原発被害で相馬藩第33代当主設立の椎茸会社が倒産

 福島第1原子力発電所の放射能問題により福島県産の椎茸が出荷停止となった影響で、相馬藩第33代当主設立の伝統ある老舗ほだ木・椎茸会社が倒産となった。この会社は、九星産業(株)(相馬市赤木新堤、相馬行胤社長)で、9月12日に福島地裁相馬支部から破産開始決定を受けた。負債総額は約六億円。

   この会社は、旧相馬藩第33代当主である相馬和胤氏が椎茸のホダ木及び生椎茸の製造販売を目的に設立された。平成2年には工場を新築、機械設備も含めて7億8500万円を投入し、20年3月期までは、年間4億円台の売上げを維持していたが、取引先の倒産、椎茸の販売不振で、22年3月期には、売上高2億円を割り込んでいた。

 このような中、原発事故による放射能問題から本県産の椎茸が一時出荷停止となり、当社もその影響を受けた。その後出荷停止は解除されたが、風評被害から売上は大幅に減少。今後の見通しが立たなくなったと同時に資金繰りも限界に達したため事業継続を断念し、今回の措置に至った。

 この場合、東京電力の賠償対象になる筈だ。一般被害者への仮払いが優先された結果、企業、法人への賠償が、今になってようやく始まったが、手遅れとなった。こんな風に手遅れになる企業が、今後は後を絶たないだろう。

 農業経営については、損害賠償が行われる前に賠償が政府から支払われるが、企業が受けた損害については、政府はなんら対応していない。今後、この様な倒産の連鎖が、飼料畜産業界でも起きぬような行政対応が求められる。