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世界で唯一減少の科学立国日本の研究論文 成果主義失敗で研究不正も増加か? - 知識連鎖

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世界で唯一減少の科学立国日本の研究論文 成果主義失敗で研究不正も増加か?

 日本の論文数が、数十カ国の調査で他国がすべて増える中で唯一減少しているという話を聞いて驚きました。<日本の研究論文は不正が多く、重要度の高い論文も少ない>、<成果主義失敗で論文数低下、研究不正も増加か?>、<競争主義を取り入れて逆に競争力を失った日本の大学>などをまとめています。

 その後、<不正が相次いだのは必然?政府推進の大型予算と企業連携が理由か>なども追記しました。

2023/06/19まとめ:
●JAXAと共通点アリ…多額の予算集めた企業参加の研究で問題が発生 【NEW】
●不正が相次いだのは必然?政府推進の大型予算と企業連携が理由か 【NEW】
●政府が推進も…企業連携優先のせいで問題が起きやすくなっている可能性 【NEW】


●他の国は増えてるのに!世界で唯一減少の科学立国日本の研究論文

2013/5/31:日本は実を言うと、研究不正が多い国です。こういった論文の不正が絶えない理由として、ある方は教授らの評価として論文数が重視されるからだとしていました。論文の中身が正しく評価されないために数だけの勝負となり、また論文の内容を精査できないために不正も見抜けないということになるという悪循環です。

 そういったご指摘がありましたので、日本の論文数はてっきり増えているものだと思っていました。ところが、全然そうじゃないらしいという話を知って驚愕しました。あまりにも異常な日本の論文数のカーブ 2012年06月27日 (鈴鹿医療科学大学学長、前国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog)で以下のような話があったんですよ。

<資料の中で私が目を留めたのは、エルゼビア(Elsevier)社のスコーパス(Scopus)という学術文献データべ―スによる、日本の学術論文数の変化を示したグラフでした。(中略)
 さて、この図をみると、少し太めの赤線で示されている日本の論文数が、多くの国々の中で唯一異常とも感じられるカーブを描いて減少していますね。いつから減少しているかというと、国立大学が法人化された翌年の2005年から増加が鈍化して2007年から減少に転じています。他の国はすべて、右肩上がりです>

 えええ、むしろ下がっているんですか!? エルゼビア社のデータで出ている国は数十カ国ありますが、日本以外の国はすべて右肩上がりです。それもやや右上がりなんてものじゃなく、はっきりとした上がり方でした。

 それに対して日本は唯一、本当に唯一がくっと下がったときがあり、今は横ばいかやや減少気味という傾向です。調査対象を増やせば、世界で唯一ってことはなくなるかもしれません。しかし、この今わかっているデータだけでも十分すぎるほど、衝撃的な結果でした。


●世界で唯一減少の原因は、国立大学法人化、若手研究者の減少などの説

 豊田長康鈴鹿医療科学大学学長は"データベースによって、その“くせ”のようなものがあり、一つのデータベースだけにこだわって分析をすると、過ちを犯すリスクがあると思います"ということで、トムソン・ロイター社のデータベースによる分析(5年移動平均値)についても触れています。

 こちらは"日本の論文数は少し早く2000年頃から停滞を示しており、エルゼビア社ほどはっきりと増減を示していません"ということで、減少と言うよりは横ばいだとは言えます。とはいえ、別データを使っても、やはり増加傾向ではないことは確かなようです。

 元サイトではこの理由を国立大学法人化に求めています。
 エルゼビア社のデータベースでは、2004年の国立大学法人化の数年後から論文が顕著に減少しており、これを見ると、まさに国立大学法人化、あるいは、法人化の時期と一致して起こった何かが原因であることを思わせるデータですね。減少に転じるのが2004年から少し遅れているのは、何らかの原因が論文数に反映されるのにはタイムラグがありますから、それで説明できるかもしれません。

 エルゼビア社のデータでは、唯一日本だけが異常なカーブを描いており、これは、徐々に、自然の流れで生じたことがらではなく、突然に、人為的・政策的に生じた現象であることを思わせます。

 このカーブを見せられたら、たとえ法人化そのものが原因ではなくても、他の国は国立大学を法人化することを躊躇するでしょうね。まだ韓国と台湾が国立大学を法人化していないのも、わかるような気がします。

 これについては異論があり、私としては何とも言い難いです。ただ、理由についてはともかくとして、日本だけが増えていないという異常な状態は概ね受け入れられているようです。
Unknown (通りすがり)
2012-06-28 09:49:45
原因は2000年頃から始まった若手研究者の減少でしょう。
大学法人化と結びつけるのはちょっと無理があるのでは。1990年代からの長期的な変動や、国際的に共通した論文数の変動傾向を鑑みれば、2000年頃から始まったコンスタントな論文生産者の減少が理由ではないかと。

 また、"米国と中国は他の国よりもはるかに多くの論文を書いており、スケールが違う"という注意書きがある通り、グラフで見ると日本は絶対数としても世界のトップではなく、人口で劣るドイツ・イギリスに負けています。

 問題は「量より質」と思うかもしれませんけど、最初に書いた通り現在捏造論文はブームのごとく次々と発覚しています。(東邦大藤井善隆元准教授の全論文193本に不正・捏造の疑い、世界新記録か?なんかはすごいスケールです)

 日本ダメだ論は嫌いなんですが、この事態は懸念せざるを得ないんじゃないかと考えています。


●日本の研究論文は不正が多く、重要度の高い論文も少ない

2017/12/11追記:最後の「量より質」という意味でむしろダメだということに関しては、日本の不正が多さについての投稿を新たにいくつか書いています。

  ■研究不正大国日本 撤回本数世界一など、トップ10の2人が日本人
  ■世界一の研究捏造大国日本 2000年から急激に不正が増えた理由は?

 また、重要論文数でも減っていて問題だといった話についても、同様にいくつかの投稿をしていました。

  ■日本の科学研究レベル低下、ネイチャーも指摘 中国・韓国・ドイツの逆を行く日本の政策
  ■中国が主要分野で重要論文数世界一に 日本人のノーベル賞は将来激減する


●成果主義失敗で論文数低下、研究不正も増加か?

 今回追記したのは、上記の話を書きたかったからではなく、東大不正に絡んでのNHKスペシャル「追跡 東大研究不正 ~ゆらぐ科学立国ニッポン~」が話題になっていたため。
(関連:東大不正、渡邊嘉典教授のみ捏造認定は忖度か?医学系は全部シロ判定)

 感想を見ると、どうも成果主義的な研究資金の配分が、日本の科学技術レベルを衰えさせたといった番組内容だったみたいですね。これは以前より言われている主流な見方の一つです。

 ただ、この話の流れで、全く逆と言って良い「2位じゃ駄目なんですか」の考え方が蔓延しているせい、と言っている方がいて驚きました。逆ですよ逆。

 失敗が指摘されているのは、「2位以下ではダメなので研究資金を減らして、1位を狙えるものにだけ集中させる」という考え方。理研のスパコンのように1位になれそうなところに集中投資して、他の資金を削るというやり方を政府が進めてきたのです。企業では成功している方法で、GEジャック・ウェルチは嫌われ者だった 徹底した選択と集中に非難などで書いています。

 しかし、研究の世界では、これがうまく行きません。ノーベル賞の研究でそういうものが多いように、偶然の産物であったり、非主流派の手法から画期的なものが生まれたりすることがあるためです。企業でも実はこういったやり方で成功しているところが多く、失敗するチャレンジを推奨しているところがあります。

 なお、理研のスパコンは、そもそも天下りや不可解な出費の多さが問題視されたとも言われており、「2位じゃ駄目なんですか」発言だけクローズアップされたせいで誤解された可能性もありそうでした。
(関連:理研のスパコン京の無駄 コストパフォーマンス最悪でランキングも低下)


●科学軽視の日本政府の方針が致命的すぎる

 あと、「2位じゃ駄目なんですか」に関して言うと、民主党が政権にいたのはわずか数年で、政府の方針を決めたのはその前後の自民党政権であったことも補足しておきます。最初の投稿であった国立大学法人化もそうですよね。

 こうした政府の方針では、前述の競争主義の適用だけではなく、そもそも科学予算が他の国と比べて少なすぎるという科学軽視・教育軽視の問題も非常に大きいです。今回の感想でも以下のようなものがありました。


 ということで、残念なことに、日本の凋落は偶然ではなく、政府の方針が生んだ当然の結果だと言えます。


●競争主義を取り入れて逆に競争力を失った日本の大学

2020/08/01:なぜ東大の予算は2500億円で、スタンフォード大は1兆円超なのか:日経ビジネス電子版(武田 安恵 2020年5月22日)では、日本の大学の競争力が低下したのは、「アカデミック・キャピタリズム(大学教育の市場化)」の台頭のためとしていました。

 市場原理、競争原理を働かせて、競争力のある優れた研究と評価されるものにお金が付く仕組みを取り入れたところ、逆に競争力が低下してしまった…という話です。16年に文部科学省が行ったアンケートでは、約6割の教員が所属機関から研究者に支給される個人研究費の額を「50万円未満」と答えるなど、ひどいことになっています。

 記事では、国の財源が逼迫し、大学の研究や教育にまとまった額の予算が割けないという事情があるとしていました。ただし、政府は自分たちの好きなことには結構なお金を使っていますからね。教育関係の費用が増加している国が多数あるため、これは言い訳にはできないでしょう。

 ところが、記事はこの政府の方針をむしろ正当化する内容でびっくり。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の上山隆大常勤議員の「大学側の戦略策定やマネジメント次第で改善できる」としていました。外部からの資金獲得を各研究者任せではなく、執行部がうまくやるべきという話です。ただ、実際、それがうまく行っていないから現状があるわけで、非科学的な精神論のような気がしますね。


●海外の大学は競争主義でうまくやっているというのは本当か?

 記事では、海外ではうまくやっているという主張でした。タイトルの「なぜ東大の予算は2500億円で、スタンフォード大は1兆円超なのか」は、どうも東大は執行部の資金獲得が下手で、スタンフォード大学はそれがうまいために生まれた差だという主張みたいです。1970年代、米ハーバード大学の大学基金も800億円だったのが、今や4兆円近くにまで増えています。これは寄付金が主体だと記事では書いていました。

 ただ、別記事なんか読んでいると、記事で軽く触れているだけであった<1970年代以降、米国で大学への寄付が増えた背景には、寄付を後押しする税制改正も大きく関係していた>が、実はポイントだと指摘している人もいるんですよ。この税制は「寄付」と言いつつ、実態は税金だと指摘されているのです。

 また、今回の記事で別の成功例とされていたシンガポールでも、大学が集めた外部資金に対して、1.5倍の報奨金が国から出るしくみということで、やはり国から税金が出ることがポイント。外部資金も獲得するインセンティブを与えよう、という主張だけならわかるものの、海外大学の研究費も基本は税金。政府の失敗をまず認め、先にそちらを是正すべきでしょう。

 なお、アメリカの大学の場合、寄付する人が好きな大学に寄付するために大学の格差が出ており、実はこれもポイントじゃないか?と思っています。有名大学の卒業生は当然出身有名大学に寄付するために、偏りが出ます。低レベル大学にはお金が行かず、高レベル大学にお金が偏るということになるでしょう。

 一方、日本では首相の友達が運営するFランク私立大学に特別な資金を投入する、重要研究をしてきた国立大学弱体化・私立大学重視的な政策をとるなど、むしろ競争力が高い国立大学への資金を減らしている形に見えます。日本は大学数そのものが相当増えており、限られた資金を奪い合う形。このように低レベル大学に資金が流出している可能性も気になるところです。


●ノーベル賞受賞で期待され、成果主義の重圧に苦しんだ田中耕一氏

2021/06/18まとめ:別のところに追記した田中耕一さんに関係する記事田中耕一受賞後16年、アルツハイマー病早期発見の糸口を掴む「ノーベル賞会社員 科学技術立国の苦闘」 - エキサイトニュース(近藤正高 2019年2月18日 09:45)。読んでみると意外に成果主義に関連する話だったのでこちらにも追記します。NHKの「平成史スクープドキュメント」という番組らしいですね。まず、ノーベル賞の研究については以下のような説明がありました。

<生命の基本となる物質であるタンパク質は複雑な分子構造から成り、分析のためそのままレーザーを当てると、分子がバラバラになって壊れてしまう。壊さずに取り出すには、レーザーに対し何らかの緩衝剤が必要だ。当時25歳だった田中は、緩衝剤となる物質を見つけるため実験を繰り返す。実験開始から半年後、田中は緩衝剤として試そうとした二つの物質に誤ってグリセリンを混ぜてしまった。彼は以前の実験で、グリセリン単体では効果がないことを確認していた。このときも期待できないと思ったものの、あえて実験してみる。果たして、グリセリンを混ぜた緩衝剤により、初めてタンパク質の分析に成功したのだった>

 その後、田中耕一さんは、タンパク質の分析技術を発展させ、「一滴の血液から病気を早期診断する技術」を開発することを目標にしました。ただ、これがなかなかうまく行かず苦労します。また、プレッシャーが大きかったという話が繰り返し出ており、成果主義の弊害のようなものも見えていますね。

<島津製作所は「田中耕一記念質量分析研究所」を新設すると、田中を所長に据え、研究費として毎年1億円の資金を用意した。しかし5年経っても、思うような成果が生まれず、彼はプレッシャーを覚えるようになる。
 そのさなか、田中に転機が訪れる。2009年、科学研究への競争的資金の拡充を掲げる国のプロジェクトで、田中の研究が名だたる研究者とともに選ばれたのだ。このプロジェクトでは、研究に対し5年の期限で、1年あたり7億円の資金が投じられ、田中にはさらなる重圧がのしかかることにもなった>


●アルツハイマー病発見に役立つ!もう一つの重大発見も「偶然」だった

 ただ、幸い、「病気を早期診断する技術」の方も成功。また、こちらも目的物質とは異なる「偶然」の発見で、凡人なら見逃しそうなものでした。田中耕一さんは、大学への研究を断念せざるをえなかった20名あまりの若者を雇用しており、その中の一人が成功しています。そもそも政府方針により、諦めざるを得ない研究者が増えていた…という事情も見える逸話でした。(このため、中国へ行く研究者も増えています)

<雇われた若手研究者の一人である金子直樹は、アルツハイマー病に関するアミロイドベータというタンパク質の研究を田中から命じられた。(中略)
気の遠くなりそうな作業の末、ついにアミロイドベータの抽出に成功する。だが、このとき、アミロイドベータとは別に未知のタンパク質も抽出されていた。
 田中はこれについて医療の専門家に調査を求め、分析データを国立長寿医療研究センターに持ち込む。その結果、この未知のタンパク質こそアルツハイマー病の早期発見の鍵を握る物質であることがあきらかになった>

 記事によると、番組のメインは、成果主義の弊害的なものみたいでした。以下のような説明が記事の冒頭であったんですよ。ただ、この記事自体は田中耕一さんの話と日本の科学の崩壊とがどのような繋がっているのかの話はなし。記事の作者の関心は薄かったのかもしれません。私としては、そちらも興味あるところだったんですけど…。

<番組では田中のノーベル賞受賞後の“苦闘”を追うとともに、基礎研究に対する国の運営交付金が年々減少し、民間企業でも研究所があいついで閉鎖されるなど、平成の30年間を通して日本の科学技術研究が厳しい状況に追いこまれていく過程を浮き彫りにした>

 説明がないので私なりに説明すると、画期的な発見は偶然であることも多く、成果主義にそぐわないという感じですかね。また、田中耕一さんが「あるときは失敗と思われることも、別の分野ではすごい発見になるかもしれない」「特定の分野を深掘りするだけではどうしても掘り進める断面が狭くなる」として、横の繋がりを強調していたこととも関係あったのかもしれません。


●JAXAと共通点アリ…多額の予算集めた企業参加の研究で問題が発生

2023/10/01まとめ:JAXAの不正について話しているところで、ImPACTのニセ科学問題が出ていました。どちらもに政府が推進している企業が絡んだ大型プロジェクトであるという共通点があり、問題が起こりやすいのでは?といった話。JAXA関係の投稿から、関係するところを一部転載しておきます。

2022/12/29追記:佐々木宏・JAXA理事は古川聡飛行士を変に擁護していた方でしたが、研究については「研究不正以前に、研究計画が稚拙で、科学合理性がなかった」と話していたとのこと。非科学的なものだったんですね。これにより、どちらにせよ「研究成果も公表できない」という成果ゼロになります。

 問題なのは、日本中の研究者が資金不足に苦しむ中、こうした研究に「JAXA予算から9500万円、文科省の科学研究費補助金(科研費)から9600万円、計1億9000万円が使われた」ということ。言及がなければ私も書こうと思っていたのですが、過去にも多額の資金を集めた企業共同研究でニセ科学実験があったんですよ。

<JAXAの研究不正が組織内で判明した頃、内閣府の大型研究でも問題が発覚した。「失敗を恐れない」「年度ごとの予算にとらわれず、大型資金を出す」「ハイリスク・ハイインパクト」など、国の研究費の常識を覆すという触れ込みの研究事業「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT=インパクト)」(引用者注:安倍首相(当時)の肝いり政策でした)でのことだ。
 公募した16人のプロジェクトマネージャーに予算と権限を与え、さまざまな研究者や組織を集めて、研究テーマに取り組んでもらう。そのために550億円の基金を新設した。問題になったのは、その中のひとつ、大手IT関連企業と大手製菓会社との実験だ。
 この研究チームは、2017年1月に記者を集めてセミナーを開き、「高カカオチョコレートを4週間食べると、脳の動きが活発化し、脳が若返る可能性がある」と発表した。製菓会社は新聞に大きな広告を出すなど、大々的に宣伝し、発表には内閣府の担当者も同席した>
(<「13泊14日で38万円のバイト」と話題だったが…JAXAの「宇宙兄弟ごっこ」が研究成果"ゼロ"に終わったワケ>(22/12/12(月) 8:16配信 プレジデントオンライン 知野 恵子)より)
https://news.yahoo.co.jp/articles/921da5d3faaadba0b8e4b584dfe0e8b1bb2808c6?page=1

 しかし、すぐに学術界やマスコミから批判が殺到。実験の基本中の基本である、「チョコレートを食べた人」と「食べなかった人」を比較していないという、信じられないお粗末さだったためです。子供の自由研究ですよ、これ。うちでは、研究費不足の中、日本政府と明治のニセ科学研究に多額の税金投入でやった話でした。


●不正が相次いだのは必然?政府推進の大型予算と企業連携が理由か

 前回、<共通点アリ…過去にも多額の予算集めた企業参加の研究でニセ科学>といった話がありましたが、プレジデントオンライン記事作者の知野 恵子さんは、これらで不正が起きたのは偶然ではなく構造的な問題があるのではないか?としていました。大型化そのものにリスクがあるという指摘です。

<2000年代に入ってから、政府は国の政策に沿った研究に多額の予算を注いでいる。イノベーション」を起こすために、組織の枠を超えた多人数での研究体制や、産業界との連携を推進している。しかし規模が大きくなればなるほど研究チームなどの構造が複雑化し、全体像をつかみにくくなる。責任者の目も届きにくくなる。JAXAのケースでは、不正を働いた研究者は2人だというが、1回あたりの実験に60人~80人の研究者が関わっていたという>

 研究者が多いと監視の目が行き届かなくなるので、一理あります。ただ、2つの研究はそれ以前の時点、スタート地点からしておかしかったかもしれません。知野 恵子さんは、政府がもう一つ推進する「産業界との協力」も非科学的な判断や企業の宣伝優先を招くおそれがあるとしており、こちらも問題でしょう。


●政府が推進も…企業連携優先のせいで問題が起きやすくなっている可能性

 ここまで書いてきた話のまとめ的な感じになりますが、今回は日本の研究事情について。日本は政府方針により研究費不足に陥っています。一方で、政府は一部の研究にだけ重点的に予算を配分。しかし、JAXAのようにこうした重点配分の研究で不正やニセ科学的な内容が問題になっています。

 前回まで引用してきた記事のヤフーニュースでは以下のようなコメントがあり、企業連携を優先するため問題が起きやすくなっているとの見方。この企業連携も政府方針です。加えて日本の重要論文ランキングが急激に低下しているという事実があり、政府方針のせいで日本の研究レベルは著しく低下していると言わざるを得ません。

<政府のこの種の大型予算ならありうるよね。本来は研究の能力と実績のある研究者が代表者になって、研究能力のあるメンバーを集めて申請して予算を獲得するもの。だけど、政府のこの種の大型予算では、産業界との連携や社会的なインパクトを意識して、必ずしも研究者として能力や実績がある人が代表者やメンバーになっているとは限らない。ある種の裁量が働いて、研究以外の要素で採択されている。当然、不正や企業の宣伝に使われるなど、今回のような問題が起きる可能性はある。そもそも、公的研究費にこういう「特別枠」を設定してること自体が変なんだけど>



【本文中でリンクした投稿】
  ■日本の科学研究レベル低下、ネイチャーも指摘 中国・韓国・ドイツの逆を行く日本の政策
  ■中国が主要分野で重要論文数世界一に 日本人のノーベル賞は将来激減する
  ■東邦大藤井善隆元准教授の全論文193本に不正・捏造の疑い、世界新記録か?
  ■研究不正大国日本 撤回本数世界一など、トップ10の2人が日本人
  ■世界一の研究捏造大国日本 2000年から急激に不正が増えた理由は?
  ■東大不正、渡邊嘉典教授のみ捏造認定は忖度か?医学系は全部シロ判定
  ■理研のスパコン京の無駄 コストパフォーマンス最悪でランキングも低下
  ■GEジャック・ウェルチは嫌われ者だった 徹底した選択と集中に非難

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