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『オリエント急行殺人事件』2017版映画と原作の違いを調査

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ヒューマンドラマ映画

Entry 2017/12/12
Update

『オリエント急行殺人事件』2017版映画と原作の違いを調査

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

オリエント急行の密室である車内で発生した殺人事件に、偶然乗り込んだ世界的名探偵ポアロが挑む!

1934年の初版以来、多くの読者を魅了してきたミステリーの金字塔をケネス・ブラナーが映画化。

新たに生まれ変わった『オリエント急行殺人事件』を原作との比較を交えてご紹介します。

1.映画『オリエント急行殺人事件』の作品情報

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【原題】
Murder on the Orient Express

【監督】
ケネス・ブラナー

【キャスト】
ケネス・ブラナー、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリー、ウィレム・デフォー

【作品概要】
アガサ・クリスティの名作ミステリーを、ケネス・ブラナーの監督・主演、ジョニー・デップなどの豪華キャストで映画化。

寝台列車オリエント急行で起きた殺人事件と、その背景にある人間ドラマを描くミステリー映画。

2.原作者アガサ・クリスティとは

参考映像:『アガサ 愛の失踪事件』(1979)

1890年イギリス生まれ、篤志看護婦をしながら1920年に『スタイルズ荘の怪事件』を処女出版し、ベルギー人探偵エルキュール・ポアロが初登場。

1926年に『アクロイド殺人事件』で不動の人気を得て、ポアロが登場する小説は長編33作と短編50作が執筆されました。

1926年にアガサ・クリスティが11日間にわたって失踪した事件が発生し、その理由が不明な事から、1979年に「夫に愛人がいたことに傷ついていた」という解釈から映画『アガサ 愛の失踪事件』が製作されています。

アガサ・クリスティは85年の生涯で、長編小説を66作、短編小説を156作、戯曲を15作残し、ギネスブックでは史上最高の20億冊以上が出版されたとして“世界でいちばん売れた作家”に認定されており、「ミステリーの女王」として幅広く知られている。

主な作品としては『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』『そして誰もいなくなった』、戯曲「ねずみとり」などがあります。

3.『オリエント急行殺人事件』原作と映画の違い


(C)2017Twentieth Century Fox Film Corporation

相違点その1:オープニング

原作は冬のシリアのアレッポ駅で、ポアロと軍の将軍の会話から静かに始まりますが、映画ではエルサレムでの窃盗事件をポアロが派手に解決する場面から始まります。

事件を解決するだけではなく、細かな部分でもバランスにこだわるポアロの変わった性格が強調されるオープニングとなっています。

相違点その2:アーバスノットの職業

原作はイギリス人の軍大佐というキャラクターだったアーバスノットが黒人の医師に変更されました。

これに伴い、原作でポアロとブークと共に事件を調査した、コンスタンティン医師が映画では登場しません

相違点その3.登場人物の設定変更

ほかにも原作から設定が少し変更されたキャラクターが何人かいます

ラチェットの秘書、マックイーンが酒浸りで、お金を使い込んでいる設定が加えられたり、アンドレニ伯爵がダンサーで暴力的など、大胆に変更された人物もいます。

相違点4:ポアロのアクションシーンを追加

原作は推理力のみで事件に挑んだポアロですが、映画では列車の屋根に上がったり、不審な人物を追いかけて戦うなどアクションシーンが追加されています。

また、ポアロがデブナムから話を聞いている時に、背後からアーバスノットに狙撃されるシーンは、映画のオリジナルシーンです。

相違点5:ポワロが事件の真相に迫る場所を車外で披露

原作はポアロが事件の真相に迫る場面は食堂車でした。しかし映画はトンネルの中に変更されています。

監督のケネス・ブラナーは「物語の視点を列車の外に持ち出すことも大事」と考え、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」をイメージした状況を作り上げる為、自らアイデアを出した事をインタビューで語っている。

*「最後の晩餐」と探偵ポワロの深読み記事は以下に詳細に書かれています↓

相違点6.事件の真相を突き止めた、ポアロの葛藤する場面が追加

原作でもポアロは2通りの仮説を立て事件の真相を突き止めた後に、第1の仮説である「ラチェットは暴漢に襲われた」という説を採用し、事件の真相を隠す事に同意して立ち去ります。

映画版では、ポアロは“善と悪”のバランスが崩れた事に葛藤し、“善良な人達が悪人を殺害した”という事実を受け入れるまでを描いています。

この展開にケネス・ブラナーは、人間の複雑な心の動きを表現する為、捜査を通じて起こる「ポアロの“内面の変化”を強調した」とインタビューで語っています。

相違点7:エジプトに向かうポアロのラストシーン

オリエント急行から下車したポアロが、新たな事件の依頼を受けてエジプトに向かうシーンは映画のオリジナルです。

4.映画『オリエント急行殺人事件』のあらすじとネタバレ


(C)2017Twentieth Century Fox Film Corporation

エルサレムにあるユダヤ教の最も神聖な建造物である通称“嘆きの壁”。

先ごろ礼拝堂から高価な装飾品が盗難した事件の容疑者が3人並べられています。

このうち誰が真犯人なのかという名推理を行う人物は、様々な他国の言語を話し、左右均衡のとれた立派な口髭の男でした。

しかも、まるで舞台俳優の様に演説のごとく、独自の推理を大勢の聴衆者に披露して事件解決をします。

彼は世界一の探偵で灰色の脳細胞を持つ人物として知られた、エルキュール・ポアロ。

「この世には善と悪しかなく、その中間は存在しない」と言い切り、不均衡のアンバランスを病的に嫌がります。

日常生活をするのには、少し生き辛いものの、その特技を生かした人物観察や状況の不具合なアンバランスはすぐに見つけ出す特技の持ち主でした。

探偵ポワロは、次のイギリスで起きた事件の調査で、トルコ発フランス行きの寝台列車オリエント急行に乗り込みます。

オリエント急行は豪華な車内の装飾から、最高級の料理、そして気の利いたサービスとどれもが平均点以上の高級な装いで乗車客をもてなします。

しかし、そんな最高級の豪華オリエント急行も、自然の悪天候には敵わないようで勇ましく走行中するが、落雷による雪崩によって、行く手を阻まれ運行不能となります。

そんな矢先、悪徳ビジネスで儲けた富豪ラチェットが何者かに12箇所をめった刺殺にされます。

事件起きた列車に同じく乗り合わせていたのは、大学教授、執事、伯爵、伯爵夫人、秘書、家庭教師、宣教師、未亡人、セールスマン、メイド、医者、公爵夫人を名乗るそれぞれの人たち。

目的地以外は共通点のない乗客たちと車掌をあわせた13人が、殺人事件の容疑を掛けられることになります。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『オリエント急行殺人事件』ネタバレ・結末の記載がございます。『オリエント急行殺人事件』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
黒人医師アースバットがラチェットの遺体を調べたところ、寒風の吹き込むように窓が開けられて死亡推定時刻を細工していたものの、おおよそ深夜0~2時の時間帯であると診断を下します。

ポアロはラチェットの部屋を捜索し、壊れた時計、Hと刺繍されたハンカチ、パイプを掃除するハケ、灰皿で燃えかけになっていた紙を遺留品とします。

その遺留品の中にあった燃えかけの紙を科学的な実験として、ランタンの火で焼いてみると、文字が浮かびあがるのを発見します。

そこには「小さいデイジー・アームストロングを忘れ」と書いてありました。

デイジー・アームストロングは、その昔アームストロング大佐という富豪の誘拐された娘の名前でした。

アームストロング大佐は要求された20万ドルの身代金を支払うものの、容赦のない犯人は幼い娘の命も絶たれてしまったのです。

この事件で妊娠していたアームストロングの妻ソニアはショック死しました。

また、無実ながら犯人だと疑いをかけられ問い詰められたフランス人のハウスメイドは自ら命を断ちます。

そのメイドが真犯人ではないのに追い詰めた過ちの責任と非難にの果てに検事も自死。

そして、アームストロング自身も傷心から銃の引き金を引き自死してしまう悲惨な事件でした。

生前アームストロングからポアロ宛に手紙があり、事件を究明してほしいという依頼があったことで、その事件について彼もよく記憶していました。

このアームストロング幼女誘拐殺人事件と、ラチェットが殺害されたに、何か因果関係があると考えたポアロはそれぞれに事情聴取を行います。

車掌のピエールのその時間は乗客の安全のために見張りをしていたので、犯人を見逃すはずがないという目撃証言があり、全員のアリバイが立証されていました。

しかし、持ち前の不均衡を病的に生理的に嫌う観察力と洞察力を使い、名探偵ポアロは推理を展開します。

まず、ラチェットの秘書である、ヘンリー・マックイーンがラチェットの帳簿に細工して現金を横領していた事実を暴きます。

さらにマックイーンは、かつてのアームストロング事件で無実の罪でメイドを追い詰めた検事の息子であることも突き止めました。

Hと縫い込まれたハンカチもヘンリー・マックイーンという名前で、筋が通ることでポアロは詰め寄ります。

しかし、マックイーンはラチェットが殺害された時間帯に、黒人医師のアースバットとともにウイスキーを深夜2時まで呑んでおり、犯行は不可能で真犯人ではないようでした。

謎が謎を呼びながらラチェット殺人事件は難航を極めていきます。

深夜の寝台列車の客室でポアロは、「今までありすぎるほど自信があった、しかし今は違う…」と過去に愛したただ1人の女性カトリーヌの写真を見詰めて弱音を吐きます。

それでも真犯人の捜査を続け、さらなる事件の真相を持ち前の才能で明らかにするポワロ。

ドイツ人の教授だと語っていたハードマンが、その訛りの特徴から国籍が違うことを言い当てると、彼が手にしていた愛用の拳銃から元警察であることも見抜きます。

さらにバグダッドで家庭教師をしていたメアリ・デブナムは、実はデイジー・アームストロングの家庭教師であったことも見抜いてしまいます。

その事実をなぜ頭の良いメアリが隠していたのかとポワロが彼女に尋ねると、「事件と関係していると仕事がとれない」と答えました。

メアリの事情聴取している最中で、ポアロは後ろから軍の狙撃兵でもあった黒人医師ハードマンに撃たれます。

銃弾はポアロの肩をかすめただけ。

なおもポワロに拳銃を向けたまま、ハードマンは愛する白人女性メアリに部屋から出て行くよう告げ、彼はポアロに「ラチェットは私が殺した」と自白します。

しかしポアロはそれを信じません。なぜなら、ハードマンは百発百中の狙撃手だったからです。

今にも引き金を引くかに見えたハードマンでしたが、ブークが背後から襲いかかり、ポアロは助かりました。

機関車の行く手を線路を塞いでいた雪崩事故による除雪作業が終わりに差し掛かるなか、ポアロは乗客全員をオリエント急行の車外に呼び出します。

そして機関車のライトに照らされた容疑者たちを一列に線路の入り口に並べ、事件の謎を紐解いていきます。

はじめにポアロは1つ目の仮説を解きます。

乗客以外の第三者の暴漢が列車に乗り込み、ラチェットを殺害して去っていったという推理。

しかし雪山で立ち往生しているオリエント急行に乗り込むことが可能な者はいないとブークが否定します。

次にポアロ2つ目の仮説を吐露します。

ラチェットの命を殺めたのは容疑者である全員の犯行で、刺し傷12箇所の乱れはそれぞれが次々に刺したという事実。

これがラチェット殺人事件の真相で、乗客は1人残らずアームストロング幼女殺人事件の関係者であり、全員で復習を試みたと述べます。

事件の真相を明らかにした後、ポアロは「善と悪しかないと思っていたが、これは判断できない」と言い、さらに不均衡を病的に嫌う性格であるが故に、「自分には口止めはできない」と告げます。

そして容疑者たちのテーブルに撃ち殺せとばかりに拳銃を差し出します。

その銃を手にしたハバート夫人はポワロに銃口を向けると、「私が1人で殺った」と言い放ち、自らに銃を当て引き金を引きます。

カチャと寒風に乾いた音。銃の弾倉に弾は込められていませんでした。

オリエント急行は無事に次の駅に着くと、ポワロは警察に事件の真相を1つ目に解いた推理の仮説を説明。

ポアロは彼らを真犯人することなく、今度はエジプトへの事件への真相を推理するために向かいました。

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まとめ

ミステリーの金字塔『オリエント急行殺人事件』を映画化した今作は、話の展開は原作に忠実ですが、映画用に大胆な演出が施されており、原作を読んでいない人はもちろんですが、原作を知っている人も楽しめる内容になっています。

アガサ・クリスティのひ孫で、アガサ・クリスティ社の会長兼CEOを務めるジェームズ・プリチャードは、「アガサ・クリスティはトリックよりも人間というものに興味を抱き続けていた」と語り「殺人はどんな事情があったとしても許されるものではない」と考えていた事を明かしています。

今回の脚本を担当したマイケル・グリーンは、その事を理解した上で脚本を執筆しました。

その為、原作よりも人間ドラマに重点を置いた内容となっています。

今回は大きな変更点のみを紹介しましたが、他にも細かい変更点がたくさんあります。

映画鑑賞前や鑑賞後にも、原作を読んで「何故、あの部分は変更したのか?」と映画製作者の意図を探る事も、映画の楽しみ方の1つではないでしょうか?


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