ユカタン半島にあるチクシュルーブ・クレーターのイラスト。

Illustration by Detlev van Ravenswaay, Science Source
 小惑星「2012 DA14」は、2013年2月15日(日本時間16日)に地球近傍を通過する。衝突の恐れはないものの、観測史上最も地球に接近した小惑星となる。ただし、地球はいつも小惑星の衝突を免れているわけではない。 地球の各地に見られるクレーターは、小惑星の衝突の痕跡を今に伝えている。形成から数千万年、場合によっては数十億年も経過して地形の侵食が進んでいるので、衝突した天体の正確な大きさを測ることは難しい。とはいえ、世界最大級のクレーターについては学界の見解はおおむね一致しており、それらを形成した小惑星の衝突は史上最大級の規模だったということになる。

 以下に、現在確認されているクレーターのうち特に規模の大きいもの10個を、古い順に紹介しよう。

【 1. フレデフォート・クレーター 】

南アフリカ共和国、フリーステイト州。推定20億年前

 フレデフォート・ドームとも呼ばれる。生成直後の直径は約300キロとする説もあり、確認できている限りで世界最大の衝突構造である。2005年にユネスコの世界遺産にも登録された。

【 2. サドベリー盆地 】

カナダ、オンタリオ州。推定18億年前

 クレーターの生成当時の直径は推定130キロで、地球上で最大級の衝突構造の1つと目されている。18億年以上前にできたものと見られ、特に古い衝突構造の1つでもある。

【 3. アクラマン・クレーター 】

オーストラリア、南オーストラリア州。推定5億8000年前

 現在ではこのクレーターの一部はアクラマン湖となっている。衝突構造の直径は約90キロと試算されている。

【 4. ウッドリー・クレーター 】

オーストラリア、西オーストラリア州。推定3億6400年前

 このクレーターは地表に露出していないことから、その実際の大きさについては見解が分かれており、直径40キロとする説から120キロとする説まである。

【 5. マニクアガン・クレーター 】

カナダ、ケベック州。推定2億1500万年前

 このクレーターは現在ではマニクアガン湖となっている。浸食は進んでいるものの、世界最大級かつきわめて保存状態の良いクレーターの1つと目されている。直径は推定で約100キロ。

【 6. モロクェン・クレーター 】

南アフリカ共和国、ノースウエスト州。推定1億4500年前

 南アフリカ共和国のカラハリ砂漠の近くに位置する。クレーターを形成した隕石が化石化して残っているのが特徴。

【 7. カラ・クレーター 】

ロシア、ネネツ自治管区。推定7030万年前

 カラ・クレーターは現在は浸食が進んでおり、地表には露出していない。一部の研究者はこの衝突構造を、2つのクレーターが連なったものと見ており、一方をカラ・クレーター、他方をウストカラ・クレーターと呼び分けている。

【 8. チクシュルーブ・クレーター 】

メキシコ、ユカタン半島。推定6500万年前

 メキシコのユカタン半島にあるこのクレーターを形成した隕石が、恐竜絶滅の直接または間接の原因になったと考える研究者は多い。生成当時の直径は170キロとするものから、なんと300キロとする説まである。もし後者の説が正しければ、このクレーターが地球上で最大となる可能性もある。

【 9. ポピガイ・クレーター 】

ロシア、シベリア。推定3570万年前

 ロシアでは多くの専門家が、このクレーターは数兆カラット相当のダイヤモンドを埋蔵する世界有数のダイヤモンド鉱山だと考えている。これらは「衝突ダイヤモンド」と呼ばれる。

【 10. チェサピーク湾クレーター 】

アメリカ、バージニア州。推定3500万年前

 1980年代初頭に発見されたチェサピーク湾クレーターは、ワシントンD.C.から約201キロの地点に位置する。一部ではこのクレーターの直径は約85キロと試算されている。

Illustration by Detlev van Ravenswaay, Science Source

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文=Brett Line