トヨタ プリウス エクステリア

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回生ブレーキのリコール後、燃費は悪化するのか!?

トヨタ 新型 プリウス エクステリア画像

 プリウスの「ブレーキ抜け」騒動は、リコールを発表したことで収束に向かい始めると思う。実際、TVや新聞での報道も日を追う毎に少なくなり、さらに冬季オリンピックが開幕。国民の意識はそちらへ向き、今や完全に了した感じ。
 ちなみにプリウスのユーザーが気になっている「アップデート後のブレーキ」だけれど、簡単に言えば「ABS稼働後に対策前と違うブレーキ系統を使うことになった」ということになります。プリウスは回生ブレーキの他、油圧のブレーキ系統を二つ持っている。(1)ブレーキペダルと関連しているシステムと(2)姿勢制御装置VSCなどが稼働した時に使うシステムです。対策前はABS稼働時にブレーキペダルを動かさないと稼働しない(1)使っていたため、回生制動との連携が上手くいかなかった。

 具体的に書くと、ABS稼働で回生ブレーキを止めた0,46秒後に、ほとんど減速Gを感じさせないような「緩い」油圧ブレーキを掛けるというもの。一部報道されている「通常のABSはブレーキ掛かるまで0.4秒。プリウス0.46秒」は本質じゃない。
 明確な表現をすると「0.06秒の遅れ」でなく「0.46秒後に、減速感を感じないくらい緩いブレーキしか掛からない」になります。つまり豊田社長が記者会見で語っていた通り「抜けて」しまうのだ。ハンドル握っていれば驚くと思う。
対策後の制御は、ABS稼働で回生ブレーキが無くなると、VSCの時に使う油圧システムを立ち上げている。こちらの油圧システム、強力なので0.06秒のタイムラグも完全に消えるという。また、ABS稼働まで従来通りの制御だから燃費の悪化も無し。

実は頻繁に行われている「発売後の不具合“カイゼン”」

トヨタ 新型 プリウス インテリア

 ここまで読んで「対策前より全ての点で良くなるのなら、何で最初からそうしなかったの?」と感じることだろう。こらもう簡単。開発段階で単に「開発ドライバーが見抜けなかった」だけである。実はこの手の改良、ごく普通に行われているのだ。最初から100%完成しているクルマなど皆無に近い。仕事柄、開発段階のクルマに乗る機会も多いけれど、3ヶ月前ですら「直さないと危ない」が見つかる。というか、この段階のクルマに乗る時は、いつ何が起きても対処できるようにしてます。市販直前の試乗会で問題点が発覚し、急遽対応することだって珍しくない。市販車になれば「危ない」も無くなっているものの、小さな不具合などいくらでも出てきます。それを一つずつ対応していく。今回のトラブル、初期不良の大きいヤツだったと考えていい。
 早い段階でトヨタが適正に対応していれば、こんな騒ぎにならなかっただろう。私のプリウスも、雑誌の取材などで行う一連の検証試験終わったら(今や貴重な対策前モデルになった)、制御コンピューターの書き換えを行います。

達人プロフィール: 国沢光宏
職業:自動車評論家
歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど、多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなくWRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

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