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世界は温暖化している! 0.72℃/100年 特に北半球高緯度で温暖化している(過去125年) 大気中の
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地球温暖化と異常気象の関係は?
温暖化って本当? 人間が原因?
温暖化の原理は?
1か月先の天気予報も当たらないの
に温暖化予測って信用できる?
2017年6月20日(火) 札幌市 かでる 2・7 4F 大会議室
「平成29年度第1期えるのす連続講座〜女性大学〜」 第5回
北海道に台風上陸
3連発
(ウェザーニュース)
世界は温暖化している! 0.72℃/100年
世界の年平均気温偏差
気象庁HPより
2016年は記録更新!
はじめに
線は5年移動平均、赤直線はトレンド (0.72℃/100年)
21世紀初頭の温暖化の
停滞(ハイエイタス)
生ま
れる
温暖化は単調増加ではない。
年々変動、10年規模変動も。
特に北半球高緯度で温暖化している(過去125年)
気象庁HPより
はじめに
大気中のCO2
濃度は増大している
気象庁HPより
はじめに
全球平均
日本付近CO2濃度は
400 ppmv 突破
大気中のCO2濃度は夏に減少する季節変化
をしていますが、なぜでしょうか?
本日の話の目次
•  温暖化防止へ国際的取組み (IPCC, COP ,パリ協定
•  異常気象と要因3つ(ブロッキング・エルニーニョ・北極振動
•  天気予報とカオス 3か月予報は無理?温暖化予測は?
•  気候変動の要因3つ(自然変動・自然強制・人為強制
•  地球温暖化
*温室効果の原理
*温室効果ガスの変化
*温暖化の影響 *温暖化予測
•  北海道の近年の気候変動
•  北極海氷減少が寒波の一因?(時間があれば研究紹介
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
Intergovernmental Panel on Climate Change)
1990年 第1次報告書
1995年 第2次報告書
2001年 第3次報告書
2007年 第4次報告書
13-14年 第5次報告書
IPCCは地球温暖化の実態
把握とその精度の高い予
測、影響評価、対策の策定
を行うことを目的として、
1988年に設立された。

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IPCC地球温暖化第5次報告書
The 5th Assessment Report of the IPCC (AR5)
•  IPCCの構成
*第1作業部会「自然科学的根拠」 ← これについて説明
*第2作業部会「影響・適応、及び脆弱性」
*第3作業部会「緩和策」
WG-1 report
WG-2 report
WG-3 report
IPCC-AR5-第1作業部会のまとめ−1
気候システムの観測された変化
気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また1950年代
以降、観測された変化の多くは数十年から数千年間にわた
り前例のないものである。大気と海洋は温暖化し、雪氷の
量は減少し、海面水位は上昇し、温室効果ガス濃度は増加
している。
気象庁・環境省の和訳より
気候が温暖化している!
IPCC-AR5-第1作業部会のまとめ−2
気候変動をもたらす要因
放射強制力の合計は正であり、その結果、気候シス
テムによるエネルギーの吸収をもたらしている。
合計放射強制力に最大の寄与をしているのは、
1750年以降の大気中の二酸化炭素濃度の増加で
ある。
気象庁・環境省の和訳より
温暖化の主因はCO2
の増加
IPCC-AR5-第1作業部会のまとめ−3
気候システム及びその近年の変化についての
理解
気候システムに対する人間の影響は明瞭である。
これは大気中の温室効果ガスの増加、正の放射強
制力、観測された温度上昇、そして気候システムに
関する理解から明白である。
気象庁・環境省の和訳より
人類が気候を変化させている
IPCC-AR5-第1作業部会のまとめ−4
気候の将来予測
今世紀末までの世界平均気温の変化はRCPシナリ
オによれば 0.3〜4.8℃の範囲に、海面水位の上昇
は 0.26〜0.82 m の範囲に入る可能性が高い。
*RCPシナリオ:代表的濃度経路シナリオ
Representative Concentration Pathways
気象庁・環境省の和訳より
将来も温暖化は続く!
IPCC-AR5-第1作業部会のまとめ−5
将来の気候変動と対策
温室効果ガスの継続的な排出は、更なる温暖化と
気候システムすべての要素の変化をもたらすだろう。
気候変動を抑制するには、温室効果ガス排出量の
大幅かつ持続的な削減が必要であろう。
CO2
排出量の削減が必要
気象庁・環境省の和訳より

Page 3
COP と パリ協定
•  地球温暖化に国際的に取り組むことを決めた気
候変動枠組条約を受け、1997年の第3回気候
変動枠組条約締約国会議(COP: Conference of
Parties)で京都議定書が採択された。これは先
進国のみの削減義務で、後にアメリカ離脱。
•  COP21(2015年12月)でパリ協定が結ばれた。
世界各国(196カ国)がCO2削減目標を自主的に
提出。罰則はない。
2016年11月発効。
2017年6月、アメリカ離脱宣言。
みずほ総合研究所HPを参照
2015年12月COP21 パリ協定の主なポイント
目的:産業革命前からの気温上昇を2.0℃未満に
抑制。 1.5℃未満に努力。
CO2排出削減対策:各国にCO2削減目標の報告
や、目標達成に向けた国内対策の実施を
義務づけ。
ー 先進国には総量目標を設定
ー 途上国には総量目標を推奨
* 目標は5年毎見直し
*2023年以降、5年毎に世界全体の排出削減
状況を検証
途上国支援:先進国に努力義務。
2015年COP21 パリ協定で示された各国のCO2削減目標
みずほ総合研究所HP
異常気象と(??)年に1回しか起こら
ないような稀な気象現象気象庁の定義)
2016年1月25日朝日新聞・毎日新聞デジタル
異常気象と地球温暖化
IPCC第5次報告書(2013)より
温暖化しているときは、
異常高温の頻度が増し、
異常低温の頻度は下
がる。
大気中の水蒸気が増
大するので、短時間豪
雨は増える。
異常気象の原因(?)
【マスコミ等でよく聞く言葉】
•  偏西風の蛇行
蛇行が極端になるとブロッキング
•  エルニーニョ・ラニーニャ (数年スケール)
熱帯太平洋の大気・海洋系の自然変動
熱帯の対流活動が変わり中緯度へ影響
•  北極振動 (週〜季節:偏西風の蛇行とも関係)
北半球中高緯度大気の自然変動

Page 4
ブロッキング高気圧とは何か?
•  中緯度の偏西風ジェットが大きく極端に蛇行し、1
週間程度以上長く続くこと
•  ジェットが北へ蛇行したところでは、対流圏全層に
わたる背の高いブロッキング高気圧ができる
•  ジェット気流上を東進する移動性高低気圧の進行
がブロックされるのが名前の由来。
偏西風ジェットは南北
の温度差が大きいと
ころに吹く
エルニーニョ(左)とラニーニャ(右)の海面水温偏差
気象庁HP より (左)エルニーニョ (右)ラニーニャ の海面水温偏差
エルニーニョのときは日本では
冷夏 暖冬 であることが多い 北海道では普通の
El Niño て何語?
エルニーニョ現象の説明
新地学図表
太平洋赤道域では、貿易風(東
風)により表層の暖水が西側へ
吹き寄せられ、東側では深層より
冷水が涌き上がっている。このた
め、西部のインドネシア側で海面
水温は高く、積乱雲も活発である。
貿易風が弱まると、暖水が
東側へ広がり、東側での深
層水の涌き上がりも弱まる。
このため、赤道太平洋中部・
東部で海面水温は上昇し、
積乱雲も東で活発となる、
エルニーニョのときの北海道の気象
平均気温
「北海道の気候変動」(札幌管区気象台)
暖春
冷夏
西・東日本はエルニーニョのとき暖冬・冷夏
エルニーニョのときの北海道の気象
降水量
「北海道の気候変動」(札幌管区気象台)
少雨の春
多雨の夏
少雪の冬
By FRSGC & H.L.
Tanaka
北極振動Arctic Oscillation
亜寒帯ジェットはまっすぐで
強い。日本は暖冬
亜寒帯ジェットは弱く、蛇行。
日本は寒冬

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正の北極振動AOArctic Oscillation)に対応する海面気圧偏差
等値線間隔 0.5hPa.
日本付近
アリューシャン低気圧
が弱まり、暖かくなる。
欧州・北米東部
暖かい大西洋からの
西風が強くなり
暖かくなる
欧州〜
東アジアと
北米で暖か
札幌の気温
も北極振動
と相関高い
北極振動が正のときの冬の気温偏差
Wikipedia より
By Todd Mitchell
天気予報(数値予報)の流れ
物理的法則に従って初期値から将来を計算している
観測
地上・高層・船舶・航空
機・衛星・リモート・その
ほか
解析
初期値を作る
予報
未来を予測する
予報解析サイクル
データ同化
数値予報モデルと数値予報の流れ
T
t
= −u
T
x
+Q
大気等の初期値から数値
予報モデルを数値積分して
将来の状態を求める
数値予報予報精度は年々向上している。飽和?
•  現在では、スーパーコンピュータを用いて、このような予測がなされ
ている。これを数値予報といい、コンピュータプログラムを数値予報
モデルという。
精度は年々向上している (上の図)
•  風・気温などの大気の状態は物理法則に基づき変化する。∴大気
の初期状態がわかれば方程式系を時間積分することによって将来
の大気の状態が求められる。
500hPa Z, NH,
ECMWF HP
1981年
2015年
ECMWF:
Z500の偏差相関
100%
60%
10
ECMWF HP より
週間予報は はずれることもあるが、
最近 かなり当たるようになってきた。
1か月や3カ月予報は、あまりあてにならない。
なぜ?
将来は、1か月先の天気予報も当たるようになるだ
ろうか?
答)大気はカオスなので、
決定論的予測は2週間程度が限度
決定論的予測とは 「7月7日は晴れる」といった予測 ←→ 確率的予測

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カオスとは?
ローレンツ(Lorenz)によるカオスの発見
カオス的振る舞い
時 間
ほんの少ししか違わない初期値から積分しても、
ある時間たつと、2つはランダムに異なる。
初期値を完全な正確さで知ることはできないので、
ある時間以上は予測できない。なぜ?パイこね
中緯度大気の場合、初期値による予測可能時
間(決定論的予測可能時間)は2週間程度。
カオスに対処:アンサンブル予報(確率予報)
•  大気のこのカオス的な性質に対処するため、
「集団(アンサンブル)予報」という数値予報の
手法が研究・開発されるようになってきた。
•  これは、ある時刻に少しずつ異なる初期値を多数
用意して多数の予報を行い、その統計的な性質
を利用して最も起こりやすい気象現象を予報する
ものである。
気象庁HPより
アンサンブル予報
理由:観測値の不確実性、モデルの不完全性、カオス
天気予報の限界
-決定論的(断定的)予測の限界-
•  中高緯度大気の予測限界は2週間程度。
(低気圧の寿命による)
•  現象のスケール・寿命により予測限界時間は異なる。
集中豪雨:数時間
エルニーニョ:1~3年?
•  2週間以上の予報は確率的にならざるを得ない。
2週間より先の長期予報と温暖化予測
確率的にしかできないが。
•  中高緯度大気より長い時間スケール(記憶力)を
もった現象を考慮。
•  海面水温、積雪、海氷など大気より長い記憶を持
つものを使う。エルニーニョなど。
*地球温暖化は初期値問題ではなく、境界値問題。
CO2濃度という外部境界条件が変わったときの気
候システムの応答 → なので、信頼できる。

Page 7
気候変動 =
自然変動自然強制人為強制
•  自然変動気候システムで自発的に起こる変動。
エルニーニョ・北極振動
10年規模変動。
天気予報・長期予報のターゲット。
変動は大きい。
初期値問題として予測。
大気の記憶は2週間程度。
長期予報はなぜ当たらないか?
海洋は長い記憶をもつ。
気候変動 =
自然変動自然強制人為強制
•  自然強制気候システム外の強制による気候変動
*大規模火山噴火: 低緯度の火山が火山灰・ガス
を成層圏に注入すると2~3,地球は寒冷化する.
例外:北半球冬
噴火は予測できない。
IPCCの予測に含まれていない。
*太陽活動による変動。
11年(黒点)周期。太陽定数は0.1%の変動だが
紫外線は大きく変化。
長周期の変動? 宇宙線?
太陽の相対黒点数の推移
マウンダー極小期:
小氷期
ダルトン極小期
現代の極大期
気候変動 =
自然変動自然強制人為強制
•  人為強制: 気候システム外の人間活動による強制によ
る気候変動
*温室効果ガスの放出: CO2,CH4,フロンなど
温暖化する効果
*エアロゾルの放出:亜硫酸ガス、煤など。
寒冷化する効果(直接、間接)
*土地利用の変化
寒冷化
都市化
•  これまでの気候モデルによる温暖化予測は人為強制(
都市化以外)にたいする応答を計算したもの。
放射平衡温度
太陽放射赤外放射は釣り合っている。
単位面積当たりの太陽放射(日射)は
反射率(30%)を考慮して1370 W/m2 x 0.7 …..
小倉義光「一般気象学 第2版」
球の表面積は断面積の4
1370 W/m2 x 0.7 / 4 = 240 W/m2
放射平衡温度
•  射出される(赤外)放射は絶対温度の4乗に比例
する。 (σTσはシュテファン・ボルツマン定数
•  240 W/m2 に対応する温度は255K(-18
日射
赤外線
-18
σTS (1-α/
σT240
T4 42.3 x 108
K = C + 273.15

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温 室 効 果 Greenhouse effect
地球は温室効果ガスのおかげで適度な気温
240 W/m2 に対応する温度は255K(-18
日射
赤外線
-18
温室効果ガス
15℃
CO2, H2O,
CH4 などは
日射に対し
ほぼ透明で、
赤外放射を
吸収・射出す
る。
-18℃
-18℃
曇った夜が、
冷えないのも
温室効果
赤外線
赤外線
温暖化を増幅する(正の) フィードバック
•  水蒸気フィードバック
温暖化 水蒸気量の増加 温暖化
•  アイス・アルベド(日射の反射率) フィードバック
温暖化 雪氷の減少 => アルベドの減少
日射の吸収の増加 温暖化
•  雲フィードバック (不確実性が大きい)
温暖化 → 下層雲量の増加 → 寒冷化
減少 → 温暖化
温室効果ガスとその濃度の変化
•  温室効果ガス
*水蒸気(H2O) ← 自然起源
二酸化炭素(CO2) 人為起源で最も温暖化に寄与
*メタン(CH4) 水田・湿地・家畜から放出
*一酸化二窒素(N2O) 海洋・土壌+肥料・工業活動
*フロン(CFCs)
*対流圏オゾン(O
人為起源温室効果ガスの割合
気象庁 HP より
¾ (75%)が
CO2
CO2, CH4, N2O 濃度
- 産業革命前より異常に増加
- 近年の増加が著しい
温室効果ガスの変化
ー過去1万年ー
CO2
CH4
N2O
日本でのメタン(CH4)濃度の推移
気象庁HPより
メタンも北半球で濃度が高い。
また夏に少ない。これはOHラジカルによる消滅反応による。

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日本での一酸化二窒素(N2O)濃度の推移
気象庁HPより
ハロカーボン類(フロン)人工物質
オゾン層破壊物質であるが温室効果ガスでもある
規制のおかげで、ゆっくり減少している。
気象庁 HP より
綾里(三陸)の観測
世界平均
http://www.garbagenews.net/archives/2011543.html
国別CO2排出量
全球平均放射強制力(産業革命後)[W/m2]
IPCC第5次報告書(2013)より
エーロゾルは寒冷化作用
氷河期(過去40万年)の気候変化とCO2,CH4
IPCC2001
地球温暖化の影響
•  温暖化 熱波の増加、積雪の減少
•  山岳氷河の後退・グリーンランドの融解
•  海面水位の上昇 水没 海岸浸食 高潮
•  北極海氷・ユーラシアの積雪の減少
•  豪雨の増加・強い台風の増加 一方、干ばつ増
•  海洋の酸性化 海洋生態系の変化
•  CO2増加による施肥効果 陸上生態系の変化
•  マラリア等 熱帯の疫病の北上
などなど

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地球温暖化の影響:北極海氷の減少
気象庁HP
北極域の海氷面積最小値(1970-2015年)の変化:破線は変化傾向。
アイス・アルベド フィードバック
北極域は全球平均の2倍で温暖
化している
地球温暖化の影響:海面水位の上昇
主な原因は、海水の熱膨張と陸地の氷河・氷床の融解
海氷の減少ではない
IPCC2013
気象庁
気候モデル(大気海洋結合モデル)による予測
海水の運動・変化
CO2
増加
気候モデルの予測からわかること(その1)
•  20世紀再現実験
*自然強制(火山活動、太陽活動)
*人為強制(温室効果ガス、硫酸エアロゾル)
これらを与えて過去の気候変化が再現できるか。
•  過去の気候変動の要因がわかる。
人間が引き起こした温暖化か、それとも自然変動である
のか?
温暖化の要因 (IPCC report より)
•  全強制力を考慮すれ
ば、気候モデルは2
0世紀の気候変動を
再現できる。
•  自然変動(強制)だけ
では、20世紀後半
の温暖化は説明でき
ない。
•  20世紀後半の温暖
化は人間が引き起こ
した
IPCC2013
気候モデルの予測(世界平均気温予測)
IPCC2013

Page 11
気候モデルの予測(排出シナリオ)
IPCC2013
濃度変化
気候モデルの予測(気温と降水量)
IPCC2013
気候モデルの予測(北極の海氷)
IPCC2013
晩夏の北極域の海氷面積は ほとんどなくなる
日本の平均気温の推移
1888年以降: 1.19/100
気象庁 HP より
昨年は過去
最も暑い年
北海道の年平均気温:1.59/100年の温暖化トレンド
「北海道の気候変化第2版(2017)」(札幌管区気象台)
「北海道の気候変動」(札幌管区気象台)
都市化(ヒートアイランド現象)
の影響が大きい(札幌・旭川)

Page 12
短時間豪雨は増えている
「北海道の気候変化第2版(2017)」(札幌管区気象台)
北極の海氷減少と日本・世界の冬の気温
地球温暖化というけれど、最近、寒冬や豪雪が 結構
頻発しているように思う。
北極海の海氷は近年、急速に減少している。北極振動も
負の傾向。両者は関係あるか?
我々は大気大循環モデルによる数値実験(60年積分)で
北極域の海氷面積のみが減少するとどうなるかを調べた。
Nakamura et al.(2015)の論文紹介をします。
(結果) 冬の北極振動は負になりやすい。
欧州・東アジアの冬は寒くなる傾向にある。
北極海氷と寒冬
Nakamura et al., 2015, JGR
AOは負になる つまり、
-> 温暖な北極
-> 寒い中緯度
Heavy ice yrs
Light ice yrs
118
北極海氷と寒冬
論文タイトル:最近の北極域の晩秋の海氷減少による冬
の北極振動/北大西洋振動の位相の負へのシフト
北極域の海氷減少と冬の気温の関係
Nakamura et al.(2015, JGR)
850-hPa(
1.5km上空)の
海氷減少によ
る気温変化
上)モデル
下)観測
北極は暖まるが、
東アジアは冷える
北極海氷と寒冬
ハッチは差が統計
的に有意なところ
北極の海氷減少と日本の冬の気温
地球温暖化というけれど、最近、寒冬や豪雪が
あるように思う。
北極海やオホーツク海の海氷は近年、急速に減少している。
両者は関係あるか?
我々は大気大循環モデルによる数値実験で
北極域の海氷面積のみが減少するとどうなるかを調べた。
(結果) 冬の北極振動は負になりやすい。
欧州・東アジアの冬は寒くなる傾向にある。
現実にも最近(21世紀)、欧州、東アジア、北米は
20世紀末より寒い。他にも(Honda et al. 2009など)同様な研究例
地球温暖化で北極海氷減少 → 北極温暖化 →
北極振動が負(ジェットは蛇行)
寒冬・豪雪(日本・欧州・北米東岸)
温暖化により(中緯度は)寒くなるという逆説!
北極海氷と寒冬
ご清聴ありがとうございました。
ご質問がありましたらご遠慮なく!
連絡先は yamazaki@ees.hokudai.ac.jp
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