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生物多様性そうか戦略
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生物多様性そうか戦略
草加の自然の恵みを 次世代に引き継ぐ戦略
平成31年3月
草 加 市

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ごあいさつ
昭和30年代まで、本市は多くの水田と河川・用
水路があり、夏にはホタルが飛び、魚を取ったりす
るなど、自然環境に恵まれていました。高度成長期
を経て私たちの生活は豊かで便利になり、本市は大
きく発展してきましたが、その一方で、住宅や工場
などが私たちの周りに増え、本市のシンボルだった
草加松原のマツも枯死寸前までになり、綾瀬川は長
く日本一汚れた河川といわれるようになってしまい
ました。
その後、市民の皆様や国・県・流域自治体等のご努力により、草加松原は国指
定名勝になるまで復活し、綾瀬川の水質も大きく改善されてきました。しかし、
宅地化などによる自然の減少、気候変動や人の活動による外来種の侵入などによ
り身近にみられた生きものたちの多くは姿を消し、これまでみられなかった生き
ものが増えています。
私たちの生活は、水や空気、食糧、医薬品など、多様な生きものがもたらす恵
みによって支えられています。これらの恵みを将来にわたり享受していくために
は、生物多様性の保全が重要となります。都市化が進む本市は、生物多様性の保
全と都市の健全な発展をバランスよく実現する必要があります。
本市は、平成11年6月に行った環境共生都市宣言を受け、草加市環境基本計
画を策定し、多くの環境問題の解決に取り組んでまいりました。平成28年に改
定した第二次草加市環境基本計画では、重点プロジェクトとして生物多様性地域
戦略の策定を明記しており、生きものの恩恵を理解し、残された自然環境を守り、
後世まで持続的に利用していくため、今般、生物多様性そうか戦略を策定しまし
た。市制施行60周年を迎えた今、「人と自然が共に生きるまち そうか」の実
現を目指し、本市の自然の恵みを次世代に引き継ぐため、市民の皆様、事業者の
皆様とともに協力しつつ、施策の展開を図ってまいります。
なお、策定に当たり、草加市環境審議会の皆様からは貴重なご提言を賜りまし
たほか、草加環境推進協議会の皆様、多くの市民の皆様からもさまざまなご意見、
ご協力をいただきました。ここに感謝申し上げます。
平成31年3月
草加市長

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目 次
第1章 草加市の⾃然と⽣物多様性の危機 .............................................. 1
1.⽣物多様性地域戦略を策定する意義 ············································· 1
2.草加市の守りたい⾃然とその現状 ··················································· 7
3.⽣物多様性の危機 ································································ 17
4.草加市の⽣物多様性に関する取組 ·············································· 24
第2章 草加市における⽣物多様性の課題 ············································· 25
1.⽣物多様性そうか戦略に係る課題 ··············································· 25
2.⾃然環境類型別の課題 ·························································· 27
3.地区別の課題 ······································································ 29
第3章 基本事項 ········································································· 31
1.⽣物多様性そうか戦略の位置付け、計画期間 ·································· 31
2.基本理念・基本⽅針 ······························································ 33
3.達成⽬標(将来像) ····························································· 35
第4章 実⾏計画 ········································································· 36
1.施策⽅針と保全実⾏計画(重点プラン) ······································· 36
2.地域区分別の保全⽅針 ·························································· 52
3.主体別⾏動指針 ·································································· 61
第5章 推進体制等 ······································································ 70
1.推進体制 ··········································································· 70
2.進⾏管理 ··········································································· 71
3.⼈材育成 ··········································································· 72
⽤語解説 ··················································································· 73
資料編

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第1章 草加市の自然と生物多様性の危機
1.⽣物多様性地域戦略を策定する意義
1)⽣物多様性とはなにか
「⽣物多様性」とは、⽣きものや⽣態系の豊かさを表す⾔葉です。
それぞれの⼟地で進化してきた⼀つひとつ「個性」をもった多様な⽣きものが、⾷べる⾷
べられるという「⾷物連鎖」の関係や共⽣関係でつながり⽀えあって⽣きている状態をい
います。⽣物多様性は⼈類にかけがえのない恩恵をもたらしていますが、地球上には未
知の種も含めると 3000 万種とも推定される⽣きものが、現在 1 年間で 4 万種絶滅し
ているといわれています。⽣物多様性の損失は、地球温暖化問題に並ぶ重要な環境問
題といえます。(『そうかの⾃然マップ 未来の⼦供たちに残したい⾃然』(平成 29 年
草加環境推進協議会)より⼀部抜粋)
図 1.1-1 ⽣態系ピラミッドのイメージ

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2)3つのレベルの⽣物多様性
⽣物多様性は、「⽣態系の多様性」「種の多様性」「遺伝⼦の多様性」の 3 つのレベ
ルがあるとされています。
生態系の多様性
樹林、草地、畑、⽔⽥、河川な
ど、様々な⽣態系が存在しま
す。
屋敷林や⽔⽥、河川など環境に応じて⽣態系が成⽴する
種の多様性
動植物から微⽣物まで様々な
⽣きものが存在します。
タヌキ
ツミ
カワセミ
ムラサキシジミ
カブトムシ
ギンヤンマ
トウキョウダルマガエル
ギンブナ
クモタケ
遺伝子の多様性
同じ種であっても遺伝⼦の違い
から、⾒た⽬や⽣態に違いが存
在します。
同じテントウムシ(ナミホシテントウ)でも模様の違いは多い
図 1.1-2 3つのレベルの⽣物多様性

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3)⽣物多様性の恵み(⽣態系サービス)について
私たちの暮らしは、⾷料や⽔、気候の安定など、多様な⽣物が関わりあう⽣態系から
得ることのできる恵みによって⽀えられています。
これらの恵みは「⽣態系サービス(Ecosystem service)」と呼ばれます。
表 1.1-1 ⽣態系サービスの分類の例
分 類
⽣態系サービスの内容
⾷料や⽔、様々な製品の原材料な
どを供給してくれるサービス。
⾷料(例︓⿂、⾁、果物、きのこ)
⽔(例︓飲⽤、灌漑⽤、冷却⽤)
原材料(例︓繊維、⽊材、燃料、飼料、肥料、鉱物)
遺伝資源(例︓農作物の品種改良、医薬品開発)
薬⽤資源(例︓薬、化粧品、染料、実験動物)
観賞資源(例︓⼯芸品、観賞植物、ペッ⼘動物、ファッション)
⼤気質の浄化や暑熱緩和など環
境を調整してくれるサービス。花粉を
運ぶ昆⾍の機能も含まれる。
⼤気質調整(例︓ヒートアイランド緩和、微粒塵・化学物質などの捕捉)
気候調整(例︓炭素固定、植⽣が降⾬量に与える影響)
局所災害の緩和(例︓暴⾵と洪⽔による被害の緩和)
⽔量調整(例︓排⽔、灌漑、⼲ばつ防⽌)
⽔質浄化
⼟壌浸⾷の抑制
地⼒(⼟壌肥沃度)の維持(⼟壌形成を含む)
花粉媒介
⽣物学的コントロール(例︓種⼦の散布、病害⾍のコントロール)
レクリエーションの場や、美しい景
観、地域に根差した歴史や⽂化な
どのサービス。
⾃然景観
レクリエーションや観光の場と機会
⽂化、芸術、デザインへのインスピレーション
神秘的体験
科学や教育に関する知識
⽣態系サービスを⽀える地形、⽔循
環、⽣きものなどそのもの。基盤サー
ビスとも呼ばれる。
⽣息・⽣育環境の提供
遺伝的多様性の維持
出典︓『⽣物多様性と⽣態系サービス』(環境省⽣物多様性センターホームページ)を⼀部改変
<http://www.biodic.go.jp/biodiversity/activity/policy/valuation/service.html>2019 年 2 ⽉ 14 ⽇アクセス.

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本市でも、春になったら⾊とりどりに花が咲き、梅⾬どきにはカエルが、夏にはセミが、秋
には⾍が鳴き、紅葉があり、冬に渡り⿃が来るという季節感があります。
忙しい⽇々の暮らしから、少し⽴ち⽌まって、周りを⾒渡すと、私たちの暮らしは⽣物
多様性と深く関わっていることに気付かされます。
⾷卓に旬のものが並ぶこと、伝統的な夏まつり・秋まつりや⺠俗芸能も農作業などと結
び付いており、⽣物多様性の恩恵を受けています。
このような季節物や⺠俗儀礼等を教育や学習などに使うだけでなく、福祉など⼼の⼿
当てや市⺠の健康に利⽤することも⽣物多様性の恩恵の⼀つです。
図 1.1-3 ⽣物多様性が⾝近にあった頃の暮らし

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4)⽣物多様性の危機(4 つの危機)について
⽣物多様性は、現在、4つの危機にさらされています。
? 第1の危機
開発や乱獲など⼈が引き起こす負の影響要因による⽣物多様性への危機です。
⼟地利⽤の変化や、個体の乱獲、盗掘、過剰な採取などがあります。
? 第2の危機
⾃然に対する⼈間の働きかけが縮⼩撤退することによる危機です。
⾥地⾥⼭の林や草地では、⼈間の管理活動が停滞し、環境の変化による危機が拡
⼤しています。
? 第3の危機
外来種等による危機です。
意図的・⾮意図的に国外や国内の他の地域から⼊ってきた⽣きものが、地域固有の
⽣物相や⽣態系を改変し、⼤きな脅威となっています。
? 第4の危機
第4の危機は、地球温暖化など地球環境の変化による⽣物多様性への危機です。
地球環境の変化に伴う⽣物多様性の変化は、農作物の収量など、⼈間⽣活や経
済へも⼤きな影響を及ぼすといわれています。
図 1.1-4 ⽣物多様性の4つの危機のイメージ
生物多様性
(生態系サービス)
第1の危機
第2の危機
第3の危機
第4の危機
⼟地の開発・資源の乱獲
農地や屋敷林の管理停⽌
外来種の侵⼊
地球温暖化による影響
量の減少・質の劣化

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5)⽣物多様性地域戦略の策定の意義について
この恵みを将来にわたり享受し続けるためには、⽣物多様性を保全する仕組みの構
築が必要となります。しかしながら、⽣物多様性という概念や重要性は、市⺠や事業者
に⼗分に浸透していないのが現状です。
本市では、平成 28 年に策定した第⼆次草加市環境基本計画において、重点プロ
ジェクトとして「⽣物多様性の保全と活⽤」を掲げ、平成 31 年度(2019 年度)までに
⽣物多様性地域戦略を策定すると明記しました。
⽣物多様性地域戦略は、⽣物多様性基本法第 13 条第1項で、「市町村は、⽣
物多様性国家戦略を基本として、単独で⼜は共同して、市町村の区域内における⽣
物の多様性の保全及び持続可能な利⽤に関する基本的な計画を定めるよう努めなけ
ればならない」と規定されているものです。その策定の意義は、以下の 3 点に整理されま
す。
【⽣物多様性そうか戦略 策定の意義】
1)草加らしい⾃然を次世代に残すために
かつて市域全域に広がっていた豊かな⽔⽥は急激に失われていますが、主要
な河川、⽔路や緑道、公園・広場、街路樹、屋敷林や農地などは今なお、⽣
きものの重要な⽣息場所となっているだけでなく、移動経路となっています。⽔と
みどりのネットワークを確保するためにも、⽔とみどりの役割を再発⾒・再認識し、
どう保全し、再⽣・創出していくかを考え、実⾏する必要があります。
2)⽣物多様性の恵みを将来にわたり受けるために
⾃然や⽣きものにふれあうことは、命の尊さを学び、豊かな感性を育むことがで
きますが、市域の⾃然が減少することで、⼦どもたちは⽣きものと触れ合う場が
少なくなっています。次の世代を担う若者や⼦どもたちに⽣物多様性の重要性
を伝えるとともに、多様な⽣きものという資源とそれに触れる機会を残し、広げて
いく必要があります。
3)快適な暮らしを続けるために
私たちの暮らしは、⾷糧やエネルギーなどの多くを国内外に広く依存し、⽇々
の消費活動を通じて⽇本のみならず世界中の⽣物多様性に影響を及ぼしてい
ます。⽣物多様性の恩恵と危機が密接に関係し、⽣物多様性が喪失すると私
たちの⽣活に⼤きな影響が及ぶことを認識する必要があります。

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遊⽔地
ビオトープ
⽥んぼ
河畔林
⽤⽔路
図 1.2-1 本市で⾒ることができる多様な⽣きものの⽣息地
2.草加市の守りたい⾃然とその現状
本市では昭和 30 年代後半から本格的な都市化が進み、多くの⾃然環境が失われ
てきました。しかし、市内にも、柿⽊⽥んぼ、中川河川敷、綾瀬川東武鉄橋上流河川
敷など、まだ⾃然と触れあえる場所が残されています。
1)草加の⾃然環境の概況
本市は、中川、綾瀬川等、多くの河川⽔路が囲む中川低地に位置しています。
市内の地形は、そのほとんどが河川氾濫によって形成された⾃然堤防(微⾼地)と
その後背湿地で構成されており、古くからこれらの地形特性を活⽤した、多様な⼟地利
⽤が⾏われてきました。本市の⽣態系は、これらの⾃然特性や⼟地利⽤特性を反映し
て成⽴しています。
『そうかの⾃然』(平成 15 年)によると、本市にある⽣態系(あるいは⽣きものの主
な⽣息・⽣育空間)としては、⽥んぼ(休耕⽥を含む)・ハス⽥・クワイ⽥、河畔林・屋
敷林・社寺林(林)、川、⽤⽔路、遊⽔地、公園・広場、まちの⾃然・ビオトープ等に
分けることができます。これらの環境には、それぞれの環境に適応した様々な⽣きものが⽣
息・⽣育していました。
『草加市野⿃・植⽣調査報告書』(平成 14 年)によると、平成 13 年度に実施さ
れた⽣きもの調査では、植物 118 科 498 種、ほ乳類 5 科 5 種、⿃類 34 科 97 種、
は⾍類 3 科 3 種、両⽣類 2 科 3 種、陸上昆⾍類 52 科 154 種、⽔⽣動物としては
⿂介類 18 科 40 種、⽔⽣昆⾍ 9 科 17 種が確認されています。また、本調査では、
埼⽟県の「県内希少野⽣動植物種」に指定されているキタミソウを始め、埼⽟県で絶滅
が危惧されている動植物種が 40 種ほど確認されています。

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2)残したい草加の⾃然
本市には、わずかながら⼩さな⾃然環境
がまだ残されています(9 ページ 図 1.2-4
参照)。これらの⾃然環境をもっと多くの市
⺠に知っていただきたいと思います。
? ⽔⽥(柿⽊⽥んぼ)
本市はもともと中川や綾瀬川にはさまれ
た湿地帯で、全域に⽔⽥が広がっていまし
た。しかし、⽔⽥も時代の変化とともに⼤幅に減少し、市内にはわずかしか⾒られません。
そうした中で、川柳地区にある「柿⽊⽥ん
ぼ」は、市内で唯⼀まとまった⽔⽥が残され
た地域です。
また、これら⽔⽥の周りには、渡り⿃のム
ナグロのほか、植物のキクモやヌマトラノオなど
国内や埼⽟県内で絶滅のおそれがある動
物や植物が多数確認されています。
この柿⽊⽥んぼも、県の事業で改変する
計画がありますが、本市に残された⼤切な
⽔⽥を将来に向けて残さなければなりません。
➁ 林(河畔林・屋敷林・社寺林)
本市にある林は、⽔辺の河畔林や屋敷林、社寺林がほとんどです。
河畔林は、川べりに⽣えるヤナギやクヌギなどを主体とした林です。しかし、防災のため
の河川改修等により、徐々に⾃然の⽴地環境が失われています。
屋敷林は、農家を囲むように植えられた⼈⼯林で、かつては防⾵や⽊材利⽤、落ち
葉を使った肥料づくりなどに利⽤されてきました。また、社寺林は、神社の周りに植えられ
た、地域に古くから残る鎮守の杜です。しかし、農業⼈⼝の減少や、遺産相続、落葉・
落枝に対する近隣からの苦情といった問題で、市内の屋敷林や社寺林もほとんど⾒られ
なくなりました。
本市では、これらの林は樹林性の動物や植物にとって、限られたすみかを提供する貴
重な環境となってきました。これらの林をできる限り残すとともに、林と林をつなぐ緑地の連
続性を確保すべきです。
図 1.2-2 柿⽊⽥んぼ
図 1.2-3 中川の河畔林

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出典︓『そうかの⾃然マップ 未来の⼦供たちに残したい⾃然』(平成 29 年 草加環境推進協議会)
図 1.2-4 草加市の「残したい⾃然環境と⽣きものたち」

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? 緑地・公園(そうか公園/松原団地記念公園/獨協⼤学)
そうか公園には雑⽊林や池があり、コゲラ
など樹林性の⿃や、⽔辺を好むトンボ類や
カモ類などが⽣息しています。
松原団地記念公園は、市街地に近い
場所に位置していますが、団地跡に広い草
地と池があります。池にはカモ類が、草地で
は昆⾍などが今はわずかしか⽣息していませ
ん。
獨協⼤学は、草地や⽊⽴、⽥んぼや⽔
路があり、昆⾍や⼩⿃の他、猛禽
もうきん
類も営巣することがあります。
これらの緑地や公園は、将来にわたってまとまった緑地として保全することができ、⽣き
ものにとって貴重な⽣息環境となりえます。また、市⺠が⽣きものと触れ合う⾝近な場所
でもあるため、今後は⽣物多様性にも配慮した維持管理を⾏っていく必要があります。
? ビオトープ(綾瀬川バードサンクチュアリ/古綾瀬⾃然ひろば/東埼⽟資源環
境組合第⼆⼯場ビオトープ/学校ビオトープ)
ビオトープは、本市における⽣きもの
の貴重な⽣息・⽣育環境であるととも
に、⾶翔して移動する⿃や昆⾍にとっ
ての休憩場所や通り道となっています。
綾瀬川バードサンクチュアリは、綾瀬
川の河川敷に草地、池、林など多様
な環境をつくっています。市⺠による維
持管理作業が⾏われており、希少な
植物の⽣育地としても重要な場所で
す。
古綾瀬⾃然ひろばは、綾瀬川と古綾瀬川の合流点に造られた池を囲むビオトープで
多くの⽔⽣⽣物やカモ類が⽣息しています。
東埼⽟資源環境組合第⼆⼯場ビオトープは、平成 25 年度に柿⽊⽥んぼの⼀画に
造られた池中⼼のビオトープです。
市内の⼩中学校に設置された学校ビオトープについては、維持管理を進めるとともに、
その存在意義と環境学習などにおける活⽤についても周知していく必要があります。
図 1.2-6 綾瀬川バードサンクチュアリ
図 1.2-5 松原団地記念公園

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? ⽔辺(中川/綾瀬川/⽤⽔路/治⽔緑地)
中川は、市の東側を南北につなぐ川で、川岸
の草地や林はいろいろな昆⾍や⿃が⽣息する場
所となっています。
綾瀬川は、市の北⻄部から南部までを広くつ
なぐ川で、特に東武鉄橋上流は岸部と草地がつ
ながっていて、⼟⼿や河川敷には植物や野⿃、
昆⾍が⽣息しています。
また、市内には⽤⽔路が多く、特に葛⻄⽤⽔
と⼋条⽤⽔は古くから市内を南北につなぐ⽔路で、
様々な⽣きものの⽣息場所や移動経路となっています。
そのほか、市内には、治⽔⽤の遊⽔池が設置されており、その周辺の緑地は⿃や昆
⾍の⽣息場所となっています。
⼀⽅で、河川改修や⽤⽔の暗渠化が進み、⽣きものの⽣息・⽣育地が減少していま
す。河川管理者との協議等を通じて、⽣物多様性に配慮した管理の実施を要請してい
く必要があります。
? そのほか絶滅のおそれのある⽣きものの⽣息・⽣育地
本市には「埼⽟県希少野⽣動植物の種の保
護に関する条例」の「県内希少野⽣動植物種」
に指定されている植物キタミソウの⾃⽣地がありま
す。キタミソウは県条例で保護されていますが、そ
の⽣育には、光、冠⽔、⽔際部分の横断勾配
条件などの環境条件が必要なことから、⽤⽔路
内の植⽣管理やごみ掃除・除草など市⺠団体に
よる保全活動と市によるキタミソウの⽣育条件に
あった⽔位の適正管理が続けられています。
そのほかにも、本市では、図 1.2-9 に⽰すよう
な、国や埼⽟県の絶滅のおそれのある⽣きものの⽣息・⽣育環境があります。⼀⽅で、
絶滅のおそれのある⽣きものの⽣息・⽣育地は減少し、図 1.2-11 に⽰すような、既に
⾒られなくなった⽣きものもあります。開発や河川改修などの際には、早期の情報収集を
はかるとともに専⾨家の意⾒を聴くなど、適切な保護保全対策を⾏っていく必要がありま
す。
図 1.2-8 葛⻄⽤⽔のキタミソウ
※キタミソウ(EN/VU)凡例は 12 ページを参照
図 1.2-7 葛⻄⽤⽔

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12
ミズオオバコ(VU/VU)
キクモ(NT/-)
イチョウウキゴケ(VU/NT)
ヌマトラノオ(NT/-)
ハンゲショウ(VU/-)
タコノアシ(VU/NT)
シロバナサクラタデ(NT/-)
ナガボノシロワレモコウ(NT/-)
カワヂシャ(VU/NT)
コギシギシ(VU/VU)
ノウルシ(VU/NT)
ノカラマツ(VU/VU)
ミズマツバ(VU/VU)
ヒメミソハギ(NT/-)
ゴキヅル(VU/-)
チュウサギ(NT2/NT)
クイナ(VU/-)
凡例︓種名(埼⽟県における絶滅危惧種の
指定状況/全国(環境省)における絶滅
危惧種の指定状況)
CR︓絶滅危惧 IA 類
EN︓絶滅危惧 IB 類
VU︓絶滅危惧?類
NT(NT2)︓準絶滅危惧(2 型)
-︓指定外
出典︓『環境省レッドリスト 2019』(平成 31 年 環境省)
<http://www.env.go.jp/press/files/jp/110615.pdf >2019 年 3 ⽉ 18 ⽇アクセス.
『埼⽟県レッドデータブック 2011 植物編』(平成 24 年 埼⽟県)
『埼⽟県レッドデータブック動物編 2018(第 4 版)』(平成 30 年 埼⽟県)
図 1.2-9 絶滅のおそれのある⽣きもの

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13
キジ
ムナグロ
コチドリ
オオヤマトンボ
クロスジギンヤンマ
ジャコウアゲハ
ハグロトンボ
図 1.2-10 残したい⽣きもの

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14
オイカワ
ヘイケボタル(VU/-)
カヤネズミ
シラコバト(EN/EN)
アオバズク(EN/-)
タマシギ(CR/VU)
ミドリシジミ(NT1/-)
凡例︓種名(埼⽟県における絶滅危惧
種の指定状況/全国(環境省)におけ
る絶滅危惧種の指定状況)
CR︓絶滅危惧 IA 類
EN︓絶滅危惧 IB 類
VU︓絶滅危惧?類
NT1︓準絶滅危惧 1 型
-︓指定外
出典︓『環境省レッドリスト 2019』(平成 31 年 環境省)
<http://www.env.go.jp/press/files/jp/110615.pdf >2019 年 3 ⽉ 18 ⽇アクセス.
『埼⽟県レッドデータブック 2011 植物編』(平成 24 年 埼⽟県)
『埼⽟県レッドデータブック動物編 2018(第 4 版)』(平成 30 年 埼⽟県)
図 1.2-11 本市では⾒られなくなった⽣きもの

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3)市⺠が集めた⽣きものの情報
? 調査の概要
本市では、平成 28 年度から草加市・そうか⽣きもの調査運営委員会による「そうか
⽣きもの調査」を実施しています。そうか⽣きもの調査は、市内に⽣息・⽣育する⽣きも
のについて、市⺠参加により調査し、得られた⽣きものの情報を草加の⽣きものデータベ
ースとして蓄積して、今後の⽣物多様性の取組を進める上での基礎情報として活⽤する
ことを⽬的としています。
調査では、「植物」「⿃」「昆⾍・蝶・その他」の指標種(資料編 20 ページから 24 ペ
ージを参照)を中⼼に、市⺠から情報を寄せていただく⽅法で⾏っています。
平成 28 年度の調査員登録者は 106 ⼈(7⽉から3⽉まで)、平成 29 年度は、
167 ⼈(4⽉から3⽉まで)でした。
図 1.2-12 そうか⽣きもの調査区域図
?瀬崎
?⾕塚、⾕塚町
?⾕塚上町、⾕塚仲町
両新⽥東町、両新⽥⻄町
新⾥町、遊⾺町、柳島町
?吉町、⼿代、中央、⾼砂
住吉、神明
?草加、⻄町、氷川町
?稲荷、⻘柳1丁⽬
?松江、弁天、栄町
中根、⼋幡町
?旭町、新善町、⾦明町
清⾨、⻑栄、新栄
?⻘柳(1丁⽬除く)、⻘柳町
柿⽊町
?松原、花栗、苗塚町
⼩⼭、北⾕、北⾕町、
原町、学園町
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
綾瀬川
⾠井川
伝右川
葛⻄⽤⽔
古綾瀬川
中川
東京外環⾃動⾞道
県道さいたま・草加線
・そうか公園
獨協⼤学
古綾瀬⾃然ひろば
・綾瀬川バードサンクチュアリ
・柳島治⽔緑地
⼋条⽤⽔
⽑⻑川
まつばら綾瀬川公園
※コミュニティブロックに基づく
⾕塚治⽔緑地

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16
➁ 調査結果の概要(平成 28 年度・平成 29 年度)
調査の結果、分類群別の確認種数は増えているものもありますが、植物などでは外
来種の割合が増えており、在来種は減少しています。(21 ページを参照)
また、区域別の確認種数でみると、区域?や区域?など⽔⽥や⽔辺環境が多い区
域で確認種数が多くなる傾向がありました。
図 1.2-13 分類群別の確認種数(平成 14 年度調査との⽐較)
図 1.2-14 区域別の確認種数(平成 28 年度・平成 29 年度)
植物
哺乳類
⿃類
両⽣類
は⾍類
昆⾍類
平成14年度
498
5
97
3
3
154
平成28・29年度
546
4
89
4
10
163
498
5
97
3
3
154
546
4
89
4
10
163
0
100
200
300
400
500
600
確認種数
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
軟体動物
0
0
1
1
0
1
0
1
1
0
クモ類
0
0
0
0
0
1
0
3
3
1
多⾜類
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
甲殻類
2
1
2
3
0
2
3
5
2
0
昆⾍類
27
15
29
53
20
47
32
56
109
49
両⽣類
1
0
1
1
0
1
0
1
3
1
は⾍類
1
3
1
6
0
3
1
5
7
1
⿃類
20
14
23
28
13
29
11
48
82
21
哺乳類
1
0
1
2
0
1
0
0
2
1
植物
69
75
36
172
11
117
60
451
211
105
0
100
200
300
400
500
確認

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3.⽣物多様性の危機
本市では、昭和 30 年代後半から本格的な都市化が進み多くの⾃然環境が失われ
ました(第1の危機)。また、社会環境の変化により、農地や屋敷林の管理が難しくな
っている側⾯(第2の危機)や、クビアカツヤカミキリなどの外来種の侵⼊(第3の危
機)、クマゼミの分布拡⼤など地球温暖化による影響(第4の危機)も⾒られ始めて
います。
1)変わりゆく草加の⾃然
本市における⼟地利⽤の変化を⾒ると、昭和 40 年に 1,271 万m2(市総⾯積の
約 46%)を占めていた⽔⽥は、平成 28 年現在で 83.5 万m2(市総⾯積の約 3%)
にまで減少しています。また、もともと少なかった⼭林(昭和 40 年に 7.9 万m2、市総⾯
積の約 0.3%)でしたが、平成 28 年には 0.7 万m2(市総⾯積の約 0.03%)と 10
分の1に減少しています。
⼀⽅で、宅地は昭和 40 年には 469.1 万m2(市総⾯積の約 17%)でしたが、平
成 28 年には 1,519 万m2(市総⾯積の約 55%)に増加しています。
出典︓『草加市統計書』(平成 30 年 草加市)より作成
図 1.3-1 本市の⼟地利⽤の変遷
⽔⽥
宅地
原野
⼭林
雑種地
その他
池沼

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18
本市では、⽔⽥や農地を保全するため⽣産緑地地区の指定や、屋敷林などを対象
とした保存樹林の指定を進めていますが、その減少に⻭⽌めがかけられていないのが現状
です。
図 1.3-2 本市における保存樹林指定個所数の推移
ほとんど⾒られなくなったハス⽥
市内にわずかに残る屋敷林
図 1.3-3 失われつつある草加の⾃然
42
41
39
36
34
34
32
29
28
28
20
25
30
35
40
45
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
個所
年度
保存樹林
個所数

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19
2)⽣態系ネットワーク(⽣態的回廊)の分断
個々の⾃然環境を保全することはとても重要ですが、⽣物多様性の保全に当たって
は、⽣きものが移動できる距離内で、個々の⽣息・⽣育環境が連続していることも重要
です。このつながりを⽣態系ネットワーク(⽣態的回廊)と呼びます。
⽣態系ネットワークは、⽔辺環境、樹林環境、草地環境等から構成されます。
本市では、南北に河川・⽤⽔があるものの、東⻄には⽤⽔などのつながりは、現在では
ほとんどなくなっており、また、多くの河川・⽤⽔は垂直護岸で⾃然⽣態系がある⽔辺環
境とは⾔えない状況にあります。
また、樹林環境は、中川や綾瀬川、⼋条⽤⽔沿いの樹林への連続性が確保できて
いない、草地環境は、草加駅を中⼼とした市街地で不⾜している、などの課題があると
分析されました(資料編 8 ページから 19 ページを参照)。
また、学校ビオトープは、⽣態系ネットワークを補完する役割を果たしますが、現況では、
あまり維持管理が進んでおらず、⼗分な機能を果たせていない状況にあります。

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出典︓『草加市みどりの基本計画(改定版)』(平成 29 年 草加市)を⼀部改変
図 1.3-4 分断された⽣態系ネットワーク
綾瀬川バードサンクチュアリ
トンボ池、⿃と友達ひろば
⾼砂⼩学校ビオトープ
柳島治⽔緑地
⾕塚治⽔緑地
新栄中学校ビオトープ
清⾨⼩学校ビオトープ
花栗南⼩学校ビオトープ
両新⽥中学校ビオトープ
⻄町⼩学校ビオトープ
両新⽥⼩学校 エコ太郎
稲荷⼩学校ビオトープ
草加⼩学校⽣態観察池
・憩いの森
新⾥⼩学校ビオトープ
川柳⼩学校 野⿃の森
川柳中学校ビオトープ
東埼⽟資源環境組合
第⼆⼯場ビオトープ
⼋幡⼩学校ビオトープ
獨協⼤学
古綾瀬⾃然ひろば
市内のビオトープ等

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21
3)外来種による脅威の増⼤
物流施設や⽔辺の環境が多い本市では、外来種による⽣態系への影響も懸念され
ています。
平成 28・29 年度のそうか⽣きもの調査では、植物調査で確認された 546 種のうち
外来種が 273 種(50%)も確認されています。
動物においても、アライグマ、ミシシッピアカミミガメ、オオクチバス、ブルーギル等の外来
種が報告されています。
平成 29 年 12 ⽉及び平成 30 年 5 ⽉に実施されたそうか公園の修景池でのかいぼ
り作業では、オオクチバス、ブルーギルなどの外来⿂や、ミシシッピアカミミガメといった外来
のカメなどが捕獲されており、池等の⽣態系に外来種が⼤きな影響を与えていることが分
かりました。
平成 14 年度の植物確認種の内訳
平成 28・29 年度の植物確認種の内訳
注.外来種は、 以下の資料における特定外来⽣物、緊急対策外来種、重点対策外来種、その他の総合対策外来種とした。
・『特定外来⽣物による⽣態系等に係る被害の防⽌に関する法律』(平成 16 年 6 ⽉公布 法律第 78 号)
・『我が国の⽣態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(⽣態系被害防⽌外来種リスト)』(平成 27 年 環境省)
・『侵⼊⽣物データベース(⽇本の外来種 全種リスト(暫定版))』(平成 30 年 国⽴環境研究所)
特定︓特定外来⽣物、緊急︓緊急対策外来種、重点︓重点対策外来種、他総合︓その他総合対策外来種
他植栽由来等︓H14 年度は「植栽」、「移⼊種」とされているもの、H28・29 年度は侵⼊⽣物データベース掲載種(※ただし、
上記に当てはまるものを除く)
図 1.3-5 平成 28・29 年度そうか⽣きもの調査(植物)における外来種数
外来種は
総計 273 種
(50%)

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22
表 1.3-1 アライグマの捕獲件数
設置場所
捕獲⽇
性別
体重(?)
全⻑(cm)
成獣・幼獣
(推定年齢)
妊娠の
有無
⾦明町
平成 21 年
11 ⽉
栄町
平成 26 年
10 ⽉
メス
7.0
90
成獣
不明
柿⽊町
平成 27 年
9 ⽉
オス
7.0
87
成獣(約1歳)
新善町
平成 29 年
9 ⽉
オス
3.9
70
成獣(1 歳)
稲荷
平成 29 年
10 ⽉
メス
3.7
70
成獣(1 歳)
稲荷
平成 29 年
10 ⽉
約 100
成獣(不明)
稲荷
平成 29 年
10 ⽉
メス
6.9
85
成獣(1.5 歳)
柳島町
平成 30 年
1 ⽉
メス
5.2
60
成獣(1 歳)
⼋幡町
平成 30 年
5 ⽉
オス
4.0
60
1 歳
⼋幡町
平成 30 年
5 ⽉
メス
7.0
80
成獣
⻘柳
平成 30 年
5 ⽉
メス
成獣
⻘柳
平成 30 年
6⽉
メス
幼獣
⻘柳
平成 30 年
6⽉
メス
幼獣
⾦明町
平成 30 年
9 ⽉
オス
7.6
80
成獣(1〜2 歳
⼿代
平成 30 年
10 ⽉
オス
5.2
70
成獣(1 歳)
さらに、近年は海外から新たに侵⼊する外来種も増えつつあります。例えば、平成 30
年に特定外来⽣物に指定されたクビアカツヤカミキリは、本市でも葛⻄⽤⽔の桜並⽊な
どで⽣息が確認されており、今後その被害の拡⼤が懸念されています。
図 1.3-6 クビアカツヤカミキリ(特定外来⽣物)

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23
※フラスとは、⽊くずと⾍の排泄物が混ざったもの。クビアカツヤカミキリの存在を確認する⽬安となる。
出典︓『提供データ クビアカツヤカミキリの確認地点』(平成 30 年 埼⽟県⽣態系保護協会草加・⼋潮⽀部)を⼀部改変
図 1.3-7 クビアカツヤカミキリの確認地点
草加・⼋潮クビアカツヤカミキリ確認地点

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4.草加市の⽣物多様性に関する取組
本市では、⽣物多様性を保全するために、市⺠団体の協⼒・協働で、以下のような
取組を実施しています。
1)啓発に係るイベント等の開催
⽣物多様性についての市⺠の啓発に係るイベント等として、「そうか⽣きもの調査」「街
なか緑化事業」「エコクッキング」「ビオトープの維持管理」などを実施しています。
そうか⽣きもの調査
ゴーヤ苗の配布
エコクッキング
環境講座
図 1.4-1 ⽣物多様性に関する啓発イベント⾵景
2)絶滅危惧種の保全
『埼⽟県レッドデータブック(2011)』で絶滅危惧?B 類(EN)に指定されており、
埼⽟県の県内希少野⽣動植物種1に指定されているキタミソウについて、市内の⽣育地
の保全活動に協⼒しています。
3)外来種駆除
特定外来⽣物2に指定されているアライグマ、クビアカツヤカミキリについては駆除を実
施しています。
4)学校等の環境学習
埼⽟県環境学習サポート制度や埼⽟県環境教育アシスタント制度、市役所の出前
講座を活⽤して、市内の⼩学校で、⽣物多様性に係る環境学習を実施しています。
図 1.4-2 ⽣物多様性に関する環境学習⾵景
1 「埼⽟県希少野⽣動植物の種の保護に関する条例」に基づく指定による。
2 「外来⽣物法」に基づき指定される特定外来⽣物のこと。飼育、栽培、保管及び運搬、輸⼊等を原則禁⽌あるいは制限する。アライ
グマは、『埼⽟県アライグマ防除実施計画』(平成 23 年 4 ⽉ 埼⽟県⼀部変更)に基づき駆除を実施している。

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第2章 草加市における生物多様性の課題
1.⽣物多様性そうか戦略に係る課題
第1章で整理した本市における⽣物多様性の危機を踏まえつつ、⽣物多様性保全
の課題を、以下のとおり整理しました。
1)⽣物多様性を「知る」機会
⽣物多様性の低下の原因の⼀つは、⽣物多様性という⾔葉が⾝近になっておらず、
社会の中で主流化していないことにあります。
普段の暮らしや事業活動が「どのように⽣物多様性と関係しているのか」、その中で
「配慮できることは何か」を知らせる機会をつくり、また、市⺠、事業者、⾏政それぞれが、
⾃分たちの取組を発信し、相互に情報を共有することが重要です。
2)⽣物多様性を「守り、育てる」の推進
東京都に隣接する本市では、開発や相続等によって⼟地利⽤が変化し、多くの⾃然
環境が失われ、その結果として⽣物多様性が低下してきました。すなわち、本市に暮らし
ている私達⼀⼈ひとりも、⽣物多様性への影響を与えてきました。
しかし、⽔⽥や屋敷林といった、本市の⾃然環境の重要な場所は、その多くが私有地
です。私有地の利⽤を、⾏政が⼀⽅的に制限することは困難ですが、公共施設を始め、
新たな⺠間事業や宅地、集合住宅等の開発、改修などに当たって、⽣物多様性に配
慮した庭や緑地づくりを進めるなど、できることから始める必要があります。
また、既に始まっている重要な⾃然地を維持管理する取組を継続するとともに、その
範囲を徐々に広げていき、残すべき⾃然環境の質を向上させていくことも重要です。

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3)⽣物多様性を理解し「参加する」
⽣物多様性は、原⽣の⾃然だけでなく、⼈間の暮らしや経済活動と結びついて維持
されてきた歴史があります。本市に残された⾃然も、その多くは⽔⽥や屋敷林、⽤⽔路と
いった、⼈間の営みと共存してきた⾃然です。
これらの⾃然環境を保全していくためには、昔から⾏われてきた農作業や、林の管理
⽅法を継承し、継続していく必要があります。
しかし、現状では、これらの⾃然を維持する担い⼿や、その技術の継承が⼗分に⾏わ
れていません。今後、少⼦⾼齢化社会の到来により、さらに⾃然の守り⼿が不⾜していく
ことが予想されます。
すでに、ビオトープなどの⾃然環境のいくつかでは、市⺠を主体とした保全のための維
持管理活動が始められています。これらの活動を継続するとともに、⺠有の樹林や緑地
などに対象を広げていくためには、⾏政は積極的に関わるとともに、市⺠や事業者の協⼒
が不可⽋です。
図 2.1-1 本市における将来⼈⼝予測

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27
2.⾃然環境類型別の課題
これらの課題解決のための具体的な施策を検討するために、⾃然環境類型別に整
理した結果は表 2.2-1 に⽰すとおりです。
『そうかの⾃然』(平成 15 年)の⾃然環境類型の区分に基づき、本市にある⽣態
系を、⽥んぼ(休耕⽥を含む)・ハス⽥・クワイ⽥、屋敷林・社寺林(林)、川、⽤⽔
路、遊⽔地、公園・広場、まちの⾃然・ビオトープの7つの環境類型に分けました。
本市では⼟地利⽤の変化が進み、⽔⽥やハス⽥・クワイ⽥、屋敷林などの減少が⼤
きく、保全や代替環境の整備など対策が必要です。
また、本市の重要な⾃然環境要素である川や⽤⽔路は、⾯積や総延⻑という観点
から⼤きな変化はないものの、市内の広い範囲に横断的に存在しており、1か所の影響
が、川や⽤⽔路全体に及ぶことが懸念されます。特に、外来種の侵⼊があった場合に、
川等を伝って広域に被害が広がるおそれがあります。
⼀⽅、既に⽣物多様性へ配慮した設計や維持管理が⾏われている場所もありますが、
⽣物多様性保全の観点からは改善の余地があります。
また、全環境共通の課題として、⾃然環境が⽣物多様性の基盤となっていることを知
り、⾃然環境を保全するために市⺠や事業者の積極的な参加、また絶滅危惧種の⽣
息・⽣育環境の保全が必要です。
図 2.2-1 本市の⾃然環境類型のイメージ
【⽥んぼ、ハス⽥等】
【屋敷林、社寺林】
【川】
【⽤⽔路】
【遊⽔池】
【公園・広場】
【まちの⾃然・ビオトープ】

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表 2.2-1 ⾃然環境類型別にみた⽣物多様性保全上の主な課題
⾃然環境
類型
対象の例
4つの危機
⽣物多様性保全の視点からの課題
第1の
危機
第 2 の
危機
第3の
危機
第4の
危機
共 通
「知る」/「参加する」
・⾃然環境が⽣物多様性の基盤となっ
ていることを知ること
・⾃然環境を保全するための活動に市
⺠や事業者が参加すること
「守り・育てる」
・絶滅危惧種の⽣息・⽣育環境の整
・外来種対策
・⾃然の守り⼿の不⾜
1 ⽥んぼ
休耕⽥
ハス⽥
ク ワ イ
柿⽊⽥んぼ
⾕塚のハス
新 ⽥ のクワ
イ⽥
「守り・育てる」
・⽔⽥環境を残すための既存制度適
⽤等の検討
・減農薬栽培や総合防除(IPM)の
推進
2 屋敷林
社寺林
屋敷林
⼋幡神社
⼥体神社
「守り・育てる」
・樹林環境を残すための制度適⽤等
の検討
「参加する」
・剪定、下刈り、更新などによる多様な
環境創出
3
中川
綾瀬川
古綾瀬川
⽑⻑川
伝右川
「守り・育てる」
・⽔質改善のさらなる推進
・親⽔施設の整備と活⽤
・河川沿いの緑道の整備
・不法投棄ゴミ対策
「参加する」
・河川内の多様な環境の保全維持
4 ⽤⽔路 葛⻄⽤⽔
⼋条⽤⽔
「守り・育てる」
・多⾃然型護岸の整備推進
・親⽔施設の整備と活⽤
5 遊⽔池 柳島治 ⽔
緑地
⾕ 塚治 ⽔
緑地
「守り・育てる」
・遊⽔地の保全、環境の保全
6 公 園 ・
広場
そうか公園
松原団地
記念公園
「守り・育てる」
・新たな公園緑地整備
・⽣態系に配慮した植栽の導⼊
「参加する」
・⽣態系サービスの普及啓発
7 ま ち の
⾃然
・ビオト
ープ
住宅団地
街路樹
⾃宅の庭
ビオトープ
「守り・育てる」
・⽣物多様性に配慮した植栽の導⼊
・⽣物多様性に配慮した維持管理
第1の危機=開発や乱獲等 第2の危機=働きかけの縮⼩、撤退
第3の危機=外来種等
第4の危機=地球環境の変化

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3.地区別の課題
具体的な施策との対応を検討するために、課題を地区別に整理しました(表 2.3-1
参照)。地区は、10 地区のコミュニティブロックに基づき整理しました。
表 2.3-1(1) 地区別にみた⽣物多様性保全上の主な課題
地 区
地区別の⽣物多様性上の課題
全地区共通
「守り・育てる」
・公園整備時における⽣物多様性に配慮した公園設えの検討
・⽣物多様性に配慮した街路樹植栽
・⽣産緑地の減少への対応
・外来種対策
「参加する」
・⾃然の守り⼿の不⾜
新⽥⻄部
「守り・育てる」
・綾瀬川、伝右川による⽔とみどりのネットワークの不⾜
・綾瀬川のさらなる⽔質改善
・クワイ⽥など⽔⽥環境の保全
・保存樹林の保全
・外環道の環境施設帯における⽣物多様性に配慮した維持管理(要請)
「参加する」
・綾瀬川バードサンクチュアリの保全管理
新⽥東部
「守り・育てる」
・綾瀬川、古綾瀬川、⾕古⽥⽤⽔(開渠区間)の⽔とみどりのネットワークの不⾜
・綾瀬川のさらなる⽔質改善
・「おくのほそ道の⾵景地 草加松原」の名勝としての維持
・保存樹林の保全
・まつばら綾瀬川公園における⽣物多様性に配慮した維持管理
「参加する」
・⾕古⽥⽤⽔(開渠区間)における⽣物多様性に配慮した維持管理
草加川柳
「守り・育てる」
・柿⽊⽥んぼの企業誘致推進地区では⾃然環境と調和のとれた⼟地利⽤の検討
・中川、⼋条⽤⽔、葛⻄⽤⽔、古綾瀬川の⽔とみどりのネットワークの不⾜
・中川河川敷とその周辺における⾃然環境(河畔林や屋敷林等)や農地の保全
・保存樹林の保全
・キタミソウ⾃⽣地の保全
・そうか公園における⽣物多様性に配慮した維持管理
・庭や事業敷地等におけるコゲラ等の回廊となる樹⽊植栽の実施
「参加する」
・キタミソウ⾃⽣地の維持管理
・柿⽊⽥んぼの保全維持管理

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30
表 2.3-1(2) 地区別にみた⽣物多様性保全上の課題
地 区
地区別の⽣物多様性上の課題
草加安⾏
「守り・育てる」
・伝右川の⽔とみどりのネットワークの不⾜
・保存樹林の保全
・松原団地記念公園、獨協⼤学における⽣物多様性に配慮した維持管理
・外環道の環境施設帯における⽣物多様性に配慮した維持管理
「参加する」
・松原団地記念公園、獨協⼤学における維持管理
草加⻄部
「守り・育てる」
・伝右川の⽔とみどりのネットワークの不⾜
・保存樹林の保全
・庭等におけるチョウ類の好む植栽(バタフライガーデン等)の実施
草加東部
「守り・育てる」
・綾瀬川、伝右川の⽔とみどりのネットワークの不⾜
・綾瀬川のさらなる⽔質改善
・札場河岸公園の歴史特性をいかした公園としての維持
・保存樹林の保全
・⼋幡神社の社寺林の保全
・庭等におけるチョウ類の好む植栽(バタフライガーデン等)の実施
草加稲荷
「守り・育てる」
・綾瀬川、古綾瀬川、葛⻄⽤⽔の⽔とみどりのネットワークの不⾜
・綾瀬川のさらなる⽔質改善
・庭等におけるチョウ類の好む植栽(バタフライガーデン等)の実施
⾕塚⻄部
「守り・育てる」
・⽑⻑川、⾠井川の⽔とみどりのネットワークの不⾜
・ハス⽥など⽔⽥環境の保全
・保存樹林の保全
・⾕塚治⽔緑地、柳島治⽔緑地、⾕塚上町ふれあい広場における⽣物多様性に配慮
した維持管理
「参加する」
・⾕塚治⽔緑地、柳島治⽔緑地における外来種対策
・ハス⽥の保全維持管理
⾕塚中央
「守り・育てる」
・⽑⻑川の⽔とみどりのネットワークの不⾜
⾕塚東部
「守り・育てる」
・⽑⻑川、伝右川の⽔とみどりのネットワークの不⾜
・浅間神社の社寺林の保全

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31
第3章 基本事項
1.⽣物多様性そうか戦略の位置付け、計画期間
1)位置付け
⽣物多様性基本法第 13 条では、「都道府県及び市町村は、(中略)⽣物の多
様性の保全及び持続可能な利⽤に関する基本的な計画(⽣物多様性地域戦略)
を定めるよう努めなければならない」と規定されています。
本市では、第⼆次草加市環境基本計画内で⽣物多様性地域戦略について明
記していることから、⽣物多様性そうか戦略を策定するものです。
図 3.1-1 ⽣物多様性そうか戦略の位置付け
2)計画期間
⽣物多様性そうか戦略の計画期間は、第⼆次草加市環境基本計画の計画期間
である平成 47 年度(2035 年度)までとします。
また、⾃然環境の変化は数年では⼗分に把握しきれませんが、⽣物多様性に関する
社会情勢や国内外の動向は、加速的に進んでいることを踏まえ、これらの動向を適切に
反映するため、平成 36 年度(2024 年度)までに⾒直しを図ることとします。
第二次草加市環境基本計画
(平成 28 年 3 月)
生物多様性そうか戦略
(平成 31 年3月)
草加市の主な個別計画
など
草 加 市 み ど り の 基 本 計 画
まちづくりの基本となる計画
草加市都市計画マスタープラン
2017-2035(平成 29 年 4 月改定)
第四次草加市総合振興計画
(平成 29 年 3 月改定)
草加市の上位計画
埼玉県東南部地域
生物多様性ガイドライン
草 加 市 教 育 振 興 基 本 計 画
草 加 市 地 域 防 災 計 画
草加市環境にやさしい庁内率先実行計画
(予定)草加市都市農業振興基本計画

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32
3)対象とする区域
⽣物多様性そうか戦略の対象区域は、原則、市内全域とします。
また、本市内で⾏う事業や活動に関係する経済活動等は、対象区域外であっても、
対象に含めることがあります(例えば、公共事業で調達する⽊材も対象とすることがある
など)。
4)計画の実施主体
⽣物多様性そうか戦略の実施主体は、第⼆次草加市環境基本計画の実施主体と
同様に、市⺠、事業者、草加市の三者とします。
図 3.1-2 ⽣物多様性そうか戦略の実施主体と期待する役割
【市 ⺠】
?⽣物多様性の保全に貢献する
活動への参加
?⽣物多様性に配慮した製品
等の積極的な使⽤
?⽣物多様性の保全に配慮した
取組の推進
【草加市】
?⽣物多様性に関する情報等
の積極的な開⽰
?⽣態系サービスの保全に配慮
した公共事業の推進
?良好な⾃然環境の積極的な
保全・再⽣・創出
【事業者】
?⽣物多様性に配慮した製品や
技術等の開発、その積極的な
利⽤、情報公開
?⽣物多様性に配慮した調達の
⾒直し
?⽣物多様性の保全に配慮した
事業活動の推進

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基本理念︓草加の⾃然の恵みを 次世代に引き継ぐ
2.基本理念・基本⽅針
1)基本理念
⽣物多様性そうか戦略は、⽣物多様性基本法に基づく⽣物多様性の保全と持続
可能な利⽤に関する基本的な計画であり、⽣物多様性国家戦略を基本としつつ、本
市の地域特性を活かした計画とするものです。
本市では、市⺠参加による「そうか⽣きもの調査」をはじめ、さらに⽣物多様性を「知る」
ための取組を重点的に進め、市⺠や事業者等に⽣物多様性に対する理解の促進を図
ります。また、市⺠・事業者・市の協働により、⽣きものを「守り、育てる」、⽣物多様性の
保全に「参加する」といった取組を進め、⽣物多様性の保全に向けた基盤づくりを⾏って
いきます。
⽣物多様性そうか戦略の策定により、市⺠や事業者に、⽣物多様性に配慮したライ
フスタイルが浸透するとともに、⽔とみどりの質を⾼め⽣物多様性を享受し、多様な⽣きも
のが⽣きていける環境をこれ以上失うことなく、本市の環境像である「⼈と⾃然が共に⽣
きるまち そうか」の実現を⽬指し、「草加の⾃然の恵みを 次世代に引き継ぐ」ことを基
本理念とします。
図 3.2-1 ⽣物多様性そうか戦略の基本理念
環境基本計画の⽬標像︓⼈と⾃然が共に⽣きるまち そうか

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2)基本⽅針
⽣物多様性そうか戦略では、基本理念に基づき、3つの基本⽅針を設定します。
? ⽣物多様性への理解の促進―主流化・⽣物多様性を「知る」―
都市化の進展に伴い、⾃然とのつながりが薄らぐことで、⽣物多様性の恩恵を享受し
にくくなっていることから、⽣物多様性の重要性について⼗分に理解できなくなりつつありま
す。市内全域の⽣物多様性についてより的確な状況の把握によって、⽣物多様性の保
全・再⽣・創出の取組などに⽣かしていきます。
? 「守り・育てる」―⽔とみどりの質を向上する―
⽣物多様性の視点から、⽔とみどりがさまざまな⽣きものの⽣息空間であり、移動経
路としても重要な役割を担っていることを再認識し、緑地等が持つ機能を最⼤限に発揮
できるよう質の向上を図る⽅策を検討し、実⾏していきます。
? 市⺠との協働を推進する―「参加」による向上―
本市は、環境や緑化などに関した活動団体による保全活動、市⺠参加による「そうか
⽣きもの調査」など、環境学習の推進、⼈材育成を⽬的とした⾃主的な活動を展開し
ています。本計画を実⾏性と継続性のあるものとするためにも、市⺠・事業者・学校・団
体などの多様な主体が参加し、将来の⽬標を共有することで、「⼈と⾃然が共に⽣きる
まち そうか」の実現を⽬指します。

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3.達成⽬標(将来像)
基本⽅針に基づき、⽣物多様性そうか戦略では、達成⽬標として将来像を以下のと
おり設定します。
図 3.3-1 ⽣物多様性そうか戦略の達成⽬標(将来像)
? 生物多様性への理解の促進
—主流化・生物多様性を「知る」—
? 「守り・育てる」
—水とみどりの質を向上する—
? 市民との協働を推進する
—「参加」による向上—
1. ⾏政、市⺠、事業者が、⽣物多様性に係る取組を
発信している
2. ⽣物多様性の基盤となる緑地等が⼗分に存在して
いる
3. 多様な⽣きものの⽣息・⽣育場所が保全・再⽣・創
出されている
4. ⽣きもののネットワークが形成されている
5. ⼦どもたちが、のびのびと育つことができる環境や、
⾃然からの恵みを享受できる場所が残されている
6. ⽣物多様性を保全する活動への参加機会が確保
されている
7. ⽣物多様性を保全する活動に市⺠や事業者が
主体的に参加している
将来像
基本方針