約等の課題もあるため必要な照射データを計画どおりに取得できない可能
性があるとともに、国内で照射データを取得するメリットである「質・量と
もに充実したデータ」、「開発の計画的な推進と時間的な即応性」、「国内技術
の向上・蓄積」等がなくなり、FBR 開発に支障が生じるとともに、我が国の
国際的な技術的優位性及び競争力の低下が懸念される。
FaCT プロジェクト以降の FBR 開発においても、設計の合理化・高度化を
図りさらなる安全性・経済性等の向上、安全規制に係る照射データの拡充を
図る必要がある。特に、燃料設計手法の合理化や燃料製造公差の緩和のため
の照射試験、製造・再処理技術と連動した核拡散抵抗性向上に係る対応方策
の実証等が重要となる。
また、「もんじゅ」が高速中性子照射場として確立された後も、「常陽」と
「もんじゅ」がそれぞれの特徴を活かし、「常陽」では革新的な燃料・材料
の先行照射試験や、高精度な照射試験による基礎データの取得、「もんじゅ」
では集合体レベルでの性能の実証等、その役割を分担することで、実用炉開
発に必要な安全性・経済性等の向上に係る照射データを取得することが可能
となる。
(ii) FBR 開発を支える基礎基盤技術開発・人材の育成
FBR 基礎基盤技術開発においても、実験炉である「常陽」は試験目的に合
わせた柔軟な原子炉の運転・照射試験が可能であるため、革新技術の実証、
先進的・革新的プラント計測技術開発、炉心・プラント安全性評価のための
実証試験等に供することができる。また、高精度な照射条件評価技術や照射
条件の制御が可能な先進的照射試験装置を有しており、燃料・材料照射挙動
メカニズムの解明、新しい解析法等の導出・適用性検証が可能である。これ
らの技術開発を推進し、実機データの活用による研究の活性化を図ることは
「常陽」の大きな役割であり、人材育成や大学の原子力教育・研究の向上、
産業界の技術基盤の維持の観点でも、「常陽」の利用ニーズは高い。
(iii) FBR 開発に係る国際協力
国際的な視点では、第 4 世代原子力システムの研究開発に関する国際フォ
ーラム(GIF)等の FBR 開発に係る枠組みの中で、世界的にも数少ない高速
中性子照射炉である「常陽」は、我が国が国際競争力を備え、世界の FBR
開発をリードする上で貴重な研究施設である。
② 復旧計画を踏まえた「常陽」再起動の妥当性
「常陽」では 2007 年に発生した計測線付実験装置試料部と回転プラグの干
渉による燃料交換機能の一部阻害及びその後確認された炉心上部機構下面の
整流板等の損傷により、原子炉を再起動するためには、炉心上部機構の交換及
び干渉物である計測線付実験装置試料部の回収が必要である。