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砂糖という薬物 4 - アグリコ日記
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砂糖という薬物 4

 ところで「砂糖を食べると体が冷える」と言われるが、それはどうしてなのだろう。この問題もまた医学的にまだ充分に立証されていない面があるので賛否両論、さまざまな意見があるが、しかし砂糖を摂る量や回数が増えると次第に体が冷えてくるのは本当である。私自身もそれを体験している。
 それを解明するためには、まず人体がを体を温めるメカニズムを知っておく必要がある。
 一般に哺乳類と鳥類は自律的に体温を制御する機能を有する「恒温動物」と言われている。私たちが外気温が低いにもかかわらずその体温を一定に維持できる理由は、体熱産生と血液の循環にある。
 人体における熱産生は、全身の筋肉、肝臓、消化管、腎臓など各所で行われている。電気モーターが発熱することからもわかるように、代謝によってエネルギーの形態が変わる時には必ず共時的に「熱」が産生されている。よってATPを生産するミトコンドリアは主要な体熱産生の場ともなっている。人体で行われる熱産生のおよそ60%以上は骨格筋(細胞)で行われ、20%が肝臓で行われている。
 それらで産生された熱は、血液によって隅々にまで運ばれて全身をほぼ同じような温度に保つ。ただ厳密に言えば、体温は体の中心で高く、皮膚表面で若干低い。そこで体熱の運搬は、主に中心部から表面部に向けてなされることになる。
 よって「冷え」というのは、この体熱産生システムと、血液による循環システムのいずれか、または双方の障害によって生じるものと言える。このような体温維持の仕組みを念頭に置いて、では砂糖がそれらにどのように作用するかを見てみよう。端的に結論を先に言えば、砂糖の摂取は血管の機能を損なわせるのである。
 先に砂糖の摂取が最終的には骨中カルシウムの放出に至り、血液中におびただしいヒドロキシアパタイトが溢れることを見てきた。それら物質は(カルシウム由来の物質なのだが、もはや食物由来のカルシウムのような機能を果たしてくれないゆえに)体内の至る所に浸透・沈着し、またそこのカルシウム濃度を攪乱して、細胞の機能を阻害する。
 ところでヒドロキシアパタイトは始めに骨中から血流中に放出されるゆえに、血管壁はその影響を真っ先に受ける箇所と言える。本来カルシウムには、血管細胞に出入りすることによって収縮と拡張を促す働きがあるが、もしヒドロキシアパタイトが血管壁の平滑筋の細胞内に入り込めば、血管壁を長時間収縮させ、それによって血圧は上昇する。
 また血管の内壁はエラスチンというゴムのように弾力性のある繊維で構成されていて、そこにカルシウムが蓄積されるとエラスチンは古くなったゴムのように硬化する。そうなると壁にコレステロールが付着しやすくなり、次第に動脈硬化の症状を呈することになる。動脈硬化が高血圧を付随するのは論を待たない。
動脈硬化が起きる
   ↓
弾力性を失った血管では血流が悪くなる
   ↓
心臓は血液の流れをよくしようと拍動を強める
   ↓
高血圧になる
   ↓
血管壁に強い圧力がかかるので、血管壁に傷がつきやすくなる
   ↓
そこにコレステロールが溜まり、更に動脈硬化が進行する

 こういう悪循環に陥るわけだ。また血中の過剰カルシウム自体も、コレステロールと同じように血管壁に付着し石灰化する性質を持っている。
 このような血管は、脳で起きれば脳梗塞を引き起こし、心臓で起きれば心筋梗塞や心不全を誘発しやすくなる。つまり血管が本来の機能を失った結果、血流が阻害され細胞に栄養が行きわたらずかつ老廃物も排出されず、臓器が機能を失ってしまうのだ。
 毛細血管の大きさは直径4ミクロンである。しかし赤血球は直径8ミクロンもありながら、その中を通り抜けている。それはどうしてかと言うと、細長く扁平な形という赤血球の形体とその弾力性により、流れに向かう方向や形を歪めることによって狭い場所でも通り抜けることができるのだ。またこの際に血管自体の弾力性も大きく寄与している。
 しかし、もし血管壁が柔軟性を失ったらどうなるか。血球は毛細血管内を通り抜けられない。ヒドロキシアパタイトが血管を硬直化させることによって、栄養も酸素も循環しなくなってしまう。
 また砂糖は、中性脂肪を増加させる一大要因である。血中の過剰な糖分(グルコース)はまず肝臓内にクリコーゲンとして蓄積されるが、肝臓の許容範囲を超えるとグリセロールと脂肪酸となり、これが中性脂肪となって、肝臓や脂肪組織、またさまざまな臓器に蓄積される(この時肝臓に蓄積されると「脂肪肝」になる)。
 血液中に中性脂肪が多く流れるようになる(高脂血症)と、血小板が凝集しやすくなったり、いわゆる悪玉(LDL)コレステロールの値が増えて血管壁に溜まりやすくなったりする。すると壁が厚くなって血管の内径が狭まり、構造的にも更に詰まりやすくなる。
 一昔前は動脈硬化というと、なんといっても「コレステロール」が原因とされたが、現在ではこれと並んで中性脂肪も重要な位置を占めている。実際コレステロールの多い食品を食べてなくても、澱粉や糖質の過食がそれに代わる原因となることが次第に証明されてきている。コレステロールをそれほど摂っていないはずの東北地方の住民に脳卒中が多いのは、従来塩分の摂り過ぎと考えられてきたが、実はそれだけではなく、砂糖や白米の多食にもあったということがわかったのである。
 更に、血流の阻害にはまた他の要因もある。
 ショ糖は果糖とブドウ糖が結合した二糖類であることは既に述べた。一般にこの二糖類は、消化管内で酵素により分解され、各々果糖とブドウ糖という単糖類として体内に吸収されると考えられている。
 しかし中にはそうでないもの、二糖類の姿のまま吸収されるものもあるのである。前出の「白砂糖の害は恐ろしい」に掲載されている三戸寿氏の発表によると、5%ショ糖液投与後30分で、血中に16.3%のショ糖がそのままの形で観察されている。高分子化合物のタンパク質が血中に入ること(アトピーや食物アレルギーは、腸管から食べもののタンパク質分子がそのまま吸収された結果起こっている)を考えれば、このようなことが起こっても確かに不思議ではない。
 これらのショ糖は、血管内において血小板の粘着性を高め、やはり血流障害の原因となると考えられている。金沢大学医学部の村上元孝教授は、実際にウサギに砂糖を与えることによって心筋梗塞が生じることを実験で証明している。
 このように諸々の理由の相乗効果で、砂糖の摂取は結果的に血管壁の硬直化、特に毛細血管における血行不良という症状をもたらすのである。血流が滞って細胞の末端にまで赤血球が届かないとなると、体温に関して一般に次の症状が現れる。
①細胞自体が体熱産生活動を行うことができなくなる
②老廃物が除去されないので、細胞全体の機能(熱産生機能を含む)が衰える
③血行が悪くなると、肝臓など他の臓器で産生された熱も届かない

 これが、砂糖による「冷え」の原因である。このようにして、砂糖の摂取を習慣化することによって、手や指の冷えを感じ、寒がりになっていく。だからそれまで習慣にしていたジュースや砂糖入りのコーヒー・紅茶をやめたり、お菓子を断つことによって冷えを治すことができたという人は多い。
 例えば霜焼けやひび、あかぎれ、赤鼻などは、皮膚の毛細血管の機能不全による血行障害の顕れである。これらもまた、食習慣を変えるにしたがって次第に出てこなくなる。
 また学校の水泳の時間に、プールサイドからいきなりザブンと飛び込める子と、恐るおそる足先から水に浸けていかないととても冷たくて入れない子とがいるのだが、これなども毛細血管の機能差の顕れと言える。だからと言っていきなりザブンがいいわけではないのだが、そうしても平気な体を持ってるということは、偏に食生活において立派な両親を持った賜物と言えるだろう。

 余談になるが、玄米菜食を主とした正食やマクロビオティックを実践している人で、冷え体質の人は意外と多い。これだけ徹底してやってるのにいったいどうしてなんだろう、と本人は不思議に思ってるかもしれないが、これの多くは塩の摂り過ぎによるものと思う。
 身体には体内の余分のナトリウムを腎臓や汗腺を通して排出する仕組みがある。そしてこの際にカリウムやカルシウム、マグネシウムなどの他のミネラルも一緒に引きずり出してしまうという、ちょっと余計な傾向がある。
 特に寒くなると、とかく菜食の人は塩に頼って体を温めようとする。確かに塩はある程度体を温めてくれはするのだが、余剰分は排泄されるので、その際に他のミネラルが失われることになる。また寒い季節というのは緑黄色野菜が少ないので、ただでさえ食事中にカルシウムやビタミン、酵素類が足りない。特にこの時期に塩を多く摂ると、ナトリウム以外のミネラルを欠乏しやすいのである。
 よって「カルシウムの欠乏⇒骨中カルシウムの放出⇒毛細血管の機能不全⇒冷え体質」というお定まりのパターンになりやすい。またこうなると寒いので余計塩を摂ろうとして、その結果ますます悪循環に陥ってしまいがちになる。
 またこの際にマグネシウムが不足するとダブル・パンチである。なんとなれば、マグネシウムは骨や筋肉、神経などでカルシウムの出入りを調整する役割をしているので、このためマグネシウム不足はカルシウム不足と似た症状(足がつる、イライラするなど)を誘発するのである。
 そもそも習慣的な塩分の摂り過ぎは、常に体温の維持を塩に依存するという、潜在的な陰性体質を形成することに繋がる。つまり塩を多く摂ることは、根本的に体を陽性から引き離すことである。塩を摂ったその時だけ体が温まったと喜んでばかりいられない。しかし玄米菜食者が罹る冷え症状は、砂糖食者のそれよりもずっと軽微ではある。これは糖類摂取によるヒドロキシアパタイトの放出量と、ナトリウム過多によるそれとではおのずと量に格段の差があることによるのだろう。
 本来陸上の動植物は、塩そのものを体に摂り入れることはしてこなかった。私たち人間だけが、「塩は体に必要不可欠」という誤った観念を持って日々塩を食べている。しかし人類が恒常的に塩を摂るようになったのは、長くてもおそらくここ数千年だろう。現代でも塩を料理に用いない(「無塩文化」という)伝統の民族が幾つか残されている。
 塩は必要だから摂るようになったのではなく、本来不要だったのが嗜好品として、また飢餓状態における生存率を高めるための知恵として、あるいは食性の乱れによるミネラルバランスの失調を補うものとして用いてるうちに(これらの他にもまた、大量の出血や下痢の際には塩は極めて有効な薬になるということもある)、次第にその味に慣れてしまって身についたものと思う。実際塩の好みは後天的なものである。幼少時に植え付けられた味覚がほとんどの場合、そのまま引き継がれていく。けれどそれが修正可能だということは、実際に日常摂る塩の分量を変えてみることによって知ることができる。
 だから塩というのは決して摂り過ぎてはいけないものである。私もかつてかなりの量の塩を摂っていたが、ある時を機に生野菜をふんだんに食べ、水を多く飲み、塩の量をぐっと減らす方向に変えてから、それまでとは格段に寒さに強くなった。食べものの陰陽は、石塚左玄や桜沢如一の当時には、日本の伝統的な食習慣の価値をわかりやすく説明するのに非常に便利なツールだった。しかしそれは、実際にはある限定された条件の下でのみ当てはまる便法的なものである。玄米菜食は心身の健康のために優れた食事であり、日本の風土において実践が容易で、それに則れば概ね大きな故障をすることなく暮らしていくことができる。しかしそれだけを過信すると、場合によって意外な落とし穴に嵌ることがある。


(つづく)
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