米ボーイング737マックス、墜落原因の疑いがある不具合を修正 

Debris from Ethiopian Airlines flight 302

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画像説明, エチオピア航空302便の残骸

米航空機大手ボーイングは27日、半年で2度の墜落事故が発生した737マックス型について、事故原因の疑いが指摘されている失速防止システムのソフトウェアを修正したと発表した。

エチオピアの首都アディスアベバからケニア・ナイロビに向かっていたエチオピア航空302便は10日、離陸直後に墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。

同型機の2度目の墜落を受けてボーイングは13日、世界中の737マックス8型と9型の運航を停止した。この措置は少なくとも5月まで継続されるが、具体的な再開時期は不明なままだ。

事故調査官は、いまだに事故原因を特定できていない。

今回のソフトウェアの修正プログラムの一環として、ボーイングはこれまでは任意としていた安全機能の警告システムを標準機能として導入する。

ライオン航空とエチオピア航空、どちらの機体にも、パイロットに警告するための警告システムは搭載されていなかった。

ボーイングによると航空会社には今後、安全システム導入の追加費用は請求しないという。

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修正プログラム

ボーイングは、2件の墜落事故と関連する失速防止システムのソフトウェアについて、修正プログラムを発表した。

737マックス型に搭載されている操縦特性向上システム(MCAS)は、機首が上がり過ぎて失速しないようにするためのもの。

しかし、ライオン航空機の事故調査の結果は、機体が失速していない時でさえ、機首を何度も強制的に下げさせるという誤作動が起きていたことを示している。センサー故障が原因の可能性がある。

ライオン航空機の操縦士は20回以上にわたり、機首を上げようとしたが、システムはそのたびに機首を下げたという。

米連邦航空局(FAA)によると、エチオピア航空機とライオン航空機の墜落には類似性が確認されている。

ボーイングは、センサーから誤った情報を受信した際に、MCASの動作を停止させるソフトウェアを再設計した。しかし今回のシステム修正は、失速防止システムが墜落原因だったと認めたからではないとしている。

Charts comparing the vertical speed of the Ethiopian Airlines and Lion Air flights
画像説明, 事故機の垂直速度の変動を示すグラフ。上がエチオピア航空302便、下がエアイオン航空610便。出典:フライトレーダー24

監督権限

米上院の航空・宇宙に関する小委員会は27日、公聴会でボーイング事故を取り上げた。

上院議員たちはFAAのダニエル・エルウェル長官代行に対し、航空機メーカーに対する検査手続きについて質問した。

リチャード・ブルーメンソール議員(民主党)は、対象会社の従業員と共に実施する検査は「キツネに鶏小屋の番」を任せるようなものだ」と述べた。

これに対しエルウェル長官代行は、FAAは「厳格な監督権限を保持」しており、決して航空機メーカーによる「自己認証」ではないと反論した。さらに、この検査方法は欧州航空安全機関(EASA)など「世界的に」用いられているものだと述べた。

Mourners attend a mass funeral for victims of the crashed Ethiopian Airlines flight
画像説明, エチオピア航空機墜落事故の犠牲者の大規模葬儀で悲しみに暮れる女性

エチオピア航空機の墜落事故を受けて各国に同型機の運航を停止する動きが広がる中、1番最後まで停止を決めなかったFAAには批判が集まった。

公聴会に出席した米運輸省のカルヴィン・スコヴェル監察総監もまた、「世界中の安全規制当局がそれぞれ、安全規制当局としての決定を下した。各当局はリスクをゼロにするため、同型機の運航を停止した」と述べた。

一方でエルウェル長官代行は、FAAは事故について必要な情報を得てから判断したと説明した。

「我々は当該機の運航を停止した最後の国だったかもしれないが、因果関係に関するデータをもとに運航を停止したのはアメリカとカナダが早かった」

エルウェル氏はMCASシステムには「自信」があり、機首が強制的に下げさせられた際にどう対処するかパイロットたちは訓練されていたはずだと述べた。

ところが、昨年10月に墜落したライオン航空機のように21回にわたって機首を強制的に下げさせる機体を、米空軍やアメリカン航空で操縦士を務めた長官だったらどのように操るか問われると、長官代行は「詳細を確認してから回答する」と述べるに留まった。

今後の見通し

修正プログラムを発表したボーイングは、ソフトウェアの最終版は今週末までにFAAに提出されるだろうと述べた。

しかしボーイングは、変更が承認されて航空機が再び安全に飛行できるようになるには、航空会社が新たなソフトウェアを導入し、その性能についてフィードバックしなければならないと付け加えた。

Artists impression of a Boeing 737 Max 8 plane

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画像説明, ボーイングマックス737型の運行再開の見通しは立っていない

米国家運輸安全委員会(NTSB)と仏航空事故調査局(BEA)、そしてエチオピア運輸省による合同調査チームは、今週中にエチオピア航空機墜落事故の暫定的な報告書を公表するとみられる。

ボーイング幹部によると、「最初のインドネシアでの事故後、我々はデータを調べた独立機関の結果に従った。我々は常に改善方法を模索しているので。改善方法を見つければ、改善のための変更をいつも実施している」という。