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1,197 兆円(財務省が同年6月に発表した国だけの国債、借入金等の総額は 1,039 兆円)で、
対GDP 比 245%という先進国で断トツに悪い借金財政になった。アメリカでは連邦政府の
債務上限額が決まっていて、それ以上の借金を行う場合は議会の承認が必要だ。海外では
債務上現をGDPの 60%に設定している国が多い。EUに加盟するにも国の債務残高がG
DPの 60%以下であることが条件になっている。日本の 245%は常軌を逸した水準だ。
一方、我が国の個人金融資産は 1,645 兆円(平成 25 年末、日銀資金循環統計。家計のほ
か年金準備金、個人経営事業資金等を含む)あり、これが国債の 91.7%(平成 25 年)を消
化し国の財政破綻を防いできた。だが、国債の元利償還に回すため一般会計から国債整理
基金特別会計に繰り入れられる資金が 23 兆 2,702 億円(平成 26 年、予算ベース)あり、
税収の半分に迫る金額が借金返済に回っている。家計や企業会計では借金返済のための収
入というサラ金地獄にはまった破産状態だ。国債は 60 年償還ルール(満期後も 60 年間に
わたり前年残高の 1.6%相当額を繰り入れ償還に充てる)で国債整理基金を維持してきたが、
現在は国際の 78%までが利払いを続ける借換債であり、このまま大量の国債発行を続けれ
ば、やがて償還財源を捻出できなくなり国家財政はデフォルトとなる。
4.金融バブルがはじけ、国債暴落、ハイパーインフレへ近づく
日本銀行は 10 月 31 日、追加の量的金融緩和措置を発表した。①マネタリーベースを年
間 60∼70 兆円から 80 兆円に拡大する②50 兆円が目標だった長期国債買い入れを 80 兆円
に増やす③株価に連動する上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−RIET)の買
い上げを3倍に増やす──が主な内容である。これは①腰折れぎみの日本経済の実体をテ
コ入れする意味②アメリカの連邦準備制度(FRB)が 10 月 29 日に好調な実体経済をみ
て金融の量的緩和第3弾(QE3)の終了を発表し世界の過剰流動性に打ち止め感が出る
ことを恐れた③消費者物価指数が前年比伸び率 1%を割ることが予想される事態となり、12
月に政府が決める平成 27 年 10 月の消費税率を予定通り 10%にアップすることを決断しや
すくする──という3つの意味があったと推測する。日銀のこの発表で為替は発表前日の
1ドル=107 円から発表直後に 112 円へ一気に5円も円安となり、日経平均株価の終値も
発表前日より 755 円高い1万 6,413 円をつけた。その後も円安、株高が続いた。
ところが、である。これまで国債発行額の増加に反比例し短期国債も長期国債も金利が
低下し続けてきたが、ここへ来て長期金利(3年以上)がジワリ上昇に転じ、海外投資家
が多い先物市場は国の財政悪化をみて国債売りに転じ始めた。一方、国内金融機関が引き
受けた国債は資金の貸出先がなく日銀の当座預金に積み上がり、これ以上の国債引き受け
は限界に近づいている。日銀が国債の買いを行っても金融機関が通貨の余剰感から応札に
応じない「札割れ」が起きている。このままでは日銀の国債買いは止めることができない
出口のないトンネルに入った状態となり国家存立基盤が崩壊してしまう。
消費者物価指数(平成 22 年基準、月ベース、588 品目総合)は平成 25 年7月以降 100
台を示していたが、平成 26 年4月以降は 103 となり上昇に転じている。国税庁の 14 段階