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「気候変動監視レポート 2016」を公表しました
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報 道 発 表 資 料
平成 29 年 7 月 26 日
「気候変動監視レポート 2016」を公表しました
統計開始以来初めて東北地方太平洋側から上陸した台風第 10 号の経路の背景や、世界
における異常気象等、気候や海洋、大気環境について幅広く解析した結果を報告してい
ます。
気象庁では、気候、海洋、大気環境の各分野の観測や監視、解析結果をとりまとめた
「気候変動監視レポート」を毎年公表しています。今般、2016年の状況やこれまでの
長期的な変化傾向についてとりまとめた「気候変動監視レポート2016」を気象庁ホー
ムページで公表しました。主な掲載内容は別紙をご覧ください。
<トピックス>
○ 2016 年の世界の年平均気温偏差は+0.45℃となり、1891 年の統計開始以降では最も高い値とな
った。また、2016 年の日本の年平均気温偏差は+0.88℃で、1898 年の統計開始以降では最も高
い値となった。この要因の一つとして、2014 年夏に発生し、2016 年に終息したエルニーニョ
現象に伴って大気全体の温度が上昇したことが関連したと考えられる。
○ 北日本では、8 月に台風第 7 号、第 11 号、第 9 号、第 10 号が相次いで上陸し、大雨や暴風と
なった(下図)。なお、台風第 10 号は統計開始以来初めて東北地方太平洋側から上陸した。
本件に関する問い合わせ先
気象庁 地球環境・海洋部 地球環境業務課
電話:03-3212-8341 (内線 4225、5168)
FAX:03-3211-8309

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(別紙)
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「気候変動監視レポート 2016」の主な内容
世界の天候
○ 2016 年の世界の年平均気温偏差(1981∼2010 年平均からの差)は+0.45℃となり、1891 年の
統計開始以降では最も高い値となった。
○ 東南アジアでは干ばつ(1∼5 月)、インドでは熱波(3∼5 月)、中国では南東部や南部を中心
に大雨・洪水(4∼7 月)、ハイチではハリケーン(10 月)により、大きな災害が発生した。(図
1)。
日本の天候
○ 2016 年の日本の年平均気温偏差は+0.88℃で、1898 年の統計開始以降では最も高い値となっ
た。
○ 北日本の秋を除き、全国的に高温傾向が続いた。年平均気温は東・西日本、沖縄・奄美でかな
り高く、北日本で高かった。東日本では、平年差+1.0℃と 1946 年の統計開始以降で 2004 年
と並び、最も高かった。
○ 北日本では、8 月に台風第 7 号、第 11 号、第 9 号、第 10 号が相次いで上陸し、大雨や暴風と
なった。(図 2)なお、台風第 10 号は統計開始以来初めて東北地方太平洋側から上陸した。
大気・海洋の特徴
○ 2014年夏に発生したエルニーニョ現象は、2015年11∼12月に最盛期を迎え、2016年春に終息
した。インド洋の海面水温は2015/2016年冬から2016年春にかけて高い状態が続いた。大気の
循環にはこれらの海面水温偏差の影響と見られる特徴が現れた。これに関連し、2016年の台風
第1号の発生が統計開始以来2番目の遅さになった。
○ 2016年8月には、日付変更線付近からその西側にかけての20°N∼30°N帯で対流活動が活発と
なり、日本の南東海上を中心として低気圧性の循環が形成された。これに関連して、統計開始
以来初めて東北地方太平洋側から上陸した台風第10号をはじめとし、台風が繰り返し発生して
日本に接近・上陸した。(図3)
図 1 2016 年の主な異常気象・気象災害の分布図
2016 年に発生した異常気象や気象災害のうち、規模や被害が比較的大きかったものについて、おおよその地域・
時期を示した。「高温」「低温」「多雨」「少雨」は月平均気温や月降水量での異常気象を示し、そのほかは気象災害
を示す。(本文 15 ページ)

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(別紙)
2
図 2 2016 年 8 月の降水量・日照時間平年比の分布
平年値は 1981∼2010 年の平均値(本文 6 ページ)
図 3 2016 年 8 月の西日本の高温、西日本周辺海域の高い海面水温、及び北日本太平洋側の多雨の要因に関連す
る大気の流れの模式図(本文 9 ページ)

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(別紙)
3
気温の変動
○ 2016 年の世界の年平均気温は、1891 年以降で最も高い値になった。また、日本の年平均気温
も 1898 年以降で最も高い値になった。(図 4)。
○ 世界の年平均気温は、100 年あたり 0.72℃の割合で上昇している。また、日本の年平均気温は、
100 年あたり 1.19℃の割合で上昇している。(図 4)。
図 4 世界及び日本における年平均気温の変化
細線(黒)は各年の基準値からの偏差を示している。太線(青)は偏差の 5 年移動平均、直線(赤)は変化傾向を
示している。基準値は 1981∼2010 年の 30 年平均値。日本の平均気温は、国内 15 観測地点での年平均気温の基準
値からの差を平均した値を示している。(本文 33、35 ページ)
降水量の変動
○ 日本の日降水量 100 mm 以上の大雨の年間日数は増加しており、200 mm 以上の大雨の年間日
数は増加傾向が明瞭に現れている。弱い降水も含めた降水の日数(日降水量 1.0 mm 以上)は
減少している。(図 5)。
○ アメダスで見た 1 時間降水量の年間観測回数は、50 mm 以上の回数、80 mm 以上の回数とも
に増加している(図 6)。
図 5 日降水量 100 mm 以上(左図)、1.0 mm 以上(右図)の 1 地点あたりの年間日数の経年変化
折れ線は 5 年移動平均、直線は期間にわたる変化傾向を示す。(本文 42 ページ)
図 6 アメダス地点で 1 時間降水量が 50 mm、80 mm 以上となった年間の回数(1,000 地点あたりの回数に換算)
折れ線は 5 年移動平均、直線は期間にわたる変化傾向を示す。(本文 43 ページ)

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(別紙)
4
二酸化炭素濃度の変動
○ 二酸化炭素の濃度は、大気、海洋ともに長期的に増加している(図 7、8)。
○ 海洋が二酸化炭素を吸収することで、表面海水中だけでなく深さ約 150∼800m の海洋内部で
も海洋酸性化が進行している。(図 9、10)。
図 7 大気中の二酸化炭素濃度の経年変化
マウナロア、綾里及び南極点における大
気中の二酸化炭素月平均濃度の経年変化
を示す。温室効果ガス世界資料センター
(WDCGG)及び米国二酸化炭素情報解
析センター(CDIAC)が収集したデータ
を使用した。(本文 59 ページ)
図 8 東経 137 度線(右図の赤線部分)上の冬季(1∼2 月)の表面海水中と洋上大気中の二酸化炭素濃度の経年変
化(北緯 7∼33 度の航行中連続観測データの平均値、1984∼2016 年)
気象庁では海洋気象観測船凌風丸及び啓風丸によって、亜寒帯から赤道域にいたる北西太平洋で、表面海水中及び
洋上大気中の二酸化炭素濃度の観測を実施している。これらの二酸化炭素濃度は、表面海水及び大気試料をポンプ
で船内に取り込み、観測室内に設置した装置で航行中に連続的に観測している。(本文 60 ページ)

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(別紙)
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図 9 東経 137 度線及び東経 165 度線における表面海水中 pH の長期変化
●黒丸は表面海水中の pH の観測値、実線細線は解析値、破線は長期変化傾向を示し、右上の数字は 10 年当たりの
変化率を示す。(本文 64 ページ)
図 10 東経 137 度及び東経 165 度の各緯度における海洋内部での pH 偏差の長期変化
破線は長期変化傾向を示し、右上の数字は 10 年当たりの変化率を示す。(本文 65 ページ)