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「たまには普通に旨いもの食って、褒めちぎりたい」という、人として至極まっとうな欲望から生まれた企画。それが褒めちぎりレポ。今回のテーマは「比喩」。おおくの隠喩、直喩で褒めております。
”チャーハンの常識を変える!”という旗印のもと、チャーハン1種類で勝負している新橋は『チャーハン王』に行ってまいりました。




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チャーハンの王は新橋駅目の前「ニュー新橋ビル 地下1F」にいらっしゃる。
ガラス張りで美しい外観で、エルメスやディオールといったハイブランドショップにしか見えないが、その実体はなんとチャーハン屋。味にこだわる店は、当然、店舗設定にもこだわっている。

待たれているお客さまのため、椅子も2脚用意されている。中国で”2”は「なにごともうまくいく」という意味がある縁起のよい数字。憎い心遣いだ。オーガニックな木の椅子が心も体も癒してくれることだろう。
 
 

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まず、店舗に入って驚いたのが、壁。
油を多く取り扱う中華料理の店は、どうしても壁がくすみがちだが、チャーハン王の壁は一点の曇りもない純白。チャーハン王のご子息、チャーハン王子がまたがる白馬をいやがおうにも連想させる。



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▲メニュー表

写真と文の配置が見事にデザインされたメニュー表。
完璧に構造化されたソースコードのごとき、美しいまでの合理性を備えている。



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さらに、このメニュー表、開く。開くのだ。
白一面の表紙から一転、パッと顔をのぞかせる鮮烈な赤。なぜだろう、特有の赤い斑点をもつ蝶・天然記念物ミカドアゲハが羽ばたこうとしている映像が、頭をよぎった。
 
 

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美しいだけではない。
二股形態をとることにより、感動巨編「アルプスの少女ハイジ」の、かの名場面を再現することも可能なのだ。おもわず「メニューが立った」と歓喜したのは、私だけではないはずだ。
 


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▲調味料ケース

卓上には、ノアの箱舟よろしく食を楽しむさいに必要な全ての備品がまとめられている。
胡蝶蘭のごとき紙ナプキン、背筋の凛と伸びた剣道少女のごとき爪楊枝、そして、古今東西ありとあらゆる調味料。左から、はるか昔は金にも勝るとされた塩、大航海時代から重宝されているコショウ、弥生時代から欠かせぬ醤油である。



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▲水

「これぞ、顧客本位のサービスなり」とヒザを打ったのだが、水は無制限に飲んで良いそうだ。
 


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▲スープ

こちらが運ばれてきたとたん、気品高き香りが鼻腔を刺激した。
その香りから、さぞかし高名な香水であろうと思われたが、なんのことはない。添えもののスープだという。この液体、香りを楽しむばかりではなく、飲めるのだ。一口飲むだけで、旨味成分グルタミン酸が舌という舞台でワルツを踊った。




●お待ちかねのチャーハンがやってきた‥

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▲真上からのチャーハン王



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▲チャーハン王の右顔



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▲チャーハン王の左顔

 

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▲チャーハン王の正面



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▲チャーハン王の背面

こちらがお待ちかねのチャーハン王である。九州産の黒毛和牛を使用し、具材の仕込みに3日間かけているというチャーハン王である。スープつき880円。
どの角度から鑑賞しても素晴らしいプロポーション。形の整った米粒が油で輝くサマは、ワセリンを塗ったボディービルダーの逞しき肉体のよう。てっぺんには王女がかぶるティアラを思わせる、鮮やかな緑のネギ。けっしてエメラルドではない。
ネギの断面を観察すると、自然界には存在しないはずの真円を描いていた。

さて、肝心のお味なのだが。この至上の味わい、私ごときではとうてい表現しえない領域に達している。敗北を認め、いさぎよく筆を置くとしよう。
ここから先は食べ進むさまを写真だけでご覧いただこう。説明抜き、ビジュアルのみでも、美味しさは充分伝わるはずだ。


 

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ごちそうさま。




「チャーハン王」の情報
アクセス:JR「新橋駅」から徒歩2分
住所:東京都港区新橋2-16-1 地下1階
電話:080-6883-9340
営業時間:11:00~21:00(150食無くなり次第終了)
定休日:日
公式サイト:公式サイト
















































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