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【無駄な雑学シリーズ】高級娼婦は如何にして生まれたのか【話の種に】 - やぁ(´・ω・`)みんな元気かい?
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【無駄な雑学シリーズ】高級娼婦は如何にして生まれたのか【話の種に】



 ルネサンス期のヴェネツィアを謳歌したコルティジャーナ、彼女たちは普通の娼婦と何が違うのか、なぜ上流階級に食い込むことが出来たのかを探ります。

〔世界最古の職業〕

 娼婦という職業は世界最古の職業だと言われています。神話の中でも特に古いメソポタミア神話にも記述があります。
『ギルガメッシュ叙事詩』の主人公ギルガメッシュの親友となるエンキドゥは動物並みの知能しか持たない野人でありましたが、ウルク神殿の娼婦が彼と交わることでエンキドゥは理性ある人間に昇格しました。オリエントにおいて娼婦は神の使いともされていたほど確固たる職業だったのです。娼婦の扱いの程度の差はあるにしても、オリエントだけではなく世界中に娼婦という職業が存在していたことは間違いないでしょう。過去も未来も存在し続ける職業は娼婦以外にはありえない、と断言できます。人類の歴史と共にある職業を無視することはできません。


〔卑しい職〕

 現代社会で娼婦と言えばあまり良いイメージが抱かれていません。しかしながら、そのイメージに反するように巨大な市場が形成されているのも事実です。現代の日本人はキリスト教の影響を少なからず受けています。キリスト教がやってくる以前は、この国に不倫という概念は無く、娼婦への待遇も悪くはありませんでした。キリスト教的倫理観が日本だけではなく世界中に広まったからこそ、一夫一婦制は世界のスタンダードと認識されています。中世のキリスト教倫理観は今と比べようもないほど性を嫌悪していました。古くから世界中に「性は不浄である」という認識はありましたが、中世ヨーロッパの神学はその最たるものです。娼婦にとっては暗黒の時代でもありました。


〔社会の修道院化を目指そう!〕

 中世の神学では、イエスはあらゆる欲望を持たない救世主であると定められていたようです。聖書はイエスについての下世話な話は載っていませんが、いくらなんでも「あらゆる欲を持たない」という設定は無理があります。教会にとってのヒーローであるイエスがキング牧師のように女ったらしでは困るでしょうから、教会はイエスを徹底的に聖人に仕立て上げ神格化させました。人間を超越(させられた)したイエスは修道士達の目標でもあります。修道士が徹底的に禁欲生活をするのは構いませんが、問題なのは一般人にまで修道士の生活を押し付けようとしたことです。「イエスは欲望を持たない聖人だ、皆イエス様みたいになろうぜ!!」こんなことを言っても普通は無視するのでしょうが、教会の仕組んだ社会修道士化は成功します。

成功した理由は宗教的カリスマが性的に不能であったからに他なりません。4世紀のローマ教皇シリキウスは狂信的なマリア信者で、セックスノイローゼ患者でした。「聖母マリア様は絶対的な処女だったのだ」と主張するシリキウスに対して「いやいや、出産の時に処女じゃなくなったでしょ」と反論したヨウィニアヌス一派を破門にしています。そんなにマリアの処女性を主張するならヨウィニアヌスに反論すればよかったのでしょうが、反論が見つからず一方的に破門…とんでもない教皇です。教皇権力の頂点に立ったインノケンティウス3世の師であるフグッチョは「とりあえず、性的な喜びは例外なく罪だから」と主張しています。一介の修道士が言うだけなら影響力はありませんが、不幸なことに彼らは宗教的カリスマであり頂点に立つ人物でしたので、周りは言うことを聞くしかありませんでした。組織のトップがそんな感じだったので話は段々とこじれてきます。  

やがて迎えることになった神学の黄金時代、スコラ哲学の最盛期は女性誹謗の絶頂期となりました。トマス・アクィナスの師であるアルベルトゥス・マグヌスは筋金入りの女性嫌いで、このように主張していました。「女性は男性より道徳には向いていない。なぜなら、女性は男性よりも多くの液体を含んでいるからだ。液体の本性は受け入れやすく、引き止め難いものだ。だから女性は気まぐれで好奇心が強い。女性は出来損ないの男性であり欠点だらけの性質をもっている。(以下、延々と女性誹謗)」教皇の先生がこんなデタラメなことをドヤ顔で主張するような始末ですから、大変なことです。アルベルトゥスの個人的な女嫌いにとどまらず、ヨーロッパ中に女性=出来損ないという女性誹謗の考えが広まることになりました。


〔避妊は死罪である!〕

 6世紀のカエサリウスは「堕胎や避妊は子供を殺すことと同じだ、避妊の数だけ人を殺しているのではないか」と考えました。現代でも堕胎は殺人と同じ、と考えられている部分もありますからカエサリウスの考えは決して間違ったものではありません。しかし、中世神学の女性誹謗論と結びつくとおかしなことになってしまいます。その最たるものが1532年に制定されたカール5世の「刑事訴訟法」133条“避妊薬の使用は死罪”です。快楽のために性行為を行うなど言語道断、許されることのない大罪である!という教会の意見を反映させた法律ですが、無茶苦茶です。修道士はともかく、教会のわがままに巻き込まれた一般大衆や女性にとっては大変な時代でありました。

中世教会には、グラティアヌスの考えたふしだらの諸段階が共通したスケールでした。最も悪い順から並べると「自然に反した性行為>近親相姦>姦通>売春」となっていたようです。自然に反した性行為には避妊が含まれています。娼婦は通常、避妊をするでしょうから自然に反した性行為&売春のダブルコンボです。教会からしたら常軌を逸した職業ですね。13世紀の教会では「美女と性行為をした場合と醜女とした場合、どちらがより罪深いのか」という論争を真面目に行なっていたほどですから、現代とは比べものにならないほど娼婦の地位は低かったはずです。


〔江戸の高級娼婦〕

 なぜ、ルネサンス期に娼婦の地位が向上したのかを語る前に、日本の江戸時代の高級娼婦について話しておきましょう。江戸時代は中世ヨーロッパと違い、性に関して大らかでしたので娼婦は人気の職業でもありました。そもそも“遊女”という言葉は“公娼”と同じ意味があります。つまりは幕府が営業を公認した遊郭で働く女性のことです。幕府非公認の女郎は売女と呼ばれていました。幕府公認の遊郭街、吉原には幅広い層の男が通いました。平民はもとより代官や金持ちも吉原でよく遊んだようです。身分の高い男や風流人が求めたのは教養ある女性でしたので、女郎はこぞって勉強に精を出しました。最も位の高い女郎である“花魁”はまるで貴族のような生活をしていたようです。その花魁を買うためには10~20両(30万~60万円)ものお金がかかりました。しかも、花魁が相手の男を嫌いなら行為に及ぶことも出来なかったそうですから、男は金だけ取られてサヨウナラなんてこともあったとか…。そんな花魁は江戸時代の高級娼婦と言っても過言ではありません。


〔ルネサンスの高級娼婦〕

 ルネサンス期のイタリアでは他の西ヨーロッパの地域と違い、男女は基本的に平等でした。上流階級に限った話ですが、女性も男性と同じ教育を受けていましたので中世的な女性誹謗はあまりなかったハズです。ヴェネツィアの娼婦は高さが30センチもあるような木靴を履き、二人の侍女に支えられながら歩いていたそうですが、これは江戸の花魁の高足下駄と全く同じですね。そんなヴェネツィアとローマは16世紀に最も多くの娼婦がいた都市です。ローマでは人口の60%が男性だったということも娼婦が多い理由の一つです。
高級娼婦(コルティジャーナ)の始まりはローマ教皇ニコラウス5世やピウス2世にあります。彼らのような人文主義者が即位すると、自然と宮廷には多くの人文主義者が集まるようになりました。彼らは暇な時にサロンへ行き議論をします。そんな洗練された彼らが女性に求めたことは少なくなかったことでしょう。教養ある女性は彼らに愛され、多くの贈り物を貰いお金持ちになってゆきました。これが高級娼婦の始まりです。上流階級に意見することが出来た高級娼婦は女性にとっての憧れで、特権的立場を手に入れることを期待して娘の教育に財産をつぎ込む母親も多かったそうです。ルネサンスの高級娼婦の代表といえば、ラファエロやペロアルド、カペラといった男性を虜にしたルクレツィア(インペリア)です。彼女は自殺するのですが、教皇ユリウス2世自ら彼女の(自殺という)罪を許すほどの力を持っていました。ルクレツィア恐るべし!
比べてみると、ルネサンスのコルティジャーナも江戸時代の花魁もよく似ています。娼婦のあるべき姿は中世神学世界のように卑しいものか、それとも江戸やヴェネツィアのように一目置かれる存在で有るべきか、どちらが正しいのでしょうか。


〔参考文献〕

『カトリック教会と性の歴史』ウタ・ランケ-ハイネマン著 三交社 1996年10月25日第一刷発行
『江戸の二十四時間』林美一著 河出書房新社 1989年1月25日初版印刷
『ルネサンスの高級娼婦』 ポール・ラリヴァイユ著 平凡社 1993年8月25日初版発行
『「世界の神々」がよくわかる本』東ゆみこ監修 造事務所著 PHP文庫2005年12月19日第一版一刷
『世界の「美女と悪女」がよくわかる本』島崎晋監修 世界博学倶楽部著 PHP文庫 2007年9月18日第一版一刷



《Tomiyama Tenyou》


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