北朝鮮が核プログラム完成を宣言-新型ICBM発射成功受け
Kanga Kong-
新型ミサイル「火星15」の発射に成功-朝鮮中央通信
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米国全体が射程に入る改良型ミサイルだと北朝鮮は主張
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、米国全体を射程に入れたとするミサイルの発射後、北朝鮮の核プログラムが完成したと宣言した。
国営の朝鮮中央通信(KCNA)は29日、北朝鮮が技術を改善させた新たなミサイル「火星15」の発射に「成功」したと発表。金委員長が試射を見届けた上で、「われわれは最終的に国家核戦力の完成という歴史的偉業を達成したと誇りを持って宣言した」と伝えた。
KCNAは「これは最も強力な大陸間弾道ミサイル(ICBM)であり、設定したロケット兵器システム開発の完成という目標を満たすものだ」と報じた。北朝鮮は米国に対抗する核兵器を開発したと述べた上で、自らの国益を侵害しなかった国に脅威を与えるものではないと主張した。
北朝鮮のミサイル発射は9月15日以来約2カ月ぶりで、米国を核兵器で攻撃する能力を持つことを目指してきた北朝鮮の開発計画が進展したことを今回の発射は示している。金委員長は北朝鮮への米国の侵略を阻止するために核兵器が必要と主張してきた。米国のトランプ大統領は世界における北朝鮮の孤立化政策を進め、発射実験を中止しなければ軍事力を行使すると威嚇していた。
北朝鮮は「炎と怒り」に見舞われるだろうと以前に威嚇したこともあるトランプ大統領はこの日、「われわれはこの状況に対処する」とコメントし比較的慎重な反応を示した。国連安全保障理事会は29日にニューヨークで北朝鮮の今回のミサイル発射について協議する予定。
中国は北朝鮮のミサイル発射実験に反対し、引き続き国連安保理決議を厳守すると、外務省の耿爽報道官が29日の定例記者会見で述べた。北朝鮮が核・ミサイル開発を、米韓は軍事演習をそれぞれ暫時停止するというロシアと共同で行った提案を支持するとあらためて表明した。
日本政府によると、ICBM級とみられる弾道ミサイルはロフテッド軌道で53分間にわたり飛行し、高度4000キロに達した後、青森県の西250キロのEEZ内に落下したもよう。マティス米国防長官は北朝鮮がこれまでに打ち上げたミサイルの中では最も高い高度を飛行したと指摘した。
KCNAによると、今回の実験は命中精度と飛行中の速度調整、高推力エンジンの稼働状況を実証した。制御や安定化、段階的な分離、打ち上げ、大気圏再突入環境における弾頭の安全性を巡る技術を再確認できたとしている。
この日のミサイル発射後、トランプ大統領は安倍晋三首相、韓国の文在寅大統領と相次いで電話会談した。文大統領はミサイル発射を非難するとともに対話を呼び掛け、北朝鮮が完全に機能するICBMを手にすれば事態は「制御不能」になりかねないと警告。「北朝鮮が誤った判断を基に核兵器でわれわれを脅かしたり、米国が先制攻撃を検討したりするような事態を防ぐべきだ」と国家安全保障会議で述べた。
米国防総省は日本海に着水するまでに同ミサイルが約1000キロ飛行したと発表。専門家らはミサイルの高度と飛行距離から判断すると、ミサイルが通常の軌道で発射されれば米国本土のいかなる場所にも十分到達できると指摘する。
ミドルベリー国際大学院モントレー校ジェームズ・マーティン不拡散研究センターの研究員シア・コットン氏は、「今回のミサイル発射実験に関してわれわれが得た数字が正確だとすれば、北朝鮮は首都ワシントンや米国の東海岸の大部分が射程に入ることを実証したようだ」と分析した。
憂慮する科学者同盟(UCS)世界安全保障プログラム共同ディレクターのデービッド・ライト氏はブログで、「今回のミサイルは北朝鮮のこれまでの長距離発射実験よりもかなり距離が伸びている」と指摘、「距離が長くなっていることからこのミサイルが搭載しているのは恐らく模擬弾頭の可能性が大きく、より重量のある核弾頭を搭載できるかどうかは疑わしい」と述べた。
トランプ政権は今月20日、北朝鮮が核兵器による破壊行為を示唆して世界を脅すだけではなく、国外での暗殺など国際的なテロ行為を幾度となく支援してきたとして、北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると発表した。これに対して北朝鮮は、「核の宝剣」を堅持し続けるべきであることを再認識させるものだとしていた。
ティラーソン米国務長官は今回のミサイル発射に関する声明で、「外交的選択肢は引き続き実行可能で扉が開かれている」と述べた。
原題:North Korea Says Nuclear Program Completed After ICBM Test (1)(抜粋)
North Korea Says Nuke Push Complete as Entire U.S. in Range (3)