患者背景
副
作
用
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経 過 及 び 処 置
転帰
男
50歳代
腎細胞癌
第4期
(癌疼痛,
腸憩室炎,
骨転移,肺
転移)
400mg/隔日
217日
800mg/日
45日
800mg/日
56日
投与14日前
投与開始日
投与218日目
投与253日目
投与263日目
休薬33日目
休薬61日目
再開26-35日目
再開54日目
再開57日目
中止5日目
中止11日目
中止12日目
中止20日目
転移性骨腫瘍にて再診。CT所見:肺転移以外
特記なし。
個人輸入にて本剤(400mg/隔日)投与開始。
本剤を800mg/日に増量。
胸部CTにて肺転移出現(肺転移のサイズと数が
増加,それ以外特記なし。)
休薬。IL-2による治療開始(70万単位,週3回)。
CT所見:肺転移の進行以外,特記なし。
家族,本人の希望強く,本剤の投与再開。
再開26,27,34,35日目にMAP 2単位ずつ輸血。
呼吸困難が現れ始める。
呼吸困難にて入院。CT上,右肺にはすりガラス
様陰影,左胸水著明であった。胸水穿刺では血
性胸水(報告医によると,胸水の原因は肺転移
出血)。原疾患の状態:骨・肺以外の転移はな
く,局所再発も画像上はなかった。
間質性肺炎の診断にて,本剤投与中止。
左胸腔内にトロッカー留置,細胞診:class4
胸写増悪。
ステロイド開始,デキサート4mg。
呼吸症状は改善あるも,胸写上は増悪。
呼吸不全により死亡。剖検の有無:情報なし
死亡
《社外専門家による肺画像の詳細解析結果》
投与253日目: 著明な肺転移,骨転移,右肺下葉の気管支内転移,軽度の肺気腫,左肺下葉の線状無気肺。
休薬33日目: 肺転移・骨転移巣の数及びサイズ増大を認めるが,その他は特に変化なし。
再開57日目: 肺転移巣の数及びサイズは増大し,左肺に多量の胸水が左胸腔内を占拠している。右肺と左肺上葉
の含気部位に,肺転移巣に関係なくランダムに分布する斑状のすりガラス陰影を認める。これら
の画像所見は薬剤性の初期ARDS(急性呼吸窮迫症候群)あるいは感染に矛盾しない。
中止11日目: 左胸水ドレナージ後,右肺に新たに中等量の胸水出現。両肺野に,小さなコンソリデーションを
伴ったびまん性のすりガラス陰影に重なって葉間胸水及び小葉間隔壁肥厚を認め,いわゆる
“crazy-paving pattern”(不揃いな敷石状パターン)を呈している。これらの所見は,急激な臨
床経過及び画像所見の増悪と併せ,ARDSに特徴的と考えられるが,ARDS自体は,感染や疾患進行に
伴う全身状態低下,肺転移巣からの出血などの他の要因によっても起こり得たと考えられる。
投与253日目CT画像
再開57日目CT画像
中止12日目CT画像
併用薬:塩酸オキシコドン水和物,エトドラク,塩酸ミルナシプラン,酒石酸ゾルピデム,フルニトラゼパム ,イン
ターフェロンアルファ,ゾレドロン酸水和物,メトクロプラミド,マレイン酸プロクロルペラジン,センノシド,酸化
マグネシウム,塩酸ミルナシプラン
1日投与量
投与期間
【臨床検査値】
再開57日目
SP-D(基準値:0-109.9):70.4
KL-6(基準値:0-409):565
中止12日目
SP-D:229.2
KL-6:625
DLST:7.6%(+)