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ビキニマン

★ビキニマン 作者:クラ子さん

 

「はあ~い団体様のお部屋へご案内~!」
 ピンクを基調とした花柄の調度品に囲まれた部屋で、俺、クラウド・ストライフは待っていた。
 何を? 決まっている。ピチピチセクシーギャルの団体様だ。
 エアリスのひんしゅくを買うことも恐れず、蜜蜂の館へ入った俺は迷わず団体様のお部屋に入った。そう、これはコルネオの館に入るためだ。ティファを助けるためだ。それ以外の何モノでもない。…ふふふ。
 官能的な甘い香りに満たされた空気を肺いっぱいに吸い込み、扉を見つめる。
 もうすぐだ。もうすぐそこからおなごの群れが・・・。
 ベッドに腰掛けて口元を緩める俺の耳に、扉の向こうから腹の底に響くバスが聞こえてきた。
 …ズン、ズン、ズン、ズン♪
「?」
 この場に似つかわしくない歌声に、何だろうと扉に向けられた視線の先で起こった出来事に俺は石になった。
 突如開け放たれた扉から、セクシーギャルならぬマッチョなおっさんどもがいずれもエグいストリングスビキニを装着して、歌いながらなだれ込んで来たのだ。
 ―俺たちゃビキニマ~ン 食い込むビキニパ~ンツ
  まっぶっしーい筋肉 俺たちゃセクシィ~♪
 地獄の聖歌隊は瞬く間に石化した俺を包囲する。
「さーあ! 一名様ご案内するぞーーー!!」
「ちょ、ちょっと待てっ!話がちがっ・・・!」
 むさ苦しい超兄貴軍団に担ぎ上げられ、俺は史上最大の危機を感じた。
 …ああ、もうおムコにいけない…
 享楽の館に、俺の絶叫は虚しく吸い込まれていった。
 
「ど~だった? クラウド~。女装グッズは手に入った?」
 微笑むエアリスの目は笑っていない。
「う…も、問題ない。」
「あ~らそう。お化粧までしちゃって、自分があんまりキレイだから蒼ざめちゃってるみたいねえ。さ、行くわよ。」
 トゲだらけの言葉に申し開きをする気力さえなかった。いや、とてもじゃないがあの悪夢のような出来事は話すことはできなかった。
 俺の犠牲と努力の結果、スケベイ親父をもたらしこむ完璧な女装でティファを助け出し、あれから何だかんだ時は過ぎていった。
 コスタ・デル・ソルの宿の風呂場で、俺は自分の姿を鏡に映し、大きな溜息を吐いた。
「はあ…」
 別に自分の美しさに見とれているわけじゃない。俺がはいているものが問題なのだ。
 黒地にゴージャスなバラが咲き乱れるストリングスビキニ―─
 俺はそんなものをはいているのだ。もちろん俺はそんな趣味じゃない。しかし悪夢はあの日から始まったのだ。
 あの日、俺は超兄貴の団体様に強引に風呂に入れられた後、女装アイテムの一つだと言ってこれと同じビキニパンツをはかされた。それで仕方なくあの一件が終わるまでそれをはき、後ではき替えようとしたとき、俺は信じられないものを見た。
 何と、俺のパンツが総てビキニパンツになっていたではないか!
 それ以来、新しいパンツを買ってきても総てストリングスビキニに変化してしまう。たとえそれがグ○ゼのブリーフであろうとしましまぱんつであろうと越中褌であろうと、ことごとくバラ柄ビキニパンツになってしまう。
「ビキニの呪いか、これは…!」
 何と恐ろしい呪いをかけられてしまったのか。とてもではないが人には見せられない。もしこれがエアリスやティファやユフィにバレたら…と思うと、俺の下心も萎んでしまう。
 そして今日も人知れずバラ柄ストリングスビキニをはき、ゴールドソーサーへやってきた。
 そこで出迎えた支配人と名乗るディオ様という男を見た瞬間、俺はものすご~くいやな予感がした。
「こ、こいつも…?」
 ディオ様は真っ赤なビキニパンツをはいているのだ。こんな恥ずかしいパンツいっちょで平気でいられる辺り、この男も奴等の仲間に違いない!
 本能的にそそくさと逃げようとした俺の肩を、ディオ様が捕まえた。
「…君も我々の仲間だね?」
 ひいいいいっっ!!!
 恐怖におののく俺の耳元にディオ様は濃い顔を近づけ、腹の底に響くバスで歌いだした。
「…ズン、ズン、ズン、ズン♪」
 あの忌まわしいイントロが俺の脳髄を直撃したとき、俺の口が勝手に動き出した。
「俺たちゃビキニマ~ン♪…はっ!!」
 しかし俺の口は止まらない。
「食い込むビキニパ~ンツ♪ うおおぉぉやめろおおおおお!!!」
 エアリスが、ティファが、ユフィが、その他大勢が、俺からじわじわと遠ざかり、冷たい視線を浴びせる。
 どこからともなく、誰かの声が聞こえた気がした。
 ―…君も今日からビキニパンツ同盟会員No,7058だ……
「うわああああああ!!!」
 
 ……ズン、ズン、ズン、ズン
 俺たちゃビキニマ~ン 食い込むビキニパ~ンツ
 まっぶっしーい筋肉 俺たちゃセクシィ~♪
 
 俺の青春は終わり、そして新しい人生が始まった。<おしまい>

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