ヘルプ

<< 脳外科 脳神経外科 手術 リスク 外傷後頭痛 PDPH ICHD のページ検索結果にもどる

このページでは http://www.neurotraumatology.jp/organ/backnumber/filedata/contents/vol37_2_2014.pdf をHTMLに変換して表示しています。
検索対象となった右のキーワードがハイライト表示されています:脳外科 脳神経 外科 手術 外傷

変換前のファイルはこちらから確認できます。

※Netscape4.0と4.7では正しく表示されない場合があります。ご了承ください。

※HTMLバージョンとして表示する際、レイアウトが崩れたり、文字が読めなくなる場合があります。ご了承ください。

Yahoo! JAPANはページ内のコンテンツとの関連はありません。

Neurotraumatology Vol.37 No.2 2014
Page 1
─ 原  著 ──────────────────────────────────
救命センターを起点とした新たな頭部外傷患者支援モデル:
搬送元地域と転院先地域・施設の分析
千葉県済生会習志野病院 脳神経外科 中村  弘·········73
現場の判断と段階的競技復帰に関する問題点:
高校ラグビー選手への脳振盪調査結果より
聖隷三方原病院 脳神経外科 佐藤 晴彦·········81
徳島県山間部救急病院における頭部外傷の特徴
徳島県立三好病院 脳神経外科 山本 陽子·········88
脳脊髄液漏出症画像診断:治療結果からの検証
国立病院機構福山医療センター 脳神経外科 守山 英二 ············96
当院における児童虐待による頭部外傷の現状
名古屋第二赤十字病院 脳神経外科 村岡 真輔········105
75 歳以上の頭部外傷患者の特徴と治療成績:
三次救命救急センターにおける経験から
大阪府三島救命救急センター 小畑 仁司········112
腕神経叢損傷 54 例の臨床検討
若草第一病院 脳神経外科 松山  武········120
─ 症例報告 ──────────────────────────────────
顔面外傷に対する外頚動脈塞栓術:6 症例の検討
兵庫県立加古川医療センター 脳神経外科 長嶋 宏明········128
─ 短  報 ──────────────────────────────────
ワラビによる経眼窩穿通外傷
帝京大学ちば総合医療センター 脳神経外科 村上 峰子········134
慢性硬膜下血腫被膜における
NF-κB シグナル伝達系の発現について
愛知医科大学 脳神経外科 大須賀浩二········136
神経外傷
Neurotraumatology Vol.37 No.2 2014
目次

Page 2
─ 学会記事 ──────────────────────────────────
一般社団法人 日本脳神経外傷学会 定款 ………………………………………………… 139
一般社団法人 日本脳神経外傷学会 定款施行細則 ……………………………………… 143
委員会設置規程 ……………………………………………………………………………… 146
神経外傷 投稿/執筆規定 …………………………………………………………………… 148
理 事 長: 片山 容一
理  事: 有賀  徹   飯原 弘二   岩渕  聡   宇野 昌明   大熊 洋揮
大畑 建治   小川  彰   小川 武希   奥寺  敬   小野 純一
糟谷 英俊   片山 容一   加藤 天美   亀山 元信   川又 達朗
栗栖  薫   甲村 英二   齊藤 延人   佐伯 直勝   坂本 哲也
鈴木 倫保   高里 良男   伊達  勲   田中雄一郎   田宮  隆
冨永 悌二   中瀬 裕之   永廣 信治   中村 俊規   藤木  稔
前原 健寿   松前 光紀   三木  保   三國 信啓   峯浦 一喜
村山 雄一   森 健太郎   森岡 基浩   山田 和雄   横田 裕行
吉峰 俊樹   若林 俊彦                   (五十音順)
事 務 局: 日本大学医学部脳神経外科
〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町 30-1
TEL: 03-3972-8111(内線 2481)
FAX: 03-3554-0425
一般社団法人 日本脳神経外傷学会
http://www.neurotraumatology.jp/

Page 3
神経外傷 Vol.37 2014
救命センターを起点とした
新たな頭部外傷患者支援モデル:
搬送元地域と転院先地域・施設の分析
中村 弘 1,5
宮田 昭宏 2
大賀 優 4,5
佐藤 幸子 3
山内 利宏 2
鈴木 浩二 3
相川 光広 3
古口 徳雄 3
小林 繁樹 2
1 千葉県済生会習志野病院 脳神経外科
2 千葉県救急医療センター 脳神経外科
3 千葉県救急医療センター
神経内科/リハビリテーション科
4 東京医科大学茨城医療センター
脳神経外科/リハビリテーション科
5 交通科学協議会
Key words :
Traumatic brain injury
Supporting model
Emergency medical center
Received November 15, 2013
Accepted August 5, 2014
Neurotraumatology 37: 7380, 2014
Anew supporting model starting at emergency
medical center for disabled patients following
traumatic brain injury
HirosHi NAkAmurA1,5, AkiHiro miyAtA2, mAsAru oHgA4,5,
yukiko sAtoH3, tosHiHiro yAmAucHi2, kouji suzuki3,
mitsuHiro AikAwA3, yorio kogucH3, sHigeki kobAyAsHi2
1Department of Neurosurgery, Chiba-ken Saiseikai Narashino Hospital
2Department of Neurosurgery, Chiba Emergency Medical Center
3Department of Neurology ⁄ Rehabilitation Medicine,
Chiba Emergency Medical Center
4Department of Neurosurgery ⁄ Rehabilitation Medicine,
Tokyo Medical University Ibaraki Medical Center
5The Japanese Council of Traffic Science
we attempted to construct a new supporting model starting
at emergency medical center for disabled patients follow -
ing traumatic brain injury (tbi). the goal of the model was
the establishment of a system for regional coordination and
cooperation among acute phase hospitals, rehabilitation
institutes, and life and vocational training facilities.
chiba prefecture with a population of 6 million people is
divided into 9 so-called second medical areas (areas of health -
care administration). there was no emergency medical center
in 2 second medical areas where were adjacent to chiba-
city, one on the west and the other on the south. the chiba
emergency medical center (cemc) is located northwest in
chiba-city that is one of 9 second medical areas. First a mini-
model was made that was targeted at patients with cognitive
dysfunction but independent after tbi. the mini-model
consisted of one acute hospital (cemc) and 3 rehabilitation
institutes (one at chiba-city, 2 at neighboring second medical
area). in the next step, the mini-model was also intended for
more unfavorable patients including vegetative state ones.
we performed a preliminary trial on the basis of the mini-
model for 167 patients admitted to cemc from November
2009 to August 2011. Fifty-seven of 167 patients were dis -
charged home, and 110 were transferred to other hospitals or
institutes. twenty-nine (for the mini-model) of 110 patients,
including unfavorable elderly patients were transferred to
cooperative rehabilitation institutes. eighty-one patients (not
for the mini-model) were transferred to various hospitals or
institutes as follows: rehabilitation institutes, 12; hospitals
with neurosurgical department, 29; general hospitals without
rehabilitation and neurosurgical departments, 38; institutes
for the patients in a vegetative state or minimally conscious
state, 2. the problems of the construction of the regional co -
ordination and cooperation system for tbi were discussed,
with particular emphasis on a progressive increase of post-
tbi elderly patients with unfavorable outcomes.
73
原  著
神経外傷 37201473 80
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 4
74
─────────────── はじめに
現在の医療の分業システムは合理的・効率的である
が,患者・家族の立場からみると,責任を持って継
続的に関わってくれる担当者がいないことに他なら
ない。一方,救命センターの医師・医療スタッフの
多くは,急性期治療の患者の長期的転帰・社会復
帰状況を知らないまま診療・看護を続けてきたと思わ
れる。私共救命センターの医師が高次脳機能障害の
問題に気付けなかった理由もそこにあったのであろ
う。最近では,行政用語としての「頭部外傷高次脳
機能障害」11)の社会的意義を認識している救急医・脳
外科医は増えていると推測されるが,これまでに救
命センターによる直接支援の報告はない。
現在,全国各地で脳卒中地域医療連携パスの運用が
進み,少なくとも急性期病院と回復期リハビリテー
ション(以下,回復期リハ)施設間の一方向の連携(転
院)はスムーズとなっている 7)。千葉県内では,パス
の統一化の必要性の認識から県内統一パスが運用され
ている 6)。しかし,脳卒中に比べて患者数が少なく診
療報酬上のメリットもない頭部外傷では,独立した同
様の連携システムは成立していない。また,急性期治
療終了時に転帰不良の患者,とくに高齢者は,回復期
リハ施設への入院対象になりにくく,転院先探しに苦
労するのが通例である。そして,後に回復したとして
も,適切なリハや高次脳機能障害の評価を受ける機会
は少ないと考えられる。そこで,連携パスを含み,患
者・家族への早期情報提供と継続的支援に力点を置い
た支援モデルを,川上にある救命センターからスター
トするものとして作成し試行した。
────────────── 対象・方法
既存の千葉県共用脳卒中地域医療連携パス(以下,
千葉県脳卒中連携パス)のノウハウを利用して,頭部
外傷高次脳機能障害患者を対象に,千葉県下にお
ける急性期医療機関-回復期医療機関-生活訓練
会復帰支援機関間の連携体制を構築し,さらに自宅
退院の地域生活期(=維持期)における支援および
長期的転帰の追跡を行うことを目標として,初めに,
頭部外傷地域連携パスミニモデル(以下,ミニモデ
ル)を作成した。ミニモデルは,地域生活期のかかり
つけ医を割愛した,いわば地域完結型 2)かつ循環型
モデル 9)である。急性期病院は当施設,回復期リハ
施設は,同じ 2 次保健医療圏(以下,2 次医療圏)の
千葉医療圏(=千葉市)の南東部で当施設からやや離
れた場所にあるリハビリ専門の 1 施設(千葉リハビリ
テーションセンター,以下,千葉リハセンター,回
復期リハ病床数:50)とした。さらに,やや遅れて当
施設に隣接する 2 次医療圏(東葛南部)の 2 施設(回復
期リハ病床数:それぞれ 50160)が加わった(Fig.1)。
自宅退院の支援と長期フォローアップは回復期リ
ハ施設が担うことを想定したが,今回は当施設で行
うこととした。成人用連携シートは脳卒中連携パス
シートを改変したもの(Fig.2)を使用し,小児用連携
シートは千葉リハセンターの小児神経科専門医師に
作成依頼した。さらに,連携シート等の診療情報を
ファイルに綴じた「頭部外傷ファイル」と退院・転院
(以下,退転院)後に必要な情報を綴じた「頭部外傷
資料」の 2 種類の冊子をキーツールとして導入した。
「頭部外傷ファイル」の保管主体は医療施設ではなく
患者・家族とした。後者の「資料」は,高次脳機能障
害に関するパンフレット(千葉リハセンター作成),
外傷による後遺障害に対して利用できる支援や必
要な申請方法等を記載した「支援マップ」(患者・家族
向けに作成したもので,医療スタッフへの教育目的
もある)などをまとめたものである。
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.1 magnifying map areas showing healthcare admin -
istration called "the second medical areas" and medical
cen ters in chiba Prefecture.
tokatsu-N: tokatsu north area, tokatu-s: tokatsu south area,
double circle: chiba emergency medical center (cemc),
closed pentagrams: rehabilitation facilities.

Page 5
75
次に,上記 2 冊子の発行を,植物状態を含む転帰
不良例にまで拡大した。本稿はこの拡大の実施結
果を分析したものである。対象は,2009 10 月か
2011 8 月までの約 2 年間に入院治療した小児を
含む頭部外傷患者 255 例から死亡例,軽症・早期退院
例を除外した中等症(Glasgow Coma Scale score,
GCS: 913)・重症(GCS: 38)と軽症(GCS: 14,
15)の一部である。軽症例では,入院神経症状の悪
化や意識障害の持続を認めたもの,画像診断上,今
回の外傷によると考えられる硬膜内病変を認めたも
の,あるいは血腫除去手術(穿頭術・開頭術)を要し
たものを対象とした。その結果,167 例を冊子発行
候補として,患者・家族への本研究の説明,神経心
理検査(10 年の臨床経験を持つ当施設常勤言語聴覚
士が担当),連携パスシートの作成(4 種類:医師,
看護,リハビリ,医療ソーシャルワーカー)を進め
た。今回は,ミニモデル適用例と非適用例(Fig.3)に
おける搬送元地域と転院先地域・施設を比較検討し
て,頭部外傷における地域連携と支援の可能性と問
題点について考察した。なお,「ミニモデル適用」患
者とは,高次脳機能障害患者に限定せず,当施設か
ら上述の連携先回復期リハ 3 施設へ転院した患者の
ことである。統計学的検定は,χ2 検定,ロジス
ティック回帰分析を使用し,p<0.05 を有意とした。
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.2 medical information sheets for regional coordination and cooperation system.
Fig.3 the tree diagram showing the number of each
out come in candidate patients for mini-model.

Page 6
76
─────────────── 結  果
1〕冊子発行候補 167 例の搬送元地域(Fig.4)
当施設の二次医療圏(千葉医療圏=千葉市)内から
の搬送例が 71 例(42.5%),二次医療圏外から 96
57.5%)と圏外優位であった。圏外では隣接する二次
医療圏(東葛南部,山武長生夷隅,印旛,市原)が 93
例(全体の 55.7%)を占めたが,とくに県北西部で人
口の多い東葛南部(55 例)と救命センターのない県南
東部の山武長生夷隅(20 例)からの搬送例が目立った。
2〕年齢,神経学的重症度,退転院時転帰,入院
期間
冊子発行候補 167 例の入院時の神経学的重症度を
GCS により軽症,中等症,重症に分けて,年齢群別
にみると,小児例は成人・高齢者に比べて少なく,
成人・高齢者では軽症・中等症が重症に比べて多かっ
た。退転院時転帰を,Glasgow outcome scaleGOS
GRgood recoveryMDmoderate disability)群,
SDsevere disability)群,VSvegetative state)群に
分けて年齢群別にみると,高齢者に転帰不良例(SD
+ VS)が有意(p=0.01)に多かった(Table 1)。転帰別
の入院期間は,GR ⁄ MDSD MB, BB, MCS 4)),VS
それぞれ,14 ± 1437 ± 3334 ± 2838 ± 4065 ±
2),60 ± 18 日であった。
3〕転院例の搬送元地域と転院先地域
167 例中,57 例が自宅退院し 110 例が転院した。
転院例のうちミニモデル適用例は 29 例,非適用例は
81 例であった。ミニモデル適用 29 例の搬送元地域
については,11 例が当施設のある二次医療圏から,
18 例が隣接二次医療圏からであった(後者の内訳:
東葛南部 11 例,山武長生夷隅 6 例,印旛 1 例)。転
院先は,1 例のみが居住地(印旛)から離れた回復期
リハ連携施設(千葉リハセンター)であったが,他は
すべて搬送元(≒居住地)近くの回復期リハ連携施設
であった。すなわち,東葛南部からの患者(11 名)は
すべて東葛南部の連携施設へ,千葉市からの患者(11
名)は東葛南部の連携施設(4 名)または千葉リハセン
ター(7 名)へ,山武長生夷隅からの患者(6 名)は居住
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.4 Nine divided areas of healthcare administration
called "the second medical areas" and 9 emergency
medical centers in chiba prefecture.
each figure on the map indicates the number of patients
who were transported to cemc from each area.
double circle: chiba emergency medical center (cemc).
closed circles: other emergency medical centers.
Table 1 gcs on admission and outcome (gos) at dis -
charge
child: 0 – 15, adult: 16 – 64, elderly: more than 64 years old.
mb: mobile, bb: bed-bound, mcs: minimally conscious state.
GCS
child
adult
elderly
all
3~8
6
26
15
47
9~13
4
33
17
54
14~15
5
35
26
66
all
15
94
58
167
GOS
GR ⁄ MD
12
63
20
95
SD
2
24
30
56
MB
2
16
15
33
BB
0
8
13
21
MCS
0
0
2
2
VS
0
7
8
15
all
14
94
58
166

Page 7
77
地から比較的近い千葉リハセンターへ転院した。ミ
ニモデル適用外で転院した 81 例の搬送元地域と転院
先地域を二次医療圏別にみると,搬送元が千葉・東
葛南部の患者(それぞれ,38 例,22 例)では同一医療
圏内への転院が多かった(それぞれ,73.7%,86.4%)
が,山武長生夷隅(8 例)・印旛(6 例)・市原(4 例)
からの患者(居住地も同地域)はいずれも半数が圏外
施設へ転院した。
4〕年齢群別・転帰別にみた転院先施設(Fig.5)
転院先施設を,① 回復期リハ施設,② 脳外科のあ
る病院,③ 一般病院(脳外科・回復期リハ病床がな
脳外科疾患のリハビリ・頭部外傷高次脳機能障害
への対応が難しいと考えられる病院),④ 遷延性意
識障害患者専門施設,に 4 分類すると,ミニモデル
適用 29 例は,当施設から転院時に転帰不良であった
高齢者(以下,“転帰不良高齢者*”とする)も含めすべ
て連携先の回復期リハ施設へ転院した。一方,ミニ
モデル非適用 81 例の転院先は,①~④それぞれ,12
例(14.8%),29 例(35.8%),38 例(46.9%),2
2.5%)であり,転帰不良高齢者*のうち「回復期リハ
施設」への転院例は少数で,多くは「脳外科のある病
院」か「一般病院」へ転院しており,とくに高齢者 VS
例の転院先はすべて「一般病院」であった。
5〕冊子発行に関わる因子と発行例における
1 外来受診率
転院先との連携の有無に関わらず冊子を発行する
方針としていたが,実際の発行率は全体として 167
例中 64 例(38%)にとどまった。入院日数との関係を
みると,入院日数 8 日以上の 121 例の冊子発行率は
52%であったが,短期入院の発行率は低かった。発
行例の 1 の当施設外来受診率は 56%で,受診に
関わる有意な因子は,単変量解析(p<0.05)では,年
齢,神経心理検査実施の有無,家族・キーパーソン
の有無,転帰,転院先地域,患者・家族の居住地で
あり,これらを独立変数として受診の有無を目的変
数としたロジスティック回帰分析では,(低い)年齢と
(近い)居住地であった〔odds ratio95%信頼区間)は
それぞれ,0.9360.887 0.987),7.361.29 42.0)〕。
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.5 relationships of patient age and outcome to transferred institute.
reha: facilities for rehabilitation, Ns: institute with neurosurgical depart -
ment, general: general hospital without neurosurgical department, FVPt:
facilities for vegetative patients, yo: years old.
glasgow outcome scale: gr/mD
sD
Vs
unknown
sD*: mobile
bed-bound
minimally conscious state
gr: good recovery, mD: moderate disability, sD: severe disability, Vs:
vegetative state.

Page 8
78
─────────────── 考  察
当施設の年間救急入院患者の約 6 割は二次医療圏
内から搬入されているが,今回検討した頭部外傷
は約 6 割が圏外から搬入されていた。一方,2009
に千葉県が実施した 1 ヵ月間の県内全救急搬送調査
データの分析結果(千葉県医療整備課から元データを
借用)によれば,他の県内 8 救命センター(当時,
2013 4 月現在では当施設を含めて 10 ヵ所となっ
ている)では頭部外傷患者のほとんどが同一医療圏内
からの搬入で中等症・軽症例が中心であった。当施
設で圏外からの頭部外傷(特に重症)の搬入が多い理
由は,① 当施設が,県内人口の 60%以上が集中する
県北西部の 3 つの 2 次医療圏(東葛北部,東葛南部,
千葉)内にあること,② 隣接地域の頭部外傷受入れ
体制が十分でないこと(東葛南部地域および救命セン
ターがない 2 つの医療圏),③ 当施設が県内全域を
対象とした千葉県の三次救急医療センターであるこ
と,の 3 点にある。このように地理的に離れた地域
に居住する患者が多い場合,一定地域内で完結する
地域連携パスモデルは成立しない。この地域完結型
連携パスモデルの問題点は脳卒中連携パス構築の過
程ですでに認識されている 6)が,広域対象の救命セ
ンターへ搬送されることが多い非軽症の頭部外傷
は,別の仕組みが必要であることは明らかである。
別の仕組みとは,診療の継続と生活期の支援に必要
な患者情報を患者の手元に蓄積しつつ多方面から活
用する仕組みであり,これまでの連携体制における
情報(=患者の外に位置し情報共有に力点を置く情
報)とは異なるものである。
ミニモデル非適用の転院例,とくに転帰不良高齢
*の多くが一般病院へ転院していたことは,急性期
治療から直接,維持期ケアに移行したことにほかな
らない。転院時期(2 ヵ月前後)からみると結果的に
やむを得ない場合が多いと考えられるが,患者がリ
ハを受ける機会は奪われている。その理由は,医療
環境・制度からみると,頭部外傷の重度障害例を
受け入れるリハ病床(回復期リハ病床を含む)が少な
いこと,および転院時期等の制約があることであろ
う。一部地域のミニモデル非適用患者の半数が当該
医療圏外の医療施設へ転院していたことも同様の背
景因子の影響が大きいと考えられる。千葉県内の回
復期リハ病床数(人口 10 万対)は,全都道府県の平均
に遠く及ばず下から 2 番目(2011 年末の統計データ)
であり 5),千葉県内各 2 次医療圏間の格差も著しく,
東葛南部以外は全国平均レベルに及ばない。現在,
千葉県内では回復期リハ病床数が増えつつあるが,現
在は「頭部外傷の患者を受入れる回復期リハ施設」
は少ない。そのような施設の増加のためには,かつ
て富田ら 13)が行ったようにリハ施設スタッフへの積
極的な教育的サポートが有効であり,さらに頭部外
傷を「脳卒中における連携体制」に組み込んで行くこ
とが早道であろう。一方,患者側の因子として重要
なのは,今回の結果からみても,転帰不良例,とく
に転帰 MCSVS 例では急性期病院での入院期間が
長いこと,そして,回復する場合にも時間を要する
ことである。“ The Multi-Society Task Force on
PVS”の報告 12)では,重症頭部外傷 1 ヵ月の時点
VS であった患者の 52%が 12 ヵ月後には意識回
復する(GR 7%,MD 17%,SD 28%)が,40 歳以上
の患者ではそのチャンスが少ないとしている。脳卒
中地域連携パスにおいて,重度障害例にリハの機会
を提供すべきことが強調されている 2,8)。しかし,回
復のチャンスが少ない,あるいは回復に時間を要し
て長期入院が予想される頭部外傷の(高齢者を含
む)転帰不良患者に対して,回復期リハ施設が広い適
用基準を実践するのは現状では困難であり,救命セ
ンター(急性期病院)としても,現在の転院時期等の
制約のなかで,そのような患者を回復期リハ施設へ
転院依頼する優先順位は低くせざるを得ない。人口
の高齢化に伴って,本稿でいう転帰不良高齢者*の数
は増加していると推測される 10)。頭部外傷の高齢
者の長期的転帰に関する過去の報告をみると,分析
対象となった高齢者の実数は多いとは言えない 3,12)
超高齢化社会に突入した日本においてこそ,回復期
リハ施設が増加するであろうここ数年内に,高齢者
の長期的転帰に関するエビデンスレベルの高い知見
を提示する必要がある。そこでは従来の二分法(GR ⁄
MDSD ⁄ VS ⁄ Dead)に加えて,SDを細分化した
転帰(例えば,本稿で示した MB 以上の回復)に関す
る予後予測も重要となる。それらの知見は,急性期
病院からの転院先(回復期リハ施設,または維持期ケ
ア施設)を適切に決める資料のひとつとなり得ると考
えられる。
神経外傷 Vol.37 2014

Page 9
79
転院先の地理的条件に関しては,ミニモデルの回
復期リハ 3 施設の地理的条件に合致した患者がミニ
モデルの適用となったこと,および患者の長期フォ
ローアップの結果からみて,急性期治療の転院先
は居住地に近い回復期リハ施設を選択すべきと考え
られる。そして,その後も同じ施設が地域生活期に
おける患者の継続的支援を行うのがよいと思われる。
脳卒中地域連携においても,「通院手段を検討した上
で地域ごとの医療機関の回復期病床へ(患者を)誘導
することが必要である」と述べられている 7)。しか
し,当施設で 1 2 のフォローアップができ
た一部の患者・家族(主に高次脳機能障害患者)から
は,回復期リハ施設退院後に通院先がなくなり,他
の支援もなく困惑している実情が明らかとなってい
る。現在の診療報酬制度・役割分担で,回復期リハ施
設に一定期間の診療終了,長期にわたる患者への
関わりを期待するのは難しい。千葉県では,2011
年,千葉リハセンターに高次脳機能障害支援セン
ターが開設され,アクセスすれば支援を受けられる
仕組みが動き出している。しかし,対象は,頭部外
の患者の一部に限られている。脳外傷による
遺障害は,医療・介護・保健・福祉等の継続的関わり
と支援が必要な場合が少なくない。リハビリの分野
でその試みが報告されているコーディネーター制
1)は,このような患者・家族に対して有効に機能す
る可能性がある。現在の諸制度のなかでは難しいが,
「責任を持って継続的に患者・家族に関わる人」が必
要である。今回試行したミニモデルのように,救命
センターがその役割を担うのは,利点はあるものの
継続が困難であり適切ではない。
実際の冊子発行率が全体として 38%にとどまった
原因の第一は,非連携病院・施設への転院患者(=ミ
ニモデル対象外)に対して積極的な冊子発行が行われ
なかったことである。その理由は,冊子発行の手続
きが(多忙な診療を担う医師にとって)大きな負担と
なったことと推測される。原因の第二は短期入院で
あり,その他の原因としては,家族・キーパーソン
の不在,脳外科以外の主診療科による漏れ等であっ
た。よって,救命センターを起点とした頭部外傷
者への支援ミニモデルを,今回の方法のまま拡大す
るのは困難である。一方,「頭部外傷ファイル」は接
着パスであるとともに情報共有 8)・情報保存ツールで
あり,「頭部外傷・資料」は情報提供ツールであった。
対象患者が多くなれば,前者の電子化は必須であり,
診療情報の電子化保存とネットワークによる情報共
有が進めばその意義は失われる。しかし,紙媒体の
情報保存ツールは循環型連携パスで有用 9)とされる
ように,高次脳機能障害患者では,時間を経ても記
録が本人・家族の手元に残ることに意義がある。現
時点で救命センターの救急医・脳外科医ができるこ
と,努力すべきことは,さまざまな媒体を利用して
患者・家族へ諸情報を提供することである。
リハビリ施設の整備が最も遅れていた東京の北多
摩南部医療圏において,富田らは医療機関と行政の
協力により地域完結型の脳卒中診療態勢を構築した
13),千葉県でも千葉県共用地域医療連携パスシス
テムは行政と県医師会,関連病院の協力のもとでそ
の構築・運用が進んでいる。今回の試行結果からみ
ても,頭部外傷患者,とくに本稿で述べた転帰不良
高齢者*を含む患者を対象とする独立した連携・支援
の仕組みを作るのは難しいと思われるが,脳卒中連
携パスで構築された病病・病診連携や他機関との協力
の実績は,今後,そのような仕組み作りの基盤とな
ると考えられる。
本研究は,千葉県千葉リハビリテーションセンター,医
療法人社団保健会東京湾岸リハビリテーション病院,医
療法人社団愛友会津田沼中央総合病院,千葉県救急医療
センターの協力のもとに行われました。各施設の医師,
看護師,リハビリテーション科,医療ソーシャルワー
カー,連携室等のスタッフに感謝いたします。また,本
研究は,下記の委員を含む交通科学協議会高次脳機能障
害研究会において,筆者らが立案し担当した研究です:
慈恵医科大学名誉教授・中村紀夫,千葉大学名誉教授・
山浦晶,元武蔵野赤十字病院院長・富田博樹,日本大学
教授・片山容一,慈恵医科大学教授・小川武希,昭和大学
教授・有賀徹,昭和大学救急医学・中村俊介。
ご指導をいただいた東京医科歯科大学名誉教授・故平川
公義先生に深謝するとともに,先生のご冥福をお祈りい
たします。
本研究は,三井住友海上福祉財団,日本損害保険協会よ
り研究助成を受けました。
1) 旭俊臣:認知症リハビィテーションにおける地域連携シ
ステムの取り組み. Jpn J Rehabil Med 49: 123-126, 2012.
神経外傷 Vol.37 2014

Page 10
80
2) 橋本洋一郎, 渡邊進, 平田好文:脳卒中の地域完結型診療
システムと連携パス. 地域連携 network 1: 36-48, 2008.
3Hukkelhoven CWP, Steyerberg EW, Rampen AJJ, et al:
Patient age and outcome following severe traumatic brain
injury: an analysis of 5600 patients. J Neurosurg 99: 666-673,
2003.
4Jennett B, Adams JH, Murray LS, et al: Neuropathology in
vegetative and severely disabled patients after head injury.
Neurology 56: 486-490, 2001.
5) 回復期リハビリテーション病棟協会
http://www.rehabili.jp/
6) 古口徳雄, 近藤国嗣:千葉県共用脳卒中地域医療連携パ
. リハビリテーションと地域連携・地域包括ケア,
本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会・
リハビリテーション連携パス策定委員会(編), 診断と治
療社, 東京, 2013, pp138-142.
7) 三品雅洋, 近藤国嗣:地域脳卒中連携パスの現状と今後
の課題. 医学のあゆみ 2315: 570-575, 2009.
8) 長束一行:急性期―回復期―維持期の情報共有ツール.
治療(増刊号)90: 850-857, 2008.
9) 中川原譲二:循環型地域連携クリティカルパスとその意
. リハビリテーションと地域連携・地域包括ケア,
本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会・
リハビリテーション連携パス策定委員会(編), 診断と治
療社, 東京, 2013, pp45-49.
10) 中村弘, 宮田昭宏, 八巻智宏, ほか:頭部外傷の高齢化に
伴う高齢者転帰不良例増加の実態とその問題点. 神経
外傷 30: 120-126, 2007.
11) 大橋正洋, 橋本圭司, 岡本隆嗣, ほか:高次脳機能障害を
持つ脳外傷患者への専門病院におけるリハビリテー
ション. Jpn J Rehabil Med 4111: 751-757, 2004.
12The Multi-Society Task Force on PVS: Medical aspects of the
persistent vegetative state. N Engl J Med 2: 1572-1579, 1994.
13) 富田博樹:救急医療を支える医療と行政連携態勢の構築.
日臨救医雑誌 13: 49-59, 2010.
中村 弘
(千葉県済生会習志野病院 脳神経外科
〒275-0006 千葉県習志野市泉町 1-1-1
神経外傷 Vol.37 2014

Page 11
神経外傷 Vol.37 2014
現場の判断と段階的競技復帰に関する
問題点:高校ラグビー選手への脳振盪
調査結果より
佐藤 晴彦 1
外山 幸正 2
中村 夫左央 3
1 聖隷三方原病院 脳神経外科
2 とやま整形外科クリニック
3 市立柏原病院 整形外科
Key words :
Sport-related concussion
Questionnaire
High school rugby player
Received August 5, 2014
Accepted September 9, 2014
Neurotraumatology 37: 8187, 2014
Concussion diagnosis on the field and
observance of GRTP: Results of
questionnaires on concussion to
high school rugby players
HaRuHiko SaTo1, YukimaSa ToYama2, FuSao NakamuRa3
1Department of Neurosurgery, Seirei Mikatahara General Hospital
2Toyama Orthopedic Clinic
3Department of Orthopedics, Kashiwara Municipal Hospital
Background: Sport-related concussion should be taken more
seriously. Repetitive concussion in a short period is likely
to worsen a player's injury. To immediately remove players
who have concussion, or are suspected of having concus -
sion, is the safest way to protect them from a more serious
state. Graduated Return to Play (GRTP) after having concus -
sion is essential.
Objective: To ascertain the level of understanding of concus -
sion among high school rugby players.
Method: We investigated with a questionnaire on concus -
sion to 396 high school rugby players who participated in a
Tokai District tournament in march 2013. The questionnaire
contained the following: knowledge of symptoms and signs
of concussion (S&S); knowledge of GRTP; personal experi-
ence of concussion (Experience); participation in sports
concussion lectures (Lecture); observance of GRTP; and
reasons for the non-observance of GRTP. The S&S and GRTP
were taken from the international Rugby Board Concussion
Guidelines.
Results: The players knew around 70% of S&S and GRTP
procedures. Experience, Lecture, GRTP observance, and
non-observance were 39%, 56%, 34%, and 38% respectively.
The most common reasons for non-observance of GRTP were
ignorance of its importance and not knowing of it. The most
common S&S they had were dizziness, poor attention, loss
of consciousness, and headache (66%, 59%, 48%, and 38%
respectively). Players were less aware of inappropriate
playing behavior, irritability, and feeling nervous or anxious
as symptoms of concussion.
Conclusion: The results of this study showed the high
school rugby players had some knowledge of concussion,
but it wasn't sufficient and they didn't all complete GRTP.
Recognition of concussion, removing the players from the
field, and observance of GRTP prevent further injuries.
Teachers, coaches, and others concerned with rugby, as
well as the players themselves, should know about and
practice correct concussion management.
81
原  著
神経外傷 37201481 87
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 12
82
─────────────── はじめに
スポーツに関連する脳振盪は何度も繰り返すこと
により重症化することが問題である。その防止対策
として選手が脳振盪への理解を深めることは重要で
ある。今回高校ラグビー選手に対して脳振盪に関す
る質問調査を行い,脳振盪の症状や受傷の復帰方
法への理解度およびその実践について興味深い結果
が得られた。今後の安全対策活動の参考になると思
われたので報告する。
────────────── 対象・方法
対象は第 17 回東海地区高校選抜大会(平成 24 3
1617, 20 日)における愛知・岐阜・静岡・三重各県
の代表 4 校,合計 16 校の出場登録選手 396 名であ
る。方法は A3 1 枚の質問表(Fig.1)を作成,初戦
前日に配布し翌日回収した。質問項目は,学年,ラ
グビー競技歴,脳振盪の症状の認識,段階的復帰方
法(GRTP: Graduated Return to Play)の知識,実際に
感じた脳振盪の症状,脳振盪の受傷歴,脳振盪の説
明を受けた経験,脳振盪受傷GRTP 遵守,GRTP
を遵守しなかった場合はその理由,などである。脳
振盪の症状は International Rugby Board Concussion
GuidelinesIRBCGs6)から主だった 9 項目を選び,さ
らに Maddocks の質問 3)を改変した 4 項目を追加し
13 項目とし,GRTP の内容を問う質問は IRBCGs
を参考にて 6 項目作成した。
─────────────── 結  果
学年は 1 年生 181 名(46%),2年生 195 名(49%),
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.1 the questionnaire (written in japanese).

Page 13
83
不明 20 名(5%)であった。ラグビーの競技歴は 1
105 名(27%),2 131 名(33%),36 年(24%),7
年以上(11%)であった(平均 2.9 年,中央値 2 年)。
脳振盪の症状は 10 項目で 7 割以上,選手に認識さ
れていた。認識が低かった項目は,興奮する・怒りや
すくなる・不安になる(37%),不適切なプレーをする
45%),霧の中にいる感じ(57%)であった(Fig.2)。
GRTP の内容を問う質問では概ね 7 割以上が正し
く理解されていた(Fig.3)。
過去に脳振盪の症状 13 項目を経験したのは 156
39%)であり,脳振盪の受傷歴があるとみなした。
その時に感じた症状は多い順に,ふらつく(66%),
ぼんやりする(59%),意識がなくなった(48%),頭
痛(38%),反応が遅くなる(32%)であった。この 1
年間に限っては 56 名(14%)の選手が脳振盪を経験し
ていた(Fig.4)。
過去に脳振盪の説明を受けた経験があると答えた
のは 223 名(56%)であった(Fig.5)。
脳振盪受傷後に GRTP を守って復帰したのは 53
名(34%),守らなかったのは 59 名(38%),未回答は
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.2 items about symptoms and signs of concussion and a graph showing the results.
the items from one to nine are taken from the international rugby board concussion
guidelines. the items from 10 to 13 are taken from maddocks' questions which were
revised by japan rugby Football union.
Fig.3 Questions about graduated return to Play and a graph showing the results.
c; correct, i; incorrect

Page 14
84
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.4 experience of having concussion and the frequencies of players feeling s&s.
Fig.5 experience of being lectured about concussion.

Page 15
85
44 名(28%)であった。GRTP を守らなかった理由
は,大した事ないと思ったが 42 名,知らなかったが
27 名,大事な試合だったからが 6 名,指導者が言わ
なかったが 2 名であった。この中で脳振盪の説明を
受けた経験があると答えていた選手は順に 20
48%),21 名(78%),4 名(33%)であった(Fig.6)。
─────────────── 考  察
2008 年の第 3 回脳振盪国際会議において合意声
4)が出されたIRB では 2011 5 月に他競技団
体に先駆けて IRB Concussion Guidelines をホーム
ページ 2)上に掲示した。これは同意声明の内容を基
にラグビーの競技特性に合わせて脳振盪の取り扱い
を示したものである。2011 年の日本語訳は日本ラグ
ビーフットボール協会(日本協会)のホームページ 7)
でみられるが,以来今日まで最新の知識を取り入れ
て適宜更新されている。
日本協会では,毎年 1 月から始まる伝達式講習会
を利用し,2011 年より 2013 年までの 3 年間は脳振
盪の知識と IRBCGs の普及に努めてきた。この講習
では最終段階でチーム代表者から各チーム選手に講
習内容が伝達され,講習受講後に新年度の選手登録
ができる仕組みになっている 9)
調査結果では一部の項目を除き脳振盪症状の 7
以上が正しく認識されていた。同年度に行った全国
高校ラグビー大会での調査結果 10)や,同年度の全国
高専大会,全国ジュニア大会における調査結果でも
同様の傾向が示され,GRTP についても同様であっ
た(Fig.7)。GRTP の内容はラグビー独自であること
から,ラグビーの競技環境に身を置いた場合,脳振
盪に関しては一定量の知識が身につくと考えられる。
この点は講習会などの成果とも解釈できるが,脳振
盪の受傷経験を通して知り得た知識である可能性も
ある。脳振盪の症状は多彩であり SCAT2 4)
SCAT3 6)には 20 以上あげられている。今回認識が
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.6 grtP observance and the reasons for non-observance of grtP.
NA; no answer available, grtP; grtP procedures

Page 16
86
低かった,興奮する・怒りやすくなる・不安になる,
不適切なプレーをする,霧の中にいる感じがする,
を含めさらなる知識普及は必要である。
本調査では 156 名(39%)の選手が脳振盪の受傷歴
があり,この 1 年間では 56 名(14%)が脳振盪になっ
ていた。各選手が週 56 日試合と練習に参加してい
ると仮定すると 14%の数字は 0.971.161000
athlete-exposure)となり,米国高校アメリカンフッ
トボール選手の 0.470.94 8)を上回る数字である。
但し Ireland 20 歳以下の競技レベルがやや高い選
手も含むラグビー選手を対象にした調査 1)では 48
が脳振盪経験者との報告もある。本調査と同年度に
実施した全国高校ラグビーフットボール大会(花園大
会)の調査 10)では 45%の選手が脳振盪の症状を感じ
ており,競技レベルと競技年数が増すことで受傷割
合が増えることになる。
脳振盪受傷後に GRTP を守って復帰したのは 156
人中 53 人(34%)にとどまり,守らなかったと答えた
のは 59 人(38%)に上った。守らなかった理由として
は,大したことないと思った,大事な試合だった,
などがあり,これからは知識としては知っていても
実践との間に隔たりがあることが示された。脳振盪
の症状は経過と共に,時には急激に改善するため,
その判断は難しく判断基準も曖昧になる危険性があ
る。2 回目の受傷は初回より 10 日以内に多い事実 5)
もあることから,症状が回復したようにみえても短
期間では次の衝撃に耐えられる程度の強さは得られ
ていない,などの説明をして GRTP の遵守を言い続
ける必要がある。
また守らなかった理由として,知らなかった,が
27 名を数え,この内 21 名(78%)は脳振盪の説明を
受けたことがあると答えていた。この点に関しては
本調査の限界を感じるが,今回の調査は IRBCGs
1 年半を経過し,2012 年の伝達講習会を経て実
施したものであり,各選手とも最低 1 回は脳振盪の
説明を受けていることになる。指導者が止めなかっ
た,という理由も含めると,安全対策において高校
の先生およびコーチなど指導者側の果たす役割は小
さくなく,複数回の説明機会があっても良いと思わ
れた。
選手自身が脳振盪への理解を深めることが重要と
考え,今回は調査表を読み進めることで脳振盪の知
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.7 the results of the questionnaire about s&s and grtP among four groups.
each item and question is the same as this study.
the left bar is the result from this study, the left center bar is the result from the National
High school rugby Football tournament (aged between 16 and 18), the right center bar is
the result from the National technical college rugby Football tournament (aged between
16 and 20), and the right bar is the result from the National junior rugby Football
tournament (aged between 13 and 15).
the result shows the same recognition ratio among the four groups regardless of age.

Page 17
87
識が得られるように工夫を施した。選手からは質問
を通して脳振盪の知識が深まったとのコメントがみ
られ,ある一定の成果はあったと感じられた。
復帰に際して GRTP を守ることは重症化防止対策
として特に重要である。高校生世代では脳振盪の症
状は自覚できたとしても,復帰に関しての自主的な
判断は難しく,選手の相談相手となる管理者側はよ
り大きな役割を担うことになる。選手の将来を見据
えた視点で選手を捉え競技環境を整えることが必要
であろう。
─────────────── おわりに
ラグビーは脳振盪への取り組みが進んでいるス
ポーツ競技団体の一つであるが,4 割から 5 割近く
の高校ラグビー選手が脳振盪を経験していた。脳振
盪からの重症化を防ぐためには現場での判断に始ま
りその後の段階的復帰方法の実践につなげることが
重要である。高校生世代への知識の普及は当然なが
ら,この世代を守るためには,周囲の関係者を含め
て脳振盪の判断と GRTP の実践ができる環境を整え
るよう,安全対策を継続する必要がある。
1Baker JF, Devitt BM, Green J, et al: Concussion among under
20 rugby union players in Ireland: incidence, attitudes and
knowledge. Ir J Med Sci 182: 121-125, 2013.
2http://www.irb.com
3Maddocks DL, Dicker GD, Saling MM: The assessment of
orientation following concussion in athletes. Clin J Sports
Med 5: 32-33, 1995.
4McCrory P, Meeuwisse W, Johnston K, et al: Consensus
statement on Concussion in Sport the 3rd international
conference on concussion in sport held in Zurich, November
2008. Br J Sports Med 43: i76-i90, 2009.
5McCrea M, Guskiewicz K, Randolph C, et al: Effect of a
symptom-free waiting period on clinical outcome and risk of
reinjury after sport-related concussion. Neurosurgery 65 (5):
876-883, 2009.
6McCrory P, Meeuwisse WH, Aubry M, et al: Consensus
statement on Concussion in Sport the 4th international
conference on concussion in sport held in Zurich, November
2012. Br J Sports Med 47: 250-258, 2013.
7)(公財)日本ラグビーフットボール協会ホームページ 
http://rugby-japan.jp/about/committee/safe/concussion2012/
guideline/guideline.pdf
8Rosenthal JA, Foraker RE, Collins CL, et al: National high
school athlete concussion rates from 2005-2006 to 2011-
2012. Am J Sports Med 42 (7): 1710-1715, 2014.
9) 佐藤晴彦, 古谷正博, 中村明彦, ほか:ラグビー競技にお
ける脳振盪への取り組み. 日本臨床スポーツ学会誌 21
(2): 355-357, 2013.
10) 佐藤晴彦:熱戦の跡 第 93 回全国高等学校ラグビーフッ
トボール大会記念誌, 2014, pp42-43.
佐藤 晴彦
(聖隷三方原病院 脳神経外科)
〒433-8558 静岡県浜松市北区三方原町 3453
神経外傷 Vol.37 2014

Page 18
神経外傷 Vol.37 2014
徳島県山間部救急病院における
頭部外傷の特徴
山本 陽子 1
岡崎 敏之 1
依田 啓司 1
永廣 信治 2
1 徳島県立三好病院 脳神経外科
2 徳島大学病院 脳神経外科
Key words :
Head injury
Fall
Mountainous settlements
Data bank
Received July 2, 2014
Accepted September 26, 2014
Neurotraumatology 37: 8895, 2014
characteristics of the head injury
at the emergency hospital
of the mountain area
in tokushima prefecture, japan
yoko yAmAmoto1, tosHiyuki okAzAki1, keisHi yoDA1,
sHiNji NAgAHiro2
1Department of Neurosurgery, Tokushima Prefectural
Miyoshi Hospital
2Department of Neurosurgery, Tokushima University
Background: the previous data of japan Neurotrauma Data
bank collecting head injury was almost enrolled in the urban
area. However, head injuries also happen in the mountain
area. we analyzed the patients in our hospital located in
mountain area in tokushima prefecture, japan to find the
characteristics of the head injury in mountain area.
Methods: From April 2009 to september 2013, 285 patients
with head injury were hospitalized and 10 patients with
head injury who were already cardio pulmonary arrest on
arrival were transported in our hospital. we researched all
these patients and examined characteristics of the patients
and mechanism of the injury.
Results: there were 190 men and 105 women, and the mean
age was 65.7 years. the head injuries were caused by fall
(35.6%), followed by tumble (29.2%) and traffic accident
(26.8%). the most frequent cause in the falls was mountain
slope (23.8%), followed by stairs (20.0%) and cliff (13.3%).
the fall-rerated head injuries sometimes included subarach-
noid hemorrhage, acute subdural hematoma and brain con -
tusion at once. the most common trauma-related complica-
tion about the fall injury was the spinal injury and followed
by the lung injury. the most common fatal case of the fall
injuries was acute subdural hematoma. Physiological abnor-
mality on arrival, glasgow coma scale score ≦8, diabetes
mellitus, dialysis, and anticoagulant or antiplatelet drug
were significant factors of the outcome (p<0.05).
Conclusion: in the mountain area of the country, the elder -
lies frequently got injured with head and the most common
cause of the head injury was fall. especially, the fall from
mountain slope and cliff were very dangerous and these
injuries could become the high energy injury for the elderly.
88
─────────────── はじめに
日本頭部外傷データバンク(Japan Neurotrauma
Data Bank ; JNTDB)【プロジェクト 2009】によると,
本邦では高齢者の転倒・転落による頭部外傷の発症頻
度が増加している 11)。特に 75 歳以上の高齢者は有
意な機能的転帰不良因子であり 22),高齢者の脚立や
階段からの転落,運動器不安定症による転倒が問題
原  著
神経外傷 37201488 95
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 19
89
視されている。しかし,これらはほとんどが都市部
のデータであり,地方都市や山間地域におけるデー
タは少ない。
当院は徳島県西部,吉野川の上流に位置する県西
部唯一の 3 次救急医療機関であり,年間救急車受け
入れ台数は 2,025 台,救急患者数は 7,306 人(H24
度)である。この地域は高齢者が多く,高齢化率は
37.3%(H24 年,徳島県三好市),当院脳神経外科に
おける 65 歳以上の高齢者の入院患者数は 74.2%であ
り,特に 75 歳以上は 56.8%を占める(H24 年度)。
今回我々は,当院の頭部外傷症例を検討し,山間地
域における頭部外傷の実態を把握することとした。
神経外傷 Vol.37 2014
Table 1 summary of patient characteristics
no. of cases
295
mean age
65.7(0~101)(years old
% male
64.4(190 295)(%
medical history
No.
%
diabetes mellitus
45
15.2
cancer
21
7.1
dialysis
3
1
hepatitisvirusB, C, alcoholic
21
7.1
anticoaglant or antiplatelet drug
61
20.6
mean time from injury to hospitaldirect
65.8(5~344)(min
consultation means
No.
%
direct
203
68.8
introduction
28
9.5
tolerate or see
35
11.9
missing at onset time
29
9.8
Fig.1 Age distribution and male-female ratio.
mean time from injury to hospital is set up in 203 cases who visited hospital immediately
after injury by the ambulance or walk in.

Page 20
90
───────────────
1〕対象症例
2009 4 月から 2013 9 月までの 4 6 ヵ月間
に,頭部外傷の病名で当院脳神経外科において入院
加療を行った 285 例と,来院時心肺停止(Cardio
pulmonary arrest: CPA)症例 10 例を対象症例とした。
なお,観察期間中に当院脳神経外科で入院した全患
者数は 2,259 人であり,頭部外傷は 13%を占めた。
2〕検討項目
年齢,性別,受傷から来院までの時間,内服,既
往,受傷機転,頭部外傷の種類,合併外傷,治療法,
死因,転帰について検討した。
3〕統計学的検討
統計ソフトは Stat View-J5.0 を使用し,解析方法は
Student t-test を用いて検定し,p<0.05 を有意とした。
─────────────── 結  果
1〕患者背景因子(Table 1)
平均年齢は 65.7 歳(0101 歳),性別は男性 190
例,女性 105 例であり高齢者,男性が多く,一峰性
分布を示していた(Fig.1)。受傷から来院までの時間
は,受傷後すぐに自家用車や救急車で受診したもの
203 例(68.8%)あり,これらの症例で平均 65.8
要していた。中には,崖下のためレスキュー隊が出
動したものや,山間部奥地であり搬送に 5 時間以上
かかっているものもあった。また,紹介が 28
9.5%),自宅で様子をみてから来院した症例が 35
例(11.9%)であり,発症時間がわからない症例も 29
例(9.8%)いた。
抗血小板薬もしくは抗凝固薬内服患者は 61
21%)認めた。既往としては担癌患者 21 例(7%),
透析患者 3 例(1%),BC 型肝炎,アルコール性肝
硬変などの肝疾患 21 例(7%),糖尿病 45 例(15%)
であった。
2〕外傷機転(Table 2)
外傷機転は転落が 35.6%と最も多く,次いで転倒
29.2%,交通事故が 26.8%であった。転落場所と
しては山の斜面からが最も多く,崖からの転落や,
道路から用水路への転落,畑の溝への転落など山や
畑,河原での転落が半数を占めた。屋内や街では階
段や梯子・脚立からの転落が多く認められた。また,
転落,転倒,交通事故の平均年齢はそれぞれ 68.9
歳,75.2 歳,54.6 歳で 3 群間には有意差が認められ
た(p<0.05)。転倒は高齢者に多く,交通事故は若年
者に多い傾向がみられた。
3〕頭部外傷の種類(Fig.2)
来院時の頭部 CT,もしくは MRI 上診断された頭
部外傷の種類の結果を Fig.2 に示す。転落による頭
部外傷では急性硬膜下血腫,外傷性くも膜下出血,
脳挫傷,頭蓋骨骨折が多く認められた。一方,転倒
では急性硬膜下血腫が多く,交通事故では外傷性く
神経外傷 Vol.37 2014
mechanism of injury
No.
%
fall
105
35.6
tumble
86
29.2
traffic accident
79
26.8
sport
6
2
others
19
6.4
mean age of each mechanism
years old
fall
68.9(2~90)
tumble
75.2(11~101)
traffic accident
54.6(0~88)
cause of fall
No.
%
mountain slope
25
23.8
cliff
14
13.3
canal or drain
11
10.5
riverside
3
2.9
stairs
21
20
ladder or stepladder
12
11.4
roof
4
3.8
car
3
2.9
bed
3
2.9
others
9
8.5
Table 2 mechanism of injury and cause of falls
: p<0.05

Page 21
91
も膜下出血が多かった。また,1 症例で 2 種類以上
の頭部外傷所見をもつ症例が多く,転落で 45.7%,
転倒で 32.5%,交通事故で 31.6%の症例が複数の頭
部外傷所見を有していた。特に転落では急性硬膜下
血腫と脳挫傷と外傷性くも膜下出血を同時に認める
症例が多く認められた。
4〕合併外傷(Fig.3)
頭部以外の合併外傷の結果を Fig.3 に示す。転落
では脊椎・脊髄損傷,胸部外傷の合併が多く認めら
れた。一方,転倒では合併外傷そのものが少なく,
交通事故における合併外傷は,ほとんどが胸部外傷
であった。
5〕治療方法
何らかの手術を必要としたものは 10.2%であり,
ほとんどが保存的治療であった。手術の内訳は開頭
23 例(7.8%),穿頭 5 例(1.7%),開頭+穿頭 2
0.7%)であった。入院期間の中央値は 10 日,平均
入院日数は 19 日であり,経過観察入院などの軽症例
が多いが,一部重症例により平均日数が長くなって
いた(入院当日を 1 日として計算)。
6〕死因,転帰
転帰は自宅退院 59.7%,転院 29.2%,転科 3%,死
8.1%であった(来院時 CPA含む 295 例)。来院時
CPAを除いた検討では 285 例中 14 例が死亡した
4.9%)。死因は急性硬膜下血腫が 8 例であり最も多
く,外傷機転は転落が多かった(Fig.4)。また,この
285 例の転帰について,予後因子をそれぞれ死亡と生
存の 2 群に分けて比較検討すると,来院時生理学的異
常のあるもの(呼吸数 10 分未満または 30 分以
上,呼吸音の左右差,異常呼吸,脈拍数 120 分以
上または 50 分未満,収縮期血圧 90 mmHg 未満ま
たは 200 mmHg 以上,SpO2; 90%未満のいずれかが
認められるもの),来院時 GCS 8 点以下,糖尿病患
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.2 Head injury of each injury mechanism.
AeDH; Acute epidural Hematoma, AsDH; Acute subdural Hematoma, sAH; traumatic subarachnoid
Hemorrhage, iH; intracerebral Hematoma, csF; cerebrospinal fluid, DAi; Diffuse Axonal injury

Page 22
92
者,透析患者,抗血小板薬もしくは抗凝固薬を内服し
ているもので有意に死亡率が高かった。年齢や発症か
ら来院までの時間,受傷前のアルコール摂取の有無で
は有意差は認められなかった(Table 3)。
一方,CPA症例は全例死亡した。死因としては胸
部外傷と緊張性気脳症が多く,特に交通事故による
胸部外傷が死因として多く認められた(Fig.4)。
退院時 mRS の比較では,転落,交通事故では死
亡率が高く,転倒では mRS 4 以上のものが多い傾向
がみられた(Fig.5)。
─────────────── 考  察
頭部外傷の外傷機転は,国により,地域により,
時代により異なる 4,5,15,18,20)。本邦では,以前は交通
外傷が最も多かったが,JNTDB【プロジェクト 2009
によると近年では転倒・転落が交通外傷を上回ってい
る(転倒・転落:47%,交通外傷:43%)。また地域
特性について高木ら 18)は,熊本県頭部外傷データバ
ンク(K-TCDB)では JNTDB と比較して転倒・転落が
多かったと報告している。一方,当院は本邦の中で
も人口の少ない徳島県(2013 9 月の人口:770,144
人,全国 44 位)の山間地区に位置しており,K-TCDB
の対象地区とも環境が異なる。当院のデータでは圧
倒的に転倒・転落が多く(転倒・転落:65%,交通外
傷:27%),その中でも転落が多いということが特徴
的であった。更に,転落機転として崖や山の斜面,
畑や道路の側溝への転落が多く認められたことが本
検討の特筆すべき特徴といえる。転落機転について
のこれまでの報告を検討すると,海外都市部のデー
タでは自宅での転落が最も多く,次いで公共施設や
職場,街路やスポーツが多いと報告されている 1,19)
河内ら 13)の大分県都市部における軽症頭部外傷の
データでもそれと同様に屋内での受傷症例が多く,屋
外の場合は脚立からの転落が多いと報告している。都
市部ではこのように屋内での階段などからの転落や
屋外での脚立や梯子などからの転落が多いが,当院
のデータは異なっていた。この理由としては,1
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.3 trauma-related complication of each injury mechanism.
spine; spinal fracture or spinal cord injury, lung; pulmonary contusion or pneumothorax or hemothorax, rib; rib
fracture, scapula or sternum; scapula fracture or sternum fracture

Page 23
93
目に,この地区が山間地域で高齢者が多いこと,2
つ目に,当院が小児症例については軽症例のみの受
け入れとなっており小児症例が少ないこと,3 つ目
に,この地区が平家の落人伝説の残る秘境の隠れ里
を救急管轄地域として含んでいることや,急斜面に
集落があることで有名な国の重要伝統的建造物群保
存地区である落合集落をはじめ,斜面に建築された
家が多いといった地域特性を有していることが考え
られる。我々の地域における転落外傷はこのような
歴史的地理的背景が関与していると思われるが,こ
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.4 Fatal injury and mechanism of injury in the dead patients.
iH; intracerebral Hematoma, cPA; cardio pulmonary arrest, AsDH; Acute subdural Hematoma
aliven=271)
deathn=14)
p value
male
174(64.2%
9(64.3%
0.995
age>60)
193(71.2%
12(85.7%
0.241
high energy trauma
62(22.9%
4(28.6%
0.624
physiological abnormality
38(14.0%
6(42.9%
0.004
Glasgow Coma Scale score≦8
16(5.9%
10(71.4%
< 0.0001
diabetes mellitus
39(14.4%
5(35.7%
0.031
cancer
21(7.7%
0(0%
0.281
dialysis
2(0.7%
1(7.1%
0.022
hepatitis
19(7.0%
2(14.3%
0.311
anticoaglant or antiplatelet drug
53(19.6%
7(50.0%
0.006
time from injury to hospitaldirect
64.8(min
77.8(min
0.316
alcohol
36(13.3%
0(0%
0.146
Table 3 relation of the patient characteristics and outcome
significance of difference: p<0.05

Page 24
94
の地域に限らず全国の山間地域,農業地帯や棚田な
どでは同様のことが起こっていると推察される。
頭部外傷の原因として転落が多いことは先に述べた
通りだが,逆に転落による外傷部位として頭部が多く
約半数を占めるという報告もある 9,10)。特に,ビルな
どの高所からの墜落で頭部外傷や胸部外傷を受傷した
患者は死亡率が高く,高所であるほど死亡率が高い 3)
また,合併外傷は高齢者に多く,四肢骨折や臀部外
傷,頚椎外傷が多いという報告もある 2,12,19)。しかし
ながら合併外傷についての報告も屋内やビルにおける
転落の報告がほとんどであった。
一方,少数だが登山やスキーなど山における外傷
のデータでは,下肢,頭部,脊椎・脊髄損傷が多い
という報告がある 8,14)。今回の我々の調査でも転落
患者の合併外傷は胸部外傷と脊椎・脊髄損傷,四肢
骨折が多いことが特徴的であり,そのデータに類似
している。更に,Jacquot 8)は交通外傷と山での外
傷では重傷度や死亡率に差はないと述べており,当
院でのデータにおいて交通事故と転落で退院時 mRS
4 以上の割合や死亡率が変わりなかったことと合致
する。しかし,登山者やスキーヤーのデータとは異
なり本検討では圧倒的に高齢者が多く受傷状況も異
なる。登山客で起こりうる墜落に似た転落やスキー
などの加速のかかった転落と異なり,山間地域の高
齢者の転落は地面を長時間転がり落ちるような滑落
が多いと思われる。高齢者の山での受傷状況を推察
すると,まず斜面で足を滑らせて転倒することで四
肢の骨折,頭部外傷を受傷し,さらに斜面を滑落す
ることで全身の打撲,胸腰椎や鎖骨・肋骨の骨折を伴
い,最後に木や崖下に強打して止まる時に血気胸を
伴うような重症胸部外傷や脊椎・脊髄損傷を受傷する
ものと思われる。転倒時の衝撃と滑落による鈍的多
発外傷,止まるときの強打という一連の高エネル
ギー外傷を受けること,この外傷により急性硬膜下
血腫が多いこと,骨粗鬆症や抗血栓薬内服などの内
因的要因も加わり交通外傷と同等の重症度や死亡率
になったと思われる。
最後に,予後因子について考察を述べる。今回の
調査では,抗血小板薬もしくは抗凝固薬内服患者は
61 例(21%)であったが,これは,伊藤ら 7)のデータ
で虚血性脳血管障害発症前の抗血栓薬内服率が
17.6%と報告されていることに比較しても高率で
あった。内服率が高い理由は本検討において高齢者
の割合が高いことに起因していると思われ,高齢者
ほど心房細動の有病率が高いことや,高齢に伴う動
脈硬化の影響と考えられる。これまでの報告 6,16)
同様に当院のデータでも抗血小板薬や抗凝固薬を内
服している頭部外傷患者は非内服群よりも転帰不良
であったことから,入院後の拮抗薬投与や頻回の血
液検査による出血傾向のモニタリング,意識レベル
の確認,細かな CT チェックなどを行うべきと思わ
れる。また,内服患者への転倒・転落に対する注意
喚起が必要である。更に,これまで一般的に糖尿病
は頭部外傷の予後不良因子として報告されていない
が,今回の結果では糖尿病患者は有意に死亡率が高
かった。糖尿病に関連した創傷治癒の悪さや感染症
リスク,動脈硬化疾患の合併が多いことなどの関与
が示唆される。特に徳島県は糖尿病死亡率 1 位であ
り(2008 年~2012 年),さらに 2012 年の全国国民健
康・栄養調査(「糖尿病が強く疑われる人」が男性
15.2%,女性 8.7%)と比較しても,本検討における
糖尿病有病率は高い数値であった。このような地域
特性の中にも予後に影響する因子があり,日常診療
における糖尿病コントロールの重要性が示唆された。
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.5 mrs of each injury mechanism.
mrs; modified rankin scale

Page 25
95
また,今回の調査では受傷から来院までの時間によ
り転帰に有意差は認めなかったが,高齢者の独居問
題や山間地域から当院へのアクセスの悪さも改善す
る余地がある。徳島県では H24 10 月からドク
ターヘリが本格始動したばかりであるが,脳神経外
科疾患におけるドクターヘリの有用性はこれまでも
報告がある 17,21)。この地区のような山間地域ではド
クターヘリにより搬送時間が 1 時間以上短縮される
ため,今後の活躍が期待される。
─────────────── おわりに
徳島県山間部救急病院における頭部外傷症例を検
討した。今回示したデータは山間部地域の単独施設
におけるものではあるが,本邦頭部外傷の全貌の一
部であることは間違いない。高齢社会の昨今,転落
機転は様々であっても転落外傷は全国で増えており,
今後我々が防ぎ,治療すべき外傷の課題の一つとい
える。それぞれの地域における外傷機転の特徴を把
握したうえで診療にあたることは,時間の切迫した
忙しい外傷診療で多発外傷を見逃さない一助となり,
治療方針の決定や,今後の外傷予防啓蒙の観点から
も必要と考えられる。
1Pfortmueller CA, Kunz M, Lindner G, et al: Fall-related
emergency department admission: fall environment and
settings and related injury patterns in 6357 patients with
special emphasis on the elderly. Scientific World Journal 2014
(Mar 2): article ID 256519, 2014.
2Clayton JL, Harris MB, Weintraub SL, et al: Risk factors for
cervical spine injury. Injury 43 (4): 431-435, 2012.
3Dickinson A, Roberts M, Kumar A, et al: Falls from height:
injury and mortality. J R Army Med Corps 158 (2): 123-127,
2012.
4Fuller G, Pattani H, Yeoman P: The Nottingham Head Injury
Register: a survey of 1,276 adult cases of moderate and severe
traumatic brain injury in a British neurosurgery centre. JICS
12 (1): 29-36, 2011.
5Harvey LA, Close JC: Traumatic brain injury in older adults:
characteristics, causes and consequences. Injury 43 (11): 1821-
1826, 2012.
6Inamasu J, Nakatsukasa M, Kuramae T, et al: Influence of age
and anti-platelet/anti-coagulant use on the outcome of elderly
patients with fall-related traumatic intracranial hemorrhage.
Neurol Med Chir (Tokyo) 50 (12): 1051-1055, 2010.
7) 伊藤康幸, 光藤尚, 山本文夫, ほか:虚血性脳血管障害発
症前の抗血栓薬内服状況の検討. 臨床神経 51: 35-37,
2011.
8Jacquot C, Mongenot F, Payen JF, et al: Severe trauma
patients in a mountain area: an observational study. Ann Fr
Anesth Reanim 30 (10): 730-733, 2011.
9Jagnoor J, Keay L, Ganguli A, et al: Fall related injuries: a
retrospective medical review study in North India. Injury 43
(12): 1996-2000, 2012.
10Stevens JA, Rudd RA: Circumstances and contributing causes
of fall deaths among persons aged 65 and older: United States,
2010. J Am Geriatr Soc 62 (3): 470-475, 2014.
11) 亀山元信, 刈部博, 川瀬誠, ほか:重症頭部外傷の年齢構
成はどのように変化してきたのか?:頭部外傷データバ
ンク【プロジェクト 1998, 2004, 2009】の推移. 神経外傷
36: 10-16, 2013.
12Kara H, Bayir A, Ak A, et al: Trauma in elderly patients evalu-
ated in a hospital emergency department in Konya, Turkey: a
retrospective study. Clin Interv Aging 9: 17-21, 2014.
13) 河内正人, 堀重昭:高齢者軽傷頭部外傷例における危険
因子. 脳外誌 20: 749-754, 2011.
14Lack DA, Sheets AL, Entin JM, et al: Rock climbing rescues:
causes, injuries, and trends in Boulder County, Colorado.
Wilderness Environ Med 23 (3): 223-230, 2012.
15Roe C, Skandsen T, Anke A, et al: Severe traumatic brain
injury in Norway: impact of age on outcome. J Rehabil Med
45 (8): 734-740, 2013.
16) 笹平俊一:抗凝固薬ないし抗血小板薬内服中の頭部外傷
例の臨床的検討. 久留米医学会雑誌 74 (1-2): 33-40, 2011.
17) 塩見直人, 宮城知也, 香月裕志, ほか:重傷頭部外傷初期
診療におけるドクターヘリの有用性. 日救急医会誌 17:
219-226, 2006.
18) 高木修一, 丸林徹, 杉之原賢治, ほか:重傷頭部外傷に地
域特性があるか ─日本神経外傷学会頭部外傷データバ
ンクと熊本県頭部外傷データバンクの比較─. 神経外
25: 163-171, 2002.
19Thomas SL, Muscatello DJ, Middleton PM, et al:
Characteristics of fall-related injuries attended by an ambu-
lance in Sydney, Australia; a surveillance summary. N S W
Public Health Bull 22 (3-4): 49-54, 2011.
20Umerani MS, Abbas A, Sharif S: Traumatic brain injuries:
experience from a tertiary care centre in Pakistan. Turk
Neurosurg 24 (1): 19-24, 2014.
21) 卯津羅雅彦, 大森一彦, 武井隼人:脳卒中・頭部外傷にお
けるプレホスピタルケア:静岡県東部ドクターヘリの現
状について. Neurosurg Emerg 17: 22-26, 2012.
22) 横堀將司, 荒木尚, 恩田秀賢, ほか:高齢者重症頭部外傷
に対する積極的治療と患者転帰の変遷:頭部外傷データ
バンク【プロジェクト 1998, 2004, 2009】における検討.
神経外傷 36: 76-85, 2013.
山本 陽子
(徳島県立三好病院 脳神経外科)
〒778-8503 徳島県三好市池田町シマ 815-2
神経外傷 Vol.37 2014

Page 26
神経外傷 Vol.37 2014
脳脊髄液漏出症画像診断:
治療結果からの検証
守山 英二
国立病院機構福山医療センター 脳神経外科
Key words :
Epidural blood patch
Intracranial hypotension
CSF hypovolemia
Radioisotope cisternography
Spinal CSF leak
Received July 28, 2014
Accepted November 4, 2014
Neurotraumatology 37: 96104, 2014
image diagnostics of spinal csF leak:
Validation by therapeutic response
eiji moriyAmA
Department of Neurosurgery, National Hospital Organization,
Fukuyama Medical Center
Objective: the cerebrospinal Fluid Hypovolemia research
group beneficiary of a scientific research grant from the
ministry of Health, Labour and welfare (mHLw) has so far
adopted a very strict image diagnostic criteria. the purpose
of this study is to weigh the mHLw criteria against the
existing image diagnostics from the aspect of therapeutic
response to epidural blood patch (ebP).
Materials and Methods: between march 2011 and january
2013, 178 patients suspected with spinal csF leak underwent
combined radioisotope cisternography (ric) and computed
tomography myelography (ctm). A total of 99 patients, 47
patients with ric direct leak sign (group P), and 52 patients
with indirect findings (group i), were diagnosed as having
spinal csF leak. 30 patients out of these 99 patients fulfilled
the mHLw criteria. outcomes after epidural blood patch
treat ments were divided into four categories, excellent (ex):
no symptoms remained, good (g): returned to premorbid
life with minor symptoms, Fair (F): apparent improvement
but partially restricted ADL, and No response (Nr): no or
minimum improvement with severely restricted ADL.
relationships between outcomes and image findings, such
as the compatibility with mHLw criteria, patterns of ric
findings (existence or absence of direct leak signs), were
analyzed.
Results: 86 patients underwent a total of 141 ebP treatments
(average 1.6 times). overall outcomes were as follows, ex:
24, g: 25, F: 26, and Nr: 11. Approximately 60% of treated
patients returned to premorbid life (ex+g). the compatibility
with mHLw criteria did not affect outcomes. Normalization
or sufficient reduction of ri clearance after ebP treatments
was a significant factor for favorable outcomes.
Conclusion: this study confirmed the reliability of ric in
the diagnosis of spinal csF leak from the aspect of thera -
peutic response. in addition, ric is a reliable method to
confirm the cessation of csF leak after treatment.
96
─────────────── はじめに
前回の論文で,脳脊髄液漏出症診断における RI
槽シンチグラフィー(RIC),脊髄 MRIMR 脊髄造
影(MRM),CT 脊髄造影(CTM)所見の比較検討結
果を報告した 10)。現在の厚労省画像診断基準は特異
度重視の基準であり,非該当例の脳脊髄液漏出症診
断が否定されるわけではない 12)。本稿ではこれら厚
原  著
神経外傷 37201496 104
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 27
97
労省画像診断基準非該当患者の脳脊髄液漏出症診断
の妥当性を,硬膜外ブラッドパッチ(EBP)治療効果
から検討し,より実際的な画像診断基準について考
察する。
────────────── 対象・方法
前稿と同じく平成 23 3 月~平成 25 1 月の間
に,初回診断目的に RIC ⁄ CTM 同時検査を行った
178 例の中で,何らかの髄液漏出画像所見を認めた
患者を対象とした。RIC ⁄ CTM 併用検査は前稿でも
報告したように,25Gペンシルポイント針で腰椎穿
刺,髄液圧測定後,延長チューブを用いて,造影剤
10 mlRI 溶液 1 ml の順に注入した 7,8,9,10,11)CT
影は注入後 1.5 時間,RIC 1, 2.5, 6, 24 時間後に撮
影した。早期膀胱内 RI 集積所見の判定は,厚労省画
像診断基準に準じて「最大カウントの 20%に画像表
示のピークを設定した画像表示」で行った。Grade 0
12.5 時間画像で膀胱内 RI 集積を認めない,Grade
1:明らかな膀胱内 RI 集積を 2.5 時間画像で認める,
Grade 2:明らかな膀胱内 RI 集積を 1 時間画像で認
める,の 3 段階に分類した。RI クリアランス分析の
詳細は以前報告した 7,9)。下部胸椎以下の MRI 検査
を検査前日,検査当日穿刺後 5 時間後(後半の症例で
2 時間後にも)に行った。
当院では平成 17 年以降,院内倫理員会の承認下に
自由診療で硬膜外ブラッドパッチ治療(EBP)を行っ
てきた。平成 24 7 月以降は,厚労省診断基準『確
定』~『確実』所見患者には,先進医療による治療が
可能となった。それ以外の患者には自由診療での治
療を継続している。いずれの場合にもインフォーム
ドコンセントを得た後に EBP 治療を行った。EBP
以外は通常の診療内容と同一であり,画像など臨床
データの研究目的使用に関して,個人情報保護につ
いて説明の上で同意書を取得した。原則として EBP
2 ヵ月以降に,効果確認目的検査を同じプロト
コールで施行し,同時に治療効果の判定を行った。
症状改善,検査所見改善が不十分な場合には,EBP
治療の追加を勧めた。追加治療後にも同様に確認検
査,治療効果判定を行い,最大 4 回の EBP 治療を
行った。最終治療後に確認検査を行わなかった例で
は,23 ヵ月後の外来受診時に効果判定を行った。
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.1 Patterns of image diagnosis in patients who underwent ctm ⁄ ric studies.
correspondence between areas and diagnostic process are as follows, white trapezoidal area (group i): patients with indirect
ric findings (early bladder filling and/or accelerated ri clearance). shaded triangular area (group P): patients with direct
ric findings, circular area (mr): patients with positive mri findings (diffuse pachymeningeal enhancement). small black
stars represent siH patients compatible with the criteria of mHLw research group. representations of other figures are as
follows, black small circles: patients with positive ctm compatible with mHLw criteria, gray small circles: patients with
positive ctm findings inconsistent with mHLw criteria, white small circle: patients with negative ctm.

Page 28
98
治療効果は,ExcellentEx):無症状に回復,Good
G):一部症状が残るが病前の生活に復帰し,ADL
の制限なし,FairF):改善は明らかだが残存症状の
ため,ADL に一部制限あり,No ResponseNR):症
状改善なし~わずかな改善,の 4 段階に分類した。
最終 EBP 後確認 RIC 検査時の治療効果(転帰)と
RIC 所見の差異,厚労省画像診断基準適合の有無な
どによる転帰の違いを検討した。さらに RIC 間接所
見(RI クリアランス亢進,早期膀胱内 RI 集積所見)
と他の画像所見の関係,治療前後での RIC 所見の変
化について検討した。
─────────────── 結  果
1〕診断経過
前稿で報告した診断結果を Fig.1 に整理した 10)
178 例中 99 例(55.6%)に RIC 陽性所見を認めた。
内訳は,直接所見陽性 47 例(26.4%):P 群,間接所
見のみ陽性 52 例(29.2%):I 群,陽性所見なし 79
44.4%):N群,であった。P 群はすべて間接所見陽
性(早期膀胱内 RI 集積所見;46 例,RI クリアラン
ス亢進;47 例)であった。直接漏出所見を厚労省画
像診断基準に当てはめると,非対称性 RIC 異常集積
が最多であり,いわゆるクリスマスツリー所見(腰部
対称性異常集積)がこれに続いていた(Table 1)。漏
出レベルは,非対称性 23 例中 7 例が下部胸椎~腰
椎,16 例が腰椎以下であった。腰部対称性 RI 異常
集積所見 14 例中の 7 例は,胸椎下部~胸腰椎移行部
から漏出が始まっていた。SIH患者 7 例は,すべて
胸椎レベルの対称性漏出所見であった。
I 群は,早期膀胱内 RI 集積所見 + RI クリアラン
ス亢進;45 例,早期膀胱内 RI 集積所見のみ;2 例,
RI クリアランス亢進のみ;5 例であった。P 47
33 例に CTM で漏出所見を認め,その中の 24
が厚労省画像診断基準『確実』所見に該当していた。
I 52 例中 6 例(SIH4 例,交通外傷後;2 例)に
CTM で漏出を認め,すべて厚労省画像診断基準『確
実』所見であった。Floating dural sac signFDSS),
diffuse pachymeningeal enhancementDPGE)など
明白な MRI 異常所見を認めた例(MR 群)が 13
SIH11 例,外傷後発症;2 例)あり,9 例が P 群,
4 例が I 群であった。
神経外傷 Vol.37 2014
Table 1 comparison of 2.5 – 6 hours ri clearance among patient groups divides by
ric findings
statistically significant difference was found between group N and P, and group N and i
(*p<0.001: bonferroni test). in group P patient, no significance was found among
subgroups divided by the pattern of ri leaks, symmetrical ri leak of lumbosacral region
(christmas tree), asymmetrical leak, and unilateral localized leak (p=0.07: ANoVA).
Patients with positive mri findings had significantly faster ri clearance (#p<0.001:
unpaired t-test). @: seven siH patients with thoracic symmetrical leak are not included.

Page 29
99
2〕治療経過,転帰
P 47 例中 44 例,I 52 例中 42 例,合計 86
が計 141 回の EBP 治療(平均 1.6 回,1 回;51 例,2
回;18 例,3 回;14 例,4 回;3 例)を受けた。治療
群の発症機転は交通外傷 51 例,スポーツ外傷 5 例,
医原性 4 例(腰椎穿刺;3 例,脊椎手術;1 例),SIH
11 例など,罹病期間は 14.7 ± 19.8 ヵ月(平均 ± S.D.
であった。治療を受けなかった 13 例の主な理由は,
経済的問題,家庭~職場の事情など社会的なもので
あった。各 EBP 治療の間隔は,5.4 ± 3.4 ヵ月(平均
± S.D.)であり,最終治療から 3.7 ± 1.9 ヵ月(平均 ±
S.D.)に行った転帰判定の結果を Fig.2 に示した。
全体の 1 3 弱(86 例中 24 例)が治癒(無症状に回
復:Ex),G25 例を加えた 49 例(57.0%)が発症前
の生活に戻っていた。11 例(12.8%)は無効~わずか
な改善(NR)であった。RIC 上の直接所見の有無,厚
労省画像診断基準『確実』所見への適合の有無による
治療成績の差異はなかった(p=0.63, 0.41: Mann-
Whitney U検定)。治療後数日~数週間は,穿刺部痛,
腰背部痛,下肢の痺れ感などを訴える患者がいたが,
永続的な神経症状,感染などの問題となる合併症は
皆無であった。治療効果確認の RIC 検査は P 42
例,I 35 例,計 77 例で行った。P 群で直接漏出所
見の残存を 2 例に認めた。
3RI クリアランス
実際の診断においては,2.56 時間の RI クリア
ランス値が最も有用であると考えている 7,9)。その主
な理由は,① RI 注入後 2 時間は安静臥床としている
ので,2.5 時間までは身体活動が少なく漏出が少ない
可能性がある,② 午前 10 時前後に RI を注入するの
で,624 時間の大半は睡眠時間であり,同じく漏
出が少ない可能性がある,の 2 点である。
P 群,I 群,N群の 2.56 時間の RI クリアランス
値はそれぞれ,0.1238 ± 0.05580.0876 ± 0.0242
0.0484 ± 0.0100(平均値 ± S.D.),半減期に換算する
6.5 ± 2.6 時間,8.4 ± 1.9 時間,14.9 ± 3.4 時間で
あり,N群と Q群,P 群の間に有意差がみられた(p<
0.001, Bonferroni 検定, Table 1)。P 群では漏出パ
ターンにより差があり,腰部対称性 RI 異常集積(ク
リスマスツリー),非対称性,片側限局性の順に RI
クリアランスが早かったが有意差はなかった。MRI
所見陽性患者 13 例と陰性 P 群患者 38 例の RI クリ
アランスには有意の差があった(0.1892 ± 0.0063 vs
0.1176 ± 0.0020: p<0.001, unpaired t-test)。
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.2 outcome of patients after ebP treatments.
top row: overall outcome (ex: 24, g: 25, F: 26, Nr: 11).
middle row: comparison between patients with and
without direct ri leak (group P and i). bottom row:
comparison between patients consistent and inconsistent
with the image diagnostic criteria of ministry of Health,
Labour and welfare research group. N.s.: not significant
(*: p=0.63, **: 0.41, mann-whitney's u-test)
Fig.3 the frequency of early bladder filling.
Left: Frequency of early bladder filling at the diagnosis in
each group. right: Frequency after ebP treatments.
grade 0: no apparent ri accumulation in urinary bladder at
1, 2.5 hours, grade 1: apparent accumulation at 2.5 hour,
grade 2: apparent accumulation at 1 hour.

Page 30
100
4〕早期膀胱内 RI 集積所見
診断時には P 47 例中 46 例(Grade 113 例,
Grade 233 例),I 群では 52 例中 38 例(Grade 1
30 例,Grade 28 例)に早期膀胱内 RI 集積所見を認
めた。N群では 79 例中 6 例に Grade 1 の早期膀胱内
RI 集積所見を認めたのみであった。治療後には,P
I 群ともに Grade 2 の早期膀胱内 RI 集積は認められ
ず,それぞれ 43 例中 18 例,32 例中 12 例に Grade 1
の所見がみられた(Fig.3)。
5〕髄液圧
腰椎穿刺困難のため座位で穿刺した例を除いた髄液
圧は,N群:12.9 ± 1.8 cm 水柱(n=65),P 群:12.7 ±
2.0 cm 水柱(n=45),I 群:12.0 ± 4.0 cm 水柱(n=42
であった。P 42 例,I 33 例の合計 75 例で EBP
治療前後の髄液圧が比較可能であった。治療前後で
12.3 ± 3.3 cm 水柱(平均値 ± S.D.)から 13.4 ± 2.8 cm
水柱と増加傾向であったが統計学的に有意差はな
かった。
6〕転帰に関連する因子(Table 2)
治療後 RI クリアランス値と転帰には関連があり,
Ex 群(18 例):0.0477 ± 0.0096G群(23 例):0.0556 ±
0.0096F 群(26 例):0.0734 ± 0.0260NR 群(10 例):
0.0816 ± 0.0236 であった。Ex 群と F 群,NR 群の値
には有意差がみられた(p<0.001, Bonferroni 検定)。
治療前 RI クリアランス値にも同様の傾向がみられた
が,有意差はなかった。
EBP 治療効果と患者年齢,罹病期間には関連はな
かった。効果不十分~不良例(F, NR)は有意に女性に
多く(p=0.002, Mann-Whitney U検定),EBP 施行回
数にも転帰による差がみられた(p<0.001, Bonferroni
検定)。
─────────────── 症例呈示
症例 1No.1031):34 歳,男性。乗用車運転中の玉
突き衝突事故。頭痛(起立性要素は明瞭でない),頚
部痛,両上肢の痺れ~脱力,めまいなどが続くため,
受傷 24 ヵ月後に初期診療医から脳脊髄液漏出症,胸
郭出口症候群の疑いで紹介。頭部 MRI は異常所見な
神経外傷 Vol.37 2014
Table 2 Factors influencing the outcome after ebP treatments
Normalization of ri clearance after treatment significantly related to favorable outcomes (*p<0.001: bonferroni test).
conversely, the number of ebP treatments, and gender (female) were significantly related to unfavorable outcomes
(*p<0.001: bonferroni test, #p=0.002: mann-whitney test).

Page 31
101
く,3 ヵ月後に入院検査となった。
RI 脳槽シンチ(RIC)では,1 時間画像で腰椎下部
~仙椎レベル,右側有意に直接漏出像を認め,非対
称性 RI 異常集積と判定した(Fig.4)。早期膀胱内 RI
集積所見(Grade 2),RI クリアランス亢進も明らか
であった。2.56 時間の RI クリアランス e0.1201t
半減期に換算すると,5.8 時間となり SIHにも匹敵
する値である。CTM では胸腰椎移行部以下に発達し
た神経根鞘を認め,その周辺に造影剤漏出が疑われ
た(Fig.5)。MRI 画像ではこの部分の神経根鞘周辺水
分量が経時的に増加していた。CTM で腰椎穿刺経路
に微量の造影剤漏出を認めたが,経時的 MRI では穿
刺孔漏出の広がりは限定的であった,
厚労省画像診断基準『疑』所見,ICHD-3 7.2.2
液痩性頭痛」 の診断で,EBP 治療施行,頭痛は速や
かに軽快。残った症状に対してペインクリニック治
療(斜角筋ブロック,頚部筋群へのトリガーポイント
注射)を行い,症状はさらに改善した。治療 15 ヵ月
後の再検査ではこれらの画像所見は消失し,RI クリ
アランスも正常化していた。
─────────────── 考  察
従来の SIH診断において,RIC は信頼性の高い検
査法とされていた 5,6,13,16)。外傷後発症例でも同じで
あり,今回呈示した症例 1 のように RIC 所見に基づ
く診断例の治療成績は概ね良好である 8,9)。なお,こ
の例は厚労省画像診断基準『疑』所見と判定したが,
CTM での胸腰椎移行部の所見,さらに MRI 上のそ
の部分での経時的水分量増加からは,『確定』~『確
実』所見と判定して良いのかもしれない。前稿では
CTM 所見がさらに明瞭な例,逆に CTM では漏出所
見が明らかでない例を示した 10)。これらの患者に共
通するのは,RIC 陽性所見(直接所見陽性~RI クリ
アランス亢進のみ)と治療後の症状改善,検査所見の
正常化である。経験的には RIC に基づく脳脊髄液漏
出症診断,治療効果判定は十分な信頼性があると考
えている 7,8,9)
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.4 serial whole body radioisotope cisternograms (posterior view) and quantitative
analysis.
images at the diagnosis (upper row) showing leaks in the lumbosacral spine (arrows) and early
bladder filling (arrowheads). Accelerated ri clearance was also prominent. these findings were
disappeared at the follow-up (lower row).

Page 32
102
しかし 2013 6 月に公開された国際頭痛分類第 3
版(ICHD-3)では,RIC は“less sensitive, outdated
test”とされている 1,14)。これは画像解像度の低さを
考慮したものであろう。一方,厚生労働省研究班で
は穿刺孔漏出による画像修飾を危惧して,RIC 所見
のみによる診断を認めていない 12)。すなわち“less
specific”と考えており,この 2 つの批判,不信は相
反するものである。今回の対象症例の診断結果をみ
ると,厚労省画像診断基準適合例の大部分は RIC
接所見陽性(P 群),残りは RIC 間接所見陽性(I 群)
に含まれていた。P 群患者はすべて間接所見陽性で
あり,少なくとも間接所見を考慮すれば,RIC 検査
を“less sensitive”とは言い切れない可能性がある
Fig.1)。問題は RIC 検査の“specificity”,すなわち
厚労省画像診断基準適合例(『確定』~『確実』)以外
PI 群患者の脳脊髄液漏出症診断の適否である。
これらの患者が真の脳脊髄液漏出症であれば,厚労
省画像診断基準で診断できるのは一部,おそらく髄
液漏出量が多い重症例ということになる。
現状では脳脊髄液漏出症診断の“gold standard”と
なる検査法は存在しない。一方,この病態に対する
EBP の有効性については多くの報告があり 2,4,5,13),そ
の治療効果は診断の参考となる指標の一つと考えら
れる。現在の厚労省画像診断基準は特異度を重視し
ており,『確定』~『確実』所見患者が脳脊髄液漏出症
であることはまず間違いない。RIC 所見により脳脊
髄液漏出症と診断された患者群の EBP 治療成績と,
厚労省画像診断基準適合例の成績に差がなければ,
RIC 所見に基づく診断は妥当なものと考えられる。
逆に画像診断基準適合例の治療成績の方が有意に良
好であれば,RIC 検査は“less specific”ということに
なる。今回の検討では,厚労省画像診断基準適合例
24 例と,それ以外の 62 例の EBP 治療成績に差がな
かった。厚労省画像診断基準への適合の有無によら
ず,呈示症例のように症状改善と RIC 検査所見改善
がみられたことから,RIC 所見に基づく診断は妥当
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.5 ctm taken 1.5 hours after lumbar puncture, horizontal images (A) and coronal
images (B). the latter images show well developed nerve sheaths filled with contrast
medium at thoracolumbar junction (black arrows). Faint extravasation of contrast
medium is suspected around these structures. Faint leak is found at the puncture site,
L4/5 (black arrowhead). right: Fat-saturated horizontal t2-weighted mr images of the
spine before (C), 1 hour after (D), and 5 hours after lumbar puncture (+ injection of 10 ml
contrast medium and 1 ml ri solution). (E) Postpuncture images show sequential fluid
increase along spinal nerve roots into paraspinal tissues (broken white circles). only a
small amount of fluid is found at the puncture site, L4/5 (white arrowheads).

Page 33
103
と思われる。さらに RIC 所見陽性例(P 群)と間接所
見のみ陽性例(I 群)の間に治療成績の差がみられな
かったことは,RIC 間接所見のみに基づく診断も精
度が高いことを示唆している。
治療効果と治療後 RI クリアランスの相関は,①
EBP により髄液漏出が停止~減少し,② その程度に
応じて症状の改善が得られる,ということであろう。
「患者による症状経過の自己評価」 と 「RI クリアラン
スによる髄液漏出量の推定」,それぞれの信頼性を相
互に確認,証明しているように思われる。今回の N
群の 2.56 時間の RI クリアランス e0.0484±0.0100t は,
以前に報告した 252 例の値 e0.0492±0.0120t に近似して
いる 9)。この 2 つのデータは検査条件が少し異なっ
ている。後者では CTM を併用しておらず,注入薬
液量が 10 ml 少ない。この違いが髄液循環に影響す
る可能性があるが,少なくとも RI クリアランス値に
対する影響はないようである。この 2 つの RI クリア
ランス値,さらに今回,治癒(Excellent)と判定した
患者の 2.56 時間値 e0.0477±0.0096t からも,成人の正
常髄液循環では e0.047~0.050t(半減期換算約 1415
間)付近を正常平均値と考えるのが妥当と思われる。
RI クリアランス値も他の検査データと同じく,誤
差,個体差,年齢の影響などがあり,正常値と異常
値間に明確な境界はありえない 9)。福山医療セン
ターでは従来,2.56 時間値 e0.07t 以上は原則クリ
アランス亢進,e0.06te0.07t は亢進の疑いと見なし
てきた。しかし 25Gペンシルポイント針による腰椎
穿刺後頭痛患者(PDPH)の 2.56 時間 RI クリアラ
ンスが,e0.0614te0.0630t であることをみると,e0.06t
以上は基本的に異常値と見なすべきと思われる 11)
一方でこの値は,手技上の問題(穿刺孔漏出)に起因
する可能性もあり,CTMMRI による穿刺孔漏出
の検索,評価など慎重な判断が求められる。最終的
には,硬膜外生食パッチ~持続注入などの一時的症
状改善効果による判定が有用であろう 4)
もう一つの RIC 間接所見 「早期膀胱内 RI 集積」
は,従来の SIH診断において重要な所見と考えられ
ていた 5,6,16)。今回の検討では早期膀胱内 RI 集積所
見も,脳脊髄液漏出症診断の参考になることが示さ
れた。P 47 例中 46 例,I 52 例中 38 例にこの所
見を認め,後者の内の 2 例では唯一の診断根拠と
なった。髄液漏出のない患者の一部(N79 例中 6
例:7.6%),さらに 25Gペンシルポイント針による
腰椎穿刺後頭痛患者でも,軽度の早期膀胱内 RI 集積
所見を認めることがあり注意が必要であるが,脳脊
髄液漏出症の診断,治療効果判定に有用な所見であ
ろう。特に Grade 21 時間での早期膀胱内 RI 集積)
は,硬膜外~硬膜下誤注入さえ否定できれば,少な
くとも成人では髄液漏出を強く示唆すると思われる。
今回の治療効果の分析では,86 例中 11 例(12.8%)
が治療効果なし~わずかな改善(NR)であった。これ
らの患者は,① EBP 治療回数が多い,② 治療後の
RI クリアランス値が高値,③ 女性が多い,などの特
徴があった。②は,結局髄液漏出が止まっていない
(あるいは減少が不十分である)こと,さらに①は,
患者側の要因(漏孔の大きさ,形状,数,部位など)
により EBP 有効率に差がある可能性を示唆してい
る。SIH,腰椎穿刺後頭痛患者では安静臥床,水分
補給による治癒例が少なくない。おそらく漏孔の自
然閉鎖~治癒力と,漏孔開存の方向に働く髄液圧~
髄液流の強弱が患者の転帰(治癒,逆に慢性化)を決
定するのであろう。自然治癒しない患者に EBP が十
分な治療効果を上げるためには,「漏孔周辺に十分な
血液を注入して,漏出を一旦停止~十分に減少させ
て漏孔が閉鎖しやすい状況にする → 血液が吸収され
るまでの期間に,髄膜の再生,あるいは適度の癒着
が起こる」,などの条件が揃う必要があると思われ
る。同じように硬膜外に血液を注入しても漏孔に到
達しにくい(広範囲に広がりにくい)患者群があるの
かもしれない。女性の治療成績が不良である理由も
不明であるが,男性に比べて脊柱管,硬膜外腔が狭
く,血液が広がりにくい,などの可能性がある。追
EBP 治療の時期については,今回の患者群では結
果的に 5.4 ± 3.4 ヵ月(平均 ± S.D.)であったが,再治
療時のトラブルは経験していない。治療期間短縮の
ためには EBP 間隔の短縮が望ましい。そのためには
短期間に繰り返し治療した場合の安全性の確認,再
治療の適応の適切な判断が必要である。いずれも今
後検討すべき EBP の技術的課題であろう。
─────────────── 結  論
現在は RICCTM のような腰椎穿刺を要する画
像検査は敬遠され,脊髄 MRI による硬膜外貯留液の
神経外傷 Vol.37 2014

Page 34
104
証明が重視される傾向にある 1,3,13,15)。一方で ICHD-
3 では,“It is not clear that all patients have an active
CSF leak, despite a compelling history or brain
imaging signs compatible with CSF leakage.”と述べ
られている 1)RIC 検査を中心に脳脊髄液漏出症診
断を行ってきた経験からは,この認識は主に MRI
断感度の限界に起因するように感じる。「髄液漏出と
しか思えない病歴,あるいはそれに合致する脳画像
検査所見(DPGE)にもかかわらず,MRI で髄液漏出
を証明できない患者」に RIC ⁄ CTM 検査を行えば,
少なくとも RIC 間接所見が得られる可能性が高いの
ではないだろうか。RIC は,そのわずかな侵襲性を
補うのに十分な利点を備えていると考える。
本論文の要旨は,第 37 回日本脳神経外傷学会(2014 年,
東京)で発表した。
1Headache Classification Committee of the International
Headache Society (IHS): The International Classification of
Headache Disorders, 3rd edition (beta version). Cephalalgia
33: 629-808, 2013.
2Horikoshi T, Watanabe A, Uchida M, et al: Effectiveness of
an epidural blood patch for patients with intracranial hypo-
tension syndrome and persistent spinal epidural fluid collection
after treatment. J Neurosurg 113: 940-946, 2010.
3Hosoya T, Hatazawa J, Sato S, et al: Floating dural sac sign is
a sensitive magnetic resonance imaging finding of spinal
cerebrospinal fluid leakage. Neurol Med Chir (Tokyo) 53:
207-212, 2013.
4) 石川慎一:VIII. 硬膜外自家血注入. 脳脊髄液減少症の診
断と治療, 守山英二 (編著), 金芳堂, 京都, 2010, pp75-89.
5Mokri B, Schievink WI: Headache associated with abnormali-
ties in intracranial structure or function: Low-cerebrospinal-
fluid pressure headache. In Wolff's Headache and Other
Head Pain. 8th ed., Silberstein SD, Lipton RB, Dodick DW
(eds), Oxford University Press Inc., New York, 2008, pp513-
531.
6Morioka T, Aoki T, Tomoda Y, et al: Cerebrospinal fluid
leakage in intracranial hypotension syndrome: usefulness of
indirect findings in radionuclide cisternography for detection
and treatment monitoring. Clin Nucl Med 33: 181-185,
2008.
7Moriyama E, Ogawa T, Nishida A et al: Quantitative analysis
of radioisotope cisternography in the diagnosis of intracranial
hypotension. J Neurosurg 101: 421-426, 2004.
8Moriyama E, Terada H, Ishikawa S: Spinal cerebrospinal fluid
leakage after motor vehicle accident. Neurol Med Chir
(Tokyo) 49: 306-309, 2009.
9) 守山英二:VI. RI 脳槽シンチグラフィー. IX. 治療実績.
脳脊髄液減少症の診断と治療, 守山英二 (編著), 金芳堂,
京都, 2010, pp33-55, pp91-106.
10) 守山英二:脳脊髄液漏出症診断の最前線. 神経外傷 37:
7-17, 2014.
11) 守山英二:脳脊髄液漏出症の画像診断:技術的検討. CI
研究 36 (2): 2014 (掲載予定).
12) 佐藤慎哉, 嘉山孝正:低髄液圧症候群, 脳脊髄液減少症,
脳脊髄液漏出症 . Jpn J Neurosurg (Tokyo) 22: 443-451,
2013.
13Schievink WI: Spontaneous spinal cerebrospinal fluid leaks.
Cephalalgia 28: 1345-1356, 2008.
14) 寺山靖夫:国際頭痛分類第 3 β (ICHD-3β) 頭痛治
療のニュー・ストリーム ─新国際頭痛分類とわが国の
新診療ガイドライン 非血管性頭蓋内疾患による頭痛.
Clinical Neuroscience 32 (5): 511-513, 2014.
15Watanabe A. Horikoshi T, Uchida M. et al: Diagnostic value
of spinal MR imaging in spontaneous intracranial hypotension
syndrome. AJNR 30: 147-151, 2009.
16Wiesemann E, Berding G, Goetz F, et al: Spontaneous intra-
cranial hypotension: correlation of imaging findings with clini-
cal features. Eur Neul 56: 204-210, 2006.
守山 英二
(国立病院機構福山医療センター 脳神経外科)
〒720-8520 広島県福山市沖野上町 4-14-17
神経外傷 Vol.37 2014

Page 35
神経外傷 Vol.37 2014
当院における児童虐待による
頭部外傷の現状
村岡 真輔 1
山田 優作 4
岩佐 充二 3
川端 哲平 1
佐藤 祐介 1,2
渡邉 督 1,2
小島 隆生 1
波多野 範和 1 永谷 哲也 1,2
関 行雄 1
1 名古屋第二赤十字病院 脳神経外科
2 名古屋第二赤十字病院 神経内視鏡センター
3 名古屋第二赤十字病院 小児科
4 名古屋第二赤十字病院 医療社会事業課
Key words :
Child abuse
Head trauma
Received August 28, 2014
Accepted November 6, 2014
Neurotraumatology 37: 105111, 2014
Head trauma in children:
analysis of abuse cases
sHiNsuke murAokA1, yusAku yAmADA4, mitsuji iwAsA3,
tePPei kAwAbAtA1, yusuke sAtou1,2, tADAsHi wAtANAbe1,2,
tAkAo kojimA1, NorikAzu HAtANo1,
tetsuyA NAgAtANi1,2, yukio seki1
1Department of Neurosurgery, Nagoya Daini Red Cross Hospital
2Neuroendoscopy Center, Nagoya Daini Red Cross Hospital
3Department of Pediatrics, Nagoya Daini Red Cross Hospital
4Medical Social Work Unit, Nagoya Daini Red Cross Hospital
in japan the number of child abuse cases increases gradual -
ly and approaches about 60,000 cases fiscal 2011. A number
of neurosurgeons have an experience to child abuse head
trauma cases. since the child abuse prevention law was
established fiscal 2000, the opportunity that neurosurgeons
were pressed to make the decision against discrimination
abuse head trauma case from accidental head trauma case
is expanded.
the cause of over 95% severe head injury cases until one-
year-old children is abuse. if we do not take counter measure
about these abuse cases and discharge these children from
hospital to their house, 5% cases will be dead and 25%
cases will be come back to the hospital as same situation.
Not only neurosurgeons but also pediatricians, medical
social workers, and the child consultation center staff deal
with the abuse cases together.
At out hospital from November 2001 to April 2014, 72 child
abuse cases were reported and 19 cases were involved with
neurosurgical problems. in these 19 cases, 8 cases were
treated at intensive care unit, and 4 cases were dead within
two weeks from admission. 9 cases were acute subdural
hematoma, 2 cases were chronic subdural hematoma, 1 case
was diffuse axonal injury, and 7 cases were skull bone frac -
ture or concussion. 4 cases were needed the surgical treat-
ment.
in our hospital, the child abuse team including neurosur-
geons, pediatricians, and medical social workers intervene
directly in these abuse cases as soon as possible. but after
discharge, we cannot follow up all cases because there are
some cases not returning for outpatient clinic. so we should
establish the social and medical structure needed to support
abused children and their family.
105
原  著
神経外傷 372014105 111
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 36
106
─────────────── はじめに
児童虐待の報告件数は年々増加傾向にあり,2011
年度には 60,000 件に達しようとしている 7)。脳神経
外科医が児童虐待による頭部外傷を経験することも
多くなってきているが,特に 2000 年度に児童虐待防
止法が施行されて以降,虐待による頭部外傷なのか,
事故による頭部外傷なのか判断を迫られる機会が増
加してきている。1 歳未満の重症頭部外傷の 95%以
上は虐待の結果であるとされており,何の対策もと
らずに家庭に戻した場合,5%は死亡,25%は再び重
症になるとされている 6)。このため,脳神経外科医
だけでなく,小児科医,ケースワーカー,児童相談
所など様々な方面から虐待の問題には取り組む必要
がある。
────────────── 対象・方法
2001 11 月から 2014 4 月までの間に名古屋第
二赤十字病院に救急搬送または外来受診し,その後,
児童虐待と認定された症例を集計し,分析した。ま
た,当院における小児虐待症例の対応の流れについ
て検討した。なお,乳児の眼底出血がない例では,
全身の新旧混合の皮下出血痕や四肢長幹骨骨折で虐
待と認定した。また,当事者すべての個別面接を行
い,経緯の相違についても検討した。なお,当院で
は「児童虐待の疑いがある」と認定したまでであって,
実際に虐待があるかどうかの行政的な判定は児童相
談所で行われている。退院後も月に一度,コアメン
バーにより子どもカンファを開催し,虐待のスコア
リングしている。判定基準(プロトコール)は日本子
神経外傷 Vol.37 2014
Table 1 summary of 19 child abuse cases
Date
Age
Sex
Diagnosis
Victimizer
ICU
ope
FH
GOS
2001/11
0y3m
M
SBS, CSDH
Grandmother
N
Y
GR
2001/11
2y8m
M
ASDH
Mother
Y
Y
GR
2005/3
2y6m
F
CSDH
Mother
N
N
MD
2005/5
4y2m
M
SBS, ASDH
Father
Y
N
Y
D
2007/12
0y7m
F
ASDH
Unknown
Y
N
Y
D
2008/4
0y3m
M
SBS, ICH
Unknown
Y
N
N
MD
2009/5
12y3m
M
concussion
Father
N
N
GR
2009/11
0y9m
M
ASDH
Mother
N
N
Y
GR
2010/5
0y9m
M
ASDH
Mother’s friend
Y
Y
Y
D
2010/11
0y10m
M
ASDH, DAI Mother
Y
N
Y
MD
2012/1
11y6m
F
contusion
Father
N
N
N
GR
2012/1
0y6m
M
ASDH
Mother’s friend
N
N
Y
MD
2012/5
6y3m
M
fracture
Father
N
N
GR
2013/3
0y9m
M
SBS, ASDH
Mother’s friend
Y
Y
Y
GR
2013/4
2y0m
F
t-SAH, DAI Grandparents
Y
N
D
2013/9
1y3m
M
fracture
Mother
N
N
GR
2013/9
1y10m
F
contusion
Mother
N
N
GR
2013/10
0y0m
M
t-SAH
Father
N
N
N
GR
2013/11
0y4m
F
fracture
Father
N
N
N
GR
m: male, F: female, AsDH: acute subdural hematoma, csDH: chronic subdural hematoma, icH:
intracranial hemorrhage, t-sAH: traumatic subarachnoid hemorrhage, DAi: diffuse axonal injury,
sbs: shaken baby syndrome, FH: Fundus hemorrhage, gos: glasgow outcome scale, gr: good
recovery, mD: moderately disabled, D: dead

Page 37
107
ども虐待医学会「子ども虐待対応医師のための子ど
も虐待対応・医学診断ガイド」に基づいて行っている。
─────────────── 結  果
15 歳以下の児童の症例は 72 症例あり,脳神経外
科はそのうちの 19 症例に関与していた。19 症例中,
意識状態を含む全身状態が悪く集中治療管理を必要
とした症例は 8 症例あり,うち 4 症例が死亡した。
死亡した 4 症例のうち 2 症例は病院到着時に心肺停
止状態であった。19 症例の内訳は,急性硬膜下血腫
8 症例,慢性硬膜下血腫が 2 症例,びまん性軸索
損傷が 2 症例,頭蓋骨骨折・頭部打撲が 7 症例で
あった。このうち 4 症例は手術を必要とした(Table
1)。
〔代表症例〕 0 9 ヵ月,男児
主 訴:傾眠傾向。母親は受診前日に患児を男性
友人に預けて東京に遊びに行った。アパートの階段
10 段ほど落下し,その後,傾眠傾向であるとのこ
とで,男性友人より母親に連絡があり,夜行バスで
帰ってきた母親と男性友人に連れられて当院救急外
来を受診した。
家族歴:父親不明,母親は施設育ち。
入院時現症:身長 78 cm,体重 8.76 kg,カウプ指
14.4E1V1M5,瞳孔左右同大,対光反射は両側
迅速であった。左耳介後部,右頚部,腹部,背部に
皮下出血痕を認めた。受診時詳細不明であったが,
右下腿は包帯処置がなされていた(入院後,右脛骨骨
折が確認された)。
入院後経過:搬送時の頭部 CT にて明らかな異常
所見を認めなかった。しかし,傾眠傾向であり,今
後頭蓋内圧が亢進する可能性を考慮し,挿管・人工
呼吸器管理の上で集中治療室に入室となった。入院
翌日の頭部 CT で新規の頭蓋内病変を認めず,徐々
に鎮静薬を減らしていくこととした。入院 3 日目の
朝に左上下肢より始まる複雑部分発作を起こし,そ
の後,痙攣重積状態となったため,再び鎮静開始と
した。昼頃に瞳孔不同が出現したため,頭部 CT
施行した。その結果,左大脳半球全体の低吸収域像
を認めたため,緊急で減圧開頭術を施行した。減圧
開頭術後の経過は良好であり,術後 27 日目に頭蓋形
成術を施行した。右上下肢 MMT4/5 にて自宅退院と
なった(Fig.1)。
チーム医療介入経過:複数箇所に新旧混合の皮下
出血があることや右下肢の骨折が疑われることから,
入院時には虐待が疑われる症例として,当院小児科
医師より児童相談所へ通報となった。その後,小児
虐待チームへ連絡がなされ,チーム長の医師より警
察への通報もなされた。入院後の全身管理について
は,集中治療入室中は麻酔科・集中治療部および小児
科で対応し,頭蓋内の管理に関しては脳神経外科で
対応することとした。児童相談所や警察などの対応
MSW を常に窓口とした。また,関係各所とのや
りとりや母親への対応は,必ず小児科と MSW 同席
のもとで行うこととした。入院当日,小児科医師,
児童相談所,警察との話し合いがあり,一次保護と
なった。母親は施設育ちであり,友人もあまりいな
く,育児の相談ができる環境ではなかった。このた
神経外傷 Vol.37 2014
a
b
c
d
Fig.1 in-hospital ct scan image.
a: ct scan on admission did not show brain edema nor
intracranial hemorrhage.
b: At the 3rd day of admission, patient had seizure and
anisocoria suddenly. ct scan showed dysfunction of brain
perfusion at light hemisphere.
c: At the postoperative day 5, ct scan showed brain infarc -
tion at wide range of light hemisphere except basal ganglia.
d: ct scan on discharge show whole brain atrophy, espe -
cially light hemisphere.

Page 38
108
め,児童相談所を通じて育児方法などの指導も行っ
ていった。入院して 30 日ほど経過した時点より家政
婦付き添いの元で徐々に母親の付き添いを促してい
くこととした。この時点では,母親の養育能力をみ
ることが主目的であった。その後,退院後の支援に
向けた話し合いが MSW と児童相談所をメインに行
われた。今後の退院先やその後のフォローアップ体
制などについて,小児科医師,保育園,保健師,児
童相談所,民生委員との話し合いがもたれた。1
間試験的に母子で保育園への通園を行い,問題なく
行えていることを確認した。入院して 50 日ほど経過
した段階で自宅退院となった。退院 3 日後に小児科
および MSW 外来受診となった。発達フォローにつ
いては養育センターでリハビリ含めて行っていくこ
ととなった。退院 6 日目に脳神経外科,小児科およ
MSW 外来を受診となった。それ以降は月 1 回の
ペースで小児科および MSW 外来を受診することと
なった。ただし,児童相談所より連絡があり,当院
受診や予防接種,保育園への通院は行っているが,
養育センターでのリハビリは必要性がないと母親が
自己判断し通院していないことが判明した。退院後
4 ヵ月頃より抗けいれん薬の怠薬などネグレクト傾
向となった。リハビリに関しては,訪問リハビリに
変更することとし,抗けいれん薬については一旦中
止とし,内服継続の必要性について検討することと
した。普段児童相談所が定期介入しているため,退
院半年後からは小児科や脳神経外科の定期フォロー
は半年ごととなった。母親自身の環境の変化もあり,
保育園への通園は月に 2 回ほどとなっているのが現
状である。
─────────────── 考  察
当院は三次救急病院指定されており,重症症例も
多数搬送されてくる。15 歳以下の小児症例も例外で
はなく,脳神経外科が関与した症例の半数弱が集中
治療管理を必要とした。乳児例における ASDH
Shaken Baby Syndrome に特徴的とされる大脳半球
間裂を主座とする血腫ではなかった。判明している
受傷機転についても,加害者に叩かれたり突き飛ば
されたり落とされたケースが多かった。虐待が疑わ
れる全例において四肢長幹骨の骨傷をレントゲンに
て評価しているわけではなく,今後は虐待が疑われ
た場合のクリニカルパスの作成も視野に入れていっ
たほうがよいと思われる。
乳児期における急性硬膜下血腫は,成人とは異な
る面もあり,脳血管内皮や血液脳関門の未熟性・血
管の自己調節機構の不完全性から,血腫の物理的圧
迫による軽度の頭蓋内圧亢進によっても静脈灌流障
害が生じる。この血流障害は側副血行路がよく発達
している脳表よりも,脳実質内でいっそう高度に起
こり,一度起こると不可逆性で改善しないものが多
いと報告されている 13)。このため,成人では経過観
察とすることの多い非常に軽微な硬膜下血腫であっ
ても,乳幼児症例に関しては特に気をつけてみてい
く必要がある。また,虐待による硬膜下血腫は厚さ
が非常に薄く,骨折や打撲部位と関係のない所にも
生じる傾向があり,特に後頭葉から半球間裂,また
後頭蓋窩に複数認められることが多い 1)。これは虐
待以外の原因で生じた頭部外傷症例との鑑別に役立
つ可能性もあることを示唆している。
頭部外傷症例で特徴的な半球全体に拡がる広範か
つ均一な低吸収域は Big Black Brain と呼ばれる。病
変の多くは動脈支配領域に一致せず,テント下に及
ぶことはないとされている。CT での皮髄境界不明瞭
化と視床の鮮明化は虐待に特徴的と言われ,同病変
MRI FLAIR DWI にて高信号域として描出
される 4)。本代表症例においても,Big Black Brain
が認められた。外傷による脳へのダメージには 2
テージあると言われている。第一ステージでは,最
初の頭部への機械的な変形によって神経細胞膜の透
過性が変わり,これが持続すると,脳浮腫や脳腫脹
につながる 8)。第二ステージでは,数時間から数日
かけて神経伝達物質や神経ペプチドによって神経原
性炎症反応が生じる 3)。脳腫脹は頭部外傷後の死亡
率に最も関係する因子である。浮腫は受傷後早期か
ら始まり,実験モデルでは受傷後 20 分で血液脳関門
の透過性が最大となることが示されている 2)。ヒト
を対象にした画像による評価では,血液脳関門の透過
性亢進が受傷後早期から起こり,かつ一過性で 60
ほど持続することや,それに伴う細胞性浮腫が 24
72 時間で最大となることが報告されている 8,9,10)Big
Black Brain の発生機序に関しては,これまでも様々
な報告がなされている。Vanucci らは血腫直下の脳
神経外傷 Vol.37 2014

Page 39
109
血流低下と脳組織酸素代謝率の上昇,および,代謝
産物の需要供給バランスの障害を示唆した結果を報
告している 15)。また,Shaver らは生後 3 週間の piglet
の硬膜下腔に脳表を覆うような広く進展した血腫を
注入する実験を行ったが,Big Black Brain を人為的
に再現することには成功していない。しかし,生後
間もない時期においては代謝率が高く血液供給が不
十分な白質は脆弱であり,需要供給バランス障害に
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.3 intracranial lesions of child abuse casesin literature review.
Fig.4 Abuse cases secular change.
the number of 2013 data is added up abuse cases from April to september.
in our hospital, child abuse cases are reported from 2001 and the number of
child abuse cases is increasing. recently the number of victim of domestic
violence also increases.
Fig.2 Age distributions of child abuse cases.
a: the number of age-specific abused children all over japan of fiscal 2009.
b: the number of age-specific abused head trauma children in our hospital.
a
b

Page 40
110
よって容易に病理学的な障害を受けることが示さ
れた 12)。また,Big Black Brain Hemiconvulsion-
hemiplegia-epilepsy 症候群(HHE 症候群)における
画像所見と類似しているが 14),現時点で両病態を結
びつける見解は得られていない。このように現時点
Big Black Brain の病態に関する正確な理解は得ら
れていないのが現状であり,頭蓋内圧コントロール
という対症療法に終わってしまっている。今後病態
解明が進み,予防の観点からアプローチしていける
ことが望まれる。
厚生労働省発表の小児虐待症例の年齢分布では,6
12 歳が最も多く 4 割弱を占めている。しかし,虐
待による頭部外傷症例に限ってみると,本報告では,
02 歳の乳幼児期に多く発生していることが判明し
た(Fig.2)。疾患別の割合では,既報告によると,北
米でも日本でも硬膜下血腫が最も多かった。次いで,
日本では外傷性くも膜下出血が多いが,北米では脳
挫傷やびまん性脳腫脹が多いことが報告されてい
11)。本報告では,硬膜下血腫が最多という傾向は
変わらないものの,外傷性くも下出血に関しては,
北米なみの頻度であった(Fig.3)。
当院では,権利擁護委員会(旧:虐待防止対策委員
会)は 2002 年に設置された。当初は年 1 回程度の開
催(対象は児童のみ)であったが,検討症例も数が多
くなく,そのうち,隔年開催となった。しかし,高
齢者虐待の増加,障害者虐待防止法の施行,臓器移
植法改正(虐待の排除)に伴い,2012 年度から再始動
となった(Fig.4)。2012 年度以降の変更点としては,
MSW 主担当者の専任化(窓口の一本化)およびコア
メンバーによるワーキンググループ立ち上げが挙げ
られる。ワーキンググループによって,虐待(疑いも
含む)症例に医師のみならず職員が直面した時の対応
フローチャートの作成(Fig.5),また,個別事例に対
する通報要否の判定や介入基準(案)の検討がなされ
るようになった。こどもチーム(CPT)は,小児科部
長(委員長兼座長),救急科医師,小児専門看護師,
小児認定看護師,MSW によって構成されている。
成人チームは,集中治療部副部長(座長),救急科医
師,救急看護認定看護師,救急病棟係長,MSW
よって構成されている。権利擁護委員会には,これ
に加えて,担当副院長(救命救急センター長),脳神
経外科医,整形外科医,小児精神科医,総合内科医,
看護副部長,小児病棟師長,NICU病棟師長,産婦
人科病棟係長,NICU認定看護師がメンバーとなっ
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.5 our hospital Abuse flow chart.

Page 41
111
ている。虐待相談の窓口を一本化し,チームで対応
することにより,迅速な対応が可能になった。しか
し,虐待かどうかを疑うには,“空振りでおわっても
いい”という姿勢が重要であると思われる。つまり,
虐待相談窓口には疑われる症例であれば,誰もが報
告できる体制を整えることが重要である。虐待によ
る頭部外傷の診断基準の提案が以前になされている
5),まずは疑ったら恐れずに報告する姿勢が,児
童を救う最初の第一歩であることを肝に銘じたい。
退院後フォローに関しては,行政側との連携も必
要となるが,経過を追えない症例も多く改善の余地
がある。本代表症例においては,母親の自己判断に
よって通院が途切れてしまっている点が問題である。
ただし,ネグレクトというよりも「感冒の時のように
咳嗽や鼻汁があるわけではない。痙攣もしていない
し内服する必要がない」といった医学的な知識の欠如
に起因する面もあり,母親の教育も必要となると思
われる。また,母親の“彼氏”が変わったことによっ
て保育園への通院があまりなされていないという現
状もある。医学的な面のみならず,育児などを気軽
に相談できる相手を作ることも非常に重要だろう。こ
のように考えると,虐待する親とその被虐待児とい
う直接的な対象のみならず,虐待が起こってしまっ
た背景を,医療社会的に,一時的ではなく,継続し
てサポート・改善していく必要がある。そうするこ
とによって,負の連鎖を何とか断ち切るようにする
ことが我々の今後の課題であろう。
本報告は,2014 3 8 日の第 37 回日本脳神経外傷学
会にて口頭発表した内容に,その後の症例データを追加
したものである。
1) 荒木尚, 横田裕行:児童虐待における頭部外傷の脳神経
外科的アプローチ. 脳と発達 41: 175-180, 2009.
2Cernak I, Chang T, Ahmed FA, et al: Pathophysiological
response to experimental diffuse brain trauma differs as a func-
tion of developmental age. Dev Neurosci 32: 442-453, 2010.
3Donkin JJ, Nimmo AJ, Cernak I, et al: Substance P is as-
sociated with the development of brain edema and functional
deficits after traumatic brain injury. J Cereb Blood Flow
Metab 29: 1388-1398, 2009.
4Duhaime AC, Durham S: Traumatic brain injury in infants:
the phenomenon of subdural hemorrhage with hemispheric
hypodensity ("Big Black Brain"). Prog Brain Res 161: 293-
302, 2007.
5) 藤原武男, 奥山眞紀子, 松本務, ほか:2 歳未満児の虐待
による頭部外傷の診断基準の提案. 日本小児学会誌 112:
704-712, 2008.
6Kliegman RM, Behrman RE, Jenson HB, et al: Nelson
textbook of Pediatrics, 19th Edition, Saunders, Philadelphia,
2004, p.178.
7) 厚生労働省 平成 23 年福祉行政報告例.
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_
kosodate/dv/dl/about-01.pdf
8Marmarou A: A review of progress in understanding the
pathophysiology and treatment of brain edema. Neurosurg
Focus 22: 1-10, 2007.
9Marmarou A, Signorettl S, Aygok G, et al: Traumatic brain
edema in diffuse and focal injury: cellular or vasogenic? Acta
Neurochir 96: 24-29, 2006.
10Marmarou A, Signoretti S Fatouros PP, et al: Predominance
of cellular edema in traumatic brain swelling in patients with
severe head injuries. J Neurosurg 104: 720-730, 2006.
11) 三木保, 原岡嚢:本邦における小児虐待 ─脳神経外科医
の役割─. 脳外誌 16: 26-35, 2002.
12Shaver EG, Duhaime AC, Curtis M, et al: Experimental acute
subdural hematoma in infant piglets. Pediatr Neurosurg 251:
23-29, 1996.
13) 白石秀明, 大越優美, 石崎彰一, ほか:乳児急性硬膜下血
腫の外傷早期術前治療における頭蓋内圧管理の重要性
─神経学的後遺症を残すことなく救命しえた1乳児
例─. 小児科 40: 181-185, 1999.
14Tenney JR, Schapiro MB: Child Neurology: Hemiconvulsion-
hemiplegia-epilepsy syndrome. Neurology 79: e1-e4, 2012.
15Vanucci SJ, Hagberg H: Hypoxia-ischemia in the immature
brain. J Exp Biol 207: 3149-3154, 2004.
村岡 真輔
(名古屋第二赤十字病院 脳神経外科)
〒466-8650 名古屋市昭和区妙見町 2-9
神経外傷 Vol.37 2014

Page 42
神経外傷 Vol.37 2014
75 歳以上の頭部外傷患者の特徴と
治療成績:三次救命救急センター
における経験から
小畑 仁司  杉江 亮  頼經 英倫那
大阪府三島救命救急センター
Key words :
Traumatic brain injury
Elderly patients
Outcome
Prognostic factor
Received October 2, 2014
Accepted December 22, 2014
Neurotraumatology 37: 112119, 2014
characteristics and outcome of traumatic brain
injury aged 75 years or older: experience of
tertiary emergency critical care center
HitoHi kobAtA, AkirA sugie, eriNA yoritsuNe
Osaka Mishima Emergency Critical Care Center
Objective: consistent with a rapidly growing geriatric
population, the age distribution of traumatic brain injury
(tbi) is dramatically changing. the management of elderly
tbi patients is a serious problem for neurosurgeons in
charge of their treatment in japan. in this study, we sought
to clarify the characteristics of elderly tbi patients trans -
ferred to our tertiary critical care center, to better under -
stand the current situation, prognostic factors, and possible
therapeutic strategies.
Method: we retrospectively reviewed all tbi patients aged
≥75 years admitted between 2003 and 2012. Demographics,
injury mechanism, radiological findings, injury diagnosis,
management, and comorbid status information were ob -
tained, as well as outcomes assessed by the glasgow
outcome scale at 3 months. univariate and multivariate
analyses were used to identify predictors of mortality and
independent living status.
Results: Among 628 consecutive tbi patients, 92 (14.7%)
were eligible. the elderly tbi patients had a significantly
higher incidence of non-traffic accidents (67.4% vs. 31.5%)
and death (27.2% vs.11.6%) compared with those younger
than 75 years (p<0.0001). Factors concerning favorable ⁄ un -
favorable outcome and alive ⁄ dead were statistically ana -
lyzed. in univariate analyses, glasgow coma scale (gcs),
gcs motor score, dilated pupils, surgical intervention, serum
d-dimer level, prothrombin time-international normalized
ratio, injury severity score, and head abbreviated injury
score (Ais) were significant in both out come evaluations.
sex, acute subdural hematoma, and “talk and deteriorate”
clinical course correlated with favorable ⁄ unfavorable out -
come; heart rate, subarachnoid hemor rhage, and cranial vault
fracture correlated with alive ⁄ dead. multivariate analysis
revealed significance in the mecha nism of injury, gcs, head
Ais, and “talk and deteriorate” clinical course for favorable ⁄
unfavorable outcome; heart rate and subarachnoid hemor-
rhage were significant for alive ⁄ dead.
Conclusion: our study confirmed poor outcome and treat-
ment difficulties in tbi patients aged 75 years and older.
multi-disciplinary collaboration is warranted to mitigate
comorbidities and functional deterioration in the elderly.
112
原  著
神経外傷 372014112 119
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 43
113
─────────────── はじめに
平成 26 3 1 日現在,わが国における 65 歳以
上の高齢者人口は過去最高の 3238 万人となり,総人
口に占める割合(高齢化率)は 25.5%に達した。75
以上の後期高齢者は 12.4%を占め,かつて世界のど
の国も経験したことのない高齢化社会を迎えてい
13)。これに伴って頭部外傷患者の年齢構成も大き
く変化し,急増する高齢者頭部外傷への対応は,脳
神経外傷の治療を担う施設において不可避の深刻な
課題となっている 6,18)。そこで,三次救急医療施設
である当施設における高齢者頭部外傷患者の現状を
把握し,今後の対応に供するため,自験症例の検討
を行った。
────────────── 対象・方法
2005 1 月から 2012 12 月までの間に,当施設
で入院加療を行った連続 92 例の 75 歳以上の頭部外
傷患者を対象とし,診療録,画像所見をもとに臨床的
特徴と治療上の問題点につき,後方視的に検討した。
転帰は 3 ヵ月後の Glasgow Outcome ScaleGOS)に
て判定し,抽出された検討項目(Table 1)と転帰良好
good recovery: GR, moderate disability: MD)と不
良(severe disability: SD, persistent vegetative state:
PVS, death: D)および生死との関連を検討した。
統計解析は JMP version 9.00SAS Institute Inc.,
Cary, NC, USA)を用い,連続変数は Wilcoxon の順
位和検定,カテゴリー変数は Fisher の正確検定によ
2 群間を比較検討し,転帰良好・不良および生・
死を目的変数として,多重ロジスティック回帰分析
により多変量解析を行った。有意水準は各々5%とし
た。
─────────────── 結  果
検討期間中に入院加療を要した頭部外傷患者は
628 名で,75 歳以上の患者は 14.6%の 92 名であった。
対象患者の臨床的特徴を示す(Table 2)。最高齢は 93
歳,男性優位で,受傷機転は過半数が転倒,転落で
あった。来院時 Glasgow Coma ScaleGCS8 以下の
重症例が半数弱を占め,約 3 割が一側もしくは両側の
瞳孔散大を呈し,約 4 割が対光反射の異常を呈した。
頭部 abbreviated injury scoreAIS),injury severity
scoreISS)の平均値は各々4.021.3 であり,多発外
傷は 9 例で,APACHE 2 score 平均値は 17.7 であっ
た。血清 d-dimer 値は平均 57.1 µg/mlPT-INR 1.2
であった。既往歴もしくは治療中の疾病は高血圧症
を筆頭に心疾患,糖尿病,がん,認知症,脳梗塞な
どで,6 名が血液透析を受けており,6 名に脳室腹腔
シャント術の既往があった。また,31 名が抗血小板
薬,10 名が抗凝固薬,5 名が両方を内服していた。
神経外傷 Vol.37 2014
Table 1 Variables evaluated for prognostic significance in 92 elderly patients with traumatic brain injury
Category
Factor
Patient characteristics
Age, sex, hypertension, diabetes mellitus, hemodialysis, cerebral infarction, cardiac disease,
cancer, dementia, shunt operation, antiplatelets, anticoagulants
Admission clinical status
Glasgow Coma Scale, Glasgow Coma Scale-motor score, injury severity score, injury severity
score-brain score, acute physiology and chronic health evaluation 2 score, pupillary dilatation,
light reaction, systolic and diastolic blood pressure, heart rate, blood glucose, d-dimer, body
temperature
Admission skull X-ray
Cranial vault fracture, skull base fracture
Admission CT findings
Subdural hematoma, epidural hematoma, cerebral contusion, subarachnoid hemorrhage
Preoperative clinical course Mechanism of injury, talk and deteriorate
Surgery
Craniotomy, burr hole operation, intracranial pressure measurement

Page 44
114
神経外傷 Vol.37 2014
Table 2 baseline characteristics of the study patients
Characteristic
Value
Range
Age, mean ± SD, years
80.8 ± 4.9
75 93
Gender, males, no (%)
53 (57.6)
Mechanism of injury
Motor vehicle accident, n (%)
29 (21.7)
Fall, n (%)
54 (58.7)
Unknown, n (%)
9 (9.8)
Glasgow Coma Scale, mean ± SD
9.3 ± 4.7
3 15
3 5, n (%)
28 (30.4)
6 8, n (%)
16 (17.4)
9 13, n (%)
18 (19.6)
14 15, n (%)
30 (32.6)
Pupillary findings
Normal, n (%)
64 (69.6)
Unilaterally dilated, n (%)
18 (19.6)
Bilaterally dilated, n (%)
10 (10.9)
Light reaction
Prompt, n (%)
54 (58.7)
Sluggish, n (%)
18 (19.6)
Absent, n (%)
20 (21.7)
AIS Head, mean ± SD
4.0 ± 1.3
0 5
ISS
21.3 ± 9.5
0 57
Multiple injury, n (%)
9 (9.8)
APACHE 2 score, mean ± SD
17.7 ± 7.5
6 36
Systemic blood pressure, mean ± SD, mmHg
150.2 ± 33.4
68 224
Diastolic blood pressure, mean ± SD, mmHg
77.2 ± 17.3
30 124
Heart rate, mean ± SD, beat/min
88.3 ± 20.2
42 160
Blood glucose, mean ± SD, g/dl
170.6 ± 33.4
95 359
D-dimer, mean ± SD, µg/ml
57.1 ± 71.9
0.8 411
PT-INR, mean ± SD
1.20 ± 0.53
0.8 3.84
Past history or comorbidities
Hypertension, n (%)
46 (50)
Ischemic heart disease, n (%)
20 (21.7)
Diabetes mellitus, n (%)
17 (18.5)
Cancer, n (%)
13 (14.1)
Dementia, n (%)
12 (13.0)
Cerebral infarction, n (%)
10 (10.9)
Hemodialysis, n (%)
6 (6.5)
Ventriculoperitoneal shunt, n (%)
6 (6.5)
Antithrombotic Medication
Antiplatelet, n (%)
31 (33.7)
Anticoagulant, n (%)
10 (10.9)

Page 45
115
神経外傷 Vol.37 2014
Table 3 computed tomography findings
Location of lesion
n
%
TCDB Classification
n
%
AEDH
9
9. 8
Diffuse Injury I
10
10.9
ASDH
66
71.7
Diffuse Injury II
29
31.5
Pure ASDH
19
20.7
Diffuse Injury III
5
5.4
SAH
38
41.3
Diffuse Injury IV
0
0
Contusion
50
54.3
Evacuated mass lesion
42
45.7
No pathology
8
8.7
Nonevacuated mass lesion
6
6.5
Procedure
n
%
Craniotomy evacuation
38
41.3
Burr hole evacuation
18
19.6
Contusion necrotomy
7
7.6
External decompression
14
15.2
ICP sensor placement
26
28.3
Table 4 surgical procedures
tcDb: traumatic coma Data bank, AeDH: acute epidural hematoma, AsDH: acute subdural hematoma, sAH: subarachnoid
hemorrhage
icP: intracranial pressure
Table 5 outcome in relation to glasgow coma scale
Score
GR
MD
SD
VS
D
Total
3 5
0
2
10
1
15
28
6 8
1
0
11
1
3
16
9 13
0
3
10
0
5
18
14 15
6
12
8
0
4
30
Total
7
17
39
2
27
92
CT 所見は急性硬膜下血腫が最多で 70%を超え,脳
挫傷,くも膜下出血,硬膜外血腫の順で,20%余り
が他病変を伴わない急性硬膜下血腫のみであった。
TCDB 分類では evacuated mass lesion が半数弱を占
め,次いで Diffuse type II が多かった(Table 3)。頭
蓋単純写真で 23 名に頭蓋冠の骨折,10 名に頭蓋底
骨折を認めた。
44 名に対しのべ 103 件の手術治療を実施した
Table 4)。開頭術 38 件のうち 5 件は穿頭術に引き
続き施行した。頭蓋内血腫除去術の他に,挫傷脳除
去術を 7 件,外減圧術を 14 件実施し,脳圧計設置術
26 件であった。術後再出血に対し再手術を要した
3 名のうち 2 名に VP shunt の既往があった。
GCS 群別に転帰を示す(Table 5)。来院時 GCS
8 以下で転帰良好であったのは,受傷直後に痙攣を
きたした 1 名,Ⅲ度房室ブロックを伴ったもの 1 名,
急性アルコール中毒 1 名で,頭蓋内病変そのものに
よる意識障害ではなかった。換言すると頭蓋内病変
により重度の意識障害を呈する高齢者の転帰はきわ
めて不良である。一方,24 名が talk and deteriorate
の経過をたどり,11 名が死亡した。死亡 27 名のう
11 名が入院 5 日目以降の死亡であった。
各年齢層別に人数と交通外傷か否かの受傷機転を
示す(Fig.1)。転倒などの非交通外傷による受傷は 75
歳以上では 67.4%を占め,74 歳以下の 31.5%に比べ
有意に高率であった(p<0.001)。また,各年齢層別に
生死の転帰をみると(Fig.2),75 歳以上の死亡率は
27.2%で 74 歳以下の死亡率 11.6%に比べ有意に高率
であった(p<0.001)。
転帰に関して,各要因と転帰良好もしくは不良,
あるいは生存もしくは死亡の別に単変量解析を行っ
た(Table 6)。GCSGCS motor score,瞳孔散大,
手術,d-dimerPT-INRISS,頭部 AIS はいずれの
転帰評価においても有意であった。一方,性別,
gr: good recovery, mD: moderate disability, sD: severe
disability, Vs: persistent vegetative state, D: death

Page 46
116
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.1 cause of traumatic brain injury (tbi), traffic- vs.
non-traffic-related.
A non-traffic cause of tbi was more likely with increasing
age. Non-traumatic injury accounted for 67.4% of tbis in
patients aged 75 years or older compared with 31.5% in
patients younger than 75 years (p<0.001).
Fig.2 Age distribution of admitted head injury patients
and alive ⁄ dead outcome.
mortality increased with increasing age. mortality was
27.2% in patients aged 75 years or older compared with
11.6% in patients younger than 75 years (p<0.001).
APACHE 2 score,急性硬膜下血腫,脳挫傷,talk and
deteriorate の経過は転帰良好・不良に関して,対光反
射消失,心拍数,くも膜下出血,頭蓋冠骨折は生死
に関して有意差を認めた。多変量解析では,転帰良
好・不良に関しては,受傷機転,GCS,頭部 AIS,
talk and deteriorate の経過が,生死に関しては心拍
数,くも膜下出血が有意であった。
─────────────── 考  察
日本頭部外傷データバンク(Japan Neurotrauma
Data Bank: JNTDB)の報告によれば,わが国の頭部
外傷の年齢構成は,年を追う毎に高齢者へのシフト
が顕著となっている 6,18)2005 年から 2012 年の入院
患者を対象としたわれわれの検討は,1519 歳に最
多のピークがある点でプロジェクト 1998 に類似する
が,プロジェクト 2004, 2009 と同様に 5579 歳を中
心に幅広い第二のピークがみられる。大阪府北部郊
外のベッドタウンで比較的若年者が多いという当施
設の医療圏域の特性を反映した年齢構成と推察され
る。国内外の大規模スタディによると,高齢者の受
傷機転は転倒など非交通外傷が多数を占め,多発外
傷が比較的少なく 2,15,16)talk and deteriorate 症例が
多いことが特徴である 15)75 歳以上を対象としたわ
れわれの検討でも従来の報告と同様の結果であった。
高齢者頭部外傷の転帰は不良である 1,2,3,15,16,17,18)
Traumatic Coma Data BankTCDB)によれば 45
を境に転帰不良が増加し,その傾向は 55 歳を超える
と顕著となる 16)。転帰不良のオッズ比は 10 歳年齢
が上昇すると 4050%増加する 3)65 歳以上では転
帰不良が増加し,青壮年群に比べ重症例の死亡率は
40 倍近くに達する 2)。来院時の意識レベルが比較的
良好であっても若年群に比べ転帰が不良であり 1,14)
高次脳機能の低下も明らかで時間経過とともに認知
機能が悪化することが報告されている 12)
転帰不良因子として JNTDB プロジェクト 2009
75 歳以上,ISS 21 以上,GCS 8 以下,外傷性く
も膜下出血の存在,脳室内出血の存在 18)IMPACT
study では,年齢,GCS,瞳孔反応,TCDB 分類と
くも膜下出血,プロトロンビン時間を挙げている 7)
われわれは転帰良好・不良に加え,生死についても
評価した。これは受傷前に認知症等により日常生活
支障があり回復しても転帰不良に分類される患者が
少なからず含まれることを考慮したためである。多
変量解析では転帰良好・不良に関して,交通外傷,
GCSHead AIStalk and deteriorate の経過が,生死
に関して心拍数,くも膜下出血が有意であった。心
拍数増加はより高度の交感神経緊張,くも膜下出血
はびまん性損傷を反映したものと推測される。
D-dimer は二次線溶亢進の指標であり,脳組織損

Page 47
117
神経外傷 Vol.37 2014
Table 6-a univariate analysis between the two outcome groups
Factor
Outcome
fair or poor
alive or dead
Fair
n=25
Poor
n=67
p value
Alive
n=65
Dead
n=27
p value
Age
79.88 ± 0.97
81.1 ± 0.59
0.1654
80.51 ± 0.60
81.41 ± 0.94
0.2169
Sex, male (%)
76
50.8
0.0345
56.9
59.3
1
Mechanism, motor vehicle accident (%)
16
37.3
0.0762
29.2
37
0.4708
GCS
12.72 ± 0.84
7.99 ± 0.51
<0.0001 10.18 ± 0.556 7.074 ± 0.862
0.0016
GCS-motor score
5.36 ± 0.35
3.70 ± 0.22
<0.0001
4.52 ± 0.23
3.26 ± 0.35
0.0046
Dilated pupils (%)
0
16.4
0.0318
6.15
25.9
0.0132
Absent light reaction (%)
8
26.9
0.0855
15.4
37
0.0286
Systolic BP
152.8 ± 6.7
149.2 ± 4.1
0.909
149.4 ± 4.2
152.1 ± 6.5
0.5915
Diastolic BP
81.5 ± 3.4
75.6 ± 2.1
0.2743
77.1 ± 2.2
77.5 ± 3.4
0.8179
Heart rate
86.6 ± 4.0
89.0 ± 2.5
0.4555
84.4 ± 2.40
97.8 ± 3.7
0.0015
Blood glucose
170.8 ± 11.5
170.5 ± 7.1
0.7354
167.8 ± 7.1
177.5 ± 11.2
0.5531
Body temperature
35.99 ± 0.20
35.94 ± 0.12
0.8296
36.03 ± 0.12
35.77 ± 1.19
0.2246
Any surgery (%)
8
62.7
<0.0001
38.4
70.3
0.0064
Reoperation (%)
0
7.5
0.3181
7.7
0
0.3165
D-dimer
29.1 ± 14.0
67.7 ± 8.6
0.012
40.7 ± 8.4
96.1 ± 13.0
0.0083
PT-INR
1.07 ± 0.10
1.25 ± 0.06
0.0127
1.12 ± 0.06
1.36 ± 0.10
0.0028
ISS
13.2 ± 1.7
24.2 ± 1.0
<0.0001
18.8 ± 1.1
27.1 ± 1.7
0.0007
Head AIS
2.9 ± 0.2
4.5 ± 0.1
<0.0001
3.8 ± 0.2
4.7 ± 0.2
0.001
APACHE 2 score
14.0 ± 1.4
19.2 ± 0.9
0.0035
16.8 ± 0.9
20.3 ± 1.4
0.0627
Multiple injury (%)
8
10.5
1
6.2
18.5
0.1169
Acute subdural hematoma (%)
44
82.1
0.0006
66.2
85.2
0.0784
Cerebral contusion (%)
36
61.2
0.0366
47.7
70.4
0.0657
Subarachnoid hemorrhage (%)
32
44.8
0.3435
32.3
63
0.0101
Acute epidural hematoma (%)
4
11.9
0.43555
10.8
7.4
1
Cranial vault fracture (%)
12
29.9
0.1058
18.5
40.7
0.0346
Skull base fracture (%)
16
9.1
0.4532
9.4
14.8
0.4755
Talk and deteriorate (%)
4
34.3
0.0027
20
40.7
0.0659
Hypertension (%)
48
50.8
1
52.3
44.4
0.6475
Diabetes mellitus (%)
24
16.4
0.5463
20
14.8
0.7693
Cerebral infarction (%)
12
10.5
1
7.4
12.3
0.7176
Cardiac disease (%)
16
23.9
0.5724
29.6
18.5
0.2724
Dementia (%)
8
13.4
0.7209
7.4
13.9
0.498
Ventriculoperitoneal shunt (%)
4
7.5
1
0
9.2
0.1748
Cancer (%)
12
14.9
1
7.4
16.9
0.3317
Hemodialysis (%)
12
4.5
0.3389
9.2
0
0.1748
Antiplatelet (%)
32
34.3
1
30.8
40.7
0.4679
Anticoagulant (%)
4
13.4
0.2762
9.2
14.8
0.4719
gcs: glasgow coma scale, bP: blood pressure, Pt-iNr: prothrombin time-international normalized ratio, iss: injury
severity score, Ais: abbreviated injury scale, APAcHe: acute physiology and chronic health evaluation

Page 48
118
傷を反映し重症頭部外傷で上昇する。Talk and
deterior ate 症例においても有意に高値であると報告
され 8),意識レベルや CT 所見によらない予後因子
として有用と思われる。著しい高値の場合,術中止
血困難をきたすことがあるため,穿頭術を先行して
意図的に数時間待機後に開頭術を行うという治療戦
略があり,当施設でも実施している。
高齢頭部外傷患者が転帰不良である原因に関して
さまざまな検討がある。集約すると,二次性脳損傷
を増悪させる要因として,脳組織および血管の脆弱
16),脳血管の自動調節能の低下 1),血管内皮の損
傷への感受性増加 19)など,二時性脳損傷を増悪させ
る要因の存在,さらに,受傷前の日常生活動作の低
下や制限,呼吸循環器系をはじめとする全身合併症,
抗凝固 9,10)・抗血小板療法 17)の実施,積極的治療か
ら撤退も挙げられる。
虚血性心・脳血管障害の既往から抗血小板薬や抗凝
固薬を服用する患者は高齢者に多く,頭蓋内出血を
きたせば転帰は不良である 11)。意識レベルが良くて
も厳重な注意が必要である 4)。今回の検討でも 40
近くの患者がいずれかを内服しており,転帰に有意
差を認めなかったものの血小板や血漿製剤,ビタミ
K等の投与を要した。
高齢であるというだけでは手術治療の対象外とは
ならず,JNTDB の検討では積極的治療の施行率は
むしろ増加している 18)。しかしながら手術症例の転
帰は不良であり,手術を要する器質的病変自体が転
帰不良の要因と解釈することができる。また,6
に脳室腹腔シャント術の既往があったことは興味深
い。対照群との比較はないが,シャント術を要する
病態そのものが転倒の要因であったかもしれず,ま
た脳室圧の低下が急性硬膜下血腫発症の誘因となっ
た可能性がある。再手術を要した術後出血 3 例のう
2 例はシャント術の既往があり,再手術後シャン
ト圧調整や一時的閉鎖により軽快をみた。
ガイドラインによれば,受傷前の日常生活が自立
しており,合併外傷を考慮しても手術可能と判断さ
れる場合は,一般成人に準じて手術適応を考慮して
よい 5)。とくに脳挫傷を伴わない急性硬膜下血腫で
は,早期手術が奏功すると期待されるが,deteriorate
後に搬送されることが多く急速に症状悪化をきたし
手術が間に合わないこともある。当施設では,意識
清明で来院し,深夜に急性心筋梗塞に対する緊急心
血管インターベンション,抗血小板剤の急速飽和を
実施後,未明に意識レベルが低下した急性硬膜下血
腫例を経験した。緊急開頭術を施行するも転帰は SD
であった。急性心筋梗塞発症時に意識消失をきたし
頭部を打撲していたことが判明した。一方,重度の
全身合併症や認知症のため,家族が手術治療を忌避
される場合もある。手術適応にはさまざまな要因を
考慮する必要があり,その判断は容易ではない。
頭蓋内病変に対する手術治療を完遂しても,高齢
者においては術後合併症の予防,既往症の治療のた
め,呼吸・循環をはじめとした集中治療や早期離床
をめざした積極的なリハビリテーションがとくに重
要である。このためには診療科や職域を超えた多領
域のチームアプローチが望まれる。
1Czosnyka M, Balestreri M, Steiner L, et al: Age, intracranial
pressure, autoregulation, and outcome after brain trauma. J
Neurosurg 102: 450-454, 2005.
神経外傷 Vol.37 2014
Table 6-b Logistic regression analysis of probability of
favorable ⁄ unfavorable outcome or alive ⁄ dead
Favorable ⁄ unfavorable
Factor
Odds
95% CI
p
Head AIS
0.2
0.023 0.843
0.0232
GCS
1.6
1.13 2.54
0.0066
Mechanism
12.5
1.79 149.7
0.0089
Talk and deteriorate
66.3
2.80 16115.1
0.0043
Alive ⁄ dead
Factor
Odds
95% CI
p
Heart rate
1.04
1.00 1.08
0.0439
SAH
9.02
1.79 65.79
0.006
Ais: abbreviated injury scale, gcs: glasgow coma scale,
sAH: subarachnoid hemorrhage

Page 49
119
2Flaada JT, Leibson CL, Mandrekar JN, et al: Relative risk of
mortality after traumatic brain injury: a population-based study
of the role of age and injury severity. J Neurotrauma 24: 435-
445, 2007.
3Hukkelhoven CW, Steyerberg EW, Rampen AJ, et al: Patient
age and outcome following severe traumatic brain injury: an
analysis of 5600 patients. J Neurosurg 99: 666-673, 2003.
4Itshayek E, Rosenthal G, Fraifeld S, et al: Delayed post-
traumatic acute subdural hematoma in elderly patients on anti-
coagulation. Neurosurgery 58: 851-856, 2006.
5) 重症頭部外傷治療・管理のガイドライン作成委員会:高
齢者重症頭部外傷. 重症頭部外傷治療・管理のガイドラ
イン第 3 , 医学書院, 東京, 2013, pp150-154.
6) 亀山元信, 刈部博, 川瀬誠, ほか:重症頭部外傷の年齢構
成はどのように変化してきたのか?:頭部外傷データバ
ンク【プロジェクト 1998, 2004, 2009】の推移. 神経外傷
36: 10-16, 2013.
7Murray GD, Butcher I, Mchugh GS, et al: Multivariable
Prognostic Analysis in Traumatic Brain Injury: results from
the IMPACT Study. J Neurotrauma 24: 329-337, 2007.
8) 中江竜太, 高山泰広, 小川太志, ほか:Talk and Deteriorate
の経過を呈した頭部外傷患者における D-dimer の検討.
日救急医会誌 25: 247-253, 2014.
9Pieracci FM, Eachempati SR, Shou J, et al: Use of long-term
anticoagulation is associated with traumatic intracranial
hemorrhage and subsequent mortality in elderly patients
hospitalized after falls: analysis of the New York State
Administrative Database. J Trauma 63: 519-524, 2007.
10Pieracci FM, Eachempati SR, Shou J, et al: Degree of anti-
coagulation, but not warfarin use itself, predicts adverse
outcomes after traumatic brain injury in elderly trauma
patients. J Trauma 63: 525-530, 2007.
11) 榊原陽太郎, 伊藤英道, 内田将司, ほか:抗血小板薬ある
いは抗凝固薬服用者の外傷性急性硬膜下血腫の検討.
経外傷 35: 147-154, 2012.
12Senathi-Raja D, Ponsford J, Schönberger M: Impact of age on
long-term cognitive function after traumatic brain injury.
Neuropsychology 24: 336-344, 2010.
13) 総務省統計局:人口推計. 平成 26 8 月報 http://www.
stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201408.pdf accessed 2014.9.25
14Susman M, DiRusso SM, Sullivan T, et al: Traumatic brain
injury in the elderly: increased mortality and worse functional
outcome at discharge despite lower injury severity. J Trauma
53: 219-224, 2002.
15Tokutomi T, Miyagi T, Ogawa T, et al: Age-associated
increase in poor outcomes after traumatic brain injury: a report
from the Japan Neurotrauma Data Bank. J Neurotrauma 25:
1407-1414, 2008.
16Vollmer DG, Torner JC, Jane JA, et al: Age and outcome
following traumatic coma: why do older patients fare worse? J
Neurosurg 75: S37-49, 1991.
17Wong DK, Lurie F, Wong LL: The effects of clopidogrel on
elderly traumatic brain injured patients. J Trauma 65: 1303-
1308, 2008.
18) 横堀將司, 荒木尚, 恩田秀賢, ほか:高齢者重症頭部外傷
に対する積極的治療と患者転帰の変遷:頭部外傷データ
バンク【プロジェクト 1998, 2004, 2009】における検討.
神経外傷 36: 76-85, 2013.
19Yokota H, Atsumi T, Araki T, et al: Cerebral endothelial
injury in elderly patients with severe head injury measured by
serum thrombomodulin and von Willebrand factor. Neurol
Med ChirTokyo47: 383-388, 2007.
小畑 仁司
(大阪府三島救命救急センター)
〒569-1124 高槻市南芥川町 11-1
TEL: 072-683-9911 / FAX: 072-683-6111
E-mail: neu035@poh.osaka-med.ac.jp
神経外傷 Vol.37 2014

Page 50
神経外傷 Vol.37 2014
腕神経叢損傷 54 例の臨床検討
松山 武  竹綱 成典  田中 寛明
下岡 直  藤岡 政行  知禿 史郎
若草第一病院 脳神経外科
Key words :
Brachial plexus injury
Neurolysis
Nerve action potentials
Nerve repair
Received September 26, 2014
Accepted December 26, 2014
Neurotraumatology 37: 120127, 2014
clinical analysis of 54 patients
with brachial plexus injury
tAkesHi mAtsuyAmA, sHigeNori tAketsuNA, HiroAki tANAkA,
NAo sHimookA, mAsAyuki FujiokA, sHiro cHitoku
Department of Neurosurgery, Wakakusa-Daiichi Hosipital
brachial plexus injury is usually very complex, involving
both spinal nerve and spinal root ruptures, and accompanied
with avulsion of one or several roots from the spinal cord.
it occurs mainly in young individuals and may leads to
devastating neurological dysfunction in affected patients.
Despite the experience with regards to the treatment of
brachial plexus injury increases over the last decades, the
functional outcome had been quite limited even in healthy
young patients. recently, all reconstructive procedures
includ ing nerve grafting and neurotization have been
providing satisfactory results. we analyze various factors
in 54 patients with bPi and discuss about treatment and
outcome. As a result, acute repair with sharp injury is best
and provided good function in 75% of damaged elements.
Neurolysis using nerve action potential is credible, can
avoid unnecessary nerve repair and provided good
outcome (91%) in stretch injury. useful recovery (87%) in
nerve repair was obtained. in this study, favorable
outcome in restoration of shoulder and elbow function was
obtained by choosing optimal surgical method in some
type of brachial plexus injury. in the future, restoration of
distal hand function due to c5 – t1 injury and root avulsion
is essential.
120
─────────────── はじめに
腕神経叢損傷(brachial plexus injury)は,通常,脊
髄神経,神経束および神経の伸展損傷を主体とする
が,時に脊髄神経,神経根の断裂(rupture)または引
き抜き損傷(root avulsion)を伴い,非常に複雑な神
経症状を呈し,重度の神経後遺症を残す。昨今,治
療法はめまぐるしく進歩しており,神経外科医に
とっては,興味深く,挑戦的な分野である。今回
我々は,今まで 54 例の腕神経叢損傷を経験したので
臨床検討を行い,最近の知見について述べる。
────────────── 患者・方法
症例は,1998 6 月〜2014 3 月までに,入院
治療を行った 54 例の腕神経叢損傷の患者である。
患者全員に詳細な病歴と理学的所見を取り,頚部,
肩,胸部および上肢の放射線診断,筋電図,および
神経伝達速度測定を行った。治療の目的は,上肢,
肩および手の運動機能を最大限に回復させることで
あり,第一の目標として肘の屈曲と肩の外転機能の
再建があげられる。治療のアルゴリズムとして,鋭
的損傷または血管損傷を伴う例には,緊急手術によ
原  著
神経外傷 372014120 127
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 51
121
る神経修復術を行う。閉鎖損傷で伸展損傷による例
には,損傷後 3 ヵ月間は自然回復を期待して保存的
に治療を行い,経時的に検査をして損傷の評価を行
う。引き抜き損傷であると確定診断がついた時点で,
3 ヵ月を待つことなく早期に修復術を行う(Fig.1)。受
傷後 4 ヵ月経っても臨床的に有効な回復が認められ
ない症例に対して,手術治療を行う方針とした。不
完全麻痺例に対しては,神経剥離術(neurolysis)を行
う。完全麻痺例に対しては,術中活動電位(NAPs
を測定し,NAPs が認められれば,神経剥離術を行
い,認められなければ損傷部位を切除し,神経移植
術(nerve grafting)または,神経移行術(nerve transfer,
neurotization)を行う。損傷部位が,椎間孔より遠位
にあり,中枢端として組織が健常であるとき,移植
神経として腓腹神経を採取し神経移植術を施行する。
中枢端が,神経根の引き抜き損傷となっているか,
損傷によりそれを用いることができないとき,肋間
神経または副神経を用いた神経移行術を施行する。臨
床評価は,下記の Medical Research CouncilMRC
grades を用いて治療前後に行った。
Medical Research CouncilMRCgrades
5normal: 強い抵抗を加えても,重力にうちかっ
て関節を正常可動域いっぱいに動かす
ことのできる筋力がある。
4good): かなりの抵抗を加えても重力にうち
かって正常な関節可動域いっぱいに動
かす筋力がある。
3fair:
抵抗を加えなければ重力にうちかって
正常な関節可動域いっぱいに動かすこ
とができる。しかし,抵抗が加わると
関節が全く動かない。
2poor): 重力をはぶけば正常な関節可動域いっ
ぱいに関節を動かす筋力がある。
1trace:
筋肉の収縮は認められるが関節の運動
は全く生じない。
0zero): 筋肉の収縮が全く認められない。
臨床評価は,Excellent G5good G3–G4fair G2
および poor G0–G1 であり,良好な機能回復(useful
recovery)は G3 以上に回復したものとした。
さらに,損傷の原因と損傷の種類と型,治療の成
績の臨床検討を行った。
─────────────── 手術方法
術式には神経剥離術と神経修復術がある。神経修
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.1 Algorithm of management of bPi.
bPi:brachial plexus injury, mmt:manual muscle testing, g:grade, Ncs: nerve conduction study, emg: electromyography

Page 52
122
復術には,神経縫合術,神経移植術,神経移行術に
分けられる。
1〕神経剥離術
神経が損傷を受けると,血液や浸出液等による反
応性の炎症のため周囲の結合組織と癒着が生じ神経
伝達機能が障害される。その癒着を神経から剥離除
去したり,神経腫(neuroma)から神経を剥離するの
が神経剥離術である。
2〕神経修復術
1)神経縫合術(Fig.2-A)
鋭的剥離が基本であり神経断端を瘢痕化した軟部
組織から剥離し,正常の神経周膜および神経線維束
が確認されるまで整える。神経断端は十分に可動性
をもたせ縫合部位において緊張が加わらないように
し,神経上膜どうし適切な解剖学的配列を保って縫
合する。過剰な縫合はより瘢痕形成を助長するので
最小限に控える。受傷早期の鋭的かつ汚染のない断
裂に対しては神経縫合術が通常可能である。欠損が
小さい時には,この修復法が非常に有効である。
2)神経移植術(Fig.2-B)
損傷された部位を切除した後は,nerve gap が生じ
る,直接の神経縫合では修復部位に緊張がかかり適
切な修復ができない際に神経移植が行われる。損傷
された部位や神経腫を切除し,神経の中枢および遠
位断端を縫合に適するように整える。移植神経は採
取しても重篤な合併症をきたさない知覚神経を用い
る。腓腹神経,内側前腕皮神経,外側前腕皮神経,
橈骨神経の表在知覚神経などである。移植神経は直
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.2-A Neurorraphy.
Fig.2-B Nerve grafting.
Fig.2-C Nerve transfer (Neurotization).

Page 53
123
接表面から血流の再支配を受けるゆえ径が小さい方
が良く,複数の神経を用いたケーブル神経移植が行
われる。通常,各々のグラフトに対して 2, 3 針の縫
合でよい。
3)神経移行術(Fig.2-C)
損傷神経の中枢断端が用いることができない際に,
中枢側の神経として正常な神経を用いて神経移行術
が選択される。移行する神経は,肋間神経,副神経,
横隔神経,尺骨神経の一部が用いられる。近年よく
用いられている Oberlin's method は神経移行術の一
種で,C5 6 injury または C5 6 7 injury で尺骨神経
の機能が保たれているとき,その 1 本に神経束を用
いて,筋皮神経に縫合するものである 20)。神経筋接
合部の近位部で神経縫合を行うので,機能回復に要
する期間も通常の神経移行術より短い。
─────────────── 結  果
1〕患者分布
今回の臨床検討では,男性 33 人(61.1%)と女性
21 人(38.9%)であり,男性優位を示していた。年齢
は,575 歳で平均 33.4 歳であった(Fig.3-A)。10
40 歳台までと 60 歳台以上に 2 つのピークが認めら
れた。原因では,38 例が交通事故によるものであっ
た(71%)。その中には歩行者の受傷も 7 例(13%)も
含まれていた(Fig.3-B)。受傷から治療までの期間
は,1 日〜3 7 ヵ月,平均 26.2 週であった。治療
後の観察期間は,6 ヵ月〜15 年,平均 37 ヵ月であっ
た。
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.3-A Age distribution of bPi.
Fig.3-B causes of bPi.
bPi: brachial plexus injury

Page 54
● Sharp & open injury
● Transection (stab) 7% (3 cases)
● Piercing
2% (1 case)
● Blunt & closed injury
● Stretch injury
81% (44 cases)
Avulsion
6% (3 cases)
● Compression
10% (6 cases)
124
2〕損傷の種類と損傷高位分類
鋭的開放損傷は,刺傷による切断が 3 例(7%),針
挿入による損傷が 1 例(2%)であった。
鈍的閉鎖的損傷は,伸展損傷(stretch injury44
81%)で,そのうち引き抜き損傷を伴ったのは 3
6%)であり,続いて医原性 1 例,直接の打撲 3 例,
鎖骨下動脈損傷による血腫による圧迫 2 例の 6
10%)であった(Table 1)。48 例(89%)が鎖骨上腕
神経叢損傷であり,6 例(11%)が鎖骨下腕神経叢損
傷であった。腕神経叢損傷の型は次のようであった。
C5 6 injury 24 例(45%),C5 6 7 injury 4 例(7%),
C5–T1 injury 7 例(13%)(そのうち 3 例に神経根引
き抜き損傷を認めた),C8 ⁄ T1 injury 13 例(24%),
Cord to nerve injury 6 例(11%)であった(Fig.4)。
3〕合併損傷
54 例中 31 例(57.4%)に重度の合併症を伴った。
重症頭部外傷が,23 例(43%)と最も多く認められた。
次いで肋骨骨折 19 例(35%)と血胸 7 例(13%)と胸
部外傷が認められた。他に脊椎損傷 5 例(9%),腋窩
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.4 Pattern of injury.
Table 1 type of injury
Table 2 Associated injuries
Injury
Number ⁄ Percentage
Closed head injury
23 (43%)
Spine fracture
5 (9%)
Spinal cord injury
3 (6%)
Vascular injury
3 (6%)
Clavicle fracture
5 (9%)
Scapular fracture
4 (7%)
Hemothorax
7 (13%)
Rib fracture
19 (35%)
Other extremity fracture
11 (20%)

Page 55
125
動脈損傷 3 例(6%),脊髄損傷 3 例(6%)と認められ
た(Table 2)。
4〕治療タイプと成績
1)鋭的損傷
4 例の鋭的損傷に対して,1 例は部分的神経損傷で
あったためか,保存的加療で excellent まで回復し
た。縫い針による損傷では抜去することにより
excellent まで回復した。ナイフによる損傷の 2 例に
対して,神経縫合術と神経移植術を行い,good の成
績を得た。全例の useful recovery を得ることができ
た。
2)鈍的閉鎖損傷
3 ヵ月の保存的加療で 26 例(48%)が useful re -
covery に改善した。24 例(44%)に対して外科的治
療を施行した。24 例(44%)で 76 elements の神経剥
離術(16 例には神経剥離術のみ,8 例は神経修復術と
同時に別の部位に対して神経剥離を施行)を,8
15%)に神経修復術を施行した。神経修復術におい
ては,6 例の神経移植術と 2 例の神経移行術を行っ
た。
神経剥離術を行った 24 例中 22 例( 92%),76
elements 69 elements 例(91%)が useful recovery
にまで回復した。C5 6 7 injury C5–T1 injury
2 例のみ poor outcome であった(Fig.5)。特に C8
T1 injury 13 例においては,保存的加療を 10 例に
施行し,しびれ,痛みの慢性疼痛に対する神経剥離
術を 3 例に行った。1例に excellent 2 例に good
outcome を得た。その結果 92%に useful recovery
得た。慢性疼痛に関しては,C8 ⁄ T1 injury において
慢性期に認められただけで,他の損傷型では認めら
れなかった。
神経修復術を 5 例の C5 6 injury に対して神経移
植術を行った。4 例に excellent 1 例に good
outcome を得た。1 例の腋窩神経損傷に神経移植を
行い,excellent outcome を得た。神経移行術を 2
に施行し,その内訳は,副神経-肩甲神経移行術と
肋間神経-筋皮神経を 1 例ずつであった。副神経-
肩甲神経移行術は good outcome であり,肋間神経-
筋皮神経移植術の 1 例が fair outcome であった。神
経修復例 8 例中 7 例(87%)が useful recovery に回復
した(Fig.6)。
─────────────── 考  察
腕神経叢損傷は主に若年者に起こり,神経根,脊
髄神経にさまざまは損傷が混在し多彩な症状を呈し,
悲惨な神経学的傷害を残す。多発外傷における腕神
経叢損傷の発生率は,約 1.2%である 16)。今回の検
討では,従来の報告のように,10 歳,20 歳代にピー
クがあるのでなく 10)10 歳から 40 歳未満が 60.7
であるピークと,60 歳以上にもピークが認められ
た。これは,損傷の異なった機序によるものと考え
られる。10 歳代から 40 歳未満では,自動車に乗車
時の事故,60 歳以上では歩行者における交通外傷
で,自動車等との接触で転倒し,肩を打撲したとき
に生ずる神経損傷である。
高位分類:閉鎖性損傷のメカニズムの大部分は,伸
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.5 Neurolysis and outcome.
(24 cases, 76 nerve elements)
Fig.6 Nerve repair and outcome.
(8 cases)

Page 56
126
展によるものであるため損傷した神経の組み合わせ
にある程度の傾向がある。これは,臨床上重要で,
患者の予後にも関与する(Fig.4)。鎖骨上損傷と鎖骨
下損傷に大別できる。
1〕鎖骨上損傷
C5 – C6 injury腕神経叢損傷全体の約 20%を占
める。棘上,棘下筋,三角筋,上腕二頭筋,上腕筋,
腕橈骨筋,回外筋の障害が起こる。肩の外転,肘の
屈曲が障害される。重症なことの多い腕神経叢損傷
の中では最も良好な予後を示す群である。神経根の
引き抜きを伴うことは比較的低い。36 ヵ月で,約
30%の患者が自然回復を示す。損傷部切除後の中枢
側断端は,神経修復に用いることがほとんど可能で
あるので,神経移植術(nerve grafting)を行うことが
多く,神経移行術(neurotization)を要することは少
ない。前腕の屈曲(上腕二頭筋)の改善は,肩の外転
よりも良好である。useful recovery は,85.787
とされる 2,5,6,8)
C5 6 7 injury腕神経叢損傷全体の約 1520
を占める。C5–C6 型に上腕三頭筋(triceps)の肘関節
の伸展障害が加わる。手指の伸展,屈曲障害は常に
認められるとは限らない。自然回復は C5–C6 型よ
りも低い。通常,1 つの神経根は引き抜き損傷を合
併することが多いので,上腕および肩の機能改善は
ある程度制限される。神経移植が行われるが,2
以上の神経根の引き抜き損傷があるときは,神経移
行術で補わなければならない。予後は引き抜き損傷
の有無によって左右される。前腕機能の回復は良好
である。肘の伸展は,部分回復に留まる。useful
recovery は,5885.1%とされる 2,5,6,8)
C5 –T1 injury従来の報告では,最も多い損傷
型であり,全体の 4050%を占める。重篤な上肢の
完全麻痺を呈し,自然回復はほとんど望めない。障
害された神経根の約半分は引き抜き損傷を伴ってい
る。C5, C6 の引き抜き損傷は比較的少ないので神経
移植で再建可能である。しかしながら,すべての神
経幹および神経束の再建は不可能であり,全レベル
で引き抜き損傷のある場合は,神経移行術に頼らざ
るを得ない。機能回復には厳しい制限がある。三角
筋,上腕二頭筋,上腕筋の部分的回復は 40%,上腕
三等筋の部分的回復は 3018)useful recovery は,
34.943%とされる 1,2,5,6,8,15)
2〕鎖骨下損傷
このタイプの損傷は,鎖骨上損傷と比べて頻度は
多くない。通常,重度の損傷であり,他に肩または
上腕骨の脱臼,骨折,血管損傷を伴っていることが
多い。全体の 20%前後である。腋窩神経の損傷との
組み合わせが最も多くみられる。自然回復は極めて
まれであり,多くの場合神経修復を必要とする。神
経遠位まで損傷が及んでいることがあり,その場合
には予後は良くない。useful recovery は,70%前後
とされている 18)
今回の検討で注目すべきことは,C8 ⁄ T1 injury
13 例(24%)と高頻度にみられたことである。Kline
の報告では,C8 ⁄ T1 injury 204 例中 6 例(2.8%)
に認められただけである 13)Kaiser の報告では,84
例中 2 例(2%)である 11)。この差異は,患者の医療
機関への受診様式の違いによるものと思われる。当
院は,多発外傷センターを兼ね備えていることもあ
り,軽微から重症に至るまでの腕神経叢損傷の患者
が,現場から直接搬送される。今回 3 例に対して神
経剥離術を施行した。筋力低下と痛み,しびれ等の
慢性疼痛の除去を目的とするものであり良好な結果
を得たが,臨床的に似かよった胸郭出口症候群との
原因関係を示唆する興味深いものである。胸郭出口
症候群の原因の 1 つに,外傷の関与が報告されてお
4,14),軽傷な腕神経叢損傷が胸郭出口症候群へ移
行する可能性が示唆されるものと思われた。
合併損傷として,重傷頭部外傷と胸部損傷が多く
認められる 11,16)。我々も頭部外傷が 43%と最も多く
認められた。ところが,今回の検討で C8 ⁄ T1 injury
では,合併損傷がないことが多かった。症状が軽微
であれば,見逃される可能性もあり,むち打ち症と
誤って診断される可能性もある 7,21)。初療における
アセスメントで,軽微な腕神経叢損傷には十分な注
意が必要と思われる。
これまでの治療成績で神経移植術では,57.412)
から 6322)829)useful recovery が得られ,神
経移行術においては,733)から 7519)9122)
969)useful recovery と報告されている。今回我々
の症例で,87%に useful recovery を得られたことは,
満足いく結果であると思われる。今までは,神経移
神経外傷 Vol.37 2014

Page 57
127
植と神経移行術の成績は同等とされ,中枢側神経の
状態で選択されていたが,Oberlin's method の普及
により,神経再生の時間が短縮され,早期に機能改
善することが証明されることにより神経移行術がこ
れからの神経修復の基本となる兆しがみえてきてい
17)
─────────────── 結  語
腕神経叢損傷 54 例の臨床検討を行った。神経損傷
に対する治療法は,今まさに新たな発展期に入って
いる。今後更なる治療の改善により,患者予後の向
上を目指したい分野と考える。
1Antoniadis G, Richter HP: Neurotization for brachial plexus
lesions. Zentralbl Neurochir (suppl) 66: 1995 (abstr).
2Bentolila V, Nizard R, Bizot P, et al: Complete traumatic
brachial plexus palsy. Treatment and outcome after repair. J
Bone Joint Surg Am 81: 20-28, 1999.
3Bhatia A, Shyam AK, Doshi P, et al: Nerve reconstruction: A
cohort study of 93 cases of global brachial plexus palsy. Indian
J Orthop 45: 153-160, 2011.
4Dubuisson A, Lamotte C, Foidart-Dessalle M, et al: Post-
traumatic thoracic outlet syndrome. Acta Neurochir (Wien)
154: 517-526, 2012.
5Dubuisson AS, Kline DG: Brachial plexus injury: a survey of
100 consecutive cases from a single service. Neurosurgery 51:
673-682, 2002.
6Dvali L, Mackinnon S: Nerve repair, grafting, and nerve
transfers. Clin Plast Surg 30: 203-221, 2003.
7Ferrari R, Bohr T, Wilbourn AJ: Thoracic outlet syndrome
(TOS) is one of the traumatic complications of whiplash
injury. J Spinal Disord Tech 15: 334-335, 2002.
8Fogarty BJ, Brennen MD: Upper root brachial plexus trauma;
patient selection and reconstruction. Injury 33: 57-62, 2002.
9Garg R, Merrell GA, Hillstrom HJ, et al: Comparison of
nerve transfers and nerve grafting for traumatic upper plexus
palsy: a systematic review and analysis. J Bone Joint Surg Am
93: 819-829, 2011.
10Jain DK, Bhardwaj P, Venkataramani H, et al: An epidemio-
logical study of traumatic brachial plexus injury patients treated
at an Indian centre. Indian J Plast Surg 45: 498-503, 2012.
11Kaiser R, Mencl L, Haninec P: Injuries associated with serious
brachial plexus involvement in polytrauma among patients
requiring surgical repair. Injury 45: 223-226, 2014.
12Kline DG: Perspective concerning brachial plexus injury and
repair. Neurosurg Clin N Am 2 (1): 151-164, 1991.
13Kline DG, Hudson AR: Nerve injuries: Operative Results
from Major Nerve Injuries, Entrapments, and Tumors.
Philadelphia, WB Saunders, 1995, pp101-115.
14Lee TY, Cho HM, Kim YJ, et al: A case of traumatic thoracic
outlet syndrome. Korean J Thorac Cardiovasc Surg 45: 412-
414, 2012.
15Leechavengvongs S, Wittoonchart K, Uerpairrojkit C, et al:
Nerve transfer to biceps muscle using a part of the ulnar nerve
in brachial plexus injury (upper arm type): a report of 32 cases.
J Hand Surg Am 23: 711-716, 1998.
16Midha R. Epidemiology of brachial plexus injuries in a multi-
trauma population. Neurosurgery 40: 1182-1189. 1997.
17Moore AM: Nerve Transfers to Restore upper Extremity
Function: A Paradigm Shift. Front Neurol 5: 40, 2014.
18Narakas A: Surgical treatment of traction injuries of the
brachial plexus. Clin Orthop 133: 71-90, 1978.
19Noaman HH, Shiha AE, Bahm J: Oberlin's ulnar nerve
transfer to the biceps motor nerve in obstetric brachial plexus
palsy: indications, and good and bad results. Microsurgery 24:
182-187, 2004.
20Oberlin C, Beal D, Leechavengvongs S, et al: Nerve transfer to
biceps muscle using a part of ulnar nerve for C5-C6 avulsion of
the brachial plexus: anatomical study and reportof four cases. J
Hand Surg Am 19: 232-237, 1994.
21Schenardi C: Whiplash injury. TOS and double crush
syndrome. Forensic medical aspects. Acta Neurochir Suppl
92: 25-27, 2005.
22Yang LJ, Chang KW, Chung KC: A systematic review of
nerve transfer and nerve repair for the treatment of adult upper
brachial plexus injury. Neurosurgery 71: 417-429, 2012.
松山 武
(若草第一病院 脳神経外科)
〒579-8056 大阪府東大阪市若草町 1-6
TEL: 072-988-1428 / FAX: 072-982-5425
神経外傷 Vol.37 2014

Page 58
神経外傷 Vol.37 2014
顔面外傷に対する外頚動脈塞栓術:
6 症例の検討
長嶋 宏明 1
相原 英夫 1
当麻 美樹 2
高岡 諒 3
甲村 英二 4
1 兵庫県立加古川医療センター 脳神経外科
2 兵庫県立加古川医療センター 救命救急センター
3 製鉄記念広畑病院 救急科
4 神戸大学大学院医学研究科 脳神経外科学分野
Key words :
Oronasal bleeding
Craniofacial injury
Transarterial embolization
Received September 12, 2014
Accepted December 5, 2014
Neurotraumatology 37: 128133, 2014
transarterial embolization for traumatic
severe oronasal bleeding: report of 6 cases
HiroAki NAgAsHimA1, HiDeo AiHArA1, yosHiki toHmA2,
mAkoto tAkAokA3, eiji koHmurA4
Department of 1Neurosurgery and 2Acute Care Medical Center,
Hyogo Prefectural Kakogawa Medical Center
3Department of Himeji Emergency, Trauma and Critical Care Center,
Steel Memorial Hirohata Hospital
4Department of Neurosurgery, Kobe University School of Medicine
intractable oronasal bleeding can be caused by severe
craniofacial injury, and its treatment is often difficult. we
report six cases of traumatic intractable oronasal bleeding,
which were treated with transarterial embolization using
gelfoam or a platinum coil, and evaluate the efficacy of the
endovascular treatments. in all six cases, the oronasal bleed -
ing was controlled by transarterial embolization of the
external carotid artery. there were no embolic complica -
tions, and the patients' circulatory dynamics subsequently
stabilized. three cases underwent decompressive craniecto -
my and evacuation of hematoma. the outcomes were good
recovery (n=1), severe disability (n=1), a vegetative state
(n=3), and death (n=1).
Although the neurological prognosis depended on the
type of intracranial injury, there were no major complica -
tions related to the endovascular treatment, and the bleeding
could be controlled. endovascular treatment is an acceptable
treatment for intractable oronasal bleeding due to severe
craniofacial injury.
128
─────────────── はじめに
頭蓋顔面外傷の 111%に致死的な口腔内や鼻出
血を合併するとされ 2,7),その出血コントロールは,
時として,初期治療の中での単なる循環管理という
より生命維持として重要となる。対処方法としては,
鼻腔や口腔内のパッキングやバルーンタンポナーデ
があり,難治例には経動脈的塞栓術(Transarterial
embolization: TAE)が有用とされている 1,3)。今回,
外頚動脈塞栓術を行った頭蓋顔面外傷 6 症例につい
て検討し,頭蓋顔面外傷による制御困難な出血に対
する,外頚動脈塞栓術の有用性と限界などに関して
考察を行った。
────────────── 対象・方法
圧迫等で止血困難であった頭蓋顔面外傷症例で,外
頚動脈塞栓術を行った 6 例を対象とした。年齢は 28
78 歳(平均 47 歳),男性 5 例,女性 1 例,受傷機
転は交通外傷が 5 例,転落が 1 例,搬送時 Glasgow
Coma ScaleGCS)は 38(平均 3.8)であった。来院
shock vital(収縮期血圧 90 mmHg 以下)を認めた
症例は 4 例であった。頭蓋内損傷は 5 例に,多臓器
損傷は 4 例に認めた。対象症例の詳細を Table 1
示す。
当院では顔面外傷症例でパッキングなどによる鼻
腔,口腔内の止血が困難な場合は積極的に外頚動脈
症例報告
神経外傷 372014128 133
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 59
129
神経外傷 Vol.37 2014
Table 1 characteristics of 6 patients with severe oronasal bleeding, treated with transarterial embolization
Table 2 treatment and outcome of 6 patients with severe oronasal bleeding, treated with transarterial embolization
Extravasation: EV, Transarerial Embolization: TAE,
Glasgow Coma Scale; GOS, Good Recovery; GR, Severe Disability; SD, Vegetative State; VS, Dead; D
Subarachnoid Hemorrhage: SAH
Case
No
Age ⁄ sex
Mecanism of
injury
GCS
Hemorrhagic
shock
Brain injury
Another injury
1
28 ⁄ M Motor vehicle crash
3
yes
Traumatic SAH, Contusion, Fracture Renal injury
2
31 ⁄ M Motor vehicle crash
3
yes
Fracture, DBI, Contusion
None
3
78 ⁄ M Motor vehicle crash
8
no
Traumatic SAH
Pervic fracture,
Lower extremity fracture
4
60 ⁄ M
Falls
3
yes
None
Supine fracture,
Lower extremity fracture
5
47 ⁄ M Motor vehicle crash
6
no
Fracture, Intraventricle hemorrhage
None
6
40 ⁄ F Motor vehicle crash
6
yes
Fracture, Pneumocephalus
Liver injury
Case
No
Crinothyrotomy Angiographical finding and TAE
Time
required
for TAE
(min)
Operation
Interval from
injury to
finishing TAE
(min)
Outcome
(GOS)
1
performed
Right internal maxillary artery;
EV (TAE)
Left superficial temporal artery;
EV (TAE)
Branch of renal artery; EV (TAE)
180
TAE Operation
(decompressive
craniotomy)
278
VS
2
none
Left internal maxillary artery;
EV (TAE)
Right descending palatine artery;
EV (TAE)
Right internal carotid artery C4;
spasm (no TAE)
110
Operation TAE
(decompressive
craniotomy)
507
VS
3
none
Right internal maxillary artery;
EV (TAE)
Pelvic artery; EV (TAE)
120
none
143
SD
4
performed
Right internal maxillary artery;
spasm (TAE)
Left linguinal artery; EV (TAE)
90
none
260
VS
5
none
Left internal maxillary artery;
EV, spasm (TAE)
Left posterior communicating artery;
EV (no TAE)
75
TAE Operation
(decompressive
craniotomy)
209
D
6
none
Right internal maxillary artery;
EV (TAE)
Right hepatic artery; EV (TAE)
85
TAE Operation
(abdominal surgery)
238
GR

Page 60
130
塞栓術を施行する方針としている。手技としては,
通常の脳血管撮影時に使用する 5 Fr ショートシース
を用い右大腿動脈経由でまず左右総頚動脈撮影,続
いて内,外頚動脈の選択的撮影を行う。次に出血源
を同定後,外頚動脈からマイクロカテーテルを造影
剤漏出(extravasation)部位直前または顎動脈近位部
に留置して,ゼラチンスポンジやコイルを用いて塞
栓を行う。胸腹部造影 CT などから他臓器において
も経動脈的塞栓による止血の必要性が予想される場
合は,他臓器の血管撮影も行い,必要であれば塞栓
も行う。これらの治療方針に関しては,救命救急医
主導で決定され,外頚動脈の塞栓の手技は脳外科医
が主体で行っている。他臓器血管の塞栓は,放射線
科医指導のもと,主に救命救急医が行っている。
─────────────── 結  果
輪状甲状靭帯切開などの外科的気道確保を 2 例に
行った。合併した頭部外傷 3 例に開頭血腫除去,減
圧開頭術を行った(塞栓後開頭術 2 例,開頭術後塞栓
1 例)。全例で塞栓術による合併症はなく,出血のコ
ントロールは良好で失血死はなかった。外傷から外
頚動脈塞栓術による止血までは平均 4 時間 32 分で
あった。外頚動脈の塞栓と同時に,3 例において,
肝損傷,腎断裂,骨盤骨折に対しての塞栓術も施行
した。退院時 Glasgow outcome scaleGOS)は Good
RecoveryGR1 例,Severe DisabilitySD1 例,
Vegetative StateVS3 例,DeadD1 例であった。
結果は Table 2 に示す。
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.1
(A) Plain cranial computed tomography (ct) at admission reveals a left
depressed fracture and traumatic subarachnoid hemorrhage.
(B) enhanced abdominal ct at admission reveals extravasation of the left
renal artery.
(C) Pre-treatment right carotid angiograms show extravasation of the right
internal maxillary artery.
(D) Post-embolization right carotid angiograms showing occlusion of the
right maxillary artery with gelfoam.

Page 61
131
─────────────── 代表症例
症例 128 歳,男性。交通外傷で搬送され,搬送
GCS 3E1V1M1),収縮期血圧は 70 mmHg であっ
た。前額部に挫創あり,前頭骨が露出していた。著
明な鼻,口腔内出血のために,輪状甲状靭帯切開で
の気道確保を行った。頭部単純 CT では左前頭部の
開放性陥没骨折と,外傷性くも膜下出血を認めた
Fig.1-A)。腹部造影 CT では,左腎動脈からの造影
剤の血管外漏出を認めた(Fig.1-B)。血管撮影検査で,
まず左腎動脈から造影剤の血管外漏出を認め,救急
科医師により左腎動脈のコイル塞栓術が行われた。そ
の後,脳血管の撮影を行い,左右の外頚動脈造影に
て両側の顎動脈から造影剤漏出を認めた。この時点
で,鼻,口腔内パッキングでは出血制御は困難であ
り,Gelfoam®を用いてまず右顎動脈の塞栓を行った
Fig.1-C, D)。その後,同様に左顎動脈の塞栓も行っ
た。以上の塞栓術により,徐々にショック状態から
離脱,バイタルサインは安定してきたが,その後,
著明な脳腫脹を認めて,減圧開頭手術を複数回行っ
た。総輸血量は濃厚赤血球を 40 単位,新鮮凍結血漿
40 単位,血小板輸血を 10 単位であった。ショッ
ク状態を離脱した上での開頭術で頭蓋内圧の制御は
何とか可能であったが,左大脳損傷は広範囲で重篤
であり GOS: VS の転帰となった。
症例 640 歳,女性。交通外傷で搬送され,搬送
GCS 6E1V2M3),収縮期血圧は 70 mmHg であっ
た。瞳孔は両側散大,対光反射は消失していた。鼻,
口腔内からの出血は多量であったが,経口挿管で気
道確保を行った。頭部単純 CT では左頬骨骨折,頭
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.2
(A) Plain cranial computed tomography (ct) at admission reveals a left depressed fracture
and pneumocephalus.
(B) cranial bone imaging ct at admission reveals a skull base fracture and pneumo-
cephalus.
(C) enhanced abdominal ct at admission reveals hepatic injury.
(D) A pre-treatment right carotid angiogram shows extravasation of the right internal
maxillary artery.
(E) Post-treatment right carotid angiograms showing occlusion of the right maxillary
artery with gelfoam and a detachable platinum coil.

Page 62
132
蓋底骨折と気脳症を認めた(Fig.2-A, B)。腹部造影
CT では,肝損傷を認めた(Fig.2-C)が,鼻,口腔内
からの出血が多量であり,パッキングでの出血は困
難と判断,早急に脳血管撮影を行った。右外頚動脈
塞栓撮影では,顎動脈からの造影剤漏出を認め
Gelfoam®,および detachable coil を用いて顎動脈の
塞栓を行った(Fig.2-D, E)。続いて腹腔動脈撮影を行
い右肝動脈からの造影剤の血管外漏出を認め,救急
科医師により Gelfoam®での塞栓術が行われた。以上
の塞栓術にて,一時的にショック状態からの離脱が
できたが,腹部の膨隆所見が進行したため,最終的
には初療室での開腹手術を行った。総輸血量は濃厚
赤血球を 52 単位,新鮮凍結血漿を 48 単位,血小板
輸血を 30 単位であった。開腹によって,腹部の出血
はコントロールされ,経時的に撮影した頭部 CT
は血腫の拡大,脳腫脹の進行等なく,神経学的に特
記すべき脱落所見を認めず,退院時は GOS: GR
転帰であった。
─────────────── 考  察
致死的にもなり得る頭蓋顔面外傷による口腔内や
鼻腔からの出血への対応としては,まず気道確保,
呼吸状態の安定化が第一である。経口挿管または外
科的気道確保により確実に気道を確保し,同時に循
環動態の安定化として急速輸液,輸血が行われる。
鼻出血,口腔内出血のコントロールとしては鼻腔,
口腔内パッキング,バルーンタンポナーデがまず試
みられ,それでも止血困難な場合は血管内塞栓によ
る止血が考慮される 1,3)。出血源としては,約 70
が顎動脈とその分枝であり,その中でも Internal
maxillary artery が最多である 5,6)。内頚動脈系では
ethmoid artery vidian arterycapsular artery も出
血源になり得る 4)。脳血管撮影の所見としては造影
剤の血管外漏出(Extravasation)が典型であるが,低
血圧下では血管攣縮や壁不整所見も出血源同定の参
考となる場合があり 5),出血源は多発性で両側性で
あることが多い。
本塞栓術は,出血部位を同定して損傷血管を選択
的に閉塞でき,また同時に合併した他臓器からの止
血も可能という大きな利点があるが,合併症として
塞栓物質の頭蓋内への迷入による脳梗塞,脳神経麻
痺,失明,舌の先端の壊死などが報告されており 1,5)
特に攣縮血管に対する塞栓術では,外頚動脈系から
内頚動脈系への塞栓物質の逆流に注意する必要があ
る。実際の手技としては,造影剤漏出部位直前での
ゼラチンスポンジなど固形物質による塞栓が理想で
あるが,出血性ショックを呈する症例等では短時間
での近位部のコイル塞栓が有効な緊急避難的止血処
置となる場合もあり,血管漏出部位が同定できない
場合でも近位部での塞栓にて止血が期待できる 1)。本
シリーズでは,Case 2, 5, 6 で,ゼラチンスポンジの
みでは止血困難であり,近位部でのコイル塞栓を追
加して止血を得たが,全 6 例で出血のコントロール
は良好で失血死はなく,また塞栓術による合併症も
認めなかった。本塞栓術は,外頚,内頚動脈系のい
わゆる dangerous anastomosis も含めた塞栓物質の頭
蓋内への迷入などの合併症予防に細心の注意が必要
であるが,比較的容易に施行可能であり,早期の出
血のコントロールが求められる頭蓋顔面外傷例にお
いて有効な治療方策と考えられる 5,6)TAE に踏み
切るタイミングとしては,気道確保やルート確保な
どの初療と平行して圧迫止血を行っても,出血をコ
ントロールしえず,循環動態が安定しない症例には,
早期の TAE を行うことが有用かもしれない。また,
気道確保が困難なほどの大量の鼻口腔内出血に対し
ては,早期の TAE を企図した治療計画が必要と考え
られる。しかしながら,本症例群における機能的予
後は,頭蓋内損傷の重症度に依存するとの報告が多
5,6),本シリーズの転帰も同様の傾向であった。
Case 6 のような頭蓋内病変が軽微な例では,止血治
療としての外頚動脈塞栓術の役割は相対的にも大き
く良好な神経学的予後に繋がる一方,重篤な頭蓋内
損傷例では,Case 1 のように外頚動脈塞栓術によっ
て循環動態が安定し開頭手術を追加できた症例もあ
るが,同症例も若年ながら VS の転帰であり,あら
ゆる方策を駆使しても,短時間での頭蓋内圧制御と
循環動態の安定化の両立は困難であることが多く,予
後は不良と言わざるを得ない。
本塞栓術を施行する大きな目的は,出血性ショッ
クからの早期の脱却,また出血性ショックを未然に
防ぐことであるが,塞栓術と同時に,十分な輸液,
輸血をはじめとした全身の循環維持,呼吸管理など
がまず必須であり,救命救急医,放射線科医などと
神経外傷 Vol.37 2014

Page 63
133
の連携とコメディカルを含めたマンパワーの充実し
た救急医療体制の構築,維持が不可欠である。
─────────────── 結  論
本シリーズでの外頚動脈塞栓術は6例全例で大き
な合併症なく,出血のコントロールが可能であった。
顔面外傷による難治性の鼻口腔内出血に対して,特
に他臓器の外傷合併やショック状態の症例において
は,迅速な輸液,輸血など適切な全身管理の下,外
頚動脈系の解剖や損傷血管の特徴などを十分に理解
した上での早期の外頚動脈の塞栓術は,初期治療の
中の選択肢となり得る。
1Bynoe RP, Kerwin AJ, Parker HH 3rd, et al: Maxillofacial
injuries and life-threatening hemorrhage: treatment with
transcatheter arterial embolization. J Trauma 55: 74-79, 2003.
2Tung TC, Tseng WS, Chen CT, et al: Acute life-threatening
injuries in facial fracture patients: a review of 1,025 patients. J
Trauma 49: 420-424, 2000.
3Cogbill TH, Cothren CC, Ahearn MK, et al: Management of
maxillofacial injuries with severe oronasal hemorrhage: a
multicenter perspective. J Trauma 65: 994-999, 2008.
4Duggan CA, Brylski JR: Angiographic demonstration of
bleeding in intractable traumatic epistaxis. Radiology 97: 605-
606, 1970.
5Komiyama M, Nishikawa M, Kan M, et al: Endovascular
treatment of intractable oronasal bleeding associated with
severe craniofacial injury. J Trauma 44: 330-334, 1998.
6Liao CC, Hsu YP, Chen CT, et al: Transarterial embolization
for intractable oronasal hemorrhage associated with cranio-
facial trauma: evaluation of prognostic factors. J Trauma 63:
827-830, 2007.
7Wong CW, Tan WC, Yeh YT, et al: Transarterial emboliza-
tion for traumatic intractable oronasal hemorrhage. J Emerg
Med 44: 1088-1091, 2013.
長嶋 宏明
(現籍:神戸大学大学院医学研究科 脳神経外科学分野)
〒650-0017 兵庫県神戸市中央区楠町 7-5-2
TEL: 078-382-5966 / FAX: 078-382-5979
E-mail: hn0628hn@med.kobe-u.ac.jp
神経外傷 Vol.37 2014

Page 64
神経外傷 Vol.37 2014
ワラビによる経眼窩穿通外傷
村上 峰子   岩上 貴幸   石川 久
西堂 創    鈴木 康隆   山田 創
宮本 伸哉   保谷 克巳   松野 彰
帝京大学ちば総合医療センター 脳神経外科
transorbital penetrating injury by a dried stem of bracken
miNeko murAkAmi, tAkAyuki iwAkAmi, HisAsHi isHikAwA, HAjime NisHiDo, yAsutAkA suzuki,
so yAmADA, sHiNyA miyAmoto, kAtsumi HoyA, AkirA mAtsuNo
Department of Neurosurgery, Teikyo University Chiba Medical Center
Received September 11, 2014
Accepted November 21, 2014
Neurotraumatology 37: 134135, 2014
134
─────────────── はじめに
木製異物による経眼窩穿通外傷は,箸,鉛筆,木
の枝など日常生活に身近な物で小児に生じることが
多い 3)。今回我々は,高齢女性で枯れたワラビの茎
によって経眼窩穿通外傷をきたした 1 例を経験した
ので報告する。
─────────────── 症  例
患 者:79 歳,女性。
主 訴:右上眼瞼裂創,頭痛,嘔気。
既往歴:肺癌と胃癌の手術後,化学療法を施行中。
現病歴:ワラビとりの作業中につまずいて転倒し,
枯れたワラビの茎が右上眼瞼に刺さった。自分でワ
ラビの茎を引き抜き帰宅したが,右上眼瞼に出血を
伴う傷があり,頭痛と嘔気を伴ったため同日近医を
受診して創処置を受けた。翌日眼科を受診して眼球
には異常がないと言われたが,頭痛,嘔気が続くた
め近医を受診。頭部 CT で異常を認めたため,受傷
24 時間後に当科紹介入院となった。
来院時所見:体温 37.5℃。意識清明。右上眼瞼鼻
側よりに 8 mm の裂創,右上下眼瞼の発赤腫脹と右
開眼不全があるが,項部硬直以外の神経症状はなく,
髄液鼻漏は認められなかった。
検査所見:頭部 CT で後頭蓋窩~テント上に及ぶ
気脳症(Fig.1-A),右眼窩内側壁骨折と篩骨洞内に液
体貯留があり(Fig.1-B),右眼窩内側壁~篩骨洞~前
頭蓋底へいたる穿通外傷と診断した。血液検査で白
血球数 9300m3CRP 11.4 mg/dl,髄液検査で細胞
1501 3N1354 > L147)であり,細菌性髄膜炎を
合併していた。
入院後経過:髄膜炎に対し CEZ 3 g日を開始。
入院後 3 日間は安静臥床とした。入院 6 日目に頭部
MRI および MRAを施行。右眼窩の内側軟部組織の
浮腫(Fig.2-A),右前頭葉底部に脳挫傷を認めたが
Fig.2-B),頭蓋内主幹動脈の損傷はなく,残留異物
も認められなかった。CEZ は入院 7 日目で終了。経
短  報
神経外傷 372014134 135
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 65
135
過良好で入院 10 日目に自宅退院した。経過中髄液鼻
漏はみられなかった。その後 1 年間の経過観察で,
異常を認めていない。
─────────────── 考  察
ワラビ(蕨,学名:Pteridium aquilinum)は,日本
全国の草原や原野などの日当たりのよいところに群
生するシダ植物の 1 種で,春から初夏にまだ葉の開
いてない若芽を食用にする。成長すると 0.51 m
らいの背丈になり,冬になると立ち枯れる。ワラビ
を採取する農家では,地面の日当たりを良くして春
の新芽の生長を促すために,立ち枯れたワラビを刈
り取る作業を行っており,本症例もそのような場所
での転倒事故であった。後日ご家族に持ってきてい
ただいた立ち枯れたワラビの茎は,木の枝のように
硬くなっており,骨の脆弱性がある高齢者では刺入
部位によっては十分に穿通外傷を起こしうることが
わかった。
木製異物は感染源になりやすく,脳膿瘍の発生率
48%,死亡率は 25%と報告されている 1)。残留異
物は除去術が必要であり,中枢神経系への移行性が
よく広範囲スペクトラムを有する抗生剤投与が推奨
される 2)
木製異物は単純 XP では写らないため,残留異物
の検索には眼窩および頭部の CT MRI を行う必要
がある。ただし,木製異物の乾燥状態,受傷からの
時間経過によって所見が異なるため,読影の際には
注意が必要である。CT では,急性期の乾燥した木製
異物は空気や脂肪と,亜急性期や湿潤した木製異物
は眼窩内軟部組織と等吸収域を示す。MRI のほうが
木製残留異物の検出率が高く,周辺組織の損傷の評
価にも適している。急性期の乾燥した異物は T1
よび T2 強調画像で低信号域に,異物が湿潤すると
等~高信号域に変化する。異物の棒状ないし不整形
の形状も診断に役立つ 1,2)
経眼窩穿通外傷では一般に体表の外傷は軽微であ
ることが多く,髄液漏や神経症状がないと診断は困
難である。特に小児や高齢者では,受傷時の状況を
正確に陳述することは困難であり,顔面外傷の初療
時には常に穿通外傷を念頭におくことが重要である。
特に木製異物の場合は残留異物がないかどうか,感
染徴候がないかどうかを慎重に経過観察する必要が
ある。
1Dunn IF, et al: Orbitocranial wooden foreign body: a pre-,
intra-, and postoperative chronicle: case report. Neurosurg 65:
E383-E384, 2009.
2Schreckinger M, et al: Transorbital penetrating injury: case
series, review of the literature, and proposed management
algorithm. J Neurosurg 114: 53-61, 2011.
3Turbin RE, et al: Patterns of transorbital intracranial injury: a
review and comparison of occult and non-occult cases. Surv
Ophthalmol 51: 449-460, 2006.
村上 峰子
(帝京大学ちば総合医療センター 脳神経外科)
〒299-0111 千葉県市原市姉崎 3426-3
TEL: 0436-62-1211 / FAX: 0436-62-1357
E-mail: muraminechan@yahoo.co.jp
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.1 ct scan at admission showing pneumocephalus
(A), and bony fracture at superior-internal orbital wall
(arrow), indicating the object penetrates the roof of the
orbit (B).
Fig.2 t2-weighted mri performed on 6 days after
admission showing edema of soft tissue in the orbit
(arrow) (A), and cerebral contusion in the right frontal
lobe (B). wooden fragments were recognized in neither
the orbit nor the intracranial space on mri.

Page 66
神経外傷 Vol.37 2014
慢性硬膜下血腫被膜における
NF-κB シグナル伝達系の発現について
大須賀 浩二   青山 正寛
川口 礼雄  
高安 正和
愛知医科大学 脳神経外科
expression of NF-κb in chronic subdural hematoma outer membrane
koji osukA, mAsAHiro AoyAmA, reo kAwAgucHi, mAsAkAzu tAkAyAsu
Department of Neurological Surgery, Aichi Medical University
Received November 13, 2014
Accepted January 7, 2015
Neurotraumatology 37: 136138, 2014
136
─────────────── 目  的
慢性硬膜下血腫内溶液において,炎症性サイトカ
インや血管内皮増殖因子である VEGF の発現が報告
されている。nuclear factor-kappa BNF-κB)は,急
性および慢性炎症性反応や悪性腫瘍における細胞増
殖などに深く関与している。今回,慢性硬膜下血腫
被膜における NF-κB シグナル伝達系の発現,ならび
に培養血管内皮細胞における慢性硬膜下血腫内溶液
による NF-κB の活性化について検討したので報告す
る。
──────────────
穿頭血腫除去術時に,血腫と血腫被膜(外膜)を硬
膜とともに採取できた初発 8 症例を対象とした。血
腫は直ちに遠心分離後,上澄みを採取した。採取し
た外膜は sample buffer にて直ちに撹拌し,遠心後上
清を用いて,Western blot にて IκBαIKKβIKKγ
NF-κBphosphorylated NF-κB ならびに actin の発現
につき検討した。また,マウス脳血管内皮細胞
b.End3 を用いて,慢性硬膜下血腫内溶液を培養細胞
溶液に加え NF-κB の経時的な活性化についても検討
した。統計学的解析には ANOVAを用い,5%未満
を有意とした。
─────────────── 結  果
Western blot において,すべての症例で actin はほ
ぼ均一であり,IκBαIKKβIKKγ ならびに NF-
κB も,すべての症例で検出が可能であったが,
phosphorylated NF-κB は限られた症例においてのみ
検出可能であった(Fig.1)。b.End3 培養細胞では,慢
性硬膜下血腫内溶液により NF-κB の活性化が,コン
トロール群と比較し 15 分後に有意に認められた
Fig.2)。
短  報
神経外傷 372014136 138
Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology

Page 67
137
─────────────── 考  察
我々は,Ras ⁄ MEK ⁄ ERKシグナル伝達系による
慢性硬膜下血腫の被膜の増大について報告してき
3)。今回,急性および慢性炎症反応や細胞増殖に
深く関与する NF-κB の慢性硬膜下血腫被膜での発現
について検討を加えた。
不活性な NF-κB IκBα と結合し,その活性化を
抑制されている。IκB キナーゼである(IKK)が活性
化すると IκBα が分解をうけ,NF-κB は核内に移行
し,活性化され様々な遺伝子の転写活性化をおこ
なっている。今回の我々の結果から NF-κB シグナル
伝達系における個々の蛋白の発現が確認され,NF-
κB シグナル伝達系の慢性硬膜下血腫の被膜増大にお
ける関与が示唆された。
IκBα transgenic マウスを用いて,気管支の血管内
皮において Lipopolysaccharide による炎症性サイト
カインやケモカインの誘導発現に,NF-κB が重要な
役割をしていることが報告されている 4)
また,血管内皮特異的に IκBα を欠損させたマウ
スを用いて,バルーンによる血管内皮損傷後の血管
内皮増殖抑制効果を認めたり,腹部大動脈瘤の形成
を抑制するなど,血管内皮のリモデリングに NF-κB
が重要な働きをしていることも報告されている 5)
頭蓋内の血管においても,NF-κB p50-subunit 欠損
マウスを用いて,NF-κB によるマクロファージの浸
潤を血管内皮で抑え,脳動脈瘤形成を抑制すること
も報告されている 1)
一方,VEGF により NF-κB が活性化され,糖尿
病における血管での炎症が引き起こされることが報
告されており 2),慢性硬膜下血腫内溶液中に高濃度
存在する VEGF NF-κB の活性化を引き起こして
いる可能性が考えられた。
以上の報告から,血管内皮の炎症性変化において
NF-κB が大切な役割をはたしていることが示唆され
てきた。今回我々の結果から,慢性硬膜下血腫内溶
液により血管内皮における NF-κB シグナル伝達系が
活性化され,様々な遺伝子の転写が引き起こされ,
血管新生による血腫被膜の増大に関与している可能
性が考えられた。今後,inhibitor を用いた血腫内溶
液中の NF-κB 活性化因子の解明や NF-κB シグナル
伝達の制御機序など更なる検討が必要である。
1Aoki T, et al: NF-κB is a key mediator of cerebral aneurysm
formation. Circulation 116: 2830-2840, 2007.
神経外傷 Vol.37 2014
Fig.1 the outer membranes of chronic subdural hema -
tomas from 8 patients homogenized in Laemmli sample
buffer were subjected to western blotting with anti-
actin (α-actin), anti-iκbα (α-iκbα), anti-ikkβ (α-ikkβ),
anti-ikkγ (α-ikkγ), anti-NF-κb (α-NF-κb) and phos-
phorylated-NF-κb (α-p-NF-κb) antibodies. Note that
nearly all molecules except p-NF-κb could be detected
in the outer membranes of chronic subdural hema -
tomas. in some cases p-NF-κb could be detected.
Fig.2 cultured b.end3 cells were incubated with chronic
subdural hematoma (csDH) fluid for 5, 15, and 60 min.
cell lysates were subjected to western blotting with
anti-actin (α-actin), anti-NF-κb (α-NF-κb) and anti-
phosphorylated NF-κb (α-p-NF-κb) antibodies. b.end3
cells that were treated with medium alone were used as
controls. the histograms show the amount of α-p-NF-
κb relative to that of total NF-κb. western blots are
presented (n=3). mean ± se values from data of three
series are shown. *p<0.05 versus control (ANoVA
followed by Fisher's PLsD). p-NF-κb were significantly
expressed 15 min after treatment of csDH fluid in
cultured b.end3 cells compared with controls.

Page 68
138
2Marumo T, et al: Vascular endothelial growth factor activates
nuclear factor-κB and induces monocyte chemoattractant
protein-1 in bovine retinal endothelial cells. Diabetes 48:
1131-1137, 1999.
3Osuka K, et al: Activation of Ras MEK ERK signaling in
chronic subdural hematoma outer membranes. Brain Res
1489: 98-103, 2012.
4Poynter ME, et al: A prominent role for airway epithelial NF-
κB activation in lipopolysaccharide-induced airway inflamma-
tion. J Immunol 170: 6257-6265, 2003.
5Saito T, et al: Importance of endothelial NF-κB signaling in
vascular remodeling and aortic aneurysm formation.
Cardiovas Res 97: 106-114, 2013.
大須賀 浩二
(愛知医科大学 脳神経外科)
〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又 1-1
TEL: 0561-62-3311 / FAX: 0561-63-2879
E-mail: kosuka@aichi-med-u.ac.jp
神経外傷 Vol.37 2014

Page 69
139
第 1 章 総則
(名称)
第 1 条 本法人は,一般社団法人日本脳神経外傷学会
(The Japan Society of Neurotraumatology, JSNT)
と称する。
(主たる事務所)
第 2 条 本法人は,主たる事務所を,東京都板橋区大谷
口上町 30 番 1 号 日本大学医学部脳神経外科
講座内に置く。
(目的等)
第 3 条 本法人は,国民全体の保健・医療・福祉に寄与す
るため,脳・脊髄及び末梢神経系の外傷に関する
医学の進歩の促進を図り,広く知識の交流を行
うことを目的とし,その目的を達成するために,
以下の事業を行う。
(1)学術集会の開催
(2)機関誌「神経外傷(Neurotraumatology)」の
発行
(3)その他,本法人の目的を達成するために必
要な一切の事業
(公告方法)
第 4 条 本法人の公告方法は,本法人の主たる事務所の
公衆の見えやすい場所に掲示して行う。
第 2 章 会員及び社員
(会員)
第 5 条 本法人の会員は,次の 3 種とする。
(1)正会員
本法人の目的に賛同し,所定の入会手続き
を経た医師及び研究者等
(2)名誉会員
本法人に特に功労のあった者で,社員総会
において承認された者
(3)賛助会員
本法人の事業を賛助するため所定の入会手
続きを経た個人または団体
2 本法人の会員は,学術集会に参加し,研究発表
を行い,機関誌「神経外傷」の配布を受けるこ
とができる。
(入会)
第 6 条 本法人に正会員又は賛助会員として入会を希望
する者は,所定の用紙に必要事項を記入し,初
年度分の年会費を添えて本法人事務局に申し込
むものとする。
2 理事会は,入会の申し込みがあった者について
審査をし,正会員については,理事会による承
認をもって,本法人の正会員となる。
(年会費)
第 7 条 正会員及び賛助会員は,定款施行細則(以下
「細則」という)に定める年会費を納入しなけれ
ばならない。
2 既納の会費については,理由の如何を問わずこ
れを返却しない。
3 名誉会員については,年会費を免除する。
(任意退会)
第 8 条 退会を希望する会員は,その旨を本法人事務局
に届け出ることにより,任意にいつでも退会す
ることができる。ただし,未払いの会費がある
場合は,その納入後に退会できるものとする。
(除名)
第 9 条 会員が次のいずれかに該当するに至った場合は,
社員総会の特別決議により当該会員を除名する
ことができる。ただし,この場合,当該会員に
対し議決の前に弁明の機会を与えなければなら
ない。
(1)本定款及び細則に違反した場合
(2)本法人の名誉を傷つけ,または本法人の目
的に反する行為をした場合
(3)連続して 2 年間,年会費の納入を怠った場合
(4)その他,除名すべき正当な事由があった場合
(会員資格の喪失)
第 10 条 前 2 条の場合によるほか,次のいずれかに該当す
るに至った場合は,会員はその資格を喪失する。
(1)総正会員の同意があった場合
(2)会員の死亡又は解散
(社員資格の得喪に関する規定)
第 11 条 本法人の正会員の中より,細則の規定に基づき,
社員を選任する。
2 前項の規定により選任された社員をもって,一
般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以
下「一般社団・財団法人法」という)上の社員と
する。
3 社員はいつでも辞任することができ,辞任しよ
うとする者は,辞任届を本法人事務局に提出し
なければならない。
4 前項の場合によるほか,本法人の社員は,以下
の事由により,その社員たる資格を喪失する。
神経外傷 Vol.37 2014
一般社団法人 日本脳神経外傷学会 定款

Page 70
140
ただし,未履行の義務については,これを免れ
ることはできない。
(1)第 8 条乃至第 10 条に規定する本法人の会
員資格の喪失事由に該当するに至った場合
(2)総社員の同意があった場合
第 3 章 役員及び役職
(役員)
第 12 条 本法人には,次の役員を置く。
(1)理事 3 名以上
(2)監事 1 名以上 2 名以内
2 理事のうち,1 名を理事長とする。
3 前項の理事長をもって,一般社団・財団法人法上
の代表理事とする。
(理事の職務)
第 13 条 理事は,理事会を組織し,法令及び本定款で定
めるところにより,本法人の職務を執行する。
2 理事長は,本法人を代表し,学術集会を含め,
本法人の業務を総括する。
(監事の職務)
第 14 条 監事は,一般社団・財団法人法第 99 条乃至第 104
条の職務を行い,これを社員総会に報告する。
2 監事は,理事会に出席し,必要があると認める
ときは,意見を述べなければならない。
(役員の選任及び解任)
第 15 条 理事及び監事は,本法人の社員の中から,社員
総会の決議において選任する。ただし,必要に
応じて社員以外の者から選任することを妨げな
い。
2 理事長は,法令の規定に基づき,理事会の決議
により選定する。ただし,その選定については,
再任を妨げないが,連続して 2 期(4 年)を超
えることはできない。
3 理事及び監事は,法令の規定に基づき,社員総
会の決議において,解任することができる。
4 理事長は,法令の規定に基づき,理事会の決議
により解職することができる。
(役員の任期)
第 16 条 理事の任期は,選任後 2 年以内に終了する事業
年度のうち最終のものに関する定時社員総会の
終結の時までとし,監事の任期は,選任後 2 年
以内に終了する事業年度のうち最終のものに関
する定時社員総会の終結の時までとする。
2 前項の任期中といえども,理事については,満
65 歳となる日の属する事業年度にかかる定時社
員総会の終結の時に任期満了となる。
3 補欠又は増員により選任された理事の任期は,
前任者又は他の在任者の任期の残存期間と同一
とする。
4 補欠により選任された監事の任期は,前任者の
任期の残存期間と同一とする。
(役員報酬)
第 17 条 理事及び監事は,無報酬とする。
第4章 会議
(会議)
第 18 条 本法人には,その業務を遂行するにあたり,次
の会議を置く。
(1)社員総会
(2)理事会
第 5 章 社員総会
(社員総会)
第 19 条 本法人の社員総会は,定時社員総会及び臨時社
員総会の 2 種とする。定時社員総会は,毎事業
年度末日の翌日から 3 箇月以内に開催する。臨
時社員総会は,その必要がある場合に随時これ
を招集する。
2 臨時社員総会は,次の各号の一に該当する場合
に開催する。
(1)理事会が必要と認め,招集の請求をしたとき
(2)総社員の議決権の 5 分の 1 以上から会議の
目的である事項及び招集の理由を記載した
書面をもって招集の請求があったとき
(招集)
第 20 条 社員総会は,理事会決議に基づき,理事長が招
集する。
2 理事長は,前条第 2 項第 2 号に該当する場合は,
その書面の到達した日から 30 日以内の日を会
日とする臨時社員総会の招集通知を発しなけれ
ばならない。
3 社員総会を開催するときは,会日より 7 日前ま
でに,開催日時,場所及び議題を記載した書面
をもって,各社員に対して通知を発しなければ
ならない。
4 社員総会は,その総会において議決権を行使す
ることができる社員全員の同意があるときは,
招集手続を経ずに開催することができる。
(決議方法)
第 21 条 社員総会は,総社員の議決権の過半数を有する
社員の出席(書面議決者及び議決委任者による
みなし出席も含む。)がなければ,議事を行い,
議決することができない。
神経外傷 Vol.37 2014

Page 71
141
2 やむをえない理由のため社員総会に出席できな
い社員は,あらかじめ通知された事項について
書面をもって議決権を行使し,または他の社員
を代理人として議決を委任することができる。
3 前項の場合,その社員は出席したものとみなす。
4 社員総会の決議は,法令又は本定款に別段の定
めがある場合を除き,出席社員の議決権の過半
数をもってこれを決する。
(議決権)
第 22 条 社員総会において,各社員は各 1 個の議決権を
有する。
(議長)
第 23 条 社員総会の議長は理事長が行う。ただし,理事
長に事故があるときは,当該社員総会において
選任された他の理事がこれを行う。
(議事録)
第 24 条 社員総会の議事については,議事録を作成し,
これに議事の経過の要領及びその結果並びに法
令で定める事項を記載し,議長及び議事録作成
に係る職務を行った理事が署名又は記名押印し
なければならない。
第 6 章 理事会
(種類)
第 25 条 本法人の理事会は,通常理事会及び臨時理事会
の 2 種とする。
2 通常理事会は,毎事業年度に 2 回開催(ただし,
4 ヵ月を超える間隔で開催)する。
3 前項の通常理事会において,理事長は,自己の
職務の執行の状況を理事会に報告しなければな
らない。
4 臨時理事会は,次の各号の一に該当する場合に
開催する。
(1)理事長が必要と認めたとき
(2)理事長以外の理事から会議の目的である事
項を記載した書面をもって招集の請求が
あったとき
(3)監事から会議の目的である事項を記載した
書面をもって招集の請求があったとき
(招集)
第 26 条 理事会は,理事長が招集する。
2 理事長は,前条第 4 項第 2 号及び第 3 号に該当
する場合は,その請求のあった日から 5 日以内
に,14 日以内の日を会日とする臨時理事会の招
集通知を発しなければならない。
3 理事会を開催するには,会日より 7 日前までに,
開催日時,場所及び議題その他法令に定める事
項を記載した書面をもって,各理事及び各監事
に対して通知を発しなければならない。ただ
し,理事及び監事全員の同意がある場合には,
招集の手続きを経ることなく開催することがで
きる。
(決議方法)
第 27 条 理事会の議長は,理事長が行う。ただし,理事
長に事故あるときは,当該理事会において選任
された他の理事がこれを行う。
2 理事会は,理事現在数の過半数の出席がなけれ
ば,議事を行い,議決することができない。
3 理事会の決議は,出席した理事の過半数をもっ
て決する。
4 理事が理事会の決議の目的である事項について
提案をした場合において,理事の全員が当該議
案につき書面又は電磁的記録により同意の意思
表示をしたときは,当該議案を可決する旨の理
事会の決議があったものとみなすことができる。
ただし,監事が当該提案につき異議を述べた場
合はこの限りではない。
(議事録)
第 28 条 理事会の議事については,議事録を作成し,こ
れに議事の経過の要領及びその結果並びに法令
で定める事項を記載し,議長及び出席した理事
長並びに出席した監事は,これに署名又は記名
押印しなければならない。
第 7 章 基金
(基金を引き受ける者の募集)
第 29 条 本法人は,基金を引き受ける者の募集をするこ
とができる。
2 基金の募集,割当て及び払込み等の手続きにつ
いては,理事会の決議により別に定める「基金
取扱規程」によるものとする。
(基金の拠出者の権利に関する規定)
第 30 条 拠出された基金は,基金拠出契約に定める期日
まで返還しない。
(基金の返還の手続)
第 31 条 基金の拠出者に対する返還は,返還する基金の総
額について定時社員総会における決議を経た後,
理事の過半数の決定したところに従って行う。
(代替基金の積立て)
第 32 条 基金の返還を行うため,返還される基金に相当
する金額を代替基金として積み立てるものとし,
これを取り崩すことはできない。
神経外傷 Vol.37 2014

Page 72
142
(基金利息の禁止)
第 33 条 基金の返還に係る債権には,利息を付すること
ができない。
第 8 章 計算
(事業年度)
第 34 条 本法人の事業年度は,毎年 1 月 1 日から 12 月
31 日までの年 1 期とする。
(計算書類)
第 35 条 理事長は,毎事業年度,次の書類及び附属明細
書を作成して,監事の監査を受け,理事会の承
認を経た後,定時社員総会に提出し,3 の書類
についてはその内容を報告し,1,2 及び 4 の各
書類については承認を求めなければならない。
(1)貸借対照表
(2)損益計算書(正味財産増減計算書)
(3)事業報告書
(4)剰余金の処分又は損失の処理に関する議案
(剰余金の処分制限)
第 36 条 本法人は,会員,社員,その他の者又は団体に
対し,剰余金の分配を行うことはできない。
第 9 章 定款等変更,合併及び解散等
(定款等変更)
第 37 条 本定款及び細則を変更するには,総社員の半数
以上であって,かつ総社員の議決権の 3 分の 2
以上の賛成を得た社員総会の決議によらなけれ
ばならない。
(合併等)
第 38 条 本法人は,社員総会において,総社員の半数以
上であって,かつ総社員の議決権の 3 分の 2 以
上の決議により,他の一般社団・財団法人法上の
法人との合併,事業の全部又は一部の譲渡及び
公益目的事業の全部を廃止することができる。
(解散)
第 39 条 本法人は,一般社団・財団法人法第 148 条第 1 号,
第 2 号及び第 4 号乃至第 7 号までに規定する事
由によるほか,社員総会において,総社員の半
数以上であって,かつ総社員の議決権の 3 分の
2 以上の決議により解散することができる。
(残余財産の分配)
第 40 条 本法人が解散等により清算するときに有する残
余財産は,各社員に分配しない。
2 前項の場合,本法人の残余財産は,国又は地方
公共団体,本法人と類似の事業を目的とする公
益社団法人又は公益財団法人,あるいは公益社
団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律
第 5 条第 17 号イ乃至トに掲げる法人に寄付す
るものとする。
第 10 章 附則
(設立時社員の氏名及び住所)
第 41 条 本法人の設立時社員の氏名及び住所は,次のと
おりとする。(省略)
(設立時理事,設立時理事長(設立時代表理事)及び設立時
監事)
第 42 条 本法人の設立時理事,設立時理事長(設立時代
表理事)及び設立時監事は,次のとおりとする。
(省略)
(最初の事業年度)
第 43 条 本法人の最初の事業年度は,本法人成立の日か
ら平成 22 年 12 月 31 日までとする。
(定款に定めのない事項)
第 44 条 この定款に定めのない事項については,すべて
一般社団・財団法人法及びその他法令によるもの
とする。
以上,一般社団法人日本脳神経外傷学会を設立するため,
設立時社員の定款作成代理人である司法書士宮田浩志は,
電磁的記録である本定款を作成し,電子署名する。
平成 22 年 1 月 4 日
設立時社員 重森  稔
設立時社員 小川 武希
設立時社員 小野 純一
設立時社員 片山 容一
設立時社員 島  克司
設立時社員 鈴木 倫保
設立時社員 山木 垂水
設立時社員 有賀  徹
上記設立時社員の定款作成代理人 司法書士 宮田 浩志
※ 平成 22 年 1 月 4 日施行
神経外傷 Vol.37 2014

Page 73
143
第 1 章 総則
(総則)
第 1 条 本定款施行細則(以下「本細則」という)は,
一般社団法人日本脳神経外傷学会定款(以下
「定款」という)に基づき,定款の施行及び本法
人の管理運営につき必要な事項を定める。
第 2 章 社員
(選出)
第 2 条 新たに本法人の社員となる者は,学術評議員た
る正会員の中から,社員・学術評議員選出評価委
員会の審査により選出する。
2 前項により選出された者は,理事会に承認され
ることにより,本法人の社員となる。
3 社員の任期は,選任後 2 年以内の最終の事業年
度に関する定時社員総会の終結の時までとする。
ただし,再任を妨げない。
4 前項の任期中といえども,満 65 歳となる日の
属する事業年度にかかる定時社員総会の終結時
に任期満了となる。
5 社員は,一般社団法人及び一般財団法人に関す
る法律(以下「一般社団・財団法人法」という)
上の社員として社員総会を組織し,定款及び本
細則並びに法令に従い,必要事項を審議し決議
する。
(審査申込)
第 3 条 社員になるため審査を受けようとする者は,ま
ず社員・学術評議員選出評価委員会の定める審査
基準に従い,学術評議員の審査申込を行い,学
術評議員にならなければならず,学術評議員の
中から社員・学術評議員選出評価委員会の審査に
より社員を選出する。
2 前項の規定にかかわらず,現職の理事 3 名の推
薦状と過去の脳神経外傷に関する業績に関する
資料等を本法人所定の審査申込書に添えて,本
法人事務へ提出した者については,役員候補選
出委員会及び社員・学術評議員選出評価委員会の
審査により社員に選出することができる。
(社員再任候補者)
第 4 条 社員再任候補者については,役員候補選出委員
会及び社員・学術評議員選出評価委員会において
再任の審査を行い,選出する。
(疑義)
第 5 条 社員の選出に関して疑義が生じたときは,理事
会の決議に基づき処理するものとする。
第 3 章 社員・学術評議員選出評価委員会
(社員・学術評議員選出評価委員会)
第 6 条 社員・学術評議員選出評価委員会は,役員候補選
出委員会によって選任された委員長及び副委員
長,並びに委員長により指名された選出評価委
員によって構成する。
2 社員・学術評議員選出評価委員会は,以下の業務
を行う。
(1)学術評議員の資格審査・評価
(2)学術評議員に関する一切の業務
(3)社員資格の審査
(4)社員の選出
(5)役員候補選出委員会への幹事の推薦
(6)その他,学術評議員及び社員について,常
務理事会より委嘱された業務
(社員・学術評議員選出評価委員会の開催)
第 7 条 社員・学術評議員選出評価委員会は次の各項にし
たがって開催される。
(1)前条第1項の規定に基づき選任された委員
長が,必要に応じて選出委員会を招集する。
(2)選出委員会は,現在数の 3 分の 2 以上が出
席しなければ,議事を行い決議することが
できない。なお,書面による意思の表示は,
出席とは認めない。
(3)選出委員会における議事は,出席委員の過
半数をもって決する。
(4)選出委員会の議事録は委員長が作成し,議
事録作成者たる委員長が署名又は記名押印
し,本法人の事務局に保管するものとする。
(学術評議員の選出情報の公開)
第 8 条 理事長は,社員・学術評議員選出評価委員会の決
議により定めた以下の事項を学術評議員の選出
が行われる年の 1 月末日までに,次の各項を含
む情報を学会の機関誌あるいは本学会のホーム
ページ上に掲載し,公開するものとする。
(1)学術評議員が提出する審査申請用紙の交付
請求締め切り期日
(2)前項の申請書の受理締め切り期日
(3)学術評議員の応募基準,更新基準
(その他事項)
第 9 条 学術評議員に関するその他の事項については,
社員・学術評議員選出評価委員会の決議によるも
のとする。
(常務理事会への報告)
第 10 条 社員・学術評議員選出評価委員会は,その審査の
結果を常務理事会に報告しなければならない。
2 理事長は,常務理事会への報告,理事会の決議
神経外傷 Vol.37 2014
一般社団法人 日本脳神経外傷学会 定款施行細則

Page 74
144
を経て,速やかに審査申請者に対して審査の結
果を通知しなければならない。
第4章 年次会長
(年次会長)
第 11 条 本法人は,社員の中から,年次会長 1 名を置く
ことができる。
2 年次会長は,本法人の年 1 回の学術集会を主催
する。
(選任)
第 12 条 年次会長は,当該年度の学術集会の開催前に,
役員候補選出委員会の推薦に基づき,社員総会
及び会員総会の承認を受けて選任する。
(任期)
第 13 条 年次会長の任期は,学術集会の終了時から次年
度の学術集会終了時までとする。
第 5 章 学術集会
(学術集会)
第 14 条 本法人は,年 1 回学術集会を開催する。
2 年次会長は,学術集会を主催する。
3 学術集会において演者として発表する者,司会・
座長を行う者は,本法人の会員でなければなら
ない。
第 6 章 役員候補選出委員会
(役員候補選出委員会)
第 15 条 本法人に,役員候補選出委員会を置く。
2 役員候補選出委員会には,互選により委員長1
名を置く。
(役員候補選出委員)
第 16 条 役員候補選出委員会は,社員の投票による選挙
により理事(理事であった者を含む)の中から
選ばれた役員候補選出委員(5 名)と年次会長,
次年次会長並びに前年次会長によって構成する。
2 役員候補選出委員の任期は,選任後 2 年以内に
終了する事業年度のうち最終のものに関する定
時社員総会の終結の時までとする。ただし,再
任は妨げないものとする。
(役員候補選出委員会の開催)
第 17 条 役員候補選出委員会は次の各項にしたがって開
催される。
(1)第 15 条第 2 項の規定に基づき選任された
委員長が,必要に応じて役員候補選出委員
会を招集する。
(2)役員候補選出委員会は,現在数の 3 分の 2
以上が出席しなければ,議事を行い決議す
ることができない。なお,書面による意思
の表示は,出席とは認めない。
(3)役員候補選出委員会における議事は,出席
委員の過半数をもって決する。
(4)役員候補選出委員会の議事録は委員長が作
成し,議事録作成者たる委員長が署名又は
記名押印し,本法人事務局に保管するもの
とする。
(役員候補選出委員会の権限)
第 18 条 役員候補選出委員会は,次の各号に定める議事
につき審議し,決議する。
(1)理事,常務理事及び理事長並びに監事の推薦
(2)年次会長の推薦
(3)幹事の推薦
(4)各委員会の委員長の選任
(社員総会への上程)
第 19 条 役員候補選出委員会は,議事の結果を社員総会
に上程し,その役員候補者に関する選任決議を
求めなければならない。
第 7 章 幹事会
(幹事会)
第 20 条 本法人に,幹事会を置く。
2 幹事会には,幹事長 1 名を置き,総務担当理事
がこれにあたる。
3 幹事会は,本法人の総務及び庶務並びに財務会
計に関する業務を行うとともに,各種委員会の
業務を補佐する。
(幹事)
第 21 条 幹事会は,3 名以上の幹事をもって構成する。
2 前項の幹事は,役員候補選出委員会の推薦に基
づき,理事会で承認された者をもって構成する。
3 幹事の任期は,選任後 2 年以内に終了する事業
年度のうち最終のものに関する定時社員総会の
終結の時までとする。ただし,再任は妨げない
ものとする。
第 8 章 委員会
(委員会)
第 22 条 本法人には,理事会において別に定める「委員
会設置規程」に基づき,必要に応じて各種委員
会を置くことができる。
2 各委員会の具体的任務及びその構成員等につい
ては,定款又は細則に別段の定めがある場合を
除き,「委員会設置規程」によるものとする。
神経外傷 Vol.37 2014

Page 75
145
第 9 章 常務理事及び常務理事会
(常務理事)
第 23 条 本法人に,常務理事を置く。
2 役員候補選出委員会の委員をもって,常務理事
とする。
3 前項の規定にかかわらず,理事長は役員候補選
出委員以外から 1 名の理事を常務理事に指名す
ることができる。
4 常務理事の任期については,第 16 条第 2 項の
役員候補選出委員の任期に準ずるものとする。
なお,前項の規定により,理事長より指名され
た常務理事についても同様とし,任期中に常務
理事に指名された場合であっても,他の常務理
事の任期の残存期間と同一とする。
(常務理事会)
第 24 条 本法人に,常務理事会を置く。
2 常務理事会は,前条第 2 項及び第 3 項の常務理
事をもって構成する。
(常務理事会の権限)
第 25 条 常務理事会は,第 18 条に規定する役員候補選
出委員会の権限に属する事項を除く,理事会,
社員総会に諮るべき会務の運営に関する全ての
議事につき審議し,決議する。
2 常務理事会は,必要に応じて各委員会に対し,
業務の報告を求めることができる。
3 常務理事会は,委員会からの報告事項及びその
他理事会又は社員総会にて審議すべき事項を選
別し,理事会又は社員総会に上程するものとす
る。
(常務理事会の開催等)
第 26 条 常務理事会の開催,定足数,決議要件等の事項
については,第 17 条の規定を準用する。ただ
し,本文中,役員候補選出委員は「常務理事」,
委員長は「理事長」と読み替えるものとする。
第 10 章 会 計
(資産)
第 27 条 本法人の資産は,次のとおりとする。
(1)会費
(2)事業にともなう収入
(3)資産から生ずる果実
(4)寄付金品
(5)その他の収入
(経費)
第 28 条 本法人の事業を遂行するために必要な経費は,
前条の資産をもって支弁する。
(事業計画,収支予算)
第 29 条 本法人の事業計画及びこれにともなう収支予算
は,毎会計年度の開始前に理事長が編成し,理
事会の決議を経て社員総会の承認を得なければ
ならない。
(収支決算)
第 30 条 本法人の収支決算は,毎会計年度終了後に理事
長が作成し,監事の監査を受け,理事会の決議
を経て社員総会の承認を得なければならない。
(会費)
第 31 条 本法人の会費は次のとおりとする。
(1)正 会 員 金
8,000 円
(2)賛助会員 金 100,000 円
第 11 章 施行細則の改正
(改正)
第 32 条 本細則の改正は,総社員の半数以上であって,
総社員の議決権の 3 分の 2 以上の賛成を得た社
員総会の決議によらなければならない。
第 12 章 附則
第 33 条 本法人の設立時社員及び前条の社員の任期は,
本法人成立後 2 年以内の最終の事業年度に関す
る定時社員総会の終結の時までとする。
平成 22 年 10 月 26 日 一部改正
平成 23 年 8 月 8 日 一部改正
平成 23 年 10 月 11 日 一部改正
平成 24 年 6 月 18 日 一部改正
神経外傷 Vol.37 2014

Page 76
146
(総則)
第 1 条 本規程は,一般社団法人日本脳神経外傷学会
(以下「本法人」という)の定款及び定款施行細
則(以下「細則」という)の規定に基づき,本
法人の運営,会務の遂行に関し各種委員会を設
置するために必要な事項を定めるものとする。
2 本法人の委員会は,定款又は細則に別段の定め
がある場合を除き,その構成,運営,任期等に
ついて,本規程に従うものとする。
(種別)
第 2 条 本法人には,以下の委員会を設置するものとす
る。
(1)役員候補選出委員会
(2)幹事会
(3)社員・学術評議員選出評価委員会
(4)機関誌編集委員会
(5)国際神経外傷委員会
(6)その他各種委員会
(任務)
第 3 条 前条に定める委員会は,それぞれ下記各号に規
定する事項を任務とする。
(1)役員候補選出委員会
① 細則第 18 条に定める業務
(2)幹事会
① 本法人の総務及び庶務並びに財務会計に
関する業務
② 前条各号に定める各委員会の業務の補佐
(3)社員・学術評議員選出評価委員会
① 細則第 6 条に定める業務
(4)機関誌編集委員会
① 本法人の機関誌「神経外傷」の編集・発
行に関する業務
(5)国際神経外傷委員会
① 神経外傷治療に関する国際的協力活動
② 諸外国における治療方針等の調査,研
究,検討
(6)その他各種委員会
① その他各種委員会の任務は,第 9 条によ
り定める個別の委員会規程に従うものと
する。
2 各委員会は,必要に応じて,委員会の活動内容
についての報告を理事会にしなければならない。
また,理事会から報告を求められたときは,直
ちにその活動内容の報告をしなければならない。
(委員長及び委員会の構成員)
第 4 条 各委員会には,委員長 1 名を置くものとし,定
款又は細則に別段の定めがある場合を除き,本
法人の社員の中から学務委員会の決議において
選定する。
2 委員長は,委員会の議長となり,委員会の会務
を総括する。
3 委員長は,委員会を構成する委員を,本法人の
会員,社員,役員あるいは学識経験者等の中か
ら委員会の運営に必要な人数を指名する。
4 委員長は,前項の規定に基づき委員を指名した
後,委員会の構成員を理事会に報告し,その承
認を得なければならない。
(任期)
第 5 条 委員長の任期は,定款又は細則に別段の定めが
ある場合を除き,当該委員長の理事としての任
期に従うものとし,理事として任期満了を迎え
た場合には,委員長の任期も満了となる。ただ
し,再任を妨げない。
2 前項の規定にかかわらず,第9条の規定に基づ
き定める各委員会規程に別段の定めを設けるこ
とができる。
(会議)
第 6 条 各委員会の会議は,必要に応じて,委員長が随
時招集する。
2 各委員会の議事は,出席した委員の過半数を
もって決する。
3 委員長は,必要があると認めるときは,会議の
招集を行わず,書面又は電子メールによって委
員の意見を求めることにより,各委員会の決議
に代えることができる。この場合においては,
委員長はその結果を各委員に報告しなければな
らない。
4 委員長は,適当と認める者に対して,参考人と
して各委員会の会議への出席を求め,資料の提
出,意見の開陳,説明その他必要な協力を求め
ることができる。
(議事録)
第 7 条 各委員会の審議については,その経過及び結果
の概要を記載又は記録した議事録を作成する。
(事務局)
第 8 条 各委員会は,その業務を処理するため必要があ
る場合には,事務局を置くことができる。
2 事務局については,本法人の職員若干名をもっ
て構成する。
3 事務局の職員は,各委員会の委員長の指示に基
づき,会議日程の調整,議題資料の作成,会場
整備などの業務を行う。
(各委員会規程)
第 9 条 本法人に設置される各委員会において,委員会
の運営に必要がある場合は,各委員会の発議に
より,常務理事会が審査し,理事会の承認を得
て,個別に委員会規程を定めることができる。
(その他の委員会)
第 10 条 本法人の運営,会務の遂行に関して必要がある
神経外傷 Vol.37 2014
委員会設置規程

Page 77
147
場合には,常務理事会の決議に基づき,理事会
の承認を得て,第 2 条各号に定める以外にも委
員会を設置することができる。
2 前項の規定により委員会を設置する場合,本規
程の全部又は一部を適用するか,もしくは別に
その委員会のみに適用される規程を設けるかを
常務理事会で検討し,常務理事会の決議に基づ
き,理事会の承認を得て実行するものとする。
(委員会の廃止)
第 11 条 本法人の運営,会務の変更,廃止等により,委
員会が必要なくなった場合は,常務理事会の決
議に基づき,理事会の承認を得て各委員会を廃
止することができる。
2 前項の規定にかかわらず,定款又は細則により
設置された委員会の廃止については,定款又は
細則の改廃に関する規定に従うものとする。
(改廃)
第 12 条 本規程の改廃は,理事会の決議により行う。
平成 22 年 3 月 4 日 一部改正
平成 23 年 8 月 8 日 一部改正
平成 23 年 10 月 11 日 一部改正
平成 24 年 6 月 18 日 一部改正
神経外傷 Vol.37 2014

Page 78
148
神経外傷 Vol.37 2014
1. 原稿は以下に示す体裁で記載して下さい。
a. 英文抄録(300 語)をつけて下さい。
b. 論文の長さは下記の通りとし,超過した場合は編
集委員が著者に再考をお願いすることがありま
す。または,超過分について出版費用を御負担い
ただくことがあります。論文は表紙,英文抄録,
本文,文献,図表,写真をすべて含んで印刷ペー
ジで 6 枚です.これは 400 字詰め原稿用紙 24
に相当します.図表,写真は合わせて 8 個とし
ます。CTMRI などの画像には必ず左(L)右
R)を明記して下さい。表題,著者名,所属施設
名,英文抄録,key words で印刷 1 ページ(原稿
用紙 4 枚)に相当します。図表,写真はキャビネ
大のものを原稿用紙 1 枚と計算し,それより大
きいものは,大きさに応じ,原稿枚数を調整して
下さい。また,必ず本文から通しナンバーを入れ
て下さい。
c. 論文はワープロ入力し,横書き 400 字または倍
数(8001200)で印字して下さい。
d. 原稿内容を CD-R 等のメディア(形式:テキスト
ファイル,使用機種を明記)に入れ,印字された
原稿と同時にお送り下さい。メディアは返却しま
せんので予め御了承下さい。
e. 外国語の固有名詞(人名,地名)は原語のまま,日
本語化しているものは,カタカナで書いてくださ
い。商標薬品名,その他の固有名詞の頭文字は大
文字で書き,文中の外国語単語(病名等)の頭文字
はドイツ語名詞を除きすべて小文字とします。
f. 図表には必ず表題と説明を付け,写真は
unmounted,裏に番号,上下印,論文題名,著者
名を鉛筆で記して下さい。図表,写真の表題およ
び説明は英文で記入して下さい。写真はキャビネ
大,白黒を原則とします。カラー写真印刷の場合
は実費を負担して頂きます。組織写真には染色
法,スケールバーを明示して下さい。
g. 文献は本文に用いられたもののみを引用し,引用
番号を本文中に記して下さい。
文献の記載はアルファベット順にして下さい。
投稿/執筆規定
著者には 1 名以上の日本脳神経外傷学会会員を含む必要があります。
原稿用紙の表紙に題名,著者名,所属施設名,校正刷りの発送住所,氏名を明記して下さい。
Ⅰ.総説・原著・症例報告
h. 文献の書き方は以下の通りにして下さい。外国雑
誌の略名は原則として最近の Index Medicus に従
うこととします。
《雑 誌》
著者名:題名.誌名,巻号数:頁-頁,西暦発行年.
《書 籍》
著者名:題名.書名,編者名(編),発行所,発行地,
西暦発行年,頁-.
引用文献の著者氏名は 3 名以内の時は全員,4
以上の場合は 3 名連記し,「,ほか:」「et
al:」と略します。文献の表題は副題を含めてフ
ルタイトルで書いてください。学会,研究会の抄
録を引用するときは,第何回学会と明記して下さ
い。欧文の場合は(abstr)と書いて下さい。
例: 1)中村紀夫, 大和田滋, 関野宏明, ほか:外傷性
小脳機能障害. 神経外科, 16: 331-335, 1976.
2Baker AJ, Moulton RJ, Macmilan VH, et al:
Wxcidtatory amino acids in cerebrospinal
fluid following traumatic brain injury in
humans. J Neurosurgery 79: 369-372, 1993.
3)大友英一:脳波と老化. 老年神経学─新し
い問題─, 亀山正邦(編), 南江堂, 東京, 1987,
pp42-45.
4Adams JH: Head Injury. In Greenfield's
Neuropathology, Fifth Edition, Adams JH,
Duchen LWeds, Edward Arnold, London,
1992, pp106-152.
2. 論文は原稿とコピー 1 部をお送り下さい。(原稿
内容の入った CD-R 等のメディアを同時にお送
り下さい。)
3. 編集委員により,論文が審査されます。審査の結
果,論文の修正,変更をお願いする場合がありま
す。
4. 別冊は,全て有料となります。50 部単位で注文
を受け付けます(10,000 円/50 部)。
原稿超過分,カラー印刷に対しては実費負担とし
ます。
【原稿送付先】
株式会社マイライフ社内 神経外傷編集部
162-0052 東京都新宿区戸山 1-1-5 エールプラザ戸山台 105
TEL: 03-5291-9002 FAX: 03-5291-9003
E-mail: neurotraumatology@mylife-tokyo.co.jp

Page 79
149
神経外傷 Vol.37 2014
《短報:投稿規定》
● 執筆分量
基本的に 400 字詰め原稿用紙換算で 10 枚以内(刷
り上がり・2 頁)
* 最大でも 400 字詰め原稿用紙換算で 20 枚以内
* 上記制限には,表紙・図表(3 点以内,なくて
も可)・図説・文献等を含みます。図表,写真
はキャビネ大のものを原稿用紙 1 枚と計算し,
それより大きいものは大きさに応じ原稿枚数を
調整して下さい。
● 送付内容
論文原稿(表紙,本文,文献,図表の説明)… 3
図表 …… 学会発表で使用したもの等,データ形式
でお送りいただいて結構です。
原稿内容を CD-R 等のメディアに収録し,印字さ
れた原稿と同時にお送り下さい。なお,メディア
は返却しませんので予め御了承下さい。
● 論文審査について
編集委員会による査読審査があります。
《短報:執筆規定》
● 原稿の体裁
1)原稿サイズは A4 版を用いて下さい。
2)原稿は「表紙 → 本文 → 図,表の説明文」の順
とし,必ず本文から通しナンバーを入れて下さ
い。
* 和文抄録,Abstract(英文抄録),key words
については不要とします
* 文献は 5 編以内とし,アルファベット順に
以下の形式で記載して下さい。
《雑 誌》
著者名(筆頭著者のみ),ほか(et al.):題名.
誌名,巻号数:頁-頁,西暦発行年.
《書 籍》
著者名(筆頭著者のみ),ほか(et al.):題名.
書名,編者名(編),発行所,発行地,西暦
発行年,頁-頁.
3)表紙には,日本語,英語の両方で以下のデータ
を記して下さい。
① 論文タイトル ② 著者名 ③ 所属
④ 連絡先
● 記述言語
本文の使用言語は日本語のみとします。ただし,
① 専門用語,② 原語で記載すべき箇所,③ figure
legends については英語で記述することとします。
Ⅱ.短報
● 本文の構成
本形式は論文概要であり,full paper に対する導
入,前書きではないので問題,目的,解決法,結
果を明瞭かつ簡潔にまとめて下さい。なお,研究
費交付および謝辞などは,本文の末尾に表記して
下さい。
● 著作権,出版権について
1)他の雑誌,単行本の図・表などをそのまま,も
しくは修正を加えて引用するときは,著作権規
定に照らした引用許可を得ることが必要です。
その際,出典を明らかにし,引用許可を受けて
いることを図・表の説明に英文で明記して下さ
い。また,出版社や著者から得た許可証を原稿
に添えて提出して下さい。
2)本誌に掲載された論文(figure table を含む)
の著作権と出版権は,日本脳神経外傷学会機関
誌編集委員会に帰属します。
● 著書校正について
1 回のみ行います。
● その他の要領については総説・原著・症例報告の
「執筆規定」に準じます。
《短報投稿に関するご注意》
このほか,本形式での論文にはその性質上,以下の場
合が想定されますのでご留意のうえ適宜ご対応下さ
い。
1)すでに他誌に full paper が掲載されている,ある
いは掲載が決定している論文を短報として今回投
稿する場合
・ 本誌掲載の際,脚注として,すでに他誌に掲載
されているあるいは掲載が決定している full
paper が存在する旨を明記させていただきます
ので,投稿の際,① 共著者,② 論文タイトル,
③ 誌名,④ 巻数,⑤ 発刊年,⑥ ページ数,を
明示し該当箇所のコピーを同封下さい。
・ 先行の刊行物の版権保持者に自著の二次刊行物
として他誌掲載許可をとって下さい。
・ 図表の再使用については,上記の許可がとれた
際には再使用可能とします。その際は出典箇所
を(筆頭著者名,発刊年)を明記して下さい。
2)将来他誌に full paper として投稿する場合
・ 図表については full paper への掲載をご優先頂
くか,まったく同一のものにならないよう適宜
ご対応下さい。

Page 80
神経外傷(日本脳神経外傷学会機関誌)
Neurotraumatology (Official Journal of The Japan Society of Neurotraumatology)
Vol. 37 No. 2 2014
2014 年 12 月 20 日 発行
発   行: 一般社団法人 日本脳神経外傷学会事務局
日本大学医学部脳神経外科
〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町 30-1
TEL: 03-3972-8111(内線 2481)FAX: 03-3554-0425
制   作: 株式会社 マイライフ社
〒162-0052 東京都新宿区戸山 1-1-5 エールプラザ戸山台 105
TEL: 03-5291-9002 FAX: 03-5291-9003
定価:本体 4,000 円+税
編 集 委 員
有賀  徹(委 員 長)
前田  剛(副委員長)
小川 武希 ・ 奥寺  敬 ・ 小野 純一 ・ 片山 容一 ・ 黒田 泰弘 ・ 甲村 英二 ・ 坂本 哲也
佐々木達也 ・ 鈴木 倫保 ・ 高里 良男 ・ 富田 博樹 ・ 平林 秀裕 ・ 藤木  稔 ・ 松前 光紀
三木  保 ・ 村井 尚之 ・ 横田 裕行
(五十音順)
COPYRIGHT © 2014 by The Japan Society of Neurotraumatology
編 集 幹 事
荒木  尚 ・ 大賀  優 ・ 大谷 直樹 ・ 刈部  博 ・ 河井 信行 ・ 川又 達朗 ・ 小泉 博靖
末廣 栄一 ・ 土肥 謙二 ・ 徳富 孝志 ・ 豊田  泉 ・ 中川 敦寛 ・ 中村 俊介 ・ 中村 丈洋
中村  弘 ・ 苗代  弘 ・ 藤澤 博亮 ・ 朴  永銖 ・ 丸石 正治 ・ 三宅 康史 ・ 吉野 篤緒
(五十音順)
学術評議員
秋山 雅彦 ・ 安心院康彦 ・ 荒木  尚 ・ 磯谷 栄二 ・ 稲次 基希 ・ 岩瀬 正顕 ・ 植嶋 利文
卯津羅雅彦 ・ 畝本 恭子 ・ 大賀  優 ・ 大塩恒太郎 ・ 大須賀浩二 ・ 大谷 直樹 ・ 荻野 雅宏
奥野 憲司 ・ 小野  元 ・ 雄山 博文 ・ 金子 隆昭 ・ 刈部  博 ・ 河井 信行 ・ 川上 雅久
河北 賢哉 ・ 熊井戸邦佳 ・ 呉  教東 ・ 小泉 博靖 ・ 小畑 仁司 ・ 小松 洋治 ・ 小柳  泉
榊原 毅彦 ・ 榊原陽太郎 ・ 佐久間 潤 ・ 佐々木達也 ・ 佐藤 秀貴 ・ 塩見 直人 ・ 重森  裕
下川 宣幸 ・ 末廣 栄一 ・ 鈴木 晋介 ・ 高尾 洋之 ・ 高田 能行 ・ 高橋  功 ・ 高橋 義男
髙山 泰広 ・ 竹本  理 ・ 田戸 雅宏 ・ 谷   諭 ・ 種井 隆文 ・ 津村  龍 ・ 徳富 孝志
土肥 謙二 ・ 戸村  哲 ・ 豊田  泉 ・ 直江 康孝 ・ 中江 竜太 ・ 中川 敦寛 ・ 長島 梧郎
中村 俊介 ・ 中村 丈洋 ・ 中村  弘 ・ 中山 晴雄 ・ 並木  淳 ・ 成相  直 ・ 野地 雅人
萩原  靖 ・ 林  拓郎 ・ 林  宗貴 ・ 原  睦也 ・ 原田 俊一 ・ 平林 秀裕 ・ 廣田  晋
福島 匡道 ・ 藤川  厚 ・ 布施  明 ・ 朴  永銖 ・ 本多ゆみえ ・ 前田  剛 ・ 正岡 博幸
間瀬 光人 ・ 丸石 正治 ・ 宮城 知也 ・ 三宅 康史 ・ 宮田 昭宏 ・ 宮田  圭 ・ 村井 尚之
村井 保夫 ・ 村上  守 ・ 森  達郎 ・ 安原 隆雄 ・ 八ツ繁 寛 ・ 柳川 洋一 ・ 山下 晴央
山田 哲久 ・ 山本 拓史 ・ 横堀 將司 ・ 吉岡  進 ・ 吉野 篤緒
(五十音順)

Page 81

Page 82

Page 83

Page 84

Page 85

Page 86