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〈 平成30年7月豪雨 〉 同時多発豪雨 常態化 特別警報 3日で11府県に
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■国土強靭化の"いかなる災害にも"応じる防災とは
 ――地域防災の地力を育む防災士に期待

【 災害は忘れる間もなく起こる――直近4年に起こった風水害は 】

●気象庁、3日間で11府県に「大雨特別警報」を連発

72時間降水量の日最大値日

気象庁資料「72時間降水量の日最大値日」(2018
年7月8日)」より。6月28日以降、九州北部、四
国、中国、近畿、東海地方の多くで24、48、72時
間降水量の値が観測史上第1位となるなど、これま
での観測記録を更新する大雨となり、この間、各地
で浸水被害、河川決壊、土砂災害、がけ崩れなどの
災害が同時多発的に発生したことから、気象庁は7
月9日、この一連の豪雨災害について「平成30年7
月豪雨」と命名した
(画像はクリックで拡大)

 2018年6月28日以降の台風第7号の接近や梅雨前線の影響による大雨で、7月2日から3日にかけては北海道日本海側北部・旭川市で石狩川が氾濫して床上浸水などの被害が発生。さらに西日本を中心に全国的に広い範囲で大雨となり、総降水量が四国地方で1800mm、東海地方で1200mm、九州北部地方で900mm、近畿地方で600mm、中国地方で500mmを超えるところがあるなど、7月の月降水量平年値の2~4倍となる大雨となったところがあった。
 九州北部、四国、中国、近畿、東海地方の多くで24、48、72時間降水量の値が観測史上第1位となるなど、これまでの観測記録を更新する大雨となり、この間、約10日間にわたって各地で浸水被害、河川決壊、土砂災害、がけ崩れなどの災害が発生したことから、気象庁は7月9日、この一連の豪雨災害について、「平成30年7月豪雨」と命名した。

 いっぽう気象庁は、7月6日から矢継ぎ早に11府県に及ぶ「大雨特別警報」を発表。まず6日に福岡県、長崎県、佐賀県、広島県、岡山県、鳥取県、京都府、兵庫県、7日には岐阜県、8日には高知県、愛媛県と続いた。福岡県は九州北部豪雨以来1年ぶり、京都府は2013年台風18号以来2回目、ほかは県初の特別警報だった。
 これにともない、被害は広域に同時多発的に拡大、7月12日14時現在の内閣府(防災担当)のとりまとめによれば、死者183人・行方不明者38人(注:連絡がとれない者及び広島県で確認中の情報あり)、住家被害・全壊138棟、半壊122棟、床上浸水8283棟。避難所への避難者数は7085人(岡山県3600人、広島県2530人ほか)などとなっている。直近の報道によれば死者数は200人に達した(7月12日警察庁まとめ)。

 河川の氾濫・堤防決壊による浸水被害のほか、土砂災害、がけ崩れも同時多発し、13日にも愛媛県で新たな避難指示が出るなど、国・自治体は対応に追われることになった。
>>ウェザーニューズ:11府県で大雨特別警報が発表された「平成30年7月豪雨」について

●「平成30年7月豪雨」、または「西日本豪雨」、
 そして「広域同時多発豪雨災害」

真備町付近の空中写真

国土地理院資料より、被災した岡山県倉敷市真
備町付近の空中写真(上・左、7月9日撮影)
と被災前(上・右、2007年10月撮影)の比較。
決壊・氾濫した小田川が下部を左右・半円状に
流れる
(画像はクリックで拡大)

 気象庁命名の「平成30年7月豪雨」は、被災地域が北海道から鹿児島県も含む広域にわたることから、あえて具体的な地名・地域名を入れなかったようだ。しかし報道メディアはこの災害名では“インパクトに欠ける”わけで、とくに人的被害や浸水・土砂災害の事例が多かった「西日本」に焦点を当てて「西日本豪雨」を通称としている(一部メディアに「列島縦断豪雨災害」の表現も見られた)。

 災害の命名は後世代への教訓伝承という意義から言えば「西日本豪雨」とすべきと思われるが、小紙はあえて今回の豪雨災害にもうひとつの特徴づけを行いたい。それは「広域同時多発豪雨災害」である。「広域同時多発」が含む意味合いは、南海トラフ巨大地震や首都直下地震への“連想、警鐘”であり、応急対応・復旧・復興対策の“拡散”であり、さらには今後の防災対策の抜本的な見直しを迫る本質的な課題をも示唆することになる。

ウェザーニューズまとめ

ウェザーニューズは7
月7日18時から現地の
ウェザーリポーターに
緊急アンケート調査を
実施してその結果を上
図のようにまとめた。
上図:「浸水被害状況
(9日時点)」、中:
「土砂崩れの状況(9
日時点)」、下:「災
害要因別の人的被害数
(10日2時時点)」
(画像はクリック
で拡大)

 「西日本豪雨」被害の全容はまだ不明だが、時間の経過とともに被害が明らかになるにつれ、「平成最悪の水害」とされている。ちなみに近年では、水害で死者が100人以上となった災害は、36年前の1982年7月10日から20日までの長雨と記録的な短時間強雨によって河川の氾濫や山崩れ、がけ崩れなどが発生して死者・行方不明者299人を出した「1982年(昭和57年)長崎大水害」と、1983年7月20日から21日にかけての梅雨前線に伴う大雨で島根県西部の浜田で発生した土砂崩れや洪水で112名が亡くなった「1983年(昭和58年)7月豪雨」がある。いずれもわが国の現代水害史に銘記される大水害だ。

 “現代水害史”と表したが、もちろん、死者数の多寡のみが重要なわけではない。直近数年だけを見ても、4年前に「2014年8月豪雨」(広島土砂災害)があり、3年前に「2015年9月関東・東北豪雨」(鬼怒川水害)、2年前の2016年台風第7号・第11号・第9号・第10号の連続来襲も記憶に新しい。とくに第10号は観測史上初めて東北太平洋側(岩手県)に直接し、岩手県岩泉町で小本川が氾濫してグループホームに水が流れ込むなど、東北・北海道の各地で死者・行方不明者27人を出した。
 そして昨年の「2017年九州北部豪雨」からちょうど1年――まさに記憶に銘記されるべき大水害が毎年起こっているという“リアリティ”を、私たちはどう受け止めればいいのだろうか。

●「大阪府北部の地震」と「西日本豪雨」の連続痛打の衝撃
 ――政治家の腰を浮かす?

 本紙は前前号で国の「国土強靭化アクションプラン2018」を、前号で「大阪府北部の地震」を取り上げた。「国土強靭化アクションプラン」のおさらいをしておくと、「国土強靱化」とは、現政権(安倍晋三首相)が第2次安倍内閣(2012年12月~14年9月)で“アベノミクス3本の矢”を掲げた際に、「機動的な財政政策」の目玉的な公共事業投資の位置づけで打ち出したもので、その基本目標は、“いかなる災害等が発生しようとも”――①人命の保護が最大限図られる、②国家及び社会の重要な機能を致命的な障害を受けず維持、③国民の財産及び公共施設の被害最小化、④迅速な復旧・復興――である。

 これに基づいて2013年12月に国土強靱化基本法ができ、「国土強靱化基本計画」を策定(概ね5年ごとに見直し・変更を行う。2018年内見直しの目標)、「アクションプラン」を各年ごとに決定してきた。また自治体においてもほぼすべての都道府県で同プラン「地域計画」が策定され、国土強靱化の取組みは本格的な実行段階に入っている。

積算雨量

ウェザーニューズ資料より「7月3日0時
から8日0時の積算雨量(単位mm、ウェ
ザーニューズ解析雨量)」
(画像はクリックで拡大)

 そこで――ここ数年毎年続く甚大な被害をもたらす自然災害を目の前に、「国土強靱化」は災害対策として果たして有効性・実効性をともなっているのかが改めて問われる。直近の報道(下記にリンク)によれば、こうした自然災害の頻発を受けて、与党・自民党内で改めて「国土強靱化」が政府の予算編成の焦点に浮上してきたという。
>>日本経済新聞(7月11日付け):国土強靱化、予算の焦点に 老朽インフラ更新急務

 本紙前前号はまた、土木学会の南海トラフ巨大地震による「最貧国化の可能性〜20年間の経済被害推計は、最大1410兆円」を取り上げ、この推計への為政者、財界の反応やいかにと問いかけたが、まさに大阪府北部の地震と西日本豪雨災害の連続痛打を受けて、政治家の抜本的な災害対策への重い腰がやっと浮くかと思わせる動きではある。

●「避難は、背を押されないとむずかしい」 お隣の防災士に期待

 豪雨災害の被害拡大の現実を目の前にして、前段の政治家へのやや毒のある表現は不謹慎かもしれない。ただ、毎年起こる災害の状況を見るにつけ、果たしてわが国の災害対策は本当に進んでいるのだろうかという疑問は残る。
 かの寺田寅彦は「文明が進めば進むほど災害はその劇烈の度を増す」としたが、世界でまれに見る災害多発国(同時に経済大国)で、かつ「国土強靭化」で“いかなる災害等が発生しようとも”人命の保護を最大限図ると華々しくうたいながらも、災害(被害)はあいも変わらず繰り返される。対策は災害が起こってからの後追い、“成長戦略下の公共事業”に矮小化されてはいないか。

 寺田寅彦はまた、「防災は国防に匹敵する」との箴言も残した。まさに巨大災害で「最貧国化」の懸念が示されたいま、“成長戦略”とは位相を変えて、国民の命・財産・生活を守るという防災・減災の理念・原則を改めて見つめ直し、災害対策の根本的・本質的な変革を断行すべき“時”のように思える。

 本紙はかねてより「防災省(庁)」の創設を訴えているが、当面、政治的・財政構造的にその動きがむずかしいのであれば、地域の防災力(防災ソフト力)を向上させるほか、頻発する災害への対抗手段はなさそうだ。
 今回の豪雨災害で、浸水ハザードマップの予測図が整備されていた地域でも人的被害が大きかったこと、そして再び、高齢者など災害時要援護者の被災も衝撃的な課題としてあげられている。地域防災にかかわる私たちの力の足らざるを反省しなければならない。

 いっぽうテレビ報道で、避難して助かった人たちの話として、「近所の人が避難しようと言ってくれたから避難ができた」という声をいくつか聞いた。リスクコミュニケーションの本質を突いた声のように聞こえる。自ら避難することは実はむずかしい、さらに言えば、自らは避難できないのが人の性(さが)であり、「背を押してくれる人」がいることが重要なのだ。
 それは文字通りの「共助」となる。そしてその人とは「お隣の防災士」であってほしいというのが本紙の願いである。防災士の防災士たるソフト力とは、災害リスクへの嗅覚を研ぎ澄まして、地域に、学校に、職場に、そして家庭に控えているという底力だ。「お隣の防災士」こそ、地域防災の地力になってほしい。

〈2018. 07. 19. by Bosai Plus

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