2011年10月31日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「朝刊ピックアップ」で記事
「新聞や週刊誌が報じる大学生の“実態”」
を企画、取材、執筆しました。
キーワードは「大学生」…。
けさの毎日新聞によると、就職情報会社の調査で4割を超える企業が「学生の質の低下」を実感しているというデータが出たという。これは「マイナビ」(旧毎日コミュニケーションズ)が、来春卒業を予定している大学生に採用活動をしている国内企業に実施した調査(1,757社が回答)。
記事では、大学生の質低下のワケを、関西の新設大学の教員が、こう分析している。「中学生程度の学力で、コミュニケーション能力が決定的に欠けた学生も珍しくない。学生の質は明らかに低下している」。
大学生なのに学力は中学生程度…にわかには信じられない人も多いかもしれない。しかし、実在する。
「週刊ポスト」(小学館)2011年10月21日号の記事によると、「本物の“バカ田大学”が日本にあった」と話題になっている大学があるというのである。それは創立11年目の「日本橋学館大学」(千葉県柏市)という私立大学。
同大のHPで公開しているシラバス(学習計画概要)によると、入学初年度の英語の授業(全15回)の内容は、「授業の進め方」から始まり、第2回は「アルファベットの書き方・読み方」、第3回は「辞書の構成・辞書の使い方」…と続き、第10回目にしてようやく「be動詞」を学ぶ。使用する教科書は中学1~3年生の参考書というから、正真正銘の中学生レベルである。
しかも同大の初年次教育の目指すものとして「授業の受け方、ノートの取り方」などとあるいう。しかも全学科共通のゼミでも「親睦球技大会(仲間と汗を流そう)、「学生生活マナー(授業の受け方)」「日本橋学館クイズ(大学を知ろう)」など、およそゼミとは思えない項目が並んでいるという。
だが、この大学はまだいい方かもしれない。なぜなら、学生のレベルに合わせて向上させようという意図が一応あるからだ。そうではない大学もある。例えば同誌の今年2月25日号の記事「この学力・人間力では『就活地獄』は当然だ――『さんすう』『こくご』補習に家庭訪問!? お前らそれで大学生か」によると、都内で底辺校といわれる某私大では、約200人が出席する大教室での講義中に、講師に背を向けておしゃべりに興じる生徒、ハンバーガーとポテトを頬張る女子学生、ゲームに熱中している学生などがひしめいていて、ペンを持ってノートに向かっている学生はほんの数人だけ。おしゃべりがうるさく、全く授業の体を成していない。講師の女性はついに堪忍袋の緒が切れてこう言った。
「講義は聞きたい人にだけやります。出席はしたことにしてあげますから、聞きたくない人はもう帰ってください! 」
すると一瞬、教室が静まりかえった。その後、なんと学生たちは次々に立ちあがり、教室から出て行き、残ったのはたったの15人だけだった。
こんな学生生活を4年間送った暁には、学力のみならず人間的にも中高時代よりも遥かに“劣化”して、もはや社会に適応するのが困難になってしまうのではないか。
同記事で、郁文館夢学園の理事長の渡邉美樹氏は「高校レベルの学力を持たずに大学に入り、4年間、勉強をしないまま大学を卒業していくのなら、社会に出て働いた方がよっぽどいいと思う。例えば教育環境が成熟しているスウェーデンでは、高校卒業後すぐに大学に入るのは10人に1人。その代わりに、高校を出てひとまず社会で働いてから(略)学問の必要性を感じて、大学に入り直す人が10人のうち3~4人もいる」と指摘している。これが本来の最高学府の姿ではないだろうか?