によって自国の安全を守ろうとしたことが見受けられる。 各国が核を選択した理由には、膨大な
費用が掛かる通常戦力と比べ、 核兵器で得られる抑止力が安上がりだったことも理由の1つとして挙げられる。
大国米ソを除けば、他の核保有国には十分な抑止力を維持するだけの通常兵器費を産出することは困難であり、
少数の核兵器を装備したほうが軍事的にも国家的威信的にも費用対効果は大きい。英国やフランス、インドや
イスラエルにとっても対ソ連や地域紛争に際して、 自国の安全を考えての核保有と言っていいだろう。
また、日本やドイツなどの非核兵器国については、敗戦国という立場に加えて、 超大国の核の恩恵に与るこ
とから、必然的に核の選択肢を考えなかったようだ。 有事の際は米国が助けてくれるという前提があったから
こそ、核兵器保有について否定的な世論が存在していると考えられる。
いずれにせよ、米ソの核戦略が特別なもので、 それを頼るか、頼らずに自衛策を考えるかという点で大きく
二分されるのである。
第2章 日本が直面する周辺国の脅威
それでは次に、核兵器の製造・開発の疑惑がある国がアジア地域にあることに注目したい。 その中でも、日
本にとって脅威となる可能性がある中国と北朝鮮について見ていく。
各国の核戦略については、先ほど述べたところだが、近年では核を保有し、それをかつての米ソのように自
国の勢力を拡大するための道具として考える兆候を見せ始めた国もいくつか出てきている。 それが、日本の身
近なところでは中国と北朝鮮だと言えよう。 日本を脅かす可能性があるだけに、 両国の日本に対する脅威を分
析していくとする。
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1. 中国の脅威
0:0
中国は共産党の一党独裁体制国家である。 近年、 中国では 「改革開放」 政策 が成功し経済成長を遂げ、
大きく成長した。 注目すべきは、 1990 年代以降の軍事予算が十数年連続して年率二桁の伸びを続けているこ
と、また、 有人飛行を含む宇宙開発の促進、 海軍の海洋行動能力の強化など、 質的レベルを上げてきている事
実があるということだ。
(15)
このような軍事力の近代化からは、 中国人民解放軍 が湾岸戦争やイラク戦争のような現代戦に対応でき
る戦闘能力の構築を目指していることが読み取れる。中国政府の攻防白書 「2004 年の中国の国防」 では、2000
年版及び2002 年版に比べ、兵員数の削減は継続しつつ、軍事科学技術をますます重視して、軍事力の近代化
を強く追求している
中国が国際的にも核保有を認められていることは確かだが、 日本の隣国が軍事面で年々強化を行っているこ
とはそれだけで脅威と感じなくてはならない。 中国は、 1990 年代より新型の移動式 ICBM である DF-31・DF
-41 と新型の SLBM であるJL-2 (巨浪2) を開発・製造し始めた経緯がある。 これらは非常に優秀な長距離核
弾道ミサイルで、中国政府は公式には、 旧式の固定式・単弾道 ICBMを20基しか所有していないことになって
いるが、これらの移動式の高精度・多弾道・核ミサイルを地下軍事基地と潜水艦に配備していると考えられて
いる。
現在、中国の保有核弾頭数は、戦略核弾頭約250発、 戦術核弾頭約150発程度と見積もられている。 戦略核
弾頭約250発のうち、ICBM に搭載可能なものが約30発であり、 100発程度は射程 1800~4750km程度のミサイ
ルか爆撃機に搭載可能と見られている。 シンガポール大学の非公式分析によれば、 1800発の戦略核弾頭、550
発の戦術核弾頭を保有しているとしているが、 いずれにしても中国は正確な公表はしておらず、透明性に欠け、
数値的には公表しているものを到底信じることはできない。
「アジア圏において最大覇権国となり、 その勢力圏を確立する」 6 という国家目標を持つ中国だけに米国と
安全保障条約を結んでいる日本に対して、 「米国に協力するな」 という核恫喝を行ってくる恐れも考えられる。
そうなれば、中国の核ミサイルが日本方向に向くわけだから、脅威となる可能性は十分にあるのである。
2. 北朝鮮の脅威
北朝鮮もまた、朝鮮労働党によって支配されている独裁国家である。 国家のあらゆる機関が朝鮮労働党の下
に置かれ、その朝鮮労働党のトップが金正日であり、国家はこの金正日が全てを支配している。
20)
20
北朝鮮には「先軍政治」 " という言葉が象徴するように、 何事においても軍事を優先させる国家である。
憲法第 60 条にも、 「国家は軍隊及び人民を政治思想的に武装させ、 それを基礎として、 全軍幹部化 ® 、全軍
現代化 9 、 全民武装化 、 全国要塞化 Cl を基本内容とする自衛的軍事路線を貫徹する」 と書かれており、軍
事優先が国の方針となっている。 北朝鮮では、様々な軍事施設を地下に建設し、 空爆に耐えられるようにして
いる。 当然、 そのための国家予算も軍事優先となっている
中国と異なる点は、北朝鮮の核保有は国際的には認められていないことだ。にもかかわらず、度重なるミサ
イル発射や核実験を行ってきた。 2006年7月5日には、弾道ミサイルの試験発射を実施し、 北朝鮮東部の
キテリョンから日本海に向けて計6基のノドン及びスカッドミサイルが発射された他、 北東部のスムダンから
はテポドン2が1基発射された。 北朝鮮はミサイル発射について、 「自主的国防力強化のための軍事訓練」
北朝鮮はミサイル発射について、「自主的国防力強化のための軍事訓練」
と説明した上で、 更なる発射訓練の継続を明言している。 また、 国連安保理からの非難決議に対しても、「全
ての手段と方法を尽くして自衛的戦争抑止力を強化する」と述べ、さらに強固な措置へ進む構えを示した。 こ
のミサイル発射から3ヵ月後の10月3日、北朝鮮は 「自衛的戦争抑止力の新たな措置」 として 「核実験を行
う」との予告をし、 同9日、北東部のプンゲリ周辺にて地下核実験を実施している。
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対応策として、 2006年12月、北朝鮮の核開発について日米韓の3カ国は、6カ国協議を開催する直前に、
「北朝鮮・寧辺にある実験用原子炉の稼動停止」 と 「IAEA による検証措置」 を要求したが、 北朝鮮はこれに
応じず、 核問題解決に向けた進展は見出せなかった 5
0
今回、2007年2月に開催された6カ国協議では初めてまとまった形で合意が成されたが、 北朝鮮がこれ
を履行するかは非常に不透明だ。 今まで何回も約束を反故にしてきたことからも、北朝鮮には根強い不信感が
残る。
このように北朝鮮は信用性に欠ける点で、 米国を中心とする資本主義諸国からは「悪の枢軸国」として
非難されている。長年にわたるミサイル開発計画や核開発を背景に、拉致問題や核実験を行ってきた国と
して、また、開発途上国にミサイルを違法に輸出している国としてテロ支援国家の1つにも数えられてい
る。 日本とは決して友好関係を築けていないだけに、このような危険な国が核兵器を保有したことは、脅威と
言わざるを得ない。
中国と北朝鮮の軍事的脅威については、 日本にとって近い将来考えなければならない課題となるだろうこと
が分かった。 最も近い周辺国の中国と北朝鮮が核ミサイルを保有し、さらに技術力を高めていることは、それ
だけで脅威である。 もしも、核恫喝をしてくれば、 核兵器を持たない日本は両国に対し、 反論する手段を持た
ない。米国に助けを求めることで(米国に助けを求めれば日本を核攻撃するとう核恫喝) 日本の安全が脅かされ
ては、米国に頼ることもできない。 その場合の日本の安全保障について有効な手段は十分準備されているので
あろうか。冷戦期同様、 核の使用が条約上もしくは外交によって十分コントロールされるのか。十分検討して
おく必要はあろう。
そこで重要となってくるのは、国際的な核管理についてである。 次章では、現在の核の管理体制がどうなっ
ているのか、どう機能しているのかを見ていくこととする。
第3章 NPT 体制と日本の取り組み
それでは、危険な核兵器を取り締まる国際的な管理体制に注目してみる。 現在の核兵器管理の代表的な条約
がNPT であると考えられる。 このNPT には様々な問題が指摘されているものの、現実的に最も効力のある条約
と言えよう。
日本はこのNPT に早くに署名しているが、一体これまでどう取り組んできたのであろうか。 そして、NPT の
効力がどこまで行き届いているのか。 NPT の内容を振り返ると共に、 NPT の今後を考えてゆくとする。
1. 不平等な条約内容
(0)
核不拡散条約 (NPT) は、 現在の国際社会において核拡散防止と核軍縮の基盤となっている枠組みを提供し
ている。
NPT は、数ある軍備管理 軍縮条約の中で最も多数の国が加盟しており、加盟していないのは、インド、
パキスタン、イスラエルの3カ国で、いずれも事実上の核保有している国である。 国連としては長年この3
カ国に非核兵器国としてNPT に加盟するよう求めているが、拒まれている。 また、北朝鮮は2003年1月にNPT
脱退宣言をしている。
NPT が核軍縮としての基盤条約である一方で、 内容に不平等な点もある。 NPT では条約成立以前に核兵器を
保有していた 5カ国を 「核兵器国」、 それ以外の加盟国を 「非核兵器国」と定め、 非核兵器国に対しては、核
兵器の開発、製造、 保有、 移譲を禁止している。 非核兵器国は、自国が核兵器開発を行ってはいないことを国
- 34 -

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(3)
際的に明らかにするために、自らの原子力活動を国際原子力機関(IAEA) による保障措置の下に置かなくて
はならない。 反面、その見返りとして、 非核兵器国の原子力の平和利用への積極的な援助などを定めてい
NPT 第6条では、核兵器国にも核軍縮交渉を誠実に行うことを義務付けているが、 核拡散社会となっている
現状から見ても核兵器国の義務が達成されているとは言えない。 核兵器国が第6条を遵守して、本当に核兵器
を削減しているのかを検証するためには、 「水平 (ヨコ)の拡散を防ぐことだけでなく、 「垂直 (タテ)の拡
散」も防止するという観点からも考えなくてはならない。既存の核兵器の改良や強化、 さらには、核兵器
使用の可能性を高めるような運用や配備もNPT違反と見なすべきであるが、現実に核兵器国がNPT 違反を犯し
ていても、 これに対する検証制度も無ければ罰則規定も無い。 世界最大の核兵器国である米国は、量的な面で
も質的な面でも十分に核軍縮義務を果たしているとは言えない状況である。
このような問題を抱えるNPT 条約は、もともと25年の期限付きで導入されたものであった。 25年という月
日が経過しても、NPT を超える影響力ある国際条約は現れず、 NPT が今後どうあるべきかを各国が考えること
となったのである。
2. NPT 再検討会議
条約発効から25年目にあたる 1995年 NPT を無期限で延長するか期限付きで延長するかが議論され、 無
期限延長が決定された。 5カ国の特権の永続化につながりかねないこの決定は、核兵器国による核軍縮の公約
を中心とする一連の合意と引き換えに行われ、この時、 核兵器国が非核兵器国に対して核攻撃を行わないとい
う声明を発表した。 また、 核兵器国は NPT 体制の無期限延長を手に入れるため、 1996年中に核実験全面禁止
を実現するという非核兵器国の要求を呑み、 1996年9月10日の国連総会で包括的核実験禁止条約 (CTBT) を
採択した。 しかし、 CTBT 発効には核兵器国と核開発能力を有する44カ国の署名・批准が必要なため、未だ発
行には至っていない。
(7
また、2000年4月24日にも、ニューヨークでNPT 再検討会議が開かれた。 新アジェンダ連合 (NAC)は核
兵器国に対して 「向こう5年間で核を廃棄するよう明確に約束する」ことなどを盛り込んだ段階的な核軍縮措
置を求めた。 核兵器国と非核兵器国の激しいせめぎ合いから文案の作成は難航したが、 双方の妥協の上に、5
月20日、ようやく最終合意文書を全会一致で採択して閉幕した。 ここでの成果が、 NPT 発効 30 年目にして、
ようやく核兵器国による核兵器完全廃絶への誓約が行われたことと、 核兵器廃絶へ向けた核軍縮の具体的な措
置が明確になったことだ。 NAC の文章提案を基に、 「CTBT の早期発効」 や 「核実験の一時停止」 など13項目の
核軍縮措置が合意された。 しかし、 2001 年にブッシュ政権が就任すると、 NPT 合意に逆行する動きが目立
つようになる。米国はまず、 CTBT に対する敵対姿勢を表し、 非核兵器国に対する核兵器使用や核実験再開の
準備など、明らかに13項目の核軍縮措置に違反する態度をとった。
しかしその一方で、 米国は自国に対する世界各国の懸念や批判を棚上げにし、 北朝鮮やイラン・イラクとい
った国々にこそ核拡散の疑惑があり、 厳しい対抗措置を講ずるという方向を打ち出した。
また、ブッシュ政権は外交の舞台で、 CTBT と名の付くものには手当たり次第に反対している。 2001 年秋の
国連総会では、総会が 「翌年の議題に CTBT を含める」 という、 たった5行の手続き上の決定を行おうとした
時でさえ、投票にかけることを求め、 たった1国だけ反対した。
さらに2001年8月には、 CTBT 機関への資金拠出を約5パーセント削減する方針を発表した。これは、同機
関の年間予算の約1パーセントに相当し、 CTBT 機関は各国の拠出金で運営されているため、途上国からの自
国負担に対する不満の声は高まっている。
最近では、イランや北朝鮮問題など核拡散の恐れが深刻化する中、ニューヨークで開かれた NPT 再検討会議
において、本会議で形式的な内容の報告書を採択し、 4週間の会期を終えて閉幕した。 ここでは中東非核化
- 35-

Page 8
などをめぐり参加国の意見が激しく対立し、 審議内容を含んだ包括合意文書は採択できなかった。
結局今回は核兵器廃絶への 「明確な約束」 など画期的な最終文書を採択した前回 (2000年) とは対照的に、
完全な失敗に終わった。 成果のある文書を残せず、 核軍縮の後退に歯止めをかけることもできず、世界の核状
況に深刻な影響を及ぼす可能性を残すこととなったのである。
3. NPT の限界
(12)
米国が進める PSI ( の背景には NPT の限界が見え始めているためのようだ。 NPT や IAEAの査察が核兵器保
有を防ぎきれないことは、イラクのケースで明らかになった。 1950年代よりアトムズ・フォー・ピース政策
の恩恵で得た技術を基に核兵器開発していた疑いがあったが、非核兵器国に対する IAEAの度重なる査察では、
それを明らかにすることはできなかった。
また、イランは NPT 批准国だが、1979 年より原子力開発に熱心で核兵器開発を行っているとの疑惑を持た
れていた。2003 年には IAEA がウラン濃縮、プルトニウム抽出を未申告で行っていたと認定したが、NPT の平
和利用条項を盾に原子力開発を進めるイランに 「NO」 とは言えない。 現在の核拡散防止の枠組みではこの問題
は解決できないのである。
さらに、北朝鮮は1994年に米朝枠組み合意でプルトニウム計画凍結となったにもかかわらず、2002年に米
国からウラン濃縮計画の存在を指摘されると、03年にNPT 脱退を表明、05年には核保有と量産を宣言したが、
NPT 体制下にいない北朝鮮をとめることはできなかった。
NPT にはもともと限界があったと言えよう。 NPT 未加盟で核保有したインド、イスラエル、パキスタンは核
保有を合法的に実現した。 3カ国とも平和利用を謳いながら核保有に踏み込んだが、 NPT に加盟していないこ
とでこれを抑えることはできないのである。
米国は国際条約である NPT に否定的な姿勢を示し、 多国間条約による有志国家グループ主導で核拡散防止に
取り組もうとしている。 しかし、 これは非核兵器国としての義務を負い、不拡散のため努力を重ねてきた非核
兵器国を全く無視したやり方であるということも覚えておかなくてはならない。
4. NPT 体制に対する日本の取り組み
それでは、日本はNPTにどう取り組んできたのだろうか。 被爆国として核廃絶を求める日本の取り組みを見
てみる。
日本は、NPT に 1970年2月に署名し、 76年6月に批准している。 2002年9月の国連総会で、小泉首相(当
時)は「唯一の被爆国として、 核軍縮・不拡散の分野で、我が国の果たすべき役割は大きいと考える」と演説し、
日本が具体的に果たす役割として、 国連総会への核兵器廃絶決議 (3) の提出と、 CTBT の早期発効への努力の2
点を揚げている。 1994年までの日本決議は核兵器廃絶を「究極の目標」と位置付けていたが、その後の2000年
春のNPT 再検討会議の成果を受けてからは 「核兵器の全面的廃絶へ向けた道程」と名づけられ、 再検討会議で合
意された核軍縮措置を再確認することを中心とした文面のものに変更された。 この過去の合意の確認的要素を
持つ日本決議は、先駆性は無いものの世界的な核軍縮努力の中で一定の存在感を示していることは事実であっ
た。
次に CTBT 発効促進については、 日本はCTBTが1996年9月に成立すると直ちに署名し、いち早く批准した。
その後は、CTBT 発効促進会議の運営に中心的な役割を担い、オランダやオーストラリアと協力して有志の外
相声明を発したり、 第3回会議の議長国であるフィンランドやホスト国オーストリアと共同で未署名・未批准
国に書簡を送付したり、 NPT に対し積極的な取り組みを見せている。
しかし、その積極性とは裏腹に日本のNPT 体制に対する取り組みには、様々な欠落や根本的な矛盾が存在する。
- 36-

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まず、NAC に対する日本の態度を見てみると、否定的な部分がある。 その1つが日本の安全保障の観点から
NAC の核軍縮要求は受け入れられないというものがある。 核軍縮要求では、核兵器の先制不使用に言及してい
るが、米国が核兵器の先制不使用を約束してしまった場合、 日本の安全保障が保たれなくなる可能性が出てく
るため、この要求に与するわけにはいかないのだ。
第2は、日本と NAC の「アプローチの違い」である。 日本は、 NAC が 1998年以来提出している国連総会決議
に対して、一部を除いて棄権を繰り返している。 棄権理由については、 「核兵器国に対する対立的な姿勢では、
建設的な議論は望めない」というものである。 核軍縮は核兵器国の協力を得て初めて行われるもので、 つまり
「米国との対立は避ける」 というのが日本の基本原則なのである。
結局のところ、 日本のNPT 体制への取り組みは米国の核抑止力に依存したもので、 米国の態度が変われば日
本は自国の要求も平気で変更してしまうところとなっている。
CTBT について見てみると、クリントン政権はCTBT 推進に熱心であったので、日本が CTBT 発効促進を主張
することは日米関係に何の影響も無かったが、 ブッシュ政権では方針が180度転換したので、日本政府は慌て
2001年秋の最初の日本決議の草案から CTBT 早期発効要求の表現を削ってしまった。 しかし、 米国が日本決
議に対して反対票を投じても、 それで日米関係が悪化することにはならないと分かるや否や、日本政府はすか
さず草案に修正を加え、 CTBT 早期発効要求を復活させたのだ。
また、米国が近年、 G8 グローバル・パートナーシップや PSI などの多国間条約に基づかない有志国家グル
ープで不拡散に取り組むことを重視していることに対して、日本政府はグローバル・パートナーシップ立ち上
げと同時に2億ドルの拠出を約束したほか、 PSI にも発足当初から参加するなど、 米国の構想に自らを適応さ
せるために懸命になっている。
こうした日本の姿勢について、 多くの国々の間で「日本政府は核軍縮に対してどこまで真剣なのか」との疑
問の声が絶えない。日本が実質的な核軍縮措置や技術的な検証の一部に積極的に貢献していることは間違いな
いが、 核軍縮措置そのものをゆがめようとする米国の動きを一切批判せず、米国の顔色を窺ってばかりの実態
があることが本質的な問題として存在しているのだ。
NPT 体制が完璧なものでないにしろ、やはり NPT の規範や義務は広く受け入れられている。 大多数の国は不
平等性を認識した上で加盟し、 その義務を負っている。 そこには、 核拡散に歯止めをかけたいという国際社会
の願いが窺える。 もちろん日本も同様の意見である。
しかし、 NPT が正常に機能するには米国のイニシアティブが必要となるわけだが、 米国があまりにも自国益
に固執し、他の加盟国の国益をないがしろにする場合には、不平等性の拡大が核兵器のより一層の拡散を生む
ことになりかねない。 米国の国益が強く反映されていては、米国との関係によって、核兵器の取得・保有が罰
せられる国と黙認・容認される国に分別される危険性も出てくる。 米国に求められることは、国益にとらわれ
ず、国際社会としての利益を第一に考えた行動を採ることだと言えよう。
加えて、 日本に求められることが、 米国との同盟国であるからこそ米国に不平等性を緩和するための取り組
みを促し、求めていく姿勢である。 核兵器拡散防止は日本にとっても国益である。 それを実現するためにも日
本の役割は重要なのだ。
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第4章. 日本が歩むべき道
今まで見てきたように、日本は米国に安全保障面を頼りっきりとなっている。そのため、日本は常に米国の
顔色を窺った言動・行動を取り続けてきたわけだが、果たして米国は有事の際に日本を守ってくれるのであろ
うか。 ここでは、米国の提供する安全保障について見ていくと共に、日本の核兵器廃絶に向けた基本的姿勢を
見直し、今後の方向性を見出していきたい。
1. 米国の「核の傘」 の有効性とミサイル防衛 (MD) システム
米国が提供する「核の傘」 は、米国内中枢を攻撃される危険性が高ければ高いほど、 その有効性に期待するこ
とはできなくなるだろう。 中国のICBMや北朝鮮のテポドン2が米国本土を射程圏内に捉えるものとして開発
されていることが事実であれば、ますます米国の提供する「核の傘」は機能しなくなる可能性が出てくる。
そもそも米国の「核の傘」の有効性は、米国本土が敵国からの危険にさらされない状態において機能してきた
ものである。 これは、簡単に言ってしまうと、「核保有しない代わりに、自国の安全を米国に守ってもらおう」
というもので、完全に米国の核兵器に依存したものとなっている。
しかし、核拡散の流れから、 米国本土も核の脅威にさらされるようになってしまった今日において、「核の
傘」の有効性は失われつつある。 これは、日本にとって早急に議論しなければならないことである。
日本の政治家や官僚たちは未だに、 「日本が危機に際した場合は、米国から守ってもらえば良い」などと考え
る者が多いが、 もし日本を守ることで米国本土にまで危険が伴う場合、 米国が日本を守る可能性は低いし、 「核
の傘」の効力は薄れてくる。
米国は、自国の国民や国土を犠牲にしてまで「核の傘」 を保障するだろうか。 結局、 「核の傘」は米国の一極支
配の下、絶対的な軍事力によって有効に機能していたが、 その一極支配が崩れつつある今では、不確かなもの
となったのである。
また、米国が2002年後半から執拗に購入を迫ってきた高価なミサイル防衛 (MD) システムで日本の安全を
保障できるかというと、それもまた確信が持てない。 2003年の春頃から北朝鮮の核燃料棒の再処理が始まる
と、米国は日本への対応策として、 MD システムを持ち出したが、 MD システムは非常に高価な装置である。 毎
年、毎年、グレード・アップするため、 その度に少なくとも1兆円はする巨額の追加投資を必要とするシステ
ムであり、米国の軍事産業にとっては、対日 MD ビジネスは高利益の商売であった。 日本はこのMDシステムを
2003年12月、 小泉政権時に購入した。 購入する前に 「本当にMDで日本を守れるのか」という真面目な議論は
一切行われず、米国の一方的な要求をきちんと吟味せずに受け入れてしまったのだ。
MD システムとは米国内でも有効性が疑問視されているところがあり、 最近の米空軍の内部レポートでは、 「中
国では、 MD 対抗兵器と戦術の研究が着々と進められている」と分析され、 「多数の核ミサイルを同時に発射す
る」、「途中でコースを変更できる核弾頭を開発する」 などの行為によって、米国のMDシステムを無効なもの
にすることができるとしている。
米国のMD システムとは、 単発の弾道ミサイルが、 あらかじめ規定されたコースを一定の速度で飛んでくる
場合にのみ追撃できるという程度のものである。 中国に限らず、 ロシアや北朝鮮などの日本の周辺核保有国が
もし、複数の核弾道ミサイルと巡航核ミサイルを同時に発射して日本を攻撃もしくは威嚇してくるような場合
は、高額の MD システムは何の役にも立たない。複数の弾道核ミサイルと巡航核ミサイルを数ヵ所から同時に
発射した場合、MDシステムでこれら全ての核ミサイルを打ち落とせる可能性は1パーセントも無い。 だから、
日本は「同時に撃つぞ」 と核恫喝されたら、屈服するしかないことになる。
- 38 -

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しかも、巡航ミサイルは1基が約1億円という安価な兵器である。 米国から購入した MDシステムという総
額1兆円以上も掛かる高額な装置を、この安価な巡航核ミサイル数基で無効化できてしまうのだ。
米国が提供する「核の傘」やMDシステムを、 日本は言われるがまま信じきっているが、 はっきりとした数値
としてどれほど信頼できるものかを見極めなくてはならない。 米国内でも信頼性に疑問が持たれるもので果た
して日本を守ることができるのか 。 日本は米国に頼るだけでよいのか。 十分な議論をしなくてはいけない。
2. 日本の基本的な考え方
(5)
日本としての不拡散に対する考え方は、憲法に謳われている平和主義の理念に基づき、 また、 世界で唯一の
被爆国として軍縮・不拡散外交を推進していくとするものである。 また、 日本が国の平和と安全を確保する観
点から、日本を取り巻く地域の安全保障環境を安定させるため、地域における軍備拡張競争を防ぎ、核兵器等
の拡散を未然に防ぐことも重要と考えている(9)
よって、日本国内の世論として、 どんな状況になろうとも核保有することは反対というものが大多数である。
他国の意見としても、 日本が抑止力として核を装備した場合、 痛烈な批判を行ってくることが予想される。
しかし、日本が被爆国としての使命感から、世界の平和と安全の維持・確保を強く望み、 それを人道的なア
プローチによって達成しようと試みても現実的には難しい。 実際に中国や北朝鮮は核兵器や弾道ミサイルを保
有し、中国は年々軍事費が伸び、 北朝鮮はNPT を脱退したため核保有を取り締まるNPT の効力の行き届かない
ところにいる。 もし、人道的アプローチが成功していると言うならば、 現在のような危険な状態にはなってい
ないだろう。
平和主義国家として、世界の平和を確保することは大切なことだが、だからといって、 自国の安全を守る手
段を考えないのではあまりにも無謀ではなかろうか。これまで見てきた日本周辺の環境の悪化や核不拡散体制
の揺らぎ、米国の信頼性の低下などの近年の国際社会の変化は、まずは自国の安全を最優先に見直すべきとい
う考え方を肯定せざるを得ない状況に向かっていると言えるのではなかろうか。
3. 日本で核戦略を考える場を持て
日本の今後を考える上でまず必要なことは、 隣国について分析し、 相手国に核兵器を使用させない状態を作
り出すことだ。 つまり相手国からの核恫喝に屈せず、 日本独自の安全保障案を形成することではないだろうか。
そこで、自らが安全保障について考えるという点において、 核に関する議論を持つことが必要となるのでは
なかろうか。
先に述べたように、戦後の日本では、 現在に至るまで核について議論すること自体がタブー視されてきた。
戦後の反省から、核問題について話すことは 「非常識だ」という核アレルギー的な意識が、 国民の間に存在し
ている。
しかし、 現在、日本が置かれている状況を考えるならば、世界で唯一の被爆国とし、 これ以上の被爆国を増
やさないためにも、あえて核に対する議論を交わし、 日本の安全保障について真剣に考えるべきなのではない
だろうか。日本の周辺国が核武装している現状にあって、尚且つ、 核の脅威にさらされる可能性が高いのにも
かかわらず、核議論が一切行われず、国民が核戦略に関して無知な状態であるのは決して正しいとはいえない。
「核抑止力とは何なのか? 核抑止力を持つとどうなるのか? 核抑止力を持たないと、 国際社会において今後、
日本はどうなるのか?」 等を考える場を持ち、 そこでの議論を通じて、 日本国民に核戦略や核抑止力について
の理解力を高めることが必要である。
少数だが、日本国内にも核武装論者というのは存在している。 石原慎太郎 (東京都知事) や小池百合子 (衆議
院議員) などがそうで、 彼らの主張は様々だが、共通していることは、米国の「核の傘」の否定である。 そして、
- 39 -

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米国に日本の安全を頼っていて良いのかという疑問と、 中国や北朝鮮を脅威と捉えるところも同じ考えを持っ
ている (17)
日本国民は、核と聞くとすぐに 「核は恐ろしい。 核は悪だ。 地球上から無くしてほしい兵器だ」 などという
アレルギー反応を起こし、全くもって議論にならないが、 現実的な視点から言って、核兵器の廃絶は有り得な
いことだ。 核廃絶を悲願しているだけでは、 日本の国民と国土を中国や北朝鮮の核ミサイルの脅威から守るこ
とはできない。 だからこそ核議論によって核戦略についての基礎知識を構築し、 自主的な核抑止力の必要性を
理解すべきなのだ。
結局、日本が頼ってきた米国による安全保障なるものは、 その有効性に疑惑があるものと言わざるを得ない。
「核の傘」にしろ MD システムにしろ、 絶対に機能するとは限らない。米国本土に危険が及ばない限りにおいて
機能するものであるが、果たして実際の有効性となるとどれ程のものなのか。
このように、 日本の安全が万全ではない状態にあって自主的核抑止力として核に関する議論が選択肢の1つ
にも入らないままでよいのか。 また、多くの日本人は実際に核の脅威にさらされた時の覚悟を持てているので
あろうか。何かあってからでは遅いのである。 日本が核武装するにせよ、しないにせよ、日本がしっかりと将
来に存続していくためにも、 核議論の場を設ける必要性があるのだ。
おわりに
これまで見てきたように、事実として日本は核保有した中国、北朝鮮に囲まれている。 そして、 核を持つ以
上、いつ何時核恫喝を行ってきてもおかしくはない。このような核の脅威にさらされている状態において、 日
本が頼ってきた米国の「核の傘」やMD システムが安全保障において有効性が不十分である以上、 日本政府が国
民・国土を守るため核兵器保有の可能性を含めた自主的な核抑止力の構築について考えることの必要性は高い
と言える。
国際的な核管理体制であるNPT は米国のイニシアティブ無しには成功しない。 しかし、現状は非核兵器国が
その義務を負っているのにもかかわらず、米国は核軍縮交渉の成果を上げていない。 インドや北朝鮮の例がそ
れを表している。 日本としては、核不拡散の達成は国益に繋がることでもあり、唯一の被爆国として実現した
いところであるが、米国の「核の傘」に頼っている以上、米国に反する言動・行動は採り難いという呪縛から成
果を上げられていないどころか、 非難される側に立つことすらあることも認識しておく必要がある。
このように、 NPT や米国の「核の傘」 などでは必ずしも日本の安全が保障されているとは限らない。 英国やフ
ランスが限定的な核兵器によって自国の安全保障を確立しているように、日本も米国の不確かなものに頼るの
ではなく、自ら考えることを始める時期にきているという議論が大々的に起こっても良いのではないだろうか。
少なくとも、事実として核保有した国が日本の近隣に存在しているわけだから、 核兵器がどのようなものであ
るかを分析し、その核兵器で日本が危機にさらされる場合を想定するべきではなかろうか。インドやイスラエ
ルが非公式ではあるが核保有したように、 この先、 核保有する国が増える可能性も当然考えられる。
実際に核恫喝が行われてからでは遅いのだ。それでは、日本の国土・国民を守れない。 被爆国として世界に
核軍縮を訴えることは、日本の責務であることは重々承知しているが、 核が拡散している現状においては、日
本もその標的となる可能性は十分にある。 平和を訴えていても、 核攻撃を防ぐことはできない。 現実的に考え
て、やはり、 核武装という観点も持つべきである。それは決して日本が昔のような軍国主義に戻ることを意味
するわけではない。 あくまでも、 自国防衛の手段としてである。 国内外に様々な意見は出てこようとも、本当
に自国防衛の決意があるならば、 無視できない考え方の1つでなかろうか。
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(1)米国、ロシア、英国、フランス、 中国の5カ国であり、 核不拡散条約 (NPT) で認められている。
(2) 第二次世界大戦中、 枢軸国の原爆開発に焦ったアメリカが原子爆弾開発・製造のために、 亡命ユダヤ人を中心として科
学者、技術者を総動員した国家計画である 計画は成功し、原子爆弾が製造され、 1945年7月16日世界で初めて原爆
実験を実施した。これは、広島に同年8月6日 長崎に8月9日に原爆が投下されることに繋がった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%B3%E8%A8%88%E7%94%BB
(2007/12/01)
(3) 米国の選択する手段と場所において、即時に報復できる強力な核戦力を保持することによって、 共産主義勢力のあらゆ
る規模の侵略を抑止しようとする戦略。
(4) ゲリラ戦から全面核戦争に至るまでの起こりうるあらゆる段階の戦争を想定し、いかなる段階の戦争にも有効に対応で
きる各種能力を備えることによって、 すべての段階の戦争を抑止しようとする戦略。
(5) 拡大核抑止とも称され、 核報復の威嚇必要とあらば核エスカレーションの威嚇によって、 同盟国・友好国に対する第
三国からの武力攻撃を抑止すること。
(6) 核分裂性のウラン235の濃度を高めるために行う同位体分離である。
(7) 国際管理が実現するまで原子力情報を英国も含めて国外に移転することを禁止する法
(8)第2次大戦終了後、 英国の首相であったアトリーは米国を訪問し、 再度、 原子力開発について協力を要請するが断られ
る。 英国では、1945年に原爆委員会 「ゼン75」、47年には新たに 「ゼン168」 が設立され、 ここで原爆製造が決定され
た。
(9)
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h19/jog482.html (2008/03/28) を参照。
(10) 『検証 非核の選択 核の現場を追う』 P101 より引用。
(11) 1963年8月に米国、イギリス、ソ連との間で調印された核兵器の一部の実験を禁止する条約である。 部分的核実験停止
条約と呼ばれることもある。正式名を 「大気圏内、 宇宙空間及び水中における核兵器実験を禁止する条約」という。
(12)第3章で詳しく説明。
(13)商業的利用に限定するという誓約をもとに、原子力利用技術へのアクセスを可能としたもの。
(14) 鄧小平の指導体制の下で開始された中国国内体制の改革および対外開放政策のこと。 社会主義の 「計画経済」 をやめ、
資本主義の「市場経済」 を導入することを意味する。
(15) 中国共産党中央軍事委員会 (主席: 胡錦濤) の指揮下にある中国共産党の軍事部門。 国家の軍隊 (国軍ではないが、
対外関係においては中国の事実上の国軍として扱われる。
(16) http://www.vanyamaoka.com/senryaku/index3069.html (2008/03/28) より引用。
(17) 「軍が全てに優先してある」という意味。 軍事力あっての国家、軍事力の強い国だけが生き残るという思想を示してい
る。
(18) 軍の兵士全員が将校レベルになるということ。
(19) 装備を近代化すること。
(20) 全ての国民は武装しなければならないということで、国民は軍事訓練を受け、 思想面でも金正日思想で武装しろという
こと。
(21) 米軍の攻撃に耐えられるようにするということ。
(22) 北朝鮮のミサイルが国際社会で注目を集めだしたのは1993年5月、 北朝鮮から日本の能登半島沖に向けて発射された
「ノドン」 ミサイルが始まりだ。 また、 1998年8月の 「テポドン1号」が日本を超えて太平洋に落下したことで、 日本
の防衛にとって脅威となった。 北朝鮮がミサイル開発に本格的に乗り出したのは、 1980 年代からである。 まず、旧ソ連
製の「スカッド改B」 の生産を1985年に開始し、以降、 「スカッド」 を利用した独自開発ミサイル「ノドン」、 「テポド
ン1号」、さらには「テポドン2号」と続いている。
(23) テポドン2については、 発射後、一段目を分離することなく空中分解し、発射付近に墜落したが、ノドンとスカッドの
発射については、いずれも事前に設定していた目的地点に着弾させ、実践的な運用ぶりを見せた。 また、 核実験による
規模は4キロトン程度とされている。
(24) 2003年8月に始まった、 北朝鮮 米国、 日本、韓国、中国、ロシアの6カ国の代表が、 北朝鮮の核開発を断念させるた
めに話し合うもの。
(25)そもそも、北朝鮮が6カ国協議の席に着いたからと言って信用できるとは限らない。 1994年の米朝間の 「枠組み合意」
では、核開発計画の一時凍結から完全放棄を取り決めたにもかかわらず、 北朝鮮は2002年10月の米朝会談でウラン濃
縮計画の推進を自ら明らかにした。 さらには、1998年の弾道ミサイル「テポドン」 打ち上げや2006年の核実験など、
安全保障を揺り動かす行動をとり続けている。
(26) 60日以内の初期段階の措置」として寧辺の核施設を段階的に停止 封印・IAEAの査察復帰の見返りに重油5万トン
相当のエネルギー支援、 全ての各施設が無能力かされた段階で重油100万トン相当のエネルギー支援、5つの作業部会
の設置、 30 日以内の部会開始。
(27) 米国のブッシュ大統領が、 2002年1月29日の一般教書演説で、 反テロ対策の対象として北朝鮮、イラン、イラクの3
ヶ国を名指し、 これらの国を「悪の枢軸」 と総称して批判したもの。 ブッシュ大統領は、これらの国々を、 人権の弾圧、
· 41 ·

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大量破壊兵器の拡散、テロ組織支援によって世界に脅威を与える危険なテロ支援国家であるとして強く非難した。
(28) 1970年頃から80年頃にかけて、 北朝鮮による日本人拉致が多発。 現在、 17名が政府によって拉致被害者として認定さ
れている。 平成14年9月に北朝鮮は日本人拉致を認め、同年10月に5人の被害者が帰国したが、他の被害者について
は、未だ北朝鮮から納得のいく説明はない。 北朝鮮は 「拉致問題は解決済み」としているが、 北朝鮮側の主張には多く
の問題点があることから、日本政府としてはこうした主張を受け入れることはできないとしている。
http://www.rachi.go.jp/
(2008/01/02)
(29) 北朝鮮のミサイル開発は世界に広まり、 「ノドン」 はパキスタンの 「ガウリ」やイランの 「シャハブ3号」の原型とな
った。北朝鮮は外貨を稼ぐためにミサイル本体や技術を商品として他国に輸出している。 2006年7月のミサイル発射の
ときにも、イランの政府・技術関係者が同行していたという話もある。
(30) 冷戦のピーク時には、 世界中に数万発もの核兵器が存在していた。 冷戦後には、 民族対立や宗教対立による紛争の危険
性が高まり、国際的な核拡散の懸念から 「核戦争の危険を少なくするため、 核兵器を持つ国を増やさないこと」などを
目的として、 1968年6月の国連総会でNPT 条約が可決・ 採択された。 同年7月1日に署名が開始され、 70年3月5日
に発効された。
(31)加盟国 189 カ国 (2003年9月現在)。
(32) インドとパキスタンは、1998年に核実験を行い、 核武装することを公然と宣言した。 イスラエルは公言しないものの、
1960年代から核兵器開発を行っている国である。
(33) 原子力の平和利用の促進および原子力活動が軍事転用されていないことを検認するための保障措置を目的として、 1956
年に憲章草案が採択され、 翌年7月29日に発行された機関である。
(34) 核兵器国の外に核兵器が広がること。
(35) 核兵器国自身が自国の保有している核兵器の量を増やしたり、質を高めたりすること。
(36) 1995年5月の再検討会議で「条約が無期限に効力を有するか、それとも追加の一定期間とするか」 をめぐって激突 米
ソ両国は、 NPT 体制の無期限延長を意図したが、 インドやパキスタンなどの核保有に限りなく近い国を筆頭に非核兵器
国は、「現核兵器国5カ国の持つ核保有特権を将来にわたって固定するものだ」として反対した。それと同時に、 非核
兵器国は核兵器国が行う核実験の全面的禁止も強く主張した。
(37) 全ての核実験の禁止を規定する他、 その遵守を検証するためにウィーンにCTBT機関を設置し、 国際的な検証制度を設
けることを定めている
(38)158 カ国が賛成し、署名 144 カ国としながらも、44 カ国の発効要件国の動向が問題となっている。 書名・批准を済ませ
た国は、核兵器国では英・仏、その他は日本、ドイツ、イタリアなどの28カ国に過ぎない。 署名だけして未批准国と
なっているのが米・中・露、 イラクやイスラエルなど13カ国を数え、 北朝鮮、インド、パキスタンの3カ国は署名す
らしていない状態となっている。
(39) NAC とは、1998年のインドとパキスタンの核実験に危機感を抱き、 同年6月9日にブラジル、エジプト、アイルランド、
メキシコ、ニュージーランド、スウェーデン、 スロベニアの8カ国が共同で 「核兵器のない世界へ新たなアジェンダ
(課題)の必要性」という声明を発表したことにより発足した。 スロベニアは米国の圧力によって脱退したが、 残りの7
カ国は積極的核軍縮を呼び掛けて
(40) http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/npt/saisyu.html (2008/01/02)
(41)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/npt/kaigi05_gh.html (2008/01/02)
(42) 大量破壊兵器拡散防止構想 北朝鮮やイランからテロ組織への大量破壊兵器拡散防止を念頭に、ブッシュ米大統領が2003
年5月に提唱した構想。 不審船舶の臨検や同兵器の密輸阻止、 輸出情報の収集などで関係国が協力する。 現在では日米
英ロなど15カ国が参加している。
(43) 1994年から始まった日本決議で、以来日本政府は毎年国連総会で決議案を提出しており、圧倒的多数の賛成で採択され
ている。
(44) http://www5.hokkaido-np.co.jp/motto/20050813/ (2008/01/02)
(45)
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h19/jog482.html (2008/03/27) にて考察。
(46) 詳しくは 『日本の軍縮・不拡散外交」を参照。
(47) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E6%AD%A6%E8%A3%85%E8%AB%96(2008/03/16)
参考文献
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田岡俊次 『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』 2007年 朝日新書
小都元 『核武装する北朝鮮 日本を狙う核の実態』 2003年 新紀元社
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朴振 『これが北朝鮮核問題のすべてだ!』 2003年 東洋経済新報社
李福『標的は東京! 北朝鮮弾道ミサイルの最高機密』 2003年 徳間書店
清水惇 『北朝鮮軍の全貌 独裁体制の守護者・朝鮮人民軍の実体』 2006年 光人社
清水惇 『北朝鮮軍特殊部隊の脅威 日本を狙う最強部隊の組織と実力』 2005年 光人社
『北朝鮮特殊部隊 白頭山3号作戦』 2006年 講談社
黒井文太郎 『北朝鮮に備える軍事学』 2006年 講談社
キム・ミョンチョル 『金正日 核の陰謀」 2004年 光人社
仙洞田潤子 『ソ連・ロシアの核戦略形成』 2002年 慶應義塾大学出版会
新原昭治 『「新核兵器使用計画」を読み解く アメリカ新戦略と日本』 2002年 新日本出版社
豊田利幸 『新・核戦略批判 1983年 岩波新書
中川洋人 『現代核戦略 核時代の平和学』 1985年 原書房
黒澤満 『大量破壊兵器の軍縮論』 2004年 信山社
財団法人 平和・安全保障研究所 『アジアの安全保障 2007-2008』 2007年 朝雲新聞社
小都元 『核兵器事典』 2005年 新紀元社
和田
『核問題ハンドブック』 2005年 七つ森書館
佐藤栄一 『冷戦後の軍備管理 軍縮』 2001年 三嶺書房
外務省 軍縮不拡散・科学部編集 『日本の軍縮・不拡散外交 (第三版)』 2006年
杉田弘毅 『検証 非核の選択 核の現場を追う』 2005年 岩波書店
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(卒業論文指導教員 富川 尚)