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SYMPOSIA
Page 1
第 89 回日本生理学会大会
脳神経外科治療における脳生理学(S3)
脳神経外科疾患の治療において,脳生理学の果たす役割は当然ではあるが極めて高い.本シン
ポジウムでは,脳神経外科疾患の病態および治療において,生理学的基盤に基づき実践している
もののうち,近年のトピックスでもある 4 項目を選び,生理学を専門とする先生方にご紹介し,
専門的な立場からのご意見を伺うことを目的とした.また,このシンポジウムが,今後,脳神経
外科疾患の更なる病態解明・治療において生理学の専門の先生方との共同研究のきっかけのひと
つとなることを願って企画した.
選んだ 4 つのテーマは,①くも膜下出血後の脳血管れん縮に及ぼす脳脊髄液中マグネシウムイ
オン濃度,②パーキンソン病の外科的治療として行われている脳深部刺激(deep brain stimula-
tion)療法の機序,③脳幹部手術における脳幹機能,脳神経機能温存のための術中神経生理学的モ
ニタリング,および④脳血管障害・脳腫瘍などの脳神経外科手術における,神経機能を温存する
ための各種術中電気生理学的モニタリングである.
各テーマの内容は,それぞれのシンポジストが概説している通りであるが,①は今後治療に応
用される可能性を持ったもので高く期待される.②は,パーキンソン病の病態解明にも通ずるも
のである.③④は,神経機能を温存した脳神経外科手術を行うための極めて重要なものであり,
さらに精度の高いモニタリングの開発研究が演者らにより行われている.いずれのテーマも,非
常にホットなトピックスであり,生理学の専門の先生方からも質問が出され,有益なシンポジウ
ムとなったと思われる.
本郷 一博(オーガナイザー,信州大学脳神経外科)
脳脊髄液中のマグネシウムイオン濃度がくも膜下
出血後の脳血管れん縮に及ぼす影響
森健太郎(順天堂大学医学部附属静岡病院脳神
経外科,防衛医科大学校脳神経外科)
はじめに:くも膜下出血(SAH)は脳動脈瘤破
裂によって発症する死亡率の高い脳卒中の一つで
ある.たとえ出血源を治療しても,患者の約 30%
は発症数日後に脳血管れん縮を来して脳梗塞を合
併し機能不良となるが,その治療法は確立してい
ない.一方,細胞外液のマグネシウムイオン濃度
(Mg2+)が,脳血管の調節に重要であることは生
理学的に証明されている.そこで我々は脳脊髄液
(CSF)中の Mg2+ が脳血管れん縮を来した脳動脈
におよぼす影響と,その治療法について研究を
行ってきた.
研究方法と成果:まずRatを用いた実験的SAH
モデルを用いて,脳槽内に硫酸マグネシウム
(MgSO4)溶液を注入したところ,脳血管れん縮
のために低下していた脳血流量(CBF)が増加す
ることを見出した[1].次に,犬を使った実験的
SAH モデルで作成した脳血管収縮を MgSO4 溶液
の脳槽内投与にて実際に拡張させることが可能で
あることを脳血管撮影にて証明した(図)[2].以
上の結果に基づいて,脳血管れん縮を治療するの
に必要な CBF の Mg2+ 濃度や効果持続時間につい
て定量的研究を行った.26 匹の Beagle 犬を用い
て実験的 SAH モデルを作成し第 7 日目(脳血管
れん縮の時期)に各種の濃度の MgSO4 溶液を脳
槽内投与し経時的に脳動脈の血管径を測定した.
その結果,正常(約 1.5 mEq/l)以下の CSF の
Mg2+ 濃度では血管れん縮はむしろ悪化し,3
mEq/l 以上の濃度では濃度依存的に拡張するこ
とが判明した.また,この血管拡張作用は約 6 時
間持続することも判明した[3].
研究の意義:我々の研究結果は,細胞外液中の
Mg2+ が voltage-dependent Ca2+
channel blocker
SYMPOSIA
〔オリジナルのカラー図版は学会ホームページ http://physiology.jp/に掲載予定です〕
23
SYMPOSIA

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として働き,血管を拡張するという生理学的所見
が SAH 後の血管れん縮という病的状態において
も働いていることを証明した.また,MgSO4 溶液
の脳槽内投与による脳血管れん縮の治療では,
CSF 中の Mg2+ 濃度を 3 mEq/l 以上にする必要が
あることと,実際の治療においては MgSO4 溶液
を間歇的あるいは持続的に投与する必要性が判明
した.なお,我々が証明した MgSO4 溶液の脳槽
内投与による脳主幹動脈の血管拡張作用と CBF
増加作用とをつなぐ脳の抵抗血管である細動脈へ
の Mg2+ の作用については信州大学脳神経外科学
グループらによって近年証明されている[4].
1. Mori K, et al.: Neurosurg Rev 31: 197―203,
2008
2. Mori K, et al.: J Neurosurg 110: 73―78, 2009
3. Mori K, et al.: J Neuosurg 114:1168―1175, 2011
4. Murata T, et al.: Neurosci Res 70: 30―34, 2011
パーキンソン病の大脳基底核ニューロン活動異常
と deep brain stimulation の機序
橋本隆男(相澤病院神経疾患研究センターセン
ター長)
パーキンソン病は,黒質のドパミンニューロン
の変性脱落と細胞内封入体であるレビー小体を病
理学的特徴とし,寡動・無動,筋固縮,安静時振
戦,平衡障害を主症状とする神経変性疾患である.
治療では,ドパミン補充療法が奏功する一方で,
近年,脳内植え込み電極を用いた視床下核や淡蒼
球内節の高頻度電気刺激療法(deep brain
stimulation, DBS)の高い有効性が示され世界中で
実施されるようになった.DBS の作用機序を解明
しようとする研究も盛んに行われ,その結果,従
来の大脳基底核機能モデルと全く異なる病態モデ
ルが提唱されるようになった.1980 年代後半に,
基底核の出力レベルの増減で運動減少症状(寡
動・無動)と運動過剰症状(舞踏運動,バリスム)
を説明する病態モデルが提唱された[1].神経核
の活動レベルはその中の単一神経細胞の平均発火
頻度で表現されることから,このモデルは firing
rate モデルとも呼ばれた.しかし,我々は MPTP
によるサルのパーキンソン病モデルを用いた実験
で,視床下核高頻度刺激により淡蒼球内節の発火
頻度が増加することを示した[2].この結果は,
firing rate モデルと逆の変化だった.また,刺激
により淡蒼球内節の発火はランダムな発火から定
間隔の発火に変化した.これらの結果から,パー
キンソン病の寡動は firing rate モデルでは説明で
きず,発火パターンが重要ではないかという仮説
が生まれた.基底核ニューロン活動のパターン異
常の中で,基底核運動回路の同期性周期性の神経
活動が寡動と密接な関連があることが明らかにさ
れてきた.視床下核や淡蒼球内節から記録される
10-30Hz の β 帯域の oscillation(β oscillation)が
off 状態のパーキンソン病で増強し,L-ドーパ投与
で減少することが明らかにされた[3].一方,
70-85Hz の γ 帯域の oscillation が L-ドーパ投与後
の寡動の改善とともに現れることも見出された.
数多くの知見に基づいて,β 帯域とそれより遅い
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oscillation は寡動を悪化させ,γ 帯域の oscillation
は寡動を改善させる方向に働く,という oscilla-
tion モデルが新たに提唱され,現在最も信頼性の
高い病態モデルとなっている.β oscillationが増え
ると寡動が生じる機序については,随意運動開始
前には運動回路内の β oscillation が非同期化し減
少する,という知見が示されている[4].パーキン
ソン病では,β oscillationが増加しかつその同期化
が亢進していることにより運動遂行が障害されて
寡動を生じる.DBS は β oscillation をブロックす
ることにより寡動を改善する.
1. DeLong MR: Trend Neurosci 13: 281―285,
1990
2. Hashimoto T, et al.: J Neurosci 23: 1916―1923,
2003
3. Brown P: Mov Disord 18: 357―363, 2003
4. Kühn A, et al.: Brain 127: 735―746, 2004
脳幹部手術に必要な術中神経生理学的手技
師田信人(国立成育医療研究センター脳神経外
科)
【背景】脳幹部はかつては“no man’s land”と
も形容され,脳神経外科手術の対象とされなかっ
た.しかし,最近の MRI をはじめとする画像診断
および脳神経外科手術手技の進歩により,現在で
は外科治療の対象となってきている.手術にあ
たっては脳幹機能温存が必須であるが,病変によ
り正常解剖学的指標はしばしば偏位している.こ
のような場合,術中神経生理学的手技を駆使して
安全に手術を遂行する必要がある.
【術中神経生理学的手技】手技としては第 4 脳室
底で運動性脳神経核(主に顔面神経核,舌下神経
核,必要があれば舌咽・迷走神経核)の局在を同
定する mapping(Brain Stem mapping:BSM)
と,神経機能を監視する monitoring(Cortico-
Bulbar Tract Motor Evoked Potential monitor-
ing:CBT-MEP)を組み合わせて行う.
BSM:刺激は術者の把持した単極刺激電極を用
い陰極刺激とする.陽極は術野あるいは頭皮電極
に置く.刺激条件は以下の通り.
刺激波:持続時間 0.2 ミリ秒,単発矩形波.刺
激強度:最大 2.0mA.刺激頻度:4Hz.加算平均:
25
SYMPOSIA
図 1

Page 4
1-2 回.BSM の刺激強度は通常 1.5-2.0mA で開始
し,反応が得られれば減弱し閾値上強度で刺激す
る.反応は顔輪筋(第 7 脳神経),口輪筋(第 7 脳
神経),舌固有筋(第 12 脳神経),必要があれば咽
頭壁(第 9/10 脳神経)にそれぞれ装着した針電極
から筋電図を記録する.
CBT-MEP monitoring:頭蓋電気刺激部位は頭
皮上の C3, C4 を用い,陽極刺激とする.脳幹両側
に渡る病変では必要に応じて陽極刺激電極を交代
し両側のモニタリングを行う.経頭蓋電気刺激時
の高頻度刺激条件は通常の運動誘発電位モニタリ
ングと同じである(刺激頻度 500 Hz, 刺激回数 5
回,刺激波:矩形波,刺激時間:0.5 msec,加算
平均 2 回).刺激強度は閾値上強度とする.記録
は BSM で装着した記録電極を用いる.
【手術の実際】図 1 に 3 才小児の再発上衣腫手術
時の記録を示す.手術では,通常の後頭下開頭後
に硬膜を切開し,顕微鏡下に第 4 脳室底より脳幹
部に浸潤した腫瘍を露出した.腫瘍切除前にBSM
で顔面神経核の位置を腫瘍頭側に確認し,腫瘍切
除中は CBT-MEP monitoring で顔面神経機能に
異常のないことを確認しつつ切除を進めた.腫瘍
底(脳幹部内)に近づいた時点で再度 BSM を施
行し顔面神経走行部位と離れていることを確認
後,脳幹部背側に浸潤した腫瘍を全摘した.術後
は一過性に極軽度の顔面神経麻痺が出現したが,
現在まで術後 4 年間再発なく経過している.
【まとめ】脳幹部手術は手術の危険性も高く,現
代においても脳神経外科医にとって大きな挑戦で
ある.しかし,最近の術中神経生理学的手技の進
歩をもとに,脳幹部マッピングと皮質球路モニタ
リングを組み合わせることにより,従来以上に安
全・確実な手術を目指すことが可能となってきて
いる.
脳神経外科手術における術中電気生理モニタリン
後藤哲哉(信州大・医・脳神経外科)
イントロダクション:多くの脳神経外科手術は
全身麻酔下に行われるが,神経機能温存を目的と
した場合,顕微鏡下に我々外科医がしている作業
は,脳神経の解剖学的なもしくは血行動態的な温
存を図ることである.これらの温存により,間接
的に神経機能を温存したいためである.これに対
し神経機能の評価を術中に直接行おうとした場
合,一つの方法は覚醒下手術であり,もう一つは
電気生理学的検査の手術への導入である.
研究方法,研究の成果:近年の麻酔方法や,刺
激,記録方法の改良により,現在生理検査室で施
行されているほとんどの検査が可能となっている
[1].典型的な体性感覚誘発電位,聴性脳幹反応だ
けでなく,運動誘発電位や視覚誘発電位といった
これまで比較的難しいとされてきた誘発電位検査
や,球海綿体反射,瞬毛反射,片側性顔面けいれ
んにおける異常筋反応などの多シナプス反射経路
も術中の反応の変化量と,術後の予後との相関が
明らかになってきている[2,3].さらに脳神経外
科術中ならではの利用として,脳皮質,白質,脳
神経への直接刺激や同部位からの直接記録をおこ
なうことで,モニタリングだけでなくマッピング
(機能局在部位の同定)が可能である.
当該分野における意義:これら電気生理モニタ
リングは,不意の合併症を予測するという手術の
安全性を担保する意味で非常に重要である.また
一歩進んで,電気生理モニタリングガイド下に行
われる手術では,この方法の成否が手術結果を左
右するところまで来ている.このため,術中電気
生理モニタリングの必要性はさらに上がることが
予想される.今後,モニタリング技術の更なる改
良と新たなモニタリング方法の開発,そしてそれ
ら経験の蓄積が必要である.
1. Goto T, et al.: J Neurosurg 108: 816―819, 2008
2. Goto T, et al.: J Neurosurg 107: 860―864, 2007
3. Goto T, et al.: Skull Base 20: 429―434, 2010
四肢の筋骨格系の特性と脳による制御:生理学知見の工学的理解(S15)
神経系が身体を如何に制御しているかという問題は生理学における課題として古くから探求さ
れてきている.近年,生理学分野の概念や知見を工学的な理論体系で解釈しようとする試みがな
されてきている.本シンポジウムでは,四肢の筋骨格系の特徴を抽出したうえでその制御特性を
明らかにし,そのような筋骨格系を適応的に制御するモデルを提案し,脳による計算機構をひも
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とこうと試みた.
具体的には下記 4 題の発表を行った.1)ナメクジウオからヒトに至る進化の過程に一貫してみ
られる拮抗筋制御,2)生体機構に学ぶ筋骨格系の運動制御,3)最適制御と運動学習,4)M1 と
PMdc の速度に関連した神経細胞活動を推定した状態として捉える.演題 1)では系統発生学的
に古い生物から一貫して 1 つの関節は主動筋と拮抗筋により駆動されること,ならびに,2 つの
関節にまたがる二関節筋を装備しているという特徴があることが示された.この内容を受けて,
演題 2)で四肢の筋骨格系の制御特性が明らかにされた.特に,二関節筋が四肢先端の剛性の自
由度の高さを保証していることが示された.このような筋骨格系を脳がどのように制御している
のかという問題に関して,演題 3)では最適制御による枠組で運動学習モデルが提案された.ま
た,小脳疾患患者と大脳基底核疾患患者の比較行動実験により,このモデルが予測している 2 種
類の学習スキーマ(順モデルの更新による適応と行動戦略の変更による適応)の存在が示唆され
た.さらに,演題 4)ではサルの一次運動野と運動前野背側尾部に未来の状態を予測する順モデ
ルが存在する可能性が示された.
このように,本シンポジウムによって脳がどのように四肢の制御を行っているかという問に対
する 1 つの妥当な作業仮説を提案できたと確信している.この仮説が正しいか否かは今後の研究
に負うところになる.最後に,オーガナイザーの母校である和歌山県立医科大学の初代学長であ
る古武弥四郎先生の言葉を記して結びとさせていただく.「本も読まねばならぬ.考えてもみなけ
ればならぬ.併し働くことはより大切である.凡人は働かねばならぬ.働くとは天然に親しむこ
とである.天然を見つめることである.こうして始めて天然が見えるようになる.」
オーガナイザー:宮下 英三(東工大院・総理工・知能システム)
熊本 水頼(京都大・名誉教授)       
ナメクジウオからヒトに至る進化の過程に一貫し
てみられる拮抗筋制御
熊本水賴(京都大学名誉教授)
ヒトをはじめ陸上四脚動物の四肢リンク機構に
は強大な拮抗二関節筋が存在することは周知のこ
とでありながら,その存在意義について大きな関
心を払うことなく推移して来た背景がある.
そこで先ずヒト上肢を対象に筋電図動作学的解
析,数学モデルによる理論的解析,さらにロボッ
ト工学的解析を並行して実施した結果,拮抗二関
節筋と両端の関節に働く 2 対の拮抗一関節筋は協
調した活動様相を示し,各拮抗筋は相互に活動レ
ベルを交代しながら系先端における出力方向制御
に貢献していることが確かめられた.また複数筋
束からなる各拮抗筋の活動レベルの交代は相反神
経支配回路を複数個組み合わせた簡単な脊髄レベ
ル拮抗筋制御回路で再現可能であり,3 個の回路
に位相差をつけて一つに組上げると,単一の入力
信号で 3 対 6 筋の活動様式を制御して任意の方向
への出力を可能とした[1].また拮抗二関節筋を
含む 3 対の拮抗筋が活性化されるだけで系先端の
コンタクトタースクが解消されることが理論的,
実験的に示された[2].この結果は中期デボン紀
の初めの地層から出土した四脚動物の足跡の化石
から,彼等の四肢は既に拮抗二関節筋と共に一関
節筋群も具備していたことを示唆するものである
[3].さらに我々はシーラカンスの胸鰭に二関節筋
が拮抗して存在することを解剖学的に確認し,拮
抗筋制御で胸鰭の運動が再現出来ることを工学モ
デルで実証している[4].またさらに原索動物の
ナメクジウオの S 字状波動遊泳運動は,7 乃至 8
対の拮抗筋を装備した工学モデルを作り時系列
モード拮抗筋制御で前進後進自由に遊泳させ,再
現に成功した[4].すなわち,原索動物の時系列
モード拮抗筋制御は魚類の遊泳運動に継承され,
肉鰭類が胸鰭に準備した拮抗二関節筋が上陸劇を
成功に導いた.上陸を果たした初期四脚動物は,
3 対の拮抗筋群の拮抗筋制御回路に位相差をつけ
て組むことに成功した時,動物特有の出力特性,
卓越した制御機能特性を獲得し,爾来,両生類か
ら爬虫類,鳥類,哺乳類と連綿とあらゆる陸上四
脚動物に継承され,ヒトに至っていると考えられ
る.
動物界の運動制御を統べる拮抗筋制御を背景に
二関節筋の存在意義が明らかになると,運動に関
わる基礎科学諸々の領域の基礎計算座標に二関節
筋を組み込むことが余儀なくされる.例えば,肩
関節トルク,肘関節トルクを独立変数として扱っ
た Nature の論文などは見直しを迫られることに
なる[5].影響するところは広範に及び深刻であ
る.
1. 藤川智彦ら:日機械学会誌 63:135―142, 1997
2. Kumamoto M, et al.: H M Sci 13: 611―634,
1994
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SYMPOSIA

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3. Niedzwiedzki G, et al.: Nature 463: 43―48,
2010
4. Kumamoto M, edt.: Abstracts ISAB, 2010,
2010
5. Pruszynski JA, et al.: Nature 478: 387―390,
2011
生体機構に学ぶ筋骨格の運動制御
辻 俊明1,21埼玉大学大学院・理工学研究科,
2JST さきがけ)
筆者の研究グループではバイオメカニクスの分
野のうち,特に筋骨格の進化の系譜に着目して研
究を進めている.進化の過程で自然淘汰された筋
骨格がたくさんあるとすれば,現在生き残ってい
る種の筋骨格には高いパフォーマンスを発揮する
何らかの必然性があると予想される.その必然性
の原理が明らかになれば,ロボット制御にもその
知見が還元できると期待される.動物の進化の系
譜を見ると,水中で生きる魚類や頭索動物,尾索
動物と陸上に上がった四肢動物の筋骨格に大きな
隔たりがあることがわかる.陸上の動物は自重を
支え移動するための四肢を持つが,両性類,爬虫
類,鳥類,哺乳類のほぼすべての種が四肢に単関
節筋と二関節筋を持っている.特に四肢動物がす
べて二関節筋を持っていることが工学的見地から
不思議な点と言える.そこで本シンポジウムでは
二関節筋を有する筋骨格の意義を調査した研究を
紹介した.
生物は筋骨格の剛性を巧みに調整しながら器用
な動作を実現することが知られているが,これま
での研究成果により,二関節筋が剛性制御の特性
改善に寄与していることが明らかになっている.
手先を様々な方向に変位させたときの各方位の剛
性分布を表したものを剛性楕円と呼び,環境との
接触に対して筋骨格が正確な力制御を行うために
は,適切な形状に剛性楕円を設定しておく必要が
ある.そして剛性楕円の設定には 2 関節筋を含む
機構が必要であることが明らかになっている[1].
また,二関節筋により手先の力出力分布が大きく
なり,出力分布の等方性が高くなる.筋の数が増
えるので力出力分布が大きくなるのは当然のよう
にも思えるが,対重量比で計算した場合でも有利
になることが確認されている[2].これらの理論
は筋の収縮力と手先の力出力を対応付ける座標変
換式を展開することにより得られるが,その数式
は 3 相電動機の座標変換式と極めて類似してお
り,電動機の効率改善のための理論が筋骨格にお
いても適用できることが確認されている[3].
1. 大島 徹ら:日本機械学会論文集 (C 編 ) 61:
4696―4703, 1995
2. 大島 徹ら:精密工学会誌 65: 1772―1777, 
1999
3. T. Tsuji: International Symposium on
Application of Biomechanical Control System
to Precision Engineering (ISAB2010), 64―67,
2010
最適制御と運動学習
井澤 淳(ATR 脳情報研究所)
脳は外界の変化に適応した行動を生成するため
に存在する.言語,認知,コミュニケーションを
含む私達の活動のほぼすべてには運動が伴う.し
たがって脳を理解するためには脳が運動を生成す
るメカニズム,特に脳において運動制御・学習が
生成される計算論的メカニズムを理解する必要が
ある.
例えば,我々が運動を行う際に,脳は運動指令
を生成し,その結果,感覚器官の変化が生じる.
この感覚フィードバックは即座に脳によって評価
され誤差情報が計算される.そのうちの一つが,
感覚予測誤差である.脳は運動指令を生成した結
果引き起こされる感覚器官の変化を,運動指令の
遠心性コピーを用いて予測し,さらに実際に観測
された感覚器官の変化との誤差を計算する.もう
一つの誤差は報酬予測誤差である.脳は主観的に
感覚帰化の変化を評価し,タスクの達成度やエネ
ルギー消費量に基づいて報酬情報計算する.計算
理論的に考えれば,脳は各試行ごとに,これら感
覚予測誤差と報酬予測誤差を用いて運動指令を改
善する.ある特定の運動学習中に,脳がどのよう
な割合で,この二つの予測誤差を用いて運動学習
を行っているのか推定することはできるのであろ
うか?
我々は,簡単な運動学習タスクにおいて,二つ
の予測誤差の依存度を推定することを試みた.特
に,特定の条件では感覚予測誤差が運動指令から
感覚情報を予測する順モデルを更新し,感覚の知
覚に変化が現れることを確認した.一方,報酬情
報のみ与えることによっても同様の運動学習が行
われることが明らかになった.しかし,報酬情報
のみ与えられた場合には感覚の知覚に変化が現れ
ることは無かった.さらに,我々は各試行ごとの
運動のばらつきと,理論的に予測される報酬期待
値に負の相関が現れることを確認した.これは,
報酬情報に依存した学習にとっては,運動のばら
つきを調整すること,つまり能動的に解空間を探
索することが必要条件であることを意味してい
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日生誌 Vol. 75,No. 1 2013

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る.さらに,学習記憶の空間的な汎化性を調べる
と,報酬情報によって更新された運動記憶と,感
覚予測誤差によって更新された運動記憶には大き
な違いが現れた.具体的には,報酬情報によって
更新された運動記憶の汎化関数は,感覚情報に
よって更新されたそれよりも細く鋭敏であった.
すなわち,報酬情報によって駆動される運動記憶
は到達目標により限定されていると考えられる.
計算論的には,汎化関数の大きさは,学習システ
ムに含まれるニューロンの特性によって支配され
ると考えられる.したがって,本結果は,報酬情
報によって駆動される脳内機構と感覚予測誤差に
よって駆動される脳内機構が異なるシステムであ
ることを示唆している.
さらに,我々はパーキンソン病患者を対象とし
て運動学習課題遂行テストを行い,報酬情報によ
る運動学習が健常者よりも劣っていることを確認
した.さらに,運動学習中の能動的な探索が,パー
キンソン病患者では明確ではないことを示した.
これらの結果は,大脳基底核が運動学習中に報酬
情報を処理することによって運動記憶の更新に貢
献していることを示唆している.
M1 と PMdc の速度に関連した神経細胞活動を推
定した状態として捉える
宮下英三(東工大院・総理工・知能システム)
手の到達運動の様々な行動学的特徴をうまく説
明できる制御モデルとして最適フィードバック制
御が提案されてきている[1].この制御モデルで
は順モデルという概念が重要になる.順モデルは
運動指令から未来の状態を予測し,この予測状態
は時間遅れのある感覚信号と統合され,尤もらし
い未来の状態が推定されることになる.このよう
に推定された状態から運動指令が生成される.演
者の研究室では行動学的特徴のみならず,課題の
要求精度に応じた筋肉の共収縮度合[2]や到達運
動中のサルの腕の関節剛性の変化[3]といった筋
肉の収縮状態に依存する特徴をも,2 関節 6 筋で
構成される腕のモデルを最適フィードバック制御
する数値実験により再現することに成功してい
る.シンポジウムでは,サルの一次運動野(M1)
や運動前野背側尾部(PMdc)に存在する手先速
度に関連した活動を示す神経細胞活動を最適
フィードバック制御の枠組で解釈することを試み
た.
二頭のサルにマニピュランダムを操作させ,コ
ンピュータ画面上に提示されるカーソルを画面中
央から周辺 8 方向の内 1 カ所に提示される視標を
通過させるコントロール課題と,画面中央を座標
原点とし反時計回りに 45°回転変換した位置に
カーソルを提示した環境下で視標を通過させる学
習課題を遂行させた.課題遂行中の手先位置と神
経細胞活動を M1 と PMdc から計測し,腕の長さ
などのリンクパラメータは実験終了時に測定し
た.神経細胞の発火特性を運動に関連した変数の
空間の中の 1 つのベクトル(PV)として表現する
ことにより,コントロール課題と学習課題完了後
で発火特性の変化を定量的に評価した.具体的に
は,運動に関連した変数として肩関節と肘関節
各々の関節トルクと関節角速度の 4 変数を選び,
学習課題の前後で関節トルクに関わる発火特性は
不変とした.すなわち,関節角速度の空間で PV
の変化を定量的に評価した.
腕の到達運動に関連するサルの M1/PMdc の神
経細胞は大きく 2 つに分類することができた.体
性感覚情報の入力を受ける神経細胞と視覚情報の
入力を受ける神経細胞である.体性感覚情報の入
力を受ける神経細胞の PV は学習課題の前後で殆
ど変化しなかったが,視覚情報の入力を受ける神
経細胞の PV は学習課題の後で(手先の空間に変
換すると)時計回りに回転していることが多かっ
た.
この結果は,視覚情報の入力を受ける M1/
PMdc の神経細胞が腕の運動との関連性において
カーソルの動きを予測している,つまり,M1/
PMdc にカーソルの動きに対する順モデルが存在
する可能性を示唆している.したがって,脳のど
の部位でどのような計算が行われているかを解明
することに本研究は寄与すると思われる.
1. Todorov E, et al.: Nat Neurosci 5: 1226―1235,
2002
2. Ueyama Y, et al.: Cur Bioinformatics, (in
press)
3. Ueyama Y, et al.: Conf Proc. IEEE The 12th
International Workshop on Advanced Motion
Control, 1―6, 2012
29
SYMPOSIA

Page 8
国際宇宙ステーション利用ライフサイエンス及び
宇宙医学分野国際公募研究(S16)
「はたして人類は宇宙空間で生存可能か?」,1961 年 4 月 12 日旧ソ連のユーリイ・ガガーリン
による 108 分間の人類初の軌道飛行成功以前に,世界中の科学者が抱いていた疑問は,最近の宇
宙活動を見る限り杞憂に終わったと言ってよい.しかし,宇宙滞在が長時間に及ぶにつれて,色々
な医学上の問題が明らかになってきた.宇宙酔い,骨格筋萎縮,骨量減少,心・循環系の失調,
空間識失調などであり,これら全ては,宇宙の微小重力環境が原因であると考えられている.こ
れらの医学的問題にアプローチするため,国際宇宙ステーション利用ライフサイエンス及び宇宙
医学分野研究の国際公募が 2009 年に行われた.日本からは 5 つの研究課題が採択され,2012~
2014 年での実験実施を目指し,移行審査が行われている.本シンポジウムでは,心・循環系の失
調とその対策,筋骨格系の萎縮とその対策,空間識失調についての 4 テーマを各々の研究代表者
に紹介してもらった.
宇宙飛行士を被験者とする場合の制約,宇宙ステーションで使用する実験機器開発および機器
持ち込みに関する制約などのため,実際の実験開始までには予想以上の時間がかかっており,最
も早い実験でも,本年 5 月に開始予定である.従って,宇宙実験で得たデータの紹介はなかった
が,各研究者の仮説とその仮説に至った研究,そして現在の準備状況などの報告があった.今回
話題になったテーマは,宇宙飛行だけでなく,地上の高齢者でも問題になっている医学的テーマ
であり,宇宙医学の成果を地上医学に還元するという観点からも興味深いものであった.
オーガナイザー:森田 啓之(岐阜大学・大学院医学系研究科・生理学)
岩瀬  敏(愛知医科大学医学部生理学第 2 講座)  
AGREE プロジェクトの進展:エルゴメーター運
動を伴う人工重力の有効性に関する多国間プロ
ジェクトの進捗状況
岩瀬 敏1,西村直記1,菅屋潤壹2,Willam H.
Paloski3,Laurence R. Young4,Jack J.W.A. van
Loon5,Floris Wuyts6,Gilles Clement7,Jorn
Rittweger8,Rupert Gerzer8,James Lackner9
秋間 広10,片山敬章10,傳  琦11愛知医大・
医・生理,2椙山女学園大学看護学部,3Univ. of
Houston, USA,4Massachusetts Inst. of Tech.,
USA,5Univ. of Amsterdam and Free Univ.,
Netherland,6Univ. of Antwerp, Belgium,
7International Space Univ., France,8DLR, Inst. of
Aero. Med., Germany,9Brandeis Univ., USA,10
古屋大学保体センター)
AGREE(Artificial GRavity with Ergometric
Exercise)プロジェクトは,2009 年,国際宇宙ス
テーション ISS 国際宇宙ステーション上におい
て,エルゴメーター運動あるいは下腿の伸展運動
と遠心力による人工重力の,宇宙飛行デコンディ
ショニングに対する有効性を評価するために提案
された.本提案は,国際 AO に応募した提案が採
択されたものである.主任研究者のグループは,
日本から,その他,ヨーロッパ(ドイツ,ベル
ギー,オランダ,フランス)および米国からの研
究者により構成されている.現状は適宜最初の提
案から変更されている.設置場所は,多目的モ
ジュール(PMM,permanent multipurpose mod-
ule)で,欧州宇宙機関は ISS のハードウェアを開
発した経験に基づいて,遠心機のハードウェアを
開発し,宇宙航空研究開発機構(JAXA)は宇宙
ステーション補給機(HTV)による打ち上げ機会
を提供し,米航空宇宙局 NASA は,設置場所を提
供することになる.これまでに 2 回,国際作業グ
ループ会議が開かれ,1 回は東京で,運動仕様有
人遠心機の最終的な仕様を完成させるために開か
れ,6 月に ESTEC で開かれた会議で,ESA のエ
ンジニアとの最終的な打ち合わせを行った.2011
年 11 月に,科学者チームはサンノゼで会合を行
い,科学実験要求 ESR(experimental scientific
requirements)を完成させた.この遠心機の回転
部分の直径は 2.8m となり,遠端に近い部分に設
置される予定である.本装置には回転補償のため
のカウンターバランスが搭載され,回転速度は回
転軸から心までの距離が 30 cm の時,心レベルで
1.2 G を負荷するために,最大で 60 rpm となる.
追加の運動用機器を設置する可能性はあるが,回
転中の心電図,各心拍の血圧,主要筋の筋電図,
ビデオ観察による眼球位置,各足と臀部に対する
値彼,赤外線ビデオによる顔面表情をモニターす
30
日生誌 Vol. 75,No. 1 2013

Page 9
る.重力レベルと運動負荷は,被験者により制御
される.重力レベル,回転速度,運動負荷,心拍
数は ISS のコンピューター・システムに記録,そ
の日のうちに地上にダウンロードされた後に解析
する.最初,実験グループ着陸前 2 か月を対抗措
置期間として提案したが,米宇宙飛行士筋力・体
力・リハビリ訓練グループは,6 か月の滞在期間
全体を対抗措置期間とすると提案している.宇宙
飛行の前・中・後に,心血管系,体温調節,有酸
素運動,神経前庭系,筋骨格系,骨代謝,および
自律神経のパラメーターを評価する.2012 年に
は,地上用の短腕遠心機を製造することになり,
新しく制作した短腕遠心機のためにベッドレスト
等の地上実験を行い,人工重力+運動の有効性に
ついて検討する.国際協力をどのように進めるか
についても説明する.
「傾き」を指標にした長期宇宙滞在中における空間
識の適応的変化
和田佳郎1,平田 豊2,金子寛彦3,柴田智広4
1奈良県立医科大学生理学第一講座,2中部大学,
3東京工業大学,4奈良先端科学技術大学院大学)
1.背景
「重力のない宇宙に上下はあるか」という疑問が
本研究の出発点である.上下について考えてみる
と地上では重力軸が絶対的な上下である.しかし,
それ以外にも天井が上,床が下という上下(外界
軸),頭が上,足が下という上下(身体軸)が存在
する.また,重力軸と外界軸は allocentric(他者
中心的)な上下,身体軸は egocentric(自己中心
的)な上下であり,重力軸には前庭耳石器入力,
外界軸には視覚入力,身体軸には深部感覚入力が
主に関与している.このような重力軸,外界軸,
身体軸という複数の要素によって形成される上下
が空間識の基準であり,「傾き」とはこの上下に対
する傾きである.したがって,長期宇宙滞在中に
「傾き感覚」を測定すれば冒頭の疑問の答が得ら
れ,その結果,空間識の適応的変化が明らかにな
ると考え,本研究を提案した.
2.宇宙実験の内容
約6ヶ月間の長期宇宙滞在中に,頭部ロール(左
右)傾斜時の「身体に対する頭部の傾き感覚」を
測定する.実験条件の模式図を図 1 に示す.暗所
で頭部をロール傾斜させた時(図 1A)に傾き感
覚が生じれば頸部深部感覚,明所で宇宙ステー
ション内の上下(外界軸)に対して身体をロール
傾斜させた時(図 1C)に傾き感覚が生じれば視覚
の関与が示される.さらに,明所で頭部をロール
傾斜させた時(図 1B)に傾き感覚が生じれば頸部
深部感覚と視覚の関与が示される.また同時に頭
部ロール傾斜によって生じる回旋性眼球運動
(Ocular counter-rolling, OCR)を測定する.この
ような実験を宇宙滞在前,滞在中(4 回),帰還後
に実施する計画である.
3.これまでの予備実験の状況
基礎データの蓄積を目的として,1G 下,微小重
力下(放物線飛行),過重力下(放物線飛行,大型
遠心加速度装置)における暗所/明所での身体傾斜
時,頭部傾斜時の傾き感覚の測定をおこなってい
る.
例えば,放物線飛行では 20 秒間の微小重力環境
を作ることが可能で,微小重力になると OCR は 4
名すべての被験者で消失した.一方,傾き感覚は
2 名ではほぼ消失したが,他の 2 名は 1G 下よりは
小さいものの十分に大きな傾き感覚が観察され
た.これは同じ傾きに対する反応であっても,脳
幹レベルでの反射である OCR と大脳を介した高
次機能である傾き感覚では性質が異なることをあ
らわしている.微小重力下でも傾き感覚が生じた
という結果は,16 日間の宇宙滞在中の実験で遠心
加速度により宇宙飛行士に傾き感覚が生じたとい
う過去の報告とも一致する[1].重力がなくなっ
ても大脳では重力の記憶がしばらくの間残存して
いるのかも知れない.
4.意義
本研究により地上では分り得なかった空間識の
メカニズムが明らかになれば,空間識研究のみな
らず,めまい・平衡障害といった臨床医学の分野
や,安全で快適な宇宙生活の実現に貢献できるも
のと考えている.
31
SYMPOSIA
図 1

Page 10
1.Clément G, et al.: Exp Brain Res 138: 410―418,
2001
国際宇宙ステーションに長期滞在する宇宙飛行士
の筋骨格系廃用性萎縮へのハイブリッド訓練シス
テムの開発
志波直人1,松瀬博夫1,名護 健1,大本将之1
山田 深2,大島 博21久留米大学リハビリテー
ションセンター,2日本宇宙航空研究開発機構宇宙
医学生物学研究室)
【はじめに】微小重力による骨格筋への力学的負
荷の減少により,宇宙飛行士の骨格筋は著しい廃
用性変化を来し,地上生活復帰の障害となるため,
種々の対策が実施されている.国際宇宙ステー
ション(ISS)に滞在する宇宙飛行士は大掛かりな
装置を用いて一日 2 時間 30 分の運動を行う.
従来の骨格筋電気刺激とは逆の発想で,運動時
に動作を妨げる拮抗筋を電気刺激して得られる筋
収縮を運動抵抗とする訓練方法を考案,電気刺激
と自発筋収縮の混合運動,ハイブリッドトレーニ
ングとした(図)[1―5].本法は簡易な構造で,重
力に代わり,電気刺激による筋力を運動抵抗とし
て体内で発生させ,骨格筋に負荷を与える.本法
は,十分なトレーニング装置が無い小型宇宙船内
など,制限の大きい環境下で有用である.
【トレーニング効果】若年健常者 1 回 20 分,週
3 回,12 週間の長期訓練実験で,肘屈伸運動で約
30%の筋力増強と15%の筋断面積増大が得られた
[2].平均年齢 68 歳の高齢者 20 名を 2 群に分け,
週 2 回,3 か月間の膝屈伸により,膝伸展筋力は
39%,MRI 筋断面積は約 9% 増加し,大型のトレー
ニングマシンと同等の効果が得られた[2].
膝前十字靱帯損傷患者の再建手術待機患者に対
し,術前 4 週間,HTS を実施し,再建に用いた半
腱様筋の余剰筋を生検に用い DNA マイクロアレ
イ法で網羅的に遺伝子発現を解析した[4].本法
で筋タンパク合成,骨格筋幹細胞分化による筋再
生の強化に関与する translation initiation factor
EIF5A と筋損傷後の筋再生に強く関与する per-
oxisome biogenesis PEX6 が強く発現していた.
症例数は少ないが,これら二つの遺伝子の高い発
現が,筋肥大効果等の裏付けになる可能性が示唆
された.
メタボリック症候群(非アルコール性脂肪肝)
35 名を対象とし 2 群に分けて実施した 12 週の長
期実験による血液生化学的検証ではインスリン抵
抗性,肝機能の改善と伴に,高齢者の実験と同様
IL-6の明らかな低下がみられ,これらの結果から,
筋力増強などの局所効果に加え,本法の全身的効
果が期待される[5].
【今後の展望】2009 年度 ISS 利用ライフサイエ
ンス及び宇宙医学分野における国際公募研究テー
マとして,現在,ISS 実験に向けた準備を進めて
いる.さらに装置を改良し,宇宙空間長期滞在で
の効果を検証するとともに,その成果を臨床,福
祉の現場へと還元したい.
1. Yanagi T, et al.: Arch Phys Med Rehabil 84(6):
843―848, 2003
2. Matsuse H, et al.: Aviat Space Environ Med
77: 581―585, 2006
3. Takano Y, et al.: Tohoku J Exp Med 221(1):
77―85, 2010
4. Matsugaki T, et al. Kurume Medical Journal
57(4): 101―108, 2010
5. Kawaguchi T, et al.: J Gastroenterol 46(6):
746―757, 2011
前庭―血圧反射系の可塑性とその対策
森田啓之1,安部 力1,岩田ちひろ1,田中邦彦2
1岐阜大学・大学院医学系研究科・生理学,2岐阜
医療科学大学)
ガガーリンの初飛行以来50年間で450人以上の
飛行士が宇宙飛行を体験したが,そのうち 40% 以
上の飛行士に帰還後の心・循環系の失調が認めら
れた.主な症状は,起立性低血圧であり,ひどい
場合は失神発作を起こす.その原因として,循環
血液量の減少,圧受容器反射の調節力低下,心筋
萎縮に伴う心収縮性低下などが提唱されている
が,未だ確定には至っておらず,多因子によるも
のだと考えられている.私たちは,この原因とし
て宇宙飛行に伴う前庭系の可塑性と前庭―血圧反
射の調節力低下が関与しているのではないかと考
32
日生誌 Vol. 75,No. 1 2013
図 ハイブリッドトレーニング
肘関節屈曲を示す.伸展では主動作筋,拮抗筋の関係
がこの逆となる.主動作筋は自発求心性収縮,拮抗
筋は電気刺激遠心性収縮する.

Page 11
え,国際公募研究に応募し,採択された.
前庭―血圧反射は,圧受容器反射と協働して,
起立時の血圧維持に貢献している.しかし,前庭
系は可塑性の強い器官であることが知られてお
り,異なる重力環境下では,前庭系の機能が変化
する可能性がある.ラットを 2 ─ 3 G の過重力環
境で 2 週間飼育すると,前庭―血圧反射の調節力
が低下する.この低下の機序は,過重力環境下で
はラットの活動が低下し,活動に伴う前庭系への
phasic な入力が低下することによる use-depen-
dent plasticity であると思われる.実際,過重力
環境下では,前庭系への phasic input が 1 G 環境
下と比べ 10% 程度に減少している.また,1 G 環
境下で,活動制限して飼育し,前庭系への phasic
input を減少させたラットでも,過重力環境下飼
育ラットと同様な前庭―血圧反射の調節力低下が
観察される.
被験者実験で前庭―血圧反射の関与を調べるた
めに,非侵襲的・可逆的に前庭―血圧反射を遮断
する方法(GVS, galvanic vestibular stimulation)
を開発した.この方法を用いて,起立時の血圧調
節における前庭―血圧反射の役割を調べた.健康
成人では,60°head-up tilt(HUT)時,血圧はほ
ぼ前値に維持されているが,GVS で前庭―血圧反
射を遮断して HUT すると,20 mmHg 程度の血圧
低下が観察される.GVS(無)と GVS(有)の血
圧応答の差が,前庭―血圧反射による調節である.
ところが,日常の活動が低下した高齢者では,
GVS(無),GVS(有)に関わらず,HUT により
20 mmHg 程度の血圧低下が観察される.従って,
高齢者では,起立時に前庭―血圧反射が働いてい
ないことが分かる.また,耳鼻科外来を受診した
患者を対象とした検査では,耳石機能と起立時の
血圧低下との間に有意な相関が認められた.
これらの,動物実験および被験者実験から,起
立時の血圧調節に前庭―血圧反射が重要な役割を
果たしており,前庭系への入力が減少するような
状態では,前庭―血圧反射の調節力が低下するこ
とが分かった.宇宙の微小重力環境は,まさに前
庭系への phasic input がゼロになる様な環境であ
り,前庭―血圧反射の調節力が低下する可能性が
高いと思われる.このことを確かめるための宇宙
飛行士を被験者とした実験を,2012 年 5 月から始
める予定である.
“ヒト”をキーワードにした多能性幹細胞研究の展開(S41)
体細胞からの安全な神経幹細胞の直接誘導
赤松和土(慶應義塾大学医学部生理学教室)
近年,脊髄損傷などの神経損傷モデルに対して
神経幹細胞の移植が症状の改善に有用であること
が示されてきた.ES細胞から誘導した神経幹細胞
も同様の効果があることが示され,ES細胞からの
神経幹細胞の誘導を行うことによって,主として
胎児にしか存在しない神経幹細胞を大量に調整す
ることが可能になった.iPS 細胞技術の登場によ
り ES 細胞が持つ倫理的な弱点が解消され,この
ような細胞移植治療において自家移植の可能性が
切り開かれたが,iPS 細胞由来神経幹細胞の安全
性は由来するクローンの性質に大きく左右される
ため,安全性を十分に検討する必要があることが
明らかになってきた.さらに,ヒト ES/iPS 細胞
からの神経幹細胞の誘導は 1-2 ヶ月の期間を要
図 1
33
SYMPOSIA

Page 12
し,患者線維芽細胞からの神経幹細胞の誘導は半
年以上の期間が必要になる.脊髄損傷のような疾
患では受傷後慢性期に至るまでに細胞を移植でき
なければ殆ど効果がないことも知られているた
め,現在の技術では iPS 細胞由来神経幹細胞を迅
速に自家移植することは不可能である.我々はこ
の問題を解決するために,マウス線維芽細胞に
iPS 化の 4 因子(Oct4,Klf4,Sox2,cMyc)を導
入し,リプログラミング途中にニューロスフェア
形成培地[1]で培養し神経分化誘導を行うことに
より,iPS 細胞を経ずに神経幹細胞(diNSC)を
誘導した(図 1)[2].
この方法を用いると線維芽細胞から約 18 日間
で神経幹細胞を大量に誘導でき,細胞調整の時間
が大幅に短縮した.これらの神経幹細胞は iPS 細
胞由来の神経幹細胞よりも速い速度で分化するた
め,細胞移植に必要な成熟型の神経幹細胞を迅速
に調整することが出来る.さらに我々はヒト線維
芽細胞でも同様の手法により遺伝子導入後 20 日
間で神経幹細胞を得ることに成功し,従来 iPS を
経由すると 6 ヶ月近く必要であったステップを大
幅に短縮することが出来た.今後はこれらの細胞
の安全性を詳細に検討し,細胞移植の期間が限ら
れる疾患に対して自己の細胞を調製できるシステ
ムを確立していく.
1. Akamatsu W, et al.: Proc Natl Acad Sci U S A
102: 4625―4630, 2005
2. Matsui T, et al.: Stem Cells 30: 1109―1119,
2012
ヒト線維芽細胞に存在する多能性幹細胞(Muse
細胞)と iPS 細胞の関連性
若尾昌平,北田容章,黒田康勝,出澤真理(東
北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野)
本研究室では,ヒト皮膚線維芽細胞や骨髄間質
細胞などの間葉系細胞中に多能性を有する幹細胞
が存在することを発見し,その性状から Muse
(Multilineage-differentiating stress-enduring)細
胞と名付け,報告した[1].Muse 細胞は,多能
性幹細胞マーカーである SSEA-3 と間葉系マー
カー CD105 の二重陽性細胞として単離可能で,自
己複製能を有し,多能性幹細胞マーカーの発現,
一細胞から三胚葉性の細胞へと分化する能力を有
する多能性幹細胞である.重要なこととして,
Muse 細胞は生体由来の自然な多能性幹細胞であ
るため腫瘍形成能を示さない幹細胞である.一方,
iPS 細胞は体細胞に数種類の遺伝子を導入するこ
とで樹立される,ES細胞に類似した多能性幹細胞
である[2].iPS 細胞の樹立メカニズムに関して,
ほぼすべての細胞から iPS 細胞が誘導されるとす
るストカスティックモデルと,遺伝子導入がなさ
れる前にすでに iPS 細胞になりうる細胞が既定さ
れているとするエリートモデルの二つのモデルが
提唱されている[3].本研究では Muse 細胞はす
でに多能性を有する細胞であり,間葉系細胞に一
定の割合で含まれていることから,ヒト皮膚由来
線維芽細胞から誘導される iPS 細胞の起源となる
可能性を考え詳細な検討を行った.その結果,ヒ
ト皮膚由来線維芽細胞に山中 4 因子(Oct3/4,
Sox2,Klf4,c-Myc)を導入した場合,Muse 細胞
は iPS 細胞に変化したのに対し,Muse 細胞を除
34
日生誌 Vol. 75,No. 1 2013
図 1

Page 13
いたヒト皮膚由来線維芽細胞からは iPS 細胞が
いっさい誘導されなかったことから,エリートモ
デルの存在が示唆された(図 1).また,Muse 細
胞由来 iPS 細胞との比較により,遺伝子導入がな
されることで Muse 細胞に腫瘍性増殖能が付与さ
れた結果 iPS 細胞に変化したのではないかという
誘導メカニズムの可能性も示唆された[4].また,
ヒト皮膚由来線維芽細胞を用いる場合,Muse 細
胞のみが iPS 細胞に変化し得るのであれば,あら
かじめ Muse 細胞を分離することで iPS 細胞への
誘導効率を向上させることが可能であると考えら
れる.また,皮膚由来線維芽細胞は様々な細胞種
を含む細胞集団であることが知られているが,比
較的均質な細胞集団である Muse 細胞を iPS 細胞
誘導に用いることで,その誘導メカニズムの解明
に役立てることが可能であると考えられる.
1. Kuroda Y, et al.: Proc Natl Acad Sci USA.
107: 8639―43, 2010
2. Takahashi K, et al.: Cell 126: 663―76, 2006
3. Yamanaka S, et al.: Nature 460: 49―52, 2009
4. Wakao S, et al.: Proc Natl Acad Sci USA. 108:
9875―80, 2011
多能性幹細胞を用いた心筋再生療法の開発
柴 祐司(信州大学大学院医学系研究科循環器
病態学)
心筋梗塞を始めとする虚血性心疾患に対する再
生医療は近年急速に研究が進展し,骨髄幹細胞等
の体性幹細胞を用いた再生医療はすでに臨床応用
されている.しかし,これまでの臨床試験から,
細胞移植の効果は限定的とされている[1].これ
は移植された幹細胞そのものが,心筋細胞には分
化しないことが一因と考えられている[2].
ES細胞を始めとする多能性幹細胞は,無限の増
殖能と万能性を有しており,心筋細胞への分化も
証明されているため,心臓病に対する有望な再生
医療の細胞源と考えられている.これまでの前臨
床試験で,移植されたヒト ES 細胞由来心筋細胞
(hESC-CM)は,心筋梗塞部位に生着し心臓の収
縮能を改善することが示されている[3].しかし,
移植心筋細胞が効率的かつ安全に機能するために
は,宿主心筋細胞と電気的に結合し,一体となっ
て収縮する必要がある.本研究では,ヒト ES 細
胞移植後の電気生理学的特性について検討した.
蛍光 Ca センサー GCaMP をヒト ES 細胞に遺伝
子導入し,hESC-CM を作製したところ,in vitro
において GCaMPhESC-CM の細胞収縮と一致し
た蛍光 GFP シグナルを確認した.さらに,心筋梗
塞発症モルモットに対して,GCaMPhESC-CMを
移植した.移植 4 週間後の心臓では,グラフト心
筋が宿主心筋の収縮と一致して収縮していること
が確認できた[4].
次に,細胞移植後の致死性不整脈の発生頻度に
ついて検討したところ,細胞移植モルモットにお
いては,コントロール群に比べ,致死性不整脈の
発生頻度が有意に低いことが分かった[4].
hESC-CM は心筋梗塞心臓に移植された後,宿
主心筋細胞と電気的に結合し,心臓の収縮能改善
だけでなく電気的安定性にも寄与することが示さ
れた.
1. Lipinski MJ, et al.: J Am Coll Cardiol 50: 1761―
1767, 2007
2. Murry CE, et al.: Nature 428: 664―668, 2004
3. Laflamme MA, et al.: Nat Biotechnol 25: 1015―
1024, 2007
4. Shiba Y, et al.: Nature (in press)
再生医療における人工多能性幹細胞の展望
岳 鳳鳴1,友常大八郎1,市川比奈子1,白澤佐
季子2,横山忠幸2,永井美圭2,原 一生3,斉藤直
3,薄井雄企4,遠藤守信4,佐々木克典11信州大
学医学部組織発生学講座,2ブルボン先端健康研究
室,3信州大学医学部保健学科応用理学療法学,4
州大学工学部)
人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem
cells,iPS)とは,体細胞へ四つの遺伝子を導入す
ることにより,ES 細胞(胚性幹細胞)のように非
常に多くの細胞に分化できる分化万能性(pluripo-
tency),分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複
製能を保持した細胞のことです.京都大学教授の
山中伸弥教授らのグループによって,マウスの線
維芽細胞(皮膚細胞)から 2006 年に世界で初めて
作られました.2007 年 11 月,京都大学の山中伸
弥教授らのチームがヒト人工多能性幹細胞(iPS
細胞)作製に成功したとの発表は,再生医療の新
しい時代の幕開けとして世界に大きなインパクト
をもたらしました.iPS 細胞樹立の成功により,
ES 細胞の持つ生命倫理問題を回避することがで
きるようになり,免疫拒絶の無い再生医療の実現
に向けて大きな一歩となりました.
我々の研究は外胚葉由来の色素細胞,視細胞,
神経細胞,内胚葉由来のインスリンを分泌する膵
β 細胞,amylase を分泌する膵外分泌細胞,中胚
葉由来の骨芽細胞など,ヒト iPS 細胞からさまざ
まな種類の細胞を作り出すことに成功しています.
特に,ヒト iPS 由来網膜色素細胞との共培養に
よるヒト iPS 細胞から視細胞への分化誘導を成功
させました.これまで報告されている視細胞の分
35
SYMPOSIA

Page 14
化誘導法において,二つの問題があります.一つ
は血清が必要であるということ,もう一つは胎児
網膜との共培養が必要であるということです.将
来,移植医療を実現するためには,感染や拒絶反
応のリスクを回避するために新規の網膜細胞を得
る方法の確立が望まれています.私たちの方法で
は nicotinamide を含む培地に,Sertoli 細胞と iPS
細胞を共培養すると,多角形状の黒っぽい細胞が
多く観察されました.色素細胞特異的マーカーの
mRNA とタンパク質の発現を確認しました.電子
顕微鏡で観察すると非常に多くの色素顆粒が細胞
質中に存在していることがわかります.しかし,
色素細胞が 100%の純度でなくてはなりません.
少しでも未分化な ES 細胞が混入していれば,移
植後の奇形腫形成の危険性が高くなります.色素
細胞は顆粒を多く含むため,比較的細胞の比重が
高いと考えられます.そこで,Percoll を用いた密
度勾配法によって色素細胞の単離を試みました.
純化した色素細胞と未分化 iPS 細胞を共培養し,
視細胞へ分化誘導します.培養後 2 週間から,分
化した視細胞を確認することができます.視細胞
を純化する方法として,GFP レポーター遺伝子と
網膜特異的転写因子の遺伝子をヒト iPS 細胞に導
入し,網膜前駆細胞のみを単離することを検討し
ています.
我々の分化誘導方法により得られた細胞を用い
て,創薬研究や毒性試験,眼の発生研究への応用
も期待できます.
1. Takahashi K, Yamanaka S: Cell 126: 663―676,
2006
2. Takahashi K, et al.: Cell 131: 861―872, 2007
3. Osakada F, et al.: Nat Protoc 4: 811―824, 2009
4. Osakada F, et al.: Nat Biotechnol 2: 215―224,
2008
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日生誌 Vol. 75,No. 1 2013