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あなたは、洗濯をする時に、柔軟仕上げ剤(以下、柔軟剤)を投入しますか?

洗濯した衣類を柔らかくするほかにも、静電気を抑えたり、部屋干しの臭いを抑えたりと、さまざまな効果がある柔軟剤。

効果の中で、柔軟剤を選ぶ基準が『香り』になっている人は多いようです。

好きな香りに包まれて、幸せな気分…しかし、そのいい香りが、周りの人を苦しめていることがあります。

柔軟剤の『香害』に悩む人たち

柔軟剤に含まれる香料によって、体調不良になる人たちがいます。

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独立行政法人国民生活センターによると、2009年ごろから、香りの強い海外製の柔軟剤のブームが到来。それをキッカケに、国内のメーカーも、香りに力を入れた商品開発を進めるようになりました。

その結果、同センターへの柔軟剤の香りに関する相談件数は急増します。2008年度は14件でしたが、2012年度は65件となりました。

被害を訴える人たちの増加に伴い、公害になぞらえた『香害』という言葉も生まれています。

『香害』に苦しむ人たちには、どのような症状が出ているのでしょうか。

いい香りで体調不良に

全国の消費生活センターと国民生活センターに寄せられた苦情を収集している『PIO-NET』には、柔軟剤の香りのせいで以下のような症状が出た、という声が集められています。

・気持ちが悪くなる。

・動悸がする。

・ノドが痛くなる。

・頭痛が出る。

症状をみると、アレルギーレベルでつらい人たちが出ているようです。

「頂き物の柔軟剤を自宅で使った」「新しい柔軟剤にチャレンジしてみた」という人は、使用をやめることで症状が改善されるでしょう。

しかし、「ベランダや換気扇から、近隣住民の使った柔軟剤の、強烈な香りが流れ込んで来る」という場合、使用の停止をお願いすることは、容易ではありません。

近所迷惑になるほど強い香りは、まさに『香害』。

けれども、メーカーはそこまで香りの強い商品を製造しているのでしょうか。商品の香りの強さではなく、もしかしたら、使用方法に問題があるのかもしれません。

いい香りで投入しすぎてしまう

『日本石鹸洗剤工業会』が、2010年に洗濯の実態を調査したところ、メーカーの指示通りに柔軟剤を使用している人は少数でした。

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柔軟仕上げ剤の使用量を、洗濯物重量に応じて決めている人は2割程度。使用方法に関する質問では、計量をしていない人が16%います。また、標準使用量の2倍以上使用している人が23%もいました。

決められた量を守っていれば自分だけに匂うような商品も、2倍以上も使用してしまえば、強い香りが漂います。自分の好きな香りであっても、周囲の人に不快感を与えてしまうのは、マナー違反だといえるでしょう。

また、香りを強くしてしまう原因として『公益社団法人におい・かおり環境協会』の会長、岩崎好陽さんは、独立行政法人 国民生活センターに、次のようなコメントを寄せています。

自分が慣れたにおいは、感じにくくなる傾向にあるため、においを強くしようと使用量が徐々に増えてしまうこともあります。

独立行政法人 国民生活センター ーより引用

「香りが薄くなった」と感じても、柔軟剤の使用量を増やすのは誤り。

多くの人の意識が「柔軟剤の適量を守ろう」という方向へ変わっていけば、症状に苦しむ人が減るのではないでしょうか。

『香害問題』について、たくさんの人が声を上げています。

・本当に、軽くとらえないでほしい…こっちは切実なんです!

・私は、鼻水が止まらなくなって頭痛がする。

・気分の問題ではなく、体の危機なんだよ!強い香りは止めてー!

・1日中家の窓が開けられないし、密封された電車も地獄。

扇風機を回して香りが留まらないようにしたり、マスクを付けて出かけたり…そんな、自衛をしなければならない生活を強いられるのは、誰しもがイヤなもの。

柔軟剤の香りが好きな人も、強い香りが苦手だという人も心地よく暮らしていけるように、柔軟剤の使用の仕方を見直していきたいですね。


[文・構成/grape編集部]

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出典:
独立行政法人 国民生活センター産経新聞日本石鹸洗剤工業会独立行政法人 国民生活センター公益社団法人 におい・かおり環境協会


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