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25歳の女性が「詩織さんとともに声をあげよう!」と署名をはじめた理由
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25歳の女性が「詩織さんとともに声をあげよう!」と署名をはじめた理由

「私たちは、性暴力にあまりにも鈍感ではないでしょうか?」

福岡県に住む25歳の福原桃似花(もにか)さんは今年5月、ある報道を探していた。

元TBSワシントン支局長の山口敬之氏にレイプされたとして、実名で記者会見したジャーナリストの詩織さんに関する報道だ。

山口氏が不起訴になったことを受け、検察審査会に不服申し立てをしたときの記者会見をBuzzFeed Newsは記事にしたが、当時、大手メディアは軒並み沈黙していた。

もにかさんは語る。

「あの会見で、まずは怒りを感じました。何かしたい、何かしなきゃ、という思いに突き動かされましたが、ほとんど報道を見つけることができませんでした。報道されないということは、私の知らない事情が何かあるのではないか。信じていいのか、と迷い、動くことができませんでした」

「そのうちきっと真実が明らかにされるのだろう」とも思っていた。しかし、何も起こらないまま半年近くが経った。

「詩織さんだけじゃない」

10月、姓も明らかにした伊藤詩織さんは、手記『Black Box』を出版した。そこには、山口氏も認めている客観的な事実や交わされたメールの内容などが詳細に記載されている。

もにかさんは、詩織さんと山口氏の両方の手記を読んだ。

「二人の言い分の違いを知ったうえでなお、山口氏は説明が足りないのではないか、と思いました。双方が認めている客観的な事実の重大ささえも、世間やメディアに認識されていないこと自体、問題提起をしたほうがいいと考えるようになりました」

詩織さんは10月24日、外国特派員協会で記者会見を開いた。

もにかさんがショックだったのは、外国人記者からの質問に対する、詩織さんの答えだ。

記者「日本で女性から連帯、サポートの言葉などはあったか」

詩織さん「日本では、女性弁護士からはたくさん連絡がありましたが、組織や団体からの連絡は覚えている限りないです」

「私もブログやTwitterでは頑張って発信しているつもりでした。詩織さんを応援するハッシュタグもできていました。しかし、同じように関心を持っている人たちの間だけで盛り上がっているに過ぎず、一般的にはまだまだ届いているとはいえなかった。まずは詩織さんに私たちの声を届けたい、と強く思いました」

そして考えたのが、オンライン署名サイト「Change.org」を使った署名キャンペーンだ。「性暴力の被害者が救われる社会にするために、詩織さんと共に声をあげよう!」と題して賛同を呼びかけ、「詩織さんは一人じゃない」ということを見える形にしようと思った。

11月29日に始めたキャンペーンは、12月2日午後5時の時点で賛同者1万4860人。賛同コメントだけでなく、自らの性被害について声を上げる人が少なからずいたことに、もにかさん自身も驚いた。Twitterの「#MeToo」のハッシュタグで性暴力被害を告発する声があがっているのと同様の動きが、このキャンペーンでも広がりつつある。

声をあげる、というキャンペーン

これまでも性暴力に関しては、刑法の規定を改正するためのキャンペーンや、大学生に性的同意(セクシュアル・コンセント)の教材を作るためのクラウドファンディングなど、さまざまなアクションが起きている。

Change.org Japan広報の武村若葉さんによると、Change.orgで立ち上がるキャンペーンは、何かを変えようとしたり批判したりするものが多く、応援したりサポートしたり、声を上げることで連帯を呼びかけるメッセージを訴えたりするものは少数派だという。

「今回のキャンペーンは、日本ではまだまだ少ない『ポジティブなメッセージ』を発し、気づきのある人同士で連帯していこうという貴重なものです」

アメリカでは性暴力の告発を受けて、さまざまな業界の権力者が職を失っている。日本でも被害者が経験を語る動きはあるが、変革の動きには至っていない。

「日本ではまだ、告発が信頼され、周りも迅速に動くような段階にはないことの表れ。まず社会認識を変えていくことが必要です。そこで有効なのが『気づいている人』で集まってメッセージを発することです。『声を上げる』ことが、自分自身や周りを『エンパワーする』ことにつながると気づいている人がまだまだ少ないと感じます」

もにかさんと同様、おかしいと感じていても、どう行動に移せばいいのかわからないという人はたくさんいる。そうした「声なき声」の数少ない受け皿になり、広げていくのがこのキャンペーン独自のねらいだ。

表に出ることで身を守る

手記の出版や記者会見の後、詩織さんの訴えを報じるメディアは増えてきている。検察審査会は不起訴相当と議決。詩織さんは提訴し、真相究明は裁判に委ねられた。

もにかさんは言う。

「私みたいな弱小の個人であっても、この件について発信することで名誉毀損などで訴えられる可能性もあるかもしれない。圧力や危険が及ぶことの怖さを当初は感じていました」

「でも、もう覚悟しています。むしろどんどん表に出ていったら、もしも自分の身に何かが起きても、周りに監視の目ができるはずだと考えました」

誰にとってもオープンに

もにかさんは「女性を守りたくてやっているわけではない」とも断言する。

女性だからスカートを履きなさい、足を閉じなさい、夜道を歩いてはダメ。バックパックで旅行するなんてとんでもない。

小学生のころから、誰からともなくそんなことを言われ続けてきた。それは男性についても同じで、学校で重いものを運ぶときに無条件に男子が指名されるのを見て、「力がある人がやればいいのに。性別は関係なくない?」と感じていた。

5月の記者会見で、詩織さんが「被害者なのに襟元の開いたシャツを着るなんて」と非難されていたことも引っかかった。

「『○○だから○○してはダメ』と言われたら、絶対にそれには従わないぞ!と思っています(笑)」

「被害に遭った人がオープンに語りたがらないのはなぜだろう、と考えたときに、性について語ることのタブーが根源にあると気づいたんです。女性もオナニーするって言わないから知られていない。タブーを積極的にぶち壊すような発信をどんどんやっていきたいです」

守るのではなく攻めていく。声をあげ、自ら表に出て「性暴力に鈍感にならないで」と訴えていく。集まった署名を、もにかさんは直接、詩織さんに届ける予定だ。


BuzzFeed Japanはこれまでも、性暴力に関する国内外の記事を多く発信してきました。Twitterのハッシュタグで「#metoo(私も)」と名乗りをあげる当事者の動きに賛同します。性暴力に関する記事を「#metoo」のバッジをつけて発信し、必要な情報を提供し、ともに考え、つながりをサポートします。

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