命じるのは全国初。
訴訟では、(1)男性の症状と同症の関係(2)同症と労災事故との因果関係――などが主な争点
だった。
判決では、(1)について、国の研究班作成の新診断基準に沿って、脳内の画像検査などを基に髄
液漏れを認定。「同症によって四肢まひを呈した例が確認されていない」との国側の主張には、「報
告されていないことのみをもって、因果関係を否定するのは相当ではない」と判断した。(2)につ
いては「髄液漏れは外傷により生じ得る上に、労災事故の態様や症状の経過などに照らせば、労災
による髄液漏れを認めることができる」と結論付けた。
判決などによると、男性は02年9月7日、和歌山市内の建設現場で作業中、落下したケーブル
で首を負傷。頭痛や全身の痛みに悩まされ、徐々に手足が動かなくなり、06年に「労災事故によ
る外傷性の脳脊髄液減少症に伴う四肢まひ」と診断された。和歌山労働基準監督署は同年、「局部に
頑固な神経症状を残す障害」(障害等級12級)として労災認定。同症とはしなかった上、四肢まひ
を認めず、障害補償一時金として月収の5カ月分を支給した。男性は09年3月、現状の障害補償
給付決定の取り消しと障害等級格上げを求め、和歌山地裁へ提訴していた。【岡村崇】
◇支援者ら「画期的だ」
元配管工の男性の勝訴判決に、代理人弁護士や患者団体からは、「画期的な判決」と歓喜の声が上
がった。患者団体「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」(和歌山市)の中井宏代表理事は和歌山県
庁で取材に応じ、「(これまでの同症を巡る訴訟で)労災が一番厳しかった。こんな日が来るなんて
信じられない。脳脊髄液減少症で苦しんでいる人にとって非常に大きな意味を持つ」と興奮した様
子だった。
代理人の冨山信彦弁護士によると、男性は、和歌山労働基準監督署による労災認定の内容を不服
として、06年8月に和歌山労働者災害補償保険審査官に審査請求、07年9月に労働保険審査会
に再審査請求したが、いずれも請求棄却された。
この時の男性の様子について、冨山弁護士は「再審査請求の際に、症状を見てもらっても訴えが
認められなかったことにとてもショックを受けていた。『何をやっても意味がない』と自暴自棄にな
った時もあった」と振り返った。
男性は現在、寝たきり状態で、食事や排便などは介助なしではできない。昨年11月の和歌山地
裁での本人尋問では、妻の介助を受けながら車椅子で入廷。症状や事故の経緯を説明し、「腕のしび
れで物をつかもうとしても感覚がなく、物があるところに手を持っていけない」などと証言してい
た。
冨山弁護士は「労災事故との因果関係を認める価値のある判決。男性も納得がいくと思う」と話
した。【岡村崇、竹内望】
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■解説
◇国に柔軟対応求める
脳脊髄液減少症と労災事故との因果関係を認めた今回の判決は、病態が十分に解明されていない
同症に対する労災認定について、国側に柔軟な対応を求めたものと言える。
労災認定は、これまで「症状の存在が医学的に認められなければならない」とされ、症状にばら