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松浦良充研究会 夏課題 2014/9/10(水)提出 
 
 
 
 
 
 
 

「人文学は本当に不要か

─人文学の衰退に関する考察─(仮)」 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

慶應義塾大学 文学部

人文社会学科 教育学専攻4年

学籍番号:11115825

宮下拓也

目次 

●アブストラクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.4 

(夏課題を読んで頂く前に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p。5) 

●第1章 仮説を検証するにあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.7 

  第1節 研究のねらい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.7

   第1項 筆者の問題意識の提示 

  第2節 人文学について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.9

   第1項 国の文言による定義

   第2項 先行研究者による定義 

  第3節 人文学は衰退しているのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.18

   第1項 国の文言より

   第2項 文学部不要論 

  第4節 人文学は必要なのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.23

   第1項 国の文言から

     第2項 先行研究者から 

  第5節 人文学振興のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.25

   第1項 国の対応策

   第2項 筆者の考える人文学衰退の一要因 

●第2章 仮説提示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.27 
 

●第3章 仮説検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.28

  第1節 仮説検証の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.28

  第2節 検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.29

     第1項 ①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問である

     第2項 ②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている

●第4章 本論のまとめ(今後、執筆していきます。)・・・・・・・・・・・・p.30

   第1節 本論で明らかにしたこと

   第2節 示唆

   第3節 残された課題 

●第5章 参考文献一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.31 

 (夏課題の反省・今後の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.37) 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

アブストラクト

 人文学という学問分野が衰退している現状がある。人文学を専攻する学部生や大学院生は年々減少し、科研費や大学教授の数を見ても、人文学は新規応募者数が非常に少ない。また、人文学を研究・学習する機関である文学部も年々減少し、「文学部だと学生が集まらない」という理由から文学部という看板をおろし、学部の名前を改める大学が急増している。「文学部はいらない」「人文学は社会の役に立たない」「人文学を専攻しても就職先がない」という根拠のない暴論まで社会では言われている。しかし、人文学は非常に重要かつ必要性の高い学問である。それにもかかわらず、人文学不要論まで言われている現状を筆者が問題視し、その一要因を探ることで今後の人文学という学問分野に何らかの示唆を与えることが本論文の目的としていることである。

 第1章では、仮説を検証するにあたり、必要な事項を明記していく。第1節では、筆者の人文学の現状に対する問題意識を提示し、本研究の意義や必要性について説明する。第2節では、人文学の衰退に関する考察を行っていく上で、人文学がどういった学問であるのかを、文部科学省や先行研究者の文言などを参考にしながら確認していく。第3節では、本当に人文学が衰退しているのかを、文部科学省やその他の機関、先行研究者の文言を参考にしながら確認していく。第4節では、人文学が衰退している現状を受け、なぜ人文学が衰退してはいけないのか、人文学の必要性や意義について説明をしていく。第5節では、人文学が衰退の一途を辿っている現状を受け、国がどういった対応策を取っているのかを確認する。

 第2章では、筆者の「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問であるにもかかわらず、②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている(要検討)」という仮説を提示する。

 第3章では、筆者の「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問であるにもかかわらず、②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている(仮)」という仮説の検証を行う。まず、仮説検証の流れを説明した後に、実際に検証を行っていく。

 第4章では、本論文のまとめを行う。第1節では、本論文で明らかにしたことを概説する。第2節では、本論文から得られた示唆について提示する。最後に第3節では、本論文では解決しきれなかった残された課題に関して言及する。

 第5章では、本論文を執筆する課程で参考にした文献の情報を記載している。 
 
 
 
 
 

◇夏課題を読んで頂く前に。

 今回はお忙しい中、私の夏課題を読むことに時間を費やして頂き、ありがとうございます。今回の夏課題ですが、自分の頭の中で考えている論の展開や持っている情報をうまく整理することが出来ず、すごく分かりづらい論文になってしまっています。(ごめんなさい)エビデンスも不十分で、本当に拙い夏課題になってしまっているのですが、少しでも皆さんに私が論じたかったことを理解して頂く前に、本文の前に私の夏課題について簡単に説明させて頂きたいと思います。

 前回、私は「文学部不要論」をテーマに春課題を執筆しました。しかし、資料が非常に少なく、私の力不足で学術論文にまで昇華することが出来ませんでした。そこで、松浦先生やゼミ生の皆々様のご指摘を参考に、少しだけ視点を変えることにしました。「文学部不要論」ではなく、文学部で学ぶ学問である「人文学」の衰退に関して卒業論文を執筆することにしました。「文学部不要論」に関しては、人文学が衰退している現状を説明する一例として扱うことにしました。

 そして、今回の夏課題で私が論じたかったことを以下に記します。本来ならば、本文の中でしっかりと説明するべきなのですが、御容赦頂けると幸いです。 

PP 人文学が衰退(①人文学を専攻する学部生・大学院生の減少②科研費の新規応募者数の少なさ③大学教員の新規応募者数の少なさ④文学部不要論)している。「社会の役に立たない」「就職先がなくなる」という根拠のない暴論がまかり通っている。 

BUT 文部科学省の文言、先行研究者の記述などからも人文学は必要な学問である。

⇒それにもかかわらず、人文学が衰退している現状は問題!!

⇒国では、これを受けて様々な対応策は講じようとしている。

⇒しかし、筆者はその対応策が根本的な解決ではなく、他に要因があると考えた。 

仮説 「人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問であるにもかかわらず、人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている(仮)」(下線部が筆者のオリジナリティ)

⇒これが筆者の考える人文学が衰退している一要因であり、これを改善することで人文学が復興の兆しを見せるのではないか、と考えている。 

人文学=すべてに通ずる基礎学+他の分野との連携が必要な学問 

BUT 基礎学+他の分野との連携が必要な学問にもかかわらず、人文学の研究や授業は文学部だけで行われており、基礎学である人文学の学問としての性格が配慮されず、等閑にされている。

⇒筆者はその人文学の学問としての性格上、工学部や理学部などの自然科学系の学部でも人文学が研究され、授業でも講じられるべきだと考えた!(元来、自然科学は哲学―人文学―から派生して生まれたものであり、自然科学と人文学は深く関わり合ったもの) 

IN SHORT 人文学の学問としての性格を理解せず、人文学の全てを文学部に一任している。そのため、人文学が本来あるべき形として扱われていない+「実学でない」「社会の役に立たない」「象牙の塔」などの社会の誤解を生じさせている。人文学が基礎学という本来の性格を踏まえ、様々な学部や分野と連携すれば、人文学が本来あるべき学問の形として最大限の力を発揮するし、自然科学や社会科学と連携することで「実学でない」「社会の役に立たない」「象牙の塔」という社会の誤解を解くことが出来るのではないか、と考えた。 

 以上が、現段階で私が考えている論展開です。これを念頭に置きながら本文を読んで頂けると、少しだけでも理解がしやすくなるかもしれません。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

●第1章 仮説を検証するにあたって 

第1節 研究のねらい

第1項 筆者の問題意識の提示

 本研究は、人文学という学問分野を専攻する学生が年々減少しており、不要論まで言われていることへの筆者の問題意識から始まるものであり、最終的には「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問であるにもかかわらず、②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている(要検討)」という筆者の仮説を検証することをねらいとしている。

 辞書1によれば、人文学とは「人間文化を考究する学問分野。人文科学。自然学(自然科学)との対比において用いられることが多く、一般的に哲学、宗教学、芸術学、社会学などを包含する。」と定義されている。そして、人文学を研究する機関としては文学部がある。そもそも、「学部」という概念が誕生したのは、1877年の東京大学の創設が契機であった。 

 「東京大学ニ四学部ヲ置

  旧東京開成学校ニハ文学部理学部法学部ヲ置旧東京医学校ニハ医学部ヲ置候事2 

 これが、日本において初めて「学部」という言葉が使われた時であった。この時に、文学部、理学部、法学部、医学部の4学部が置かれることとなり、日本の教育法令の中で最初に「学部」という言葉が使われた。つまり、文学部は日本で最も古い学部の1つであり、非常に歴史のある学部なのである。文学部という機関の中で、人文学という学問が長い歴史をもって研究されてきたということがここからも容易に窺える。

 また、2011年3月11日に起こった東日本大震災を契機として、人文学は「社会のための、社会の中の学術」という観点からも、社会への貢献が求められている。

 このように長い歴史を持ち、現代社会への貢献も求められている人文学であるが、昨今その衰退が様々なところで言われている。「実学的でない」「社会の役に立たない」「大学で人文学を専攻すると、就職することができない」などという理由からである。筆者自身も文学部に在籍しているが、今挙げたような声を聞くことは度々あるし、インターネットの掲示板などでも文学部の就職率の悪さや社会性・実学性のなさを揶揄する言葉が散見している。この人文学という学問の不人気、あるいは不要論を受けてか、人文学を研究する機関である「文学部」という看板をおろす大学が日本国内で急増している。「文学部」という名称だと、学生が集まらないというわけである。新しく「文学部」を創設する大学も皆無に等しい。こうして、人文学を研究する機関である「文学部」は日本から消えつつあり、国立大学には文学部は不必要である、という暴論さえまかり通っているのが現状だ。

 こうした状況は日本国内だけではなく、世界でも同様である。たとえば、アメリカの文系のキャリアを先導してきたハーバード大学では人文学を専攻する学生が急激に減ってきているそうだ。特に就職に関して学生は不安に考えているという。つまり、人文学を専攻しても仕事がないと認識している学生が増えているということだ。この「人文学=実学的でなく、社会の役に立たない=就職に不利になる」という構図は日本もアメリカも同様である、ということが分かる。

 韓国でも人文学の危機が叫ばれて久しい。2006年には、高麗大文科大教授たちが人文学危機打開を促す「人文学宣言」を発表した。衰退し続ける人文学の再興を狙いとする試みである。また、全国80の人文大学長たちも、人文学に対する長期的な投資を促す声明を発表した。梨花女大国際教育館で開かれた人文週刊開幕式で「人文学の危機」を宣言した。学長団は、政府が人文学に対する一時的な政策より、長期的で持続的な支援が可能な「人文学振興基金」など、早急に関連法案を用意することを求めた。また、人文学界が当面している危機状況に対する声明を発表し、仮称「全国人文大学長協議会」設立に対しても論議した。このように、アメリカだけではなく、日本以外のアジア圏でも人文学の危機は深刻になりつつあることが分かる。

 しかし先述の通り、人文学には長い歴史があり、現代社会への貢献も求められている重要な学問分野だ。「実学的でない」「社会の役に立たない」「大学で人文学を専攻すると、就職することができない」などという根拠のない暴論によって衰退させては絶対にならない。筆者は人文学という学問は、それほど重要な意義があり、人々を突き動かす大きなエネルギーをも孕んでいると考えている。以下に引用する文章を参照されたい。 

 「二〇〇二年四月、イスラエル軍の大侵攻に見舞われたヨルダン川西岸地区、ベツレヘムの街は依然、重度の外出禁止令が敷かれ、人々は何週間にもわたり自宅で囚人と化していた。訪問したあるお宅で二〇代半ばの娘さんが語った言葉─来る日も来る日も家に閉じ込められて、気が変になりそうです。本を読んだりして、なんとか気を紛らわしています……。バルコニーに出ただけでイスラエルの狙撃兵に頭を撃ち抜かれる。日常それ自体が狂気と化した状況のなかで、だからこそ、本を読むことが希求されていた。いつにも増して、何にも増して切実に、生き延びるために(果たして私はこれまで、そのときの彼女ほどに切実に、本を読んだことがあるだろうか……。)人間にとって文学が真に生きる糧となるのは、平時を平時として生きる者たちにおいてなのではなく、私たちにとっての例外的情況を日常として生きるこれらの者たちにおいてなのではないか。3 

 戦争という非日常的な環境下において、若い女性が希求したものは文学であった。私はこの一例から考えても、文学、延いては人文学が「社会の役に立たない」とは到底思えない。人文学には大きなエネルギーがあり、重要な役割を担う学問分野だと確信している。本研究を通して、人文学という学問分野について考察し、今後の人文学に何らかの示唆を与えることが本研究のねらいである。

第2節 人文学について

 本節では、人文学の衰退に関する考察を行う前に、人文学という学問分野がいったいどういったものであるのかを見ていく。まず、第1項で文部科学省の文言などから国の定義を確認する。そして、第2項で各先行研究者の定義を確認する。

第1項 国の文言による定義

 本項では、文部科学省の文言を基に、国が人文学をどのように捉えているのかを確認し、人文学の定義について検討していく。

 文部科学省の文言4によると、人文学は「理論的統合」、「社会的貢献」及び「『教養』の形成」という三つの役割・機能に立脚した学問として位置付け、これらの役割・機能のうち、どれか一つが欠けても人文学は成立しないという考え方を採っている。以下の表5を参照されたい。

 

理論的統合 人文学は、「精神価値」「時間歴史」、「言語表現」及び「メタ知識」を研究対象とする立場から、諸学の基礎として、個別諸学の基礎付けを行うという役割・機能を有している。また、「『対話』を通じた『(認識)枠組み』の共有」という「共通性」としての「普遍性」の獲得への道程という研究方法上の特性は、個別諸学間の「対話」を通じた「普遍性」の獲得の可能性を導くという意味で、方法上、個別諸学の基礎付けとなりうると考えられる。

具体的には、知識についての「メタ知識6」の学という役割・機能、個別諸学がそれぞれ前提としている諸価値の評価、及び個別諸学の背後にある「人間」という存在そのものへの考察という役割・機能として考えられるが、ここでは、専門分化してしまった個別諸学を俯瞰するという観点から、これらの役割・機能を合わせて「理論的統合」と名付けることとしたい。

社会的貢献 「他者」との「対話」という学問的な特性から、1.グローバリゼーションの時代における「多様性」と「普遍性」との架橋といった観点からの人間や文化の文明史的な位置付け、2.個別諸学の成果を一般市民に対して伝達するという個別諸学の専門性と市民的教養との架橋という観点からの社会的貢献が期待される。また、これら以外にも、3.政策や社会における課題の解決といった観点や、4.高度な「専門人」の育成といった観点を挙げることができる。
『教養』の形成 主に人文学の役割・機能として、「教養」の形成を挙げることができる。もちろん「教養」の形成は、学問全体として担う役割・機能でもあるが、ここでは学問の基礎的知識の問題ではなく、人間とか価値といった個別諸学では必ずしも扱うことの困難な問題を取り扱うという観点から、人文学を教養の形成に当たっての不可欠の部分として、考えることとする。
 

 以上の表からも分かるように、文部科学省では人文学を「理論的統合」、「社会的貢献」及び「『教養』の形成」という三つの役割・機能に立脚した学問として位置付けている。この3つの役割・機能のどれを欠いても、人文学は成立しない。こういったことを踏まえて、文部科学省では、人文学を「(精神的価値、歴史時間及び言語表現に関する)世界の知的領有」と「知識についてのメタ知識」である、と定義づけている。

 また、文部科学省では人文学という学問の範囲を以下の表7のように定めている。 

 ①大学(学部)

 大分類=人文学

中分類 小分類
文学関係 文学、日本文学、国語国文学、国語学国文学、文芸学、言語学、語学文学、英語英文学教育、国語中文学、国文学国語学、国文学、語学、特設日本語学、日本語・日本文化学、外国語学、外国語・外国文学、外国文学、比較文化、文化史学、児童文学、日本語・日本文化学類、日本語学、文、日本学、日本語教育学、日本語・日本文学、英語(・英米)文化学、外国語文化学、日本アジア言語文化学、英米言語文化学、国際文化学、英語英米文化、中国語中国文化学、ヨーロッパ・アメリカ学、表現文化、実践英語、言語文化学、英語英米文学、東アジア言語文化学、日本文化学 
史学関係 史学、国史学、東洋史学、西洋史学、史学地理学、地理歴史学、地理学、美術史学、歴史学、文化財学、歴史社会学、日本文化史学、歴史文化(文化歴史)学、歴史遺産学、総合歴史、歴史地理学、文化財歴史学
哲学関係 哲学、中国哲学、中国哲学文学、心理学、美術美術史学、宗教学、宗学、仏教学、基督(キリスト)教学、神学、神道学、禅学、密教学、真宗学、美学、東洋哲学、西洋哲学、印度哲学、臨床心理学、人間心理学、芸術文化学、国際禅学、文化心理学、心理臨床学、社会臨床心理学、総合心理学
その他 人文学、人文科学、文化学、図書館学、人文・社会・自然、文、社会心理教育学、キリスト教文化学、文明学、図書館・情報学、生活文化学、人間関係学、欧米文化学、日本文化(学)、心理社会学、国際関係学、東洋文化、人文学類、比較文化学類、人間科学、国際学、ヨーロッパ文化学、マスコミュニケーション学、総合文化学、国際文化学、行動科学、地域科学、行動科学課程、文化課程、英米文化、国際言語文化学、コミュニケーション学、言語文化(文化言語)学、図書館情報学、行動学、工芸文化学、地域文化学、人間文化学(課程)、文化行動学、心理・教育学、英米地域研究、人文社会学、人間学、情報文化学、知識情報学、環日本海文化学、言語コミュニケーション学、仏教文化、思想文化学、行動文化学、欧米第一課程、欧米第二課程、ロシア・東欧課程、東アジア課程、東南アジア課程、南・西アジア課程、日本課程、人間情報学、文化・コミュニケーション学、国際社会文化学、人間行動科学、日本アジア文化学、アジア文化学、超域文化科学、地域文化研究学、人間社会科学、文化人類学、国際交流学、国際言語(コミュニケーション)学、総合言語文化学、国際地域学、現代中国学、人間行動学、国際社会コミュニケーション学、地域情報科学、哲学歴史学、英語コミュニケーション(学)(課程)、アジア言語文化学、文化交流学、社会コミュニケーション学、人間発達学、英語文化学、環境文化学、北方圏文化学、観光文化学、東アジア地域言語、国際コミュニケーション学、異文化コミュニケーション学、表現文化(文化表現)学、文化総合学、人間言語学、書道学、人類文化学、人文情報学、総合文芸学、人間環境学、アジア文明学、ヨーロッパ文明学、文芸創作学、文化情報メディア学、多文化共生学、現代文化学、現代日本文化学、日本伝統文化学、書道文化学、英語情報学、国際人間学科、アメリカ文明学、心理コミュニケーション、神道文化、芸術表現療法、心理・応用コミュニケーション、発達臨床心理学、総合人文学、グローバル(・)コミュニケーション、言語表現学、国際・英語学、未来文化創造学、現代英語学、国際英語学、日本文化創造学、地域創造学、人間発達心理学、こども文化学、ドキュメンテーション学、国際英語メディア学、心理こども学、国際文化・言語学、交流文化学、国際言語表現学、文学言語、英語文化コミュニケーション学、都市教養学、文化創造学、社会文化学、英米比較文化学、ヨーロッパ比較文化学、日本・東アジア比較文化学、国際文化協力学、美学芸術学、心理・行動科学、英語メディア学、子ども未来学、人間発達文化学類、総合人間学、コミュニケーション情報学、心理・社会福祉学、外国語学
 

  ②学科(専攻)

   大分類=人文学

  

中分類 小分類(学科又は専攻)
文学関係 ①外国語学

英米(語)学、英米言語学、フランス(語)学、イタリア語学、ドイツ(語)学、ロシア(語)学、スペイン語学、ポルトガル・ブラジル語学、中国(語)学、モンゴル語学、インド・パキスタン語学、インドシナ語学、朝鮮(語)学、アラビア語学、タイ(語)学、ミャンマ語(ビルマ語)学、ペルシア語学、(国際)英語学、デンマーク語学、イスパニア(語)学、イギリス語学、ポルトガル語学、南アジア語学、西アジア語学、外国語学、ベトナム語学、タイ・ベトナム語学、デンマーク・スウェーデン語学、ブラジル・ポルトガル語学、韓国語学、アラビア・アフリカ語学、東アジア(語)学、ゲルマン系言語学、ロマンス系言語学、スラブ系言語学、アジア第一言語学、アジア第二言語学、アジア第三言語学、インドネシア・マレーシア語学、インドネシア・フィリピン語学、ロシヤ(原文ママ)・東欧語学、東南アジア語学、ブラジル学、中東語学、アジア学、スペイン・ラテンアメリカ学、北欧、英米学、英米語学、アジア語学

②外国語・外国語文学

英語(学)(・)英米文学、中国語中国文学、スペイン語スペイン文学、英語英米学(英語学英文学)、イギリス・アメリカ語文学、フランス文学・語学、(仏語(学)(・)仏文学)、独語学独文学、外国語外国文学、ロシア語ロシア文学、梵語学梵文学、イスパニア語イスパニア文学

③外国文学

外国文学、英(語)文学、フランス文学、英米文学、イギリス文学、ドイツ文学、イスパニア文学、北欧文学、ロシア文学、中国文学、西洋文学、ヨーロッパ文学、日本・中国文学、欧米文学

 

 ③大学院(研究科)

  大分類=人文学

中分類 小分類
文学関係 国文学、国語学国文学、国文学国語学、国文学国語学日本思想史学、中国学、日本文学日本語学、国語国文学、日本文学、中国古典学、文芸学、言語学、日本語学、比較文学比較文化、西洋古典学、外国語学、外国語・外国文学、外国文学、文学、各国文学、英米言語文化(英語文化)、中国言語文化、欧米言語文化、日本語(・)日本文学、児童文学、国文学中国文学、日本語日本文化、日本語学日本文学、文献文化学、文学文化、言語(・)文学、英米文化、日本アジア言語文化、米英言語文化、言語科学、外国語教育、文芸・言語学、言語文化、中国コミュニケーション、比較文化、日本文化
史学関係 史学、国史学、東洋史学、西洋史学、日本史学、日本史、東洋史、人文地理学、史学地理学、地理学、考古学、日本史東洋史、西洋史、歴史学、歴史文化学、歴史科学、日本歴史研究、歴史空間論、歴史・文化財学、外国史
哲学関係 哲学、中国哲学、印度哲学、東洋哲学、西洋哲学、実践哲学、倫理学、応用心理学、実験心理学、美術史学、美学美術史学、哲学哲学史、宗教学、仏教学、仏教史学、印度学仏教史学、宗教学宗教史学、歴史神学、組織神学、神道学、聖書神学、聖書神学思想、東洋思想、東洋文学思想、仏教文化、真宗学、美学、心理学、密教学、美学芸術学、浄土学、哲学及び哲学史、神学、宗教学・仏教学、宗教学比較思想学、中国哲学・インド哲学、芸術学、美学・美術史、印度哲学印度文学、美学および芸術学、発達心理学、臨床心理学、宗教文化、心理教育学、心理臨床学、思想文化学、哲学・倫理学、人間行動心理学、哲学・思想、実験・応用心理学、臨床・発達心理学、臨床社会心理学、キリスト教思想、教育ファシリテーション、生涯発達臨床心理学、臨床人間学、臨床心理実務、発達・学校心理学、実践臨床心理学、
その他 文化史学、西洋文化、図書館・情報学、広報学、日本常民文化、芸術学芸術史、国際関係(論・学)、文明研究、比較文化学、比較文化、人間学、行動学、言語文化(学)、日本学、社会文化論、言語文化論、中国文化、文化構造、コミュニケーション学、日本文化(学)(研究)、行動科学、文化学、ヨーロッパ文化、地域文化、地域科学、日本・東洋文化、図書館情報学、文化基礎論、地域文化論、日本言語文化、英語圏文化、表象文化論、地域社会システム、欧米文化、国際コミュニケーション、人文学、ヨーロッパ第一、ヨーロッパ第二、ヨーロッパ第三、アジア第一、アジア第二、アジア第三、日本課程、環太平洋地域文化、国際文化(学)、文化財資料学、歴史民俗資料学、国際文化研究、現代文化(学)、言語情報科学、国際地域文化論、国際文化交流論、思想文化(学)、基礎文化研究、アジア文化研究、欧米系文化研究、超域文化科学、行動文化学、文化構造研究、日本・アジア研究、言語社会、文化交流、日本伝統文化、文化システム、比較地域文化、地域言語社会、国際言語社会、地域文化学、南島文化、ヨーロッパ文化史、アジア文化史、文化科学、国際多元文化、人文科学、国際総合文化論、情報文化、文化形態論、人間文化、応用言語学、国際社会研究、比較社会文化学、国際日本学、言語文化交流、国際言語文化、人間文化学、文化財学、国際交流、文化表現論、人文基礎、文化資源学研究、歴史地域文化学、言語コミュニケーション文化、比較言語文化、哲学歴史学、アジア都市文化学、言語文化コミュニケーション、比較文明文化、国際文化言語論、韓国朝鮮文化研究、文化環境研究、応用英語、日本・アジア文化研究、日本文学・書道文化、仏教文化・文学、書道学、国際交流研究、現代文化論、人間形成文化論、言語・社会文化、社会文化基礎学、社会文化学、人類学、創造表現、英語コミュニケーション、人間行動学、国際地域学、人間発達学、国際地域学、人間発達学、異言語・文化、言語教育・コミュニケーション、日本語教育、人間科学、総合人文学、文化基礎、文化動態、仏教文化
 

 文部科学省では、以上の表のように、大学・大学院において人文学という学問を細かく分類している。

 また、研究本務者数に関しても言及しておきたい。文部科学省によれば8、2010年の段階で、人文学の大学等における組織・学問別研究本務者数は、社会科学と合わせて、国立大学で20121人(15.3%)、公立大学で3892人(20.3%)、私立大学で44595人(33.9%)の小計68545人(24.3%)である。さらに、企業における研究本務者数は社会科学と合わせて約7500人(1.4%)である。これは、他の単独データの学問分野と比較しても、非常に少ない数値であり、人文学が産学連携に弱いということが、ここから読み取ることができる。

 文部科学省では人文学の特性についても言及している。それは、「短期的な研究成果を求めるべきではなく、中・長期的な視点から研究成果を捉えていくべきである」ということだ。人文学は人の心を扱う学問であるため、価値それ自体が研究対象となり、その点で、ひとつの価値基準の下で研究を進めることのできる自然科学とは性格が異なる。しかし、「人間の行動の背後にある「意図」の形成に関する因果関係の解明のためには、価値や思想の問題を扱う人文学の存在」が重要であることは間違いなく、人文学のその重要性について言及している。つまり、人文学は根気強く、継続して研究されていく必要があるということだ。

 また、人文学の特性の1つとして「言語能力の必要性」が挙げられる。人文学は思想、文学、歴史、政治、社会といった地域性、時代性を踏まえた研究が行われている。そのため、自然科学のように「英語」だけが学問上の共通言語になるということがあり得ない。該当する地域や時代を研究するに際しては、アラビア語、中国語といった英語以外の言語、あるいは古代の言語や消滅した昔の言語の存在も前提として必要である。このことは、研究成果の国際発信に当たっても、同様のことが言えるだろう。

 そして、伝統的な学問観による研究方法の観点からの学問的特性として、人文学は「①(数学ではなく)自然言語により記述する学問であること②(外形的、客観的な事実を明らかにするのみならず)解釈を通じた意味づけの学問であること③(研究対象に再現可能性がないという意味で)非実験系の学問であること」が挙げられる。こうした伝統的な人文学の学問観の一方で、人文学においても自然科学類似の研究方法を活用すべきという考え方がある。この観点からは、自然科学と人文学との差異は質的なものではなく、量的なものであり、人文学においても「①計量的な手法②実験的な手法③フィールド研究等々のいわゆる科学的なアプローチに基づいてなされるべきもの」と解される。

第2項 先行研究者による定義

 前項では、文部科学省の文言などから国の人文学に対する定義や基礎事項を確認した。本項では、国以外の機関や先行研究者がどのように人文学を定義しているのかを確認し、人文学という学問分野に迫っていく。

 日本学術振興会学術システム研究センターによれば、人文学は「人間の思考と行動並びに人間の集団が構成する社会の価値観と行動のスタンスを共時的・通時的観点から考察し,異なる人間の本質と諸文化の特性についてのわれわれの認識を深めることを目的とする」学問と定義している。(以下、執筆中 

第3節 人文学は衰退しているのか

 前節までに、人文学に関する概説を行った。本節では、人文学が本当に衰退しているのか、人文学の現状について確認していく。本論文では、「人文学の衰退」の指標を①人文学を専攻する学部生・大学院生の減少②科研費の新規応募数の少なさ③大学教員の新規応募数の少なさ④人文学を研究する機関である文学部の不要論と数の減少とする。

第1項 国の文言より

 本項では、国の文言から、人文学が衰退している現状について確認していく。

 学術研究推進部会 人文学及び社会科学の振興に関する委員会(第12回)では、人文学の衰退に関する言及がある。「日本だけではなく、欧米においても、人文学は全体として予算やポストが停滞又は減少している。」「近年、人文学や社会科学の意味、重要性が、社会的に認知されなくなりつつあるという印象がある。」と、人文学の衰退に関して認めている。

 人文学を専攻する学部生・大学院生の推移を見ても、その衰退は明らかである。下は、日本の大学の学部生で、人文学を学ぶ学生の比率を図にしたものである。

 

      人文学を専攻する学部生
    平成15年度 16.3%
    平成20年度 15.6%
    平成21年度 15.4%
    平成22年度 15.2%
    平成23年度 15.0%
    平成24年度 14.8%
    平成25年度 14.7%

       (文部科学省「学校基本調査-平成25年度(確定値)結果の概要-」を参考に筆者が作成)

 

 以上の図からも分かる通り、日本の大学の学部生で、人文学を学ぶ学生は年々右肩下がりに減り続けている。これは学部生に限った話ではない。大学院の学生にも同じことが言える。以下は、日本の大学院の院生で、人文学を学ぶ学生の比率を図にしたものである。 

      大学院修士課程 大学院博士課程
    平成15年度 8.1% 10.4%
    平成20年度 7.8% 10.1%
    平成21年度 7.5% 9.9%
    平成22年度 7.4% 9.5%
    平成23年度 7.3% 9.0%
    平成24年度 7.4% 8.7%
    平成25年度 7.1% 8.5%

       (文部科学省「学校基本調査-平成25年度(確定値)結果の概要-」を参考に筆者が作成)

 以上の図からも分かる通り、日本の大学院の大学院生でも、人文学を専攻する学生というのは年々、右肩下がりに減り続けているということが分かる。

 また、文部科学省にデータ9によれば、人文学は自然科学と比較して科研費への新規応募数が少なく、大学教員数に対する新規応募数の割合も低いというのが現状だ。以下の表10を参照されたい。

 

<科学研究費補助金 応募数の推移(新規採択分)>

  平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度
人文学・社会科学 13,229 14,045 14,868 14,480
自然科学・その他 72,273 72,970 74,891 69,265

<大学教員数に対する新規応募数の割合(平成22年度)>

  新規応募者数(a 大学教員数(b a/b%
人文学・社会科学 14,480 62,520 23.2%
自然科学・その他 69,265 110,208 62.8%

<「新学術領域研究(研究領域提案型)」 -新規領域応募数->

  人文・社会系 理工系 生物系 複合領域 総計
平成21年度 10 103 63 41 217
平成22年度 9 85 104 32 230
平成23年度 6 86 84 40 216
 

 以上の表からも分かるように、科学研究費補助金の応募数の推移、大学教員数に対する新規応募者数の割合、新学術領域研究(研究領域提案型)-新規領域応募数-から見ても、人文学という学問領域が自然科学などと比較すると、恵まれた状況にないことは明らかであろう。

 人文学を専攻する学部生・大学院生が減少し続け、科研費や大学教員数の観点から見ても、人文学は厳しい状況下にあることということが分かった。これは、いわゆる「人文学の衰退」「人文学の危機」と言われる状況と考えて、間違いがないだろう。次項では、人文学を研究する機関である「文学部」という観点から、人文学が本当に衰退し、危機を迎えているのかを検討していく。

第2項 文学部不要論

 前項では、文部科学省の文言などから国がどのように人文学の衰退に関して考えているのかを確認した。本項では、人文学を研究する機関である文学部の存在意義や不要論が社会から問われ続けているという観点から、人文学の衰退について考えていく。

 現在、文学部を持つ大学は日本に数多く存在する。文学部は経済学部、法学部、商学部などと並んで、日本で最も知名度のある学部だと言っても間違いないだろう。しかし、文学部は「就職活動に不利になる」「社会の役に立たない」「文学だけを学ぶ学部である」といったような批判や誤解を受けることがある。筆者自身、文学部に在籍をしているが、このような批判や誤解を耳にすることは決して少なくはない。そして、実際に今その文学部が日本から減り続けている。以下は、この20年で「文学部」という看板をおろし、改組・名称変更を行った主な大学を図にまとめたものである11

 

  改組・変更年 改組・変更前の名称 改組・変更後の名称
山口県立大学 1994 文学部 国際文化学部、社会福祉学部
高知女子大学 1998 文学部 文化学部
広島文教女子大学 2000 文学部 人間科学部
昭和女子大学 2003 文学部 人間文化学部
大阪大谷大学 2004 文学部教育福祉学科 教育福祉学部
文化女子大学 2004 文学部 現代文化学部
大阪大谷大学 2005 文学部コミュニティ関係学科 人間社会学部
九州女子大学 2005 文学部 人間科学部
ルーテル学院大学 2005 文学部 総合人間学部
上智大学 2005 文学部教育学科・心理学科・社会学科・社会福祉学科 総合人間科学部(上智大学の場合は「文学部」がなくなったわけではない。)
神戸山手大学 2008 人文学部 現代社会学部
神戸海星女子学院大学 2008 文学部 現代人間学部
帝塚山学院大学 2009 文学部 リベラルアーツ学部
 

 以上の図からも分かる通り、この20年間だけでも多くの大学が「文学部」という名称から新しい学部に改組・名称変更をしている。以上の図は一部に過ぎず、実際には更に多くの日本の大学で「文学部」が減り続けている。

 日本の大学において、「文学部」という看板をおろす大学が増えている。この要因について倉部12はポジティブな理由とネガティブな理由の二通りがあると述べる。

 ポジティブな理由としては「学部で扱う学問の領域・内容が変わったから、誤解を招かないよう、それに合わせて名称も変えよう」ということである。社会は絶えず変化しており、当然社会が要請する大学教育の在り方も変わってくる。1990年代の初頭に慶應義塾大学が創設した「総合政策学部」「環境情報学部」は、まさしく社会や時代の変化に対応する大学教育を体現した今までにはない新しい学部だと言える。文学部も同様で、社会や時代の変化に対応していくことが求められる。学術的なメリットを考えて、「文学部」という看板をおろす例である。

 また、多くはないが、教育や研究の内容を分かりやすく社会に伝えるために、「文学部」という看板をおろす例もある。たとえば、上智大学である。2005年、上智大学は、それまで文学部の中にあった教育学科、心理学科、社会学科、社会福祉学科の4学科をまとめて独立させ、総合人間科学部を創設した。そして、文学部に属する学科は哲学科、史学科、国文学科、文学科、ドイツ文学科、フランス文学科、新聞学科、保健体育研究室の7学科1研究室となった。「文学部」と聞くと、人々は「作家やその文学作品だけを学ぶ学部である」という印象を抱く人も多く、教育学、社会学、社会福祉学、心理学も学ぶことができるということに意外性を感じる人も少なくはない。そのため、社会(特に受験生だろう)に対して分かりやすいように、上智大学のように名称を変更するということは意義のあることなのかもしれない。

 では、日本の大学が「文学部」という看板をおろすネガティブな理由とは何だろうか。それを、倉部は「文学部だと学生が集まらないと大学側が考えるから」だと述べている。

 確かに文学部には「学生が集まらない」「就職活動に不利になる」といったようなイメージが漠然とある。しかし、これは本当なのであろうか。まず、「学生が集まらない」という点に関してだが、以下は著名な大学の文学部の一般入試の倍率を図にしたものである13 
 

      2012年度 2013年度
    早稲田大学(文) 5.7 5.9
    慶應義塾大学(文) 4.3 4.2
    上智大学(文) 2.6 3.1
    青山学院大学(文) 4.3 5.4
    明治大学(文) 7.1 5.4
    立教大学(文) 4.3 4.8
    法政大学(文) 4.8 5.2
 

 以上の図からも分かる通り、著名な大学の文学部の一般入試の倍率は高いままで、決して文学部を志望する学生が極端に減っているとは言えない。しかし、倉部はこのように文学部に人気があるのは、一部の有名校のみだと言う。新設の大学や学部・学科で、「文学部」の看板を掲げる大学は皆無であり、現在、全国には100校以上の大学に「文学部」という名称が残っているが、これから先は減り続け、増えることは殆どないと述べる。

 文学部の存在意義や不要論は、学生や社会からの問いだけではない。「収入」という見地からも文学部は微妙な位置づけにある。

 私立大学はもちろん、国公立大学でも、「研究費は自分で稼ぐ」というのが昨今の潮流である。その際に、収入の大きな柱となるのが、文部科学省からもらうことのできる科学研究費補助金(科研費)と産学連携による収入だ。アメリカの一流大学では、産学連携によって企業から入ってくる寄付金が非常に大きな収入となり、大学の財務体質を強固なものにしているという。

 こうした産学連携の潮流は、文学部にとって非常に不利となる。産学連携は理系の方が圧倒的に有利だ。産業界に役立つ工学部や、バイオ技術のある農学部、医・歯・薬などの医療系学部などである。

 それでは、文系の産学連携はどうだろうか。経済学部や法学部などの社会科学の学問の産学連携というのは、まだ多くはないが、考えられなくはない。しかし、文学部となると、非常に限定的になってしまう。仮に文学部の産学連携が実現したとしても、スケールは理系と比べるとはるかに小さなものだろう。当然のことながら、産学連携は実学的な学問の方が向いている。研究費を獲得しなければいけないという圧力から、文学部は経営面からも岐路に立っていると言えるだろう。

 以上で見てきたように、人文学を研究する機関である文学部が減少し続け、不要論を唱えられている現状が分かった。このことは、延いては人文学の不要論にも関連してくるものだと筆者は考える。人文学を研究する機関である文学部が減っている。これは、間接的に人文学の衰退を指し示すものではないか。

 筆者は「人文学の衰退」を①人文学を専攻する学部生・大学院生の減少②科研費の新規応募の少なさ③大学教員の新規応募者数の少なさ④文学部の数の減少の観点から考えていると前述した。現在、人文学を専攻する学部生・大学院生は減少し続けており、科研費や大学教員数も厳しい状況下にある。そして、人文学を専攻する機関である文学部の数は減り続け、さまざまなところで「文学部は必要ない」という文学部不要論を唱えられている、という現状が分かった。これは、筆者の考える人文学の衰退に該当し、筆者は現在の日本において、人文学は確実に衰退していると認識している。 

第4節 人文学は必要なのか

 以上までに、筆者の人文学に対する問題意識を提示し、人文学の定義などを概説した後に、人文学が衰退している現状を見てきた。しかし、「人文学は本当の必要なのか」「人文学の衰退がどうして問題なのか」と疑問を抱く読者もいるかもしれない。「このまま衰退し続けてもいいのではないか」という意見さえ出るかもしれない。そこで、本節では、人文学が必要とされる理由や人文学の意義について説明し、人文学の衰退がいかに危惧するべき事柄であり、解決策を考える必要のあることであるのかを主張する。

第1項 国の文言から

 本項では、国の文言から人文学の必要性について確認していく。

 文部科学省の資料14によれば、人文学及び社会科学の共通する意義・役割・目的としては、3つの項目が挙げられている。1つは、「人間性の涵養」だ。人間性を涵養する、すなわち「よく生きる知」をはぐくむ意義を有する、ということである。2つ目は、「伝統の伝承」だ。文化や伝統を伝承・継承することも人文学(及び社会科学)の大きな役目ということである。そして、3つ目が「批判の存在」だ。英知の創生、社会への貢献及び教育への貢献が挙げられるが、その根底には、やはり人文学(及び社会科学)を基礎とする「批判」の存在が不可欠である、ということだ。

 そして、人文学が独自に背負っている意義・役割・目的ももちろん存在する。1つが、「人間研究の基礎学」ということだ。人文学は、「人間」とは何かということを様々な媒体や方法によって追求する、人間研究の基礎学である、とされており、全ての研究の根本的な部分を担う重要な学問である、ということだ。2つ目は、「文化の継承」だ。「源氏物語」「枕草子」等の文学作品を絶えず研究し続け、重大な文化遺産を守り、後世に残していくことも人文学に課せられた大きな責務だ。3つ目は、「英知の創生」だ。文化の廃れていくということは、人類の滅亡にもつながる。「「温故知新」の精神を絶えず持ち続け、人類の文化資産としての人文学から新たな英知を創生し、次の世代へ継承していく使命が人文学にはある。あるいは、‘HOW’ではなく、すぐには出ない‘WHY’に対する答えを希求するのが人文学であり、このような知の営みを深化させなければ、国や文明そのものの衰退につながり、社会の中で、一定の割合の人たちが人文学研究という知の営みを継続できる環境をつくることが絶対に必要だ」と、文部科学省の文言には明記されている。「人間社会の現実をトータルに解明するには、自然科学的方法のみではなく、意味を解釈するという人文学的な方法も総動員する必要がある」、と人文学の絶対的な必要性について書かれている。4つ目は、「社会への貢献」だ。文化行政、環境問題、情報化社会への対応、科学・技術との融合や協働など、社会への貢献も人文学の大きな意義のひとつだ。新しい発見、科学技術、あるいは様々な自然科学の発見のベースには、人文学の成果がある。そして、2011年の東日本大震災を受け、人文学の必要性というのも改めて認識された。「生きるとは何か」「人とは何か」そういった哲学的な問いを含む人文学の考え方がいかに必要か、ということが社会全体で意識されたきっかけであった。5つ目が、「教育への貢献」である。人文学は次世代の人材を育成する上で、大変重要である。未来への投資、という意味でも人文学が必要なものである。また、生涯学習の観点からも人文学は非常に重要だ。人文学や文学部の衰退が言われているが、企業を定年退職し、「就職」や「将来性」を意識しなくてよい年配の世代にとって最も需要のある学問は人文学であると言われている。そういった観点からも、人文学の意義について考えることが出来るということだ。

 また、文部科学省の記述に見ると15、「人文学の知見がなければ応えられないような現代的な課題の解決への期待がある。」と人文学に寄せられている期待が分かる。また、「知的関心の高い人々を引きつけている斬新な研究があり、これを人文学の覚醒への期待と見ることもできるのではないか。」と述べている。

 こういった文言からも容易に分かるように、国は人文学の必要性を認識しており、かつ、人文学に大きな期待を寄せていることが分かる。

第2項 先行研究者から

 前項では、文部科学省の文言等から、国が人文学の必要性や意義についてどのように考えているのかを確認した。本項では、国以外の機関や先行研究者の記述等から人文学が必要であるのかを検討していく。

 日本学術振興会学術システム研究センターによれば16、「人文学はこれまで,国民に国語の重要性を認識させるとともに、精神面から国民の生活を豊かにするさまざまな知識を供給し、我が国の文化の維持と向上に貢献してきた。資源の乏しい我が国が今後とも発展を続けるには、国民の知力を向上させ優れた人材を育成していかなければならないが、その際、国民の知力の基礎となるのが数学と国語である。人文学研究者は、日本人の思惟の根幹に国語(母語)があることを深く認識している。人文学の軽視は国語の軽視につながり、ひいては国民の思考・判断力,国全体の知力の低下を招くことを忘れてはならない」と警鐘を鳴らしている。さらに、「ここ十数年の急速なITの進歩と地球の全球化によって人文学の存在意義が再認識されている。グローバル化した社会・経済環境のもとでは異文化や異なる価値観の相互理解が不可欠であり、人文学はその基礎知識を提供する役割を担っている。また、グローバル化が引き起こす現代の諸問題は、人文学が長年培ってきた言語、文化、社会、歴史に関する研究の蓄積を抜きにして分析・解決することはむつかしい。この点からも、人文学の重要性はかつてなく大きい。」と人文学の重要性について記述している。

 高橋17もまた、人文学の必要性について言及している。

 「さらに今日の国際化の時代、グローバリゼーションの時代に、われわれには異文化を理解することが30年前よりもはるかに強く求められている。他方、日本を他国に対してアピールするためには、時刻の文化を知悉していなければならない。外国に赴任する外交官は、赴任する国の文化を知ると同時に、日本の文化に通暁していなければ、その国の人々と親しく接することができない。そして異文化理解を教えるのは人文科学の役割である。」 

 このように、高橋は異文化理解の点からも人文学の重要性について述べている。また、高橋はそれ以外にも人文学の価値について言及している。 

 「さらに人文科学は、一定の見方に捉われず、必要に応じて思考のフレームを変えることの必要性をも教えてくれる。ゲーテとカフカ、カントとヘーゲル、秀吉と家康とは水と油であり、片方だけが正しくて、他方は間違っているなどと言うことはできない。そういうことを、文学や哲学をしている人はよく心得ている。自分の見解を含めて、さまざまな見解を相対化して眺めるような見方を、人文科学は身につけさせてくれるはずである。」

 

 そして、2011年の東日本大震災も人文学の必要性に気付かされる契機であった。吉武博通も「東日本大震災と原発事故を経て、人間と社会と自然をトータルで理解することの重要性がより切実に実感されるようになった。18」と述べている。さらに、この東日本大震災を受ける形で、2012年7月「リスク社会の克服と知的社会の成熟に向けた人文学及び社会

科学の振興について」が公表された。

 以上のような、国以外の機関や先行研究者の記述からも人文学は必要な学問である、ということが十分に分かるだろう。 

第5節 人文学振興のために

 以上までに、人文学について様々な観点から考えてきた。人文学は絶対的に必要な学問であるにもかかわらず、衰退している現状を踏まえ、本節では国がどのように対応策を講じているのかを見ていく。

第1項 国の対応策

 本項では、国が人文学を振興させるために、どういった対応策を講じているのかを見ていく。文部科学省によれば19、人文学研究における振興方策として7つのことを挙げている。それが、①新しい人文学②文化政策からのアプローチの必要性③政策や社会の要請に応える人文学の必要性④共同研究の必要性⑤研究インフラの整備⑥人材養成⑦研究費である。以下に国の対応策に関する記述について、載せたい。 

①新しい人文学

人文学の中には、人類の遺産となるべきもの、文化的に継承していくべきものがある。他方、人文学の中にも、時代とともに変化すべき部分がある。伝統的な人文学を継承しつつも、例えば、テクノロジーを活用した新しい人文学について、より積極的に考えていく必要があるのではないか。

②文化政策からのアプローチの必要

国の文化政策の方針の中で、文学、思想、美術、歴史等の人文学研究の発展を位置付けていくことも考えられるのではないか。

③政策や社会の要請に応える人文学の必要性

・政策や社会の要請に対応していくという視点は、人文学においても必要である。例えば、外国人問題、民族問題などは、これからの我が国にとって重要な課題と考えられる。具体的には、日本語教育や、様々な宗教や価値観を理解するという問題は、我が国の人文学が取り組むべき重要なテーマと考えられる。人文学の性質からして百年単位で考えるべき課題がある一方で、今ここにある現実に向かいあっていくという学問の姿勢も必要である。

・例えば日本の文化、アイデンティティーの継承、そうしたものの意味が見えるような格好にするというのは重要。そのための具体的方策として、少し枠組みを変えて、何か政策対応的視点を持った部分をつくっていくというのは、非常にいい提案。

④協同研究の必要性

人文学は個人研究が中心ではあるが、大学、研究機関間の連携、共同利用機関の中核機能の強化、専門分野を越えた研究者間の連携など、組織レベル、研究者レベルで相互協力の体制を整備していく必要がある。

⑤研究インフラの整備

文献データベース等の研究インフラはまだまだ貧弱であり、何らかの支援が継続的に行われていく必要がある。

⑥人材養成

・若手研究者の海外での研究機会の確保など、人文学の国際化推進が必要ではないか。

・学問の継承の観点から、人材養成に対する支援が必要ではないか。

⑦研究費

科学研究費補助金の人文学研究の別枠化についても考える必要があるのではないか。 

 国としては人文学を振興させるため、以上のような取り組みを行おうとしている。しかし、筆者としては人文学が衰退した根本的な要因は他にあり、現在国が講じようとしている対策は根本的な問題を解決するものではないと考えた。(執筆中・要エビデンス) 

第2項 筆者の考える人文学衰退の一要因

 本項ではこれまでの国や先行研究者の見解を踏まえた上で、筆者の考える人文学衰退の一要因について言及していく。

 現在、人文学を専攻する学部生、大学院生の数は減少しており、科研費や大学教授の数という観点から見ても、人文学は厳しい状況下にある。また、人文学を研究する機関である文学部も学生からの人気が落ち、全国で数を減らしている。しかし、国や先行研究者の見解からも人文学は非常に重要な学問であるということが分かる。それにもかかわらず、人文学は衰退の一途を辿り、不要論などという暴論まで言われていることに筆者は問題意識を感じた。こういったことを受け、国では大きく分けて7つの対応策を講じようとしている。①新しい人文学②文化政策からのアプローチの必要性③政策や社会の要請に応える人文学の必要性④共同研究の必要性⑤研究インフラの整備⑥人材養成⑦研究費である。しかし、筆者はこれらの対応策は人文学の衰退を根本的に解決するものではなく、社会で言われる人文学に対する不要論や「社会の役に立たない」「人文学を専攻しても就職難に遭う」などの社会の誤解を解くものではないと考えた。(執筆中・説得力のあるエビデンスが必要)では、「人文学が衰退(①人文学を専攻する学部生・大学院生の減少②科研費の新規応募数の少なさ③大学教員の新規応募数の少なさ④人文学を研究する機関である文学部の不要論と数の減少)し、社会からの誤解(社会の役に立たない、人文学を専攻しても就職先がない等)を受けるようになった根本的な要因」は何か。次章において、筆者の仮説を提示したい。 

●2章 仮説提示

 本章では、筆者の考える仮説を提示する。人文学が衰退(①人文学を専攻する学部生・大学院生の減少②科研費の新規応募数の少なさ③大学教員の新規応募数の少なさ④人文学を研究する機関である文学部の不要論と数の減少)し、社会からの誤解(社会の役に立たない、人文学を専攻しても就職先がない等)を受けるようになった根本的な要因」は何か。筆者はこのことに対する仮説として、「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問であるにもかかわらず、②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている(要検討)」を提示したい。

 以下より、筆者の仮説を検証していきたい。 
 
 
 
 
 
 

●3章 仮説検証

 本章では、筆者の「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問であるにもかかわらず、②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている(要検討)」という仮説の検証を行っていく。

第1節 仮説検証の流れ

 本節では、筆者の「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問であるにもかかわらず、②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている(要検討)」という仮説の検証の流れを説明していく。

 まず、「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問である」ということを国の文言や先行研究者の記述で確認する。その後に、「②人文学の研究者学習が文学部だけで行われており、他分野との連携がなく、文学部に一任されている」ということを確認し、筆者の仮説の検証とする。(執筆中)

第2節 検証

 本節では、筆者の「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問であるにもかかわらず、②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている(要検討)」という仮説の検証を行っていく。

第1項 ①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問である

 まず、「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問である」ということを確認していく。

 文部科学省の「人文学及び社会科学の意義・役割・目的について」によれば、「人文学は、「人間」とは何かということを様々な媒体や方法によって追求する、人間研究の基礎学である。」ということが言われている。また、高橋20は「人文科学がすべての学の基礎学、真の意味での「教養学」であることを忘れてはならない。基礎学としての人文科学は、個別科学を基礎づけ、意味づけることができる。」と述べている。つまり、人文学とは「人間」を考える上で基礎となる学問であり、すべての学問に通ずることの出来る根本的な学問分野ということである。そして、「社会が抱える様々な課題の解決のために、個々の専門分野を越えて、様々な領域にまたがる学際研究や分野間の連携」が必要であり、「他の分野への働きかけ」が重要だと述べられている。人文学は「社会の役に立たない」「専攻しても就職先がない」とまるで象牙の塔のように揶揄されることが多いが、本来の人文学の性格は基礎学としてすべての学問の基礎となる根本的な学びであり、異なる分野と連携をしたり、働きかけをすることで最大限の能力を発揮する学問なのである。

 そもそも、元々は自然科学も人文学であった。大学の歴史を振り返ると、800年から900年前にヨーロッパ各地で大学が創設された時、哲学部(日本の文学部に該当する)・法学部・医学部・神学部しかなかった。大学生はどの学部に所属しているかにかかわらず、哲学を修める必要があった。つまり、哲学部は教養部のような位置づけにあった。その哲学では「人間とは何か」「自然とは何か」について考えるものであり、今日でいう「自然科学」に該当する学問は哲学部で研究されたのであった。しかし、時代の流れとともに、「人間とは何か」ということを書物で研究していく研究者に対し、「自然とは何か」を実験なども伴って研究していく研究者は別の分野であると認識され始め、19世紀以降に「新・哲学部」と「理学部」に分離していったのだ。つまり、理学部(自然科学)は哲学部(人文学)の分家として誕生したものであった。現在でもヨーロッパの自然科学者が哲学的な問いを重視するのはこのためである。歴史的に見ても、人文学は他分野との連携や働きかけを前提として成立する学問なのである。

 エドワード・サイード21も著書22の中で、「専門」化されすぎた学術領域の編成に対して厳しい目を向けており、人文学がもっと他分野にも開かれた学問であるべきである、ということが読み取れる。

 このような文部科学省や先行研究者も文言、あるいは歴史的に見ても、人文学はすべての学問に通ずる部分がある基礎学であり、根本的な学問である。そして、他分野との連携や働きかけが重要な学問だ。これにより、筆者の仮説「①人文学は基礎学であり、他分野との連携も必要な学問である」は検証された。(要検討)

 では、人文学はその学問的な性格(基礎学であり、他分野との連携や働きかけが重要)を現代までに引き継いでいるだろうか。筆者は、引き継いではいないと考えている。基礎学であり、他分野との連携や働きかけが重要な人文学であるが、現在では人文学の研究や学習・指導がすべて文学部に一任されており、自然科学は社会科学の分野では人文学が扱われていないと考える。つまり、筆者の仮説である「②人文学の研究者学習が文学部だけで行われており、他分野との連携がなく、文学部に一任されている」に繋がっていく。詳細については次項で述べたい。

第2項 ②人文学の研究や学習が文学部だけに一任されている

 本項では、前項までの内容を踏まえ、「②人文学の研究者学習が文学部だけで行われており、他分野との連携がなく、文学部に一任されている」という筆者の仮説を検証していきたいと思う。(執筆中 
 
 
 
 
 

●第4章 本論のまとめ(今後、執筆していきます。)

第1節 本論で明らかにしたこと

第2節 示唆

第3節 残された課題 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

●第5章 参考文献一覧 

【書籍】

・アルヴィン・カーナン(木村武史訳)『人文科学に何が起きたか─アメリカの経験』、玉川大学出版部、2001年。

・石原千秋『近代という教養―文学が背負った課題』、筑摩書房、2013年。

・市川須美子、浦野東洋一、小田野正利、窪田眞二、中嶋哲彦、成嶋隆『教育小六法』、学陽書房、2013年。

・エドワード.W.サイード(村山敏勝、三宅敦子訳)『人文学と批評の使命─デモクラシーのために』、岩波書店、2013年。

・愛媛大学法文学部 新潟大学人文学部『人文学の現在』、創風社出版、2012年。

・共生倫理研究会『共生の人文学-グローバル時代と多様な文化』、神戸大学、2008年。

・倉部史記『文学部がなくなる日』、主婦の友社、2011年。

・斎藤知也『教室でひらかれる<語り>─文学教育の根拠を求めて』、教育出版、2009年。

・坂口京子『戦後新教育における経験主義国語教育の研究―経験主義教育観の摂取と実践的理解の過程』、風間書房、2009年。

・渋谷孝『国語科教育はなぜ言葉の教育になり切れなかったのか』、明治図書出版、2008年。

・田近洵一『戦後国語教育問題史』、大修館書店、1999年。

・田中実、須貝千里『これからの文学教育のゆくえ』、右文書院、2005年。

・田中実、須貝千里『文学が教育にできること-「読むこと」の秘鑰』、教育出版、2012年。

・堤輝男『文学と教育のかけ橋―芥川賞作家・長谷健の文学と生涯』、文芸社、2002年。

・寺崎昌男『東京大学の歴史』、講談社、2007年。

・飛田多喜雄『国語教育方法論史』、明治図書出版、1974年。

・中西光雄『「蛍の光」と稲垣千頴―国民的唱歌と作詞者の数奇な運命―』、ぎょうせい、2012年。

・西尾実、田辺洵一『現代国語教育論集成 西尾実』、明治図書出版、1993年。

・西山雄二『人文学と制度』、未来社、2013年。

・浜本純逸『戦後文学教育方法論史』、明治図書出版、1978年。

・浜本純逸『文学教育の歩みと理論』、東洋館出版社、2001年。

・藤原和好『語り合う文学教育─子どもの中に文学が生まれる─』、三重大学出版会、2010年。 

【雑誌論文】

・足立悦男「これからの文学教育 : 比較文学教育の試み(韓国と日本)」、『国語科教育 54』、2003年、5-6頁。

・鮎澤浩二「『羅生門』文学教育の起点として」、『日本文學誌要 48』、1993年、35-44頁。

・井筒満「文学教育の必要性」、『文学と教育 (213)』、2011年、3-15頁。

・井筒満「文学教育の課題をめぐって」、『文学と教育 (217)』、2012年、17-26頁。

・稲田繁夫「言語過程説における文学教育論」、『人文科学研究報告, 8』、1958年、35-40頁。

・井上尚美「アメリカの国語教育」、『学芸国語国文学 15』、1979年、110-111頁。

・大島光「国語教育史における論争の再検討 : 「言語教育か文学教育か」論争」、『全国大学国語教育学会発表要旨集 119』、2010年、202-205頁。

・大島光「国分・石田論争の再検討」、『創大教育研究 22』、2013年、35-50頁。

・岡真理「思想の言葉 「戦争」の対義語としての文学」、『思想 (989)』、2006年、1-3頁。

・荻原桂子「国語教育と文学 : ことばと心」、『九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 45(3)』、2009年、86-96頁。

・角谷有一「教室で小説を読むということ--文学教材としての『少年の日の思い出』を読む」、『日本文学 57(8)』、2008年、21-30頁。

・角谷有一「中学校新指導要領の全面実施を前に文学教育の可能性を探る--復活教材『トロッコ』を読み直す」、『日本文学 60(8)』、2011年、24-32頁。

・菅田浩一「文学教育の意義--『不思議の国のアリス』を読む」、『四国学院大学大学院文学研究科紀要 9』、2011年、1-15頁。

・白井宏「中学校文学教育についての若干の基本的考察」、『名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 14』、1969年、19-24頁。

・鈴木愛理「文学教材としての現代小説の可能性」、『教育学研究紀要 54(2)』、2008年、459-464頁。

・鈴木愛理「芸術の媒材としての言葉を教育する授業像の探究 : 北村薫「スキップ」の分析を手がかりに」、『全国大学国語教育学会発表要旨集 120』、2011年、265-268頁。

・鈴木愛理「現代文学を教材とする価値について : いま・ここにおける「伝え合う」行為とは何か」、『全国大学国語教育学会発表要旨集 122』、2012年、17-20頁。

・鈴木愛理「「伝え合う力」のために : 姜尚中「受け入れる力」を手がかりに」、2012年、27-36頁。

・住岡敏弘、高橋さおり「PISA型読解力の育成に資する国語教育・文学教育の内容・方法に関する一考察」、『宮崎公立大学人文学部紀要 19(1)』、2012年、29-37頁。

・高橋義人「特集◆人文社会科学の役割と責任 文学と人生観─基礎学としての人文科学」、『学術の動向』、2007年、10-15頁。

・立川明「アメリカ合衆国での人文学の復興と日本の戦後高等教育改革」、『国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 44』、2002年、1-15頁。

・丹藤博文「〈死者〉の言葉 ―文学教育の(不)可能性を問う―」、『愛知教育大学教育創造開発機構紀要 1』、2011年、89-93頁。

・丹藤博文「〈テクストの外部〉に関する研究ノート ―文学教育の中に国語科を位置づける―」、『愛知教育大学大学院国語研究 21』、2013年、41-50頁。

・丹藤博文「文学教育における<感動体験>とは何か」、『読書科学 35(1)』、1991年、25-33頁。

・近嵐靖子「『奴隷』からアフリカ系『アメリカ市民』へ : 解放民教育に見る黒人の自助・誇り・自己実現(西洋史学専攻,一九九三年度修士論文要旨,彙報)」、『史学 63(4)』、1994年、451-452頁。

・中野登志美「学習指導要領において文学はどのように扱われてきたか : 中学校学習指導要領の中の文学の位置づけに着目して」、『論叢国語教育学 (復刊3)』、2012年、26-36頁。

・夏目武子「文学教育とは何か」、『文学と教育 (122)』、1982年、5-12頁。

・日本学術振興会学術システム研究センター「人文学分野の研究動向」、『特集:我が国における学術研究の動向についてⅢ vol.60 no.9』、2007年、646-740頁。

・橋本賢二「英米文学文化研究がたどり着く社会貢献 ― 文学教育が日常に役立つ瞬間 ―」、『大阪教育大学英文学会誌 58』、2012年、39-46頁。

・浜本純逸「一九七〇年代のソビエトの文学教育(<特集>国語単元学習の検討)」、『国語科教育 31』、1984年、93-99頁。

・浜本純逸「ゴーリキーの文学教育論 : ソビエト文学教育史研究」、『日本教育学会大會研究発表要項 45』、1986年、7頁。

・堀薫夫「シニア層向け大学開放に関する─考察」、『大阪教育大学紀要 第Ⅳ部門 第59巻 第2号』、2011年、207-218頁。

・洪性君、李潤相「韓国における人文学の現状と課題」、『山口大学人文学部・韓国昌原大学校人文大学 学術交流講演会』、2009年、88-104頁。

・益地憲一「中学校・詩の学習指導試論 : 教材集「アンソロジー」作りから「私の詩選集」作りまで」、『全国大学国語教育学会発表要旨集 79』、1990年、54頁。

・村上呂里「人間と言葉のかかわりをふまえた国語科教育 : 文学および文学の授業の可能性を探る」、『全国大学国語教育学会発表要旨集 95』、1998年、53頁。

・村上呂里「文学教育の〈場〉にユートピアを求めて (特集 読むことの倫理) -- (文学・教育のアイデンティティ)」、『社会文学(16)』、2001年、155-166頁。

・山折哲雄「特別講演 学問の行方」、『学術の動向』、2006年、50-53頁。

・山元隆春「文学教育の未来「文学」は国語教育に何をもたらすか」、『国語教育研究 (47)』、2006年、110-114頁。

・吉武博通「人文・社会科学の教育研究について考える」、『リクルート カレッジマネジメント178』、2013年、46-49頁。

・渡辺哲男「国語教育における文学教育と言語教育-西尾実と時枝誠記の論争を中心に-」、『教育学雑誌 (37)』、2002年、32-48頁。

・渡辺哲男「小林英夫における「言語活動」概念の誕生 : 1930年代におけるソシュール言語学の導入とその流通をめぐって」、『全国大学国語教育学会発表要旨集 112』、2007年、165-167頁。

・渡辺春美「問題意識喚起の文学教育の検討 : 荒木繁の所論を中心に」、『全国大学国語教育学会発表要旨集 122』、2012年、257-260頁。 

【WEBサイト】

・東京大学「文学部長インタビュー」

(http://www.ut-life.net/study/faculty/lit/)2013/8/29取得。

・文部科学省国立教育政策研究所「学習指導要領国語科編(22年度試案)」

(http://www.nier.go.jp/guideline/s22ejj/index.html)2013/8/30取得。

・文部科学省国立教育政策研究所「小学校学習指導要領(昭和55年4月施行)」

(http://www.nier.go.jp/guideline/s52e/index.htm) 2013/9/3取得。

・文部科学省国立教育政策研究所「中学校学習指導要領(昭和56年4月施行)」

(http://www.nier.go.jp/guideline/s52j/index.htm) 2013/9/3取得。

・文部科学省「これからの時代に求められる国語力について」

(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/04020301.htm)

 2013/9/5取得。

・文部科学省「中学校新学習指導要領・生きる力」

(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/index.htm)

2013/9/5取得。

・文部科学省「大学名等の変更届出一覧」

(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ninka/henkou/1304577.htm)

2014/4/17取得。

・広島文教女子大学「組織図・沿革」

(http://www.h-bunkyo.ac.jp/university/about/history.html)

2014/4/17取得。

・文化学園大学「歴史・沿革」

(http://bwu.bunka.ac.jp/outline/enkaku.php)

2014/4/17取得。

・FRENCH BLOOM NET「教養や文系の活路はどこにあるのか?─アメリカの大学で進む文系離れ」

(http://www.frenchbloom.net/2014/03/22/2603)

2014/4/17取得。

・文部科学省「学校基本調査-平成25年度(確定値)結果の概要-」

(http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1342607.htm)

2014/4/20取得。

・旺文社「大学受験パスナビ」

(http://passnavi.evidus.com/)

2014/4/20取得。

・経済産業省「企業が求める人材像と「社会人基礎力」との関係」

(http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/jinzaizou.htm)

2014/4/20取得。

・文部科学省「新設大学等の情報」

(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/secchi/)

2014/4/20取得。

・「平成17年度科学研究費補助金応募カード(学振)作成・記入要領」

(http://www.adm.konan-u.ac.jp/front/download_k/jspscard_yoryo.pdf)

2014/4/20取得。

・文部科学省「資料2 「人文学及び社会科学の振興に関する委員会」における主な意見(案)-「人文学」関係-」

(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/siryo/attach/1343346.htm)

2014/8/22取得。

・文部科学省「資料1-4-1 人文学・社会科学の振興に関する審議事項例[人文学及び社会科学の振興に関する特別委員会]」

(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/siryo/attach/1310493.htm)

2014/8/26取得。

・早稲田塾「GOOD PROFESSOR 早稲田塾が選んだ大学教授を紹介!「一生モノ」の恩師と出会おう」

(http://www.wasedajuku.com/channel/good-professor/detail.php?professorid=236)

2014/8/26取得。

・実用日本語表現辞典「人文学」(http://www.weblio.jp/content/%E4%BA%BA%E6%96%87%E5%AD%A6)

2014/9/2取得。

・文部科学省「平成17年度学校基本調査 学部系統分類表」

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/05122201/006/004.htm

2014/9/3取得。

・文部科学省「参考資料1 人文学・社会科学 関連データ」

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/023/siryo/__icsFiles/afieldfile/2012/05/23/1320809_2.pdf#search='%E4%BA%BA%E6%96%87%E5%AD%A6+%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81+%E4%BA%88%E7%AE%97')

2014/9/4取得。

・文部科学省「3.人文学及び社会科学の特性について」

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/siryo/attach/1343261.htm

2014/9/7取得。

・文部科学省「人文学及び社会科学の意義・役割・目的について」

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/siryo/attach/1343163.htm

2014/9/8取得。

・文部科学省「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/10/04/1325048_1.pdf

2014/9/10取得。

・文部科学省「リスク社会の克服と知的社会の成熟に向けた人文学及び社会科学の振興について(報告)」

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/09/06/1325061_1.pdf

2014/9/10取得。

・金沢大学人文学類長 岩田礼「躍動する「人文学類」」

http://jinbun.w3.kanazawa-u.ac.jp/j_about/message.html

2014/9/10取得。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

夏課題の反省・今後の方向性

 拙い夏課題を読んで頂き、ありがとうございました。論展開が分かりづらく、自分の考えていることや情報をうまく整理できず、分かりづらい論文になってしまったことを非常に反省しております。丁寧さに欠く論文であり、今後、しっかりとしたものを執筆出来るように努力していきたいと思います。

 今回の反省としては、

 ①資料が足りない

 まだまだ、先行研究を全体的に読むことが出来ておらず、少ない先行研究に依拠してしまっています。もっと読みたいと思っている先行研究がたくさんあるので(特にエドワード・サイードの著書については複数読む必要があると感じています。)、さらに多くの先行研究を読むことで、自身の論文にも幅の広さを持たせたいと考えています。

 ②定義づけを丁寧に行う

 論文全体を通して、定義づけ(用語の使い分け)が出来ていないことを反省しています。論を展開することで精いっぱいで、細かい部分をしっかりと固めることが出来ませんでした。具体的には、「人文学とは何か」「人文学がどういった状態になれば、衰退していない(あるいは興隆している)と言えるのか」などです。現段階は、先行研究を挙げているだけなので、自分なりの定義をしっかりと決めていきたいです。

 ③仮説の検証することが出来なかった

 今回、仮説を立てる段階までは進めることが出来ましたが、その立てた自らの仮説を丁寧に、かつ全てを検証することが出来ませんでした。4年生の夏課題で、仮説検証が済んでいないことは非常に嘆かわしいことであると認識していますので、早急に進めていきたいと思っています。

 皆さんにアドバイスを頂きたい点としては、

 ①このままの論展開で果たしていいのか

 果たして筋が通っているのでしょうか・・・。分かりづらいところなどがあれば、指摘して下さい。

 ②この論文にオリジナリティは存在するのか

 オリジナリティって何なのでしょうか・・・(笑)

 筆者としては、「研究や学習が文学部に一任されている」という部分にオリジナリティを見出しているのですが(検証できるかは別として)、これはどうなのでしょうか。オリジナリティとして成立しているのか、仮説として成立しているのか。何か気付く点があれば、指摘して下さい。

 ③「②人文学の研究者学習が文学部だけで行われており、他分野との連携がなく、文学部に一任されている」という筆者の仮説をどのように検証すればいいのでしょうか

 何かヒントを頂ければ幸いです。筆者が考えていることとしては、全国の社会科学系や自然科学系の学部において、人文学が研究&講義として講じられていないということを証明できれば最も分かりやすいのかと思っています(社会科学系や自然科学系の学部で人文学が研究されていない&講義として学生に教えられていないということが分かる=人文学が基礎学であり、他分野との連携が必要であるにもかかわらず、文学部だけにその全てを一任している)しかし、数え切れないほどある社会科学系・自然科学系の学部からどのように検証に使う大学や学部を選択すればよいのか、あるいはカリキュラムを細かく公開しているのか、などの不安があります。しかし、仮説の②が筆者のオリジナリティだと考えているので、ここが検証出来なければ、仮説を変更することも視野に入れています。

 以上のような点のアドバイスを聞きたいです。

 それ以外でももちろん構わないので、些細なことでも気が付くことがあれば、直接でも、松浦ゼミのホームページからでも、検討会の時でも、いつでも構わないのでご指摘いただければと思います。

 他の12期と比較すると、大変遅れていることは承知しています。あと数ヶ月しかありませんが、GPや英語の間に時間を見つけて、引き続き全身全霊で執筆に取り組んでいきたいと思います。皆さん、ありがとうございました&これからもよろしくお願いいたします!!!!! 
 
 
 

                                 宮下拓也

 

1 実用日本語表現辞典「人文学」(http://www.weblio.jp/content/%E4%BA%BA%E6%96%87%E5%AD%A6

2014/9/2取得。

2寺崎昌男『東京大学の歴史─大学制度の先駆け─』、講談社、2007年、48頁。

3岡真理「思想の言葉 「戦争」の対義語としての文学」、『思想 (989)』、2006年、1-3頁。

4 文部科学省「人文学及び社会科学の振興について(報告)-「対話」と「実証」を通じた文明基盤形成への道- 第三章 人文学及び社会科学の役割・機能」、2009年。

5 文部科学省の文言を基に筆者が作成。

6 知識の知識のこと。

7 文部科学省「平成17年度学校基本調査 学部系統分類表」を参考に筆者が作成。

8 文部科学省「参考資料1 人文学・社会科学 関連データ」、2012年。

9 文部科学省「参考資料1 人文学・社会科学 関連データ」、2012年。

10 筆者が作成

11 筆者が作成。

12倉部史記『文学部がなくなる日』、主婦の友社、2011年、41-81頁。

13旺文社「大学受験パスナビ」を参考に筆者が作成

14文部科学省「人文学及び社会科学の意義・役割・目的について」、2009年。

15文部科学省「資料2 「人文学及び社会科学の振興に関する委員会」における主な意見(案)-「人文学」関係- 第1 人文学の現状と課題」、2008年。

16日本学術振興会学術システム研究センター「人文学分野の研究動向」、『特集:我が国における学術研究の動向についてⅢ vol.60 no.9』、2007年、4-98頁。

17 高橋義人「特集◆人文社会科学の役割と責任 文学と人生観─基礎学としての人文科学」、『学術の動向』、2007年。

18吉武博通「人文・社会科学の教育研究について考える」、『リクルート カレッジマネジメント178』、2013年。

19 文部科学省「資料3 人文学及び社会科学の振興に関する委員会における主な意見 5.人文学及び社会科学の振興方策について」、2009年。

20 高橋義人「特集◆人文社会科学の役割と責任 文学と人生観─基礎学としての人文科学」、『学術の動向』、2007年。

21 1935-2003年。アメリカの文学研究者、文学批評家。

22 エドワード・W.サイード著 村山敏勝 三宅敦子訳 『人文学と批評の使命』、岩波書店、2013年。