1 調査対象水害
調査対象としている水害は次の事象であり、その規模の大小を問わない。
① 河川に係る洪水、内水等
② 海岸に係る高潮、津波等
③ 降雨に起因する土石流、地すべり、急傾斜地崩壊等
2 水害統計調査の概要
水害統計調査は、都道府県を通じて実施する次の3つの調査により構成している。
(1)一般資産水害統計調査
水害によって生じた一般資産の被害額等を把握するため、浸水深別被害建物棟数、被災世帯
数等を調査する。なお、一般資産とは、以下の資産を指す。
① 建物 ② 家庭用品 ③ 事業所資産 ④ 農作物 等
(2)公共土木施設水害統計調査
水害によって生じた公共土木施設の被害額等を把握するため、被災施設、災害復旧事業費等
を調査する。なお、公共土木施設とは、国土交通省所管の以下の施設を指す。
① 河川 ② 海岸 ③ 砂防設備 ④ 道路 ⑤ 港湾 ⑥ 下水道 ⑦ 公園 等
(3)公益事業等水害統計調査
水害によって生じた公益事業等の被害額等を把握するため、物的被害額、営業停止損失額等
を調査する。なお、公益事業等とは、以下の事業等を指す。
① 鉄道事業 ② 水道事業 ③ 電力会社 ④ 電気通信事業者 等
3 被害額の算出方法
都道府県、市区町村等において調査し、国土交通省水管理・国土保全局に報告された一般資産
水害統計調査等の数値を基に、次の方法により、被害額を算出している。
(1)一般資産被害額
一般資産水害統計調査の調査結果である浸水深別被害建物棟数等の数値を基に、被害率等の
係数を用いて、次のような計算式により「建物被害額」、「家庭用品被害額」、「事業所資産被害
額」等に分けて算出している。なお、農作物の被害額は、都道府県からの報告額を合計し、算
出している。
《 被害額の計算式:例 》
・建物被害額=浸水深別・勾配別被災建物延床面積×都道府県別家屋1㎡当たり評価額
×浸水深別・勾配別被害率
・家庭用品被害額=浸水深別被災世帯数×1世帯当たり家庭用品所有額×浸水深別被害率
・事業所資産被害額=浸水深別・産業分類別被災事業所従業者数×(産業分類別事業所従業者1
人当たり償却資産評価額×浸水深別償却資産被害率+産業分類別事業所
従業者1人当たり在庫資産評価額×浸水深別在庫資産被害率)
(2)公共土木施設被害額
公共土木施設水害統計調査の報告額(補助事業及び地方単独事業の災害復旧事業費)の合計
に、直轄事業の災害復旧事業費を加算し、算出している。
(3)公益事業等被害額
公益事業等水害統計調査の報告額(物的被害額及び営業停止損失額)を合計し、算出してい
る。営業停止損失額は、営業停止によって生じた売上減少額(水害が発生しなかったとした場
合に通常期待される売上額を基準として算定)を計上しているが、公益事業等によっては、貨
幣換算化が困難であること等の理由により、公益事業等被害額に計上されていない場合があ
る。